781. クリスマスに雪はふるの?
今これを書く直前に唐突に思い出したんですけど、昨日テレビでやってた小津安二郎のシンポジウムで吉田喜重監督が「反復とズレ」ということを言っていました。要するに、日常というのは同じ事を反復しながら少しずつズレていく。それを小津は描いているのだ・・・みたいなことだったと思うのですが、この作品はまさにそんな感じ。季節が少しづつ移ろう中の家族を淡々と描いている作品でした。重要な所はわざと描かないで観客に想像させるところとか良かったです。 7点(2004-01-07 21:17:01) |
782. その夜の妻(1930)
ハリウッドに影響を受けて製作された一本、らしい(BS-NHKの小津特集でそう言ってた)。話自体は今観ると至って古典的。でも主人公が逃走する時の光と影の感じとか、登場人物達が並んでいる時の佇まいとか、なんとも言えないかっこ良さ。子供と夫を守る為、拳銃を手にしたヒロイン(八雲恵美子)の健気で凛とした表情が実に美しくて素敵です。 7点(2004-01-07 20:41:49) |
783. 落第はしたけれど
学生の頃よく古株の先生が「昔に比べて今の学生は・・・」なーんて言ってたけど、大して変わんないじゃん!少なくとも僕はカンニングはしなかったぞ(代返はしたけどね)。当時の大学生の姿が生き生きと描かれていて楽しい一編です。レコードをルーレットの代りにしたり、影絵で「パン」の字を出したり。これもまた、戦前の姿なり。 7点(2004-01-07 20:22:45) |
784. 大学は出たけれど(1929)
これも、同じ頃の他の小津映画同様、一部しかフィルムが残ってないらしいです。ちなみにアメリカの州の名前が入っている壁掛けみたいなのは「学生ロマンス・若き日」にも出てたような気がします。 6点(2004-01-07 20:13:28) |
785. 和製喧嘩友達
この頃の小津映画って必ず主人公の部屋の壁にアメリカ映画のポスターとか「モダン」を象徴する小道具が入ってるんですよね。後半で列車が映るシーンがなかなか印象的です。 7点(2004-01-07 20:10:17) |
786. 座頭市兇状旅
この辺から安定路線、やや意地悪な言い方をすると「水戸黄門」化してる感じがします。ところでこのシリーズ、予告編(DVD版に収録)には入っているのに本編に入ってないシーンって結構あるんですよね。あくまで想像ですけど、この頃って二本立て・三本立てが当たり前の時代だったから、大事なシーンとかも泣く泣くカットせざるを得なかったのではないでしょうか(ちなみにほとんどの作品が90分前後)。予告編ではおたね(一・二作目にも登場した、市と心を通い合わせながら結ばれることなく別れた女性)の描写を思わせるシーンがあるのですが、それが削られてしまったため、ラストの市の一種異様なシーンが生かされなかったような気がします。これもプログラムピクチャーの宿命でしょうか。 7点(2004-01-07 19:58:14) |
787. 恋は負けない
あまあま・べたべたが結構好きな僕にはこの映画、よかったです。お金をかけないデートのシーンとか、生まれた子猫を助けるシーンとか、好きなシーンもいっぱいありますね。でも最後の「悪者の末路」は余計だった気がします。そこまで勧善懲悪を強調しなくてもいいよう、って感じ。でもそれ以外は大好き。良い奴が、可愛い女の子を好きになって、ハッピーエンド。それはそれで、素敵ではないですか。 9点(2004-01-05 22:28:36)(良:1票) |
788. 雨に唄えば
いっこく堂の「あれ?声が、遅れて、聞こえるぞ?」のネタは・・・・・・本作の中の試写会のシーンをヒントにしている(へぇー)(へぇー)・・・・・・という真っ赤な嘘からレビューを始めるのはどうかと思うが、書いちゃったモンはしょうがない。んなこたぁどーでもいいとして、ミュージカルの代名詞とも言える本作、徹底して観客を楽しませよう、というサービス精神にあふれた、楽しい作品でした。個人的にはあまりにも有名な“Singing in the rain”のシーンより、ドナルド・オコナーの体を張った「笑わせよう」とか「モーゼはモーゼ」の方が楽しめました。ただ、ミュージカルが苦手、というより50年代のアメリカ映画特有の全編、笑顔にあふれた雰囲気がちょこっと苦手なので(だからといってずっと深刻な顔をしてる映画が好きってわけではないのですが)、ちょびっと点数は低めです。どうでもいい事ですが、悪役のリナを見て思わず「川崎カイヤ」を思い出したのは僕だけでしょうか? 7点(2004-01-05 22:08:55)(笑:1票) |
789. プロジェクト・イーグル
うむむ、ジャッキー・チェンの映画(の設定や物語部分)に対して突っ込むのはナンセンスなのだろうか?扇風機の顔は面白かったけど・・・かろうじて。 5点(2004-01-04 22:46:53) |
