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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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61.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 
常に陰鬱な空気が包み込む「金田一耕助シリーズ」の第一弾。 原作以上にエログロナンセンスをねじ込む市川崑の世界観が拡がる。 オープニングの斬新なクレジットの入れ方はカッコイイ。けど、このシリーズが市川崑の代表作と言われるのは何だかなあ。本当は海外で評価が高い「東京オリンピック」や「ビルマの竪琴」「野火」といった作品が代表と言えるものなのだけど(何故コッチの評価は日本で低いのか謎)。 俺としては「木枯し紋次郎」といった時代劇をオススメしたい。  個人的にこの手の大量殺戮を敢行する推理ものは嫌いだ。 金田一という探偵は事件を止められない(もはや止める気がない)。 事の成り行きを傍観し、頭を掻いてフケを撒き散らし、そして事件の真相を暴く。 まるで殺された魂を待ち受ける死神(轟警部にとっては厄病神か)のように・・・。 毎回金田一の事を忘却する轟警部、いつも金田一と鉢合わせする宿場の娘など、個性豊かなキャストがドラマをさらに盛り上げる。 そして権力とか何やらに溺れる欲深い大貴族とか大家族とかを虐殺レベルで殺しにかかるのがこの映画シリーズ。 おまえら全シリーズを見てみろよ! 「名探偵コナン」よりよっぽど死神だぞコッチの方が!! そんな映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-06 19:43:29)
62.  レッド・サン 《ネタバレ》 
「Soliel Rouge」。  テレンス・ヤングと言えば「007」でおなじみの脳みそ「テレッテレー♪」な監督だが、「暗くなるまで待って」とかまともな作品もあるので油断できない。  だが本作は文句なしにテレンス・ワールド全開の映画だ。 からっ風吹き荒れる荒野にたたずむ日本の武士。 文化の壁を破壊するようなシュールな光景だが、そこに立つ侍の「黒田」には男の魂が宿る。 明治維新の使節団として派遣された黒田たち。 強盗団の襲撃に巻き込まれ、天皇からの授かりものである宝刀、そして同僚の命を奪われる。 上司の密命を受け、命懸けの行動に出る黒田。 移りゆく時代を受け入れようとする黒田と、時代に縛られずに生きる賞金稼ぎのリンク。 軍人とアウトロー。 どこまでもデコボコな二人が、死地をくぐる度に絆を深めていく。 話は突飛な描写や展開も多いが、時代考証は上出来(明治維新以後なら天皇が取り仕切る。でもわざわざ紋付き袴で来なくても・・・)。 テレンス・ヤングの荒っぽさと三船敏郎の知識が融合したような映画だ。 三船敏郎の殺陣、馬術、英語とポテンシャルを遺憾無く発揮。 髭面のブロンソンも悪党のアラン・ドロンも伸び伸びしている(ドロンの声だけ吹替なのが残念)。 ブロンソンの鋼の肉体、三船敏郎の無駄な肉が無い引き締まった体。 とことん男の友情が詰まった「雄」の映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-06 15:13:08)
63.  ワーテルロー 《ネタバレ》 
アベル・ガンスの「ナポレオン」ほどじゃないが、かなり見応えのある大作。大作といっても、「戦争と平和」の200分超ではなく、2時間弱で締めてきた事に関心を覚える。オリジナルの200分を見ても悪くはないだろうが、ボンダルチュクの場合は上映時間が短い方がありがたい。 といっても、シュトロハイムの「グリード」が4時間でなく2時間弱しか残っていないように、この映画も「ワーテルロー」であって「ワーテルロー」ではないのだ。 ただ・・・ドラマの厚みと達成感はやはり「戦争と平和」の方があるだろう。それでも、ドラマはボンダルチュクらしく重厚すぎて退屈な部分もあるが、ナポレオンが復帰するドラマや雨の中で復讐の闘志を燃やすシーンなど、ふつふつと総てが決する“ワーテルロー”へのエネルギーと緊迫感を高めていく演出は中々。 戦闘シーンのスペクタクルは圧巻。