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タコ太(ぺいぺい)さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1636
性別 男性
自己紹介 投稿にあたっては
①製作者の映画愛を信じて基本的に0点は付けていません。
②レビュー作品の「あらすじ」は率先して書いています。
※2024.2.28ニックネーム変更「ぽこた(ぺいぺい)」→「タコ太(ぺいぺい)」

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61.  寫眞館 《ネタバレ》 
短い尺の中に凝縮されて描かれる各時代の潮流に翻弄された喜怒哀楽。殆ど心を開こうとしない少女が、何十年も経た後に年老いた写真館の主人にやっと見せてくれた笑顔。ただし、直接ではなく一枚の写真を通して。劇中にはそんなシーンは登場しませんが、現像してネガから浮かび上がって来た彼女の微笑みに、主人は残り少なくなった人生を飾るに相応しい最高の喜びを感じることが出来たことでしょう。  奇を衒うような展開は一切なく、ある意味予想通りに展開していく物語。きっとそうなるだろうな、あぁなるだろうな、と容易に予想可能ながらも感動させてくれるという、短編ならではの佳作でした。
[インターネット(邦画)] 8点(2025-02-06 11:20:37)
62.  バクラウ 地図から消された村 《ネタバレ》 
なんとも取っ付きにくいと言うか、何を言いたいのか解らずじまいの作品でした。  バクラウというのは架空の村なんですね?どうも脳内では馬喰と変換してしまう。(すいません、オヤジギャグは思いつくと言わずにいられなくなるもんでして)  その小さな村が何で水資源の利権を持っている?民兵組織は近隣市の市長と結託して水資源を狙っている?違法行為あるあるの民兵組織なのに何で襲撃はして来ない?村人は市長を受け入れないのに寄付は貰うし娼婦を提供するのは何故?市長が個人的に武装グループを雇ってるということは民兵組織を出し抜いて水の利権を手にしようとしているから?なにもかもが良く解らないままに進んでいく感じ。  よくよく考えたら登場人物も何だかよく解らない。冒頭帰村するテレサはヒロインかと思いきや思いっきり脇役だし、ギャングのルンガの立ち位置もシンプルなようでいてよく解らないワケアリ感に満ちているし。挿入意味不明な全裸シーンとかセックスシーンとか、貧しい村の印象なのにスマホやタブレットや大型テレビの普及率が高かったりとか、全裸夫妻が自動翻訳機使ったりUFO型ドローンが自由に飛び回ったり…あぁ何もかもやっぱり解らんです。  結局、この村は昔から自分たちの身は自分たちで守るんだという高い自立意識のもとに存在していて、守り切る度に記念品を博物館に飾って来たのです。村人にいろんな職業の者がいるけれど善人ばかりです。これからも頑張ります。みたいな物語だったのか…。  何やら1960年代とか70年代の作品的なオープニングからキャスト紹介し始める時代錯誤感と、予告編から受け取れるSFホラー感と言うか不思議感に期待したものの、妙に後味の悪い作品でした。もうちょっと短い尺なら印象変ったかも知れません。
[インターネット(字幕)] 4点(2025-02-04 10:04:43)
63.  ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 
これは実話なんですね。突然の事故で下半身の自由を失ってしまった女性。仮令誰であろうと絶望の淵に立たされてしまうであろう状況。まして、人一倍アクティブに人生を謳歌していた人物だった彼女にとって、突如陥ってしまった人生の激変には到底対応出来なかったことでしょう。  そこに舞い降りた一羽のカササギ。どの程度カササギ自身の演技で、どの程度VFXを活用しているのかは知りませんが、自称トリ馬鹿の私としては、その一挙手一投足を見ているだけで至福。いや、本当に自然。大好きナオミさんの白熱の演技、ウォーキングデッドのリックでお馴染みリンカーンさんの静かな存在感、子どもたちの自然な演技等々、観るべきものは沢山散りばめられている作品ですが、個人的にはこのカササギの演技?に参ってしまいました。  そして、物語的には一羽のカササギが窮地に陥った一家を救うみたいな流れですが、紛う方なくサムを始めとする家族一人ひとりの自らの力によって立ち直っていく、否、以前以上に固く結び付いていく物語。エンドロールで流れるモデルとなった家族の姿も含め、大いに感動した1本でした。トリ馬鹿なので贔屓目に+1点です。  ちなみに、行方知れずとなったペンギンが相方を連れて帰って来るという伏線回収的なベタなオチがなくて良かった。実話だからこそかもしれませんが、そのあたりの演出にも好感。
