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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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741.  チチを撮りに 《ネタバレ》 
高評価が多いので書きにくいが、自分としては引っかかるところがかなりある。 そのうち“父親を恨むかどうか”に関して書くと、まずこの姉妹に恨む気持ちがないならその場でそう答えればいいだけのことで、また仮に恨んでいたとしても、正当な理由があって恨むのは倫理的に悪いこととは思えない。これが劇中の台詞ではいい子悪い子の教育的問題のように聞こえていたのは違和感がある。 また個人的感覚では、他人を恨むこと自体が自分を惨めにするとは思えない。惨めなのは悪いこと全部を他人のせいにして、死ぬまで恨み事を言い続けるタイプの人物だろう。この姉妹が母親から受け継ぐべきものは、要は“人としての矜持”であって、自分の決断の結果を自ら引き受けようとする覚悟なのだろうと思うが、これが劇中では恨むかどうかという現象的なところで止まっていたようでもどかしさを感じた。 以上のほかにも“逃げ道”とか“ユメよりコメ”の件などに関して苦情を言いたい点はある。また全般的に理屈で作った印象が強く、題名の付け方もそうだが、伏線を張りました→回収しました、という関係が線で結んだように見えたりするのも気に障る。 ただ、母子・姉妹の関係を密度濃く描いた映画というのは間違いないと思われる。その濃密さが部外者の立ち入りを拒むように感じたのが自分としては最大の問題点だったのかも知れないが、喧嘩しても甘ったれた感じとかは嫌いでない。バカっていうな、というのを互いに言い合っていたのは理屈っぽさがなくてよかった。  [2017-01-13「湯を沸かすほどの熱い愛」鑑賞記念で追記] “ユメよりコメ”の件に関して、米屋との間で金銭によらず物とサービスを直接交換していたことを匂わせるエピソードが前半にあった。それ自体の是非について自分がどうこう言う立場にはないが、そういうことを劇中の母親像とセットで観客に受け入れさせようとするのには反発を覚える。ただの一観客として、劇中人物の個別事情にどこまで付き合わされなければならないのかという気分である。それとも娘(人材豊富)を売らないで自分を売ったのがまだしも良心的ということなのか。自分としては東野圭吾「白夜行」を読んでからそういう方向に考えが行くようになってしまって仕方ないが、とにかく変に露悪的なものは見たくない。 またついでに書くと、ラストの魚は圧倒的に意味不明である。こういう支離滅裂かつ笑えない趣向を褒める気には全くならない。
[DVD(邦画)] 5点(2017-01-13 23:28:32)
742.  霊界の扉 ストリートビュー 《ネタバレ》 
ストリートビュー愛好者なので見た。仕事にも使えて便利だが、趣味的には映画のロケ地探しにも使ったりする。ちなみにこの映画で怪異の発端になった家は東京都練馬区の西武池袋線大泉学園駅近く、怪異が波及した先の喫茶店は石神井公園駅近くにあり、両方ともストリートビューで特に障りなく見られる。 基本的な発想としては題名のとおり「ストリートビュー」が「霊界の扉」ということで、ありきたりな心霊ホラーではなく、また安易なヒトコワ系でもない独自路線という点は評価できる。ただ自分が知る限りでも似たような前例はあり、この映画が完全オリジナルの発想かどうかは何ともいえない。また実は心霊現象を前提にしなくても成り立つ話であって、題名の方で余計なことを書いてしまっている。 ストーリー上の問題点と思うのは、主人公の心境変化がどうも不明瞭なことである。自分の立場としては、はじめ主人公は失踪者を連れ戻したいとだけ考えていたが、実は自分も失踪したかったのだと気づかされ、そのまま向こうの世界へ行ってしまって後悔した、という流れであれば理解できるが、必ずしも素直にそう取れるようにはできていない。加えて各種の怖がらせエピソードも本筋とほとんど無関係のように見える。 しかしそれよりこの映画の最大の問題は、登場人物が同じ服を数日続けて昼夜なく着ているように見えることである。制作事情は知らないが、可能であれば役者の普段着でも着てきてもらった方がまだましではなかったか。これは女優が少し気の毒になった。 そのほか主人公のシャワー場面は特にストーリー上の意味がなかったように見えるが、これは別に有害なものではない(それほど有益でもない)。またラスト近くでTVに不気味な生物が映っていたのは異世界感を出していてよかった。ここは好きだ。 以上だが、点数はグーグル社に+1としておく。
[DVD(邦画)] 4点(2017-01-10 19:49:16)
743.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
