621. カウボーイ&エイリアン
《ネタバレ》 劇場ではじめてこの映画の予告を観たときに「何これ!めちゃくちゃおもしろそうなんだけど!!」とワクテカした映画。 どう考えてもバカ映画で面白そう。 しかし!実際に映画を観てみると、なんていうんですか中途半端にまじめで地味で悪い意味でびっくりしました。 手に謎の超兵器つけといて、そんなオーソドックスに西部劇をやられてもなぁ…と。 これ、例えばタランティーノがこのタイトルで映画を撮ったらどんなにおもしろい映画になったんだろう…と想像すると、期待が大きかっただけに残念感が強い映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-11-09 13:18:56) |
622. バンビ、ゴジラに会う
うわ、こんなの登録されてたんだ! 1990年代に「イカ天」の後番組として「えびぞり巨匠天国」というアマチュア映画をテレビで流す番組があって、中には結構面白いものもあったんですが、そのえび天に出しても予選で弾かれたかもしれない映画。仮にテレビ放送まで進んだとしても酷評されたであろうアマチュア映画として評価してもレベルの低い映画です。 っていうか映画なの、これ? 自分がいつ見たのかもう忘れちゃいましたが、どこかの大学の学祭だったような記憶が… 映画のタイプとしてはばかばかしい一発ネタで、先のえび天で放送された映画でいえば「爆発五郎」(「やぁ、俺は爆発五郎!みんな俺の活躍見てくれよな!」とかっこよくあいさつした少年が走り出してそのまま爆発してしまう)のような一発ネタであり、個人的には嫌いじゃありません。 ちなみにYoutubeにフルサイズで上がってるので全編を観る事ができます。 このサイトでは上映時間2分となってますが、実際は1分30秒程度。 始まったとたんに誰でもそうなるだろう展開で終わりますから、安心して観て下さいw [ビデオ(字幕)] 4点(2016-11-09 01:08:39) |
623. スノーピアサー
《ネタバレ》 走り続ける列車の中をひたすら前に進む映画なのですが、実はこれ一応列車の体裁をとってはいるものの、要はダンジョンRPGでフロアクリアしてるだけですよね。 あるいは例えば死亡遊戯とかでもいいんですが、「何かの障害を倒す(マイルストーンを達成する、フロアをクリアする)と次の展開へ」という実はよくあるタイプの映画ではあるのです。 最後に「ループからの解放、そして若者の旅立ち」で終わるのは、同じ列車系である銀河鉄道999と全く同じ展開であり、要点だけを1行でまとめると実はほとんど同じ内容になるはずなのです。 でも何しろこの映画はその周辺ギミックがすごすぎて… 「地球中が氷漬けになってその中を永遠に走り続ける列車で」とか、しかもその列車の中が車両毎に謎のファンタジー空間でキャラも濃いしで、そういう映画でやってる事の本質がよく見えなくなってるんですね。 っていうか本質は実はどうでもよくて、各車両をどんなアイディアでまとめるか、どんなキャラを出すかという点に製作側の気持ちは集中してたと思えるので、あまりむつかしく考えず成り行きに身を任せて、馬鹿だなぁ…と気軽に楽しめばいい映画なんじゃないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-11-09 00:21:34) |
624. インターステラー
《ネタバレ》 「うん、そうだよ!これがSF映画だよ!」 観終わった後の感想はこれです。 子供の頃、劇場で観た「未知との遭遇」。名作という噂は聞いていても実際に観るまでに時間がかかった「2001年宇宙の旅」等々 昔はセンスオブワンダーに溢れた「ガチな本物の重厚なSF映画」がたくさんあったのです。 それがいつのまにやら「SF風味」の娯楽作ばかり。 かつての名作「ガチな本物のSF映画」はすっかり過去の物となってしまいました。 しかし、ついにこの「インターステラー」が、その忘れていた「本物のSF映画」の存在を僕に思い出させてくれたのです。 それが実に40年ぶりというのはあまりにも時間が経ちすぎている気もしますが、きっとそこは重力の影響で時間の遅れでもあったのでしょうw さてあらためて、 【この映画が、この映画こそがセンスオブワンダーです】 先に結論を言うとこれが僕のこの映画への評価です。 さて「ある程度のSF知識がない人にはハードルが高い」とも言われているこの映画ですが、実は日本人はその点においてめぐまれています。 昔から存在するSFアニメのおかげで、多くの人には無意識にある程度の基礎知識があるからです。 