[インターネット(字幕)] 9点(2025-02-03 09:41:42)
64.  イラックス 《ネタバレ》 
ニーナの家庭環境やオパル叔母さんとの関係性については殆ど説明なしで物語は始まりますが、本の中から飛び出して来たモンスターと二人で力を合わせて戦っていく姿を見るうち、語られることのない物語の背景が浮かび上がって来ますね。言葉としては決して多くを語らない作品ながら、脚本と演出には大いに惹かれるものがありました。  モンスターの出来映えは正直言って如何にも低予算的ではありますが、そんなことは気にせずに楽しめる作品。ネットフリックスのショートフィルムは充実しているなぁと思わせてくれる1本でした。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-01 22:33:29)
65.  警察と泥棒 《ネタバレ》 
後を絶たない警察による人種差別的な事件への批判、ストレートに糾弾するショートストーリー。ひとりの黒人青年が町を走りながら独白する7分間。遠く離れた我が国でも元になった事件については報道されていただけに、短い尺でも言わんとしているテーマは明確に伝わります。スタイリッシュな編集・演出が悲劇性を逆に際立たせている作品でした。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-01 22:12:20)
66.  スペースボール 《ネタバレ》 
やっぱりアメリカン・コメディはこうでなくっちゃ!というベタなコメディ。(誉め言葉です)邦画コメディとは大いに異なる味わい。個人的には大好物です。  パロディとしては殆どがSW関係で、終盤を除けば他作関係はほぼ無しという潔さ。他作は最後の最後にまとめてパロってる感じでしょうか。  下ネタやグロネタはほぼ無い状態でここまで作り上げるというのは称賛に価すると思います。宇宙船を始めとするCGの出来映えも80年代ということを考えれば相当ハイレベル。流石です。  まぁ既に製作後40年近く経ってしまっていますから、どのネタにも大笑いの捧腹絶倒という訳にはいかないところですが、今の時代に観ても十分にクスクス笑いを誘いまくってくれました。納得満足の7点献上です。
[インターネット(吹替)] 7点(2025-02-01 22:00:44)
67.  ロスト・ワールド(1925) 《ネタバレ》 
今年で100年。これはもう歴史的価値を語るべき作品ですね。そして、それと同時に100年後の現代であっても新鮮さを感じさせてくれる作品でもあります。  子どもの頃、原作小説を読んで興奮した記憶。必ずしもその時に脳裏をよぎったビジュアルと等しくはないものの、当然現物としての恐竜は見たことがない訳で、ストップモーション(それもかなり微に入り細に入り作り込まれた)によって命を吹き込まれた恐竜たちの姿には感動するばかりです。原作との相違点は映像化にあたっての創意工夫の結果かと。  難を言えば、少しばかり尺が長過ぎるか。字幕も多過ぎるか。BGMが単調に過ぎるか。製作当時の流行として作品の長尺化があったのかとか、公開当時は劇場でどのように演出されていたのかとか、殆ど何も知らないのですが、サイレントだからこその魅力を少々削いでしまっている感がなきにしもあらず。まぁ、「今」観ているから故の印象なのでしょうけれど。  あくまでも歴史的価値、作品の持つ普遍性という観点での7点献上です。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-31 10:16:49)
68.  プー あくまのくまさん 《ネタバレ》 
