581. レオン/完全版
劇場版を含め何回も観ているので、今更なのだが、久し振りの鑑賞で思ったこと。エリック・セラの音楽の素晴らしさ。独特の流れるようなカメラワークと一体化した旋律。そこに主演三人の演技が加わることで、映画芸術として完成度の高い作品となった。リュック・ベッソン監督の最高傑作。 [DVD(字幕)] 10点(2009-04-03 12:52:48)(良:1票) |
582. 全然大丈夫
全然大丈夫じゃない人たちのゆるゆるムービー。『転々』などの三木聡作品が好きな人ならばハマること請け合い。どのギャグもいちいちツボにハマって笑いが絶えなかった。特に木村佳乃がサイコー。ティッシュの箱を開けられない人、初めて見た。チョイ役だが、鳥居みゆきの存在感も抜群。あんまり期待していなかったが、意外な拾い物でした。 [DVD(邦画)] 6点(2009-04-02 07:56:43) |
583. 悪魔の毒々おばあちゃん
お金がなかったんだろうな~と思われる出来。とは言え、ホラー映画の世界では、低予算でもいい映画が沢山作られているので(『ハロウィン』とか『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』とか『死霊のはらわた』とか)、お金だけの問題ではなく、才能の問題なのか、と思ってみたり。双子(?)のおばあさんが誕生会でデモンズ化し、遺産目当てで集まった親族を殺しまくるというストーリーです。興味がある方はどうぞ。 [DVD(字幕)] 3点(2009-03-31 22:13:37) |
584. フロンティア(2007)
《ネタバレ》 政治的な背景を絡ませたりと努力の跡は窺えるが、所詮は過去ホラーの単純な焼き直しに過ぎず、新鮮味はない。そもそも演出がちぐはぐで何をやりたいのか全く分からない。この監督が撮りたいのは、アクション?スプラッター?それとも泥レス?無駄に格好良い銃撃戦と、過剰なゴア描写(終盤のヘッドショットは強烈)は刺激的だが、昨今の名作ホラーリメイクを越えるほどの出来ではないのが残念。同じフレンチ・ホラーなら、『屋敷女』に軍配が上がる。 [DVD(字幕)] 4点(2009-03-31 22:05:48) |
585. 片腕カンフー対空とぶギロチン(93分版)
《ネタバレ》 他の方も指摘しているが、無刀流の侍(?)が仕込みで対戦相手を刺し殺すのを観て、「参考にしよう」と膝を打つ片腕ドラゴンに唖然。何考えとるんじゃ!そして、卑怯な戦法を参考にした結果か、裸足のムエタイ選手を鉄板焼きにしてみたり、盲目のギロチンじいさんを罠にかけたりと、残虐極まりない方法で敵を殺していく。あんた、それでも正義の味方か…。ちなみに、前述の侍(?)は鼻から下が大泉洋にそっくり(しかも、常に目深な帽子を被っており、鼻から下しか見えない)で、洋ちゃん出てるよ…と不思議と親近感がわきました。ネタ映画として一見の価値あり。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-31 21:56:53) |
586. ヒトラー 最期の12日間
《ネタバレ》 最近、トム・クルーズの『ワルキューレ』を観て、米国人や英国人がドイツ人将校を演じることに(しかも全編英語)違和感を感じずにはいられなかったので、本作の「終極版」を鑑賞。劇場版に約20分の未公開シーンを加え、TV放映用に2部構成に再編集されたものだ。やや駆け足に感じた劇場版に比べ、人物描写がより緻密に分かり易くなっており、少年兵ペーターとその家族のシーンが増えることにより、地下要塞に立て籠もっていたヒトラー一族との対比が利いている。今回最も印象に残ったのが、ヒトラー周辺の女性たち。語り手でもある秘書のユンゲは勿論、ヒトラー夫人のエヴァ・ブラウン、そして、我が子を手にかけるゲッペルス夫人。常に笑顔で人当たりの良いエヴァは、何故死ぬまでヒトラーに尽くしたのか?