521. 呪い襲い殺す(2014)
《ネタバレ》 続編の方がマイク・フラナガンの監督でやや評判好さそうだったので、ソッチを観るためにコッチも今回観直しました(大昔に一回観てたのですケド)。うーん…別にソコまで悪くもないかと思いますが、ちょっと物足りないですかね。。 大仰なタイトルですが、テーマとしては「ウィジャ」と言われる西洋のこっくりさんをメイン要素に置いたごくオーソドックスなホラーです。いちおう謎解きサスペンスなホラーのお話が全体を通して用意されていて、月並とは言えコレが在るので(+終盤には多少の意外性も含められており)90分尺のホラーとしてはまずまず退屈せずに観てはゆけるかなと。ただ、ゆーてそのお話とて重ねて月並なモノではありますし(⇒例えるならまずは『リング』とかにソックリな感じ)何よりショック描写の方がかなり手抜きとゆーかチープとゆーか、率直に超・迫力不足なのですよね(分量も大したコトねーしラスボスとかも実にアッサリ倒せちゃうし)。個人的には、暇潰し以上には全くならないという程度の出来かと思いました。 一点、主演のオリヴィア・クックについては、映画のキャリアとしてはほぼほぼ本作が取っ掛かりに近い様な感じみたいですが、ルックスが単純にかなりキュートでそこは好かったと思いますね。ただ、設定上は高校生なのですが諸々ちょっと雰囲気自体はそーでもなかったかな…とも思えてまして、まずはとにかくどの場面でも「肝が据わり過ぎている」のですよね(悲鳴を上げるシーンなんて殆ど無かったんじゃね?とゆーか)。あと高校生としてはコレもやっぱ垢抜けすぎてるとゆーか少し派手な感じもありますし、フツーに大学生以上の設定にしてしまえば好かったのに…とも少し思ったりしました。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-07-31 20:42:07) |
522. グレイマン
《ネタバレ》 正直、ライアン・ゴズリングよりはアナ・デ・アルマスの方を目当てに観に行ったのです(なにしろ『ノー・タイム・トゥ・ダイ』が食い足りなくて)。で、結果的にはごく非常にシンプルな作品でしたが、またごく非常にシンプルに爽快で面白かったですね。確かに、この作品を家のモニターでしか観れないとゆーのは如何にも勿体無い話だと思います(もはや人類の損失かと)。上映劇場は限られているかと思いますが、皆さんも是非。 とて、お話の内容としてはごく極めてオーソドックスで、かつ具体的な展開運びに観るべきポイントとゆーのも特に全く無い(=いつもの流れ)という感じです。要は、ほぼアクションの数珠繋ぎと言うべき「片側に寄りまくった」アクション作品であって、ただしそのアクション自体の質、そしてそれ以上にその「物量」とゆーのはかなり凄まじいモノでしたね。聞いたら製作費2億ドル!はネットフリックス史上最大(『レッド・ノーティス』と並んで)というコトらしく、ただ今作に関しては「正しいカネの使い方」だったかな…と思います。キッカリ2時間の作品ですが、アクションの投入箇所が非常に多いためテンポや密度は(普通のアクションの)3割増しくらいな体感でした。重ねて、スピーディで爽快でかなり楽しめましたね(かつアルマスちゃんをはじめ役者さん達もごく手堅く頑張ってらしたので)。 ただし一点だけ、ドラマなのか映画なのかは分かりませんがごく強力に続編の製作が期待されているだろう作品ではありまして、要はこのハナシ、今作だけではしっかり終わってくれませんのですよ。その意味では、ラストだけは率直にごくボンヤリ・ヨレヨレと(ココだけ)かな~りモヤっとしたまま終わっていく…という感じでして、コレは流石に少なからず残念に思われるトコロでありました。評点にしても実は相当に迷ったりもしたのですが、単純に面白かった(楽しめた)のは確実…なので結局ここまで上げておくコトにしましたです。続編を楽しみにしてます(配信限定とかになったら泣きますね)。 [映画館(字幕)] 8点(2022-07-23 20:52:52)(良:1票) |
523. アナザーラウンド
《ネタバレ》 「酒は毒にも薬にも為る」とは誰しも人生で一回は聞く言葉だと思いますが、真なるその「毒」とは、別途自分に本当に毒と為る(害を為す)モノや状況を覆い隠すコトかも知れない…とは思いますかね。毒にも薬にも為るのですからその薬効の方を引き出す為には、一方の毒の側面に耐えるダケの「タフネス」とゆーのは飲む側の人間には常に求められるモノかと思うのです(もちろん「下戸」か否かといった最も基本的な体質なんかも含めて)。しかし特にその「心理的」タフネスの必要性とゆーのには、実はソレそのものを失ってみないと本当には気付けないのではないか…なんて思ったりもするのでして。