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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1701
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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781.  007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 《ネタバレ》 
ダニエル・クレイグ版の007は、一作一作が必ずしも単発のアクション映画に留まってはおらず、シリーズを通して人間関係に強めの繋がりが在ってその中にボンドはじめ個々のキャラの人間性がより深く描き出されてゆく、そのコトに重きを置いた作風が率直に大衆に大いにウケたとも思えているので、その意味では今作がシリーズの総括としてよりその方面を重視していること、端的には過去作とリンクしたシーンが非常に多くて、なので尺もかなり長大であって、そして最後には衝撃の結末をもってシリーズの「完全な」終焉を迎えている、そのコンセプト自体には個人的には全然しっくり来たと言っても決して過言ではないです(確かに長尺ですが、だからソコはあんまし気にならなかったですね)。  ただ今作では残念ながら、そのコンセプトがもたらす弊害的側面の方がより目立っていたという様にも感じられます。まずとにかく、過去の話はどーあれ今作で始まった話とゆーのが実に薄くて味気無い、というコトなのですよね。ラスボスのサフィンにしても、ド初っ端に顔見せでチラリと出た後は本格的に出て来るのがもう中盤だいぶ深くなってからですし、そこからも彼の人物像・目的・能力のどれもよく分からないまま彼をほったらかしにお話は進むので(ある種)唐突に完全に彼の話になる終盤以降とゆーのが(それまでと比べて)非常につまらない・どーでもいい感じになってしまっていると思われたのですね。味方にしても、例えば後輩ちゃんは中々好さげなアクションキャラの風を醸しているのですが、彼女の活躍シーンは少ないし地味だしでコレもだいぶ物足りなかったですし。  だから根本的には、今作は007シリーズの新規の一作とゆーより、おそらく『スペクター』の直接的続編だという心構えで観た方が好いのかも知れません。特にボンドとマドレーヌのその後を(人間ドラマとして)観てみたかったという人が最も喜びそうな作品、とゆーのが一番的確な表現に思われます。でも一方で、前作で意味在りげに生き残されたブロフェルド(とスペクター)は今作で非常にアッサリ滅びてしまいますし、そーいう意味合いで捉えたとしても全てが巧くハマってる作品だとは到底言えません。要は、そーいうコトしたいなら最初から二部作としてチャンと考えてやらんとダメだよね、とゆーコトかと。  もう一つの大きな問題が、実質「ボンドガール」不在という物議を醸しそうな設えですかね。マネーペニーが完全にサブキャラに引いた今作では主要な女性キャラが3名登場しますが、後輩ちゃんは(よく見るとそこそこ魅力的ではありますが)ボンドの女になりそーな、というキャラづくりにはなってないですし、マドレーヌはボンドとの関係性が「恋人」とゆーよりも完全に更に深いモノになってしまってますし、もう一人、パロマちゃんは度肝を抜くホドにデーハーでセクシーな出で立ちで登場するものの完全にスポット的なソコだけの出演に留まっており、何れもボンドガールとしての役割は果たせていないのですね。まあ前述どおり今作はボンドとマドレーヌのもはや「家族的」なお話なので、ボンドガール自体が(選択的に)御役御免とゆーコトなのでしょう。が重ねて、ソコには不満を持つ観客も確実に(結構大勢)居ると思いますし、だからスポットであれパロマちゃんを無理に捻じ込んでいるとも言えるのでしょうし。てかパロマちゃん自体は見た目の完成度は相当に高かったのでその意味で単純にかなり勿体無いとも思えて、この点に関してはなんか中途半端やな~とも思いますね(チャンと入れるか全く入れないか男らしくどっちかにせいよ、と)。  結論、一番やりたかったコトの部分にはかなり賛同も出来る作品ですが、ソコとその他やるべきコト or やりたくないけどやらざるを得なかったコト(特に007シリーズとして)といった辺りの整合性がまたかなりイマイチだという作品に思えます。そもそも個人的にはこの「結末」自体、前作で終わりだったハズが無理繰り今作をつくるコトにした挙句ダニエル・クレイグに契約条件として突き付けられた、というよーなモノだったのではないかとすら見えてますのよね。諸々、ちょっと完成度が高い作品には思えないですね。
[映画館(字幕)] 5点(2021-10-02 14:18:39)(良:1票)
782.  死霊館 悪魔のせいなら、無罪。 《ネタバレ》 
