781. 東京画
小津監督の代表作と呼べる作品をあんまり観ていないのでつまんないかなーと思っていたけれど意外や意外、面白かったです。この作品、小津映画の「東京」をヴィム・ヴェンダースが探しに行く一種のロードムービーであると同時に、現代(といっても83年だけど)の東京批評でもあるのですね。ヴィム・ヴェンダースという一外国人の眼を通して見られるパチンコ屋、ゴルフの練習場、竹の子族(ヴィム・ヴェンダースが『アメリカ人になりたがる日本人』と評していたのには爆笑)といった東京の風景は奇妙に新鮮でした。あと、すごくどうでもいい話だけど、テレビをガチャガチャするシーンで「タモリ倶楽部」がチラッと映っていました。長いなあ、あの番組も。 7点(2003-12-19 16:41:22) |
782. ロックンロール・ハイスクール
んっふっふ。ロジャー・コーマン監督のB級テイストとラモーンズの「スリーコードで行ったれ!」魂は妙に相性がいいのですね。ピストルズやクラッシュでは、こうはいかない。 6点(2003-12-19 16:32:03) |
783. 風の中の牝雞
正直、現代とは違い過ぎる道徳観についていけませんでした。でも戦後って、こういう話って(語られていないだけで)意外と多かったんじゃないでしょうか。「小津は不気味」という【まぶぜたろう】さんの意見にはちょっと賛成(なぜ「ちょっと」かというと、その不気味さの正体が何なのか、つかみ切れていないから。ま、つかみ切れないからこそ「不気味」なのですが)。しかし、【まぶぜたろう】さんが鋭い分析をされていたのに対して、田中絹代のパンチラを凝視してしまったワタクシはまだまだ修行が足りない。 6点(2003-12-19 16:17:37) |
784. アトランティック・シティ
主人公のバート・ランカスター、どっかで見たことがあると思ったら「フィールド・オブ・ドリームズ」のお医者さん役の人だったんですねえ。それはともかく、どうなんでしょ、この映画?かつて臆病者と呼ばれてた老ギャングがふとしたきっかけでカジノのディーラーを目指す女性(S・サランドン)と知り合って・・・という話でしたが、なんかストーリーが物足りないんですよね。ヨーロッパの監督がアメリカで撮った作品っていまいちなのが多い気がするのは気のせいでしょうか? 6点(2003-12-19 15:39:23) |
785. 座頭市物語
行きつけのビデオ屋でDVD版がレンタルされてたんで早速観てみたのですが、いやー面白かった。勝新もいいけど天知茂(この人はずっと「明智小五郎」役しか観たことなかったけど)がカッコ良いです。それに映画自体が凄くきちんと作られているなあ、という印象を持ちました。かつてのプログラムピクチャーに対してなんとなく「大量生産」のイメージを抱いていたんですけど、やっぱしそれはスタッフ・キャストの技術の高さがあって初めて可能だったんだな、と思いました。おーし、この勢いで全シリーズ観るぞー! 8点(2003-12-17 22:33:50)(良:1票) |
786. 愛する(1997)
作品を観るのはこれが初めてだったんですけど、熊井啓という監督は、確か重厚な社会派ドラマを多く作っていた人なんですよね。それが・・・うーん、まず、時代設定がおかしくて(後になって1997年という設定がはっきりするけど、それまではずっと昭和中期の話だと思ってた。連れ込み宿とか救世軍とか出て来るし)ドラマに集中できませんでした。それに酒井美紀の演技(特にベッドシーン)は「?」だし。ハンセン病をテーマに据えるなら別に「私が・棄てた・女」を下敷きにしなくても良かったんじゃないでしょうか?気のせいかもしれないけど、かつて名監督といわれた人の最近の作品は、なんかずれてる感じがするんですよねえ。 5点(2003-12-17 22:21:33)(良:1票) |
787. 我が道を往く
《ネタバレ》 クリスマスの映画といえば昔から「シザーハンズ」であるということは周知の事実、というより藤田まこと言うところの「当たりマエダのクラッカー」であるが、本作もまた、クリスマス映画を代表する名作の内の一本といっていいだろう・・・・・・だめだ、【STING大好き】さん、【へちょちょ星人】さんにひきずられて硬い文体で書こうとしたけど、かなり無理ある。つーことでいつもの調子で。いや、いい映画だと思います。1944年にこういう作品を出してたっていうのが凄い。いや、むしろ戦時中だからこそ、こういう映画が求められていたのかもしれませんね。ビング・クロスビーの演じる風来坊的な神父さんが「粋」でしたねえ。最後の「サプライズ・プレゼント」のところはグッと来ました。ただ、微妙に琴線をはずされてしまった感があったので今回はこの点数ですが、どっちかっていうとそれは僕の都合で、作品としては凄くいいと思います。何度も観てみたいですね。 7点(2003-12-17 22:11:00)(良:1票) |
