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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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41.  プレデターズ(2010) 《ネタバレ》 
「プレデター」にオマージュが捧げられており、事前に復習しておけば、2倍楽しめる。構造やネタを重複させて、遊んでいるところが面白い。ただ、それなりにアイディアを盛り込んでいるが、もう一つ練り込まれていないという印象。全体的に“勿体無い”というイメージだ。 フィッシュバーンが演じたキャラクターは悪くはない。相当に中途半端ではあるが、あっさりと瞬殺させて、「大物と見せかけて、実はザコ」というロドリゲスっぽい遊びは面白い。しかし、美味しいキャラクターに仕上がるはずが、生煮えという仕上りとなっており、勿体無い。必死に風を煽る姿や、7~10シーズンを乗り切ったとは思えない間抜けなラストはユニークな仕上りになるはずだったが、上手く仕上がっていない。 ドクターの存在も同様に勿体無い。何かネタを仕込んでいることは分かるが、ラスト付近まで引っ張った割には「その程度か」と落胆してしまう。そもそも助けてもらった相手をわざわざ痛めつける理由が分からない。殺される前に、最後に楽しみたいという理由だろうか。ストーリーを展開させるという役割は与えられているが、十分機能を果たしているとは思えない。全体的に、各キャラクターが十分活かされておらず、彼らに込められた存在価値がやや低いような気がする。生き残るためには利用できるものは何でも利用するという強い精神力や、人間の敵は人間だという怖さも感じられない。数だけは揃っているが、居ても居なくても同じでは困る。このキャラクターがいなければ、この映画が成立しないくらいの価値を込めて欲しいところだ。 また、名前も名乗らず、仲間を駒や囮としか考えなかった一匹狼が、宇宙船に乗らずに仲間の女性を見捨てなかった理由もそれなりに強化してもよかったのではないか。 このサバイバルを通して、彼の心に何かしらの変化を与えたネタも仕込んで欲しいところだ。一人の力では生き残ることはできない“無力さ”を知り、誰かと協力せざるを得ない展開を考えて欲しいところだ。ベタではあるが、どこかであの女性に命を救われるという展開を仕込んでもよい。命を救われる展開はあるが、宇宙船出発前の方がよいだろう。さらに人間は個体では弱いかもしれないが、様々な知恵や協力による組織力で乗り越えてきた歴史があるのだから、プレデターと人間との“差異”を盛り込んでもよいのではないか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-07-14 23:31:51)(良:4票)
42.  踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! 《ネタバレ》 
鑑賞後に周囲から「面白かったね」「結構笑えた」「本広監督の遊び心が凄い」「30分ほど寝ちまった」など、口々に観客が語っている声を聞いてとても安心した。もし自分と同じような感想だったら、このシリーズが終わってしまうからだ。「なんじゃこれ?」という自分の心の声を抑えるために、「これは俺が知らない新しいタイプの映画なんだ。俺は今映画の歴史が生まれる瞬間に立ち会ってるんだ」と自分を洗脳させながら、最後まで乗り切ったが、小泉今日子のように洗脳させることはできなかったようだ。やはり「ふざけんな、ちゃんとやれ」という感想しか出てこない。 個別具体的なことを論じてもムダなので止めたいが、「この映画には“誇り”があるのか」と逆に問いたいところだ。青島が現場を守り、室井が出世して偉くなり、一緒に“警察”を変えるという情熱など微塵も感じれない。確かに「普通の刑事モノ映画を見たいのならば、どうぞ他所へ行って下さい」という製作者の声が聞こえてくるような個性的な仕上りにはなっているが、中身のないムダなものばかりで構築されている。「それこそが“踊る”だ」と言ってしまえば、その通りなのだが、果たしてそれだけで良いのだろうか。本広監督と君塚脚本家については「なんとなく好きではない」というイメージ以外によく知らないので批判はしにくいが、二人の方向性やベクトルがズレまくっているような気がする。