61. LOU/ルー
《ネタバレ》 スタイリッシュな最強元CIAエージェントおばさんが活躍するドラマ。ただ、最強なんだけどそこそこ相手の攻撃も食らってしまうところがリアルでよろし。 娘を旦那に誘拐されたママも適度に最強。とは言えやっぱしめっちゃ強い訳じゃないし危機管理出来て無さ過ぎなところがリアルでよろし。 死んだはずなのに生きていた冷酷無比な筈の元特殊部隊のパパも意外と最強な戦闘能力はないし脇が甘いところもリアルでよろし。 クレバーで勇敢な幼い娘とクレバー極まりない主人公の愛犬、そして田舎者と思いきや頭脳明晰で頼れる存在の保安官もよろし。 要は登場人物(犬を含む)が存在感豊かで感情移入容易。そこが一番の魅力の作品かなと。 ストーリーは必ずしもオリジナリティ豊かとも言えないし無理やり感は否めないしエンディングもお約束的ですが(ジャックスの演技がいいです)、十分に楽しませてくれたのはひとえに登場人物(配役)の魅力故と言って良いかも。二組の親子関係(愛と憎しみ)も良いですね。J・J・エイブラムスさんが関わるとハズレなしといったところでしょうか? いかにも続編ありそうですがどうなんでしょう?8点献上です。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-12-31 21:50:41) |
62. ジュラシック・シャーク
《ネタバレ》 愛すべきZ級サメ映画。なりゆきで「3」を先に観てしまいましたが、どっちを先に観ても関係ないことが確認出来て良かったです。この手のZ級がダメという方にはオリジナル?だろうが「3」だろうが関係ないです。本来ならば2つの作品(ホントは「2」もあるようですが観れないので除外)を比較してレビューしたいのですが当サイトのルールから外れそうなので自粛します。 なので本作について述べさせていただくならば、オープニング(エンド)ロールが異常に長い!特にエンドロールはクソ長い!キャスト紹介×3って何なの? 鮫のCGはショボいながらもまあまあの造形。「3」に比べれば…否、比べてはいけないですね。 ストーリーは「3」と比べれば…否、比べてはいけないですね。 俳優陣、特にヒロインは「3」と比べれば…否、比べてはいけないですね。 つまり、「3」と比べるぐらいしか楽しみ方がないと言うか、思うにブレッド・ケリーさんとマーク・ポロニアさんという二人の監督の芸風の違いを楽しむというのが本作に相応しい楽しみ方なのではないかと思える訳なのです。 で、評価は「3」と比べるまでもありませんでした。ある意味、楽しかったですけどね。 [インターネット(字幕)] 1点(2024-12-30 00:03:20)(良:1票) |
63. LOVE SONG(1984)
《ネタバレ》 如何にも自主制作8ミリ作品という雰囲気。ストーリーは少々理解に苦しむもの、と言うか敢えて難解さを求めているんじゃないかと思いたくなる自主制作作品然としたテイストですね。 社会との軋轢?自己との葛藤?何かしらの鬱々とした思いが爆発し、過去からの逃亡なのか未来への飛躍なのか解りませんが、叫び声とともに走り去って行く青年。それは監督自身。 監督の胸にその頃あったものは何だったのか?自分に置き換えてみても理解は難しいかも。この作品は作り手しか解らない作品であって思いを共有することは極めて困難であり、そもそも評価するのも野暮かも、との結論に達しました。とは言え点数欄を空欄にも出来ず3点献上です。 [インターネット(邦画)] 3点(2024-12-28 18:10:53) |