たとえば映画の終盤、クーパーが目覚めた病院で外を見ると野球をやっている風景が映し出され一瞬きれいになった地球かと思わせておいて実は空まで地面が続く姿が映し出されます。 多くの日本人はここで「あ、(オニール型の)スペースコロニーなんだ」と一瞬で理解できてしまう。 これはもちろんガンダムのおかげなのですが、しかし、これって実はけっこうすごい事です。 普通の国の人はそもそも(オニール型の)スペースコロニーの構造なんか知りません。 このシーンも「うわなんだろうこれ!」と思うわけです。 これを「なんか知らんけど未来だから空まで地面が続いてるのかな?」と思うか「スペースコロニーなんだ」とすっと納得するか、この映画を観る上ではこの違いは結構大きいと思います。 映画中で重要なワームホールについてはさすがに途中で(定番の紙を折り曲げるやり方で)簡単に説明してくれますが、これも多くの方は説明されなくても知っている事でしょう。 そもそもこの映画、SF映画としては非常にやさしい造りで、SF知識としては入門編レベルのものしか要求しませんし、「どう見ても伏線の腕時計」とか「どう見てもわざと壊されたとしか思えないKIPP」とか、映画中の伏線も簡単にわかるようになっています。 一部では難しいと言う話も聞きますが、実際のところ、このわかりやすい映画の内容を理解できないような人はほとんどいないでしょうし、もしいたらそれはちょっと問題だと自覚した方がいいレベルです。 映画の中にはこの映画より難しい内容のものがゴマンとありますから、他の映画を観るとき困ると思いますから。 閑話休題 さて、この映画の縦軸が「久しく忘れていたガチSF映画の復活」であるならば、横軸は「家族、父娘の愛の物語」です。 劇中でもおりにふれて愛について語られますが、この映画は本格SF映画でありつつも、かつてのSF映画にやや欠けていた「愛」を話の軸として取り込むことに成功していて、ややもすると無機的になりがちなSF映画に「暖かさ」や「感動」をプラスする事に見事に成功しています。 これこそがこの映画の素晴らしいところで、かつての本格SF映画に欠けていた「愛」を物語の核に据える事で、ついにかつての名作達を超える映画になれたと思うのです。 さて結論。 40年ぶりに現れた「本格SF映画」であり、そこに「人間の愛のドラマ」を絡める事でかつての名作を超えた最高峰だと言える名作です。 これに高得点をあげない事は許されません。 個人的には10点をあげるしかない映画です。 それにそれに、なによりも萌えキャラの「TARS」の存在。 この映画を観て「TARS」を好きにならずにいられる人がいるでしょうか? いやいない! C3P0でもHAL9000でもハロでもなんでもいいのですが、SF映画には「人間外でキャラが立ったやつ」の存在は極めて重要な位置をしめてきました。 その存在はSF映画の伝統芸です。 そして、TARS(CASEも)は、過去のそのようなキャラクターの魅力も受け継ぎつつ、それをさらに超えるものになっていて、個人的には「過去のSF映画全部の脇役相棒キャラで一番好きな奴」だと言っても過言ではありません。 ちなみに僕の正直度は80%程度とやや低めなので、このレビューはそれを前提として読んでいただけると幸いです。 [ブルーレイ(字幕)] 10点(2016-11-08 12:58:04)(良:2票) |
625. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 何しろ原作は大ベストセラーですから、当然原作既読でこの映画を観る人も多いわけですが、そういう観客からすると原作の魅力をあまり損ねていない映画だったかと思います。 主演陣の演技には引き込まれるものがありましたし(特に石神役の堤真一)、個人的に「???」と思ったのは映画オリジナルの山登りシーンくらい。あれって必要性あったんでしょうか? さてこの映画、内容以前に好き嫌いで語られる事がときどきあり、それは「愛する女性を守るために何の罪もない人を殺す」事の是非が理由です。 「どんなにかっこつけてても、その行為自体がそもそも許せないし嫌悪感しか抱かない」という意見ですね。 ここで面白いのは「同じことをしているにも関わらず原作小説においてはそういう批評はほとんどなかった」という点です。 これは原作はミステリというジャンルであり、ベストセラーとは言え、読んでいるのは主にそのジャンルを好きな人。 そういう人にとってはその行為自体には特に問題には感じないわけです。 