大砲の轟音と共に時計から時計に繋げるショット、クローズアップがしばらく続き衝撃が中々コチラまで届いてこない徐々にコチラに迫ってくるスリル。早朝から夕方までの戦況の変化を刻々と描いていくシーンも緊張感を増して良い。 現地に居ればそれを肌で感じられるのだろうが、画面越しでもそのヒリヒリするものを感じられるのが凄い。 包囲陣形で押していく圧迫感、騎兵が一気に目の前になだれ込んでくる迫力とスペクタクル!・・・をいちいちスローにして落とす演出が無ければ良いのになあ。「戦争と平和」でも感じた事だが、どうして肝心なところで余計なものを挟むのだろうかこの監督は。それが無ければ文句のツケどころがないというのに。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-02 23:35:56)
64.  仁義なき戦い 《ネタバレ》 
2作目以降、特に「代理戦争」「頂上決戦」「広島死闘篇」は素直に作品の素晴らしさに打ちのめされても良いが、最初の「仁義なき戦い」はギャグでやっているとしか思えない。 壮絶、痛快、ドタバタ、もう滅茶苦茶。 戦後の闇市における混乱、日本刀で腕をブッた斬られる凄まじい幕開け。  アホだ。  馬鹿ばっかだ。  男は何て馬鹿な生き物なのか・・・人が死ぬたびに「テレレー♪」は卑怯だろ。笑うなって方が無理だ。  実録?実際だぁ? こんなん見て信憑性沸くかボケえ! 山守のオッサンが無敵すぎて笑うしかねえだろうがあっ! ラスボス:山守  「実録もの」特有の胡散臭さ。その臭さが良いんだよ! 今更「ゴッドファーザー」みたいな堅苦しい叙情詩をやるわけにもいかないし。  だからこそ破壊力を!壮絶極まる!血で血を争う破壊力を高めなければならない! 正に「ゴッドファーザー」の「劣化ウラン弾」!それをこんなに面白い映画にしてしまう深作欣二は凄えぜ。弾けた時の一方的な貫通力を極めた怪作なのだ。  任侠?仁義?んなもんはドスとハジキでバキュンキュンキュンよぉ!  なぁ文太の兄ぃ? 「最後じゃけん、言うとったるがの~狙われるもんよりも、狙うもんの方が強いんじゃ・・・そがな考えしとると、スキができるぞ」 テレレー・・・ テレレー・・・  ま、何だかんだ言って傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 20:10:24)(良:2票)
65.  昭和残侠伝 死んで貰います 《ネタバレ》 
全盛期のマキノと比べると落ちるという人もいるかも知れないが、俺はマキノが晩年に咲かせた傑作の一つだと思っている。  高倉健にとっても、健さんの生き様が鮮烈に刻まれた1篇だ。  夜、ヤクザが賭博をする場面から映画は始まる。若い男が博打の不正を“眼”で訴えるが、話は入れられず男は後を去り、道端で先ほどのゴロツキが男を袋叩きにし“警告”をして去っていく。  雨が降りしきる中、傷ついた男を若い乙女が手当てをする。傷ついた心に、暖かい酒と優しさが染み渡る。この場面がキレイでさあ。  そっから3年後、どうしてこうなったヤッパ片手に不正ごとをブッ刺し、賭博をブッ壊してブタ箱行き。見破ってこそイカサマなんて言うから・・・。 健さんは、一体何度映画の中で捕まっているのだろうか。  「ヤクザもここまで落ちたら一人前の馬鹿だ」 菅原文太「サーセン」  地震で絶たれる想い、家族の帰りを待ちわびて死んだ人々への申し訳なさ・・・。 「“きらく”って宿知っているか?」 「きらくきらくと言われても・・・」 ツマんねえギャグ言ってんじゃねえよコノヤロウ。  震災後の混乱がヤクザも追い込む。  出所後はまっとうになろうと振舞うが、惚れた女の危機には黙ってられねえ人情、その女のためにひたすら耐えて、耐えて、耐える。 二人っきりで本音を洩らす男気、それに応える侠の精神。  料理人の腕前もまた“血”で決まってしまうのだろうか。俺も健さんの玉子焼き食いてー。 松っちゃんのスタイリッシュ面接。  ただ、彼自身が変わっても、それを知らない人間は絶えず追いかけてくる。今まで流した血や体に刻まれた傷、犯してきた罪はどんなに洗っても拭われない。  そして、たった一枚の紙切れのために死んでいく人々の無情さ。  積もり積もった怒りは、爆発させるしかない。柳の木が連なる長い道を、ゆっくりと歩いていく漢たち。  抜刀、血しぶき、凄絶に散る侠たちの生き様、死に様。 馬鹿は死ななきゃ治らねえ・・・「死んで貰うぜ」・・・!