狂信的なゲッペルス夫人とは対照的に描かれており、彼女の悲壮な決意には心打たれるものがあった。「総統」ヒトラーは狂人だったが、女性に対しては優しく寛大な態度をとっており、これはブルーノ・ガンツの演技力の賜物だろうが、実際のヒトラーもそうだったのだろうと思われた。邦題は『ヒトラー』だが、実際にはヒトラーの死後、帝国の崩壊の過程をかなりじっくりと描いており、時代背景やいくつかの固有名詞を知っていればより深く本作を楽しめると思う。何といっても本作の肝は、これがドイツ映画であるということ。ドイツ人のスタッフ・キャストが、全編ドイツ語で正面きってヒトラーを描いたところ。他の「ヒトラー映画」とは一線を画す説得力がある。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-31 21:42:33) |
587. アイアンマン
《ネタバレ》 劇場予告編で「うわっ、ダサっ!」と思いスルーしていたのだが、数々の絶賛の声にDVD化を待っての鑑賞。うわっ、オモロっ!トニー・スターク最高だよ~!アイアンマン格好良いな~。正体を隠してうじうじ苦悩するアメコミヒーローが多い中で、あっさりと正体を明かしちゃうラストが爽快。続編に期待デス。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-25 19:23:39) |
588. ワルキューレ
《ネタバレ》 史実としてヒトラーは暗殺されていないのだから、暗殺計画が失敗に終わることは誰もが知るところなので、サスペンスの主眼の置き方がいささか見当違いなように思える。会議場の爆破が成功した後でヒトラーの生死が確認されないままクーデターが進められるが、「あ~あ、やっちゃったよ」という感想以外浮かばない。また、シュタウフェンベルクがヒトラー暗殺に思い至るまでになった過程がすっぽり抜け落ちているため、いまいち主人公の行動に説得力が欠ける(最初に日記で説明されているだけ)。トム・クルーズを起用して中途半端にエンターテインメントに仕上げたのがそもそも間違い。ドイツ系の役者で固めたもっと硬派な作りにすればよかったのに。と、いろいろ問題点があるのだが、2時間飽きずに楽しめたのは確か。アイパッチ萌え~な私にとっては、いいもの見せてもらいました。 [映画館(字幕)] 6点(2009-03-25 19:08:59)(良:1票) |
589. PTU
ストーリーを真面目に追うと「変」な映画で終わってしまうのだが、この作品の肝は、流れるような展開と緩急織り交ぜた語り口の妙。序盤のマー殺害に至る展開は痺れるほどの巧さ。無駄に格好良い銃撃戦と香港の夜を切り取った映像の美しさに、ジョニー・トー監督の美学が光る。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-25 18:20:14) |
590. 容疑者Xの献身
ミステリ好きなら石神のトリックはすぐに見破れそうなほど単純なものだが、堤真一の圧倒的な存在感により映画の格が上がったように感じる。本作の主人公は紛れもなく堤演じる石神であり、湯川(福山)と内海(柴咲)は引き立て役に過ぎない。TVドラマの映画化と言えば、事件をスケールアップさせただけのスペシャル版が多い中、地味な題材を扱いながらも質の高い映画を完成させた製作スタッフのプロフェッショナルな姿勢に感服する。 [DVD(邦画)] 7点(2009-03-21 19:55:10) |
591. 丑三つの村
《ネタバレ》 エロいことしか頭に無い男が肺病が原因で皆に相手にされなくなり、「今に見ておれでございますよ」と大復讐。はっきり言って共感できる部分がまるでない。育ててくれたばあちゃんを殺してまでやるようなことか?村を離れて療養してまともな職に就くというのがまっとうな生き方ではないか。銃をあんなに買い集めるお金があるのなら、治療費に使え。というのが正直な感想だが、田中美佐子の初々しい裸体と「減りゃせんもん」の台詞にヤラれました。トビー門口の情け無用のスプラッター描写も凄い。『スキャナーズ』ばりの頭部大爆破に、女の陰部をも撃ち抜く徹底したハードさ。 [DVD(邦画)] 6点(2009-03-21 18:43:05) |