私はいっとき所謂メンタルヘルスを(酒も原因のひとつとして)損なったが故にその辺にはごく敏感になっているという事情もあったりするのですが、酒を日常で楽しく飲んでストレスを解消して仕事に向かう…という一見その「薬」としての側面の方が強く表れている様な状況であっても、最大限俯瞰的に自らを省みるとそもそも日常的に酒を求めるという状況そのものがメンタル的には不調の方を示している…とゆーのが最近はとみに強力な実感として在るトコロなのですよね。もっとも、そーいうある種の「ドーピング」或いは「手当て」を必要としない「健全な生活」とゆーの自体が、ただ健全なダケでそれ以上のナニモノでもない…と言えるのかも知れませんケドも。とは言え私自身は現在、酒を特に必要としない時期の方が確実に字義通りの「幸福度(少なくとも精神的な)」は上だとゆーのが厳然たる事実なのでありますね(10年前からは考えられないコトでありますが)。最近は、一人ではもうほぼ飲まないのです(だから私にとっては、私自身の弱さ故に既に酒とは単なるコミュニケーションツールに為ってしまった…と言っても好いのかと思うのですよね)。 本作はその意味では、多少奇抜にも思えるアイデアながら本質的には極めて非常に典型的な話だとゆーか(ソレもネガティブな方面に向かって)、やはり根本的な「動機」からして酒がその適切な解決策であったとは到底言えない話だとまずは思うのですよね。コレも「酒は薬理学的には麻薬と同じだ」というまたよく聞く言葉が示唆する様に、人生が上手くいかないからといって麻薬にその身を委ねたとてナンの腹の足しにもならないのと同じコトだ、とでも言いますか。だから正直、私には本作がコメディ扱いなのだってどーにも全く理解できないのでありますね(とて、英語版Wikiでも思いっ切りコメディって書いてあるのですからソコにはも~ナンも言えない=言うつもりもない、のではありますケドも)。何つーか、途中からはワリと完全に白け切って眺めているしかなかった…と言いましょーかね。 ただ一つだけ、アルコール血中濃度を0.05%(要は「ほろ酔い」)に維持する…とゆーのを実際にシミュレートしてみると、ビールで言うとコレはだいたい朝350ml缶を2本呷って、その後は2時間ごとに1本ずつ飲んでゆく…てな次第でありまして、正直なトコロ確かにコレなら意外と仕事捗るんじゃねーか?と思ってしまったのには少なからずテンション上がっちゃいましたかね。少なくとも10年前の20代の頃に本作を観たのだったら、その頃の私なら1日くらいは実際に試した可能性が大アリだな…と。 [DVD(字幕)] 5点(2022-07-23 01:53:16) |
524. タランチュラのキス
《ネタバレ》 如何にもホラーぽい見た目諸々ですし、少なくとも製作当時はそーいうつもりでつくられたヤツなのは確実かと思うのですが、恐怖描写てのはほぼ全部単なるクモ(生のタランチュラ)なのでして、まァ正直別に怖くはねーのですよね(ゆーて、タランチュラって見ように依っては結構可愛くないですか?)。そもそも主人公が(殺意はしっかりと抱いた上で)タランチュラを放つ⇒標的は皆一様に驚愕と恐怖のあまりポックリ死んでしまう…という「そーはならんやろ」な展開の繰り返しなので、ホラー或いはサスペンスとしては正直「ゾクッと」とか「スカッと」とゆーよりは「モヤッと」の方がより強く感じられる…とゆーのは(ワリと終始)そーかも知れないのですよね。 ただ、ホラーではないにせよあくまでサスペンスとして観てゆくと、まずは殆ど罪悪感も無くしこたまどんどん殺してゆく主人公の小娘のサイコパスな風情と、でもゆーてクモを置いてるダケだからなあ…というある種のキレの無さ(=ゆーてなんかソコまで悪辣に見えてこないというもどかしさ)、加えて彼女の標的となる連中の方とてこれまた皆少なからずアクドイ感情移入不能な輩どもであるコト、この辺りのボンヤリとした感じが何となくまろやかに調和して、サスペンスとしてそれなりにイイ感じにハラハラと観てゆけるかな…という気もするのですよね(ある種謂わば「針」がフラフラしっ放しで、どちらかに振り切れるというコトが無いとゆーか)。ギリ暇潰しにはならんコトもねーかな…位の感じではあります。 [DVD(字幕)] 4点(2022-07-22 02:16:12) |
525. ノスフェラトゥ(1978)