どれだけ話題になっていてもすぐに見られない田舎は不利だと思う。 原作を読んだことがあるので概要はわかっていたつもりだったが、始まってみると原作の世界が実際に動いて、カラーで(当然だが)、背景音楽付きで広がっていくのを見て背筋が少し震える気がした。個人的には特に序盤で、戦前の広島の繁華街(中島本町)や広島県産業奨励館を鳥瞰的に捉えた風景が出ただけで泣ける気分になった(その後の出来事を知っているからだが)。 また劇場予告編にも出ていたが、入港する大和が柔らかな緑を背景にして色鮮やかな信号旗をたなびかせ、艦上で多数の人が動いている情景には、無機質な鉄の兵器というよりも、そこにいる多くの人々に目を向けようとする優しさが感じられる。青葉の甲板で洗濯物を干していたのも乗組員の日常風景だったろう。ほか代用食をカラーにすると変にきれいで料理映画のように見え、すみれの花まで入っていたのはちょっと感動的だった。本来は葉を食うものだろうから、食用というより暮らしに彩りを添える工夫ということだろうが。 ちなみにわざわざ書くまでのこともないが爆撃と銃撃は怖かった。  物語に関しては、基本的に原作準拠のようなので特に言うべきこともないが、驚くのはリンさん関係がほとんど省略されていたことである。本筋との接続部分は残っていたようなので完全版を期待したい。また原作を知らずに見る人には、あまり最初から細かいことにこだわらず、まずは感じることを優先して見るようお勧めしたい。 原作になくて映画で加えられたものとして、細かいことだが周作が反乱の鎮圧に赴く際、法務はどこまでも秩序を守るのが仕事、というような台詞があった。これは夫婦関係に関していえば、水原に引け目を感じていた周作の面目を立てる形になっていたのだろうが、同時に周作が社会を維持する立場という意味も出ていたように思われる。その直後に呉市役所の困り事相談の看板が出ていたりもしたが、すずさんのような家庭の生活者とともに、その生活者が暮らす身近な社会を支える人々も加わってこの世界が続いていくという意味に取れば、家庭の生活者としてはちょっと自信のない自分であってもこの映画での居場所を見つけられる気がした。 この映画から何を受け取るかは人それぞれかと思うが、現代に生きるわれわれがこの世界に関する認識を深めるのに役立つよう、原作を含めたこの物語が広く認知されていくことを自分としても願っている。  なお余談として、自分としては原作にない「掃海特務艇第十六号」というのが微妙にユーモラスに感じられた(晴美さんもご存じなかったろう)が、その後の出来事をあらかじめ知っていたのでここで笑っていいのかどうかわからなかった。これはこういう名の知られていない地味な船に乗って、海軍の片隅で身体を張っていた人にも焦点を当てようとしたと解する。
[映画館(邦画)] 9点(2017-01-03 23:43:52)(良:1票)
744.  この世界の片隅に(2011)<TVM> 《ネタバレ》 
日本テレビの2011年の終戦記念番組として8/15に放送されたものである。 原作の情感などは特になく、普通のTVドラマのように見える。安っぽいところや変なところは当然のようにあり、方言も恐らくアクセントが徹底していない。ただ「東京物語」(1953)以来の「ありがとう」だけは全員がそれらしく言っていたようである。 また原作の顕著な特徴である笑いの要素もそれほど目立たないが、「ミヨセンセーノハゲアタマ」はしっかり再現していた(細かく見ると「ネコ」が可笑しい)ほか、時計の「ボーン」という音をコミカルに使うなどの趣向はあったようで、また軽快な背景音楽が気分を和ませていた面もある。なおこのドラマ独自のユーモラスな場面として、周作とすずが二人でいるのを上官に冷やかされたのは微妙に可笑しかった。海軍さんはスマートで結構だ。 主要人物で省略されたのは「鬼いちゃん」くらいのものと思うが、このドラマで問題なのは、すずさんが原作のイメージと全く違うことである。それをいえば周作も水原も原作の面影がなく、そもそも似せるつもりがないのでこれで納得しろということかと思ったが、それにしても基本的に原作のキャラクターを前提としているため「ちいと足らん」とか「温いのう…」といった台詞に全く説得力がない。これは最終段階の人物イメージがこの女優ということだと思うべきなのか。ちなみに個人的には劇中のリンさんが好きだ。  物語の面では、「居場所」「見つける」「記憶の器」といった話題を2時間でコンパクトにまとめた形に見え、もっと独自性を出さなくてよかったのかと思うほどである。最初に重要事項を提示してしまうとか、回想場面などで原作の素っ気ないところを適宜補足しながらTV向けにわかりやすく作っており、意味的な部分の表現という点では文句をつける気にならない。なお玉音放送のところで天下国家に関わる台詞を義父に言わせていたのは自然で、ここは原作よりもこのドラマの方が好きだ(何を言わせたいにしても劇中人物1人に集約する必要はない)。 原作未読の人や原作ファンの人が見てどう思うかわからないが、個人的感覚としては意外に誠実に作られたドラマに見える(終戦記念番組なので真面目で当然だが)。原作に比べれば簡易版のようなものとはいえ、やはりこの原作者の作品を好き勝手にアレンジすることなど許されない、とこの時点で関係者も思っていたのかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2017-01-03 20:02:26)
745.  野菊の墓(1981) 《ネタバレ》 
原作では、政夫の家は矢切村(松戸から二里)、民さんの自宅は市川の町場にあるとされており、要は現在の千葉県松戸市~市川市内の話である。この映画では高い山が見えるので場所感がかなり違うが、そこは映画としての見栄え優先ということで構わない。 ヒロインはいま見ても非常に可憐で可愛らしく、こんな時もあったのだと遠い目になる。自分としてはデビュー曲(裸足の季節)以来のファンだったので当然のように劇場に見に行ったが、アイドル映画ということで中身にはほとんど期待していなかった。実際に序盤の雑巾がけのあたりで、ああこれはもう駄目だといったん観念したのだが、そういうファンサービス?はここまでで終わりになったのが意外だった。改めて見れば、演者の初々しさを笑いに転化して導入部のほのぼの感を出していたとも思われる。 物語としては原作と比べても純愛要素が増幅された感じで、互いに花を贈り合う趣向は泣かせるものがある。また特に婚儀と騎馬戦の同時並行から一挙に距離を縮めて花嫁行列へ至る展開が印象的で、生木を裂くとはこういうことかと思わされた。