592. ヒルズ・ハブ・アイズ2
「今度は戦争だ!」という仰々しいキャッチコピーのわりに(『エイリアン2』のパクリ)、ボンクラ揃いの新兵たちと食人族の戦いというあまり緊迫感のないものに。登場人物が揃いも揃ってバカばかりなので、誰が死んだって別にいいよって思う。生き残りそうな奴も簡単に分かっちゃうし、もうちょっとキャラクターに個性をもたせてほしかった。ヒロインがシャーリズ・セロン似の美人さんなのが良かった。グロ描写はまあまあかな。 [DVD(字幕)] 5点(2009-03-17 08:23:59) |
593. メゾン・ド・ヒミコ
失礼ながら気色悪いゲイの老人たちの中で、オダギリと柴咲の美しさが際立つ。柴咲は「ブス」という設定のようだが、やっぱり可愛い。彼女の魅力をここまで引き出した作品も珍しい。クールな西島サンにもやられました。全体的にコメディタッチだが、深刻な問題を扱ってもおり、ちょっぴり考えさせられ、最後はしんみり。 [DVD(邦画)] 7点(2009-03-14 10:07:11) |
594. フレディVSジェイソン
《ネタバレ》 じわじわといたぶりながら相手を殺す偏執的なフレディに対し、ジェイソンの何と潔いことよ。一撃必殺で相手に死んだことすら悟らせない。弱々しい子供に戻ったジェイソンをいじめるフレディには本気で腹が立った。「ジェイソンやったれ!」とすっかりジェイソンに肩入れ。ホラーファンは一見の価値あり。 [DVD(吹替)] 6点(2009-03-14 10:02:33) |
595. リダクテッド 真実の価値
《ネタバレ》 最近のデ・パルマは不発続きだったこともあり、日本ではほとんど話題に上らなかった本作も、アメリカでは上映禁止運動が起こり、ベネチア映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞している。イラクで実際に起こった少女強姦殺人事件をベースに、デ・パルマらしい多彩な映像テクニック(兵士によるPOV撮影やニュース映像、インターネット動画を交えたフェイク・ドキュメンタリー風)により、事件の真実を炙り出す。そこには感情を一切排した冷徹な眼差しがあり、『カジュアリティーズ』以来の戦争映画となる本作でのデ・パルマの本気度がビンビン伝わってくる。生々しい映像の連続で、観た後は鬱になること間違いないが、こういう形で自国を批判できるアメリカの映画業界も捨てたものではないと思う。また、ラストに映し出されるイラク人被害者たちの写真に目線が入っているのは、映画会社から強制された「リダクト(削除編集)」であるという皮肉が利いている。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-07 12:13:14)(良:2票) |
596. 僕らのミライへ逆回転
《ネタバレ》 JBがジャッキー・チェンになり、ゴーストバスターズになり、ロボコップになる…名作映画を勝手にリメイクして大儲け。このアイディアと手作り感は素晴らしい。ミシェル・ゴンドリーの映画は、オリジナリティという点で他の追随を許さず、呆れるほど似たような映画ばかり撮っているハリウッドにとって、この上なく貴重な人材。もちろん、目の肥えた観客にとっても。新世紀の『ニューシネマ・パラダイス』として、是非とも観ておきたい一品。 [DVD(吹替)] 7点(2009-03-06 07:30:40) |
597. ハロウィン(2007)