なにしろこのジャンルにはこれよりひどい内容の小説なんかごまんとあるわけで、この程度でとやかく言っていてはミステリは読めないですから。 しかし映画化される事で、より広い客層の人が映画を観る事になり、結果としてミステリ慣れしてない人がそこに嫌悪感を抱くのではないかと思います。 特にこれは人気ドラマとなったガリレオシリーズの劇場版ですし、ガリレオシリーズはわりと軽めの話が多くこの原作が異質ですから、まぁ、これはなるべくしてそうなったと言えるでしょう。 さて私のこの映画に対する点数は低めなのですが、これは先に小説を読んでいてトリックとかを知っていたからです。 この映画、「替え玉殺人トリックだと思わせておいて実は時間差トリック」だという深い構成になっていて、そこがミステリとして高く評価されているゆえんなんですが、すでに小説を読んでいる人間からすると一番のキモであるそのトリックはすでに知っているわけで、映画で観ても「一番キモの部分に何の驚きもない」わけです。 これはある意味構造的な欠陥で、どうにも回避しようがない問題。 この映画には罪がない事ですし役者陣の演技も素晴らしかったのですが、しかし「オチを知ってて謎解きミステリを観る」以上、どうしても一定以上の面白さを得る事ができません。 そういう意味で謎解き主体のミステリ映画の映画化は難しいのかな、と思います。 [地上波(邦画)] 6点(2016-11-08 11:17:39)(良:1票) |
626. ソウ
《ネタバレ》 あえて野暮な事を言うならば、人間があれだけ長い時間死体のフリをするのは絶対に無理です。 二人が極限状態に置かれていたとはいえ、死体のフリをしている人かどうかはいくらなんでもわかります。気づかれます。 そういう意味では「それはいくらなんでも無理筋だよ」というオチなのですが、それはやっぱり野暮天というもの。 まったく予備知識がない状態からこの映画を観たときのインパクトは、やはり映画史に残るものだったと言えるでしょう。 この映画についてはあまりにもいろいろ語られすぎてて何を書いてもいまさら感が強すぎますよねw [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-11-06 23:14:37) |
627. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 僕にとっては「普通におもしろいピクサーアニメ」でそれ以上ではありません。 しかしこの映画の感想などを読むと「号泣した」とか言うのが多いんですよね。 あのラストの決断(別れ)で号泣とか。 でもあのラストシーン、私は、まぁやっぱそうなるよね、としか思わなかったんですよね。 こう書くと、僕が普段映画とかで泣かない人間なのか…と思うかもしれませんが、しかし僕は映画ではわりと簡単に泣いてしまうタイプです。驚くほどすぐ泣きますw ピクサーでも例えばモンスターズインクのラスト数分を見せられると(もう何回観たかわかりませんが)いまだに涙がにじんでしまいますし、つい最近では恥ずかしながら「君の名は。」でも泣いてしまいました。映画館で泣くのはいろいろ困るから嫌いなんですが… そんな僕がこの映画では泣かなかったのは、たぶんこの映画が僕の泣きポイントとずれていたのでしょう。 人が映画を観て泣く場合、そこには強烈な感情移入があるからなのですが、このトイストーリーシリーズは僕にとってあくまでもよくできた娯楽映画であって、感情移入して心が震えてしまうような映画ではないという事でしょう。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2016-11-06 22:55:26) |
628. X-MEN:ファースト・ジェネレーション
《ネタバレ》 X-MENシリーズって頭悪いアメコミの内容そのまんまの内容で、ぶっちゃけそんなに面白くもないしさして好きなわけでもなく、わざわざ自分から進んで観ようとは思わない映画です。 この映画を観たのも、たまたまスターチャンネルでやってたからです。 ところがぎっちょんぎっちょんちちょん。 たまさか観たこの映画は意外と面白かったんですね。 いままでとは作品自体の空気感も違ってて、調べてみたら監督がキックアスの監督に変わってたんですね。 なるほど、やっぱり監督ってめちゃくちゃ大事なんだなぁ、という事をあらためて教えてくれる貴重な映画になりました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-06 22:45:48) |
629. マンマ・ミーア!