[DVD(邦画)] 9点(2014-11-30 03:51:41)
66.  インディア・ソング 《ネタバレ》 
マルグリット・デュラスは、自身が描く小説よりも官能的で狂気に満ち溢れた作品を作り挙げた。架空のインドを舞台に、フランス大使夫人とそれを取り巻く男たちの官能的な交わりを描いたこの作品は、太陽が昇りはじめたばかりの空から物語は始まる。暗い部屋、郊外の屋敷、湖、森・・・。そこに横たわる黒衣の女。何かを語る彼女の横に服をはだけた白シャツの男が座り込む。仰向けになった女の胸元もはだけ、白い乳房が熱く脈打つ。傍らの男もまた、一緒に寝そべる。女の語りは続き、そこにまた上半身裸で白いズボンを履いた男が座り込む。女の乳房は、より荒々しく脈打つのだ。まるで誰かがその肌に触れるのを待つように。もの凄くエロいです。  彼女たちは、画面ではほとんど口を開かず、スクリーンの外で大いに語らい合う。それは我々が小説の文体から彼女たちの姿を想像するのと同じ様に、我々の心を掻き毟るのだ。 人によってはその難解な映像を退屈に捉えると思うが、少なくとも映像の美しさだけは見て損はしないだろう。 2時間を包み込む独特の倦怠感は、大使夫人の中に眠る暴力的な欲求を揺り動かしていくのである。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-27 01:02:29)
67.  家族の肖像 《ネタバレ》 
こんな家族は嫌だ。 ・いきなり来て「部屋を貸せ」→「売るとか言ってないんだけど」  ・下宿人が家を破壊→「出て行ってくれ」  ・下宿人が謎の負傷→「いいからズボン履け」  ・下宿人と娘とその兄で3P→「いい加減にしろ!(怒)」 娘「人間は自由になるべきよ!」 ラ「いやいいから隠せよ...(色々と)」  ・下宿人と家族が「養子にして」→「俺を殺す気か」  ・家族会議で謎の主義主張→「少なくとも君らは自由(勝手にヤリたい放題)主義だね」  ・下宿人と兄が喧嘩→「我が家の問題に干渉するな!(怒)」 ラ「その前に俺の家を壊すな!!!!!(憤慨)」  ・下宿人が吹っ飛ぶ→「息子ですかあ...」  ・とにかくワケが解らない→「言語が違う(イタリア語と英語)」 ゴッドファーザー「言語が違う(バキューン)」  「?(・ω・)」て顔のランカスターが面白かった。 あの絵は伏線だったりするよな・・・多分。  ラストの涙は「息子」への涙か、「悪夢」から解放されたことの喜びか・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-07 16:59:09)
68.  未知との遭遇 《ネタバレ》 
スピルバーグにしては少し退屈な映画だったが、あの宇宙船のインパクトは凄い。 キューブリックで言えば「2001年宇宙の旅」とも言える最も退屈な部類の映画であり、最も魅力的な一篇と言える。 ハワード・ホークスとクリスティアン・ナイビイが組んだ「遊星よりの物体X」を思い出すセリフやシーンがある。 ジョン・カーペンターは「遊星からの物体X」として地球外生命と戦う映画を継承したが、スピルバーグは「遊星よりの物体X」で研究資料として我が物にしようとする・・・いや、地球外生命との相互理解の可能性を模索したキャリントン博士の心持でこの作品を撮った。トリュフォーは正にキャリントン博士。しかし、劇中のトリュフォーは「話せば解り合える」という面持ちでコンタクトを試みる。まるで「野性の少年」と心が信じると最後まで願ったように。 「Watch the sky」のセリフも「遊星よりの物体X」に因む。 今までファースト・コンタクトを描いた作品の人類は、大抵襲われ、戦う事になる。 ロバート・ワイズの「地球が静止する日」ですら戦いは避けられなかった。 だが、スピルバーグはこの作品と「E.T.」で戦いの無い、“旅人と現地人の平和な交流”を描く事を選択する。こんなにも意味あり気に盛り上げておいて、ハッピーに終わらせるファーストコンタクトものはこの映画くらいか。 「蜘蛛巣城」を思い出す序盤で砂漠の中に現れる謎の物体。 