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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3888
性別 男性
年齢 53歳

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61.  宮本武蔵(1944)
不思議な感じのする『宮本武蔵』映画、であります。美しい風景のショットであったり、奥行きのある構図であったり、武蔵の静かな佇まいであったりと、ズバリズバリと配置されていく印象的な光景に目を奪われ、「そういやこれって戦時中の作品なんだっけ?」と改めて驚かされます。が、一方でその“余裕”のようなものが必ずしも隅々にまで行き渡っていないような気も・・・。1時間に満たない短尺、本来展開されるべき殺陣(吉岡一門との対決)なども省略されて描かれた、切り詰められた本作では、他の映画なら「ま、いいか」と見逃すような点も何かと気になってしまう。例えば、スィスィ~と滑っていくべきハズの移動カメラ、これがガタついて揺れてしまうのが、いかにももどかしく残念。また、ひとつの見せ場である、野々宮姉弟襲撃シーンの長回し。カメラの前で舞台劇風に展開されるのが、ここではどーも段取りクサく見えてしまってしょうがない。あたかも、「実験的」と称する作品が単なる「実験」になってしまい薬品臭が感じられてしまうかのような後味の悪さ・・・。クライマックスの巌流島の対決(武蔵到着の場面ではナゼか越天楽が流れる)、これは割と正攻法の描き方、と思いきや、武蔵と小次郎の距離感が異常に短い!ナゼなんだ~。ここまでくると、恐らく意図的に対決のダイナミックさを削ったんじゃないか、とも思えてくるが、違和感は拭えない。というわけで、何と言いますか、全体的に、「作為」が「作為」として成功している部分と、「作為」が「ケチ臭さ」に感じられる部分が交じり合った、いささか奇妙な作品になっているように思えました。それがこの映画独特の存在感であり、一種前向きな「物足りなさ」、なのかもしれませんが。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-12-07 11:43:04)
62.  逃走迷路 《ネタバレ》 
とにかく冒頭からやたらテンポがいいです。開始早々、あっという間に主人公は濡れ衣を着せられ警察に追われる身に。ここまでテンポがよいと、ちょっとイヤな予感がしてくるのですが、案の定で、大した伏線を張ることもなく、スイスイとお話が進んで行く。テンポが良すぎて、シーン前後の繋がりの悪い、説明不足の部分も散見されます。それにこの映画における主人公の立場が曖昧なのがどうにもイタい点、テロ組織は彼をどうしたいのやら、よくワカランし(ロクな確認も行わないヌルい組織だ)、主人公自身も脚本家も、警察に追われているという立場を後半忘れてしまったんじゃないか?という迷走ぶり(「警察と組織の両方から狙われる」というルールを提示した以上、最後まで通してもらわないと・・・)。ビルの窓からメッセージを落とすシーンも、さほど有効に機能しておらず、場当たり的との印象を強める。「サービス過剰は必ずしも大サービスならず」と言ったところでしょうか(我ながら名言だ・・・?)。さてしかし、やはり数々の見所はやっぱり忘れ難いものがあるわけで、例えば冒頭の火災シーン、なかなかにスタイリッシュ。あるいは中盤、ダンスしつつイチャイチャする二人に、しっかり追随していくカメラ。そしてお馴染み、ラストの自由の女神。実に迫力あるシーンに仕上がっています。フライが落ちて行くときの悲鳴、文字では何とも書き表せないような絶叫で、なかなか心がこもっておりました。ははは。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-27 22:41:13)(良:1票)
63.  素晴らしき日曜日
