61. エベレスト 3D
《ネタバレ》 はじめて映画館でチラシを目撃した時の印象は「なんだか地味な映画そう」→「いや待てよ、3Dってことはクリフハンガーとかバーティカル・リミットみたいなハラハラドキドキの映像が?」→「きっとそうに違いない、公開されたら観に行こう!」というものでした。 で、そういうものを期待し過ぎた私が喜んだのは登山が始まってわりと最初の方だけでした。登山状況の過酷さはしっかり伝わってくる出来でしたが、その過酷さというのは「足場がおぼつかない高所のトラブル(あるにはある)」「いきなりクレバスにストーン」みたいなものではなく、「酸素がなくて体が動かない」「体が凍って動かない」というものがメイン。なので、わざわざ3Dで楽しむというほどの映画ではなかったかな〜と。 でもエピソードは印象的なものがありました。郵便配達員のエピソードは、よくある試合を止めようとしているセコンドに「戦わせてくれ」と言うボクサーの話ぽい匂いがありますが、経済と時間と体力と精神あらゆるものを注ぎ込んで、目の前にある頂上を諦めるのが如何に困難なことであるかがよーく伝わってきました。彼には登り切らねばならない目的があって、それを達した場面は嬉しかったけれど、結局のところ他人の命を振り回す結果に。ギャンブルで「勝っていたのに〜!」「いっぱい注ぎ込んだのに〜!」「あともう少しでツキが戻ってくるはず」と引き際を決められないのにも似てるなーなんて思いました。 他の人が助けられて下山していくのに、倒れて動けない自分は置いていかれてしまうジョシュ・ブローリンの場面もきっと忘れられないと思います。 その後、普通の映画だったら「うそやろ〜」と突っ込みたくなりそうなことが。それが事実なのだからアンビリーバボー! [映画館(吹替)] 6点(2015-11-10 20:07:29) |
62. 想いのこし
《ネタバレ》 和製『愛が微笑む時』という感じ。ですがそれほど面白くないです。『愛が微笑む時』は霊が主人公にのりうつったりするけれど、こちらの作品ではそれがないので岡田君の演技の幅がそれほど試されない作品になっちゃってます。岡田君の女装はいい感じで面白かったけど、2度続くと「これは岡田君の女装を楽しむ映画?」という印象が強まってしまいました。鹿賀丈史のエピソードは、ちょっとご都合が過ぎて強引かなぁ〜。広末涼子のエピソードも、最後に子供と抱き合うところでついていけなくなってしまいました。実際のところ後見人なんたらとか言っても、小学生が一人きりで生活するとか可能なのかな? もし、あの子に何かあった場合、責任取らされる大人いないの?? ってことが一番気になりました。 [DVD(邦画)] 4点(2015-11-02 01:20:08) |
63. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 自分の家族以外誰もいないはずなのに2人の少女を見て、しかも血まみれで倒れている姿まで感知してしまうのに、泣き叫ばない、走って逃げない子供。冷静で理知的なイメージの子だとは思うけど、普通なら血相変えて逃げると思うんだけど。自分自身が妻と子供を殺す夢を見てしまったと言い「俺はきっと気が狂うんだ」と泣く旦那。こういうやり方で物語の成り行きをイメージさせるのはハッキリ言ってヘタクソとしか思えません。お芝居じみて泣いたり叫んだりの妻は子供みたいだしあまり賢い人とは思えない。ぬるぬる這い回るカメラと、かったるいテンポで激烈に眠くなる。トイレでグレーディーに「ずっと前から存じております」と言われた旦那に隠された真相とは…それがラストに明かされるけど「だからなに?」って思います。要る? 強烈に蛇足にしか感じませんでした。怖くないし。ジャック・ニコルソンの狂い方、お芝居じみてわざとらしいし、狂ってるというのと幽霊と会話するようになるのが同義のように進行するのがいただけない。もっと正常から異常までの中間地点があったはずで、幽霊の存在を観たり会話したりの前後に、幽霊に驚いたり自分の状況を疑う自分というのがあるべきと思う。すんなり霊を受け入れ、すんなり発狂する流れは、完全に僕を置き去りにしました。ダニーにしても、不気味な部屋がある階で何度も遊ばんでいいでしょうに。そもそもこの夫婦、旦那の仕事中のルールこれまできちんと話し合ってこなかったの? この夫婦、あんな幼い子を友達一人いない雪山にこもらせることに教育上の疑問なかったの? エレベーターから溢れ出る血は一体なんなの? 原作読んだことありませんが、キングは「そんな話じゃねぇだろ!」と思ってるんじゃないかと思えるほど、キング作品映像化の中では焦点がぼけてツマラナイと思います。 [DVD(字幕)] 2点(2015-10-18 23:34:44) |
