781. 星のない男
《ネタバレ》 カークダグラスが、星のない、憎めないがイマイチ「男」として物足りない人物を 好演している。 まるで「OK牧場の決斗」のドクホリディの若いころを描いたような映画。 無名の作品だが、このサイトで高得点なので鑑賞。 前のレビュワーさんが的確なコメントを寄せてますね。 高得点を与えるだけの思い入れの強い作品だったんでしょうね。 僕も観て、色々考えさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-30 23:36:40) |
782. アルジェの戦い
《ネタバレ》 アルジェリアの独立に至る経緯を描いたドキュメンタリー風である。 非常に映像的にも見やすく、見応えのある場面で構成されている。 がしかし、何と何の対立で、という説明があまりにもされておらず、白紙のままで見ると、 ちょっとついていけない場面もある。 あの居酒屋でのテロは、ヨーロッパ居住区でおこなったのであろうか? 検問をくぐりぬけたから、恐らくそうだろう。 平和ボケの日本にいるためか、ピンと来なかった。 映画の途中で史実を確認して観ると、すっきり来た。 英雄(?FLNのやり方にはちょっとついていけないとこもあったが)アリの爆死を 国民が見守り、静かな怒りとなり、ラストの大暴動へとつながる。 本作はコスタガブラスや「無防備都市」などのような政治スリラーである。 見応えある一本。 [DVD(字幕)] 8点(2018-06-30 18:29:55) |
783. 紙の月
《ネタバレ》 銀行員の横領ってよくニュースで見るけど、痴情のもつれとかそういうのではなく、 正面切って、これをテーマにした日本映画は初めてではないか? 確かに一万円稼ぐのがどれだけ大変かを知らずに、毎日何十万、何百万の金を扱ってたら、 そりゃどこかでマヒしそうな気もする。 しかも彼女には子どもの頃の親から金を盗んで、貧しい子に寄付をして、そこに充実感を覚えてた 過去がある。 一旦火がつくと、止まらない。 犯罪をしてる時に、ウキウキするBGMが流れるのは、彼女が生きている実感を感じていたからだろう。 ラスト、ガラスを割って逃げるところに、自分を解き放ったすがすがしさが画面にほとばしってた。 彼女がどうなるかは、神のみぞ知る、か・・ [DVD(邦画)] 7点(2018-06-30 14:15:54)(良:2票) |
784. ブエノスアイレス
《ネタバレ》 う~ん、ウォンカーウォイの映画は、好き嫌いあるなぁ。 「恋する惑星」は好きだが、「天使の涙」は嫌いとか・・ 「花様年華」は好きだが、「ブエノスアイレス」は嫌いとか・・ 今作は「スプリングフィーバー」を思い出した。 中国発同性愛映画。 でもあれだね、「スプリング~」は女性に抱かれた途端、見えてる世界が輝くのに対し、 この映画はほとんど女性が出てこない。 女性の出てこない映像には、綺麗なものは感じられないなぁ。 いかにイグアスの滝や地球の果ての映像にイカシタ音楽が被さってても・・ でもカーウォイのセンスの秘密が分かった気もする。 [ビデオ(字幕)] 6点(2018-06-24 20:44:23) |
785. 花様年華
《ネタバレ》 ウォンカーウォイは目のつけどころが面白い。 この人のもつ「映画らしさ」がとてもユニーク。 共に伴侶に裏切られた男女の微妙な関係を、センスある音楽とともに描く。 「花様年華」という言葉は、満開の花のように、成熟した女性が、一番輝いてる時、のことらしい。 つまり、タイトルからして、マギーチャンを描いた映画なのだ。 難攻不落の女性が、ふと心がゆらぐ瞬間を描きたいがために、一本の映画を創っちゃうカーウォイの「映画らしさ」が興味深い。 不倫映画といえば、デニーロの「恋に落ちて」が僕なんかすぐ浮かぶ。 でもこっちの映画は、最後男性が彷徨い(さまよい)人になっちゃうとこが、そしてその役者が トニーレオンだというとこが、なんか説得力あって、面白い。 う~ん、カーウォイ面白いな。 [ビデオ(字幕)] 7点(2018-06-24 17:41:08) |