戦後を舞台に、とある何でも無い貧乏カップルの、ややツイてない休日を描きます。クライマックス、何と映画の中から観客に語りかけてくる!これがいわゆるバーチャルレアリテーとかいうやつですかいな。コレばかりは正直、どうかと思いましたけどね。幸せって、世の中に転がってるもんじゃなくて、自分の中に見つけるもの、例えば、音楽会に行けなくても自分の中で音楽が鳴り響いていたら、それも一つの幸せなんだなあ、ということで、色々身につまされるものがあります。ああ今の私って、幸せと言えるのかなあ。
7点(2003-10-19 00:04:09)(良:1票)
64.  踊る大紐育(ニューヨーク)
上陸許可を得た3人の水兵さんの、ニューヨークにおける一日。ナンパしたり逆ナンパされたり、それぞれ女性とイチャイチャして、3組の男女プラス1名(?)が、歌って踊る他愛ないオハナシ。ミュージカルなので、歌って踊るたびにストーリー進行がストップしちゃうけど、もともと、進行がストップしても差し支えない程度のオハナシなので、気にせず歌とダンスが楽しめます。そしてその合間にはちょいと笑いも挟んでみたり。ちょいとカーチェイスまでやってみたり。 何せ6人で歌ったり踊ったり、なもんで、当時の1.37対1(でしたっけ?)の画面サイズには、ちと収まり切りません。もう少し横長の画面が欲しくなります。ただ、それだけじゃなくって、カメラに対し人物が重なってしまう部分があったりして、ちょっと雑な部分もあるかな、と。ミュージカルたるもの、とことん計算された画面で、とことんキメて欲しいところです。 面白いことは確かに面白いんですけれども、終盤、ややダレ気味になるのも、残念。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-01-11 21:42:59)
65.  頭上の敵機
所詮は敵の弾も飛んでこないし爆弾も落ちてこない基地が舞台、という胡散臭さがあって、新たに指揮を執ることになったグレゴリー・ペック、部下たちの規律を正すべく、ビシビシと容赦ないのですけども、そういうアンタだって何ほどのモノよ。と言いたくなる。 言いたくなるけれどそれを言わせないのが、やはり、グレゴリー・ペックだからであって。いくらビシビシと厳しく部下にあたっても、基本的には常識人らしさが漂っており、何となくヘンな安心感がある。結局、最初から最後まで、戦争の非人間性みたいなものは希薄で、その点ちょっと物足りない。どっちみち「赤狩り」の時代に、これ以上踏み込むことはできなかった、という面もあるのかも知れませんが。 いずれにしても、終盤の爆撃の場面まではこれといって戦闘シーンも無く、厳しいことを言ってみせはするけど「本当はイイ人なんです」感をプンプン匂わせてしまうグレゴリー・ペックにも迫力がなく、彼に生死を左右されるであろう部下たちの反発もさらに迫力がなく、どうもイマイチ戦争の厳しさが感じられなくって。終盤に彼が参ってしまう場面を、我々はどう捉えてよいのか。そして、出撃した21機のうち、「19機も帰ってきた」と、本当に捉えてよいのか。それとも「2機は帰って来なかった」と捉えるべき、なのか。 時代的な制約はあるだろうし、今の視点で云々するのも後出しジャンケン的ではあるのだけど、どこかしっくりこないのも事実。 爆撃シーンは実際の戦闘の記録フィルムを使っていて、ある種の説得力を持たせようということかも知れないけれど、ちょっと安直な気も。何よりも、やたら淡々と飛行機が墜落していくのを、これもどう捉えてよいのやら。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-09 14:14:34)
66.  心の旅路 《ネタバレ》 
戦争で記憶を無くし、自分が誰なのかもわからない男が、女性とめぐり合い、幸せな生活を送りはじめようとした矢先、外出先で事故に合い、かつての自分の記憶を取り戻すと同時に、女性との日々の記憶を失ってしまう。記憶喪失者が記憶喪失するというなかなかスゴイお話で、中盤まではグイグイ引っ張っていきますが、二人が再開してからがどうも長過ぎ、クド過ぎ。これは感動が醒めるに充分な長さであり、いざハッピーエンドを迎えても、「今さら・・・」感が、無くも無く。 チャップリンが『街の灯』でスマートかつ印象的に描いてみせた、二人の出会いと再会に比べると、どうしてこうもまどろっこしいのやら。 