790. 九龍の眼/クーロンズ・アイ
実はこれ、僕が初めて劇場で観た(つまり、声が石丸博也でない)ジャッキー作品。ということで結構期待して観に行ったのですが、「あれえ?」とちょっとがっかりしたのを覚えています。最近BSで放映されていたのを久々に見直したのですが、やはり突っ込みどころは満載。ちょっとダラダラし過ぎでしたね。 4点(2004-01-04 22:43:47) |
791. ポリス・ストーリー/香港国際警察
これは僕だけなのかもしれませんが、ジャッキーのアクションシーンを観ていると、何故だか急に目頭が熱くなることがあります。なんでだろう?と長年不思議に思ってたのですが、きっとこれはジャッキーの「観客を楽しませる為ならどんな危険も怪我も恐れない、真摯な態度」に胸打たれているのではないか、という気が、最近してきました。もう少し詳しく言うと、道化師の哀しさ、或いは(ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが)お母さんを喜ばせるために一生懸命笑わせようとする小さな子供の健気さみたいなものを感じるんですよね。本作でもジャッキーは様々な小道具を使ったり、デパートのシャンデリアを伝い下りたりと、徹底的なエンタテインメント・アクションを披露してくれています。きっと彼は普段から何を見ても「これをどうやったらアクションに生かせるか?」ということを考えている人なのではないでしょうか?個人的には70年代の頃のカンフー物の方が好みではあるのですが、本作でもやっぱり何箇所か涙ぐんでしまいました。 6点(2004-01-04 22:38:56)(良:1票) |
792. 恋におちて
私の記憶が正しければ、確かこの映画が公開された頃(後?)日本のTVドラマにおける「不倫」ブームが起こったような気がします。別に不倫に関しては肯定も否定もしないんですけど(不倫どころか結婚もしていないので今ひとつ実感がわかないというのもある)、どうなんでしょ?何か二人が恋に落ちた動機が「ちょっとしんどい日常からの逃避」という風に見えてしまったんですよ。そりゃ最初は楽しいだろうし、ときめくとと思いますよ。新鮮だし、イヤな面は見なくてすむし、責任はないし(深入りしなければ)。でもなあ・・・別に二人ともそれぞれのパートナーには不満はなかったみたいなのに・・・と意地悪な見方をしてしまいましたが、やっぱりメリル・ストリープとロバート・デ・ニーロの演技と↑のようなことを考えながら観たおかげで退屈はしませんでした。 6点(2004-01-04 22:25:59) |
793. 世界中がアイ・ラヴ・ユー
ウディ・アレンのセンスが好きで、ニューヨークが好きな人は、こういうの好きなのかな?なんせこれ以外のウディ・アレンの映画は「ラジオ・デイズ」と「SEXについて~」しか観たことないので偉そうな事は言えないけど、きっともっと良い作品があるんじゃないでしょうか? 6点(2004-01-04 18:40:33) |
794. ムッシュ・カステラの恋
ちょっとガサツな仕事人間ノムッシュカステラが恋に落ちる過程が良かったです。ただ、この手のフランス映画をあんまり見慣れていないので、本筋以外のエピソードに少々混乱してしまいました。あと、かなりボーっとしながら(テレビ放映で)観たので、さりげなく重要な台詞を聞き逃してたかも・・・。ちなみに元刑事の人がちょっとデ・ニーロに似てると思ったのは僕だけ? 6点(2004-01-04 18:35:44) |
795. シザーハンズ
昔大槻ケンヂがオールナイトニッポンでこの映画を紹介してるのを聞いて観に行ったのですが、パンフを見ただけで何故か号泣。中身は言うまでもなし。ラスト近くのキムとエドワードのやり取り「抱いて・・・」「できない・・・」という場面をDVDで観る度エグエグしています。<2003.12.29追記>←うっわー懐かしい!これ、初投稿なんですよねえ。この頃はまだまだ初心で、レビューも慎ましげ(笑)。そもそもJTNEWSを知ったのも「シザーハンズ」で検索して見つけたんですよ。最近HNを色々いじったりして、この作品の事を良く考えたんですけど、あの、英語でベターハーフって言葉がありますよね。確か元々男と女は一つの生き物で、それが引き裂かれて男と女になった、だから結ばれる男女はかつての片割れ同士で、引き裂かれた継ぎ目がぴったりと合っている・・・みたいなことだったと思います(昔聞いた話なので勘違いして覚えている可能性ありですが)。で、この作品は僕にとって正にそういう存在、つまり失われた自分の片割れ、もっと言っちゃえば「運命の恋人」のような存在なのですよ。だから、勿論他の方がこの作品を褒めて下さるのは嬉しいんですけど、たとえ誰からも支持されてなくても、この作品はとても大切な作品(丁度、自分の恋人が他人にどう思われていようと関係ないように)。こういう作品に出会えた事を、本当に感謝しています。 10点(2003-12-29 20:28:37)(良:2票) |