786. タッカー
《ネタバレ》 素晴らしい! アメリカの映画と言ってしまうのは、勿体ない! 全ての夢をあきらめない、立ち向かう人たちに観てほしい! コッポラのこの映画が、興業的に失敗したのは残念だが、静かに伝えていかなきゃいけない名作! これくらい善悪がはっきりしてると子どもにでも分かる。 この痛快さ! ベンチャーブームの今の若い起業家たちにも是非、観せてあげたい! 最後の法廷の弁論は、ルメットの「評決」に並ぶくらい好き! 何故かレンタルビデオ屋に揃ってない気がする。 この映画こそ発掘良品で! ※令和になって、発掘良品化されました。皆さん、是非! [ビデオ(字幕)] 9点(2018-06-24 01:10:08) |
787. パラダイス・アレイ
《ネタバレ》 レスラー映画って少ないんですよね。 ミッキーロークの「レスラー」とか「カリフォルニアドールズ」とか・・ それを「ロッキー」のスタローンが監督。 同じく下町風で、いい塩梅に仕上がってる。 しかもスタローンは、強い弟の美味しい役はやらず、 ちょっと調子のいい次男役を好演。 これが後で効いてくる。 下町の苦さを一番味わう役どころ。 今までの敵役レスラーと酔っぱらうシーンは名場面でしょう。 派手さはないけど、中々の佳作です。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-23 19:18:02) |
788. バリー・シール/アメリカをはめた男
《ネタバレ》 アメリカにはめられた男? 密輸王ってどんなに悪かと思ったら、はめられてキングになっちゃった話だった。 こわ~(;゚Д゚) [DVD(字幕)] 6点(2018-06-17 23:57:00) |
789. のぼうの城
《ネタバレ》 面白かった。 「忍びの国」で気になった和田竜の原作である。 本作ともども負けはするが、ただでは負けぬ戦模様を題材にすると、とてもいい話を練り上げてくる人のようだ。 のぼうの城側の配役がいい。 のぼうには野村萬斎しか考えられない。 歴戦の勇者は佐藤浩市にふさわしい。平成の三船敏郎といった貫禄がある。 そして山口智充が実にいい。時代劇をやるために生まれてきたような風貌だ。今後の出演作が楽しみだ。 先に本城が落ちて、開城をさせられるラストが、いかにも史実らしくていい。 今後も和田竜時代劇はチェックだな。 [DVD(邦画)] 7点(2018-06-16 15:29:24) |
790. ミステリー・トレイン
《ネタバレ》 いや、俺もそう思う。 異郷の地で聞く、真夜中の暴走族のバイクの音や夜行列車の音。 あれはどこに行くんだろう? ジャームッシュの「ミステリートレイン」のタイトル通り、まさにミステリーだ。 夜行列車から見る風景にも似て、寂しい心に突き刺さる。 ワインを一本空けて、観たからか、ジャームッシュの演出は笑いのツボにはまった。 ジャームッシュは酔わずに酔う、酒仙のような映画だ。 彼の映画のテンポが、酔った時の感覚に近いのに気づいたのは、発見だった。 永瀬くんのジャームッシュ映画の初登板。 「パターソン」を観て、時間の経過をしみじみ思う。 それにしてもジャームッシュはロードムービーの、まさに孤独の詩人だ。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-15 02:18:36) |
791. 三度目の殺人