君塚脚本家はリアリティを完全に無視した非現実・コメディ路線で進んでいるのに、監督は過去のシリーズと同様の流れを踏襲しようとしている。ムダに長回しや幻想的なシーンなどにこだわる辺りも火に油状態だ。この脚本をどのように演出すれば面白くなるかは、はっきり言って難題ではあるが、個人的には本広監督はややマジメに向き合いすぎたかなという気がする。もっととことんコメディタッチでもよかったかもしれない。 鑑賞の仕方としては、何も考えないで、“演出と脚本とのズレ”や“あり得なさ”を逆に楽しんだ方がよかったか。木の杭を抜いて鋼鉄製扉を叩き始めたときに「何やってんの?他にすることはないのか」と怒るよりも、「木の杭キタァ!」「あり得ないところに爆弾キタァ!」のように大人数で突っ込みながらみれば楽しめるかもしれない。それよりも、このシリーズのためには、君塚の代わりを早急に見つけた方がよいと思うが。病気を悪ふざけのネタにするのもタチが悪すぎる。
[映画館(邦画)] 3点(2010-07-07 00:14:41)
43.  プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 《ネタバレ》 
7点という評価は高いけど、6点というほど悪くはない作品。観終わった後には特に深いものは残らないが、鑑賞時間分は楽しめる作品に仕上がっている。ディズニー系の「パイレーツ」「ナショナル・トレジャー」「アリス」よりも、本作には単純な面白さがある。 とんだりはねたりとアクションが満載。中東の雰囲気をやや堪能できアドベンチャー感覚にもひたれる。ユニークなキャラクターが意外と様々に登場してくるので、それほど飽きることもない。 時間が戻るという砂入りのダガーもまあまあ効果的に使用されている。全体的に訳の分からない設定や、ご都合主義、まわりくどい方法での王座獲得など、すっきりしない部分も多いが、特に気にする必要はあるまい。 ラスト付近のやり取りがやや急ぎ足で、物足りないところはあるだろうか。あまりじっくりと描き込む部分ではないが、突然『大量破壊兵器はなかった』と言い出して、敵国を倒した後にも関わらず、『そうだね、もうちょっと調べてみようか』という訳にもいかない。時間の砂を上手く利用して、明確な“証拠”を突き出して、観客を完全にすっきりさせて欲しかったところ。この辺りのオチの付け方は、ディズニー&ブラッカイマーらしい部分ではあるが、それほど憎みたくなるシーンでもない。 本作には、血の繋がった本当の兄弟と、血の繋がらない兄弟たちの二組の兄弟が描かれている。この関係を上手く対比することができれば、観客や本作を見る子ども達に何かいいメッセージを送れたのではないか。血の繋がった兄弟が王座のために憎しみを感じているので、逆に血の繋がらない兄弟たちはもっと協力したり、信頼し合ったりして、“兄弟愛”のようなものをアピールしてもよかったか。“兄弟が協力して強くなれ”というような父親からの家訓のようなものが強調されてはいたが、言葉ではなかなか伝わりづらい。時間の砂を利用して兄からの信頼を勝ち取ったものの、“兄弟愛”のようなものはそれほど濃密には描かれていないといえる。 動機が何もない弟を単純に犯人扱いする流れは仕方がないが、もうちょっと兄弟関係を丁寧に描けば、より良い作品に仕上がったかもしれない。 アクションヒーローのイメージはなかったが、ギレンホールもそれほど悪くはない存在感を発揮している。ゲームを題材にしている作品であり、ネタはまだまだありそうなので、シリーズ化しても良いのではないか。
[映画館(字幕)] 7点(2010-06-26 12:17:00)
44.  ザ・ウォーカー 《ネタバレ》 