64. 君が生きた証
《ネタバレ》 死んでしまった息子が遺した歌を唄う父親。失ってしまったものがあまりに大きいと、人はそれを元から無かったものだと思いたいものかもしれないなぁ…なんて思いながら、考える余地を持たぬように仕事に没頭しようとする父親の姿を観ていました。この父親が失ったものの大きさを想像しながら、でも、ある若者の登場から最初のハモりで泣けました。いい歌を作っていた息子はもうこの世にいない…なぜ、こんなことに…と思っていたら、息子の墓が映されてドーンと見え方が変わってしまう衝撃の展開! この映画のうまさはここにあります。最初に観ていた家族喪失の物語が、単なるSorrowではなく、実は父親が背負い続けているSorryでもあるということが、単に衝撃的なだけじゃなく、父親の背負っている苦しみ重荷が二重に理解できるうまい作り方になってます。息子の書きかけだった歌に歌詞を書き足し始める父。その直後の仕事場のシーンは淡々としているけれど、実は父親がはじめて亡き息子に徹夜で向き合ったことが示されています。夜通し息子宛てに紡いだその歌が最後に流れますが、前半息子の書いた歌詞がガツンと印象的「僕の言うことは全部ウソ」。息子はそのあと「いっそ酒でも飲もうか 歌うのをやめて」と歌った痕跡が残っているのだけど、父はそこはそのままにしなかった。歌う前に聴衆に向けて秘密を打ち明けた父が歌う「正直というものは僕らを変えてしまう」。なんともたまらない。聞こえのいいウソと沈黙で覆われた世界のベールが剥がれていく多感な時期、前向き志向の歌を書くことで息子は自分自身と闘っていたのかもしれない。でも、それらの言葉は「全部ウソ」というわけ(訳としてはそうなってるけど、もしかするとキマグレンみたいに「世の中嘘だらけ」って言ってるかもしれない)。救いが見えなくなって、おかしな方向に。暗闇に迷い込んでしまった息子に向けて父の歌詞が継がれる「君と一緒に歌えたらいいのにな」。オヤジ抜きで再スタートを切ったバンドを映しながら。この父親、冒頭ワーカーホリックみたいだったけど、おそらく事件なければ息子と歌うことなんてなかった人なのかもしれません。空気みたいに当たり前になってるありがたいことは、失ってみないと気づかないものかもしれませんが、そうならないようにしなきゃと思いました。原題の『RUDDERLESS』は新人発掘のオーディションのイベント名でもあるんだけど、「舵取りのない」「指導者不在」みたいな意味。このタイトルの意味を知って観ると、また一層深みを感じます。あの若者が前進を始めたラストが光ってきます。久々に何度も見てしまう映画でした。 [DVD(字幕)] 10点(2015-10-17 04:19:03) |
65. 龍三と七人の子分たち
《ネタバレ》 藤竜也でコメディという点に興味を持って観ました。うーん、正直なところ、もっとテンポよくイッパイ笑えることを期待していました。そして、もっとスカッと気分よくなれると思ってました。チンケな詐欺連中に対してイマイチ「こんな奴らメチャクチャにしてやれ!」って思えなかったから、盛り上がれなかったです。北野武の映画ってほとんど観てないのですが、この作品観てすごく気になってしまったのが、呑み屋でのボス決め談議のシーン。ひとりひとりのアップが次々流れるのですが、全員同じ壁をバックにしてるんです。本当はテーブル囲んで輪になってるから、ひとりひとりのアップは背景が違って然るべきなんだけど… 世界のキタノはどういう意図でこうしたのかなぁ、って思いました。あとで同じ場をテーブル中心視点からぐるぐる見回すカットが出てくるから、それとの緩急の差をつけたかったとかなのかな? あるいは撮影上の都合? 映画を観て一番気になったのは、それでした。 [DVD(邦画)] 6点(2015-10-15 22:02:02) |