《ネタバレ》 私も確かに今作、リメイクを謳いつつもだいぶ雰囲気違うな…と最初は怪訝に思いながら観てました。ことモノクロだとやはり演出の諸々は畢竟ごく抽象的なモノに見えてくるものかと思いますし、取り分けサイレントなら尚更とゆーか、ムルナウ版で終始見事に表現される「恐怖」とゆーのはごく絵画的な悍ましさ・恐ろしさだったかと思うのでして。翻って今作、まずはとにかくその生々しい撮り方と言い、矢鱈と感情的なドラキュラ伯爵と言い(見た目はかなりムルナウ版に寄せては居るのですケド)、また非常に緩いテンポ+まどろむ様な物侘しい音楽と言い、ナニはともあれコレ「ホラーじゃあねーな」と思ったのですよね。 しかし、見ていくうちにソレは私の勘違いだったと理解したとゆーか、否、コレはホラーなんかじゃない人間ドラマだ!とゆーか、非常に見事なヒューマニズム作品だと思ったのですよね。先に述べた演出は総て、吸血鬼というその悲しく哀れな存在の「弱さ」を体現しているモノなのだ、と。その意味では、このクラウス・キンスキーの演技とゆーのは実に的確な・見事なモノだったとまずは思いますし、片やイザベル・アジャーニが体現する方の「正の人間性」とゆーのも(キャラ的な裏付けが薄いワリには)立派に凛と仕上がった優れたモノだったと思いました(⇒コレは多分に、その本来的で正統なる美的なルックスに依るモノかとは思われますが)。私の結論は、ヒトならざるモノを通して人間とは何かを描くというオーソドックスながらごく高尚なテーマ性、を一個の芸術として纏め上げたとある傑作…だと思ったのです、が…… ただね……だとしたら、ラストがコレはちょっとしっくり来ないのですよね。。。ココを重く&描写そのままに受け取るのならば、今作は一種「悪が勝利した」物語となってしまうのでして、だから上述の私の論理は殆ど破綻すると言って過言でねーのですよ。(面倒なので)いったんソコは深く考えずに(=見なかったコトにして)一点だけ引いてこの評価としておきますです。。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-21 01:18:00) |
526. ホムンクルス
《ネタバレ》 うーん…率直にシナリオがイマイチですね。何から何までよー分かりませんです。。 トレパネーションを題材に、ソレに依って超常の力を身に付ける…というアイデアを用い、かつ実際に作中で主人公が「とある」特殊能力を得るというその実際の設定を含めてもそれなりにユニークなアイデアだとは思うのですね。ただ、一方で本作は如何にもSF系のサスペンス・スリラー、またはホラーの様な見た目をしていながら、本質的には人間ドラマ(のオムニバス)であって、登場するキャラクター各々が抱える心の闇を見い出し、そして解決してゆく…という然程テンションの高くならない話でもあるのですね。ソコでしかも、その「見い出す」はともかく「解決する」の方が正直ナニがどーなってそーなるのかがどれもしっくり来ないのですよ(何で綾野剛がソレを見える様になったダケでさも解決してやったぜ!てな感じになんの?と)。最初の内野聖陽の話はまだ何となく分かった気もするのですが、そっから先の3人は正直サッパリ訳分からんかったですね(むしろ段々訳分からない度がヒドくなってくよーな気もする⇒だから終盤に向かうにつれてどんどんつまらなくなってゆくとゆーか)。 もう一つ、設定的な部分のある種の雑さとでもゆーか、総じて成田凌の行動にしっかりとした動機の裏付けが無いので、全体の流れもまたなんかよく分からないのですね。まずは何故、綾野剛に目を付けたのか。そして終盤、岸井ゆきのにもまた目を付けた理由と、彼女にもトレパネーションを施した後の経緯・顛末(+その他諸々どこにどーいう意図があったのか)とかもサッパリ分からないのですね。原作未読でこの辺の事情をチャンと理解しているワケではねーのですが、仮にこの尺で描くのが難しかった…というコトなら、原作のエピソードに拘らずにオリジナルストーリーのオムニバスに改変した方が好かったのではないでしょーか(重ねて、設定自体はそこそこ秀逸だと思ったのでして)。 [DVD(邦画)] 4点(2022-07-20 21:59:35) |
527. 元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件
《ネタバレ》 アッチコッチで木っ端微塵に叩かれまくってますが、私も確かにこの邦題はちょっと酷いかと思いますね。後で気が付きましたが製作総指揮にジャウマ・コレット=セラが入っている作品でして、全体としても例えば彼が監督した『ロスト・バケーション』なんかにかなり似た雰囲気とゆーか(⇒サメ映画ではありませんが)ごくマジメでシリアス一辺倒な(航空系)サバイバル・スリラーなのですよね(コメディ要素なんてほぼ無くて)。で、その手の作品としては尺自体もコンパクトでパッと盛り上がってサクッと終わる…てなヤツなので決して使い道が無いという訳ではないかと思います。発生するトラブルがごくシンプルで(サメ映画とかに比べれば)率直に多少地味なので、ソコまでスリリングでもないかな…という感じも覚えると言えばそーなのですが、であっても暇潰しには十分かと。 [DVD(字幕)] 5点(2022-07-18 22:05:16) |
528. アンテベラム