観る前は、文明が滅んだ後の世界で巻き起こるデンゼル・ワシントンによる激しいアクション作品、「北斗の拳」「マッドマックス」のような映画だと思っていたが、思ったよりも宗教色の高い作品に仕上がっている。 “一冊の本”という設定から鑑賞前からピンと来ないといけないのかもしれないが、オールドマンが“一冊の本”を求める理由を語るまで気付かなかった。 ストーリーを踏まえると、キリスト教を信仰している者には最適の作品ではないだろうか。 本作を観ることで、自己の宗教心を一層強めることができるとは思う。 自己の役割、自己の存在価値、自己の運命、神からの啓示を強く意識することができるだろう。 しかし、キリスト教信者ではない日本人が観ると、グッと来る度合いが異なることとなる。 世界観やストーリーや映像面など、よく出来た映画であり、評価はしたいところだが、さすがに受け止め方は難しい。 ワシントンとオールドマンの二人の存在感が際立っており、見事に対比されている点は面白い。 “一冊の本”を用いて、文明崩壊後の社会に“安定”を導こうとする気持ちは両者に相通じるところがあるが、一方は神になりたいと願い、他方は神のしもべ、聖地を目指す巡礼者のような存在になりたいと願っている点に根本的な違いがある。 その結果、一方は安定どころかより混沌とした世界を作り出し、他方は世界を再構築できるほどの影響力をもつことに寄与することができている。 たとえ殉死したとしても、自分の遺志を継いでくれるということも希望が持てる展開となっているようだ。 ワシントンに隠されたネタもかなり効いている。 神から自分に課せられたことには“意味”があるということだろうか。 歩いていて高速道路から落ちそうになったり、“音”が聞こえるかとしつこく言っているので、違和感はあったが、最後までさすがに気付かなかった。 ただ、オチが重要であり、このネタについてはあまり深く考えなくてもよいだろう。 どうやって銃撃に対応しているのかなどを考えても意味はない。 アクションにも多少見応えはあり、老夫婦の家を舞台とした銃撃戦はかなり見応えがある。 どうやって撮影しているのかと考えながら見ると、より面白みを感じるのではないか。 あのカメラワークを実行するにはかなり無理があると思うのだが、いったいどうなっているのだろうか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-06-23 23:34:49)(良:1票)
45.  アイアンマン2 《ネタバレ》 
中弛みを感じてしまい、正直言ってあまり楽しむことができなかった。「スパイダーマン3」同様にキャラクターの増加や、ストーリーの詰め込みすぎによって、バランスを失しており、全体的に流れが悪い。色々なものを適当に繋ぎ合わしたという印象。大金が掛かったアクション作品なのでそれなりに楽しめるものの、1本の映画の作りとしては、デキはそれほど高くはないと思う。アメコミ原作のアクション作品なのだから、もっと単純で、もっと爽快感があり、もっとド派手の仕上がりでもよいのではないか。 「1」のラストでのフューリーの登場は驚いたが、今回は「アベンジャーズ」のネタが多すぎてややウンザリ。これでは「アベンジャーズ」の前日譚や予告編のような仕上がりだ。次回へのお楽しみを醸し出す程度でよいと思う。 ストーリーとしては、ヒーローモノに付き物の“苦悩”を描くことは必要かもしれないが、“病気”というテーマは受け止めるのはなかなかやっかいだ。もっとヒーローらしい“苦悩”の方が観客は受け止めやすいように思える。もし“病気”を扱うのならば、もっとシリアスに描いてもよかったかもしれない。自暴自棄になっているのは分かるが、ピンチに深く陥っていると感じさせない作りとなっている。『どうせ訳の分からない治療法を見つけて直すのだろう』という展開はこの手の作品では仕方がないと承知しているが、“新たな元素”など『訳が分からない』を通り越している。 さらに“父親との関係”なども放り込んでおり、一つ一つのことを満足させていない。 ミッキー・ロークはさすがの存在感や迫力を醸し出していたが、キャラクターとしてはただ出てきただけの存在。サム・ロックウェルも煩わしいザコキャラを忠実に演じていたが、こちらも出てきただけの存在。グウィネスもチードルもジャクソンもヨハンソンも同じような印象だ。 「1」は起承転結の“起”という役割を担ったが、「2」はシリーズとしての意味をあまりなさないような気がする。ペッパーとの恋愛関係や、ローズ中佐との友情関係にもう少し絞り込んだ方が引き締まったのではないか。タッグを組むローズ中佐との関係が、今回は特に重要ではないか。訳が分からないうちにスーツを着て戦い始めて、何故かスーツを持っていかれたという印象しか残らなかった。
[映画館(字幕)] 5点(2010-06-19 11:27:31)
46.  告白(2010) 《ネタバレ》 