788. アルファヴィル
「難解」との評判から、ゴダールは長らく敬遠していたのです。果たしてゴダール初体験が本作って言うのはいいんだか悪いんだか・・・と思っていたのですが、意外なことに結構楽しめたんですよね。何か、ゴダールからのなぞなぞ(唐突に出てくる『元気です、ありがとう』っていう台詞とか、ネオンサインの“E=MC2”や“SUD”、“NORD”とかっていう言葉とか)が好奇心をそそって、分からないなりに面白かったです。きっとゴダールが好きな人はそこがたまらないし、嫌いな人はイヤミな感じがするんでしょうね。 6点(2003-12-17 21:34:23) |
789. ギブリーズ episode 2
微妙にヒネクレ者のワタクシは、「猫の恩返し」より、こっちのほうが好きだったりします。客をナメてる感じが、かえって痛快。カレーの話と初恋のエピソードが印象的でした。 7点(2003-12-17 21:18:32) |
790. アパートの鍵貸します
いや、名作だと思います。シャーリー・マクレーンもなんとも初々しくて、可愛い。ただ、あまりにきちっと作られすぎていてスキが無いのがちょっと不満でした。それに、これは名作の宿命だと思うんですけど、後の作品に引用されたりパクられたりしまくりなんで、リアルタイムで観ていないものには展開が読めてしまうところもあるんですよね。ただしこれを観た時、すごくおなかが痛くて何度もトイレ中断してしまったために、物語に入り込めなかった、というのもあるんで、健康体の時にもう一度見直したいです。尾篭な話で申し訳ないです。 7点(2003-12-15 22:40:16) |
791. DRIVE
SABU監督の作品はこれが初めて。全体的に見ると物足りなさは感じたけど、SABUという個性的な監督の独特の感性は堪能できたと思います。個人的にはライブハウスのシーンが好きでした。「幸福の鐘」もちょっと楽しみ。 6点(2003-12-13 21:59:21) |
792. 洗濯機は俺にまかせろ
下町を舞台にした、中古電気店の店員が主人公っていうのが良いですね。筒井道隆の普通っぷりがはまってるし、富田靖子のヒロインも可愛くて魅力的。ただ、途中からまるで80年代のラブコメ(優柔不断で優しいだけしか取り柄がないような奴が主人公で、なぜか複数の美少女に惚れられたりするやつ)みたいになってきちゃって、個人的にかなりマイナス。特にDJのシーンとか、正直痛い。でも富田靖子のベッド(布団?)シーンは結構良かった。 5点(2003-12-12 18:45:44) |
793. 星願 あなたにもういちど
《ネタバレ》 なになに?「星願・あなたにもういちど」だって?んっふっふ、いかにもイマドキの、ない~ぶぅ~で傷つきやす~い嬢ちゃん坊ちゃんが好きそうなタイトルじゃあないか。ストーリーは、と・・・「死んだ男が好きな女性に想いを打ち明けるために地上に戻ってくる」だって?うぷぷ、よくあるよくある。冗談言っちゃあ、いけねえよ。このぐるぐる様、酸いも甘いも噛みしめたと言っちゃあチト大げさだが、それなりに世間や人間の裏表を見てきてるんだぜい。その俺様をだ、こんなミエミエのお涙頂戴ストーリーで泣かそうったって、そうは問屋が卸さねえ、一昨日来やがれ!・・・・・・と、観る前は思っていたのに、泣かされてしまった。ちくしょう。言い訳さしてもらうと、これの前に「少女の髪どめ」を観てたんで、涙腺がちっと緩くなってたってのもあると思うのです。最初の内は割と予想通りで「はいはい、どうせこれが後の方で伏線になってるんでしょ?バレバレだっちゅうの」とか思いながら観ていられたんですが、主人公が偽の日記をヒロインの前で読むところでちょっとグッと来ちゃって、ジャンボが主人公の正体に気づくところでかなりヤバくなって、とどめで微妙にこちらの予想を外したサックスのシーンでついに涙腺堤防が決壊してしまった。もう後は敵(?)の為すがまま。ラストまで「ここで泣かせようとしてるな」って分かってるのに泣かされてしまった。30にもなってこんな作品に泣かされてしまった自分が恥ずかしい。まだまだ修行が足りんようです。 9点(2003-12-12 18:36:01) |