64. FLY!/フライ!
《ネタバレ》 お約束感満載のファミリー向け感動アニメ。でも、そのお約束感=安心感。様々な危機を乗り越えて夢の旅を続ける姿には童心に還って理屈抜きに楽しむことが出来ました。CGアニメーションも適度に目に優しい色彩と動き。流石の出来映えです。 特に、トリ馬鹿を標榜する私としては主役がトリさんというだけでスタートから満足。出演するトリさんたちを擬人化して受け入れるまでもなく純粋にトリさんとして感情移入出来ました。作り手の鳥類への理解の深さも窺い知ることが出来て満足です。 そんな訳で、イイ歳した爺ぃがトリさんたちがシェフのヘリからの脱出あたりから後は、只管涙腺崩壊させつつ観終えた次第です。世間一般の評価は見ていませんが、思いっきりエコ贔屓の満点献上です。 [インターネット(字幕)] 10点(2024-12-28 17:40:20) |
65. PERFECT DAYS
《ネタバレ》 ヴィム・ヴェンダースさんという人は本当にドイツ人なの?観終わった後に脳裏に過ぎった感想のひとつです。和の心を知っていると言うか知り尽くしている。小津監督への長年にわたるリスペクトの結晶とでも言いましょうか、少々煮え切らなさを感じないことはないまでも非常に居心地の良い作品でした。 主人公演じる役所さんの表情や仕草による演技は素晴らしかったです。台詞に頼らない存在感。清掃会社の担当者への苦情以外にはストレートに感情的な台詞はないに等しい。にも関らず全編通じて語り続ける。流石です。 主人公の背景、生い立ち、過去といったものは殆ど語られない。それなのに日々のエピソードを通じて少しづつ明らかになっていく素顔。実際にはストレートに明らかになることはないのですが、観客がそれぞれの主観をもって想像するに足る材料を投げかけてくれています。私も自分なりに解釈し、反芻し、疑問と納得がないまぜになりながらも満足して観終えることが出来ました。 終始具体的な説明なしの寡黙な作品は多々ありますが、本作は寡黙ながらも大いに語りかけてくれる秀逸な作品でした。これまでどう生きて来たか?そしてこれからどう生きて行くか?今のままがいいのか?答えなんかありませんね。 [インターネット(邦画)] 9点(2024-12-28 16:17:09)(良:1票) |
66. 血のお茶と紅い鎖
《ネタバレ》 なんとも不気味な世界観。大人の童話とでも言えば良いのか(お子様は夢に見て泣きそう)、シュールな寓話とでも言えばいいのか。ストップモーションアニメとしては長めの尺でもあり、嫌悪感に包まれたり単純に飽きてしまったりと、いろんな意味で途中でリタイアしてしまう方もいるかも知れません。 正直なところ、最初の10分ぐらいで飽きかけてしまいました。が、カラス風(コウモリ風でもあります)な生き物が白ネズミを追跡し謎のカエルに救われたあたりから興味が湧き始めました。この話、落としどころは何処?人形のお腹の卵はどうなるの?もしかして人形が出産みたい?に。 ただ、結局はさして謎めくこともなくあっさりと(否、アッサリでもないかも)エンディングを迎えます。ネズミ(貴族階層?)とカラス風(一般市民層?或いは貧困層?)が奪い合った人形は一体何だったのか?何かのメタファー? 解釈の自由が利く作品かも知れません。てか私にはテーマが解りませんでした。奪い合ったものが損なわれても尚そこに残る価値観とは一体何なのか?テーマとして据え置くようなものが見出せず、といったところです。 只管不気味な絵面やBGMが続く70分間。結構キツかったです。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-12-27 11:10:09) |
67. 狭霧の國
《ネタバレ》 登場する人形のリアルな造作、怪獣ネブラの存在感、見事なセットと背景。特撮怪獣映画へのオマージュが滲み出つつもオリジナリティ豊かな作品に仕上がっていますね。新人監督による作品ながら、監督自身も特撮畑で経験を積んで来た人物ですし、ベテランの一流スタッフも参加して作り上げているだけに流石の仕上がりになっていると思います。 悲しい出自のヒロインと心を通わせる怪獣。怪獣の正体は明確には説明されていないものの、神の使いと言うよりもヒロインの悲しみに寄り添い、そして孤独な彼女を護る存在のようです。彼女、そして怪獣との出会いによって成長していく少年の物語と言っても良いのかも知れません。 新鮮かつ素朴な感動に出会えた作品に8点献上です。 [インターネット(邦画)] 8点(2024-12-27 10:40:24) |
