41. アヒルと鴨のコインロッカー
原作未読で大正解。ややテンポの悪い序盤だが、主人公のキャラがそうなのだからと納得して気長に構えて観ていたら、淡々とした描写なのに話はどんどん怪しい方向へ。後半はどっぷり作品世界に引き込まれ、急展開にもどこか哀しい予感があったような切ない納得感があり、この痛キモチよさは癖になる。今作品での瑛太の演技は素晴らしい。鈍臭い田舎者が本人の地道な努力で男前になるという人物像はちょっと「篤姫」の小松帯刀にも通じるものがあったが、帯刀以上に俳優としての力を感じられた。濱田岳はこの映画で初めて認識したが、若い頃のマーティン・ショートのようなあまりの不器用さに激イライラさせられるんだけど憎めない、という役にはまる俳優として今後の活躍が楽しみ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-05-14 22:51:13)(良:1票) |
42. ブラック・スネーク・モーン
《ネタバレ》 一歩間違えば猟奇変態もののシチュエーションなのに、激シブな演出でしっかり骨のあるドラマとして成り立ってるのが面白かった。これまであまり聴いてなかったブルースも、映画という料理の味付けとなってその魅力がじんわりと伝わってきた。画としてはラザラスとレイの身体を張った人間綱引きのシーンが最高。変に甘ったるいエンディングにしなかったのも正解だと思う。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-14 21:46:44) |
43. やわらかい手
《ネタバレ》 やわらかい手、って最初は主人公の孫の手のことだと思ってた(笑)。老境に入ってなお、土壇場で自分の奇跡の一芸を見いだせるなんて人生は面白い。こんな「芸は身を助ける」はフィクションでしかありえないからこそ、映画を観る楽しみをしみじみ感じた。やむにやまれず孫の為に自尊心を犠牲にした主人公が、結果的に女の強さと自信を取り戻し、最後には自分の為に生きる道を選ぶのが清々しい。終始重くて暗い画なのに思いがけず後味の良い作品だった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-14 09:46:51) |
44. セックス・アンド・ザ・シティ
ドラマ未見で特に登場人物に思い入れ無く観た者としては、序盤ではあからさまに物欲至上主義で生きる女性達に今ひとつ共感できず、「アメリカ人のイヤなところ満載だ・・」と思いつつ、純粋にキャスト達の着せ替えショーを楽しむつもりで観ていた。が、この短い時間でもだんだんとそんな彼女達の憎めない面に情がわき、引き込まれて最後は泣き笑い。見始めと鑑賞後でこんなに評価が変わる映画も珍しい。これから改めてドラマを見ようかなという気になった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-14 09:25:41) |
45. 魔法にかけられて
ミュージカルシーンはディズニーの王道を行く感じで素晴らしかった。全体的に夢と魔法の王国テイスト100%で、アホになって楽しむが良いという映画。追っかけてきた悪い女王の小林幸子な登場の仕方に大爆笑。ラストの安直なカップリング交換もお子様映画だから大目に見ましょう。ただ、王子様もお姫様も日本人の目から見ると若干老け気味に見えて残念。TDRのパレードで、憧れのキャストを間近で見たらシワシワでがっかり、の気分です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-04 13:38:33) |
46. シッコ
アメリカかぶれのティーンエイジャーに見せたい映画。 政府の方向性では間違いなくアメリカを追随していると思われる日本にあって、ここで描かれている悲惨な医療問題は決して他人事ではないと思う。ただ、日本にはアメリカ社会の根底にある狂信的なまでの社会主義アレルギーがなく、むしろそういったイデオロギーを何ら持たずに生活する人が大半であるから、船頭次第でどっちに転ぶか分からない。例えばこの映画で描かれているような他国の現状に関心を持ち、さらに自国の現状を顧みる人が増えれば、同じ轍を踏まない道を選べるはずだと思いたい。 それにしてもアメリカ人の肥満率はひどいものだ。一目瞭然の自分たちの無秩序な生活習慣を棚に上げ、平然と体制を糾弾する身勝手さもまた、この国らしい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-04 12:11:32) |
47. 秒速5センチメートル
