61. 緋文字
(あ、いつの間にか作品登録されてる。この映画を見たのはずっと前なんですが、長いこと書く機会がありませんでした。)ストーリーに関して言えば、原作のテーマもストレートに伝わって来ず、読み取れるのはラストで閉塞的な社会から解放された、ということぐらい。むしろ、あのラストからヴェンダースの本格的な「旅」が始まると考えられなくも無い。やはり、本作はイエラ・ロットレンダーと映像美に尽きると思う。ロットレンダー演じるパールの無邪気さは悲壮感を薄めてはいるが、彼女の神秘的な魅力が本作に華を添えていると言っていい。加えてオープニングの2人が海辺を歩くショット、寒々とした風景がラストにもたらす開放感、パールの緋の服も画面の中で映えている。そして、本作の失敗からロットレンダーという収穫を得たというのは、やはり巨匠だからこそなせる業なのかもしれない。ヴェンダースファンなら一度は見ておくべき映画だろう。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-10-22 13:55:52) |
62. フィオナの海
羽衣伝説そっくりのローン・イニッシュの「フェアリー・テイル」。本作の魅力の1つはジェニー・コートニーに負うところが大きい。演技はイマイチだが、それ以前に影のある雰囲気が映画に合っている。こういう子役はなかなかいないだろう。ストーリーは現実と御伽噺を違和感なくつなげているが、その点ではラストがあっさりしすぎているのはやや残念。せっかくならミステリアスなままの終わり方でよかった気がする。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-19 16:58:02) |
63. サイン
少なくとも全編に渡るギャグ(アルミの帽子等)と低予算丸出しの演出(ダンスシーン等)を見れば、確信犯的なバカ映画だということはすぐわかるはず。主役2人のシリアス演技が喜劇色を強めているが、とくにホアキン・フェニックスの熱演は爆笑モノ。衝撃映像を見るシーンとラストのスウィングのシーンは特に笑えた。やはり、シャマラン監督が1番間違っているのは作品の売り込み方だろう。日本の宣伝会社は家族愛をメインに売り込んだことを思うとかえって可笑しい。 [DVD(字幕)] 7点(2005-10-08 18:20:03) |
64. スポーン
敵の銃弾をよたよたと避け(損ね)ながら、戦うスポーン。よ、弱ひ。 [地上波(吹替)] 3点(2005-10-06 16:34:45) |
65. スター・ウォーズ/帝国の逆襲<特別篇>
個人的には1作目よりこっちのほうが面白かった。画像修正されていることもあるが、やはりヴィジュアル・センスが良い。オープニングのスノーウォーカーのデザインなどが特に好きである。そして前作より格段に進歩したライトセーバー戦、アクションシーン。さらにダース・ヴェイダーの魅力も十二分に発揮されているのだから2作目でも文句なしに楽しむことが出来ました。結果的にはシリーズで1番好きな作品ということになるかな。 [地上波(吹替)] 8点(2005-10-06 16:22:29) |
66. 小さな目撃者(1999)
筋を言えば、マヌケな泥棒とガキの鬼ごっこ。コメディにもシリアスにもなっていない中途半端な雰囲気に若手芸人のスベリまくってるコントのノリで、正直見ていて疲れた。ハッキリ言って「ホーム・アローン2」以下。ラストの急な展開からは、スタッフの投げやりな雰囲気すら伝わってくる。ウィリアム・ハートのアクションシーンなんかとる必要あったんかねぇ。おまけに口が利けないという設定が少女を生意気に見せてしまっているし。オランダ人監督によるただのオランダの観光映画ですな、これは。 [地上波(吹替)] 3点(2005-10-04 23:14:16) |
67. レオン(1994)
《ネタバレ》 「純愛」だとか言っといて結局ベッドインを求めたり、メッセージ性が露骨過ぎる麻薬シーンなどがある完全版よりは評価出来る。今や言わずもがなのベッソンだが、本作もリアリティがあるか、と言えばやはり無い。その点では「ニキータ」のほうが良く出来ている。それから、ラストは死にに行ったという考え方には疑問。即死したら台無しだろう。それから本作の脚本で気に入らない点を付け加えるとすると、レオンは偶然スタンスフィールドに狙われた、という設定。マチルダ絡みの理由にしたほうが急な展開にならずにすんだはずである。最後に、ラストのトニーの行動はただケチだったからではないと言う捉え方もたしかにありかもしれない。女性のために辛い目に遭ってきたレオンが今度は少女に騙されようとしている、そんな悔しさからだという考え方も出来る。とは言ってもベッソンがそんな手の込んだ裏設定を考えていたとはとても思えないのだけれど。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-04 01:24:32) |
68. バットマン・フォーエヴァー