非常に大衆向き&娯楽向きという方面にまた少し寄ってった、てな感じの三作目ですかね。そのうえで、ちょっと霊能力バトルみたいな側面も強まっててややファンタジー気味、という意味でも、少~し対象年齢自体も下がりつつあるのかと思います(ショック描写も総じてごくごくマイルドだし)。純粋なホラー部分のアレコレもまただいぶんよくある感じのヤツで揃えちゃってますし、オチも前作・前々作にも少し通じる様な(ある種)平凡なモンだしで、私個人の感覚としてはイイとこ二作目と同等くらいの出来(=一作目にはちょっと及ばない)という評価になりますかね。  好みの問題かも知れませんが、肝心の悪魔崇拝の「儀式」の内容とゆーのがやや分かりにくいかな、とも思いました(呪いで人を操って、殺させる+その後自殺させる、を3組で計6人…てまた大仰なコト)。ただ、ソコが少しややこしいので中盤でその謎を追ってゆく部分は無難にハラハラと観てゆけますし、そもそも全体的にお話の運び方は割かし巧かったとも思えてまして、個人的にはフツーに最後までダレずに楽しく観れてましたかね。ショック描写も前述どおりマイルド(=グロさやキレは高度ではない)ですが、見せ方自体は結構また巧いので決して全然(ホラーとして)悪くもないですし、そしてこのシリーズの一番の勘所であろうウォーレン夫妻のキャラの魅力も無難にそこそこ引き出せていましたし、重ねて娯楽用ホラーとしてはごく非常に手堅い出来だと思います(後々お家で暇潰しに使う分には十二分もいいトコロだろう、と)。ただし、とにかく「怖い」ホラーが観たいのよ!とかいう場合には、他の作品の方が好いかも知れませんね。
[映画館(字幕)] 6点(2021-10-01 23:58:35)(良:1票)
783.  ラ・ジュテ 《ネタバレ》 
実質的な構成成分は、その8割がたがSF短編小説の朗読だ、と言って好い作品かと。その意味では、決してSFとしての出来自体がソコまで優れているワケでもない、とゆーのには若干の残念さも感じられるかと(ややありがちな話ですしね)。ただ、やはりより重要なのは「フォトロマン」と呼ばれる手法を採用した映像(紙芝居)の方でしょうね。動画じゃなくて写真の連続、とゆーのは、一見は安上がりでしかも「簡単」な手法にも思えるケドも、コレを成立させるとゆーのは相当に高度な技量が必要でしょうね(構図その他のセンスに関して全く誤魔化しが効きませんからね)。その部分のクオリティとゆーのは結論的には評価するに十分なモノではなかったか、と思います。特に中盤の画面の美しさと、それら映像+朗読その他の「音」が醸すやや幻想的な雰囲気とゆーのは、個人的にはかなり心地好かったです。ソコに比しては終盤がやや駆け足かつ即物的な様にも思いましたが、映像の美しさとゆーの自体はここでも保たれていたかと思います。かなり気に入りました(立て続けに2回観てしまいましたね)。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-30 01:15:11)
784.  ブラッドレイン 《ネタバレ》 
なんですかね…主に俳優陣の意味不明な豪華さに依るモノだとも思うのですが、他にもセット(ロケ地)がどれも中々に雰囲気好くゴージャスだったり、その他小物の多くも結構隅々まで(ある程度)凝って揃えてたり、少なくとも見た目は全然悪くないとも思ったのですよ(B級以上な感じ)。ただ、よーく見ると例えばアクションが非常にテキトーで陳腐だったり、演技が随所でだいぶボンクラだったり、イッテンバッハを招聘してのグロ描写もごく中途半端な出来だったり(量は豊富なのですが、そのドレもがそれぞれほんの一瞬しか映らないので結局あんましグロく感じないのですよね)、小物とかでも例えば武器(剣)なんかはよく見るとホントになんの刃も付いてないタダの鉄の板だったり(キョウビ玩具とてもうチョイ恰好を付けてるぜ、的な)、総じて「よーく見ると」かなりショボい、という映画だとも思うのですよね(隠し切れないショボさ)。取り分け、ほぼ全編アクションしか内容が無い様な作品なのにアクションがやっぱ絶望的にショボいっすよね。中でも主役のクリスタナ・ローケン、彼女のは「踊りじゃねーぞ!」ってレベルにすら達してねーもはや「盆踊り」のような代物ですよコレ。  もう一点、下衆い指摘で恐縮なのですが、終盤クリスタナ嬢が捕まって台の上に縛られてるシーン、ソコで全開にした脇に(コレもよーく見ると)青々とした見事な剃り跡が…重ねてゲスくて申し訳ありませんが、でも「脇が映る」ってのにこの状態でやって来る女優てのも、ソレを(知ってか知らずか)指摘すること無くOK出しちゃう監督てのも、どちらも(少なくとも)一流とは到底言えない、てのも個人的には間違いの無い感覚だと思ってますですね。
[インターネット(吹替)] 4点(2021-09-29 21:39:00)
785.  らくごえいが 《ネタバレ》 
『らくごえいが』というド直球なタイトルから、そしてオムニバスというお誂え向きな設えから、観客が(特に落語ファンが)想像するだろうモノとは些かかけ離れた内容だと言ってしまっても好いだろう。ラストに本物の落語家が「講評」を述べていくインタビューシーンが在るのだが、みな慎重に言葉を選びつつもハッキリ「落語ではない」と断じたうえで、一部は相当に微妙な表情を浮かべていたのも然もありなんとは思うのだ。ただ、やはり落語をお話としてそのまま(現代)映画の題材にするとゆーのはかなり難しいコトだとも率直に思うのだし、そもそも無理にそーしたトコロでどれだけの意味・価値があるのかという観点からも、本作の様に落語のある種の「エッセンス・コアとなる要素」あるいは「何らかの独特な設定」のみにせよソレを汲み取って活かすことをコンセプトに短編映画を撮るとゆーのは、実はそこまで悪いコトでもないかと個人的には思うのですよね。  ただ、そーは言いつつ問題は、このオムニバスが落語から取り入れているそれらの「要素」とゆーのが「コアな or 独特な」とゆーには少し的外れに思える、というコトなのですよ(だから尚更ピンと来ない…つーか)。