発想としては「本当は怖い〇〇童話」みたいなノリかなと。著作権OKだからヤッチマッタ感のみが感じられる作品。  じゃ、原作へのリスペクトのひとつもあるんかな?と思ってみても無駄。そもそもプーさんってぬいぐるみじゃなかったけか?原作をキチンと咀嚼してこそのパロディ。これはプーさんみたいなマスクを被った変態による猟奇事件ってだけです。  そうなってくると、個人的にはスプラッターやらスラッシャーは元々好きではないので登場するおバカキャラ(ほぼ全員)への感情移入の欠片も見当たらないおバカ作品としか見えず、何だか関係ないエピソードが無駄に盛り込まれてたり、とは言えその手のホラーのセオリーだけは辛うじて踏み外していないようにも思え、百歩譲って(譲る必要はありませんが)まぁ話題性優先のみで一発勝負のイロモノとしては成立しているかなと。  兎にも角にも一発勝負なんだから続編作るなよと言いたくなる超ヒマつぶし向け作品でした。(続編観ちゃうかも知れない自分も情けないが)  あ、邦題は馬鹿らし過ぎて好きです。
[インターネット(字幕)] 2点(2025-01-31 09:45:36)(良:1票)
69.  アリス・スウィート・アリス 《ネタバレ》 
タイトルは承知していたものの未見だった作品。アマプラ見放題の期限が24時間を切り慌てて鑑賞しました。  が、慌てて観るまでもなかったかも。公開当時としてはそこそこ衝撃的な展開と演出だったかとは思うものの、最近のスリラーやらサスペンスと比べてしまうと特に目立った意外性とかなくて、個人的には真犯人は結構早い段階でプンプンとしていた感じです。  思うに、聖体拝領のタイミングで愛娘を亡くし、心の傷を癒すべく教会に全てを捧げて来た女性が、いつの間にやら神父に対して一信徒以上の感情を抱いてしまい、神父が矢鱈良くしてあげる母子世帯に憎悪の炎を滾らせた挙句、まずは可愛い次女を愛娘と同じ目に遭わせ、憎々しい長女を犯人扱いさせ、ヒステリックで気に入らない伯母を血祭りにした上で、真相に迫りそうな父親を亡き者に。恐らくは次は母親がターゲットだったのでしょうけれど、最早これまで、バレちゃったわねとばかりに憧れの神父を手にかけた。そして全てを了解した長女は、殺人鬼セットを手に入れてこれからどうしていくかを心に決める。そんな物語かと。  見応えがないとまでは言いません。黄色いレインコート、不気味なマスク、刃物によるスラッシャー描写等々、当時モノとしての衝撃度は高いものがあると思います。教会を冒涜しているような思い切った過激気味の演出も当時は話題になったようですね。妙なサブキャラやその他大勢の描き方とかも面白い。思いの外、集中して鑑賞出来ました。が、とは言え観るなら当時観ておけば良かったと言う感じは否めず、ブルック・シールズのこれでもかと言わんばかりの可愛さに+1して7点献上です。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-30 16:22:41)(良:1票)
70.  陽なたのアオシグレ 《ネタバレ》 
実にシンプルな初恋ラブストーリー。なのでしょうけれど、なんだか素直に受け入れられない。ラブコメや純愛物は好物なのに。  それは主人公を小4に設定しているからなのか?にも関わらず微妙(ストレート?)にエロティシズムを感じさせる表現が垣間見えるのも原因か?  個人的には自称トリ馬鹿なので、現実にはあり得ない学校の鳥小屋で飼育されている風な様々なトリさんの登場に喜ぶべきところかも知れないけれど、ワクワク感があるのは高層ビル沿いに落下する主人公を救うハシビロコウの登場ぐらい。  なにか全体的にワチャワチャしているのが落ち着かない。自分が歳をとったせいに過ぎないのかも知れないけれど。  どんな層を対象に製作されたのか?イマイチ理解に苦しみつつも、スピッツの楽曲に救われた十数分でした。
[インターネット(邦画)] 4点(2025-01-30 10:10:02)
71.  SNS 少女たちの10日間 《ネタバレ》 
