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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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581.  皇帝のいない八月 《ネタバレ》 
自衛隊のクーデター事件を描いた松竹の大作映画。あまり馴染みのない山本薩夫監督の作品だが、政治ドラマとしても見ごたえがあり、ただのパニック映画とはなっていない。しかし、背景がやや分かりづらく、政治ドラマが面白く描かれている一方で、乗っ取られたさくら号の緊迫感などはあまりうまく描けていないと思った。また渡瀬恒彦、吉永小百合、山本圭の三角関係は列車内でのドラマとしてやりたいのは分かるのだが、どうも場違いな印象があり、このテーマだけで一本別の映画を作ったほうがいいのではないかと思ってしまった。(余談だが、「新幹線大爆破」では犯人側だった山本圭がこの映画では乗客役というのがなんともいえないなあ。)それよりもほかの乗客たちの人間模様を中心にドラマを作っていったほうがよかったのではと思う。それでも三國連太郎が鈴木瑞穂を拷問するシーンや滝沢修演じる総理大臣と佐分利信演じる黒幕との関係などは実際にありそうだなあと思わせていて妙にリアルに感じた。そうそう、さくら号の乗客として出演している渥美清(旅の途中の寅さんを見てるみたいだ。)と岡田嘉子のやりとりはなんだか見ていて和む。そういえばこの映画、「男はつらいよ」シリーズのマドンナ役やゲストで出た人も何人か出てる。太地喜和子と岡田嘉子が出ているので、もし宇野重吉も出てたら「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」が見たくなってしまう。
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-14 11:59:07)
582.  拝啓天皇陛下様 《ネタバレ》 
渥美清演じるヤマショウこと山田正助の物語を戦友・棟田(長門裕之)の視点から描いているが、軍隊というと普通は「人間の条件」でも描かれたような地獄のような日々を誰もが想像すると思うのにこのヤマショウという男は、三度の飯が食えて風呂にも入らせてもらえる天国のようなところだという。これだけで今まで相当につらい人生を送ってきたということが想像できるし、天皇陛下を一目見て親しみを感じ、いざ除隊というときになって覚えたての字で「ハイケイテンノウヘイカサマ」と天皇に軍隊に残してもらえるように手紙を書くシーンなどは思わずヤマショウに感情移入して泣けてくるし、棟田との友情も実によく、ヤマショウにとっても棟田にとってもお互いがかけがえのない存在であるというのが見ていてよく分かるし、とくにヤマショウにとって棟田という存在がどれだけ大きいかというのが見ていてものすごく伝わってくる。この二人の友情がきちんと描かれているからこそ、深みがあるものになっているし、名作と呼ばれるに相応しい映画になったのではないかと思う。渥美清の演技は寅さんとはまた違った魅力を発揮しており、渥美清という俳優が寅さんだけの役者ではないことを改めて感じられたし、まだ渥美清の「男はつらいよ」シリーズ以外の主演作を見るのが三本目だが、これは渥美清の「男はつらいよ」シリーズ以外でのいちばんのハマリ役だと思うし、「男はつらいよ」シリーズ以外での渥美清の代表作というのも異議など全くない。西村晃や加藤嘉といった面々も素晴らしかった。戦争を扱っているが、野村芳太郎監督はそれを前面に押し出すことなく、ヤマショウという一人の純朴で心優しい孤独な男を通して人間というものを見事に描ききっている。間違いなく日本映画の歴史に残る名作だ。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-08-13 16:12:22)(良:1票)
583.  鑓の権三 《ネタバレ》 