男が女性のことを忘れて元の生活を始めると、映画も女性のことを描かなくなり、その分、見てる我々は、あの女性は今どうしてるのだろうと心配になる訳で、これは演出としては正解だと思うのですが、いざ、件の女性が登場すると、その間に経験したであろう様々な苦労もセリフでさらりと流されるだけ、妙にサバサバしているのがどうも引っかかります。 最後、すべての記憶を取り戻すオハナシにする必要があったのか、とすら思えてきて。ハッピーエンドが妙に虚しく、妙に安っぽい。 本作でちょっと面白いと思ったのが、音楽の使い方で、最初の方、劇伴音楽と効果音や劇中に流れる音楽が混然一体となって、なんかチャールズ・アイヴズみたいなコトやってるなあ、と。主人公の混乱した記憶を象徴しているらしく、終盤にも同様の手法が登場しますけれど、そうか、映画音楽という口実を使えば、実験音楽みたいな事をやっても言い訳が立つんだなあ、と。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-06-21 17:54:17)
67.  郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946)
原作の魅力を支えているのは、粗暴・粗野・素朴で、教養があるとは言えない主人公の一人称の語り(巧みな文章というよりも、ストレートで、であるが故にハードボイルドな語り)にあるのでしょうが、本作、どういう魅力をここで表現しようとしているのやら。多少のアレンジがなされているとは言え、一通りストーリーをなぞってみただけ、という印象。ついでにタイトルにも強引に意味を持たせてみて、その努力、涙ぐましくはあるけれど。 暴力性も感じさせず、虚無感も乏しく、総じて、張り合いのないくらいにおとなしい映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-10-24 14:37:31)
68.  ロープ
くそ長い(疑似)ワンショット撮影で有名なこの作品。まるで子供が「何秒間マバタキをガマンできるか」意地になって競っているような作品ですが、ここで行われているのはそんな遊びとはまるで比較にならない大がかりな実験。スタジオ撮影の極限を目指したような、ほとんど曲芸のような作品で、その執念にはただただ恐れ入るばかりです。しかし、そりゃ映画の裏側の事情でしょ、という気もして、映画を観る立場としては、制約の多い不自然な映画、という気もしてきて、要するにこれは映画作家の自己満足じゃないのかい、という気がしてくる。もっとも、「この作品に関する限り、それは言わない約束でしょ」と言われそうですけれど。確かにこの作品、徹底した長廻しにより、独特の時間の流れがここには表現されているし、その中で繰り広げられる人間模様のモザイクの中から犯罪の痕跡が徐々に浮かび上がり、やがて「探偵役」と「犯人役」の対決へと結びついていく、という脚本の巧みさも、見事。しかしその一方で、限られた舞台という制約が、やや人間関係の描き方を肉薄にしてしまったのも否定できないかな、と。作品の創作にあたって、制約はあくまで「可能性」を示すためのものであって欲しい訳で、制約がそのまま制約と感じられてはマズいですよね・・・? という点では本作、やや制約に引きずられた面のある作品に思われます。しかし、「どーだ、これで、一般の作品でアタリマエのように用いられている“切り返し”の意義がよーくわかっただろ」と言われれば、「すみません、まだ全然わかりません、勉強します」としか答えられませんけれど。映画は本当に難しい。
[DVD(字幕)] 6点(2010-04-19 02:45:02)(良:1票)
69.  断崖
言ってみりゃ、全然面白く無い、なんでもない話を、見せ方ひとつで面白く見せちゃおうっていう感じの映画。そりゃもう盛り上げ方は断然ウマいんですけどね、ラストはずっこけましたよ。より日常に近いリアルな話ってことなんでしょうが、語り方と語る内容のズレとでも言いますかね、この期待感をどうしてくれるの、というやり場の無い気持ちが残ってしまいました。
6点(2003-08-31 12:41:02)
70.  青空に踊る