婚家先の場面では、採ったばかりの果実を剣山の上に置いたかのような過酷な環境が痛々しく、ここで姑役の役者(北城真記子という人らしい)は全国のファンの憎悪を集めたはずだが、夫の姿を見せなかったのはせめてものファンへの配慮だったと思えなくもない。  ところで今回この映画を見ていて、うちでオスメス2匹の子ネコをもらって来たときに、近親交配などしないうちに処置しておかなければと考えたことを思い出した。そういう点で劇中の母親の行動は基本的に理解できる。 しかしその母親が、全てが終わってしまってから「そんなに好きだったら一緒にさせてやった」などと泣きごとを言って、少しでも自分が楽になろうとしていたように見えたのには怒った。年上なのも従姉弟なのもどうでもいいことだったというならこれまでのことは一体何だったのか。そもそも自分の甘さが事態を悪化させた面があったはずだが、それでも「不承知」と決断したのなら最後まで「情け知らず」のままで通すか、あるいは自害でもして果てるのが責任の取り方だろうと言いたくなったが、まあ女親にそんなことをいっても仕方ないか。若い二人の悲恋物語であると同時に、親たるこの人物の晩年の悔恨の物語という印象がなくもなかった。 なお個人的な思い入れが大きい映画なので逆に点数は控え目につけておく。
[DVD(邦画)] 7点(2016-12-31 23:06:13)(良:1票)
746.  明烏 あけがらす 《ネタバレ》 
落語の「明烏」を一応予習してから見たが、その割に序盤の展開が「芝浜」のようだと思っていたら落ちがまるきりそのままだった。これのどこが「明烏」かと思うが、中盤で真面目ホストが借金取りを篭絡しようとするあたりは「明烏」の一部を真似ていたようである。題名の方は要はホスト=カラスということだったらしい。 笑える話かどうかに関していえば、これまで自分が見たものでは「女子ーズ」(2014)と同程度である。つまり笑うところがなくもない、というくらいのものだが、ただし自分としては田中邦衛にはどうしようもなく笑ってしまった。いろいろあっても最後は全部が丸く収まるのが心地いい作りで、まあ見てよかったという気にはさせられる。 ほかキャストに関しては、主役を含めて男はどうでもいいとして、吉岡里帆という女優は注目する気がなくても否応なしに思い切り印象に残る。知らない人かと思ったら「幕が上がる」(2015)に2年生役で出ていたようで、見直してみると見事に存在感がなく、こんな人がよくも大勢の中に紛れていたものだと逆に感心した。「明烏」とは直接関係ないが、演劇を目指す人にエールを送る「幕が上がる」とのつながりで、自分としても陰ながらこの女優を応援したくなった。
[DVD(邦画)] 6点(2016-12-30 16:38:33)(良:1票)
747.  灰色の烏 《ネタバレ》 
赤い果実はまあいいとして、天狗は暗喩どころでなく下品である。またTVのぐさっ、ぐさっというのは趣向としては面白いが、ニュース番組の出演者としては不自然だ。ほか同じような動作をしつこく繰り返す場面が二つあったが、これは何らかのこだわりがあったものか(特に二回目は“執拗な抵抗”の表現?)。またDVDを見る限り、最初と最後に真っ暗な画面が何秒か続くのも考えがあってのことかも知れない。 物語の面では、冒頭から刺激的な映像を通じてかなりシビアな状況が提示されていたので問題点はわかったが、その後の展開と結末がわからない。主人公自身が変化したのはともかく、当初はとんでもない人格破綻者に見えた母親までが、最後はおとなしい要介護者のように変わっていたのは納得しかねるものがある。加えて現実世界での決着をどうつけたのかも不明であり、リーダーは失格、保護者から苦情が殺到してキャンプクラブは廃絶ということでは主人公も穏やかな気分ではいられないはずで、これは見ていてかなり気になった。 また中学生も、個別の行動としては理解不能なところが多かったが、これはまあ思春期の少女なのでそういうこともあるかも知れないと思えなくもない(思考放棄)。印刷屋の娘とその友人では外見的な印象に結構な差があったが(友人の方が明らかに女性的)、これは問題の所在をビジュアル面で表現したものと考えておく。 全体として年齢性別を選ぶ映画のようでもあり、理性的に見るより感性的に受け取れるものが多ければ勝ちということかも知れない。自分としては納得できるものがなかったが、映画の雰囲気としては悪くなく、何よりハッピーエンドだったのは安心した。まあ若年者の成長譚であってホラーではないので、最後は全員破滅して終わりなどということは当然ないわけだが。  なおキャスト面では、特にエビ中の人(アイドルグループ「私立恵比寿中学」のメンバー)の演技が心許ないところがあって一か所笑った。ただメイキングで本人が「演技力とかないんですけど…温かい目で見てください!」と言っていたのでこれはそのように対応したい。 ほか個別の場面としては“猫をかぶる”の説明のところが好きだ。この小学生2人は屈託がなくて大変結構だった。
[DVD(邦画)] 4点(2016-12-30 16:38:31)
748.  カラスの親指 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。この映画は残念ながら好きになれなかった。 まず主要人物のうち「テツ」は声質が耳障りで序盤の馴れ馴れしさが気色悪く、「やひろ」「貫太郎」は存在自体が苛立たしい。そういう印象のまま全体の半分程度まで使って疑似家族形成の部分が続くため、自分としては見るのにかなりの忍耐を要する。これで映画全体への好意が失われてしまい、その後の非常に都合のいい展開や、終盤の説明調の付け足し部分も素直に受け取れなくなった。 ちなみにDVDで見ていると、ハッピーエンド風になった時点でまだ20分以上残っていることがわかるので、これからまだ意外な展開があるわけかと思ってしまって新鮮な驚きがない。160分という時間も長かった。  なお村上ショージという人物は、顔を見ていると味があるともいえるが、ラストの種明かしを長々と台詞で語らせるのはさすがに少しきつい感じだった。西日本アクセントであるのに仙台出身というのも変だ。また「シン・ゴジラ」(2016)に続いて(というか時間を遡って)、石原さとみという女優の印象がさらに悪化した(本人のせいではないが)。