篠田正浩監督の近松ものというと「心中天網島」が思い浮かぶが、斬新な演出を駆使していたあちらに比べ、かなりオーソドックスな作りで分かりやすい映画になっている。「心中天網島」が個人的にいまいちだったのであまり期待をしていなかったのだが、安心して見ていられた。宮川一夫の撮影や、美術協力としてクレジットされている西岡善信(美術は粟津潔)の仕事が素晴らしく、映像は美しいし、おさゐ(岩下志麻)の縁側でのシーンや、障子を背にした影だけで描かれるおさゐと権三(郷ひろみ)のやりとりが印象的。ただ「槍の権三」というタイトルのわりには権三の槍の名手というすごさがイマイチ伝わって来ない。郷ひろみはこういう映画の主役を演じるにはどうかと思っていたが、けっこう頑張っていると思う。同じ年に公開される「極道の妻たち」の姐さん役があたり役となる岩下志麻のほうはさすがに演技は安定しているが、既に貫ろくがついてしまっており、既に極妻のイメージにかなり近づいてしまっている。だから、成り行きとはいえ、郷ひろみのような男と駆け落ちするような女にはとてもではないが見えない。はっきり言ってこの役、岩下志麻にふるならもう少し彼女が若い頃にやっていたほうが良かったのではと少し思ってしまうのだが。
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-09 23:22:19)
584.  エノケンのちゃっきり金太 《ネタバレ》 
エノケンこと榎本健一は戦後の映画で何本か見ている程度で、人気のあった頃の戦前の主演映画を見るのはこれが初めて。喜劇映画としてはトーキーではあるが、サイレント喜劇のようなつくりで、エノケンの追手から逃げるために走るシーンなどはまさにアメリカのサイレント喜劇ののりだし、中村是好とのやりとりも笑える。しかし、総集編であるからか話の流れがイマイチ分かりにくく、いちばん盛り上がるはずのクライマックスも本当は最後の見せ場だろうにかなり手っ取り早く終わってしまい、なんだかなあという印象。それでも戦前のエノケンの喜劇俳優としてのすごさはこれ一本見ただけで伝わってくるし、チャップリンやキートンにも引けをとらない存在だと感じることができた。これだけでもこの映画を見た価値はじゅうぶんにあると思う。横山隆一の描いた登場人物のイラストとエノケンの解説とともに出演者がクレジットされるという演出がなんともユニーク。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-08-08 01:27:12)
585.  みな殺しの霊歌 《ネタバレ》 
東映で活躍していた加藤泰監督が松竹でてがけたサスペンス。主演が東宝の佐藤允で演じるのが連続殺人犯というのもあまり松竹っぽくないが、実際、殺人事件のシーンではかなりショッキングに描かれており、モノクロ画面も手伝ってリアルに感じる。ただ、五人の女たちを次々と殺していく男の動機がラストに明かされるが、陰惨な連続殺人事件の動機としてはちょっと弱さを感じる部分もある、しかし、それ以上に見ごたえがあるのが、互いに過去に人を殺めたことがある男女、佐藤允演じる主人公・川島と彼が偶然立ち寄った食堂で働いていた倍賞千恵子演じる春子の重々しいドラマだ。この二人の哀しみがとてもよく描けていて加藤監督がこの映画で描きたかったものは連続殺人事件の凄惨さではなく、やはりこの二人の人間ドラマだったのではないか。ただ、90分の間に少し詰め込みすぎたような印象もあり、そこはちょっと残念。倍賞千恵子は「霧の旗」でもさくらとイメージの全く異なる悪女役を演じていて幅の広さを感じたが、本作でも哀しい過去を持つヒロインを演じていて、この映画の翌年に始まる「男はつらいよ」シリーズで世間一般にさくらのイメージが浸透してしまったのはもったいなかったのではないかと感じる。しかし、やはりさくらのイメージが強いからか今になって見るとヤクザな実の兄を殺して現在執行猶予中という設定に違和感を感じるのも事実だ。暗く重い映画だが、山田洋次監督が構成で参加しているためかどうかはわからないが、のちに「男はつらいよ」シリーズのレギュラーとなる面々も何人か登場しており、痔もちの年輩刑事を演じる松村達雄もくすっとくるが、クリーニング屋のおやじを演じる太宰久雄はどこから見てもタコ社長にしか見えず登場するだけで笑える。
[DVD(邦画)] 7点(2012-08-02 19:07:53)(良:1票)
586.  上海バンスキング(1984) 《ネタバレ》 