もう一つは、やっぱ元が落語なら結局「笑い」になってない、てのは流石にダメじゃね?とゆーコトですね。この2つの観点からしても、前述のインタビューシーンで多くの落語家が明言しても居たよーに、含まれる3作品の出来は『猿後家』→『死神』→→→→→『ねずみ』の順だとゆーのは私も完全に同意見ですね。    1.ビフォーアフター(35分)※元ネタは『ねずみ』 正直、旅館の名前が「ねずみ屋」じゃなきゃ誰も落語由来だと思わんでしょーね(キャラで「左」て名前のヤツが居たりもすんだけど)。元ネタから取り入れた要素はそのまま「潰れかけの旅館が大逆転!」というお話の内容の部分、なのだケド、それこそそーいうコトじゃねーだろ!としか言い様がないのですね。どだいこのコンセプトで選んだ元ネタが「左甚五郎もの」とゆーのがもう致命的でしょ。そもそもが人情噺の系統で寄席じゃ確実に「トリ」ネタなのだし、コレをオムニバス3作品の頭に持ってくるとゆーの自体にかなり深刻なセンスの無さを感じますですよ。あまり言及すべきコトも無く、只つまんないボンクラすね(モチロン笑えもしねーし)。   2.ライフ・レート(31分)※元ネタは『死神』 「人為らざる者から異形の能力を授かる」てのがコンセプトで、コッチは見る人が見りゃあ言われなくとも『死神』が元ネタだとスグに分かるっしょ。ただ、落語の『死神』には更に元ネタがあって(アレって実はグリム童話なのですよね)、その意味ではこれもやっぱちょっとピント外れに思える、とは言いたいのです(『死神』じたい有名な噺ではありますが、落語としては相当に毛色の特殊なヤツだと思いますし)。ラストに志らくが「落語とは人の業の肯定」だという師匠の言葉を引用しますが、それはその通りで、まずはあくまで「実在し得る」レベルの可笑しな・愚かな人間の有様をポジティブに捉えて「笑おう」とゆーのが落語の本質だとは私も感じているのです。  この短編そのものとしても、オチの部分が正直イマイチなのがちょっと痛いですかね(個人的には、実は第1話同様全くハマりませんでした)。しかし、死神という「独特な」キャラのユニークさ、という意味では、コレを演じるのが安田顕だとゆーのが効きまくっていてその面のクオリティは存外に高いとも言えるのですよ。その部分で、少なくとも第1話よりは明確に上回る、とは思いますですね。   3.猿後家はつらいよ(28分)※元ネタは『猿後家』 これもラストのインタビューで林家三平が「第3話なんて全く猿後家と違うハナシじゃん!」とか言ってましたが、個人的にはコレが一番「元ネタの落語のエッセンス」を汲み取った話だと思いますね。つまり「ココロにも無いコトをベラベラ喋りまくるコト」の滑稽さを描いたコメディだ、という意味でです。その観点では、元ネタでソレをやる人物とはかなり異なる属性のキャラながら、肝心のその部分を演じる加藤貴子の「ココロにも無い」虚ろな感じは結構上質だったと思います。全体的にコメディとしても単純にそこそこ好く出来ていてまあまあ笑えるので、出来は3作では少し抜けています。今作に免じて全体の評価も1点アップしておきます。  (余談)元ネタは上方→江戸に移入されたという(実は結構よくある類の)噺なのですが、個人的にはコレに関しては上方版の方が絶対に好い!と思います。上方版は奈良見物の件の「語り」が実に心地好いのですよね(まあ演者に依るトコですが)。滑稽話ながら笑いだけでない別の価値も備えた良質な落語かと(まあ映画には活かされてませんケド)。
[DVD(邦画)] 4点(2021-09-28 23:53:58)
786.  くれなずめ 《ネタバレ》 
中盤~終盤にかけてかなり特殊な設定を採用しているのだケド、そういう一種の「リスキー」な手段を使っているワリに、ソレを使って「まで」何を描き出そうとしていたのかがイマイチ伝わらないのですよね(やりたいコトとゆーのはその程度なのか→ならフツーにやりゃあ…とでもゆーか)。監督の実体験を投影している、とゆーのは後々聞きましたが、同じ様な経験をしているかどーかで共感の深さが変わってくる、とゆーのもある意味当然なのかと。その意味では、私には正直あまりピンと来ませんでしたですね。  流行りの若手を贅沢に大勢放り込んでいますが、ひとり高良健吾については他の5人とは少しタイプが違うとゆーか、やや違和感といってよいモノがありました。要は、彼は他の5人のよーな(=他の5人が今作でそう見せているよーな)スクールカーストの下層民(ナードと言っちゃっても好いかと)にはちょっと見えない、というコトなのですけどね(イケメンすぎるとゆーか、もしそう見せたいならもうチョイ振り切らないとダメじゃね?つーか)。役者でゆーともうひとり、前田のあっちゃんはシンプルなキャラでしたがまたもや印象には見事に残りましたね(中々ナイスな「キレ」味で、また優れたスパイスになってたかと)。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-09-25 18:41:20)
787.  先生、私の隣に座っていただけませんか? 《ネタバレ》 