《ネタバレ》 うーん…社会風刺的な側面を抜きにすれば、結局「オチ=2つの話をどうリンクさせるか」のクオリティに全てが掛かってくるという作品かとも思うのです。が、個人的には率直にソコの出来はイマイチ(=幾らナンでもド直球すぎるでしょ)という感じに思えましたかね。重ねて、トリック自体のクオリティと、またエデンのお話が徹頭徹尾陰惨極まりないコト、或いはヴェロニカのお話の方とて(社会風刺的なフレーバーがごく強めという意味で)終始居心地はかなり悪いモノであるコト、ソコら辺も含め、やはりちょっとシンプルすぎる(⇒その上にシンプルに終始ネガティブすぎる)という感じに思えたのですね。言い方を変えると要は、別にそんなに長くない映画なのに観ていて妙に疲れてしまった…ケド種明かしでもあんましスッキリできんかった…と。映画自体のクオリティはかなり高度につくり込まれていたとは思うのですケドね。 [DVD(字幕)] 5点(2022-07-18 01:43:42) |
529. バタアシ金魚
《ネタバレ》 原作未読。ですが、個人的にはかなり気に入りました。ヒトの精神年齢は下がり続けている…とも言われますケド、ある面ではソレはそーでもないかな…ともまた思うのでして、ソコへ来てこーいった「青春の心象風景」とゆーのはどーしたって自身が実体験した質感(或いは自身が若いうちに仮想体験した種々のそーいった「創作物」の質感)を生涯保ち続けるものかな…とも思われるのでして、その意味では私なんか世代的にはソレこそあだち充とか(どっちかちゅーたら『タッチ』よりは『H2』の方すかね)後は今作ぽいので言ったらも~『スラムダンク』とか、だからこーいうバカで熱血でごく純粋なヤツ(=作中の永井とは対照的に性的な匂いをあまり感じさせない様な)てのには確実に非常に共感できるのですよね。もうね、最近の邦画の青春映画によ~く出て来るごくこまっしゃくれて女だとかに気遣いも欠かさない、ソレでいて立派に色気付きやがる一方で本質的にはやっぱバカでガキで…なんて若造連中ってのにはね、私は正直「虫唾が走る」と言っても過言ではねーのですよ(まあゆーて、そーいう映画も別に全然楽しく観れるコトは観れるのですケドね)。 地味に、出て来る若い役者さん達は今となっては大物も多いし、演技もごく爽やかで総じて好かったと思います。コレもやっぱね、高校生の青春映画なんてのはハタチ前の役者で撮った方が絶対イイですよね(演技も下手に「巧すぎない」方が確実に好い…と個人的には思います)。中でもやっぱ高岡早紀の魅力は際立ってましたね(諸々と)。夏、学校、プールサイド。雲一つない快晴。このシチュエーションにノスタルジィを感じられないっていう人間なぞ存在しているのでしょーか?(加えて、ソコに17歳の高岡早紀が居るってのなら、ソコはも~たぶん永遠のエデンだろうと) [インターネット(邦画)] 8点(2022-07-17 21:33:46) |
530. キングダム2 遥かなる大地へ
《ネタバレ》 続篇としては比較的大胆だな…とも思いましたが、Wikiを見る限りおおまかには原作どおりの流れ、とゆーコトの様です。前作の主役級では長澤まさみは実質出て来ず、吉沢亮と橋本環奈さえ大半で蚊帳の外…という(大沢たかおはともかく)。かつ二昼夜程度の合戦をひたすら描くという内容なのでこのコンテンツの全体の物語からしてもお話的にもほぼ進んでないんじゃね?という感じすらします。しかし、ソレでいて(=話の内容が無いワリに)見応えとゆーのは十二分でした。いや~、技術の進歩とゆーのは実に喜ばしいとゆーか、邦画の娯楽作でもやれば出来るジャン!とゆーか、ボリュームが命の歴史的戦争映画でココまでのモノが観れるなんて、モ~善い時代になった…としか言えませんね。次回作も確実に映画館で観るでしょう(少し甘めですがこの評点で)。 前作でも思いましたが、今作でも山﨑賢人は好かったですね。暑っ苦しい位にひたすらに熱い感じも私は全然好みですし、アクションシーンの動きのキレも素晴らしかったです。他、俯瞰的合戦シーンの中でも騎馬のシーンがまたボリューミーかつ壮大で、楽しくテンションアゲアゲで観れました。次回作は(打って変わって)政治的・謀略的なお話かも…とも思いますが、この感じのアクションもまた観たいトコロですね。 [映画館(邦画)] 7点(2022-07-17 16:09:24) |
531. ノー・シャーク
《ネタバレ》 実際にはサメ映画ではなくて、言うならば奇人系のコメディですね。かつ、劇映画と言うよりは紙芝居の方に近くて、映像に合わせて抑揚の無い一人称の語り(朗読)がひたすら絶え間無く続いてゆくという相当にシュールな構造でもあります。主人公はサメを崇拝し、そして「サメに喰われて死ぬ」為にニューヨーク近郊各所のビーチを巡ってゆく…という徹頭徹尾「???」な物語でもあり、また彼女自身とてもはや自己愛性パーソナリティ障害に近いと言って好い様な強烈な自惚れ&自己中心的性向を如何無く発揮し続ける怪人物で、ある面ではも~サイコパスな…と言って好い行動までを執ってゆくという有様でもあるのですよね(オチもごく唐突なソッチ系?でして)。 しかし一方で意外にも、純粋にコメディとして笑えるか笑えないかで言えばソコは「笑える箇所も少なからず在った」とゆーのが正直なトコロなのですね。