[DVD(邦画)] 4点(2016-12-30 16:38:28)
749.  海賊とよばれた男 《ネタバレ》 
何の予備知識もなくほとんど偶発的に見たので、どういう映画かわからないまま最後はどうなるのかと思いながら見ていたが、エンドロールに実在の社名が出てやっと何のことかわかった。原作は長編小説とのことだが映画としてはダイジェスト感が強く、特に登場人物については観客側の自主的補完にかなり頼っている気がする。 また全体として石油元売会社の社史なのか、創業者の一代記なのかが不明瞭である。実在する会社の沿革であれば「日章丸事件」(劇中では日承丸)で意気を上げたところで切り上げてもいいはずで、その後の後日談の意味がよくわからない。原作のどこを取り上げて構成するかの問題だろうが、少なくともこの映画ではせっかくの女優陣(綾瀬はるかと黒木華)が半端な登場人物に終わっていたようで残念である。  ところで個人的に「日章丸事件」のことは知らなかったが、これは憶えておいてもいい話だという気がした。巨大資本の脅しに一歩も引かず、また映像的な誇張はあるにせよ、横暴なイギリス海軍を相手に真っ向勝負というのは非常に痛快だった(単純に気分がいいだけでなく歴史的意義もあったようだが)。昨年は日本が関わる国際的美談の映画が同時に2つ公開されて両方とも微妙な印象だったが、今回のこれは日本人の心意気を示した点が素直に心地いい。 また個人的には船の映像が多いのがよかった。手漕ぎの舟から発動機船、復員輸送艦(駆逐艦神風)、大型タンカーに英軍艦(ベイ級フリゲート?)が映り、タンカーの進水式もそれらしい感じを出していた。どこまで特殊効果かわからないが素人的には出来に文句をいう気にならず、こういった映像面での印象が映画の価値を高めていた気がする。 ちなみに主演俳優の老け顔には特に違和感がなく、これはこういう男だ、という雰囲気は出ていたように思う。  追記:社歌の背景に必ずBGMが入って邪魔していたのは確かにわけがわからない。これはサントラCDを買って聞けということか。
[映画館(邦画)] 7点(2016-12-24 11:04:33)
750.  絶叫学級 《ネタバレ》 
原作は当然読んでいないが、掲載された雑誌からして中学生以下の女子向けだったと想像される。この映画は結構シビアなので対象年齢はもう少し上かと思うが、特に前半ではマンガ原作の雰囲気を出そうとしたようにも見える。 内容としては一応邦画ホラー様式に乗っているようだが、実際は延々と学校内のイジメが続く話になっている。主に問題にされていたのはイジメの首謀者になるのがどういう人間かということかも知れないが、それとは別に、誰でもいいから自分以外の誰かを貶めたがるその他一般大衆も指弾されていたように見える。理科室にいた「黄泉」(優美)という人は、相手によって向ける顔が違うところが「大魔神」(1966)のようでもあるが、この孤高の存在に比べれば、主人公もわれわれ観客もみな「有象無象の人間ども」といったところではなかったか。  ところで波瑠という人は自分が見た限りでもいろんな映画に出てきているが(最悪だったのは「山形スクリーム(2009)」)、今回は美形で心優しく繊細な雰囲気の美術教員役で、序盤の生徒に挨拶している表情など見て少し惚れてしまった。ただ登場人物としてあまりいい所がないのは残念である。 また桐谷敦子役の松本花奈は、名前だけ見れば他の出演者と同じ美少女タレントのようでいながら実はとんでもない汚れ役をやっているが、この人はもともと映像制作の志望とのことで、現在は慶應SFCに在籍しながら映画も撮っている“女子大生監督”だそうである。誰よりも可愛いかどうかなどという価値基準にとらわれていない好例である。 そのほか主人公の友人役(松岡茉優)など見ても要所にそれなりの人物を配した印象があった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-12-24 10:14:50)
751.  ポッピンQ 《ネタバレ》 
題名の印象が強かったので出来心で作品登録してしまったが、自分が申請したからには率先して見なければという気になって行って来た。しかしさすがにこれを自分一人で見に行くのは恥ずかしい。チケットカウンターで題名を言えない。 映画としては東映アニメーション60周年記念とのことで、昔の東映動画まで遡れば各種さまざまなアニメが制作されてきたわけだが、今回のこれはセーラームーンとかプリキュアシリーズの流れだとすれば、そういうものを見ていることがますます恥ずかしい。  物語としては、当然ながらそれほどの深刻さもなく大らかな気分で見るものになっている。別々の場所に住んでいた中学3年生の少女5人が、卒業式の直前に異世界に呼び出されて全ての世界を救うために戦う話であり、その中で卒業後の新しい人生に立ち向かう勇気をもらったというようなことかと思われる。5人が揃うまでには少し時間がかかったが、最終的に揃ってみればそれぞれイメージカラーを生かしたコスチュームと特殊能力を付与された美少女戦士なり魔法少女のチームのように見えた。 本編はそれ自体としてハッピーエンドで終わるが、エンドロール後に後日談のようなものが入っていて、高校進学後の彼女らをまた新たな展開が待ちうけていることになっていた。