実質ヒモのクセに不倫してる、とゆーのなら、相手をどーしようもなく惚れさせてる、とゆーのでないと、いわゆる恋の「駆け引き」をするんだったら分が悪すぎるでしょ、と思います(=なら素直に謝れよ、とゆーのは黒木華に完全に同意ですね)。だから前半はまだソレと言えるのかも知れませんが、肝心の後半は実は駆け引きとかではなくて(黒木華の一方的な)量刑判断+刑の執行でしかないよーに見えるのですね。しかも、ソコで主に問題となるのはソコにまだ「愛があるか」ではなく、今この人と別れたらきっとこの人はダメになってしまう…という意味での憐憫からくる情けの「程度」の問題、でしかないと。うーん…どーなのでしょう?私としては、結局前半と後半どちらが面白かったかと訊かれれば、ノータイムで前半と答えますですね(要するに前述どおり、後半は駆け引き or 勝負になってないと感じるのですよね)。どちらかと言えば少しガッカリな終い方、かとも思います(この感触とゆーのにはいわゆる「男女差」があるのかも知れませんケドね)。  ただ、他にまずは感じたこととして、黒木華自体は見た目的に極めて魅力的であった、と(なんちゅーかエラく瑞々しいのですよね~正に「震い付きたくなる様な」つーか)。そんな彼女が口数少なくも軽~く致命傷の如くに「抉って」ゆく前半の会話の駆け引きは、率直に結構面白かったですよ。そして、一見はモテ男な柄本佑も(実は全編ほぼサンドバック状態ですが)中でもコメディリリーフとしての役割に関してはそこそこ上質だった、とも思えて、なのでやっぱ彼がもう少し木っ端微塵にされるのを観たかった、と言っても好いのかも知れません(取りも直さず、彼を木っ端微塵に「詰める」黒木華も同様にまた観たかった、とゆーことカモと)。
[映画館(邦画)] 5点(2021-09-25 18:41:19)
788.  トラヴィアータ/1985・椿姫 《ネタバレ》 
ことヴィオレッタに関しては、演者は絶対に痩せてる方が好いですよね(そもそも肺病病みなキャラなのだし、あとやっぱデブって無条件で不幸なよーに見えないですからね)。現代の著名なヴィオレッタ歌いでも例えばエルモネラ・ヤオなんかは常時可哀そうなぐらいに痩せ細ってますし、その意味では今作のテレサ・ストラータスはまずその点で最高のヴィオレッタたる資格十分です。また、この役に関して言えば巧「すぎる」のも少し考えモノかと思います。「巧い」とゆーのは「余裕」が在る、つまり例え超絶技巧であっても決してソレを100%ギリギリでやり切っているとゆーのでなくて、あくまで8割の力で流している様に「見せられる」コトかと思いますが、ことヴィオレッタに求められるのは最高レベルに巧みで余裕でありつつも、多少は「無理をしている」感を残していることかとも思うのですよね。正に命を削ってソレを燃やしているかの様な繊細さを含む輝き、コトに寄っては無理をするあまりにふと壊れてしまい兼ねないかの様な儚さ、が欲しいとでも言いますか。その点についても、今作ややテンポが速い箇所も散見されたりで(特に『そは彼の人か~花から花へ』あたり)ソコから来るストラータスの切羽詰まった感が好い様に作用し、そういった儚さ・少しの脆さも十分に醸せている様に思われますね。重ねて、実に素晴らしいヴィオレッタだと思います(雰囲気は前述のとおり、モチロン技巧面も演技面も含めて)。  全体的な演出の話をすると、特に第三幕は大幅にカットされていますが(第二幕第一場も若干か)そこまで違和感・省略した感はないですかね。あと、この演出は昨今は割とポピュラーかと思いますが、第一幕と第三幕をリンクさせて全体をヴィオレッタの回想として見せる方針を採用し、特に第三幕のアルフレードの帰還はヴィオレッタの幻覚であったことを明確とする演出になっており、尚更に結末を悲劇的に色付けしていると言えます。その他、第二幕第二場にはオペラでは難しいレベルの非常に大規模で絢爛豪華なバレエシーンを配置し、また第三幕でもオペラでは音だけで表現されるカーニバルのシーンを映像として挿入しており、これらは臨場感を高めると同時に大きな映像的見ドコロとなっているのも映画ならではのクオリティと言えるでしょう。私の中では今作は『椿姫』の中でも決定版だと思っています。オペラファンなら、是非。
[DVD(字幕)] 9点(2021-09-25 18:41:16)
789.  スプリング、ハズ、カム 《ネタバレ》 
父ひとり娘ひとり、春の巣立ち…という以上には、ほぼほぼ内容は無いのだね。飾らない台詞で、また格好も付けずにごく真面目に丁寧に語り込んでゆくのは極めてありふれた親子の物語であって、非常に実直な映画を指向しているごく硬派な作品だと言えるだろう(=少し飾らなすぎる、とでも言いますか)。そして、また「繊細」な作品だなあ、とも思うけれど、偶にはこれくらいただ緩やかに流れる時間を過ごすっちゅーのも、人生においては実に必要なコトかも知れないですよね。  舞台の世田谷は非常に好きな「街」感でそれだけでも中々に心地好かったすね(私も上京したて小田急沿線に住んでたのよね)。ただ大家の婆ちゃんにせよインド人にせよ個人的に少ーし苦手な「親切の押し売り」感があってソコは率直にチョイ微妙に思えたカモ?(あくまで個人の感覚です)  そして肝心のキョンキョンは、結論的には本職落語家としては流石!と言ってよい演技だったと思いますが、とは言えその質自体はプロと比べたら中の中くらいかねえ。でも、2回あった長い独り語りのシーンではコレも流石の「話芸」者の貫禄を見せつけてくれたので、そこにはフツーに大満足です。女の子は、よく見るとこれがまたスゲー可愛いのでさーね。
[映画館(邦画)] 6点(2021-09-25 18:41:14)
790.  思い、思われ、ふり、ふられ(実写映画版) 《ネタバレ》 