深作欣二監督が「蒲田行進曲」に続いて舞台劇を映画化した作品で、主演も「蒲田行進曲」の三人を起用して第二の「蒲田行進曲」を目指しているのは明らかだが、明るく始まった序盤と打って変わって中盤で戦争が始まって以降は雰囲気が暗く重くなり、そのまま最後までいってしまった感じ。ラストも暗い雰囲気をムリヤリ明るくして終わったような感じで後味は悪いし。おそらく原作の舞台(未見)は戦争よりも上海でジャズを演奏するプレイヤーたちの生きざまにあると思うのだが、深作監督の演出ゆえか、日本兵による中国人の虐殺シーンや派手な戦闘シーンにばかり力が入り、普通に戦争映画を見ているような感覚だし、肝心のステージシーンもしょぼい。それともう一つ「蒲田行進曲」であれだけの見せ場を熱演した平田満の出番が少なく、どうせ「蒲田行進曲」の三人を主演にうたうならせめて宇崎竜童の役を平田満にやらせるべきだったのではと思う。
[DVD(邦画)] 4点(2012-07-26 13:47:08)
587.  真夏のオリオン 《ネタバレ》 
潜水艦と駆逐艦の戦いを描いた戦争映画で、「ローレライ」に比べるとSFじみた描写もなく、あの映画よりは真面目に作ってあるという印象を受け、それなりには話もしっかりとしていて面白く見られる。しかしやはり玉木宏が艦長というのは若くて顔立ちが整っていて爽やかすぎで違和感があるし、潜水艦内の雰囲気もまったりとした雰囲気で緊迫感がなく、また艦長が部下に対して敬語を使うのはおかしいし、艦長の回天に対する考え方なども小学生用の教材映画かと思うくらいに分かりやすすぎる描き方、悲壮感もあまりなく、とくに期待をして見たわけではないが、物足りない部分も多いし、敗戦直前の日本軍と米軍の戦いを描いた映画としてもリアリティーがない。鈴木瑞穂の回想が始まって以降は現代のシーンはなく、戦時中のシーンばかりになるが、その途中でまた違う回想が入るのは「切腹」などでも見られる手法。ただ、うまく機能しているかと言えばそうでもなく、なんか中途半端な印象で、言いすぎかもしれないが出番の少ない北川景子の出番を増やしたいがためにこういう構成になったのかなと思う。こういうのをなくしてもっと男臭いつくりにしても良かったのではないか。
[DVD(邦画)] 5点(2012-07-19 17:16:35)
588.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
先週見た同じ平山秀幸監督の「必死剣 鳥刺し」はシリアスな本格時代劇だったのに対し、それ以前に作られた本作は落語をベースにした道中もので肩の力を抜いて気楽に楽しめるコメディーに仕上がっている。冒頭から「近松物語」のパロディーに始まるのだが、そこからもう引き込まれ、一気に見てしまった。中村勘三郎、柄本明の弥次喜多コンビと小泉今日子演じるお喜乃のやりとりが見ていてなんとも楽しい。中でも柄本明のコメディアンぶり。この人は志村けんのコント番組でコントをやっていたことがあるのだが、この映画でも忠臣蔵の舞台で浅野をやっているシーンで松の廊下で吉良を刺してしまうなどコメディーリリーフとしての存在感はじゅうぶんで、大いに笑わせてくれる。お喜乃を演じる小泉今日子もハマリ役で、アイドル時代の主演映画「快盗ルビイ」(和田誠監督)で助監督だった平山監督が小泉今日子の見せ方を分かっているのか、既に40を超えているのにそれよりだいぶ若い役を演じていてもほとんど違和感をあまり感じないし、逆に魅力的だなと思った。ラスト近くで弥次さんが死んだ妻子の夢を見るシーンはほろりとさせられるが、「雨月物語」のパロディーのようでもあり、笑えるシーンでもある。とにかく本当に何も考えずに楽しむことができた映画だった。平山監督は「愛を乞うひと」や「必死剣 鳥刺し」のようなシリアスな映画もいいが、こういった肩の力を抜いて楽しめるコメディー映画のほうがより本領を発揮できる監督なのではないかと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-07-12 11:28:52)
589.  必死剣 鳥刺し 《ネタバレ》 