どうもこれはシリーズ化の予告のようで、本編中の謎もそのまま持ち越されるらしいが、さすがに自分もそういうものまでは期待していない。  こういう映画にあまり真面目に突っ込むのも気が引けるわけだが、自分として残念だったのは異世界の風景だった。事前に見ていた紫基調のイメージ画(ティザービジュアル)の感じを期待していたところ、実際はアメリカ西部のようなあっけらかんとして乾いた風景で、空に向かって高く盛り上がる家々も劇中では生かされていなかった。背景設定よりキャラクターとダンスに力が入っていたのかも知れない。 ただ自分がこういうものを見慣れてないからかも知れないが、劇中の出来事そのものはたいしたことないと思いながらも雰囲気に巻き込まれて変に感動させられてしまう場面が複数あった(例:クールビューティの失言、橋を渡って11秒88)。これは劇場で見たからということもあるだろうが、作り方として上手いところがあるのかも知れない。 なお点数はかなり甘くつけておくのでそのままには信用できない。
[映画館(邦画)] 6点(2016-12-24 09:45:05)
752.  ビッグゲーム 大統領と少年ハンター 《ネタバレ》 
いきなり最初からフィンランドにこんな険しい山があるわけないと思ったら、実際の撮影地はドイツのバイエルンだそうで、このあたりでこれはもうファンタジーなのでリアリティなど問題にすべきでないという気にさせられる。 アメリカ人役で出ているのは実際にアメリカで活動している俳優らしいが、原案・脚本・監督はフィンランド人であり、この映画もあくまでフィンランド映画である。その割にはハリウッド風の(大作風の)アクション映画のように見えるが、これは今回の趣向がそうだったというだけで、実際はフィンランド映画であるからハリウッド映画と直接比較するようなものではない。ただしフィンランド映画にしては金がかかっているのではないかと思われる(英独も製作に関わっている)。 物語に関しては、基本的には異質のようでも共通点のある2人が協力して困難を切り抜けたことでともに成長する話に見えるかも知れないが、題名に基づいて解釈すれば、テロリストと少年が狩りの獲物を奪い合う映画と思うのが正しいことになる。最後は少年が勝ったことでアメリカ大統領がクマとかシカ並みの扱いにされていたわけで、あくまで主人公はフィンランドの少年である。 またアメリカ大統領をめぐる陰謀の映画のようでもあるが、それが最終的にどうなったのかよくわからず、問題を残したままで終わってしまった印象もある。しかしあくまで主人公はフィンランドの少年であるからワシントンでこれから何が起こるかはもう関係なく、少年側がめでたい状態で終わればハッピーエンドである。 そういうことで、あくまでフィンランド側に視点を置いて見れば素直に良さが感じられると思われる。要は天下のアメリカ大統領をネタに使ってフィンランド人が盛り上がる痛快映画だが、単純に可笑しい場面もあって万人が楽しめる映画になっている。  ちなみに自分はフィンランド語は話せないが聞いているのが好きなので、劇中でフィンランド人が朗々と語る場面は聞き惚れてしまう。古老の言葉を後で少年が再現する場面があったが(“Metsä on ankara tuomari…”)、ここはこの少年が格好よすぎて少し感動した。
[DVD(字幕)] 6点(2016-12-17 10:51:24)
753.  歓びを歌にのせて 《ネタバレ》 
大まかに何が起こっていたのかはわかったが、しかしそれで感動したかというと何とも思わなかった。世界が認めた良作なのだろうから貶めるつもりはないが、自分としては乗れなかったということである。ここを見ると自分だけではなかったようで安心した。 個人的印象を正直に書くと、劇中の田舎があまりに閉鎖的で人間関係が面倒臭い上に住民の感情の動きにもついて行けず、何となく冷ややかな目で見ながらラストに至り、そこでまたかなり人工的な感じのする出来事にも共感できるものがなかったという経過だった。また好きになれる人物が誰もいなかったというのも自分にとっては難点だった。  以上だけでは何なのでたまたま個人的に知っていることを書いておくと、スウェーデンの作曲家で音楽評論家のヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(1867~1942)がイェムトランド地方のエステルスンド市近郊に別荘を建て、当初は夏だけ通っていたがそのうち永住してしまい、そこで周辺の合唱団の指導もしていたとのことで、この映画もそんな感じかと思って見ていた…と書こうと思ったが昔の記憶のため今となっては出典不明で確認できなくなっているが、とにかくペッテション=ベリエルの場合は自らも合唱曲を書いていたので合唱指導というのも自然な気はする。
[DVD(字幕)] 5点(2016-12-17 10:51:21)
754.  トロール・ハンター 《ネタバレ》 