高校生男女4人の四角関係…という時点で、私なんかはそれこそ例えば『ママレード・ボーイ』をスグに思い出してしまいましたし、なんだかんだその4人が2ペアになって目出度し目出度し…という点でもごく「在り来り」なお話だとは思います。ただ、本作はシンプルなラブコメとゆーよりはもう少ししっとり目の心理的恋愛ドラマで、かつ4人が4人ともに描くべきキャラクターをそこそこしっかり備えているというまあまあ高度な群像劇でもあって、そしてこの実写化は(2時間という尺の制限がある中で)かなり正攻法で彼らの群像劇をキチンと描き抜こうとした(多分、原作ファンにとっては嬉しいであろう)作品に見えました。私が本レビューで一番言いたいのは、要はこのお話、映画よりは確実にドラマ向きだ、というコトなのですが(=映画でしか撮れないよーなシーンもほぼ無いのですし)そーであっても本作、結論的には相当に好く仕上がった方の映画化だと思います。オマケで一点アップしておきます。  ま~とは言えねェ~~~前述どおりゴールは最初から見えてる(=実はどーでもいい)お話なんだから、見るべきは「過程」でしょ?という意味において、ちょーっとそのアーでもねぇコーでもねぇというスッタモンダがボリューム不足ですよねぇ。。北村匠海くんと福本莉子ちゃんなんて中盤でゴールしちゃったら、そのあとはキャッキャウフフのキャの字もねェ!とゆーね。前半は(どっちかと言えば)莉子ちゃんの話でコッチはそこそこ巧いコト丸く納まった気もしますケド、後半の浜辺美波ちゃんの話はまた…彼女はもう少しキャラ、とゆーかその感情の流れに複雑さ・深みがあると感じたのですが、そこら辺が非常に軽くしか描かれないのはハッキリと消化不良でしたかねェ。。  あとは、キャスティングなのですが…確かに浜辺美波ちゃんや北村匠海くんは既に中々の芸達者で(特に匠海くん)、その落ち着いた演技は心理ドラマとしての今作のクオリティには大いに貢献していたと思いますよ。でも、やっぱ彼らはちょっと高校生(少なくとも高校一年生)には絶対見えないとゆーコトなのですよね(=その意味では、2人とも落ち着きすぎなのですよ)。そもそも、この年代のコを主人公として描く映画に、そんなに単純な・一般的な演技力とゆーのはそこまで必要なのですかね?こーいうお話の方がごくシンプルな作品ならむしろ、拙さが形づくる飾らない素の感情の奔流・爆発なんてモノの方を見てみたい、と個人的には思ったりもします。  美波ちゃんについてはもう一点、ちょっと彼女は綺麗「すぎる」というレベルに達しつつあって、市井の一般女性・一般高校生を演るのは少しキビシくなってきている様にも思いました(玉城ティナってホドでは、まだないのかも知れないですケドも)。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2021-09-24 23:02:17)
791.  ソニア ナチスの女スパイ 《ネタバレ》 
第二次大戦中、クヴィスリング傀儡政権下のノルウェーに実在した女性「二重」スパイを描いた伝記もの。ノルウェーの人気女優ソニアは、スウェーデン当局からはスウェーデンで暗躍するナチス側のスパイ「マリア」の正体を探る任務を受けてナチス高官に近づくも、一方でナチス側からも内部の裏切り者の探索を命じられる、という顛末、なのですが…  結論からゆーと、あくまで実話ベースの物語としてスパイものとしては究極と言ってよいホドに地味で、映画としても見ドコロの薄味さがちと許容範囲を越えている、ちゅう感じすね。スパイとは言っても、彼女はあくまで人脈を駆使して情報を収集するのが主任務なのでアクションスリラー的な展開にはほぼなりませんし、とゆーかそもそも結局大した任務を担っていた訳でも大きな功績があった訳でもない、てェのが実際のトコロのよーで、ラストなんか特にかな~りヌルヌルと終わっていくのには正直「ムムム…(コレだけ?)」という感情を抑えるコトが出来なかった、てか。重ねて、彼女は実在の人物で、その複雑な境遇を歴史の上に顕かにする作品、としての価値は大いにあると思うのですが、ならば尚更もうチョイ見せ方をどーにかできなかったかなあ…とも思います。  もう一つ、こーいう言い方はともすればアレなんですが、主演の女優さんつーのが…私の自分勝手極まりないのは承知ですケドも、この頃の北欧の人気女優と聞いちゃうとどーしてもイングリッド・バーグマン的な超絶美女が頭に浮かんでくるのですが、実際は…てなもんで。とゆーかそんなコトより、実際のソニアは30前後だと思うのですが今作の演者はアラフォーの方で、ちょっと所帯じみてるなあ~てか美貌がメイン装備な女スパイとゆーのにはいくらなんでも…と言いますか。まあ、全体の内容に比べればコレももはや些末なコトかとも思いますケド。
[DVD(字幕)] 4点(2021-09-24 00:25:33)
792.  レミニセンス 《ネタバレ》 