68. キラーカブトガニ
《ネタバレ》 冒頭のサービスカットで良い子の皆さんには席を外してもらい、さぁこれからは世にも恐ろしいモンスター系ホラー!かと思いきや終始コメディタッチですね。そしてまたコメディネタがスベルことスベルこと。しかも結構不適切ネタが登場しますし。 そして全編通してストーリーが緩い。理詰め感は極めて乏しい限りです。力業と言うか、強引に作品世界を押し進めて来ます。並行して進んでいく恋愛模様も強引極まりないです。 ただ、大中小のカブトガニの造形が良いし、対するデフォルメしたメカゴジラ風巨大ロボット、てかモビルスーツの造形もなかなかのもの。作り手の怪獣映画へのオマージュ的なこだわりが随所に感じらますし、実際そこだけ見れば上質な特撮怪獣映画だと思えます。 そのアンバランス感に居心地の良さを感じられるか否かが本作品の好き嫌いの分岐点と言えそうです。私の場合は意外と楽しみつつも気分が上がったり下がったり。心からは楽しめなかった気がします。なので、切って捨てるのは惜しいもののあまり高くは評価出来す、5点献上に留めたいと思います。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-12-27 00:08:49)(良:1票) |
69. カンダハル 突破せよ
《ネタバレ》 アメリカ万歳的なヒーローものなのか?今も続く紛争とそれによってもたらされる悲劇を描いた社会派アクションなのか?アフガンの混乱の背景を描くポリティカルアクションなのか?物語の背景といい登場人物の関係性といい、複雑すぎて観ていてなかなか集中出来なかったと言うか、テーマを絞り込めなかったと言うか。観終えてみれば「何だったの?」という心境になってしまったと言うのが正直なところです。 確かに悲劇の連続。それは直接作品で描かれている具体に限らず、その前もその後も始まりも終わりもない世界。絶望しかないような世界に思えてしまいます。しかし終盤、救援に来た人物の死は何だったのか?正規の手続きなしに迫り来る追手を爆殺した判断は正義なのか?主人公は娘と会えて良かったね、なのか?何かモヤモヤとしたものが残ってしまい、作品中で描かれてきた悲劇が薄まってしまったというか、何とも消化不良で結局アクションシーンだけが印象に残った作品でした。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-12-24 14:47:35) |
70. THE RESEMBLANCE(原題)(2022)
《ネタバレ》 故人そっくりな他人(俳優?)を選び出し、遺族のもとに派遣して生前の記憶に浸ってもらうことで心を癒す。何だか本当にありそうに思えないこともないビジネス(ホントにあったら相当アヤシイかも)の物語。 愛息を失った母親はやり切れない悲しみからそのプログラムを契約します。父親は母親とは少しばかり異なる感情を抱いていて、そんなプログラムは何だか胡散臭いと思っている。父親と母親の息子に対する感情が違うというのは当然だと思いますが、この家族には明確には説明されない事情もあるようですから尚更ですね。 派遣されてきた愛息似の青年を母親は自らを説得するかの如く努めて平静に受け入れます。一方父親は露骨に不信感を表します。これも流れからして当然のことだと思います。 しかし、父親と青年が二人きりになった時に青年が発した言葉は、父親にしてみればその青年が絶対に知り得ない内容。父親の頑なな感情が崩れ始めます。父親だってもう一度愛息に会いたかったに違いありません。もしかしたら、ある意味母親以上に会いたかったのかも。しかし過去の何らかの事情が彼の感情を抑制してしまっていた。 結局、あの青年は誰だったのでしょうか?愛息似の俳優の巧みな演技?事務所の徹底した情報収集?そんな訳はないですね。 もしかしたら父親の潜在的な願望が青年の登場によって溢れ出し、彼に幻を見聞きさせていたのかも知れません。しかし、どうであれ父親の感情を覆っていたものが剥がれ落ちたという事実だけは不変でしょう。 子を持つ親として大いに感動した佳作でした。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-12-23 10:38:35) |