けっこう面白い映画だった。 まずはまともな理由の説明もなしに政府が隠蔽していると説く陰謀論的世界観がとぼけた感じである。劇中の説明によるとノルウェーではそこら中にトロール実在の証拠が散在していたようで、谷間に散らばった岩などは実際にトロールのせいだとする伝承が残っている可能性もあるが(本当は氷河のせいだろうが)、そのほか倒木とかジャコウウシとか送電線など、その辺にあるものにいちいちこじつけて語る妄想気味の態度が可笑しい。またキリスト教徒かどうかを真顔で問うのもかなり変だが、実際に隠れキリシタンがカミングアウトした途端に死んでしまい、その後にいきなり代わりが来る流れは都合よすぎで笑った。 笑いの面では送電担当者の「美しい景色」が頂点だったが、ただし全編笑い通しだったわけでもなく、特に前半などはかったるいところもないではない。しかしそれを現地の秋の景観が十分に補っており、地元民にとっては珍しくもないのだろうが、外国人としてはやはりフィヨルドやU字谷のスケールの大きさに目を引かれてしまう。特に巨大な岩山を滝が滑り落ちる豪快さをカメラが捉えていたのは印象的だった。  ただし地方色豊かな映画のため、外国人にはわかりにくいところもあるのは残念である。 まず劇中でトロールの生息地とされていた「ドヴレ」は、ノルウェー国内のオップラン県に実在するDovreという場所を想定していたようだが、トロールとの関連でいえば「ペール・ギュント」にも出る魔の山のことになるだろうから、これは架空の場所を実在の地名にこじつけたと取ればいいのか? ちょっとよくわからないが、とりあえずエンディングの最後に流れた劇音楽「ペール・ギュント」の「山の魔王の宮殿にて」(I Dovregubbens hall / In the Hall of the Mountain King)は、この架空のドヴレに関わる曲であり、終幕に際してユーモラスな印象を残していた。 もう一つ、ラストで出た首相の話は、ノルウェー人であれば実在の「トロール油田」に関するものであることが何となくわかり、うまく編集したな、と思うのだろうが、知らなければ単に話のわかる首相が特別出演したのかと思うところである。 そもそもトロール自体に馴染みのない人間も世界には多いわけだが(自分としてはムーミントロールしか知らない)、それでも一応は制作意図に乗って楽しめる映画になっていた。
[DVD(字幕)] 7点(2016-12-17 10:51:18)
755.  レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー 《ネタバレ》 
基本的に説明不足な映画だが、ほか各種差別感情がまる出しのために無用なところで反発を生む恐れもある。とりあえず自分としてはこの映画で対アイスランド感情が悪化した。 特に欧米人によって戯画化された日本人像をそのままネタにしているのが気に障り、自虐趣味の日本人なら薄ら笑いで済ませるだろうと思われたようなのが腹立たしい。かつて喜々としてキーセン観光に行っていた世代などは放っておくとしても、カミカゼアタックなど現代日本人が普通に口にする言葉ではなく、「トラトラトラ」は神風特別攻撃隊と場面が全く違うので一緒にするなと言いたくなる。また日本人は割箸?を凶器に使わない。  それはそれとして映画の基本構造としては、アイスランド人をあえて悪役にして、クジラを愛する人々(主にイギリス人?)を大殺戮して溜飲を下げる形だったと思われる。正義の味方に見えた沿岸警備隊もさりげなく殺戮側に加担しており、かつてイギリスとの間で「タラ戦争」を戦った連中の後継者であることを自ら示していた。救命ボートで逃げた2人も大型の海生哺乳類に追い打ちされ(シャチのようなものも向こうではクジラ扱いということでいいか)、最後に1人だけ残ったのはせめてものお情けか、あるいはこの惨劇を後世に語り継ぐべき証人ということか。 以上だけならわかりやすかっただろうが、そこに日本人を絡めたために素直に見られなくなっており、何かダシに使われただけではないかという印象もある。また外人の若手女優が2人出ていたのも区別しにくいだけで意味不明になっている。ちなみにこのフィンランド人女優の裸を見たのは2回目だが、だから何だというわけでもない。 かろうじて自分として喜ばしく思ったのは、外人男に比べて極端に小柄で幼く見えながらも対日ヘイトを受け流して賢く他者を出し抜いた日本人が、最後に一人だけかわいい顔で笑っていたことだった。「何やってんのよバカ」という台詞が心地いい。
[DVD(字幕)] 4点(2016-12-17 10:51:16)
756.  エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略 《ネタバレ》 
1940/4/9にデンマークがドイツ軍に占領された時の話である。ドイツ側は装甲車や軽戦車で侵攻し、デンマーク側は自転車部隊やバイク部隊が応戦して兵も死亡しているので戦争映画だろうが、しかしどこまで戦争する気があるのかわからないのが特徴である。 前半でこそ開戦前の緊迫感や最前線の恐怖感があるが、そのすぐ後に20年前の話を持ち出す住民が出たのはかなり拍子抜けで、その後も一般国民に危機感というものが感じられず、国防の任にあたる者としては梯子を外された形になってしまう。それでも主人公は任務を忠実に果たそうとしたが残念な結果に終わってしまい、正直者が馬鹿を見た(死んだ人間は単純に損した)という印象が残る。 最後のインタビューは別々の述懐を並べたものだが一応の流れはできていたようで、様々な思いが交錯しながらも、結局は歴史的事実を受け入れるしかないという諦観があるようにも見えた。  その一方では国民国家の軍隊など無意味と主張しているかのようでもあり、日本国内でいうと例えば「無防備都市宣言」運動の推進者を元気づけそうな映画になっている。しかし無抵抗が有利になるのは相手が誰でも同じではなく、例えば基礎的な文化を共有しているとか、また特に占領側の倫理水準が低くないことが条件になるのではないか。加えてこの映画の場合、デンマーク人はドイツ人と同じくゲルマン系であり、小国ということ以外にドイツ側が見下す理由もなかったはずで、最初から一定の寛容さも期待できたのだろう。条件の違う他国がこの映画から学ぶことなどどの程度あるかという気はする。 またデンマーク王国は今でも徴兵制を維持しているとのことで、その本来の意図としては、他国の侵略に対して国民挙げて抵抗するという意思表示が含まれていたはずである。今になれば隣国(ドイツ・スウェーデン)が攻めてくるとは誰も考えていないにしても、戦後以来のNATOへの参加や近年の平和維持活動を通じて、実力保持が重要との意識は根付いていると想像されるので、やみくもに軍隊不要などと言っているのではないだろうと思うが。  結局何を受け取ればいいのか困る映画ではあるが、とりあえず世の中こういうこともあると思わせる内容にはなっており、邦題に騙されさえしなければ見ごたえのある映画かと思われる。なお少年が撃たれる場面をうちの老母が見れば、「こんなところに子どもを連れて来る親が悪い」と切り捨てることは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2016-12-09 00:15:58)