「十戒」も「五戒」まで、この映画を「未知との遭遇寸前」まで見れた人間はけして多くないだろう。 ホラーテイストで未知の脅威を描いていく様子はスピルバーグのB級魂を強く感じる。 というより、B級とされる娯楽映画を超A級に押し上げたのはまぎれもなくスピルバーグです。 俺に言わせりゃジャン・ルノワールやハワード・ホークスといったアメリカ映画の傑作群の再評価を推し進めたのは、ゴダールやトリュフォーといったヌーヴェルヴァーグよりもスピルバーグやジョン・カーペンターの影響の方がよっぽど強いと思うのだけれど。 そんなトリュフォーとスピルバーグが組んだ同人的映画がこの「未知との遭遇」である。 UFOを追うトリュフォーの同人クラブ。 ファースト・コンタクトのシーンを見るだけでもこの映画を見る価値があるぜ。本当にデケえ。 「激突!」や「ジョーズ」で散々見えない恐怖を描いてきたスピルバーグが、この映画ではあっさりと映してしまう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-10-27 19:58:29)
69.  ジョン・カーペンターの要塞警察 《ネタバレ》 
「リオ・ブラボー」の超絶進化版とも言うべき傑作。  ジョン・カーペンターは学生時代にジム・コロスと組んで「ブロンコ・ビリーの復活(The Resurrection of Broncho Billy)」という西部劇の世界に憧れる若者を描いた現代劇で編集と音楽を担当した(その年のアカデミー賞の短編部門で受賞した事は有名な話)。 今作もまた西部劇の雰囲気を持った現代劇だ。  文字通り警察署をまるごと要塞化し、「リオ・ブラボー」における冒頭の緊張が最初から最後まで持続する。 低予算をその並々ならぬ演出でカバーしてしまうカーペンターの凄さ。いや、低予算を逆手にとった閉鎖的空間に登場人物を閉じ込めてしまう見事さと言うべきか。 まるでホラー映画の、サイレント映画のように音も無く署内の物が破壊されていく恐怖。「遊星からの物体X」でも味わえるホラーテイストが、この映画でも遺憾なく発揮されているのだ。 ギャングたちの冷徹さ、アクション映画としても一級品の傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-21 16:52:19)
70.  侠女
キン・フーが何故巨匠と呼ばれるのか。それはひとえにアクション豊富な娯楽もあれば、映像の美しさを求めた幻想的な作品も撮っているからだ。 キン・フーにカンヌでの受賞という名誉を与えた「侠女」。 俺は「山中傅奇」の方が完成度は高いと思うし、アクション映画にしても「迎春閣之風波」「忠裂圖」ほど洗練されたものは感じない。 それでも「侠女」が一つの到達点として語られる事は間違いないだろう。 キン・フー映画にしては上映時間の長さに驚くが、計算された画面作りと中盤のアクションはやはり凄い。 竹林における戦闘は屈指の名場面だ。人間離れした跳躍で切り結ぶ武人たちが入り乱れる! 特筆すべきは、ヒロインの徐楓の演技が素晴らしい。 他のキン・フー映画は女性としてはパッとしない・・・つうか男女関係無くブッた斬りまくりの凄まじい役回りが多すぎた。 今回の徐楓は女性らしさを細かい表情の違いで見せてくれる。キン・フー映画の常連である徐楓は、彼の作品を通して確実に役者としてのスキルを上げていったのだろう。 後の「グリーン・デスティニー」における強烈な役回りも納得がいくぜ。  終盤の展開は「あれ?見る映画変わった?」というくらい蛇足というか、別の映画になったと錯覚を起こす余計とすら思えるクライマックスだが(やや難解だし)、それでも画面全体を包み込む太陽の美しさ。 この映像の美しさがキン・フーを巨匠にしたのだろう。  彼の代表作としては充分な仕上がりだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-16 09:11:33)
71.  ざくろの色 《ネタバレ》 