66. メイズ・ランナー
《ネタバレ》 「そういえば『チーズはどこへ消えた?』なんて本が話題になったなー」とか「『進撃の巨人』やスティーブン・キングの『アンダー・ザ・ドーム』とか閉じられた世界描写がなぜ今流行りなの?」ということを思いながら、この作品については2作目を劇場で観るかどうかを決めるためにDVDレンタルしました。で、とってもガッカリな内容でした。迷路に知的謎解きの要素がなく『CUBE』のような面白さはありません。最初から最後まで機械じかけのクモ型怪物と対峙するだけの浅ーい話でした。『進撃の巨人』みたいに何やら重要な記憶を断片的にしか思い出せない主人公は、なぜだかいきなり自分をぶっ刺して記憶を蘇らせます。意味わかんなーい。説明してくれ、自分を刺すと記憶喪失は解決するのか? 解決できるって知ってたから刺したんだよね? ギャリー、君はどうやってあとをつけて来たんだい? シャッター閉じまくったよね? クモ怪物潰れまくったよね? どうやってついて来た??? クモ型に内蔵の円筒形パーツどこで拾った? それひとつ持ってりゃ1人だって全てOKってか? お前は観察側で簡単な秘密ルートでも知ってんのか? どうして命がけで「迷路が僕らのお家だよぉ〜!」って引き止めに来た? そのリスクかけて君にどんな利益が訪れるのかね? なんなんだこの荒すぎる作りは? 実はギャリーは大人が隠していることを知っていて、皆のために必死に「出るべきじゃない」と伝えようとしていた…なんてことが次作以降に描かれることはあり得るが、だとしてもこの回でコレで終わらせるのは荒過ぎ。もー、こんなつまらない物作るなら、その予算と映像技術で『進撃の巨人』をちゃんと作ってくれたらいいのに。二話以降はDVD100円レンタルでいいや。というかレンタルして時間潰す気にもなれないことに気がついた。 [DVD(吹替)] 5点(2015-10-15 14:15:57)(良:1票) |
67. トラッシュ! この街が輝く日まで
《ネタバレ》 ポスターからは地味真面目なヒューマン感動ドラマ系を想像してましたが、追われて逃げてのサスペンスでした。そこは「この映画、当たりかも」と思えたのですが、だんだん気持ちが曇って行きました。原因は子供に平気で暴行したり銃口向ける警察の描写です。僕は警察とか信用してないし嫌いですが、この映画での警察の腐りっぷりは度を越しており、それがあんまりなもので「これがブラジルの現実を表してるのか?」と気になりはじめました。住居を焼き尽くしたり、街中で丸腰で逃げる子供に向けて堂々と発砲する警察の姿、それがブラジルでは本当にあり得ることなのであれば、ブラジルどれだけ恐ろしい国なんだと… もし「これはただの映画であって、ブラジルの現実はこんなに酷くないよ」ということならば、この映画はやり過ぎですし、とにかく気分的に複雑。そして、DVDパッケージの裏に書いてあった解説では、なんだか世界を変えるような凄い秘密を拾ったように思ってしまったもので、ゴミ山で札束をばら撒いていくオチに興ざめしてしまいました。大衆の目の前で武器持たぬ子供に堂々と発砲してしまえる世界を作っている根本の原因や秘密が暴かれて「もう2度とブラジルはそんな風にはならない」と思えるものではなかったからです。ばら撒かれた金、一枚一枚のお札がどの程度の価値を持っているかを知らないし、それを何枚拾うと人生がどれだけ変われるのか分かりません。何人かの汚職を告発したことになってるけど、イマイチ世界が良くなる希望を感じないし、マーチン神父も言っていたとおり世界中に自分の顔を晒した3人の子供が、どこで命を狙われるか気になって仕方ありませんでした。 [DVD(吹替)] 5点(2015-10-14 18:33:49) |
68. 紙の月