分かっていてもPVとしての効果絶大。いわゆる草食系男子がお好きな方はどっぷりはまれるでしょう。断じて私の好みではないが、案外この主人公のような男子が今の日本には多いのではないでしょうか。逆に、ヒロインのような女子はほぼ絶滅傾向にあるかと・・。つまり、今時の若い日本人男性の妄想を極めた作品として完成度が高いと思います。 自分は女子のアニメ声が苦手なのでそこだけは引きましたが、映像の美しさで癒されました。日本のアニメ職人は良い仕事しますね~。外人の友達に「日本のアニメのすごさが分かる作品は?」と聞かれたら自信を持っておすすめしたい1本です。内容は理解されないかもしれないけど。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-04-16 15:12:48)(良:1票) |
48. ぜんぶ、フィデルのせい
親の思想に振り回される子供の境遇にありながら、流されることなく自分で考え自分で道を決めるアンナの姿が凛々しい。それにしてもアンナとフランソワの子供服が素敵。絵本「マドレーヌちゃん」の世界そのもののような学校シーンも、ブルジョワ生活が終わった後の普段着も可愛すぎ。往年のオリーブ少女はクラクラしました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-04-16 14:19:51) |
49. この道は母へとつづく
《ネタバレ》 PG12指定だったので構えて観ていたがさほど強烈なシーンはなく、むしろ主人公の孤児が旅の途中で出会う見知らぬ大人の優しさに心温まる描写が多く、小学生ぐらいなら親子で観るのもアリかと。陳腐な演出をせずにまとめたラストが良い。地味だが良作。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-03-18 02:19:29) |
50. 転々
《ネタバレ》 東京人にはロケ地のそれぞれに自分なりの思い出もあったりするので、このゆるいストーリー展開の合間にふと遠い目になったりして、一粒で2度おいしい映画(笑)。お堀端を歩くと目と鼻の先に警視庁があることを知っている者にとっては、そこを歩く二人の姿に「あ~あ、ついにここまで来ちゃったのか」という別れの予感を切なく感じとれるわけだが、知らない人には最後の別れがやたら唐突に思えたのではないかと思う。イケメン役をさせると妙にダサいのに、こういう役をすると俄然良い味出してくるオダギリジョーの不思議。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-03-13 13:05:01)(良:1票) |
51. パフューム/ある人殺しの物語
《ネタバレ》 まあ確かにグロい表現が多いので万人には勧められないが、予想外に面白い話だった。臭い・匂いを映像で表現する演出が秀逸。人生の目的が自分の天分を全うすることだとしたら、主人公はその僥倖を得た勝者とも言える。罪悪感なんて全く感じることなく、動物が本能のまま獲物を狩るように、目的のために淡々と人を殺していくグルヌイユ。ナレーションがまた妙に淡々としているのが主人公に欠けた人間性を象徴しているようで面白かった。たぶん、罪悪感や倫理観以前に、突き抜けた天才には本人にしか分からない至上命題のようなものがあって、それに気が付いた瞬間からもうその宿命から逃れようがないのかも知れない。つまり、いい年こいて自分探しだの生きがいだのウダウダと優柔不断なことを言っていられるのは凡人の証拠(笑) [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-07-25 22:13:28)(良:1票) |
52. フライトプラン
サスペンスにしてはあまりに雑な作りでツッコミどころ満載。まるで自分のプロモーションビデオみたいな薄っぺらい作品に何故フォスターが出演をOKしたのか疑問に思ったが、マンフロントさんのレビューを読んで納得。モンスターペアレントの暴走になぞらえて米国のお家芸「我こそは正義」の滑稽さと危うさを表現しているのだとしたら、フォスター演じる主人公の誇張された「強い母」像にもうなづける。レビューを読んでいて、自分の正義を全うする為ならどれだけ他人を侮辱し恐怖に陥れようともお咎め無しの主人公に疑問を感じる人がこれだけいるということに、日本人としてちょっとホッとした。あえて駄作を作った制作陣の真意を信じて8点献上。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-07-21 13:33:59) |
53. 下妻物語