公開前に試写会で観ました。 なにせ自分がABBAにドンピシャの世代だけに、映画というよりほぼABBAのMV。 映画を観てる途中でも曲がかかるたびに ふろーんざたんばりー おーいえええ! とずっと(心の中で)歌ってしまうものですから、映画のストーリーがいまいち頭に入りません。 さらに言えばメリルストリープの頬骨が高い顔は昔から苦手で、一方で(このころまだ無名の)アマンダ・セイフライドにもいまいち興味が持てなかったこともあり、しかもABBAの歌の中毒性は驚くほど。 映画の途中、僕はただただ歌い続けるばかりでした。 でぃぎっざだんしんくいーん! [試写会(字幕)] 5点(2016-11-06 22:40:24) |
630. アザーズ
《ネタバレ》 全く予備知識なく観ましたが、途中で「こりゃこっちが幽霊だろうな」と薄々気づいてしまったので(まぁ伏線張ってますし気づきますよね)、そういう意味では最後に驚きがなくて残念でした。 個人的にニコールキッドマンの顔が苦手なんですが、しかしこの映画の雰囲気にはあの神経質そうな顔が似合ってたので、はまり役かなぁ、と。 オチのワンアイデアから逆算して雰囲気重視で作った映画って感じで、このゴシックホラーな雰囲気が好きなら楽しめるんじゃないでしょうか。 個人的には可もなし不可もなし、というとこです。 [地上波(吹替)] 6点(2016-11-05 23:00:29) |
631. ガタカ
《ネタバレ》 捜査開始直後「ヴインセントに家族は?」と聞かれ「家族はいない」と答えたイケメン刑事。 そのシーンで「あれ?死んだの?」と思ったんですが、そうか実は弟だったわけですね。 不適正者のヴィンセントを周りが地味に応援してくれて結局無事宇宙にいけるという一見感動的ストーリーなわけですが、うーん、映画として面白いんでしょうか? 娯楽映画としては致命的に地味で華がないように思います。 話にしても、遺伝子によりいろいろ差別(というかこれは区別ですね)される世界というのはSFの世界ではごくごくありきたりで取り立てて目新しい要素はありません。もっと言えば映画中で不適正者がそこまで差別されている印象もないですから(何しろヴインセントが上級者との遺伝子取り換えができるくらいの金がちゃんと仕事で作れるわけですからね)、ある意味職業に対する適材適所選別をきちんと行っているだけに見えます。 ヴインセントが宇宙に行けない最大の理由は能力ではなく心臓にあるわけですから、これはいけないのが当然で不当でもなんでもないわけで、それを無理やり宇宙に行こうとする方が悪いわけです。 また、そういう事を考えずに表面だけとらえて感動ドラマとして見るなら、もうちょいケレン味がほしいところで、あまりに地味です。 推理物としてみれば、ヴィンセントがやってないとなれば、もう犯人候補者は1人か2人しかいないわけで推理物としてはそもそも成立してません。 個人的にはいまいちな感じがぬぐえない映画でした。 あ、でもアーネストボーグナインに似てるな、と思ってたおそうじのおじさんが、ほんとにアーネストボーグナインだったのがちょっと嬉しいかな。 それから、些細な事ですが、全体的に男性同士が耽美気味に(いやらしい意味ではなく)絡み合うシーンが多いですしストーリー的にも、これはかなり腐女子の方におすすめできる映画ではないかと思います。 「実は腐女子向け映画ランキング」とかあったら、上位は確実ではないかと思われます。 一般に誤解されがちですが、腐女子の方は最初から腐ったものは食べません。健全なものの中にそういう事を見出すのが好きなのです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2016-11-05 22:43:07) |
632. マッドマックス 怒りのデス・ロード
ここまで馬鹿を極めるといっそすがすがしい。 ところで、この映画の基本デザインを前田真宏がやってる事を後で知ってびっくり。 こんなとこにもジャパニメーションの波がきてるとは! [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-05 16:22:37) |
633. インセプション