《ネタバレ》 面白かったし、興味深いテーマではある。 しかし、あんな風に事務的に死刑が決まるような描き方してていいの~!? 法廷劇の名手シドニールメットですら、ここまで法廷を侮辱した展開はしてないよ~!? ラストもやもやが残るようにしたのは演出なんだろうな。 タイトルの意味も成程とは思うものの、ドキュメンタリー出身だからだろうなぁ・・ 本作品の公権力に対する描き方にはちょっと退いてしまう・・ 是枝監督作品は家族ものが好きだなぁ・・ この分野(法のあり方とか)の問題意識には、下手にドラマに組み込むのではなく、 ちゃんとしたドキュメンタリーで観たい。 じゃないと鑑賞後の世界の見え方が一変したよ? それが狙い(苦笑)? [DVD(邦画)] 7点(2018-06-09 22:08:05) |
792. パターソン
《ネタバレ》 ジャームッシュが好きだ。 彼がいるから、また生きていける、そういう感じだ。 彼の映画がまた観られるから、また生きていけるとも言える。 もの言わぬ隣人のような映画だ。 あの「事件」が起きて、最後、永瀬正敏が天使のように現れるとこなんか 最高だ。 また好きな映画ができた。 今宵はジャームッシュの昔の作品でも観てみるか、という気持ちになった。 [DVD(字幕)] 8点(2018-06-09 21:12:20)(良:2票) |
793. 散歩する侵略者
《ネタバレ》 黒沢清の救いのない展開は、前回の「クリーピー」を観てたので、 多少免疫があった。 だから最後はバッドエンドなのかと思いながら観てた。 そうなんです。この監督「岸辺の旅」や「トウキョウソナタ」でいささか薄められた感じはしてたけど、 元々が「CUREキュア」の監督なので、油断してると、不安のどん底に突き落とされかねない監督なんです。 しかし今回は長澤まさみが世界を救っちゃうんですよね~。 また彼女、いい演技してるんです。 概念を引っこ抜くという発想の面白さ。引っこ抜かれた人の在り方。 宇宙人の特殊能力でしたが、この設定で、アイデア次第ではもっと話の膨らみ方が可能な感じですね。 概念とは、環境の創るもの。 だから環境を変えない限り、引っこ抜かれた概念は、もとに戻っていくのかもしれません。 長澤ちゃんが、「愛」を取り戻すとこまで観ていたかったなぁ。 [DVD(邦画)] 7点(2018-06-08 14:08:26) |
794. 帝一の國
《ネタバレ》 いや~楽しめた。 娯楽作品もここまで来たか! 弾が主人公になるのが今までの漫画だったのに、帝一が主人公というのが今風なんだね。 しかし帝一の武器は光明じゃん!って気もする。 特に才覚があるわけじゃないんだよね。 ただ気持ちは誰にも負けてない!最終目標が総理になって自分の國をつくって、 ピアノを自由に弾けるようにするって(笑) 進学校でのパワーゲーム。 でもテストで高得点取るのって楽じゃないのに、ピアノまでひけて・・ やはり漫画だよな~(ため息) 女の子の出番が少なかったけど、エンドロールでの可愛い女の子でバランスがとれてる。 面白いぞ!日本映画! [DVD(邦画)] 8点(2018-06-03 12:32:18) |
795. フェリーニのアマルコルド
《ネタバレ》 特にストーリーらしきものはない。 群像劇かというとそうでもない。 フェリーニの子ども時代の思い出を映画にしたような感じだ。 これは「道」や「甘い生活」のフェリーニというより、 「81/2」に近い。 画面のどこかに映画的仕掛けがあり、それで最後まで観せるという映画だ。 何よりニーノロータの音楽がいい。 僕は青春時代、「81/2」と「アマルコルド」の彼の曲を先に聞いて、どんな映画なんだろうと 胸をワクワクさせていた。 ついに観る機会を得たときの気持ちは舞い上がるようなものだった。 映画の楽しみは、こういうところもある。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-02 15:02:11) |
796. 八日目の蝉