《ネタバレ》 原作小説は読んでおらず、原田知世主演のテレビドラマ版は観てました。映画版は予告編を観た時から大島優子の演技にタダならぬ期待を感じて楽しみにしてました。やっぱり大島優子の演技イイです。そして作品の出来は十分な時間をとっているテレビドラマより数倍面白く出来上がっていて、その出来の違いは脚本について学んでみたくなる気分でした。主人公があの学生と付き合うに至る流れは不自然で、しかもテレビドラマ版に比べて学生の外見が見劣りするうえに子供っぽいので、そこはちょっと不満でしたが、映画を作ると言っていたテレビ版青年より浮ついた感じのない地味に真面目な青年になっていたのは好感持てました。三谷幸喜の嫁さんだった小林聡美は、役どころが好感持てない感じで正しいことをしてるけどキツイという雰囲気。とくに主人公と食事した時に「怒ればいいのに」と言われて返した反応に「ホントくそまじめでつまらない女」と思っちゃうんですが、その後、主人公がにっちもさっちも行かなくなったクライマックスの社内の部屋での宮沢りえとの対話にはグッと引き込まれました。これは小林さんをキャスティングしたのって凄くいい雰囲気出せたんじゃないかって思いました。こんなシーン、テレビドラマ版にはなかった。スゴくいいシーンです。小林に「あなたが行けるのはここまで」と言われた後の宮沢りえの行動は解放感に満ちてました。原作はどういう感じなのか分かりませんが、主人公は単なる犯罪者ではなく、バブル崩壊以前にリタイアした世代の中でもヤーな感じのオヤジが元で一線越えてしまった「善」の部分がある女性です。何もかも救いのないテレビ版より、この映画の締め方は非常に好きになれました。金を与えても、学生は学校を辞め年相応の女の子と付き合うようになり、国外で苦しむ貧しい子供も天災で多分死んでしまった…「結局他人に与えたところで無駄じゃん」みたいな虚しさに飲み込まれそうなところに、生き伸びて大人になり娘を持っている国外少年の姿を見つけて、自分が与えたことが決して無駄ではなかったと救われるあのシーンは清々しいです。ただ「盗み」って言えば明らかに悪ですけど「誰のどんな質の時間のための金を、どこのどんな人のために移動させたのか?」という見方をすれば主人公は女鼠小僧みたいなイイ奴とも言えますから。「横領とか悪いことすると必ず捕まるんだからね」みたいなテレビ版オチより、世の理不尽や不条理に反旗を揚げるようなこの映画の後味の方が好きです。 [DVD(邦画)] 8点(2015-10-10 01:39:45) |
69. マエストロ!
《ネタバレ》 アマチュアのフルートの女の子の出来過ぎた設定とか、ベタベタな演出とかいくつもあるのに、いろんなシーンでポロポロ泣けてしまいました。こういう体験ははじめてで「都合よすぎる設定でもベタでも冷めずに感動するって出来るんだ!」という不思議な発見が出来ました。TEDでコンサートの指揮についての講演があったのを思い出しました。いくつかの名指揮の映像を紹介してくれて、講演のラストに究極の指揮の映像が流されたのですが、それはもうほとんど指揮者は指揮棒を振っていないのです。楽団と指揮者の心持ちが一体化したような中で起きた奇跡のような表情と、その音楽に身を委ねる動き…。この映画を手がけた人達はもちろんそういうのを知っているはずで、この映画でも西田敏行の指揮はそういう感じに近い状況に出来上がってました。紆余曲折あってたどり着いたホールでの演奏で適当に締めくくられるのかと思っていたら演奏が始まって緊張させる展開。まんまとのせられました。で、2日目の展開で「さすがにそれはないわ!」と…あのホールをリハ含めて一日借りるのにどれだけのお金が必要か、昔そういうところに近い仕事経験あるので「その大金たった一人のためにどこから工面するの?!」という現実が覆いかぶさり「うわぁ、やっちゃったよぉ! これで一気に冷めて引いちゃう展開?」と危ぶみました。が、とりあえずまだ終わろうとしない物語を最後まで見守ろうとつきあううちに、会場費の現実をとりあえず気持ちの外に追い出せるくらい、この映画が伝えようとしているところがズーンと入ってきて、シラケることなく泣けてしまいました。この力技すご過ぎ。「きっとあの指揮者は会場費に何か解決策を持ってるんだ」とこちらで脳内補完してしまいました。もちろん、そういう風にしなくてもいいだけの話の持って行きようがあればあって欲しいですが「お前ら、人ひとりのためにどれだけ本気で全力で音楽(自分で選んだ仕事)やれるんだ?」「命かけてんのか?」みたいなところを訴えかけられてガツーンと来ました。演奏家の知り合い2人いますが、私生活をよく知るわけでもなく、立派な服着て演奏する楽団のひとりひとりの実生活についてもふと考えさせられました。 [DVD(邦画)] 9点(2015-10-09 19:16:06) |
70. セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転進
《ネタバレ》 自分の替え玉の死体を準備できる組織だということを考えたら、恐ろしくて関わりたくないはず…なんて思って観ていたけれど、そこはスルーしないと物語が始まらないわけで。観ているうちに「ロック・ハドソンいつ出るの?」と思っていたら冴えない見た目の主人公の整形後としてご登場。ハンサムで若々しくなって好きな仕事に生きられて夢のよう…と思っていたけど…旧友と初めて再会する待機部屋での会話が印象的でした。ブドウ踏みのシーンで僕はテンションだだ下がりしまくりました。ワイン飲めなくなるかも。パーティーで酔っ払ってヒンシュク買うシーンは不気味というよりホーマー・シンプソンがよくやりそうな感じ。他の人たちは順応してるのに主人公だけ適応できずに泣くに至るところがイマイチ主人公のキャラを見せきれてない気がします。元の奥さんの話しぶりからも人となりがちょっと整合性に欠ける気がします。旧友の笑顔、もう完全にラストがミエミエ。ほら〜、最初の疑問スルーしちゃいけなかったじゃ〜ん! それにしてもリアルなところでは証人保護プログラムのお世話になった人とか、どういう気持ちで生活しているのかなぁ? と思いました。 [DVD(字幕)] 5点(2015-10-08 20:04:03) |
71. イントゥ・ザ・ウッズ
《ネタバレ》 ラプンツェルの髪、切れてもいいんだったけ? 王子兄弟の歌合戦やパン屋の妻の浮気シーンは笑えました。思ったよりそれぞれの物語がシンクロしていて面白みがありました。ジャックを追いかけてくるのは脳内で女型の巨人に変換して観てました。赤ん坊を抱くパン屋のもとに亡くなった妻が現れる最後の歌「気をつけて 子供は聞いている 〜 願いには気をつけて…」と歌われるのが、とても良かったです。ですけどね〜、一人じゃないってのはヤクザだってそうですしね、いなくなって欲しい人とかやっぱりいちゃうんですよね〜。でもまぁ、例えば同じ思いでも「お前さえいなければ皆幸せなのに」と言うか「みんなが幸せになれるといいな」と言うかで大きな結果の違いが起きたりしそうな気はしますね。最後の歌は結構大事なことなのかもしれません。罪のなすり合いの矛先が最終的に魔女に向かい、そこからの魔女の歌までの流れも印象的でした。 [DVD(字幕)] 6点(2015-10-06 21:37:12) |
72. 裸のジャングル
《ネタバレ》 『アポカリプト』じゃん、と思って調べらたやっぱりこの映画が元ネタだったんですね。この映画が作られた頃、僕はまだバブバブの乳飲み子だったのだと思うと、なかなか凄い映画だなと思いました。赤い泥を塗りたくられてた人、何されるのかと思ったら、棒に固定してクルクル丸焼きだなんて、あれはちょっとトラウマ!呼吸するための管を口にはめられて生かされながら丸焼きです。 原住民のボスが人懐っこいニコニコ顔なのに、怒らせたらギャップの激しいことするのがとても印象的でした。主人公がアフリカに一人放り出されて何を食べていいのか分からないところは『アポカリプト』にない要素でした。『アポカリプト』は時代設定が遠過ぎて奴隷狩りについてあまり考えが及びませんでしたが、こちらの作品は歴史的事実としてアフリカの人々が拉致されたことに思いが向くことになる作品でした。 [DVD(字幕)] 6点(2015-10-02 23:01:53) |
73. サスペリアPART2