音楽&伝記もので面白い映画を探している人に是非ともオススメな作品であり、加えてアンドレイ・タルコフスキー好きにはもっとオススメしたい作品。  タルコフスキーの盟友であるセルゲイ・パラジャーノフが送る不思議な音楽伝記映画。  アルメニア生まれの詩人サヤト・ノヴァの生涯を独特の映像世界で描いていく。 タルコフスキーのような映像の美しさ、狂気、幻想的な空間。 ノヴァの恋人からミューズや天使と複数の演技をこなすソフィコ・チアウレリの見事な演技。  普通、前衛的な映画はストーリーが無いので難解で取っ付き難い。 だが、この物語はノヴァの生涯に渡って繰り返される苦悩が強烈な映像によって綴られているのだ。 いかにノヴァが苦しみもがいているのかを、少しでも眼で感じられるように。 もしかしたら、言葉では現せないほどの苦悩とノヴァは戦ったのかも知れない。 物語で流される柘榴(ざくろ)の“鮮血”は、彼が血を振り絞るほどの苦悩を繰り返したという事なのだろうか。 「我が生と魂は苦悩の中にある・・・」のセリフと共に。  生涯に渡って渇き、潤いと安らぎを求めた詩人の数奇な物語。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-16 09:07:41)
72.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
冒頭から素晴らしく不安になる強烈なBGMが流れ、暗くジメジメとした街中を一台のタクシーが駆け抜ける。 主人公にも暗い影が差し込んでいる。 元陸軍出身だというトラヴィス。 この映画はヴェトナム戦争の直後だが、彼もヴェトナムから帰還した兵士の一人なのかも知れない。 戦争の時は散々祭り上げておいて、いざ帰ってくるなり辛い仕打ち。 何のために戦ったんだと打ちのめされる日々。 トラヴィスのように若く多感な人間ほど、そんな社会に心を蝕まれる。 オマケにタクシーに乗ってくる人間は平気でゲロを吐く、暴力を振るう酔いつぶればかり。 運び屋を掃き溜めにしているわけだ。 受け止める側に溜まった鬱憤は、やがて犯罪という“はけ口”にブチまけられる。 ナンパした彼女をいきなりポルノ映画館に連れ込もうとするトラヴィス。 価値観の違い以前にもう馬鹿だろコイツ・・・。 そんなんで軽蔑しない女の方が不思議である。 戦場で生きてきた男は、常に平和な時代には無力なもんだし、不器用にしか生きられない。 戦場の常識がここでは非常識へと変わる。(だけどトラヴィスは単にポルノ脳のアホ) デ・ニーロは“カッコイイ”、トラヴィスは“イカれポンチのクソ野郎”だ。 そんな社会の“歪み”が再びトラヴィスに銃を握らせる。 「世の中間違ってる、俺が正しい!」と強く思い込み狂気の世界へと走り続ける主人公。 「俺に言ってんのか?」 イメージトレーニングという名の“見えない誰かと”戦い続ける。 銃社会のアメリカじゃあ、一度銃を持てば子供だって大人を殺せてしまう。 トラヴィスの正義は危ない正義。 「勝った者が正義なんだろ?」と言いたげだ。 そんな危い正義感がいきつく果て・・・つうか何であれだけ撃たれて生きてんのコイツ? モヒカンヘアーにすると戦闘力が上がんのか? 「マッドマックス2」とか「北斗の拳」とかもあの髪型だからタフなんだろうか? 理由わからん。 個人的にはトラヴィスもくたばった方がスッキリしたんだが・・・「時計じかけのオレンジ」以来のモヤモヤが残る映画だった。 モヤモヤは残ったが、再見して前とは違う印象を持った。 出兵してた戦争でも死に損ね、殴り込んだ先でも死に損ね。でも他の奴はみーんな死んじまう。トラヴィスが彼女の乗車を拒んだのも、そんな“生き地獄”に彼女を巻き込んでしまうのではと不安に思っての事かも知れない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-01 21:35:53)
73.  戦争のはらわた 《ネタバレ》 