《ネタバレ》 これは3.11の後にNHKのドラマで同じ原作のがあってたんですよね~。 そっちは壇れいが誘拐犯役で・・ 最後のセリフで涙がワッと出ました。 「その子は、その子は、」 「私の子どもです」と言うかと思ったら、「まだご飯を食べてません!」って。 もう母親の愛がここ一番のときに口から出るんですよね。 やられた~って感じで涙腺一気に開きました。 この映画もよく出来てます。 「母」子が引き裂かれると分かってて、なお島の愛情たっぷりの生活が描かれる。 あ~切ないなぁと思って、どうしようもない気持ちになる。 永作博美がまたいい笑顔してるんだよね。 犯罪者の顔じゃないよ!この人が逮捕されるって何かが間違ってるよ! そうなんです。男がいい加減なんだね。 このお父さんが井上真央に裁かれるラストかと思いきや、違うんだね。 もうこの手の男には何を言っても仕方ないと思ったか・・ 井上真央が生まれてくる子をいい表情で迎えようというとこで話は終わるんだよね。 田中泯の写真屋が良かった。 浮かび上がる写真に井上真央が何とも言えない気持ちになる。 そして、やはり誘拐犯の「母」への愛を確信する。 もうね、身勝手な男は3.11以降、置いていこうという感じだよね。 日本の生まれ変わった時期に、ふさわしい一本だよね。 NHKのドラマも負けずに良いですよ~♡ [DVD(邦画)] 8点(2018-06-02 00:03:31) |
797. 忍びの国
《ネタバレ》 いや、これは面白かった! キネ旬で評価が高かったので観たが、面白かった。 嵐というグループの大野くんの個性が分かった。 なるほど、こういうキャラを任せるとドンピシャな人なんだね。 平成の時代劇という感じで、トップの人柄も仕える側の考え方も今風でとても 新しい時代劇という感じがした。 今の若者が忍びのように人でないのかどうかは分かりかねるが(劇中そのようなシーンもあるが)、 僕は今の子にピッタシのドラマの在り方が分かったという感じで、とても勉強になった。 アクションシーンも見事で、合戦シーンも今風で、魔法など使わなくても 充分、新しい時代劇ができるんだと興奮しました。 [DVD(邦画)] 8点(2018-05-26 19:05:09) |
798. 彼女の人生は間違いじゃない
《ネタバレ》 彼女の生き方をどうこう言うことなどできない。 3.11を経験した地域でこのような悲鳴が聞こえているのだ。 彼女の傷ついた心と体は誰がケアするのか。 ただ悔しくてならない。 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-26 16:49:36) |
799. 世界の終わりという名の雑貨店
《ネタバレ》 平成の今、台頭する女性監督たちの瑞々しい女性映画を多く鑑賞した後では 本作は凡庸な作品としか感じられない。 しかし3.11を経験する前の、不況で騒然としていた日本を思い出した。 まだSNSもない頃、自分も将来の見えぬ自分を客観視してたような頃である。 自分探しのフリーターが多かった。 本作の若者は、今どこで何をしているのだろうか? ミニスカートに寄り過ぎのカメラの前では、不自然な表情になっても仕方がなかろうとは 思うが、彼女らの硬い表情に、ふとそんなことを考えた。 [ビデオ(邦画)] 5点(2018-05-24 23:01:32) |
800. 繕い裁つ人
《ネタバレ》 三島監督、いいですね~。 大事なことを言ってると思います。 消費重視の仕事に忙殺される人が多い、この国で心を届ける映画だと思います。 「しあわせのパン」をさらに掘り下げた感じです。 どこか「森崎書店の日々」のような雰囲気で、僕は好きです。 原作は未読ですが、主人公と藤井くんはいい仲になりそうなんですね。 でもこの映画では、せっかくの団子を嫌いと言ってのける藤井くんになってて、 際どい人物描写でハラハラします。 この映画のいい感じの雰囲気が、神戸だというのが味噌ですよね。 横浜でも、札幌でもない、神戸だというのが、なんとなくうなずけちゃいます。 三島監督の母校のあった場所とのこと。 特別な作品なのでしょうね。 [DVD(邦画)] 8点(2018-05-19 22:53:55) |