藤沢周平の「隠し剣」シリーズの一篇を映画化した平山秀幸監督の時代劇。山田洋次監督以外の藤沢周平原作映画を見るのは初めてだったが、かなり本格的な時代劇でなかなか面白かった。打ち首覚悟で藩主(村上淳)の側室(関めぐみ)を斬殺したトヨエツ演じる主人公・兼見の処分がなぜ軽かったのかという点は最後まで興味を引くし、この主人公の生き様とでも言おうか、それを描いたドラマとしてもよく出来ていると思う。この兼見と吉川晃司演じる別家との対決、およびその後の大人数を相手にした決闘シーンがすごい迫力で、最近はCG処理されることの多い流血シーンを血糊で撮影したりしていてかなり気合が入っていてこれぞ本物の時代劇という感じがした。そして最後に兼見が繰り出す必死剣 鳥刺し。先ほども書いたように最初、側室を殺めた時点から死を覚悟しているような兼見だが、この技はまさにそんな兼見の執念がにじみ出ていて本当にすごかったし、兼見を利用するだけしておいて側室同様に道理に反することをし、結局は鳥刺しによって命を落とした家老・津田(岸部一徳)や最初に兼見に殺された側室の最期は兼見とは対照的でなんとも皮肉めいている見事な結末だった。最後のシーンが来るはずのない兼見を待ち続ける里尾(池脇千鶴)というのも余韻を残すうまいラストシーンだった。ただ中盤あたりに兼見と里尾の濡れ場があったのは余計だったかな。それに岸部一徳を時代劇で見るとたいがい悪役なので意外性に乏しく、側室役の関めぐみもわかりやすすぎる悪女でちょっと残念。とはいえ、トヨエツを時代劇の主役で見るのは初めてかもしれないが、静かな抑えた演技で味のある演技をしていてとても良かった。それにかなり久しぶりに見た平山監督の映画だったが、また平山監督の映画に興味がわくにじゅうぶんな出来だったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2012-07-06 23:28:32)(良:3票)
590.  ザ・ヤクザ(1974) 《ネタバレ》 
日本のヤクザを描いたシドニー・ポラック監督によるアメリカ映画だが、製作総指揮に俊藤浩磁、撮影に岡崎宏三、撮影所は東映京都という合作仕様。外国映画の中の日本と言うと日本人が見て違和感を覚える場合が多いが、この映画はその描写がかなりまともで、ロバート・ミッチャム演じる主人公と高倉健演じる元ヤクザとのドラマも見ごたえがあって面白かった。クライマックスの殴り込みのシーンはほとんど東映のヤクザ映画そのままな感じで、ドスを片手に敵と戦う健さんを見ているとハリウッド映画じゃなくて本当に東映の任侠映画を見ている感覚になり、少し妙な感じがするのも事実だが、ハリウッド映画でもヤクザを演じて様になっている健さんはやっぱりこういう役がいちばんのハマリ役なのだろう。ほかの日本人キャストも岸恵子(外国映画とはいえこの人をヤクザ映画で見るとは思わなかったなあ。)、岡田英次と海外の映画に出演経験のある人をキャスティングしていて抜かりがない。日本を舞台にしたアメリカ映画で健さんが出演というと「ブラック・レイン」が思い出されるが、こちらのほうが日本を描いたアメリカ映画としての出来は上のように思う。でも、ロバート・ミッチャムが指を詰めるシーンはちょっと笑ってしまった。
[DVD(字幕)] 7点(2012-06-28 15:54:57)
591.  ロック ~わんこの島~
三宅島の噴火によって全島避難を余儀なくされた一家と、離ればなれになった飼い犬との絆を実話を元に描いた作品。「めざましテレビ」の「きょうのわんこ」で取り上げられたエピソードの映画化ということで、あからさまなテレビ局の企画もの以外のなにものでもなく、かなりオーソドックスなファミリー向け動物映画という印象。テレビ局主導の映画ゆえ仕方がないのだが、映画というよりはテレビドラマっぽく、どうせなら映画ではなく連ドラでやったほうがよかったかもしれない。子供目線のナレーションで物語が進んでいくが、その口調が子供らしくないのが少し気になる。(まあこんなものかもしれないが。)佐藤隆太と麻生久美子の両親役はなかなかいいコンビ。倍賞美津子は朝ドラ「梅ちゃん先生」でも主人公の祖母を演じていて、最近はこういう役が板につくようになってきたみたい。エンディングの小田和正の主題歌は良かった。
[DVD(邦画)] 5点(2012-06-26 14:42:15)
592.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