「完全版」の出来が満足(10)点だったので、コッチはほぼ満足(9)点を付けておく。 「ワイルドバンチ」は執拗なスローモーション&クローズアップ演出で反吐が出る映画だったが、本作はそれを極力抑えたことで見事な傑作となった。  「昼下がりの決斗」と共にペキンパーを見直した映画。   リアルな戦場と言えばルイス・マイルストンの「西部戦線異状なし」もあるが、どちらかと言えば俺は「戦争のはらわた」を選ぶ。   第二次世界大戦の東部戦線を舞台としたこの映画は、ウィリー・ハインリッヒの原作「Willing Flesh」を元に映画化。  オープニングの子供の童謡をバッグにした戦争資料のような映像、  そして冒頭のシュタイナー小隊の華々しい活躍。  死と破壊に満ちた戦場、その下に拡がる塹壕の中に溢れる人間の温もり・・・やがてそれも消えていく。  シュタイナーが助けたロシア人捕虜の少年が良い例だ。  アンドレイ・タルコフスキー監督の「僕の村は戦場だった」を思い出すその子供。  死が待つだけの戦場で生まれる言語を超えた友情・・・それすらも打ち砕かれていく。  兵士は国の道具なのか?  一人の人間なのか?  そんな様を死が飛び交う戦場、ドイツ軍の一部隊の視点で描いていく。  勲章一つのために多くの人間が死んでいく。  「こんな物」のために・・・主人公はそれに気付いてしまったのだ。  そして戦うことの意味を求めて苦悩と葛藤を繰り返す。  上司であるシュトランスキーとの闘争。  内も外も疑心暗鬼で敵だらけ。  取り返しのつかない死があるとも知らずに彼らは争う。  そんな男たちも、いざ死ぬとなると人間としての尊厳を取り戻す。  シュタイナーも、ブランド大佐も、シュトランスキーも輝きに満ちた顔で戦場に飛び出していった。  彼らの最期は解らないが、そこには命懸けで戦った人々の物語が強く刻まれている。  シュタイナーが笑ったのはシュトランスキーの滑稽さか、戦争そのものの滑稽さか。  その答えはシュタイナーだけが知っている。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-24 18:16:56)
74.  ヴォイツェク 《ネタバレ》 
キンスキーの演技力の凄まじさをより味わう作品。 一兵卒に徹するキンスキーは、いつもの野獣のような獰猛さがこの作品には無い。 上官に踏みつけられるキンスキー。それでも彼は反抗しない。 あろうことかマッドサイエンティストのような軍医の実験材料にまでなって“小銭稼ぎ”だ。 ヴォイツェクは散々だ。それでも、この男はひたすら耐えて耐えて耐える。 その怒りを耐えているキンスキーの表情が凄い。  上官、軍医も、みんな噛み合わない意味不明なやり取りを繰り返している。  そんな彼らを、ヴォイツェクは人間の本質をツクように語る。 一見何の抵抗もしない、頭も空っぽではないのかという彼がだ。物事の考えを上手く表現する学もない、聞いてくれる友達もいない。 それを口に出せない苛立ちが積もり続ける。  そんあヴォイツェクの心を唯一和ませてくれる愛人のマリーと子供。 ヴォイツェクの笑顔がそれを語ってくれる。 マリーもまた、鏡に映る自分を見て残念そうなため息を付く。  それでもヴォイツェクを襲う悲劇。 堪忍袋も限界、ブチ切れたヴォイツェクはダムが決壊するように、獣が理性を失うように“ブッ壊れる”・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-16 00:38:13)
75.  叫びとささやき 《ネタバレ》 
ベルイマンが「処女の泉」や「狼の時刻」といった作品で神を否定したり、性欲や精神的な病、他者との関わり等何処か尖った印象のある作品が多い中、この作品以降は人間に対する愛情や憎悪のようなものを突き詰めた傾向に移っていく。  ガンに侵され死期が迫る女性、そして彼女を中心に彼女が発病するまでの様々な出来事を回想していく。  三姉妹の愛と憎しみの連鎖が刻まれた作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-14 22:19:47)
76.  王になろうとした男