794. 少女の髪どめ
これを観ながら思い出したのが、新美南吉の「ごんぎつね」。双方の作品に共通するのは、「自己犠牲」と「無償の愛」。そう、愛に国境はない。イランもアフガニスタンも東村山も関係ないのだ!マジッド・マジディ監督、素敵な作品を有難う。僕もこの極東の地で「戦争でなく、愛に支配される世界」を夢見ています。 9点(2003-12-12 18:19:55) |
795. セーラー服と機関銃
困ったなあ。内容に関してはまったく期待してなくて、ただ相米慎二が監督してたって事だけで観たのに、意外と面白かった。確かに女子高校生がヤクザの組長になるなんてのはありえないし、三國連太郎の「悪の総統(?)」っぷりはかなりヘンだし、薬師丸ひろ子の台詞(「君」という代わりに「ユー」といったりするやつ。多分当時はナウかった!んだろうな)は今聞くとかなりさっぶいし・・・など、色々ツッコみどころは多いのですが・・・。なんだか中盤くらいから物語に引き込まれて最後は結構切ない気分にさせられてしまった。これぞ相米マジック? 7点(2003-12-12 18:13:10) |
796. ファインディング・ニモ
あくまで個人的な好みとしては「モンスターズ・インク」の方が好きなんですけど、それでも「お、これは前作を超えたな!」と思えるところがたくさんありましたね。海中のグラフィックは言わずもがな(ただ、ちょっとだけ魚たちが人面魚に見える瞬間もあったけど、その辺は御愛嬌ってことで)、ウミガメと海流に乗っていくところとか、鯨の口の中とか、いや、凄かった。勿論ストーリーもグッド!未婚で子供のいない(たぶんね)僕も冒頭の部分にはグッときてしまいました。ましてや子供のいる人はかなりマーリンに感情移入してしまうのではないでしょうか?あ、あと今回残念な事に名物(?)のNG集はありませんが、エンドロールは最後まで見たほうがいいですよ。 8点(2003-12-10 20:35:38) |
797. ぼくの好きな先生
ちょっと「ずるい!」と言いたくなる位子供たちが可愛いですね。それにロペス先生も物静かで優しい感じだし、小さな子供に噛んで含めるように勉強を教えたり、あるいは諭したりする姿が印象的でした。舞台になってるところは雪も多いみたいだし、酪農も盛んみたいなので北海道みたいな感じでしょうか?淡々・ほのぼのとした良品です。何だかあんまりほのぼのとしない後日談が伝わってきたりもしてますが、それもまた人生哉。 7点(2003-12-10 20:26:51) |
798. 晩春
こないだTVの小津特集にゲストで出ていた作家の島田雅彦が「小津作品にハマッたのは結婚して、作品世界にリアリティを感じ始めてから」と言っていたので、ワタクシはまだまだかなあ。笠智衆と原節子の親子関係が、まるでフランス映画みたいな(って我ながら陳腐な表現だ)危うい感じだったのが興味深かったです。旅館に泊まったシーンで「あたしお父さんが好きなのよ・・・ね、このままでいさせて」というところはちょっとゾクッと来ました。 7点(2003-12-10 20:04:46) |
799. 東京暮色
うーむ、やっぱし小津作品初心者は「生まれてはみたけれど」か「東京物語」とかから観始めるべきだったかな?この作品は、どちらかというと異色作らしいから・・・。ごめんなさい、ワタクシはまだまだこの作品のごく表面しか見えていないみたいです。 6点(2003-12-10 19:59:21) |
800. Helpless
《ネタバレ》 この作品は「ユリイカ」の後に観たのですが、【fero】さんのレビューを読むまでこっちの秋彦とあっちの秋彦が同一人物だということに気づかなかった・・・。言われてみりゃそーだよなー。「ヤクザに殺されそうになったけど、友達に逃がしてもらった」って言ってたもんなあ。実はこの作品だけで考えてたときは、いまいちピンと来なかったんですよね。物語を構築するというより、ばらばらのイメージを積み重ねたような作りになってるし。今度改めて「ユリイカ」と二本立てで観直してみます。 7点(2003-12-10 19:44:35) |