面白かった!キャスティングが良く、二人とも良い感じにイッちゃってる感が出せてました。アンナの歯切れの良さに深キョンが大根に見えてしまいがちですが、桃子はコミュニケーション能力に難アリのオタクなキャラなのでこれで大正解だと思います。イチゴが失恋して泣くシーンはドキッとするほど可愛くてもらい泣きしそうになりました。世界に誇る「OTAKU」文化を輸出しつつダサダサな田舎者根性が抜けきらない、現代日本のアンバランスさをうまいこと映像化してます。キュートな快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2005-09-18 01:14:44) |
54. ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
《ネタバレ》 グラムロック時代のD・ボウイが好きだった自分には、世界観もセンスも音楽もツボをついている感じで、予想以上に分かりやすい展開の映画だった。愛のためにモンスターとなった自分と葛藤しながら生きる苦悩、それでも結局は愛に救いを見いだし、ありのままの自分を受け入れて生きる純粋なヘドウィグは美しい人間だと思う。一見安っぽいドタバタな演出でも伝えているメッセージはとても深い。歌も素晴らしいです。それにしても、ここのレビューを見るとホモやオカマは生理的に受け入れられないと言う人が多くて残念。異文化を通して世界を見れば思いがけないところで目からウロコが落ちることもあるのに、自らその機会を放棄しているようなもんです。もったいない。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-04 04:18:01) |
55. 歓楽通り
《ネタバレ》 女とは、なんと身勝手で逞しく、なんと優しい生き物か。マリオンがプチ・ルイに言った「最初だけ力を貸して。幸せになりたいの。」このセリフに二人の関係が凝縮されている。プチ・ルイには全て分かっていたんだろうと思う。この映画に出てくる娼婦達には大人の女の包容力があふれていて、優しい気持ちになれた。マリオンとディミトリの愛の生活が長続きするとは思えないので、マリオンを幸せの絶頂に導いたことにプチ・ルイが満足感を覚えている時に彼女があっけなく逝くというのが、結果的に残されたプチ・ルイを救ったのではないか。9点でもいいぐらいだがレティシア・カスタがファム・ファタールとして今ひとつ魅力に欠けるのでー1点。あの歌で大喝采はないでしょう・・ 8点(2004-10-15 14:01:20) |
56. ニューヨークの恋人(2001)
悪者が出てこないラブコメはストレスなく観られるので疲れているときに最適。白馬の王子様を地でいくレオポルドのキャラクターには何度か爆笑させられた。品のあるジャックマンは侯爵役にぴったりだったけど、乗馬できないのがバレバレでちょっとがっかり(^^;) キャリアファッションに身を包んでもやっぱりメグはかわいい。なにげにチャーリーとレオポルドのからみに味があってよかった。可愛い弟だ! 8点(2004-10-09 14:20:30) |
57. 抱擁(2002)
地味ながらストーリーも映像も音楽も美しく後味もとてもよい良作。G・パルトロウは芸術家の血を引くインテリ女性の役にぴったりだが、相手のA・エッカートはちょっと若すぎ明るすぎ?でもそのやんちゃなところがなければこの話は成立しなかったわけでこれでいいのか。最後の「誰も知らない」エピソードも◎。 8点(2004-10-09 12:08:14)(良:1票) |
58. モンテ・クリスト伯(2002)
原作を読まずにオリジナル脚本のエンターテイメントとして観る分には充分面白い作品だと思う。いつも思うがカヴィーゼルのきれいな瞳は虐げられる純朴な男にはまる。この映画を観て面白かった人はぜひ原作も読んでみて欲しい。超長編ですが飽きずに読める傑作ですよ。 8点(2004-10-09 10:17:03) |
59. かずら
《ネタバレ》 あまり期待せずにみたものの、面白かった。まあオチは最初から分かっていたハッピーエンドではあるが、小ネタが結構楽しかったのでよしとする。とはいえ、この映画を薄毛に悩む男性に勧めるか否かは相手のキャラを見極めたほうが良さそう。 [DVD(吹替)] 7点(2016-03-28 00:56:36) |
60. 空中庭園
一見、家族で観られるファミリードラマのようでありながら、のっけから観る者をわけもなく不安にさせる薄ら寒さの演出が秀逸。家庭という平和の象徴のような場の危うさがうまく描かれていて面白かった。この作品時点で既に、キョンキョンと永作は、主役をはれる現役女優としてかなり長寿でいられそうな絶妙なポジションを得ているのがよく分かる。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-12-07 10:42:31) |