796. アイデン&ティティ
正直、ツッコみ所は満載。バンド名の「スピードウェイ」とかそのデビュー曲の「悪魔とドライブ」とか、いつの時代だよ!って感じだし、主人公中島の抱くロック観も、何だか古(青)臭くて、ちょっとイタい。ただ、主役を演じる峯田和伸(元GOING STEADY、現銀杏BOYZのメンバー)の朴訥としつつも熱いキャラ(それに比べるとボーカルジョニー役の中村獅童は技巧が目立つ印象があり)はとても良かった。それに話が進むにつれ話に引き込まれてしまうのは、宮藤官九郎の手腕のなせる技なのでしょうか。後半の演奏シーンはかなりグッと来ます。田口トモロヲの演出は正直どうなのか?という気がしなくもありませんが、結果的にはクサくてかっちょ悪くて、でも熱い青春映画に仕上がっていました(ちょっとだけ、泣いた)。あと個人的にニューロティカ(一見イロモノっぽいけど、80年代からしぶとく生き残っているパンクバンド)のメンバーがちらっと出ているのは笑った。それにしても映画館には若い観客(20代前半位)が多かったなあ。 8点(2003-12-29 19:52:47) |
797. 殿さま弥次喜多 捕物道中
んふふ。何ともトボけた味わいの一編です。なんか、主役の中村錦之助&賀津雄・兄弟コンビがなんともキュートでちょっぴりせくすぃで、どきどきしちゃいますね(そういえば原作の「弥次喜多」も実は“掘って掘られて”の関係なんですよね)。時代劇を「爺ちゃん婆ちゃんが観る、古臭いもの」という先入観で見てる人も、こんなの観てみると楽しいんじゃないかなあ。 7点(2003-12-29 19:36:52) |
798. 続・座頭市物語
どっちかっていうと続編というより“続き”もしくは“補足”って感じがしました。前作がヒットして急遽作られた作品だから、脚本を練る時間がなかったのかな(あくまで推測ですが)?兄弟対決は当時としては話題だったのでしょうが、思い入れがない人間にとっては・・・。でも座頭市ってだけで魅せられちゃうんですけどね、結局。 7点(2003-12-29 19:31:46) |
799. ダイ・ハード
別に映画スノッブを気取るわけではないのですが、僕の場合アクション・CGばりばりモノ・サスペンス・おしゃれなラブコメ・・・といった、つまりは最近のハリウッドが得意とするジャンルは、嫌いではないのですが積極的に手に取る方でもないので、この大ヒット作もずっと未見だったのですが、エージェント・スミスさんの影響かなんとなく借りてしまいました(っていうか、クリスマスの話ってのも知らなかった)。何しろ見慣れていないジャンルなんで新鮮で楽しかったです。それにしてもスネイプ先生、こんな役もやってたんですね・・・って普通逆?あたしったら、天然ボケ? 8点(2003-12-29 19:25:58) |
800. 変態家族 兄貴の嫁さん
誰が言ったか忘れたけど「文化は辺境から生まれる」という言葉がありました。僕はこれを「素晴らしいものは、えてしてメインストリームよりもマイナーな分野、あるいは不当に低い評価をされている分野から生まれる事が多い」と解釈していて、最近だと「クレヨンしんちゃん」の一連の映画作品、あるいはVシネマなどはその好例だと思います。で、かつての日本のポルノ・ピンク映画というのもそうした事例の一つで、後の名優・名監督を輩出しただけでなく、様々な意欲作や実験作を多く生み出しているのです(何しろ、女性の裸・性交場面さえいれれば後は何をしても良いのですから)。で、この作品もまさにその一つといえると思います。話に聞いた所によると全シーンに必ず小津作品の引用が入っているそうですが、残念ながらそれほど小津作品を見ていない僕には分からない引用もありました(きっとヴィム・ヴェンダースとか蓮實重彦とか【まぶぜたろう】さんとか(笑)なら全部分かるのでしょうが・・・)。とはいえ「秋刀魚の味」「晩春」それに「東京物語」を観ていればかなり楽しめます。特に大杉漣の「笠智衆っぷり」は必見(意外と目元がそっくり)!また、監督によるとこれは「続・晩春」のつもりだそうで、後半「晩春」の台詞がそのまま引用されています(ただ、主演の女優が原節子のイメージとは程遠いのですが・・・)。ま、仮に小津作品を全く観た事がなくても、ポルノ映画としてはかなりシュールな作りになっているので、結構笑えると思います。小津生誕100周年の今年(もうすぐ終わっちゃうけど)、こんな映画を観てみるのも宜しいのではないでしょうか。 6点(2003-12-27 19:29:26)(良:2票) |