《ネタバレ》 どうしてもオリジナルとの比較になってしまうのだが、それというのも、ロブ・ゾンビ監督のオリジナル・リスペクトが前面に出てしまい、別物の映画として観ることができないからだ。やはり問題点は、マイケルの少年時代に時間を割きすぎた点だろう。オリジナル版ではその部分をあえて曖昧にすることで、マイケル・マイヤーズという殺人鬼に神秘性を持たせていたのに、それを「劣悪な環境で性格異常に育ってしまった少年」というありきたりなプロファイリングで落ち着かせてしまったのは何故だろう?また、皆さんお忘れかもしれないが、オリジナルの第一作では、ローリーがマイケルの妹だとは一切説明されておらず、そこに得体の知れないサスペンスを醸し出していたのに、ここでも、マイケルの狙いがローリーだと早い時点で明かしてしまったため、途中で殺される人たちの描写に意味がなくなってしまう(ただ殺されるために出てきたようにしか見えない)。キャスティングは凄いの一言。シド・ヘイグやダニー・トレホ、ケン・フォーレ(もちろんシェリ・ムーン・ゾンビも)といった「ロブ・ゾンビ組」は前作『デビルズ・リジェクト』から続投、更にマルコム・マクドウェルやウド・キアー、クリント・ハワード(『デビルスピーク』!)らが出演。実はいちばん驚いたのが、『ハロウィン4・5』でマイケルに付け狙われていた少女ダニエル・ハリスが、すっかり大人になり、おっぱい丸出しでマイケルにしばかれるところ(死ななかったようなので、続編にも出るかも?)。キャスティングを見ても監督の意気込みが分かるというもので、それがちょっと空回りしてしまった感が実に惜しい。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-06 06:59:24)(良:1票) |
598. ぐるりのこと。
この監督が描く「救済」の感覚が好きだ。前作『ハッシュ!』ほどの爽快感はないものの、90年代の日本を舞台にどっしりと腰を据えた作りは、他作品にはない安定感がある。人と人はぶつかり合ったりすれ違ったりするが、磨り減った心を回復させるのは人しかないというメッセージが快い。宮崎勤事件をはじめとする日本の暗部を「法廷画家」という立場から見据えたリリー・フランキー扮する主人公の優しい目は、そのまま監督の視線と重なる。木村多江という「女優」を発見した功績も大きい。 [DVD(邦画)] 8点(2009-03-04 23:55:32) |
599. シューテム・アップ
《ネタバレ》 こういうB級に徹した作品というのは好感がもてる。冒頭10分の銃撃戦は、並みのアクション映画のクライマックスに相当する弾薬数。製作者はとにかく撃って撃って撃ちまくる映画を作りたかったのだろう。銃規制を擁護しながら、「毒を以って毒を制す」矛盾を抱えた凄腕の主人公に、クライブ・オーウェン。対するジアマッティもムサ苦しさ満点。とことん下品でバカバカしい展開が清々しい。ラストの人参撃ちは、ジャンゴのオマージュですかね?「弾丸んねー!」のコピーが既にバカ(笑)エンドクレジットのアニメーションは007のオープニングタイトルに匹敵する格好良さ。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-04 22:11:31) |
600. イントゥ・ザ・ワイルド
《ネタバレ》 主人公に共感できるかどうかがこの作品の肝となるわけだが、残念ながら自分にはそれができなかった。ひとは一人では生きていけないし、一人で生きていけると思っている主人公の傲慢さは、やがてくだらないミスを招き、それが文字通りの命取りとなる。彼は幸せを感じながら逝ったかもしれないが、彼の命は自分ひとりのものではないということを少しは考えただろうか。社会は偽善に満ちているし、両親は決していい人間なんかではない。しかしそれに向き合わずあっさりと捨て去ることは、ただの逃げで甘えでしかない。一本の映画としての完成度は非常に高く、監督ショーン・ペンの力量には並々ならぬものを感じるが、肝心のメッセージに共感できずにこの点数。役者は皆素晴らしかった。 [DVD(字幕)] 5点(2009-03-04 15:07:18)(良:2票) |