それまでのダークなイメージを払拭し、ロビンを登場させることで映画自体は子供向けになってしまっている。これはアメコミ原作と言う点から考えても「退化」に他ならない。そもそも、ティム・バートン監督によるバットマンシリーズは「バットマン:ダークナイト・リターンズ」をモデルにしていたのに対し、本作以降のバットマンは50年代以前のノリに近くなってしまっており、ダーク・ヒーローとしての魅力はない。これではただのB級映画である。とは言っても、キャスティングには4作目ほど怒りを感じないのでおまけして4点。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-10-03 17:02:06) |
69. メン・イン・ブラック
コメディなのは判るけど、個人的にはせっかくだから「プロの仕事ぶり」を見せるようなかっこいいシーンが欲しかった。それを痛烈に感じたのはJが最終テストを受けるシーン。Jの解説を聞いて「あぁ、なるほど、この観察眼を見込んで抜擢するんだな」などと勝手に考えていたら・・・「彼は従順さにかけるな」「しかし、あれを足で追い詰めたんだ」。おいお~い、それじゃ最初っからテスト受けさせる必要なんかなかったじゃんかよ~。まぁ、こんなペースで進んでいくので印象に残るシーンは特に無し。おまけに最後にローレルが2人を救うシーンでは2人はエイリアンに襲われかけていたことに気づいていなかった模様・・・ はぁ・・・本当にこんなんでいいんでしょうか?まぁ、それらを抜きにしても別に存した気分にはならなかったので6点。 [地上波(吹替)] 6点(2005-09-30 20:41:20) |
70. プラクティカル・マジック
見た理由ははりマンさんと同じです(笑)。彼女に限って言えば、今回はニコールとの2ショットも果たせてなかなか美味しい役どころだったと思います。しかし、作品の出来はと言うと豪華キャストを無駄遣いした出来損ないのデート映画、と言った感じでした。とにかく、後半のストーリーがメチャクチャ。エクソシスト、コメディ、サスペンス、家族愛、ハッピーエンド、全てをゴチャ混ぜにしたような感じで見ている側は全く共感する余地のないまま終わってしまいます。そもそも、魔女、というよりただのまじない一家だし・・・まぁ、サンドラ・ブロック、ダイアン・ウィーストははまり役でしたけど、ニコール・キッドマンはエクソシスト演技を含めて最後まで違和感が拭えなかった。キュートなウッドと役者陣にちょっとだけおまけして4点。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-09-30 17:53:26) |
71. キッド(2000)
大人向けのテーマを扱っているにも関わらず、演出は完全に子供向けの甘い作りになってしまっている。ディズニーだから仕方のないことだけど、この演出が映画を印象に残りにくくしてしまっている原因だろう。もうちょっとシリアスに作れば「天使のくれた時間」みたいに面白く出来た可能性があるだけに残念。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-09-19 18:05:38) |
72. デトロイト・ロック・シティ
う~ん、時間を作ってまで見るほど面白くはなかった。このテの青春映画にありがちな下品さも今回は許容範囲。でも、なにも童貞を失ったからって成長するとは思わないし、なによりバカなトリップがうっとおしい(ラストで取り戻すが)。デトロイトを魅力的に撮った点は評価できるけど・・・そもそも、海外でも標準以下の評価なのになぜ日本ではここまで人気なんだろう。男性よりも女性に受けがいいわけは?そっちの理由を知りたい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-09-19 11:40:28) |
73. トラフィック(2000)
90年代に泣かず飛ばずだったソダーバーグ監督だが、本作は久々に「ソダーバーグの本領発揮」とも言うべき作品になっている。無理に娯楽性を追及せずにドキュメンタリー・タッチに徹したことが良かったのだろう。冒頭の「笑えないジョーク」や毒殺オチには参ったが、主要キャラ3人の顔合わせをさせないという設定が話をわかり易くさせ、普段の「ゆれるカメラワーク」もかえって作品にリアリティを持たせている。メキシコの2つの組織の対立と、アメリカとメキシコの刑事が共に相棒を失うところは興味深かった。ラストの盗聴器も終わりなき戦いを象徴していて余韻を残してくれる。ただ、ヘレーナの変貌が理由・結果という安直な描かれ方なのが残念。キャロラインが家出するシーンもどうせならオリジナルどおりロバートに追い出されるほうが良かった気がする。それにしても、次回作「オーシャンズ11」以降の失速振りをみると、どう考えてもソダーバーグは「セックスと~」以降の失敗から何も学んでいないとしか思えない。ソダーバーグの次の「復活」はいつになるだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-11 23:12:35)(良:1票) |
74. 激突!<TVM>
サスペンスシーンはたしかに評価できるんですけど、もうちょっとタイトにまとめてもよかったかな、と思います。なによりも事件に突入するまでがやたら長い。そもそも、TV映画だと納得できるシンプルな題材なのに10分以上かけてやっと本題に入るってのは理解できなかった。第一、家族を登場させる必要なんか全くないでしょう(出演料を無駄に増やすだけですし)。実際、オープニングで眠くなりかけました。結果として言えるのは、頼むからオープニングは丸ごと削ってくれよ、ってことですね。 [地上波(字幕)] 7点(2005-09-11 19:23:24) |