「記憶」を可視化して辿る技術というキーアイテム以外にも、悲観的近未来の世界観をも取り入れたそこそこ大掛かりなSFなのですが、そこでやりたいコトとゆーのはごくシンプルなサスペンスのお話で、その面の質感はどちらかと言えばちょっと古めかしいハードボイルド系、という様にも見えます。キャストからしてそんな感じの分かり易いナイスミドル+少し古風な正統派美人、だと言っても好いでしょうし。  ただ、そのサスペンスとしてのお話は結論的にはこれまた非常に在り来りと言える様な内容で、当然その捜査の段階では参考人の記憶を辿るという新規要素が含まれますが、それとてその一辺倒なのでスグに目新しさは失われますし、あと何でしょう?ちょっと展開運びの効率が好すぎるとゆーか、出てくるモノ・人の全てが手掛かりで、それらが異常にテキパキと繋がっていってしまうので謎が謎に為る前に解けていってしまう、という様な白けた感覚がありましたね。疑念を胸に生じてモヤモヤする感じとか、ひとつ手掛かりがリンクしたことの心地好さの余韻とか、サスペンスってそーいうの結構大事だと思うのですけどね。  後は細かい部分の出来映えなのですが…「記憶を辿る」というテーマ面ではメイの最期のシーンがひとつ最大のアイデアなのでしょうし、ソコはそれなりに好いシーンだったとも思います。しかし、そこ以降のオーラスの展開運びはエラい適当&チンプンカンプン&(これも)余韻の感じられないしょーも無い有様で、正直相当にガッカリしましたですね。他、アクションシーンもあんな中途半端なモノをこれ見よがしに放り込むくらいなら、前述どおりサスペンスとしての「遊び」を入れて間を取った方が好かったのではないでしょーか?  そして長くなるので割愛しますが、SFとしても突っ込みドコロはまたかなり多いという…なんつーか、どーにも完成度が低いとゆーか、そもそも目指していたゴール自体がちょっと低い位置にあった、という様な感じすら受けますのよね。駄作かと。
[映画館(字幕)] 4点(2021-09-23 13:58:01)
793.  あすも夕やけ 《ネタバレ》 
いちおう明確な主人公としてあや子という女の子が居り、彼女の境遇に絡んではやや社会派的・ドラマ的な筋書きも含まれてはゆくものの、基本的には子ども達の他愛の無い生活描写をごく活き活きと描くことが主眼な映画かと思う(話は有って無いよーな、と言っても好いかと)。少し昔、と言って好いだろう時代のそーいう幼い生活描写は中々のどかでリラクサブルでシンプルに観ていて気持ちが好くって(しかも夏だし)、決して大したストーリーがある訳では無いケドもワリと面白く引き込まれて観ていましたね。音楽の使い方とかも(ある種非常に「古風」ではあるケド)なんとゆーか手堅く抒情的で、ノスタルジックな雰囲気までまたしっかりと感じ取るコトが出来ました。少し哀愁の感じられるラストもまずまずグッドで、全く嫌いじゃない作品ですね。
[DVD(邦画)] 6点(2021-09-22 22:44:45)
794.  アナイアレイション -全滅領域- 《ネタバレ》 
なるほど、ジャンル分けするならSFかホラーか、という作品に感じられるのは確かですが、描こうとしているSF的概念にせよそれがもたらす一種の恐怖にせよ、かなり抽象的で曖昧なモノなのですよね。その意味では、邦題がちょっとイケてないかも知れませんね。原作小説の邦題が『全滅領域』で原題が(+映画の原題も)『Annihilation』なので、映画の邦題も無難と言えば無難なのですが、繋げちゃうとなんか…もうチョイ物質的で多少チープめなSFにも見えますよね。  ただ、そーいう作品としては中々細部まで好く出来てたのではないでしょーかね。肝心なトコロが抽象的、とは言ったものの、映画の入りは結構フツーのSFに見えなくもなくて、ただそこから続いてゆくひたすら緩慢なテンポや、起承転結がイマイチ感じられないただただ不穏な展開運びが次第次第にどこか寒々しくて血の通った感じのしない異様な空気をつくり上げてゆき、ラスト、灯台付近で映像的にも異世界感を一気に炸裂させてどこか違う次元へと連れ去られる様な、とゆーのが実に爽快だったですよ。そのラスト付近の映像表現もかなりユニークで「美しい」モノだったりで、その面でのお得感もかなり高度でしたし。  確かにオーラスの「瞳」の描写はちょっとよく分かりませんでしたが(個人的には蛇足に見えます)、総合的にはかなり楽しんで観ることができました。ナタリー・ポートマンの品格も(ある種ちょっと「お高く留まった」本作には)非常に効果的だったと思いますね。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-09-19 23:09:18)
795.  オテロ 《ネタバレ》 
ゼフィレッリの『トラヴィアータ/椿姫(1982)』が今まで観た『椿姫』の公演映像全体の中でも実は最上位くらいに好きなのですが、ゼフィレッリは翌年にも再びプラシド・ドミンゴとテレサ・ストラータスを起用して『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』のオペラ映画を撮影しており、更に1986年に本作をまたもやドミンゴ主演で撮っている、というコトのようです。これはもはや、ドミンゴありきの題材選定というコトなのでしょう。しかし、流石に20世紀最高のオテロ歌いとも称されたドミンゴの出来自体は本作でも正に圧巻で、随所でエゲツない迫力を見せつけています(演技・演唱ともに)。加えて本作、その他キャストの出来も申し分無いですね。デズデーモナを演じるカティア・リッチャレリは歌唱も素晴らしいですが、映画女優にも引けを取らない品の在る美貌もオペラ映画としてのクオリティ向上に大いに貢献していると思いますし、本作でむしろオテロ以上に重要なキャラであるイアーゴを演じるフィスティノ・ディアスも、特にその狡猾で陰険な雰囲気・キャラづくりが実に的確でした。衣装等の美術面は流石のゼフィレッリ・クオリティでその面の出来も上々です。オペラ映画としては間違いの無い高品質かと。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-19 12:42:33)