ただ他方、笑えるワケではないという箇所にも何か別の面白みが在ったかと言うとコレは決してそーでもないかな…てのがまた然りなのですよ。つまり、語り込まれるソレが文学的に何らかクオリティを帯びているというワケでもないし、その中に垣間見える種々の独善的な「理論」とゆーのにも決して何らか説得力が備わっているというワケでもない=単なる「キ○ガイの繰り言」でしかない、という状況こそが結局の落着的なトコロではあるのですよね。加えてまた決して尺が(シュール系としては不適切な迄に)短くはないコトも含め、やはり手放しで高評価!とは全くいかない作品ではあるのですが、珍品をお探しの方にならもしかしてハマるカモ…と。そーいう自覚の有る方でしたら、まずはお試し頂ければ。 [インターネット(字幕)] 4点(2022-07-17 00:02:25) |
532. いとみち
《ネタバレ》 しかし今どき、ココまで訛ってる女子高生てのは本場青森にも居るモンなのですかね?(⇒まあコレは、内向的な性格+多分お婆ちゃん子だった、というキャラあってのモノなのでしょーケドも)で、言い方はまた非常に悪いのですケド、このレベルの訛りに加えてのこのコミュ障ぶりってのは、ちょっとマジでヤバいっすね(何しろ全編通してナ~ニを言ってんだかまるでサッパリわかんない、という…)。今作はそんな女の子の成長物語としてはまずは非常にシンプルな筋ですし、本質的な話の内容・実際の展開運びとゆーのもまたごくオーソドックスだと言って好い作品には思えるのです。が、ソレを津軽の諸々+メイド喫茶という各々ごくドメスティックな要素と、前述どおりの主人公の特殊な(やや極端な)キャラで彩った演出自体は、中々にユニークでかつ本邦独自という感じの雰囲気も十分に醸し出せていたかなとは思いました(=決して月並な青春ものには為ってなかったかな…と)。あと、彼女の仕草・口調に合わせた様なごくかなりゆったりとしたテンポとゆーのも、最後まで観ると個人的にはなんかとても心地好くも感じられましたね(好い意味で素敵に田舎な空気感が在ったかな…とゆーか)。 主演の駒井蓮さんは、流石にこの人は青森出身なのだろーな…と思ったらソコはドンピシャでした(あの訛りっぷりは一朝一夕のモノではないでしょーなと)。ただ、ラストの三味線も一年稽古して自前で演奏した…とゆーのには率直にちょっと驚きましたですね。演技諸々も含めて素晴らしい仕事だったと思いますし、その他助演の方々も総じてまずまず好い出来だったかな、と。オススメ出来るか出来ないかで言えば、前者ですかね。 [DVD(邦画)] 7点(2022-07-17 00:01:58) |
533. 吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)
《ネタバレ》 今回鑑賞出来たのは「アメリカンバージョン」というヤツらしく、クレジットやインタータイトルは全て英語、かつ登場人物の名前もブラム・ストーカー版に準拠したものに変えられている様です。ソレも含めて、まず原作の内容が頭に入っていればサイレント作品としてはごく観易く・分かり易く観れる作品だろうと思いますね。で、極初期のホラー作品として(今でも)ヴィヴィッドに怖いかと言われれば決してそーでもないかな…と思うものの、肝心のノスフェラトゥ自体のヴィジュアルに代表される禍々しい物理的表現、或いは登場人物の恐怖や狂気の表現(演技)とゆーのは、コレは決して現代のソレと比べても(エッセンシャルな部分では)全く引けを取らないモノかな…とも思えました。特にやはり、ノスフェラトゥ自体の画ヅラ・雰囲気なんかは実に強烈なマデに不気味だったですね(⇒コレとて似た様なヤツは現代のホラーの中にだって今だ幾らでも見い出せるかと)。結論、機会が在れば観ておいて損は絶対に無いと思いますね(かなりオススメ)。 [DVD(字幕)] 6点(2022-07-16 23:54:42) |
534. X エックス(2022)
《ネタバレ》 作品の時代設定は1979年で、この年代はと言えばも~世は正に大スプラッタ時代!だったてなモンでして、コレまた本作とて本質的にはかなり典型的なスプラッタではあるのですし、見た目的にも多分に『悪魔のいけにえ』的だともまずは思いますよね(個人的にはも~チョイ古い『サイコ』にもかなり似てるな…と思いましたが)。大枠のみならず、細かい部分の設定や展開運びもごく典型的だとは思います(往年のスプラッタ宜しく今どき前半がほぼ「エロしか無い」てのも逆にもはや新鮮かも、と)。ただ、肝心のホラーモンスターに関してゆーならその時代相応?な「性質の反転」或いは種々の側面における更なるドラスティックさ・悍ましさ、という部分には多少の新規性が在ったかと思ったりします(でもコレとて、本質的なコトなのかと言われるとそーでもないかな…という気もしますケドね)。 