《ネタバレ》 世間では評判が高い監督でも自分とは相性が悪い人ってのがいます。 私にとってこのクリストファーノーマンという人がそれで、傑作と言われるダークナイトなどもどこがそんなに面白いのか全くわかりませんでした。 しかしこのインセプション、評判も高いし面白そうだな、と期待して観たわけですが… まずあれこれ言われているアイディアですが、これ平凡でありがちですよね? 「●●世界にダイブしてグレーな仕事を行うアウトロー」というのは1984年に発表されたギブソンの「ニューロマンサー」以来SF界でブームになったものですが、という事は30年も前にブームになったもので、SFフアン的にはすでに食傷気味のアイディア。 そしてその●●世界が、本映画では夢の世界なのですが、「夢の世界に突入する」というのも古来普通にあるアイディア。 たとえば日本の「ドリームハンター麗夢」が最初に作られたのは1985年ですし、この作品の時点で「他人の夢に入る」というアイディア自体特に目新しいものではありませんでした。 要するにこの作品のアイディアは私の感覚では「厨二病」的だとすら感じる平凡なものなんです。 夢が実は三層構造になってます。→最下層は虚無世界 って、いかにもすぎてこれが厨二病的発想でなくてなんでしょうか… そしてすごいと言われる映像表現ですが、これはこの映画のせいではありませんが、CG技術の発達&ハリウッド映画の大予算のおかげで、「今や金をかければどんな映像でも創れます!」というイメージを持ってしまっているため、たとえばこの映画の中で特徴的なホテル内の戦闘シーンでも「予算かけるってすごいよね!」としか思えないのです。 昔だったら「特撮すっげー!」だったんですが、進歩したCG技術のおかげでいまや映画でどんな映像を観ても「ふーん」としか思えなくなってしまいました。 というわけで、この映画は普通に金のかかった娯楽映画。話自体は可もなし不可もなしでまぁまぁかな、って評価になります。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-05 11:12:27) |
634. ダークナイト(2008)
大傑作と名高い本作。 公開の翌年くらいに期待して観たわけですが、「ん?これただのバットマンじゃないの?しかもなんか暗いし」としか思えませんでした。 この映画の評でよく見かけるのが「正義と悪の相対化」、正義とはなんぞやと悩むあたりがスバラシイと評価されているようですが、そりゃ元が能天気なアメコミならそうでしょう。そんなことで悩むアメコミヒーローはそうそういませんから斬新だったのかもしれません。 しかし、残念ながら日本人は正義のあり方に悩むヒーロー像なんて普段から見慣れています。 日本には数十年におよぶ特撮や漫画、アニメのヒーローの歴史があるわけで、たとえばウルトラセブン(モロボシダン)が卓袱台はさんでメトロン星人とその手の議論を交わしたのはすでに50年近く前の事。 いまさらそんな中学生レベルの事で悩まれても「んーー、あんたその程度の覚悟でバットマンとかやってんの?」としか思えないわけですよ。 この映画は、アメリカでの記録的ヒットと比べて日本ではびっくりするほど稼げなかったわけですが、その理由は、日本人にとってはあまりにもいまさら感があるそのしょーもないテーマにあったんじゃないかと思います。 もちろん、日本人がバッドマンにほとんど思い入れがないってのもありますが。 あ、あとマギージレンホールがヒロインってのは容姿的にちょっとどうなんでしょうか…アメリカ人の美的センスはわかりません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-11-05 10:55:01)(良:2票) |
635. スカイライン-征服-