前作から11年ぶりに作られたシリーズ3作目。冒頭のアンディーが楽しそうにおもちゃで遊ぶシーンは自分もああいう頃があったなと妙な懐かしさに駆られた。そしてそのあと、成長したアンディーがおもちゃで遊ばなくなり、何人かの仲間は既にいなくなっているというのが切ない。自分が遊んでいたおもちゃは今でも物置にしまってあると思うが、どうなっているだろうということを考えてしまった。シリーズ今までの作品は娯楽活劇的な要素が中心であってもドラマ部分にも手を抜かないというつくりだったと思うが、今回はまず「アンディーとおもちゃたちとの別れ」というのがテーマであり、娯楽映画としての要素はもちろん健在だが、前2作よりもドラマ性が高くなっている。ラストシーンはアンディーのおもちゃたちへの思いというものが伝わってきて泣けるし、アンディーと同じくウッディたちもこれから新しい持ち主のもとで新しい人生を歩んでいくという結末が素晴らしく、シリーズ完結編としてはこれ以上ないほどのエンディングだろう。また今までのシリーズをすべて見ているからこそよけいにこみあげてくるものもある。公開当時は前作との間があきすぎだろうとも思ったが、今は成長して大人になった1作目の頃のアンディーと同じような子供に向けられて作られた続編と考えればこの長いスパンも納得できる。このシリーズはどの回から見ても楽しめるが、できれば1作目から順番に見てほしい。そうすればこのシリーズの本当の良さが分かると思う。
[DVD(吹替)] 9点(2012-06-21 15:33:28)(良:2票)
593.  毎日かあさん 《ネタバレ》 
先週見た「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」と同じ話を妻の視点から描いた作品。「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」では仮名になっていた夫婦の名前が実名になっていたり、それを元夫婦である小泉今日子と永瀬正敏が演じる(よく二人ともこの役での共演を快諾したなあ。)というリアリティーを感じさせるつくり。はじまってしばらくはほのぼのとしたファミリー向け映画の様相だが、アルコール依存症の夫・鴨志田が登場してからはやはりディープな展開。アニメ版は見たことないのだが、こんなアルコール依存症ネタを題材にしているとは思えないのでたぶんアニメとはだいぶ違うのではないだろうか。この映画のほうがアニメより原作に忠実なのは西原作品にまったく触れたことがない自分でもなんとなく分かるのだが、子どもも見る時間帯に放送のアニメの実写版としてはネタが暗すぎるように思う。しかし、純粋に一本の映画としてはよく出来ており、親子の川釣りのシーンや雛祭りのシーンなどは映画的である。それでも感動とまではいかないのだが、エンドロールは良かった。小泉今日子の母親役というのを初めてみたが、いい母親という感じはあまりしなかった。永瀬正敏も役柄上仕方がないのかもしれないが、いい父親という感じはあまりしない。祖母役の正司照枝は「カーネーション」の祖母役そのままのイメージ。「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」よりは見やすいが、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」のほうが自分としては好みかもしれない。
[DVD(邦画)] 6点(2012-06-14 23:15:25)(良:1票)
594.  酔いがさめたら、うちに帰ろう。 《ネタバレ》 
西原理恵子の夫のアルコール依存症闘病記を「サード」の東陽一監督が映画化した作品。こう聞くと重苦しい映画のように思うが、東監督は主人公をあくまで客観的に見つめることで、けっして重くならないようなつくりにしている。アルコール依存症の患者の描写が主人公含め全くリアルでないのもおそらく意図的なものだろう。確かにこれではアルコール依存症の本当の意味での怖さというものは伝わらないかもしれないが、東監督はあえてリアルさを抑えて客観的に描くことでこのだらしない主人公の滑稽さを強調することで観客に主人公に対して同情の余地を与えないという狙いがあったのではないだろうか。アルコール病棟の患者たちの日常は病気に関してはリアリティーがないものの、そのほかは実際の入院患者たちの日常を垣間見ているようである。どことなく「サード」の少年院を思い出してしまうが、ここがドキュメンタリー出身の監督らしいところかもしれない。ただやはり「サード」のほうがこういうドキュメンタリータッチの演出は活かされている気がする。浅野忠信は「風花」でも酒を手放すことのできない男を演じていたが、本作でも酒に溺れる男を違和感なく演じており、「風花」のDVDのメイキング映像において、本当は酒が飲めないふうなコメントをしてたと思うが、それが信じられないほどの演技を見せている。永作博美演じる妻の「一度好きになった人のことをなかなか嫌いにはなれない。」というセリフが印象的だった。ラストの海で戯れる家族とエンディングの忌野清志郎「誇り高く生きよう」が余韻を残す。