これは評価が難しい作品ですね。チェコという国の内情は知りませんが、この手法、逆に訴えられたりしなかったのでしょうか?もし本邦であれば、オトリ捜査の如き手法は許されるのでしょうか?そもそも論としてその辺りが気になって仕方ありませんでした。  内容的には言うまでもなく胸糞悪いエロオヤジの登場に次ぐ登場。予想通り過ぎる展開に驚きはありませんが、胸糞悪さは相当激しいものがあります。どう考えても性犯罪者のオンパレード。ラストに警察の対応がサラリと紹介されますが、是非に罰して欲しいと願うばかりです。  ただ、冒頭彼女らに主催側から示されるルールの中には、オヤジ側の反応を無理やり引き出すような所謂「挑発」的なものが含まれているような?特にフェイク画像を作成し相手に送るというのは明らかに法的問題があるのではないかと?  更には、果たして二千数百件のアクセスのうち何パーセントが犯罪行為を行ったのか?そこはデータとして必要ですね。途中唯一素顔で登場するイケメン好青年が女優たちや制作側の涙を誘いますが、彼のような普通の?常識的な?男性はどのくらいいたのか?更には女性はどのくらいいたのか?ドキュメンタリーを標榜する以上は最低限の統計データは必要だと思います。  センセーショナルなドキュメンタリーとして話題性はあったと思います。世の親たち、勿論ネット上で冒険する子どもたちの中には何も分らず何も知らないままの人々が多いことでしょう。その人たちへの警鐘としての価値はあると思います。が、このアプローチと纏め方が正解なのかどうか?疑問は尽きません。手放しで「良作」と言うべきではないように思えた次第です。
[インターネット(字幕)] 5点(2025-01-29 10:12:09)
72.  獣人島 《ネタバレ》 
H・G・ウェルズの「ドクターモローの島」の初実写化作品ですね。原作があまりに有名なので今更ネタバレも何もないような気がしますが、初めて原作に触れたのは幼かった頃のこと。動物を生体改造して人間化するというアイディア、コンセプトは、子ども心に相当恐ろしかった記憶があります。一応「SF」というカテゴリーとして読んだのが救いと言うか、あくまでも空想科学小説なのだ!という理解が恐怖心を和らげていた気がします。  そして今、この1933年という自分が生まれるよりだいぶ前の作品を観て、やはり相当に恐い物語であることを再確認。その後に製作された1977年と1996年の作品は未見ですが、本作を観ればこの恐ろしさは十分過ぎるぐらいに伝わりますね。H・G・ウェルズという天才的な作家は19世紀にこの作品を生み出していたとは。いやはや何とも恐れ入ります。  神になりたかったマッドサイエンティスト。彼は最早自らが神の領域に達したと信じていたのですね。しかし、彼の創造物である獣人たちが「掟」の中に偽りを見出し「心」を手に入れたことによって彼は神の領域から引き摺り下ろされてしまう。現代に当てはめてみるに、物語の本質における原作者の天才的な先見性に驚きを感じるばかりです。  島のセット、獣人たちのデザインと特殊メイク、そして獣人たるキャラクター設定等々、重ね重ね1933年という時代に本作が製作されたことは驚くべきことと感じ入りました。
[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-27 11:01:13)
73.  みんな死んだ 《ネタバレ》 
実に北欧(ポーランドが北欧なのか自信がありませんが)ホラー的作品。(あくまでも個人的なイメージですが)  これは満点か零点かの両極端に受け止められる作品に違いありません。  かく言う私はというと高評価です。とんでもなく下品でエロくグロい作品ですが、倫理観も宗教観もかなぐり捨てて笑いに昇華させようという作り手の姿勢は、ある意味振り切れていて潔く思えました。  人の命をここまで軽く、人の感情や人間性をここまで軽く、あたかもどうでもいいようなものと描き切る。支持されるか否かは別として潔いとしか言いようがありません。  そして、だからと言って粗雑な見世物的作品なのかと言うと意外にも緻密(と言うと言い過ぎかもしれませんが)で丁寧な作り。登場人物のキャラクターや関係性を漏らさず描き、どうでもいいような伏線回収をきちんと済ませる。相当オタクな作りと言っても良いと思います。  矢鱈理不尽な殺戮シーンが見たいという要望に応えつつ、ただ単に綺麗なオネーさんの裸体を見たいと言うだけの要望にも応え、ナンセンスな笑いが欲しいという要望にも応え、この作品にどうしてそんなに気合いを入れて作ったの?と問いたくなるぐらいにある意味良く出来た作品でした。(ただし、伏線回収のひとつであるラストのパラレルワールドについては、蛇足とは決して言わないまでもちょっとヤリ過ぎてしまったが故の言い訳に思えないこともないというか…)  そんな訳で高評価したい気持ちはあるのですが、その反面日本人的感覚としては手放しで称賛できない不道徳極まりない作品であることは間違いないとも思え、これに満点や9点を献上してはいかんかな?というブレーキがかかった上での7点献上です。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-25 10:43:37)