《ネタバレ》 最近とみに増えた主人公視点で状況に翻弄されるタイプの侵略物SF映画。 相当な低予算で造られたらしいんですが、VFXは一級品でそこだけ観てるととても低予算映画とは思えない出来で、結構おもしろく観る事ができます。 状況もわからないまま主人公たちが翻弄されるため、まったくどうなるかわからない展開が続くわけですが(というか状況がわからないので主人公たちはおろおろしてるだけなんですけど)、その「どうなるかわからない展開」が大爆発するラスト10分。 それがこの映画の肝。 観た方はご存じのとおり、あれがああなってああなって観客はまさにど肝を抜かれるわけですが、つまりこの映画は謎のヒーロー物の序章だったって事でしょうか? なんか評価低いようですが、あのラストを観るためだけでも一見の価値がある映画だと思います。 おもしろいと思うんだけどなぁ、これ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-11-05 00:25:47) |
636. クローバーフィールド/HAKAISHA
《ネタバレ》 このレビューを書いてる時点で個人的に怪獣映画の頂点だと思っている映画がこれ。 そして映画を一種の没入型アトラクションとして捉えた場合、やはりその頂点にあたるのがこの映画。 以前「宇宙戦争」のレビューに「視点を完全に主人公一家に固定する事で観客も周囲の状況がわからないまま終始逃げ惑う事になるその臨場感を絶賛(要約)」なんて事を書いたわけだけど、それをさらに進めれば、当然この主観視点方式である「手持ち型カメラ(POV」になるわけで、この映画は「宇宙戦争」のよさをさらに推し進めた究極の進化形没入エンターテイメント映画だと言えると思う。 この方向性でさらに進めるとなると、最近流行りのVR技術を使ったものになると思うし、数年以内に多分そういうものも出てくるとは思うけれど、現状ではこの映画がその頂点ではなかろうか。 ブレアウイッチに端を発するPOV映画の多くは、低予算をアイディアで補うタイプのものがほとんどで、たとえばRECなどのように「予算がついたら普通にカメラ回し始めちゃったよ」というどこにこだわりがあったのかわからない映画もある中で、この映画のように潤沢な予算を使いながら、演出上の理由であえてPOVを使うという贅沢な映画は本当に素晴らしいと思う。 しかし一見無駄に見える潤沢な予算は、カメラにちらちら映る細部のリアリティに見事に反映されていて、この映画のリアリティをさらに高めている。 安い予算のPOVだと、ここ一番のシーンで(ちゃんと映すとアラが見えるので)手ぶれさせたり暗くなったりして胡麻化していてイライラするわけだけれど、この映画にはそれはない。 ぶれるシーンは必然性があってブレているし、暗いシーンは必然性があって暗くなっている。非常に自然なのだ。 このリアリティは一見無駄に見える潤沢にかけた予算がなければ生み出されなかっただろう。 それから、カメラがめちゃくちゃ丈夫な点については映画の都合上って事でいいとして、テープの上書きミスが何度もあるのはメーカーとしてどうなんだろうw しかし、これもあと数年がたち、カメラの映像記録に完全にテープが使われなくなると「何で複数の映像が映るのかよくわからない」という若い人が出てくる…いや、もうすでに今の若い人が観るとそうなのかもしれない。技術の進歩おそるべしである。 とテープに触れたところで大事な事を。市販されているDVC(miniDV)テープで最長のものは80分のテープ。 そしてこの映画の本編部分の上映時間は80分弱。 映画の最後のシーン「ほらテープなくなるよ」という会話が行われているけど、映画自体の長さをちゃんと市販のDVテープの長さにそろえているわけ。そういうこだわり。だからこその傑作。 [ブルーレイ(字幕)] 10点(2016-11-04 14:48:32)(良:2票) |
637. ベイマックス
《ネタバレ》 ごくごくオーソドックスなマーベルコミック的内容で、ストーリー的には取り立ててどうこういう要素はありません。 とにかくベイマックス自体の魅力がすべて…いやフレッドもなかなかいいけど。 それがなければむしろつまらないと言ってもいいくらいに平凡な内容で、このアニメ化にあたりベイマックスを原作とは異なる可愛いデザインに仕上げたのが成功の秘密でしょう。ベイマックスはSIMフリー。 舞台は「サンフランソウキョウ」で日本に寄せたように見えますが、これ原作では舞台が「東京」で完全に日本だったのをディズニーが映画化するにあたり逆にアメリカに寄せたものだそうです。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2016-11-04 00:57:58)(良:1票) |