どちらかとゆーと本作の新規性は、コレはアリ・アスター作品に代表されるA24(のホラー)の特性と言えるのかも知れませんが、本作はシンプルなスプラッタであるにも関わらず(前述のそのホラー主体の特性からしても)単純に空気が・テンポが「激重」なのですよね。前半はともかく、後半に入っても特にボルテージ上げずに実にじっくりゆっくりと「真綿で首を絞める様に」攻め込んでくる殺人鬼とゆーのが、個人的には一番面白く感じられた部分であります(まあ、ホラー的な意味ではこーいうヤツも観たコトないなんてコトは全くねーのですケド、重ねてこんなコテコテのスプラッタ(スラッシャー)でやられるとちょっとオツにも思えるな…とゆーコトでして)。往年のホラーファンからするともう一つ、コレっても~何かちょっとフルチ・ゾンビ的だったな…とも思いましたかね。 ただ重ねて、如何せん映画としては特に前半がだいぶ長いコト「重すぎて」あまり面白くないのですよね。ようやく後半(佳境)に入ったとて大してスピードアップしないのにも最初はやっぱかなりイライラしてたのですケド、途中から「こーいうコンセプトなのかな…」と思い始めて以降はそこそこ興味深く観れた…のですね。ただコレもやっぱ(オーラスはともかく)最後まで観ても爽快感とかキレってのは然程感じられなかったのも確かでして、個人的には「こーいうのも(偶には)アリかな」以上の感覚にはならなかったとゆーのが結論的なトコロすね。まあ流石のA24!的に、映画自体の質はまたかなり高かったとは思いますケドね。 [映画館(字幕)] 6点(2022-07-15 23:48:09) |
535. 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う
《ネタバレ》 でもゆーて、ワリかし無くはない方のハナシじゃないケ?と思ってしまいましたが、あくまで私におけるこの既視感の理由は先に『永い言い訳』を観ていたからでした(でも『永い言い訳』の原作小説の刊行と本映画のトロント映画祭での発表はドンピシャで同年なので、どっちが先…というコトではなさそうですケド)。ただ、アッチに比べると今作の方がだいぶん繊細で曖昧、かつ少し「分かり難い」話ではありますかね。取り分け、アッチがごくシンプルにポジティブな過程を終始辿ってゆくのに比して、今作はそーいった側面も備えつつも(=ナオミ・ワッツと彼女の息子のお話の部分)かなり終盤深くまで本質的にはネガティブな展開をし続け、一方でオーラスでは主人公はふと吹っ切れた様にも見える…という点においてはそんな感じかとも思います。 まあ個人的には、彼を捕らまえていたのは一種の「罪悪感」とゆーか、ないしは自身に対する怒りだとは思うのですよね。ソコを、物質的・表面的に満たされた生活で見えなくなっていた種々のコトを刮目して見い出した結果、色々と(=自分も他人も)許すコトが出来た…という様な話かなと理解しました。ただ一点、どーにも共感がしにくかった…とゆーのが、ゆーて彼がこ~んな派手な自暴自棄に陥っても(ある種)OKだった…というコトの理由は、やはり物質的に満たされているから、ですよね。ある面で非常に「大人気ない」とゆーか、言っちゃあ私には「金持ちの道楽」的なコトにすら見えましたよ(偉そーなコトを言って申し訳ないですケド、皆そんな余裕なんて無い中で頑張ってんだよ!と)。やはり個人的には、ちょっと本質的には共感できなかった…という作品になってしまいますかね(ごく残念なコトですケド)。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-07-13 00:52:26) |
536. ソー:ラブ&サンダー
《ネタバレ》 うーん、それでもごく暢気に頭カラッポにして観る分には時間潰しにはならなくもないかな…とは思ったのですが(尺が無駄に長かったりするコトもねーので)、終盤は実際私もかなり退屈でしたね(シーン的にはしっとりと盛り上がるハズのヤツなのに)。指摘したいのはとにかく、全編通して色濃く漂い続ける「既視感」+多少ソレを感じさせないシーンに関してのそーいった要素の「取り込み方の雑さ」ですかね。その意味では、宣伝の感じや序盤の雰囲気からしても(最後まで観ると)意外なホドにまた「真っ当な」ヒーローものに(今更)仕上げちゃった…とゆーのは端的にバッドチョイスだったかな、と。でもゆーて、マイティ・ソーてのは何から何までごく「脳筋」なキャラクターなワケですから、何か奇を衒ったコト・細やかなコト・ややこしいコトってのには総じて向かない…とゆーのも何となく分かるトコロではありますケドね(クリヘム君の演技力の観点からしても)。 ただ、復帰したナタリー・ポートマンは諸々と素晴らしく美しかったですし、今作がMCUにおける『マイティ・ソー』の物語の一応の締めくくりであるのならば(実際の今作の終わらせ方も含めて)その意味での評価として点数は高めに倒そうかとも思ったのです。が、恒例のエンドロール観る限りそーだとは言い切れなそう…でもあるのですよね(ま、今作がハネたらあわよくば…的なコトかも知れませんケド)。そーなってくると正直モ~「惰性なカネ儲け」にしか思えない…てなモンですし、だから今作も評点は一点下げておこうかなと(エンドロールの所為で一点下げた…なんて映画は意外と初めてですね私)。 [映画館(字幕)] 5点(2022-07-10 18:15:58) |