本屋大賞を受賞した原作は未読。本作について“語る”のは非常に難しい作品である。「とりあえず観てみろ」という言葉しか出てこない作品だ。 観る者によって感想はマチマチだろう。「人間の命の重さを説いたヒューマンドラマ」と捉えることもできる、「ガキたちに復讐する爽快なエンターテイメント作品」と捉えることもできる。解釈度が“自由”であり、観る人それぞれの心に何かを刻み付けた中島哲也監督の自在な手腕が発揮された傑作といえる。 「人間の命は脆くて軽いが非常に重いもの」「人を殺す際には、その人を愛する誰かがいることを考えてみろ」ということを教えるための森口先生による授業だったのではないかと感じたが、『なんてね』という言葉一つで引っくり返している。 結局「ガキたちと同類ではないか」とも感じてしまう一言だ。 確かに大人だろうが、子どもだろうが、人間である以上、変わりはないのかもしれない。クラスメートでも恋人でも母親でも誰かに自分を認めて欲しいという衝動、暇つぶしに誰かを傷つけたくなる衝動、復讐なんてしたくないけど復讐せざるを得ないという衝動、そういう短絡的で自己中心的な感情に支配され、人間は愚かな行動を走ってしまうものかもしれない。人間はバカで単純で弱くて脆いもの、悲しいけどそれが人間ということをも感じさせてくれる。人間というものの本質を感じさせてくれる点を評価したい。しかし、松たか子が泣くシーンを描くことで、罪の意識を感じ、人の心の痛みを知らないガキとは根本的に違うということだけは分かるようになっている。それでも溢れる感情を止めることはできないのだろう。 「パコと~」の際には、各キャラクターに感情移入できない点が気に入らなかった。本作も同様に感情移入することはできないが、感情移入できないことにより、本作には面白い効果を生んでいると思う。得たいの知れないという不気味な恐怖を感じるとともに、客観的な傍観者としてこの復讐劇をエンターテイメント感覚で楽しむことができる。中島監督が計算したかどうかは分からないが、非常に巧妙な仕掛けとなっている。 本作は問題作ではあるが、“人間の命の重さ”を真正面から捉えるよりも、本作のような切り口で語った方が反面教師的な役割を担えると思われる。R15指定作品だが、逆に子どもたちに見せてもよいのではないか。“何か”を感じ取ってくれることへの期待や希望はあるはずだ。
[映画館(邦画)] 9点(2010-06-07 22:52:29)(良:1票)
47.  グリーン・ゾーン 《ネタバレ》 
好きな人にはたまらない作品かもしれないが、個人的には全く合わなかったと正直に白状したい。あまりに合わなすぎて、完全に飽きてしまった。ブレるカメラ、早すぎてよく分からない映像、ムダに多いセリフに辟易して、「もう好きにやってよ」と集中力を切れた状態で鑑賞していたので、評価は低くせざるを得ない。一方では、臨場感があり、迫力があり、リアルな世界が繰り広げられており、興奮できる映像ともジャッジできるが、他方では、暗い画面の中で人影がうごめいているだけの訳の分からない映像ともいえる。自分には完全に後者でしかなく、見る者を選ぶ映画といえるか。ここまで合わないとは思わなかったが、エンターテイメント性の有無がポイントなのだろうか。本作は非常に政治的なメッセージが強い作品でもある。「大量破壊兵器はどこにあるのか」ということは、当時にはかなり話題となり、問題となったテーマであることを記憶している。製作当時にはまだ良かったのかもしれないが、今となってそれを論じても大した意味はないのではないか。「大量破壊兵器は実は存在しなかった」という事実を明らかにしたくらいでは、いまさら誰も驚かないだろう。たとえ、大量破壊兵器が見つかったからといって、イラク戦争が完全に正当化されるわけでもない。もっとも、本作においても「大量破壊兵器はどこにあるのか」ということ自体は大きな論点にはなっていないような気がした。本作においては、捏造された資料に基づいて戦争に踏み切り、その戦争によって多くの者が苦しめられたという事実、本来役割を果たさなくてはならないマスコミによって、情報操作されたという事実をポイントにしていると思う。また、「戦争後の統治の在り方」についても一石を投じている。 アメリカ人ではなくて、イラク人によってイラクのことを決定しなくてはいけなかったということは素晴らしいまとめ方だとは思う。イラク問題がここまでコジれている要因の一端を教えてくれている。ジャーナリスト出身であるグリーングラス監督が、今なお問題になっていることについて、非常にマジメかつ真剣に取り組んでいる姿勢は評価したいが、スター俳優によるアクション・サスペンスを堪能したいという欲求にはマッチしていないと言わざるを得ない。政治的な作品とエンターテイメント性ある作品との両立は難しいが、自分にはどっちつかずで、意義を見出せない映画としか思えなかった。