[DVD(邦画)] 7点(2012-06-07 13:55:07)
595.  御用金
フジテレビが初めて映画製作に参加した作品で、監督は当時フジテレビの演出家だった五社英雄。あまりこの監督の映画は見ないのだが、この映画は娯楽時代劇としては普通に面白かった。ただ、ストーリーはけっこう重い話で、見終わってもスカッとしない部分があるのにつくりとしては軽い娯楽映画という感じなのでやや中途半端な印象は否めない。仲代達矢と丹波哲郎、それに神隠しで一人生き残った浅丘ルリ子の心情をもっと掘り下げるとかしていれば、ドラマに深みが出たのではないか。それでも、クライマックスの雪山での仲代と丹波の決闘は見ごたえがあるし、全体的に見ていて退屈はしない。仲代と旧知の浪人役を錦之助が演じているが、最初は三船敏郎がキャスティングされていて、実際に三船で途中まで撮影されていたんだとか。確かに実際見てみると特別出演のわりに仲代との絡みが少なくなく、この役は三船のほうが良かったのではないかと思えてしまう。錦之助は変に三船を意識することなく自分の演技をしているが、やはり三船で見たかったなあ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-06-03 13:01:49)
596.  吸血髑髏船
「吸血鬼ゴケミドロ」に続く松竹の特撮ホラー映画。この作品はSF路線には行かずにオカルトチックなB級ホラーというつくりになっているが、どうも白黒のせいか「昆虫大戦争」や「吸血鬼ゴケミドロ」よりもB級っぽく見え、話も支離滅裂な感じであまり面白くはないし。ただ、B級ながらも白黒のおかげかホラー映画という雰囲気はよく出ていたと思う。(骸骨とかコウモリとか明らかにちゃちいのだが。)この前年に「007は二度死ぬ」にノンクレジットのチョイ役で出演した松岡きっこが主演で、けっこう美人なんだなとか、その恋人役は去年自らが侵されたガンとの向き合い方で注目されていた入川保則だとかそんなことを考えながら見ていた。これで同時代に作られた松竹の特撮映画は一通り見たことになるのかな。いずれもがんばってはいたのだが、やはり松竹に特撮映画というのはどう考えても畑違いのように感じる。
[DVD(邦画)] 5点(2012-05-30 01:44:55)
597.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
特に興味もなかった映画だったのだが、見ているうちにだんだんと引き込まれた。他人の子どもを赤ん坊のときに誘拐して育てながら逃避行を続ける女・希和子(永作博美)を描いた過去と、成長した娘・恵理菜(井上真央)の葛藤を描く現代が交互に出てくるが、二つのパートとも丁寧で秀逸なつくりで、日本映画らしい日本映画になっている。本当は永作博美演じる希和子は憎らしい存在なはずなのに、話がすすむうちにこの二人が愛おしく微笑ましく見え、本当の親子ではないことをつい忘れてしまうほどだった。それだけに希和子が逮捕されるシーンは切ない。赤ん坊を誘拐された家族にとっては一刻も早くわが子に戻ってきてほしいという気持ちは分かる、でも誘拐された赤ん坊にとってはこのまま本当のことを知らずに育てられるほうがしあわせかもしれない、ふとそんなことを考えてしまった。あまり出演作を見ていないせいか現代パートで主人公を演じる井上真央には明るいイメージがあるのだが、暗い過去を持ち、その過去を肯定するまでの主人公をうまく演じており、幅の広さを感じた。ラストの恵理菜の決意も泣ける。暗く重苦しい映画だが、女性の強さや希望といったものを感じられるいい映画だったと思う。また、現代の希和子をあえて出さずに終わったのはいい意味での裏切り。後半の舞台である「二十四の瞳」でお馴染みの小豆島(二十四の瞳映画村が撮影協力としてクレジットされている。)の美しい風景も印象的だ。おそらくここでの生活が二人にとってもっとも幸福な時間だったのではないだろうか。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-24 18:02:04)(良:1票)