74.  聖なる証 《ネタバレ》 
ホラーかなと思い観始めたらサスペンス?ミステリー?観応えのある1本でした。  ただし、実はこれ、時代背景を現代に持って来たら全然違う作品になってしまうというか、1860年代のアイルランドがどういう社会だったのか、英国との関係はどうだったのか、恥ずかしながらほぼ何も知らないままに観たので、実は半分も理解出来ないままに観てしまったのかも知れません。  何より、宗教的視点に欠けている自分。母親が何故にそんなことをしてまで娘を尋常ではない状況のもとに生活させたのか。おそらくは(間違いなく)娘より深い愛情を注いでいたであろう失った愛息への思いにオーバーラップする母親の宗教観。否、実のところは彼女の宗教観は自らの感情を封印するための手段に過ぎないのかも。  歪んだ愛情。地域社会の求める宗教観。合理的で科学的な思考に基く倫理観で対峙する看護師。とは言え人間的な弱さに脆さを隠し切れない看護師。そして、何より誰より主人公の少女。純粋に信仰心のみによって事態を受け入れているとは到底思えない辛い過去。登場人物の一人ひとりが丁寧に描かれていきます。  ラスト。純粋なハッピーエンドとは少しばかり、否、大いに違いますね。この3人を待っているのは新天地での幸福に溢れた生活なのか。3人それぞれの思いはこれで全て切り替えられたのか。残された者たちはこれからどんな思いで生きて行くことになるのか。考えさせられました。
[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-25 10:29:52)
75.  ヴィジット 《ネタバレ》 
観たつもりになっていたのに観ていなかったシャマラン作品。観ていなかったのは不覚。今回観て良かった。  ひとことでシンプルに言えば「まさにシャマラン」、これは見事でした。冒頭からのPOV風表現(あくまでも「風」であってPOVとも言い難い気が)で方向性を見定め切れずにいると唐突に始まる本題。祖父母の振る舞いはどう考えても尋常じゃないし、徐々に浮かび上がって来る精神疾患或いはパーソナリティ障害の様相。不安定極まりないながらギリギリのバランスの中で成立している祖父母と孫の期間限定の安息。そのギリギリのバランスを壊そうかとでもするが如く作り手自らが投げつける石礫。微に入り細に入り巧妙に仕組まれた細工には(好き嫌いは間違いなくあるにせよ)すっかり没入。いやいやホントに久々のスマッシュヒットかなと。  結果として、とんでもなくアンハッピーな巻き込まれさんは居はするものの、概ねハッピーエンド。トラウマを払拭出来た者もいれば、将来に向けての不安材料を消し去れた者もいる。ここまであっけらかんとハッピーエンディングにされてしまうと、その部分もまた恐れ入りました感に包まれてしまう。うん、楽しかった。まだまだこの監督さんには期待し続けたいと再確認した次第です。(裏切られることも相当あるでしょうが)
[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-22 23:51:51)(良:1票)
76.  “それ”がいる森 《ネタバレ》 