75. ビーン
テレビ版は見たことがないのですが、みなさんのコメントを読ませていただくと、本来のビーンは「こち亀」の両津勘吉キャラのようですね。この映画に対して破壊屋のギッチョさんの言うところの「駄作を見て、あ~くだらなかった、と笑うことは出来ても、笑えない映画を見て、あ~笑えなかった、と笑うことは出来ない」ということを実感しました。おまけにギャグとはいっても、下ネタだったり、手術で腹の中を探るような痛々しいものが多いのが受け付けられませんでした。 [地上波(吹替)] 3点(2005-09-06 18:57:12) |
76. チャーリーとチョコレート工場
ファンの人に言わせれば「バートンが原点に帰ってくれた」などと評価されることだろうけど、個人的にはやはり監督は「ビッグ・フィッシュ」でいい意味で大人になったと思わされる映画だった。ジョニー・デップの存在感に加え、原色を使ったセットの数々はいつもながらセンスを感じさせるし、いざというときに歌うウンパルンパも楽しいが、それ以上に盛り込まれたブラック・ユーモアはファンタジーというよりも教訓的な寓話を作り上げていて、そこがバートンの父親の視点も強く感じさせる。余談だが、子役たちが性格に負けず劣らずアクの強い顔つきばかり、毎度ながらバートンの役者選びには感心させられる(バットマンシリーズは別)。クリストファー・リーは「スリーピー・ホロウ」にも出演していたが、オタク監督バートンの元ドラキュラ俳優への敬意の表れなのだろう。ラストの展開もたしかに「ビッグ・フィッシュ」だ。一歩間違えると陳腐になりがちだが、監督の演出によって、わざとらしすぎないメルヘンチックな温かみを持った終わり方になっていて、後味は非常にいい。バートンファンも「ビッグ・フィッシュ」似だからといって目くじらを立てずに、にラストを静かに見守って欲しい。 [映画館(字幕)] 8点(2005-09-06 00:01:08) |
77. シックス・デイ
あくまでもB級映画と割り切れば、駐車場で車を発信させたり、後半で科学者をあっさり殺したりするシーンなどがそこそこ凝っていて許容範囲といった感じ。しかし、ラストはさすがにポジティブすぎてイマイチ。お前ら寿命の話はどうなったんだよ、と突っ込んでしまう。まぁ、この映画はあくまでも「クローン」と同系列の映画に分類されるんだろうけど。 [地上波(吹替)] 5点(2005-09-03 15:46:58) |
78. EX エックス(2002)
ここまでつまらない映画は久しぶり。いや、むしろまったく「映画」を見た気がしない。スキーシーンだけならそれなりだけど、とにかくテロリストたちがあんまりに間抜けすぎて見ていて煩わしい。いくら雪山だからって毎回テロリストネタに持ち込むなよ。小説なら陳腐でもストーリー着けりゃ売れるだろうけどさ(ダ・ヴィンチ・コードとか)。おまけにラストであからさまにCG使ってるし・・・これならプロモーションビデオ見てたほうが数十倍面白い。 [地上波(吹替)] 3点(2005-08-27 23:49:45) |
79. シンデレラマン
「ミリオンダラー・ベイビー」同様アイルランド人のボクサーもの、ということで公開時期が悪かった気もするが(こっちのほうがずっとお金がかかってるし)、出来はそこそこいいほうだと思う。毎回ソツのない演出を見せるロン・ハワードが今回は年代を感じさせる映像を見せ、貧窮生活から立ち直ろうとするブラドックに熱狂した大恐慌時代の人々の気持ちは十分に伝わってきた(33年頃って言うとキング・コングを思い出すなぁ)。ボクシングシーンも臨場感があって素晴らしく、ラッセル・クロウの演技もオスカー俳優の名に恥じない好演ぶり。ポール・ジアマッティもなかなかいい味を出している。 だが、残念ながらいい事尽くめというわけでもない。ストーリー自体はややありきたりなだけに、メエの人物描写が一面的でキャラに深みがなく、彼女に共感しづらい。レニー・ゼルウィガーの力演が一歩間違うと印象に残りにくいこの役を救っているはいるが、家族愛をメインにするならこの点は何とかしてほしかった。そもそも家族を尊重する父親という設定自体ありきたりなのだから。マイクの存在が後半忘れ去られてしまうのも問題だろう。8点か7点か迷ったけど、とりあえずこの点数。 [映画館(字幕)] 7点(2005-08-25 01:39:55)(良:1票) |
80. ネバーエンディング・ストーリー第2章
少なくとも1作目よりはずっとマシ。たしかに原作者に敬意を払った脚色ではあるのでその点だけでも1作目より評価できる。本作では1作目で省略していた原作の後編を映画化しており、まがりなりにも夢を持つことの大切さ、虚無主義への警告を伝えてはいる(だが、原作ほどのブラックさはないな)。しかし、残念なことに特撮と子役のレベルは前作より凡庸になっている。最初見始めたときはアメリカンテイストと子役の下手さ加減に「ああ、やっぱりダメか」と思わされたが、後半で気にならなくなった、という感じ。それでもやっぱり言いたい、「こんなものを見るよりは原作を読め」。 [DVD(字幕)] 4点(2005-08-24 22:13:28) |