《ネタバレ》 ファースト・シーンの女性は僕好みでしたが水飲んで志村けんしたのは失笑しちゃいました。けど、このファースト・シークエンスはもしかすると『スキャナーズ』に影響与えてるかもしれない気がしました。観ている途中から『殺しのドレス』を思い出し、どっちが先なのか気になりました。こっちが5年先なのですね。どちらもヒッチコックの『サイコ』をリスペクトしてますが、『殺しのドレス』はこの映画からもインスピレーション受けてる気がします。黒の革手袋、扉が空くと刃物が振り下ろされて女の身体がザックリ、回廊の絵、回廊に潜む犯人の影、締めくくりは首シャキンなどなど。この映画、生爪剥ぐような生理的に痛〜い感じの描写がうまいなぁと思いました。熱湯に頭突っ込ませるとか、家具の角に歯を打ち付けるのとか。人形の持つ気味悪さも上手く使っていますし、子供が描いた殺しの絵も似たような物たくさんある中でコレが1番雰囲気の立て方がいいと思いました。ゴブリンの曲は好きですが劇内での使われ方がイマイチ。けれども壁から子供の絵が削ぎ出されるシーンだけは曲がバッチリ貢献したと思います。エレメントを楽しむ分には6点以上ですが、マニアックな目線なしに普通に鑑賞することを前提にすると5点て感じです。特撮は『ET』のカルロ・ランバルディだったんですね。 [DVD(字幕)] 5点(2015-10-02 22:09:13) |
74. カリフォルニア・ダウン
《ネタバレ》 ロック主演という段で既に内容に真面目に付き合う気はなく『映画』ではない『3Dアトラクション』として入場しました。なので満足満足。ここでいろんな方のレビューを読んでましたので、どれだけ身勝手自己中な主人公なのかと思ってましたが…盗難車はそのまま盗人に使わせてたら金目の物盗み放題だし、銃で人脅すような奴だったし、緊急に生命に関わる問題のために動いてたんじゃなく迷惑な暴徒ですやん。主人公を責める必要なしと思いました。飛行機乗り捨ては海岸端ですからおそらく墜落点は海、そうじゃなくても「人が死ぬかもしれないから自分と妻は助かろうとしませんわ」というおバカはいないでしょうし、どうしたって燃料切れで滑走路になる場もなく落ちるんですから、いいですやんと思いました。それから、こういう職業の人って実際はどういう誓約させられてんでしょう? 大きな部隊を率いる重要リーダーなら「家族一人のために」というのはできないかもしれないけど、もともとが緊急の少人数をレスキューしてるような人が、救うべき1人がたまたま家族であるという時「家族を救うのはダメ、他の人助けてあげて」と言われるべきなのかなぁ? そうなると人命救助を仕事にする人の家族は可哀想ですね。こういう災害時にどういう役割を義務付けられている主人公なのか分からないし、上から許可降りてたんだから、まぁいいじゃないですかと…ただのアトラクションムービーです。まずこんな映画にリアリティー求めてたら、次から次の大惨事に生き残り続けること自体「ウソやろ」でしょう。この映画で『アビス』見るとは思ってませんでした。このシーンの救出劇で主人公がロック様であることに説得力が出ました。アントマン観た後だと全体的にユーモアのセンスがもっとあって欲しかったなと思いますが、現実の被災など思うといろいろ難しいかもですね。完全に壊れた街を見て「また作る」良いと思います。どういう人がこの映画を観るのかというところ考えると不毛かもしれませんが、このラストの言葉に助けられる人はいると思います!(天災被災者に限らず)。 これを言わせる力強いシンボルとしてロックを起用したのは良かったかも。 [映画館(字幕)] 6点(2015-10-01 21:09:07) |
75. アクト・オブ・キリング
《ネタバレ》 虐殺者の「オエェ〜〜ッ!」てシーンがとにかく強烈。それしか思い出せないくらいに、そこが突出して強烈。なんだかんだ言い訳して平気を装っても、身体が反応しちゃって嗚咽する凄さ。この人は何と引き換えにこの(悪事を認めて自分を追い詰めるという意味で)辛い再現を承諾し切ったのだろう? いっぱい金もらったの? 虐殺に関する直接的なことは、もう思い出したくないです。それほど『現実』の感じが強烈。そして、たくさん人殺して平気で堂々と日常を過ごし笑ったり冗談言ったり、という現実も、その裏側で自分の行いの酷さを自覚している苦しみを誤魔化せない姿に見る地獄も、トラウマ級です。ある意味ではとても貴重な作品でしょうし、ある点では2度と観たくないどころか見るんじゃなかったと後悔するような作品です。で、真ん中とって5点にしました(採点できない)。虐殺者の「オエェ〜ッ!」をヤラセと見る人もいるみたいですが、自分の行為を正当化し町の英雄として現在を生きる人がカメラに記録されることを承知で嗚咽のヤラセをOKするでしょうか? それは公に自己否定を認める行為です。普通なら恐ろしく不安で出来ない気がします。自らが殺される側を演じた時の参り様…その延長上にあの嗚咽はあったと思います。あれは自分が人にどんな酷いことをしたかを覚ってしまった人間の偽りない自責の苦痛だと思います。もし、あれがヤラセなら、この映画の制作に関わったみんな人間のクズです。 [DVD(字幕)] 5点(2015-09-30 22:47:16)(良:1票) |