71. A Farewell for Lilí(原題)
《ネタバレ》 一見すると本邦の怪談話にありそうな物語。主人公が電気技師という設定を変えれば、故人が亡くなってすぐさま亡霊として現れるというお話はありそうなものです。 ただこの亡霊、決して恨みがある訳でも復讐心がある訳でもないようです。そもそも彼女は電気技師に壊れたラジオを直して欲しかっただけですし、電気技師が未払いで電気を止めることにも一定の理解を示していたとさえ思えます。火災を恐れ自宅を守りたくて消火しようとし、結果脚立から落ちて打ちどころが悪く死んでしまった訳ですし。 電気技師は救命に向けて努力していましたし救急車も呼ぼうとしていた。死亡を判断した後も常識的な行動を取ろうとしていたように思えます。 なのに亡霊の導きによって老女の亡骸を埋葬するという行為を選択する。ここのところがよく分かりませんでした。確かに老女はラジオが唯一の楽しみだったしそれが壊れて絶望感に包まれていたようです。かといって死期を覚悟していたとまでは思えず、何故亡霊となって埋葬に導いたのか? お国柄?文化や発想の相違?興味深く鑑賞出来た作品ではありますが、テーマが見えづらいというか個人的には理解に苦しんでしまったので控えめの評価と致します。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-12-23 10:23:06) |
72. Ro & the Stardust(原題)
《ネタバレ》 ほのぼのとした良き作品ですね。死期が近付きつつある祖母に悲壮感が感じられず、それどころか夢に向かって邁進するエネルギッシュな生き様。経験も技術も全然足りなくても自作の宇宙ロケットで宇宙に旅立ちたい。力強く宣言する祖母に向けた孫娘の優しい目線が印象的です。 まともに考えたらガラクタでロケット作って宇宙空間に向けて打ち上げる、なんてのは全くもって不可能極まりないお話。しかしながら、それをバカバカしく思わせることなく、寧ろ実現可能かの如くファンタジックに仕上げた作り手に賛辞を贈りたいです。 決して号泣するような感動作ではありませんが、観終わればニッコリそしてホロっとさせられる温かな作品でした。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-12-23 10:07:40) |
73. ブロックアイランド海峡
《ネタバレ》 惹き付けられる展開ではあります。サスペンス、ミステリー、ホラー、SF、超常現象スリラー、ヒューマンドラマと、様々な顔で語りかけて来る物語、そして演出。冒頭のトムさんの受難シーンから始まる謎の海域での怪現象。異常な電波?魅力的な始まりでした。 中盤からのトムさん復活低音囁きアピールは雰囲気良いです。海底の謎もそそられます。テンポも良いですね。 ただ、ハリーとオードリーの何気に対極的な性格や思考・行動パターンの姉弟には、始終イマイチ感情移入出来ませんでした。二人とも煮え切らなくて頑な過ぎるからかも。 そして問題は終盤クライマックス。あれ?これって既視感アリアリかも。しっかり摑まってたエミリーちゃん以外はみ~んな空の彼方へ。なんだか嫌な予感。 ラスト。ヒロインが劇中で娘に語った言葉が改めて登場します。これはどう受け止めたらいいのでしょうか?地球上の生物を救うべく調査している存在が居る?まさかのエイリアンアブダクション?作品にエイリアンや人知を超えた存在が登場したら最後、もう何でもありの世界になってしまいます。何だかそんな暗喩、てかストレートに開示されたような気分。 このエンディングを良しとするか否かで評価が分かれそうな作品でした。個人的にはもう少し謎めいて終わって欲しかった。ヒロインの台詞の反芻はどうだったんでしょうか?そこが疑問で、楽しめた割には低めの6点献上します。 ちなみに、「sound」に「海峡」の意味があることを知りませんでした。勉強になりました。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-12-23 09:52:46) |