796.  蝶々夫人 《ネタバレ》 
良い作品を紹介していただきました。私は世界文化社『DVD決定盤 オペラ名作鑑賞』シリーズの第8巻に同梱されたDVDにて今作鑑賞いたしました(世界初のDVD化だよ!と謳ってますですね)。ちょっと希少価値が付いていて中古価格も安くないですが、興味がある方は是非。  『蝶々夫人』で言うと、個人的にはMET06-07シーズン初演のアンソニー・ミンゲラのプロダクションは衝撃でしたね。正に文化・芸術の極致とでも言いますか、極めて高度な諸芸術・諸文化の「融合」というものを目にした、という感覚がありました。が、そのプロダクションにおいても、多分に含まれる「日本文化」的要素については多少派手さ(or舞台上の分かり易さ)等を重視したものか「純」和風とも言い難い様相ではあって(それ自体は国際的文化芸術的な「進化・前進」とも言えるものなのかも知れませんが)、例えば日本国内で上演される場合だとその部分ももう少し日本文化の実際に則したものとして表現している、という感覚があるのも確かです。今作が製作された時代ですとそれは更に顕著だったというコトのよーで、そういった「誤った」日本文化の理解をある面で正すことが、そもそも本作の製作意図であったというコトらしいのですね。  なので本作、撮影はイタリア・チネチッタで行ったということの様なのですが、衣装や調度はもちろん八千草薫さんはじめとする日本人キャストも大勢で現地に乗り込み、更には使用したセットも全て日本から輸送した、という凝り様だったそうです。その甲斐あってか、美術面や日本人キャストの雰囲気などは我々日本人が観ても全く違和感の無いレベルに仕上げられており、その点の「目的」というものは見事に達せられていると思いました。また、映画冒頭にオペラには無い「茶屋」のシーンが挿入されているのですが、こちらもセット・雰囲気や出てくる芸妓の振る舞い等は同様に細部まで好く再現されており、この点でも日本文化の紹介という観点での価値が更につくり込まれていると言えるのではないかと感じました。  もうひとつ、これは八千草さんも今作についてのエッセイで書いておられますが、今作はリップシンク(口パク)がホントに完璧に近くて、その意味でも違和感が無いのが非常に素晴らしいですね。オペラに精通していた訳でもなくイタリア語も当然分からないので非常に苦労されたとのコトですが、その意味でも細部まで丁寧につくられた(そして成果を見事に上げている)作品だと思います。今作が一般的な流通に乗っていないのは実に残念に思われます。今後ぜひ多くの人に観ていただきたい作品ですね。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-18 23:52:09)
797.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 《ネタバレ》 
4Kリマスター版公開と聞きつけ、新宿のIMAXレーザーで久方振りに鑑賞。初見は大学入り立ての頃ですかね。夜中に観始めて、明け方観終わって、であまりに面白くて即座にもう一度最初っから観ましたよ(若かったすね)。映画も仕事も大事なヤツは、やはり真夜中に取り掛かるに限りますね。  ヒトの魂は結局は記憶であり、記憶とは単なる情報に過ぎない(そしてそれは必ずしも個々人の脳内に在るものだけに留まらない)筈なのだから、現実問題として大多数の人間の脳が(様々なデヴァイスを通じて)ネットと常時「接続」された状態にある現代では、ネットの在り方とゆーのはヒトの魂の在り方そのものだ、とゆーのにも尚更納得は出来るのである(そーいう時代になったのだなあ、と)。今どき必ずしも「進歩」している様にも見えないその在り方を何処となく憂うと同時に、ソレを公権力が統制してゆこうという昨今の風潮にもまた、疑問と同時にヒトの「情報の単なる器」としてのある種の限界とゆーものまで、そこはかとなく感じ取れる様にも思うのである。
[映画館(邦画)] 9点(2021-09-18 14:15:47)
798.  天使のはらわた 赤い淫画 《ネタバレ》 
シリーズのテーマどおり、これもひとりの「堕ちてゆく」女を描いた作品で、序盤はワリとノンビリした感じなのだけど終盤はそこそこ悲惨であります。ただ、その悲惨さの原因はとゆーと(他にもしょーも無いヤツは幾人か出てくるものの)単純にひとりの勘違い男が主たる原因なのであって、そいつに対する嫌悪感が個人的にどーにも許容範囲を超えているが故にあまり今作面白く観れなかったのですよね。ビニ本のモデルに執着して後を付け回す、てフツーに迷惑極まりないし(てか犯罪だろ)、ハッキリ言うけどその執着心は愛だ恋だといった美しいモノでも更々無くて、もっとごく醜いモノだと私は断言しますですよ(コイツに関しては目付きとかも正直大っ嫌いですね)。虚構と現実の区別も付かない半人前のボンクラのそーいう醜悪な感情をこーも見せつけられても、正直ちょっと困るのですよ。終盤の女学生の強姦シーンもシンプルに不愉快極まりないし、総じて私がロマンポルノに求めているのとは違うモノが大目立ちだった、と感じますね。  濡れ場とかも、妙にオナニーのシーンばっかなのと、ソレも自分でやってるワリには喘ぎ方がやや大袈裟で、ソコに関してはこれも少し微妙だと思いましたね。ただ、炬燵の赤黒い灯りの中で蠢き軋む肉のサマだとか、炬燵の足にもう跨っちゃうシーンとかはコレが中々優れた淫靡な雰囲気だったし、(男が相手でないが故に逆に)ポルノ映像としてもかなり際どくてソコに限ればグッドだったすね(炬燵の足が大写しの尻の割れ目から覗いて、ソコに汗やらナニやらが滴るという構図はメチャクチャにエロかったと言って過言ではないかと)。加えて主演の泉じゅん、顔も体もロマンポルノ女優としては最高レベルの上玉ですね(あまり全裸でプロポーションが映える様なシーンが無いのが残念ではありますが)。そこら辺、見ドコロが無いというワケでは決してねーです。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-09-16 20:57:00)