76. アントマン
《ネタバレ》 ペーニャのコミカル担当で笑える面白い作品でした。マイケル・ダグラスもとってもイイ感じでした。LOSTで馴染んだエバンジェリンも、簡単な添え役と思ってましたが次回活躍しそうで、ちょっと楽しみ。吹き替えで観ましたが、ペーニャの語りが映像の登場人物の声とシンクロしてることがちゃんと分かるのって、ちょっと感心しちゃいました。原語版で観たら口の動きピッタリなんだろうなと思うと原語版も観たくなってしまう。この作品のペーニャ気に入ってしまいました。次回観るとしたらペーニャへの期待とエバンジェリンの活躍観たさかな。機関車トーマスに大ウケしました。女の子も可愛かったし、やな感じに見えてた警察野郎も最後いい感じにしてくれて気持ち良い作品でした。ミクロ世界を映像化する際、空気中のゴミやフィルム粒子の粗さみたいな感じの細部をそれとなく表現して見せてくれていて、そこも感心しました。 [映画館(吹替)] 7点(2015-09-30 22:24:32)(良:1票) |
77. 不意打ち
《ネタバレ》 子供の頃TVで放送されていたのをほんの少し観て、ずっと気になっていた作品でした。その時テスト勉強で観ることができず、映画のタイトルもわからないまま何十年も経ちました。去年「エレベーター」「閉じこめられる」をはじめいくつかのキーワードで調べて『不意打ち』というタイトルなのを知り、そのDVDが最近発売されたことも知りました。残念ながらその時点でレンタルの情報はなかったのですが、ようやくTSUTAYAの発掘良品のコーナーに並んでいるのを発見して喜んでレンタル。まず冒頭のタイトルクレジットがカッコいいなと思いました。パソコンで手軽に試行錯誤できるわけではない時代の手作りの質感が貴重に思えました。子供の頃に観た時に強烈なインパクトだった毛むくじゃらの男は駆け出しのジェームズ・カーンだったことは下調べの時点で分かったことでしたが『ミザリー』で閉じ込められた作家役のことを思うと、この映画で観る彼の演技に言葉にならない感慨深さを感じました。若い頃のマーロン・ブランドみたいに見えたかと思うと、ときどき山本太郎に見えたり、そういう見え方想像もできなかったので面白かったです。日本とアメリカじゃ家や庭の大きさも物価も「普通」の基準が違うので、はたしてこの物語の舞台となったこの時代のこのお家の裕福度はどの程度なのかがとっても気になりました。あの頃家にエアコンやエレベーターがあるって、どの程度のお金持ちだったのでしょう? 「たんまりお金持ってて何でもやりたい放題なんでしょ」というような前提を持って見るのか、そうでないのか、その辺で物語の見え方のインパクトも違ってきそうな気がしました。目が見えず狼狽えながら仲間にヒステリックに協力を懇願する男の姿と、「私こそモンスターだわ」というオバさんをダブらせるシーンが印象的でした。オバさんはそれほどモンスターなのでしょうか? 息子も「解放されたい。財産分けて。くれなきゃ死んじゃう」って何それでした。この親にしてこの子ってこと? 6人もキャラが交差するわりには(冒頭のみの息子や質屋などなど入れればもっと多数なのに)あまり展開に変化や緩急が乏しく感じました。カーンのタイヤ下敷きはけっこうスゴイ。 [DVD(字幕)] 6点(2015-09-30 14:15:04) |
78. ピクセル(2015)