537. 哭悲/THE SADNESS
《ネタバレ》 そもそも、私はホラー映画についてはゆーて(根本的な動機としては)実はワリとごくポジティブなモノを置いて常日頃は鑑賞しているのですね。即ち、ホラー映画とは人生そのものである、と。何故なら、人生とは「恐怖に打ち克つ」ことだからだ、と。 とは言え、その中でホラー映画はまた字義通りに「ホラー」たる日常では凡そ抱き得ないスパイシーな感情を生活空間に取り込むコトの刺激・爽やかさをその目的として備えるのも且は確かだと考えていて、なのでホラーの中でも「グロ映画」とゆーのには(厳密には)その用途に限った謂わばコンセプト・ホラーとしての価値ってのを見い出しているトコロになるのですね。そして、更にその意味ではある種、その「グロ」とゆーのには実はそーいったコンセプト以上のモノは不要(否、混ぜるな危険)というコトだったのではないかと今回感じた、ソレを以下に記そうかと思います。 先に述べたコトとも絡みますが、最初に結論を申し上げると今作、私には今まで観たどの「グロ映画」よりも不快な・耐え難いモノにも感じられたのですよ(⇒この点こそ、ソレは「今」観たからなのではないか…という部分の判断がどーにも付けられなかった為に再見リストに回そうか暫く迷ったというコトでして)。何故でしょう、例えばソレは、話の端緒がウイルス・パンデミックというごくタイムリーでかつ現在の実生活に直接的にリンクして来ざるを得ない様な要素を孕んでいたコト、或いは、だから必然的に今作も大枠としてはよくあるゾンビ映画の構造を有しつつも同時に随所で(ならば本来)「約束される筈の」希望・逃げ道が存在せず、また常套の戦術なども通用しないという種々の「裏切り」をも包含するコト、更に或いはシンプルに本来のこのジャンルの映画よりもワザワザそのテンポを落として凄惨なシーンをよりネットリと陰湿に見せ付けてくるコト、なんかにもその理由は見い出せるものかとは思うのですよね。 しかし、やはり今作はもっとその本質の部分、つまり作中で描かれる「グロ」とゆーのが総じて、ソレこそもうヒトの欲望が産み落とす人間のあらゆる悪意そのものの具現化である、というコトに尽きるかと思うのですね。重ねて、世界全体がそんな悪鬼どもに満ち満ちて、そしてまた其処から逃げる術もなく実際に主人公達も絶望的なラストを迎えてゆく、ソレは正に映画が描き得る最悪の地獄の一つだ、と感じざるを得なかったというコトなのだと思います。更に恐らく、グロ描写自体の物理的なクオリティの高さ、加えて多少珍しくも高度なスプラッタと性的倒錯を大いに綯交ぜにして大盤振舞いに描くコト、また何よりその悪鬼どものヴィジュアル・喋る台詞の(コレも高度な)悍ましさ、といったモノが為せる総合的な悪夢だったのだろう…と。 重ね重ねの結論、私個人にとっての今作とは前述の私が普段観ている「グロ映画」の範疇ではなくて、例えるなら『炎628』の抽象的進化版・強化版、とでも言うべきモノだったのだと思います。そしてコレも重ね重ね、今作とてもコレをもっと(いつも通り)気楽に観る方法とゆーのは無かったのか…は心残りとしてありますが、いま現在の直の感情をとりあえず記しておくコトの意味も込めて、いったんこの評価とさせていただこうかと思います。鑑賞予定の方は多少ご注意いただけると好いかと… [映画館(字幕)] 3点(2022-07-10 01:40:54) |
538. エルヴィス
《ネタバレ》 まず、映像や音楽の面はかなり高度な出来だったのではないかと思うのですね。特に映像は、少し漫画チックな種々のアイデアも含めて全編に渡って相当に凝り抜いている…という印象で、取り分け前半1時間半くらいまでの目まぐるしいカット割りは「ココまでやる必要ある?」というぐらいに個人的にはワリと圧倒されました(=決して全然嫌いなヤツではないのです)。楽曲も個人的にはかなり好きなモノでしたし(流石に世代ではないので元々好きだったというワケでもないのですが)、この部分については主役のオースティン・バトラーのパフォーマンスが(率直にコレも)相当に高度だった・精密につくり込まれていた、と思います。その他も、衣装・美術やヘアメイクに至るまでヴィジュアル面のクオリティは細部まで行き届いて素晴らしいモノだったと思いますし、重ねて「見た目」や「聴いた感じ」という外見的な部分は総じて好い仕事だったと思うのですよね。 