[映画館(字幕)] 4点(2010-05-17 22:37:17)(良:2票)
48.  劇場版TRICK トリック 霊能力者バトルロイヤル 《ネタバレ》 
「TRICK」についてはコアなファンではないが、一通りには鑑賞しているというレベル。しかし、基本的にはあまり覚えていない(菅井きんの記憶もない)。 「どうせくだらない、どうしようもない仕上がりなんだろう」と期待値がマイナス状態から入っているためか、意外と普通に見られる作品に仕上がっていることにやや驚き。 松平健も含めて出演者たちが楽しそうにノリ良く演じているので、こちらもそれなりに楽しめる。 悲劇あり、笑いあり(爆笑できるものではないが、ニヤリとできるものがいくつか)、お約束あり、小ネタあり、自虐ネタありと、色々なものをとりあえず適当にゴチャゴチャに混ぜて、味はともかくとして観客をお腹いっぱいにすれば文句は言われないだろうという魂胆からか、それなりに色々なものを堪能できる。 基本的には“細かいことは気にするな”ということが本作の見方であろう。本格ミステリーではないので、二重底などのトリックやストーリー自体のレベルは高くはないが、本シリーズをいままで楽しんでいる者には楽しめるレベルにはなっていると思われる。 「火をもって火を制す」ネタは面白いが、あれで本当に抜け出せるものなのだろうかという疑問もあるものの、気にしないでおこう。 夏帆の○○ネタについては、「TRICK」本編でも使われていたと思われるネタか。 トリックの謎が解決不能な状態に陥って、マジメな顔をして「オマエ実は○○だろう」と仲間由紀恵が言って、「おいおい、そんな訳ないだろう」と阿部が呆れ気味に突っ込んで、犯人が「よく分かったな」とマジメな顔をしてあっさりと自白するという使い方が本来の正しい使い方だとは思うが、本作のような使い方はやや後味が悪くセンスの良くない使い方にも思える。こういう不必要に悲しいストーリーを混ぜてくるのが、TRICKらしいといえば、TRICKらしいところ。 矢部刑事の放置については、前作の劇場版からの流れだろうか。仲間、阿部との絡みが1シーンだけかよとツッコミを入れるためだけの豪華な使用方法であり、これは意外と悪くない(ラストのオチは子ども騙しだけど)。 ラストもいつも通り二人のどうしようもない会話で終わり、二人の関係が何も発展することがないところもTRICKらしいところ。続編はあるかは分からないが、いつまでもこのペースで続いていくのだろうなと感じさせてくれる安心のエピローグ。
[映画館(邦画)] 6点(2010-05-10 21:16:39)
49.  タイタンの戦い(2010) 《ネタバレ》 
3D版を鑑賞。しかし持病もあり、3D映像を見ていると気持ちが悪くなり、耐えられなくなる。映画鑑賞を諦めて、ふて寝でもしようとメガネを外した途端に気持ち悪さがなくなったため、メガネなしで鑑賞してみた。もともと2D作品を強引に3D化したということもあるのかもしれないが、メガネなしでも鑑賞には意外と困らないというのは新たな発見。字幕は二重になっているが、セリフが少ないこともあり、それほど影響がなかった。しかし、3D設備が充実していそうな新宿ピカデリーでわざわざ鑑賞したにも関わらず、この状態に陥るようでは3D映画を見るのはしばらく遠慮せざるを得ないようだ。 単純なファンタジーアクションは好みということもあり、メガネなしで鑑賞しても意外と楽しめた。予定調和気味に進み、ハプニングがなくワクワク感やドキドキ感がないばかりか、深みも全くない作品だが、それなりにアクションを堪能でき、冒険に出たような気分にはさせてくれる。 神ではなくて人間であり続けたいという願うペルセウスは結構なことだが、逆にストーリーの面白みが削がれたという気もする。オリジナル版のようにゼウスから贈られる不可思議なアイテムを効果的に利用して、次々と現れる強力なモンスターと対決するという面白みがなくなった。