何故、近年の邦画ホラーはこうなってしまうのか?敢えて「近年の」と添えたのは、昭和の時代のホラーや怪談話はもっとジメッとしておどろおどろしくて、早い話が恐かった記憶がある訳でして、それは以来何十年も様々観て来てしまったが故の眼の曇りというのも確かにあるし、今更ちょっとやそっとじゃ驚かないって、というのもあることはあるのですが、その辺差っ引いてもやっぱ「近年の」はさっぱり恐くなくてバカバカしかったり呆れるしかないようなものが多過ぎるのです。(それはそれで好きでもあるのですが)  本作について言えば、まず第一に緊張感の欠落。冒頭の強盗カップルの部分だけはまぁまぁイイ感じがしたのですが(特に彼氏の腕が飛んできた辺りは良かったです)、それだって「犯人」が姿を見せないってだけの良さに過ぎず(流石に冒頭からヤツは出なくて安心)、結果アッサリすぐに全身丸見えだったりもするから結局興覚め一直線ってな感じに落ち着いてしまう。  この緊張感の無さは全編通じてたりして、主人公親子の言動や行動があまりに緩くて危機管理力なさ過ぎだし、教頭やら担任やら(穂香ちゃんは好きなので悪く言いたくないのですが)警察やら何やら、誰も彼もがユルユルなのには閉口。子ども向け作品?だとしてもユルユルではダメなのじゃないかと。  そして、物語的には要らんようなエピソードに必要以上にウェイトが振られてたり、そうかと思えば妙に真面目に造り込んで演出してたりして、少なからずチグハグ感が漂ってしまう。ま、そんなことより何より話がチッチャ!一体何で福島の此処?UFOスポットなんてのは他にもあるだろうに。そんで何でオレンジの病原菌でエイリアンあっさり死亡フラグ?インフルで滅んでしまった火星人みたい。てか、そのアレンジに見えてしまう。  だいたいからして、そもそもエイリアン御登場は早い段階から見えていたものの、エイリアンにして欲しくなかった。エイリアンにする必然性あったのかしらん?もっと不気味な「森に棲むアレ」みたく纏めて欲しかった。  まとまりのない文章で失礼しましたが、観終えてみれば早い話が思った通りの作品。「それ」以上でも「それ」以下でもない「それ」。もっと骨太にオリジナリティ豊かに物語を練り上げて欲しかった。正直な気持ちは、Jホラー頑張って!なので尚更に残念でした。
[インターネット(邦画)] 3点(2025-01-22 15:08:33)(良:1票)
77.  死霊館 《ネタバレ》 
実話なのです。と予め断られてしまうと、そりぁもう文句のつけようがない…と言ってしまえばハイそれまで。  いえいえ、そんなことはありませんね。日頃から思ったり時としてレビューに書き込んだりしているのですが、そもそも悪魔が出たらもう何でもあり。起きてる現象が物理的に現実の物かどうかなんてどうでもいい訳でして、万能選手の悪魔には出来ないことなんぞないのだ、と断言されてしまいかねない訳なのですね。そこへ持って来て(当然のことながら)本作はキリスト教ありきの設定。悪魔路線に関する登場人物の物分かりの良さが光ります。てか、それがあるからこそテンポの良さが一層リードされてます。  なにはともあれ、この悪魔の顔出し加減の絶妙さがあってこそ、実話であることを失念してしまう程に思いっきり見応えのある作品に仕上がってますね。ノンストップホラーアクションといった風情。流石のジェームズ・ワン監督です。全体的にスタッフも相当充実してるのでしょう。細かな演出、大きな演出、基本的にオカルト作品としての不満は皆無でした。  本作はシリーズ第1弾。このシリーズ、個人的には別段コンプリートを目指してはいませんし、本作を観ればもう十分かも。と言いつつも、シリーズ他作を覗いて観たくなる佳作でした。
[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-22 00:24:43)(良:1票)
78.  マイ・オールド・アス~2人のワタシ~ 《ネタバレ》 
タイムトラベルものでもなければ心霊ホラーものでもない。かと言って、パラレルワールドものでもなければマルチバースものでもない。既視感があるようでいて新鮮なアプローチ。妙な理屈は抜きってのが潔い。  しかも、きっかけはタイムスリップとか空間の歪みとかじゃなくて幻覚キノコによるトリップ。ここが大いに笑えますね。濃く煎じ過ぎちゃったらこうなりました、みたいな。しかも、未来の自分に出逢うのはヒロインだけで、親友たちはそれぞれ普通に?トリップしちゃってる。一方、未来のヒロインも過去の自分に逢うためにはキメなきゃならないってのもまた可笑しいです。  物語そのものは、途中である程度先読み出来てしまうのですが(ハッピーエンドの気配しか感じられないと言うラブコメの王道的予感)、それはそれで大いに楽しませてもらいました。登場人物の存在感と役割感がいいですね。  SFファンタジーラブコメヒューマンドラマ。一発勝負のアイディア、楽しかったです。  ちなみにタイトルも気に入りました。ひさびさの「アス」、「キックアス」以来かも。ネイティブ的には何かニュアンスがあるのでしょうけれど、その辺抜きにして好きなタイトルです。