日本との戦争のさなか、アステア演じる撃墜王たる主人公にも休暇が与えられ、さっそく美人カメラマンにつきまとう。ジンジャー・ロジャースの相方の「フレンド」だ、などとウソ(?)をついたりして。で、相思相愛いい感じ、と順調に進んだのでは映画として面白くないけれど、変にモタついてばかり、これはこれであまり面白くない。いや、アステアのダンスが拝めりゃストーリーなんて二の次で楽しめるんだけど、ダンスシーンもあまり出てこないもんだから、さてどうしよう(でもダンスが始まればやっぱりスゴイのだけど)。そうこうしているうちにアステアは戦場に戻ってしまい、かなり「なんのこっちゃ」な展開で終わってしまう。ただ、1943年という時代背景が、ここにそのまま投影されているんだなあ、とは思います。まさに戦時下、休暇が終わればまた戦争なんだな、と。逆に言えば、こんな時代に、こんな生々しい題材を内包しながら、よくもこんな平明なミュージカルを作ったものよ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-02-19 23:14:28)
71.  国定忠治(1946)
ご存じ、忠治親分の大活躍……と思いきや、正直、あんまし活躍してません。作品が作られて70年近くも経ってから言うのも何なんですが、もうちょっと戦後の日本を元気づけるような活力あふれる作品になってても良さそうなもんですが、GHQの陰謀なのか、それとも、予算不足、準備不足、はたまた、やる気不足なのか。70分ほどの短い作品ながら、工夫も盛り上がりもあんまり無くって、ちょいとつらい。これは“スランプに陥った国定忠治を描いた作品なのか”とでも言いたくなる…。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-09-05 23:18:43)
72.  死体を売る男
ヴァル・リュートン製作の怪奇映画シリーズ。原作がR・L・スティーヴンソンに監督はロバート・ワイズ(!)、そして出演がボリス・カーロフにベラ・ルゴシってんだから、何か文句ありますか、ってな布陣なんですけれども。残念ながらちょっと文句付けたくなっちゃう。内容的には、「解剖用の死体を医者へ供給するために、墓を暴いていた死体泥棒の男が、やがて死体を得るために殺人を犯すようになり……」というオハナシ。クライマックスには日本の怪談みたいなオチが待っていて、悪くないんですけどね。殺人の場面なんかも、“街を歩く歌手が暗闇に消え、彼女を追う馬車も暗闇に消え、最後に歌手の歌声が消える”などという、「すみませんちょっと狙っちゃいました」的な、なかなか風流な演出、悪くないと言えば悪くない。じゃあ本作の何が悪いかっていうと、なんかいかにも、ストーリーをそのまま順序良く語っちゃった、みたいなヒネリの無さ、ですね。場面場面ではオヤと思わせるものはあっても、全体を通してはやや一本調子な感じは否めません。纏まりが良く安心して楽しめるけれど、怪奇映画で安心させてどうすんのよ、と。
[DVD(字幕)] 5点(2012-08-28 21:29:51)
73.  ベルリン陥落
キミョー奇天烈なる戦争映画。まず冒頭、アリョーシャとナターシャのラブラブな場面が描かれる(って言っても、このアリョーシャがまた冴えないオッサンなんだ、これが)。草原でラブラブな二人、と、そこに唐突に襲いかかるドイツ軍(ホントに唐突なんだ、これが)。ナターシャはドイツ軍の囚われの身に!復讐に燃えるアリョーシャ、と思いきや、彼は脇役に転落、映画はなんだか歴史ドキュメンタリみたいな様相に一変して、どっちかっつーと、途中からヒトラーが主人公になっちゃったみたいな印象(似てるんだ、これが)。変なニホンジンも登場したりして、トホホホホ。第2部ではいよいよソ連軍の猛反撃!って言っても、ソ連軍の快進撃ばかりで、派手な割にはいまいち盛り上がらない戦闘シーン。あれよあれよと言う間に、ベルリンは陥落、スターリン様ありがとう、マンセー!じゃなくてウラー!ってな映画でした(スターリンもまた、似てるんだ、これが)。スターリンが英雄視されてる、っちゅうより、もはや神格化されちゃってますね~。音楽はショスタコーヴィチ。交響曲7番なんかも挿入されたりするんだけど、はっきり言って、つまらな過ぎ。このぬる過ぎる音楽には辟易します。勿論、時代背景とショスタコの曲者ぶりを考え併せると、このヌルさをそのまま額面通り受け取るわけにもいかないのでしょうけど、「これがショスタコだと思ってほしくない」音楽であることは間違いないでしょう。というわけでまあ、変な映画には違いないんですけども、逆に、プロパガンダのためにはこんな変な映画を作っちゃうという驚き、この驚きだけは、時代を超えた普遍性を感じさせるわけで、これも映画の魔力の一種には違いありません。人に、国に、ここまでさせちゃう“映画”って、いったい何なんでしょうね。