757.  太秦ライムライト 《ネタバレ》 
京都・太秦といえば個人的には大映の「大魔神」三部作(1966)だが、この映画は東映である。劇中で大御所役の松方弘樹氏も、大魔神と同時期の東映特撮時代劇「怪竜大決戦」(1966)に出ていたが、これは映画自体がそれほど知られていない。 この映画では冒頭から現代的な映像で斬新な印象を出しており、また特にラストが非常にすっきりした形で終わったのは感動的で、続くエンディングの曲も騒がしくなく素直な余韻を残していた。主人公は非常に謙虚な人物に見えたが、その場になれば大御所でも挑発してみせたりして、大御所の方もまたそれなりの顔で応じていたのはベタなようだが盛り上がるのは間違いない。  全体としては福本清三氏の時代劇への貢献を顕彰し、いわば記録保存する映画のように思われる。終盤、川島Pが突然変節したように見えたのは悪い意味で意外だったが、序盤でもこの人物は「人気のダンスグループ」の男の扮装を見て表情を曇らせた場面があったりしたので、別に時代劇を破壊するつもりだったのではなく、この人物なりに若者向け時代劇を再構築しようとしていたと思われる。この映画の監督は、年齢(と経歴)からすれば劇中の若手監督に相当するだろうが、実は劇中プロデューサーと同じ立場で先人に敬意を表する映画を作ったのかも知れない。 また本編の英語字幕が完備していて「北米劇場予告編」というのがあったりするので、時代劇というものを国内限定の文化遺産にせず、いわば人類全体で共有できる文化的価値として知らしめる意図があったとも思われる。実際この映画の監督が、このあと海外向けに「NINJA THE MONSTER」(2015)といった映画を作っているのは実践例かも知れない(が、中身を見ると少し心許ない気がしなくもない)。 ちなみに自分としては松方弘樹氏が、戦国時代を舞台にしたアイドル映画「ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-」(2011、有村架純初主演)で織田信長役をやっていたのを見たことがあるが、これも前記の特撮時代劇と同じように、基本のところがしっかりしていてこそのバリエーションということだろう。その時代劇の基本部分(歴史的事実の尊重を含む)をどのように維持していくかも重要ではないかと思われる。  なお余談として、主人公の妻役で出ていた海老瀬はなという女優は京都の出身で、これより前の松竹映画「京都太秦物語」(2010)には主演で出ていたが、その相手役が著名ダンスグループのメンバーだったことが映画の価値を落としていた。また軽薄なアイドル女優役で出ていた中村静香という人も、京言葉を話す場面はなかったが実は京都出身であり、特に意味のないキャスティングのようでも一定の意図があったのかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2016-11-24 22:22:33)
758.  劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
戦隊シリーズの第37作目とのことである。TVは当然見ていないが、なぜか女子が1人しかいない戦隊だったようで寂しい。この劇場版では女子力不足を補うためか、ゲストの若手女子としてスーパーアイドル1人(後述)と悪役2人が加えられており、うち悪役2人は型どおりカワイイ担当とセクシー担当(または「胸」担当と「脚」担当)という分担があったようである。 時間的には28分しかない映画で、それは戦隊モノの劇場版に共通だろうが今回は特に詰め込み過ぎのようで、展開も早いため部外者には何が何だかわからない。アクションと特撮に時間を取ったからかレギュラーメンバーの個性が出る場面が少なく、またせっかくの悪役女子も結構強かったようだが出番が少ないのでそれほど印象に残らなかった。また今回は副題で示唆されたようにミュージカル映画という趣向だそうだが、それにしては単に歌とダンスが入っていなくもないというだけで、どこがミュージカルだったのかという素朴な疑問が最後に残る。全体として、これの直前に見た「手裏剣戦隊ニンニンジャー」と比較すると、TVを見ていない人間が劇場版だけ見て楽しめる要素は少なかった気がする。  個人的に今回最大の見所だったのは、劇場版ゲストとしてのスーパーアイドルの登場である。冒頭のコンサートの場面では、これだけ多くの観客がいる中で撮影というのはどういうシチュエーションかと思ったが、これはこの映画のためだけに600人を集めたとのことで、観客が劇中の出来事に対応していちいち盛り上がるのが可笑しい。ストーリー的にも歌が重要な役割を果たしており、終盤でスーパーアイドルの歌が世界を救うのは少し(わずかながら)感動的だった。歌唱力の面ではちょっとどうかと思ったが、それはそれとして中村静香という人は可愛い(というかこの人が出ているのでこの映画を見たわけだが)ので、できればもっとかわいく見せてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 4点(2016-11-24 22:22:31)