638. ロミオ・マスト・ダイ
《ネタバレ》 「タイトルだけしか知らない映画」ってあるじゃないですか。 私にとってこの「ロミオマストダイ(ロミオ死すべしってとこでしょうか)」はまさにその「タイトルだけは知っている映画」でした。 多分、ロミジュリを下敷きにバイオレンスな感じにしたような映画なのかな、となんとなく思ってました。 さて、そんな私に偶然この映画を観るチャンスがやってきたのです。 (たまたまテレビをつけたら、ちょうど始まったとこだった…ってだけですが) どうやら、黒人ギャングとチャイニーズマフィアが対立しているようです。 たしかにロミオトジュリエットと言えば2勢力の対立です。 もっともな展開です。 ジュリエットらしい人は出てます。 黒人ギャングの娘っぽい人。観た事ない女優さんですが美人ですからたぶんこの人がジュリエット担当です。 じゃぁここにロミオが用心棒か何かでやってくるのかな? ロミオってくらいですから、いかにもロミオって感じの外見なんでしょうが、しかしいつになっても出てきません。 どうしたんだロミオ! そんなこんなでタクシーのシーン。 ジュリエット担当の女性が、伊藤淳史をマイルドにしたような中国人と会話して… まさか! まさかこの伊藤淳史をマイルドにしたような中国人がロミオなの? てか、こいつ「ハン」って名前じゃん!そもそもロミオじゃないじゃん! そこで私、ついに映画を観ながら確認のためにwikiを見る事にしました。 そしてこの映画にロミオが出ない事を知ったのです。 てかジェットリー! 名前は知ってるけど顔わかんない人だよ、それ! ついでにこのジュリエット役の美人が映画の翌年飛行機事故でお亡くなりになったのも知りました。 そりゃ見覚えないですよね。これからの女優さんだったでしょうから非常に残念です。 ご冥福をお祈りいたします。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2016-11-02 23:02:49) |
639. ミッション:8ミニッツ
《ネタバレ》 何か自分が観てない面白い映画ってないかしらん?と、このサイトのマニアックランキングでいろいろ並べかえてて、「あ、これ観てないけどおもしろそうだな、なになに…あ、これスターチャンネルで公開の翌年くらいに観たじゃん!」と思った映画。 実は2013年くらいまで7年ほど、何も書いてない時期があったのでその間に観た映画(かなりの数になる)のレビューって全然書いてないんですよね。 という事でいまさらですがレビューを書きます…が、しかし観たのは4年ほど前ですから、細かい演出などはすでに残念ながら語れません。 そのときかなり面白いと思った事、これだけSF的な設定だと理解できない人も多いだろうなと思った事、無理やりにでもハッピーエンドにつながったのはいいんじゃね?と思ったこと、でもフラッシュバックで未来が見えるのはなんかちょっとおかしいんじゃね?と思ったこと、管理してる女性管理官の人はお約束のなかなかいいやつだな、と思ったこと、そして、ハッピーエンドの影に隠れてるけど乗っ取られて消滅した高校教師はちょっとかわいそうなんじゃないか、と思った事。 …ぁ、結構覚えてますね…ネタバレ有にしておこう。 恋愛絡みの複雑な過去改変パラドックス平行世界物が好きな方ならぜひ一度ご覧になってみる事をおすすめします。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-11-02 11:11:46) |
640. ザ・ウォーカー
《ネタバレ》 よくある世紀末ものかと思いきや、かなりまじめな宗教的寓話だったという趣の作品。 この話にはキリスト教的な元ネタとかがありそうな気がするれど、キリスト教的宗教観をもたない人間としてはそのあたりがよくわからない。 全体的に地味な映画でキリスト教的宗教観をもたない人間が観ても説教臭いし鼻もちならない感じでさして面白くないはずなんだけれど、個人的になんかちょっと心に残るものがあったのも確か。 キリスト教信者の人が観たら面白いのかもしれません。 [地上波(吹替)] 6点(2016-11-01 14:17:17) |