598.  吸血鬼ゴケミドロ 《ネタバレ》 
松竹の特撮ホラー映画。「昆虫大戦争」と同じ年の作品で、本作もかなり退屈な代物なのではと思っていたが、墜落したわりに飛行機の乗客生き残り多すぎでみんなピンピンしていたり、「昆虫大戦争」では吹き替え(納谷悟朗)だった外国人キャストのセリフが英語のままだったりする(しかも通じてなかった政治家が最後のほうになるといきなりバッチリ通じていたり・・・)など突っ込みどころ満載の展開ながらも思ったよりははるかに楽しめた。極限状態に置かれた人間模様を描いた前半は「マタンゴ」を思い起こさせるが、この部分は密室劇として普通に面白いし、ホラー要素なくてもこれだけで見ごたえのある映画にはなっていると思う。金子信雄の役柄が実にこの人らしい。宇宙からの侵略者が人間同士の争いに目をつけて攻めてくるのは当時の社会情勢に対する批判がこめられていることは明らかで、ラストが「昆虫大戦争」と同じような感じなのも合わせて考えるとやっぱり当時の時代性が感じられる。ところで、本来は子供向けに作られた映画らしいが、ドロドロの宇宙生物が割れた額から出入りするのは小学生くらいの頃に見てたら絶対にトラウマになりそう。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-23 18:35:17)
599.  櫻の園(1990) 《ネタバレ》 
はじまってしばらくはガールズトークばかりで少し冗長に感じていたが、不思議と退屈することなく、むしろ最後まで面白く見れた。演劇部の生徒役は全員がオーディションで選ばれたらしいけど、全員が初々しく、自分が馴染みのない役者ばかりなためもあってか、すんなりと映画に入っていける。また、中原俊監督の映画を見るのはこれが初めてだったのだが、映像が美しく、若い登場人物たちの描き方も秀逸。実際の女子校とはだいぶ雰囲気が違うのかもしれないが、男である自分でもこの女子校の雰囲気に憧れを抱かせてしまうのはすごいと思う。志水(中島ひろ子)と倉田(白鳥靖代)の同性愛的な関係が出てきたのには驚いたが、この二人が並んで繰り返し写真を撮るシーンはこの映画の中でも非常に美しく印象的で、まさに名シーンだと思う。全体を通して流れる「ショパンの主題による変奏曲」も効果的に使われていて、この曲だからこそこの映画の雰囲気も生きてくるのだと思う。人によっては好き嫌いは分かれるかもしれないが、個人的には見てよかったと思うし、じゅうぶんに佳作といえる映画だろう。あと一つ、上演が中止になるかもというくだりで、先生達にとっては毎年の恒例行事でも3年である自分たちには今年しかないんだと話すシーンは思わずそうだよねと感情移入してしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-17 23:59:59)
600.  熱泥地 [短縮公開版]
市川崑監督の初期作品。短縮版のせいか唐突に感じる部分が多く、あまり面白いとは言えないが、娯楽映画としてはそこそこ。「黒い十人の女」でも見られたようなシャワーの演出など市川監督らしいタッチは既にこの頃から健在。主演は藤田進。東宝の映画でよく見る俳優であるが、主演作を見るのは「姿三四郎」二部作以来か。ヒロイン役の刀根はる恵がふてぶてしく、「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」のリリーの母親役の印象がある人だが、まるで別人のよう。東野英治郎がやけに若々しいなど出演している俳優を見るだけでも楽しい。ただやはり時間が短すぎて何か物足らない。ラストもやたら唐突でそれで終わりなのかよという感じだし。オリジナル全長版は残っていないのかもしれないが、残っているならいつか見てみたいと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-10 17:51:40)
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