[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-21 23:38:07)
79.  Mr.BOO!ミスター・ブー 《ネタバレ》 
44年前に吹替え版TV放映を鑑賞して以来の再見。懐かしいとともに、字幕だとこんな雰囲気だったんだという驚愕。正直言ってある程度の忍耐力は発揮せずには鑑賞終了は困難な代物でした。  ある種のギャグやユーモアは間違いなく風化するのですね。てか、しない方が珍しいのかも知れません。何度観ても笑えるコメディは間違いなくありますが、もしかしたら少数派なのかも知れませんね。  本作はコテコテのおバカギャグ満載のコメディ。当時は可笑しかった。笑いました。でも、それは当時だったからでしょう。観ているこちらも若者だったし、少し前まではコント55号とかドリフとかよくよく考えれば結構くだらないお笑い(決して否定でも批判でもありません)が席巻していたし、初回TV放映時は所謂「漫才ブーム」の黎明期。本作を迎え入れる下地、環境は十分に整っていた訳ですから。  そこに持ってきて、TV放映は吹替え版。名人級の前川氏と新進気鋭のビートたけし氏のマシンガン的アドリブの嵐に笑えない訳はなかったって感じですね。  ところが今回は半世紀近い時を経た上に字幕版。画質や音質などの時代感はレトロ感があって良かったのですが、肝心の中身がスベルことスベルこと。何回身を引いてしまったことか。  あまりのガッカリ感故にアマプラで字幕版を観た後に、恐いもの見たさで改めてU-nextで吹替版を鑑賞。うん、今観ても、てか聴いても前川氏とたけし氏の吹替にはキレがありますね。これならば、当時ほどではないにせよ笑えます。  多くのご意見にも同様の趣旨が書かれていますが、少なくとも本邦においては本作は吹替えあってこそのヒット作品だったと言って良いのでしょう。あくまでも、今の時代になって初めて字幕版を観ての評価、という意味での4点を献上します。
[インターネット(字幕)] 4点(2025-01-20 14:29:28)
80.  リバー、流れないでよ 《ネタバレ》 
山口監督とヨーロッパ企画によるタイプリープもの第2弾ですが、味わいは大分異なりますね。SFドタバタコメディというジャンル感と作品全体から漂うテーマ感は共有しつつ、タイムリープやパラドクスについては扱いが大きく異なると言うか、大いに似て非なる作品でした。  結論から言えば、少々雑ですがこれはこれで面白い。ラブコメ要素があったりヒューマンストーリー要素があったりと、中身も濃いいです。ただ、なにせタイムリープのスパンが短か過ぎますから頻度高っ。2分というのは短いようでいて長くもある微妙な時間。流石に繰り返しが多過ぎかも。その間の天候(降雪)の差異については作り手の計算もあるのかも知れませんが、個人的には当事者の意識だけは変化していっても環境部分は据え置くと言うのが正しいように思えて仕方ないです。  また、どう考えてもキーパーソンの冒頭に登場する謎の女性ですが、トラブルに対しての焦りや絶望感がまるでないのはコメディだから良しとしても、やっぱしタイムパトロールなんだから過去の人物や時間にそんなに関与しちゃいかんでしょと思えてしまう。SFコメディとして最低限の理屈は持って欲しいところでした。  それとあとひとつ、この場であまり他作に踏み込むべきではないと承知しつつも、前年に公開された「THE MONNDAYS…」との類似性が少なからず気になってしまったと言うか、一番気になったと言うか、決して批判的な意味ではなく同じ邦画タイムリープコメディとして比較しつつ楽しむのも良いかな、などと思った次第です。  ちなみにタイトルは秀逸。このセンスは好きです。
[インターネット(邦画)] 7点(2025-01-19 12:19:52)(良:1票)
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