74. フライング・ジョーズ<TVM>
《ネタバレ》 なんで「沼のサメ」が「空飛ぶサメ」っつう邦題になっちゃうのかは謎ですが、内容的には鉄板の人喰い鮫ネタ。まぁ退屈することもなく観てはいられますが、全く感情移入出来ない登場人物が全く理解出来ない行動に走り無駄に食われていくというお約束感満載のお話でした。 それにしても戦車並みに強靭な皮膚を持つ深海鮫(ホント?)を既視感のあるガスボンベ攻撃でやっつけようとするもアッサリ失敗。挙句エアボートのプロペラでアッサリ調理してしまうとは。ヒネリも工夫も何もない展開には笑うしかありませんでした。てか、この作品はそうやってツッコミ入れて楽しむべきかも。 ちなみに、ヒロインや妹や他の女子たちは、サメ映画お約束のサービスカットなし、というかソフトです。そういう意味では硬派、正統派のサメ映画かも知れませんが、だとすれば尚更にもう少し新ネタが欲しかったところです。昨今何でもありのサメ映画なんですから。 [インターネット(字幕)] 3点(2024-12-19 23:28:48) |
75. ピエロがお前を嘲笑う
《ネタバレ》 多くの皆さんのご意見のとおり、スタイリッシュな映像とテンポの良さ、そしてデジタル空間を可視化した地下鉄車内と乗客たち、といったところは良かったと思います。 が、これまた多くの皆さんのご意見のとおり、雑です、かなり雑です。ツギハギ感は半端ないですね。結局主人公たちは何をやりたかったの?目的は何?驚愕のラストを標榜する(してるのは配給サイドだけかも)結末が彼らの目指していたもの?そんなものに感情移入は出来かねます。 二段仕掛けのどんでん返しというスタイルは良いと思います。が、理詰めのどんでん返しとは思えないです。辻褄合わないですよ。むりやりちゃぶ台返ししたみたい。 演出的には見るべき点も多いだけに残念な作品でした。ヒロインの件も含めて。予備知識なしで何にも考えないで観たら良いかも知れないエンタメ特化作品でした。否定はしません。 ちなみに、タイトルは如何なものか?邦題の「お前」は観客としか思えないし、原題もミスリードが過ぎる感じ。これは減点要素です。 追記です。「殺し屋が通過電車見てて通過した後のトンネルは見ないのかよ!凄腕の捜査官がテーブルの下を見ないのかよ!ヒロイン?も一緒に逃げるのかよ!この際、捕まったラスボスはヒロインの自称彼氏でもいいんじゃね?」苦言並べてみました。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-12-19 09:52:18) |
76. 愛してるって言っておくね
《ネタバレ》 わずか12分の作品なのに何と濃いことか。深いことか。短い尺の中での構成が見事ですね。 夫婦の溝が埋められたかのようなカットの後に現実の悲劇を重ねて行き改めて悲しみと向き合い一歩前進する二人を描き直す。このループ感と言うか時系列の配列によって、よりいっそうの感涙へと誘われました。 大人であれ子どもであれ、元気にいつも通りに出掛けて行った愛する人が帰らない。お別れを言うこともないままに。考えるだけでも残酷です。その感情を柔らかく包み込むように描いた佳作。感動しました。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-12-16 23:48:42) |
77. キラーコンドーム
《ネタバレ》 見れば15年近くもの間、どなたもレビューしていませんね。アマプラで配信されてたので(気にはなっていたものの未見だったので)恐いもの見たさで観てしまいました。アルバトロスさんが2023年にディレクターズカット版を配給していたのですね。流石はアルバトロスさん。なので本レビューは「ディレクターズカット版」のレビューとさせていただきます。 さて、いきなりビックリのドイツ語。え?ここはどこ?ニューヨークでしょ?え?でもドイツ語。そしてニューヨークの風景も1996年とは思えない雰囲気。もう10年ぐらいは古い感じ。言語と時代感のズレで冒頭から異世界間に包まれました。 ゲイの扱いとか外国人の扱いとか、ちょっと今ではヤバめのカットの応酬。