759.  新スパイガール大作戦 惑星グリーゼの反乱 《ネタバレ》 
公式サイトによると、2011年4月に撮影の予定だったが震災の影響で6月に延期され、公開はさらに遅れて翌2012年の夏になったとのことである。「新スパイガール大作戦」のシリーズはこの映画で6作目とのことで前回からの出演者もおり、うち神楽坂恵という人は前作(2008年)の公式サイトでは「グラビアアイドルから女優転換を目指す」と紹介されていたが、前作からここまでの間に転換が実現したらしく、この映画では少し大物の役になっている。  ところで題名の惑星「グリーゼ」は、現地語で何か意味があるのかも知れないが、地球人にとっては地球の著名な天文学者ヴィルヘルム・グリーゼ(1915~1993)の名前の印象が強い。この学者は太陽系に近い恒星のリスト(グリーゼ近傍恒星カタログ)を作成した人で、「グリーゼ581」といった恒星の呼び名に頻繁に使われるので、個別の惑星の名前に使うということは本来考えられない。しかし日本国内では以前に「電磁波怪人 メシエ星雲人」(帰ってきたウルトラマン、1972年)のようなネーミング例もあり、この程度の非常識さは容認されていると考えられる。 劇中の惑星は地球から約20光年離れているとのことで、この惑星が属する星系の主星にもグリーゼのカタログ番号が付いている可能性がある(例:前記のグリーゼ581は約20光年、周囲に「グリーゼ581c」など複数の惑星が発見されている)。映画全体としては荒唐無稽な話だが、微妙に現代科学の知見を取り入れた内容のように見えなくもない。  また劇中ではなぜか2011年3月10日という日付が特定されているが、これがどういう意味なのかは結局最後までわからなかった。現実世界でこの日付の直後に起こった世界最大級の原発事故と、この映画に出る宇宙人が血液を欲していたことを考え合わせると、昭和特撮ファンとしては「ウルトラセブン」(1967~1968)の第11話と13話の間に放映された回(※現在欠番)との関係性を想定してしまう。しかし本当にそういう意図のもとで映画を作ると非常に不謹慎な内容になっただろうと想像されるので、この完成品のように多少気の抜けた内容でも制作中止になるよりはましだったと思われる。ちなみに題名の「反乱」の意味も不明だった。  ほか全体的には宇宙人の侵略物になっているが、超低予算らしくほとんど一つの建物内だけで撮影されたようである。笑えるところもなくはないが75分という時間に対しての密度は低く、またなぜか端役の一人ひとりに焦点を当てる場面が用意されていたりして冗長になっている。スパイガール3人は一応キャラ立ちしているが、個人的には「清純派グラビアアイドル」(映画公式サイトでの紹介)の中村静香という人がかわいいのを見ていれば満足であり、バストの大きさを強調しないのは抑制が利いていて好感が持たれる。 もしこれを見ようとする人がいれば(いないだろうが)、それぞれ何とか自分なりの楽しみ方を探すようお勧めしたい。こんな中身のない映画をネタにして長文を書く自分はえらい。
[DVD(邦画)] 2点(2016-11-24 22:22:28)
760.  THE MASKED GIRL 女子高生は改造人間 《ネタバレ》 
45分という中途半端な長さだが、同じく女優のアクション映画「ハード・リベンジ、ミリー」(水野美紀主演、44分)と同時公開だったとのことで、2本合わせてそれなりのサイズということらしい。 中身に関しては、まずいたいけな少女を人体改造するという発想自体が気に入らない。君に×××の力を与えた、今日から君は○○○だ、と口で言えば済むものを、あえて物理的改造(手術台のようなもので白衣を着た者がする)にこだわる必要などあったのか。そういうものが好まれた時期だったのかも知れないが、史上最初の仮面ライダーの時点で、改造された人間の悲哀がにじんでいたことを知っている世代としては全く容認できない。 また変身ヒーロー物として見た場合、ラストで悪が滅ぶわけでもなく、当面の謎を残したまま次の戦いを待つ形で終わるので、要はTVシリーズの第1回に相当する内容しかないことになる。もしかするとシリーズ化を目論んでいたのかも知れないが、本物のTVシリーズなら30分番組の枠に収めるはずのものを45分もかけてやった形であるから密度は低く、これで次回に期待しようという気も起こらない。  一方アクションという点では、主要人物の女子高生役2人がけっこうハードに頑張っていたようで少し感心した。この2人は当時「美少女クラブ31」なるものに所属していてアクション志向などでは全くないだろうから、少し指導を受けただけで一応のアクションをこなすというのは基礎的な運動能力が高いのだろうと思われる。ダンスをやっているとこういう動きも無理なくできるのかと思ったりもした。 またこの女子高生役2人が期待どおりの美少女なのは大変よいことである。基本的には中村静香という人が出ているので見たわけだが、今回は主演の清水由紀という人も好印象で、劇中の事態に対する女子高生としてのリアクションが(リアルかどうかは別として)非常に可愛らしい。メイキングでは監督が、「変身ヒーロー物の作品」として作ったが、できてみると「これはアイドル映画なんだ」と思ったとのことで、それはまことに同感である。 なお変身ヒロインの名前はTHE MASKED GIRLなので仮面ガールだろうが、主人公がせっかく二輪車を愛用しているわけなので“ライダー”という言葉を使えなかったという気はする。具体的にどうすればいいかは思いつかないが。
[DVD(邦画)] 2点(2016-11-24 22:22:24)
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