一度も見たことはないアニメだが、『聖闘士星矢』からインスピレーションを得たと監督が語っているようなので、アイテムや必殺技や仲間やライバルなどを充実させて欲しかったところだ。カリボス辺りをもうちょっと歯ごたえのあるライバルとして描けば、もっと盛り上がったのではないか。 ラストのゼウスからの贈り物を活かすためにも、もうちょっとラブストーリー面も強化したいところ。一応『魔女の予言』がキーワードにあるのだから、予言どおりペルセウスが殺されそうになるところを彼女が身を挺して庇うくらいのシーンがあってもよい。 ずっと見守ってきたらしいので、役割を全うさせてあげたい。 また、ポセイドンやヘラなどの神々の登場や彼らの会話がなかった点もやや物足りないところだ。ペルセウスの冒険ばかり一本調子に描いていても飽きるので、画面を変えて、観客を飽きさせないようにしてもよかったか。自ら火傷を負った訳の分からない信奉者のような奴を要所で描いても、あまり効果があるとは思えない。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-04 14:40:10)
50.  ウルフマン(2010) 《ネタバレ》 
一言でいうともったいない映画。題材や雰囲気は良く、キャスティング、メイクアップ、音楽は一流を揃えているのに、上手く活かし切れていない。名前は耳にするメイクアップの達人リック・ベイカーによる変身シーンだけは評価できるが、あのシーンも完全に活かし切れているかといえば疑問も残る。一部はもちろんCGだろうが、CGではないメリットを活かしたいのに、CGっぽい仕上がりになっているような気がする。本物の手作業のレベルの高さをアピールして、昨今のCG映画とは違うということを示して、本作を何故今リメイクするのかという理由を浮き彫りにできないものか。 結局、スピードと音で誤魔化すという“逃げ”に打って出るしかなかったようだ。 ストーリーは盛り上がりに欠け、全体的に“深み”が欠ける点が問題だろうか。ホラー映画とはいえ、やはりキャラクターの内面が充実しないといけない。本作の展開ならば、『父と息子の関係』と『主人公とヒロインの関係』に重厚さを加えないと映画に“深み”が増さないだろう。 『父と息子の関係』については父親の歪んだ愛情のようなものが描かれてしかるべきではないか。母親を殺してしまった負い目、息子を殺したくない想い、自分のような存在になって欲しくないという気持ちとともに、自分のような存在になって欲しいという複雑な感情などを入れ込むことが可能だったはずだ。息子を愛していたのか、憎んでいたのかすら、自分にはよく分からなかった。 『主人公とヒロインの関係』については、この二人の関係がある程度深みが増すような仕上がりが望ましい。ラスト付近の展開もいったい何をしたかったのか不明すぎる。助けたいのか、襲われたいのか、何がしたかったのだろうか。ジプシー女に呪いについて聞きにいったが、あまり意味はなかったような気がするので、呪いを解く方法でも彼女から聞きだして、ストーリーを膨らましてもよかったのではないか。呪いを解こうとする想いと襲われるかもしれないという恐怖が入り混じった複雑な感情を込めて欲しかった。獣の中に潜んでいるはずの人間性を信じたいが、信じきれずに撃ち殺すものの、人間の感情が残っていた狼男は彼女を襲うつもりはなかったというようなベタな“悲劇”のような仕上がりでもよかったのではないか。『人間と獣との境界』のようなセリフが多用されていたが、そのようなテーマに沿った仕上がりにはなっていないだろう。
[映画館(字幕)] 4点(2010-05-03 12:29:14)(良:1票)
51.  アリス・イン・ワンダーランド 《ネタバレ》 
「カールじいさんの空飛ぶ家」を観たときと同じような感想を抱く。映画自体はそれほどつまらなくはないが、物足りなさや味気なさを覚えてしまう仕上がりとなっている。 小さなお子さまから年配層までを楽しませることを使命とするディズニー作品としては、一般受けするように“ノーマルな仕上がり”を目指してしまうことは仕方のないことかもしれないが、スパイスの効いていない甘口のカレーライスみたいな作品であり、食しても満腹感が得られない。 それにしても、不可思議な世界にいるはずなのに、何もかも“普通”という印象を抱いてしまわざるを得ないのは何かが足りないはずだ。3D映画なので“映像”を重視すること自体は間違っていないが、キャラクターの“内面”を描けないと、せっかくの“映像”も活きてこないのではないか。 