799.  スパイラル:ソウ オールリセット 《ネタバレ》 
そーいえば、実は『ソウ8』って観忘れてたわァ…(ぶっちゃけあんまし観る気にならんな…)  でもそもそもこのシリーズ、少なくとも3~6+ファイナル辺りってあんまし内容的に変わり映えがしなくて(それは肝心なグロ描写に関しても同傾向だと思えており)、正直根本的にさほど好みではないって感じなのですよね(ほぼ全部やん)。そしてその観点からすると、今作でも相変わらず観たコト無くもないよーな(いつもの)拷問描写+率直に大したアイデアも無い犯人vs犠牲者の対決ギミック(どだい今作ではギミックと言えるのはラストぐらいなモンだし)といったトコロは、前述のこのシリーズの「悪い」流れからは残念なコトに脱却し切れていない、ともまずもって感じるのです。加えて、真犯人の「悪」としての魅力の(ジグソウと比べての)低レベルさ、という点が、ココは確実にやはり旧作(1・2ら辺)には到底比肩し得ない、という感じであるのが激イタですね。結論、あまり上等とは言えない感じの二番煎じ風、と言っても過言ではないかと。ただ二点、流石に映像の出来は(ある面で)確実に向上しててその辺のキレ自体はごく良好、あと今風とゆーか(それにしても)トンデモなく映画のテンポ自体は好いので(=好過ぎてあまり恐怖パートにネットリ感が無いとゆーのは痛し痒しではあるケドも)、単純にホラーとしてはワリと観易くて快適、つーのはある種適切な進歩だとも思えましたケドね。  (※以下、重大なネタバレ込みの蛇足)20代かと思った真犯人が実は演者は30半ば、に始まり、30代だと思った女署長は演者的には40後半、主人公も30代に見えたケド同様に50半ば、そしてサミュエル・L・ジャクソンだってこれももう70過ぎで還暦辺りくらいの役をやっていて、そこら辺が正直なんか驚愕だったのですね(ホントに蛇足ですね)。
[映画館(字幕)] 4点(2021-09-16 00:51:46)
800.  浜の朝日の嘘つきどもと 《ネタバレ》 
2020年放送のテレビドラマ(1時間番組)の前日譚、というちょっと風変わりな劇場版。実は映画版鑑賞後に即座にドラマ版も観たのだケドも(アマプラで売ってる)、作品全体について大まかに言うならば、現在の福島を舞台に、震災に続いてその他の災害・コロナ禍に見舞われた現地の現状を描くと同時に、そこに暮らす人々の状況や感情と言ったものも様々に(酸いも甘いも)描き込みつつ、基本的にはかの地が緩やかな再生の途上にあるコトをごくポジティブに感じさせてゆくよーな温かくて穏やかな(ややオフビートぎみとも言える)コメディに仕上げている、という感じかと。率直な印象として、被災地に「寄り添おう」という雰囲気・意識が大いに感じられる、とでもゆーか。その意味では、観た感じの印象自体はごく悪くないし、全く嫌いな作品でもないのは確かですね。  ただ、もう片側からの言い方をするなら、あまり普通の映画の様に劇的な展開やハイテンションな演技、或いは分かり易い感動的シーンなどで観せたったろう、という映画ではなく、だいぶノンビリとした(=幾分ノンビリ過ぎるかも知れない)作品でもある。言い方を変えれば(=誤解を恐れずに言っちゃえば)確かに「テレビドラマ的」という感じが一番しっくり来るのかも知れない。正直、映画版を先に観て若干ながら物足りない(=歯応えが不足している)感があり、なので前述どおりすぐに家でドラマ版も観てみたものの(=ドラマを観ていることが前提の映画なのかも?と思ったとゆーコトですね)、結論的にはどれをどーいう順番で観ようが(観まいが)あまりトータルの結論には影響ないかな、という不思議な個人的感覚を得たのですね。一つだけ言っておくならば、前述どおり映画版を観ずにドラマ版を観ても全く問題ない作品にも思われましたが(或いは映画版だけ観る、ドラマだけ観る、でも別に好いかと)、どーせ初見なら映画→ドラマ(の順)で観た方が好いカモ、とは思いました(お話として、表面上は思いっ切り流れが繋がってますので)。  一点、役者さん達はなんつーか「曲者」揃いでソコは率直に面白みがあったと思いますね。高畑充希はやはりこの齢にして既にかなり独特な芝居をモノにしてますし、喬太郎師匠とか大久保さんとかは本職俳優じゃないのもあって演技の質感はちょっと異質・風変わりな部分がありますし。ドラマ版だともう一人、竹原ピストルもやはり独特ですしね。ソコは「オツ」なキャスティングを十分に楽しむことが出来た、かと思いますかね。
[映画館(邦画)] 6点(2021-09-16 00:46:11)(良:1票)
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