他方、お話の中身・シナリオの出来はごく平凡だったかな…とも。結論からゆーと、エルヴィスとマネージャーたる「大佐」の現実の関係性から見たとしても、この大佐とゆーのをトム・ハンクスにダブル主演的に演らせる…というアイデア自体は決して悪くない・間違いではないモノに思われるのも確かなのです。が、結局やはり彼らが実際にどーいう関係だったのかがイマイチ今作ではしっくりと頭に入ってこないのですね(「共依存」的なコトにせよ大佐から見ての「寄生」的なコトにせよ)。個人的には、エルヴィスがエルヴィス個人として既成の社会通念をブチ破っていく前半は(それでも)かなりテンションアゲアゲで観れたのですケド、一方でソコでも大佐とゆーのは(ソコに関しては)エルヴィスの「邪魔」にしかなってない様にも見える(+エルヴィスを利用してるダケにも見える)のですし、更に後半はエルヴィスが精神の安定を失ってゆく+彼と大佐の関係も破綻してゆく(=いよいよ大佐が単なる悪役にしか見えなくなってゆく)+だけど彼らの関係は最後まで(何とな~く)維持され切った、という種々の出来事がお話として全く説得力を持って繋がってこないのですよね。正直、エルヴィスが単なるおバカさんにも見えてまう…つーか。 ただ、お話の結論部分「エルヴィスを殺したのは『愛』だ」というコトについては、結局まあそーいうコトなのかな…と思ってしまったのはまた確かなのですね。ふた昔(以上)前の歌手の方って結構「魂を燃やして(命を削って)」歌う人達が居たじゃねーですか、とゆーか。そーいう人って(コレも結構)非業の死を遂げている方が多かったりするのだよな…とゆーのが実感として私の中に在るのでして、コレもやはりそーいう話なのかな…というコトについては個人的にはワリと合点はいきましたかね(まあ、ソレ自体とてまた平凡っちゃあ平凡……?てな気もしなくはねーのですケドも)。評価はかなり迷ったのですが、いったんこの点数で。 [映画館(字幕)] 6点(2022-07-09 01:03:40) |
539. 穴(1960)
《ネタバレ》 面白いな~超絶シンプルで、かつ無駄も(全くと言って好いホドに)皆無な、完成度で言えば特A級という作品かと思いました。いや、ひたすら続く穴掘りにしたって、コレはコレ位の尺で何度もじっくり描く必要が確実にあるモノだと思いますし、音楽が無いのだってそりゃ刑務所ですから(しかもこっそり脱獄しよーとして夜な夜な穴掘ってるのですから)。でも、それ故に全編通してごく静か…ながら緊迫感に溢れた実に好い雰囲気(コレもごくフレンチ・ノワールの「粋」とでもゆーか)が醸されて居たとも思われて、コレは近いうちにまた深夜にでも静かに観たいな…と思ってしまいましたね(今はちょっとエアコンとか喧しいので、この秋にでも)。 でも、状況設定は確かに非常にシンプルですが、中でしっかりと描かれてゆく種々の人間性・人間模様とゆーのはまた際立って優れたモノだと思われましたよ。悪人とは言え、否、悪人だからこそのその持ちうる限りの知恵と体力(或いは「人間力」)を尽くしつつ、そして目的の為に5人見事なチームワークをも発揮していく様子も含めてコレはやはりどーしようもなく美しいモノだとも感じられました。その上で、ラストでソレを見事にブチ壊す裏切りの鮮やかさときたら!(⇒よく考えればコイツとて少なくとも妹とは後ろめたいコトの在る、確かな「悪人」の様にも思えますし)素晴らしいクラシックでした。 [DVD(字幕)] 8点(2022-07-04 23:49:52) |
540. 現金に手を出すな
《ネタバレ》 序盤~中盤は荒事も無く、正直ちょっと退屈(とまでは言わんケドも、ごくまろやか)な感じでもあるのですね。とは言え、言わずもがなジャン・ギャバンの魅力とゆーの自体はこのパートでも際立っているとゆーか、丁寧で隅々まで粋な物腰とゆーのはじっと観ていても決して楽しめないというモノではありません。で、残り30分位からのノワールな展開は、コレはモ~文句の付けドコロが無いと言いますか(前半のまろい雰囲気とも上手いコト整合しつつ)キレ好くパワフルでありつつもニヒルでオシャレ、という極上のモノでありました。ノワールとしてはごくシンプルな作品であるとは思いますが、コンパクトな尺も含めて実はかなり完成度の高い方なヤツだと思いますね。オススメ。 ジャン・ギャバンはかなりの壮年に見えるのですが(実際に50歳だし)マ~幾ら誰にモテていても全く嫌味じゃねーなとゆーか、確かにコレも極上のイケオジなのですよね。で、ソレを彩る今作での彼の情婦ベティとゆーのが、コレまたドエラい美人なのです。演じるマリリン・ビュファードという方は女優としては決して大成したという人でもないよーですが、聞いてみると1946年のミス・アメリカなんだそーで(納得)。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-04 21:07:08) |