コネリーが好き?世界一カッコイイハゲを見たい?そんな最高のハゲメンが繰り広げる冒険アクションを見たいって?そんな人は是非ともこの傑作を御覧下さい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-13 20:54:24)
77.  ひまわり(1970) 《ネタバレ》 
「自転車泥棒」は余り好きになれなかったが、この映画は素晴らしい恋愛映画だった。あの「ひまわり」は卑怯だ。 戦争によって引き裂かれてしまった男女二人。多くの苦難を経て、再会した果てには・・・悲しすぎる。二つのうちどちらか一つの幸せしか望めないとは・・・戦争の残酷さがよく描かれていた。 まったく「ウンベルト・D」といい、デ・シーカは卑怯者だぜ(涙腺的な意味で)。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-13 20:41:00)
78.  暗殺の森 《ネタバレ》 
ベルトルッチ初期の傑作。人によっては「ラスト・エンペラー」ではなくこの作品がベルトルッチの最高傑作だという人もいるそうだ。確かにそれほどの作品なのだろう。俺は最後まで余り好きになれなかったが。 第二次大戦前夜のイタリア。 主人公のマルチェロはファシスト組織の一員として暗殺の任務をこなす日々を送るが、幼き日のトラウマと優柔不断な性格で冷徹な殺し屋に成りきれずにいた。 まあ、殺しを部下に任せている事・銃もまともに撃てないなんて随分「中途半端」な殺し屋だ。 新妻となるアンナはマルチェロの裏仕事を知らない。 マルチェロも何処かファシストから足を洗いたさそうな表情を見せる。殺し屋一筋のマンガニエーロはそんなマルチェロをため息をもらしつつ護衛する。 マルチェロを励ます(?)マンガニエーロの姿はちょっと応援してしまう。 当の本人は殺しよりも魅力的な人妻にメロメロだ。いや夢中なフリと言うべきか。いや本当に惚れていたのかも。  母親の情夫、恩師の人妻・・・まったく嫌な事件だったぜ。やるせない。 車の中から“あの人”を見つめる姿なんてもう・・・ね・・・。  マルチェロが見た「アイツ」はソックリさんか本物か。それは解らない。  戦争によって狂い、戦争によって心を“抹殺”されていったマルチェロは今後どのような人生を歩むのか。そんな事を思うラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 23:15:01)(良:1票)
79.  リオ・ロボ 《ネタバレ》 
「リオ・ブラボー」、「エル・ドラド」三部作のトリを飾る作品。  パワーでグイグイ引っ張って来たジョン・ウェインも、60代に入り流石に一人だけで牽引するには限界を感じる本作。  しかし、他の作品と違ってこの作品は冒頭いきなり列車をまるごとジャックしてみせる豪快さ! 遺作とは思えないアイデアとパワーを感じさせる。  南北戦争の巨大な陰謀を影にしているが・・・そんな巨大な圧迫感はウェインたちの楽しいやり取りであんまり感じない。 昨日の敵は今日の友。 “列車を奪う”という1本のレールによって彼らは強い絆で結ばれているのだ。  当然、裏切り者は許さねえ!  キレイなねーちゃんがさらわれた、救出だ! 悪徳保安官はブッ飛ばせ!!  ホークスとウェインの関係を記憶する上で外せない、とにかく最後の最期まで痛快だったホークスの遺作。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-02 19:46:52)
80.  ラ・スクムーン
ベルモンドファンにも、フィルム・ノワールファンにも、とにかく総ての“漢”にオススメする傑作。 ジャン=ピエール・メルヴィルとは一味違う“仁義”を描くジョゼ・ジョヴァン懇親のフレンチ・ノワール。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-12 01:06:23)
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