そうかと思えばエロ教授の性暴力やら大統領候補のアメリカ・ファースト的演説とか、先取り感あるカットがあったり。何だか批判したいのに批判し難い作品のようでもあり。 チープで手作り感のあるコンドームは可愛いようでもあり恐ろしいようでもあり、その生い立ちとか生物?としての完成度?(イカレタ検視官?のオバさんの解説が楽しかったけど)が妙に真面目だったり。 総じて言えば社会風刺と宗教的倫理観をチラつかせた支離滅裂系硬派無理やり製作エロティックSFコメディといったところでしょうか。(総じてませんね) 決して嫌いではありません。流石、後にその名を馳せる俳優陣とスタッフが多数参加しているだけのことはあります。が、何せ長い。ディレクターズカット版は118分。長過ぎです。30分短縮しても十分ですね。最大の減点ポイントはそこということで限りなく6点に近い5点に留めます。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-12-16 23:26:46) |
78. Closing Dynasty(原題)
《ネタバレ》 ニューヨークという大都会の片隅で、大人に混じって街中を闊歩し巧みに金儲けしようとする7歳のアジア系の少女。「?」と思わずにはいられない設定です。 大都会で働く大人たち。クイニーのことを案じ、助けようとする大人たち。見て見ぬふりの大人たち。しかし何かがズレている。クイニーの真っ直ぐな視線の先に見えているのは極めて現実的な不安と心配。大人たちは幼いアジア系の女の子が路頭に迷っているようにしか見ない。もしくは彼女のことを見ようとしない。 しかし、当のクイニーは見下ろされるような意識は持ち合わせていません。達観しているのか?或いは子どもとしての純粋無垢な強さなのか。彼女の不安は父や母に知られることなく彼女を突き動かす。 クイニー目線で綴られていく物語。学校にも行かずに小銭稼ぎに没頭する彼女に対する大人の目線と、彼女の透き通った純粋な目線が交わることはないのかも知れません。 何と言っても主演の少女の存在感。観る者を不安にさせ、かつ安心もさせ、かつ感動も呼び起こす。勿論、演出も脚本も秀逸です。謎めいているようでいて直球を投げ込んでくる。大いに気に入りました。8点献上します。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-12-15 21:41:21) |
79. The Blue Drum(原題)
《ネタバレ》 出来映えは良いと思うのです。映像、演出、ショートフィルムというよりこのまま90分ぐらいの作品になっていくのかなという雰囲気。 しかしながら、肝心のストーリーが…。なんともありがちなオチなのです。タイトルがそのまんまですね。昔っからこういうオチってあるような。行方知れずの家族が実は身近な所に隠されていた、みたいな。つまりは意外性がなくて先読みが出来てしまう。ミステリー系ホラーとしてはこれは致命的のような。 そう考えると、そこに至るまでのいくつかの仕掛けもありがちに思えてしまい、何かもうひとひねり出来なかったのだろうかという感想です。雰囲気が良い感じだっただけに残念な作品でした。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-12-13 00:27:06) |
80. Mama Retreat(原題)
《ネタバレ》 「リトリート」というものには馴染みがないのですが(私が不見識なだけかも)、アメリカあたりではこういったプログラムは珍しくはないのでしょうね。映画を観ているとちょくちょく登場するように思えます。 主人公のメルセデスは最初っからメンバーの中で浮いているのですが、そもそもだからこそ選ばれたのかも。主治医もフィルタリングに関わっているのかな?はなっから生贄フラグが立ってる感じ。山奥のキャンプ場みたいなところで捕まっちゃってる訳だから逃げようにも逃げられない。 結局取り上げられた赤ちゃんはどうなっちゃうのでしょう?勿論、産婦のメルセデスもどうなることやら…。本邦にもありそうな都市伝説のようにも思えるし、現実にカルト集団もありそうでよくよく考えると怖いお話でした。意外性には欠けるかな? [インターネット(字幕)] 5点(2024-12-13 00:09:41) |