[DVD(字幕)] 5点(2008-11-03 12:02:58)
74.  紳士協定
ユダヤ人差別を告発するために主人公の作家さんが、しばしユダヤ人としての生活を送ってみる、というオハナシ。当時としてはこのテーマを取り上げたのは画期的だった、と言われればそうなのかも知れないし、またこれが当時の限界だった、と言われればそうなのかも知れないけれど。でもやっぱり「浅すぎる」よね。時代の切り込み隊長を買って出るなら、それこそ“肉を斬らせて骨を断つ”というような、相応の覚悟が必要なのでは。「根深い問題でもありますし、まあこの程度から始めてみましょう」的なヌルさが、完全に作品をスポイルしているように思え、豪華で手の込んだ映画の作りが、かえって虚しくもあり。要するにオスカーを獲っちゃう程度の「手加減」が本作の泣き所。コメディとして笑いの中に風刺を効かせるでも無し、生真面目な作りの一方で、冒頭から「パパ、再婚しないの?」なんぞと、通り一遍の恋愛モノを予告してみたり。肝心の差別問題については、映画の中で映画的に描写されることも殆ど無く、軽いイジメラレ体験を息子に語らせてみるあたりが関の山。んなコトばっかりやってるから、後で(不本意であったとは言え)赤狩りにも加担するんでしょうが、と言いたくもなる。石をぶつけられる覚悟が無ければ、時代に楔を打つことはできない。この作品の存在自体が、“紳士協定”の上に乗っかっているような感じがして仕方が無い。無論、かく言う私こそ、そんな大それた勇気など持ちあわてはいないが、その勇気の無さをしっかり自覚して生きていきたいとは思っている。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2011-12-04 10:16:54)
75.  バターンを奪回せよ
ジョン・ウェイン主演の戦争映画、と来ればどんな大作かと思いきや、これがどうにも要領を得ない内容でして。ただ、この作品、日本との戦争の最中に作られたタイムリーな作品、なんですよね。だもんで、日本人は容赦なく徹底的に悪者として描かれ(蔑称“ジャップ”も連発され)ており、考えようによっては、時代の空気をしっかりと刻みつけた非常に正直な作品とも言えるかもしれません。例えば、指示に従わぬ民間人を吊るし首にする残虐な日本人将校。後日の反撃で捕えられると、早速彼も吊るされてしまうというあたりの、実にストレートな判りやすさ。善vs悪の構図を装いつつ、実際は、やられたらやりかえせ、のノリ。いや、ホントに正直だと思う。上述の「要領を得ない」と言うのは、後半の戦史を無理やり追いかけるような性急さもそうだけど、本作のキモであるハズの“バターン死の行進”が、意外にアッサリ描かれていることでして、これでは何だか局所的偶発的な残虐行為のひとつ、みたいな感じ。要するにこういった「要領を得ない感じ」というのも、もしかして、「当時としてはコレで十分に伝わる」ということだったのかな、と。戦後に作られた戦争スペクタクル映画と比較すると戦闘シーンもかなり貧相だけど、「当時としてはコレで十分盛り上がった」のかな、と。と言う訳で、いささか完成度の高い作品とは言いにくく、またそれだけに、「心しておかなければイケナイ事が世の中たくさんあるのだ」と言う事を感じさせる作品でもあるます。まあ、そういう中で、アメリカ人の活躍ばかりではなく、フィリピン人ゲリラの勇姿を取り上げている点は、―――アメリカがフィリピンを植民地にするのはOKなのかよ、とか言うツッコミはあるかも知れませんが―――映画に幅を持たせるという点に関しては、注目に値しますかね。
[DVD(字幕)] 4点(2011-04-27 23:04:22)
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