本作は、アリスが本物のアリスになるための冒険なので、やはりアリスの成長を感じさせるような作品にして欲しかったところだ。思いがけず求婚されて、周囲の期待に応えるべきか、それとも自分の夢や生き方を追うべきかを悩むものではないか。そのような葛藤がストーリーに反映されていないと思われる。 個人的に気に入らないところは、周囲の期待に応えて貴族との結婚という決められた道を歩まずに、父親が果たせなかった夢や自分の生き様を追うという決断をするということが本作の落としどころであるにも関わらず、予言書のようなものの通り、周囲に期待され決められた道を歩んでいるところだ。予言書というアイテムを活かすためには、それとは異なる方向に突っ走ることによってストーリーが豊かになるものではないか。 子ども達へのメッセージとしても、誰かによって決められて、誰かによって敷かれたレールの上を進むような生き方をして、自分の可能性を潰すのではなくて、自分の可能性を信じて、自分自身で道を切り開くような“夢”のある展開に持っていきたかったところだ。さらに、現実はツネれば覚めるような夢やリセット可能な仮想空間ではなくて、過酷なものでもあるというスパイスも必要だろう。また、本作は冒険心をくすぐられるわけでもなく、仲間を思う気持ちや自身の勇気が試されているわけでもない。やはり、残念ながら評価したい部分があまり見当たらない作品だ。 個性的なキャラクターが多数登場するものの、個性が全く感じられないことも致命的だ。カーターだけが孤軍奮闘というところか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-04-19 21:55:40)(良:4票)
52.  シャッター アイランド 《ネタバレ》 
鑑賞前に一切の情報をシャットダウンして臨んだが、本作の設定を踏まえると、ある程度イメージは固めていた。多くの人が同じようなイメージを抱いていたとは思うが、本作はそのイメージを超えることはなく、自分のイメージが当たっているかを確認する作業でしかなかった。いい緊張感と集中力を保てたので、飽きることはないものの、謎解きや秘密や深いオチを期待させ過ぎて大きく風呂敷を広げすぎてしまったようだ。配給サイドとしては当然の宣伝手法であり、その手法により、興行収入的にはアタリそうだが、評価の面では期待感が強すぎてハズレとならざるを得ない。 しかし、謎解きがメインではないにしても、物足りなさを覚える作品でもある。スコセッシが本作に何を込めようとしたのかが十分伝わってこなかった。ディカプリオが演じた男の生き様のようなものが見えてこない。苦しい過去の記憶を消して、精神を病まざるを得なかった男の悲しさのようなものが伝わってこないので、ゴーストとして生きるよりも善人として死にたいというセリフも活きていないような気がする。「マルホランド・ドライブ」のような深みのある仕上がりになれば、評価も恐らく高まっただろう。  “現実”と“妄想”とのリンクが甘すぎる気がする。亡き妻の亡霊や子どもの姿を悪夢や幻覚というカタチでストレートな手法で描くのではなくて、もっと凝った手法をヒネって欲しかった。また、基本的に放置プレイの病院サイドのやり方も甘すぎた。ディカプリオに“失踪捜査”を行わせることにより、ディカプリオの頭の中に隠された“現実”が浮かび上がるような“誘導”が構築されていない。これでは“治療”とは呼べないだろう。 本作で良かったのは、美しい映像だけだ。亡き妻を抱き締める際に、火と水と血が混ざり合った不可思議な映像や、孤島の建造物の凝った作りには見所があったが、それ以外で評価したい部分はあまりなかった気がする。 謎解きをメインにするのであれば、ただの精神を病んだ男のストーリーではなくて、病院の“秘密”を探ろうとする精神が真っ当な刑事に対して、精神を病んだ男という記憶を産み付けるために関係者がグルになって一芝居をうったという解釈ができる余地でも残してもよかった気もする。人間を精神崩壊に追い込み、自分の記憶の曖昧さ、自分が誰であるかという確信を揺るがすようなオチもアリではないか。
[映画館(字幕)] 5点(2010-04-12 22:18:28)(良:1票)
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