《ネタバレ》 時間帯や諸々の事情で選択肢なく暇つぶしに観ました。アダム・サンドラーが出てることくらいしか知らずにいたので、ショーン・ビーン登場にはちょっとビックリでした。ダン・エイクロイドの登場は懐かしく感じました(この人も全然見なくなったなー)。しがないオタク主人公の幼馴染が大統領でしかも現在も交流があるという無茶な設定がすごい。途中ほんの短い間ですが2度ほど眠っちゃいました。その程度の話し運びです。エンドクレジットで、映画の内容を最初から最後まで全部おさらいしてしまう、それができちゃうくらい単純でバカバカしいお話というのを、開き直って堂々やってるところが微笑ましかったです。この作品観て、前々からジワジワ思ってたことが噴出したのですが、単にマイノリティーを応援するならイイですが、キモヲタ(ゲームおたくのことではなく、キモい系のアニヲタ的なの)をヒーロにさせようという最近のいろんな作品の風潮が、どうにも僕には白々し過ぎて仕方ありません。カモになるほどその人口が増えたということでしょうが、それだけの数が増えたオタクは既に威風堂々とその特性を晒して大勢の仲間とつるんで楽しんで生きているのだから、もうわざわざ取り上げて持ち上げてやらなくていいんじゃないでしょうか。寒い。 [映画館(字幕)] 5点(2015-09-25 19:06:05) |
79. キングスマン
《ネタバレ》 カセットテープのどアップで始まり、流れる曲はよく聴いていたダイアー・ストレイツの「Money for Nothing」。あまりに懐かしい! これだけで僕はつかみにはまりました。あとはとにかくテンポよくのせられ楽しみました(DVDじゃそうはいかないだろうけど、だからこそ劇場で観た甲斐がありました)。この映画、絶対にポスターが失敗です! この映画の面白さを微塵も匂わせていない。「コリン・ファースが銃持ってアクション…面白いの?」としか思ってませんでした。これは昔々のアメリカン・リアル・イラストレーションで動きも派手なポスター作ったら良かったんじゃないかなーって思います。STAR WARS 一作目の主役ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルの登場もGood! この人スターウォーズ以外でほとんど観ませんから、この人選も「メチャクチャなつかしー!」なのです。さらさらヘアーの若きジェダイ騎士は髭生やして小太りのオジサンになってるー。映画ってストーリーだけじゃない、こういう楽しませ方があるのがイイです。サミュエル・Lジャクソンて人は僕はどちらかというと苦手で「あまりにもいろいろ出まくり、そのわりにどれもイマイチ光らず、どれも似た感じ」と思っていましたが、今回のキャラはわりと印象に残りました。コリン・ファースのアクション・シーンはカメラワークが面白かったです。「カメラマンどうやってるの?!」と思いながら観ました。きっとデジタルでいろいろ加工制御できちゃうから見せられる映像なんでしょうけどね。教会での大虐殺は「やり過ぎ」感ありますが、僕は『キック・アス』よりは痛々しく気味悪くなかったと思います。カルト宗教集団をコリン・ファースが全滅させちゃうのはうまい演出だなと思いました。大っぴらには絶対良くないことは分かり切っているので「これは悪玉のマイクロチップのせいなんです」という釈明がついているわけですが、この劇中のカルトのオバさんとか『ミスト』のカルトおばさん同様に狂った善を振りかざす迷惑者なので「そういう集団なのね」と思えば、スッキリする人はスッキリすると思いますよ。近頃は躾の悪い女も増えたので、女も容赦無く殺しちゃうのはいいかも。だって男女平等でしょ。 [映画館(字幕)] 8点(2015-09-24 20:49:35) |
80. 刺さった男
《ネタバレ》 工事現場に落ちて後頭部に鉄筋が刺さってしまった男の話。身がよじれるようなシチュエーションだけで紆余曲折を描いていくのだと思っていたら、ハイエナのようなメディアへの風刺や「なんでそんな話に?」なデタラメ噂や金儲けの話が織り込まれて予想以上に楽しめました。不況の中、職が見つからない主人公の「存在の価値」の話になっていて、結構真面目なつくり。ちょい考えさせられました。見終わって全体的な印象は『[リミット]』を思い出す感じ。ラストぐっと上がってくる作りではないから、人に勧めるには弱いかなと思いますが、オチを期待しなければ話の流れは面白かったです。 [DVD(吹替)] 6点(2015-09-03 23:32:39) |