841. 夜歩く男
《ネタバレ》 無駄とゆーものを限り無く削ぎ落とした、混じりっ気無しのガチンコ・ノワール。身内を殺られた警察の鬼気迫る全力捜査には、いつでもそんぐらいマジメにやれよ、と若干ながら溜息も出そうになるものの、リチャード・ベイスハート演じる犯人の意外なまでの狡猾さ・凶悪ぶりを見せつけられれば、(ちょいと詰めが甘いのがだいぶん気にはなるケドも)警察やったれ!と何やら鶏冠に昇って来るのも必然か。ラスト、ベイスハートは小柄なのもあってスルッとまた排水溝から地下に逃げてしまう、そっから先は『第三の男』で観たよーな地下の追っかけっこだが、今作の方が1年先行の作品なのですね。催涙弾からの集中砲火で哀れ凶悪犯は蜂の巣に…キレの好いラストにもまた、実に無駄が無い。良作。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-09 01:55:53) |
842. ダニエル
《ネタバレ》 ティム・ロビンスの息子マイルズと、シュワちゃんの息子パトリックが共演する(二世もの)ホラーですが、パトリックは率直に素晴らしいイケメンですね!オールバックの似合う甘~いマスクで、悪魔的なカリスマの有る役柄に見事に説得力を持たせることに成功していました。マイルズ君の方もそこそこカワイイ顔面に演技もそこそこで、今後が楽しみな二人です。 内容は、いちおうテーマ的なトコロはこれも「イマジナリー・フレンド」なのですが、子供時代に一度封印した「ダニエル」が大人になった現在に復活して…とは言いつつ、実は結局彼は悪霊(悪魔)的な何者かである、という点では、ちょっと拍子抜けする程度にコトが単純すぎるとも思います(ホラーとして)。あと「ダニエル」は本気を出せば主人公の人格を乗っ取れるのですが、そこら辺で「本気を出してゆく」描写を入れるタイミングがやや早すぎた、とも思いました。中盤で早くも一発カマしてくれるのですが、そこから終盤にかけて逆にあまり展開がエスカレートしてゆかないので、正直少し盛り上がりに欠けるのですよね。ダニエルが悪魔的な魅力を全開に主人公を翻弄してゆく序盤からのシーンが優れた出来だったので、ソッチをもう少しジックリ眺めてゆきたかった、というコトでもありますケド。 結論、お話(ホラー)としては少しだけ残念にも思われる仕上りですが、映画自体の質はそこそこ高めで、少しアーティスティックだったりスピリチュアルだったりもする映像のクオリティに関してはかなり上等だったかとも思います。主演二人のみならず、監督についても今後はチェックしていこうかと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2021-08-08 18:22:31) |
843. ダニエル 悪魔の赤ちゃん
《ネタバレ》 リメイクですが、まんまのリメイクというワケではなく大きな違いとして、旧作ではド初っ端からアクセル全開で大暴れだった怪物赤ちゃんが、今作では本気を出し始める(=ダニエルが怪物だという周囲の認識が決定的になる)までにかなりの時間を要します(残り30分くらい迄ですかね)。ただ、それ自体は別にイケてない工夫というコトでもなくて、とゆーかホラーとしてはこっちの方が普通でしょう。そもそも旧作とゆーのは、冒頭からホラーを観る我々側の「警戒レベル」とゆーのが長時間変化しないのでメリハリの面に弱点があったとも思ってますし、ソコは確実に改善されてるとも言えるでしょう。 しかし、新たにひとつ大きな疑問点ができちゃってる、つーのが赤ちゃんの母親なのですね(今作ではこっちが主人公です)。結論からゆーとこの人、ダニエルが怪物だとゆーのには中盤でいち早く気付いてる様なのですが、我が子可愛さのあまりその後は息子の犯行を隠してゆく側にいとも簡単に回ってしまうのです。それはまだギリ分からなくもないですが(旧作準拠だと言えなくもねーし)、しかしこの母親に関しては息子が怪物だという事実自体について思い悩んだりorそれを甘んじて受け容れると腹を括ったり、という心理面の描写・印象付けがまるで皆無なので、結果的に非常にいい加減で倫理観の薄っぺらい愚昧なちょいワル女に見えてしまってるのですよ。旧作の両親には少なからずシンパシーを抱くことも出来た、という意味では、キャラのつくり込みという面では今作は旧作にはハッキリ劣りますね。もう一点、旦那の弟が旧作のクリスの役割で配置されてるのですけど、彼が無意味に車椅子なのも謎or無駄or取って付けだと思いました。 怪物赤ちゃんを(ホラーモンスターとしては)極力「見せて」ゆかない、という旧作から引き継いだホラー演出面のコンセプトはまずまず巧く表現できていた、とも思ったのですケドね(こーいう奥ゆかしいのはワリと嫌いじゃないですね)。ただラストも旧作に比べるとこれもちょっと薄っぺらいし、とにかくリメイクなのにシナリオが退化してる、つーのにはガッカリ感もひとしお、という感じでさーね。 [DVD(字幕)] 4点(2021-08-08 18:22:29) |
844. 悪魔の赤ちゃん
《ネタバレ》 本当に生まれたて(生後0日)の赤ちゃんがマジでヤバい超デンジャラス殺戮モンスター、という有りそうで無かったアイデアはいくぶん斬新だとも言えるが(紛うコト無きナチュラル・ボーン・キラー)、作中で実際に赤ちゃん(の人形)を動かして通常のホラーに仕立てるだけの技術や能力や資金源は今作のスタッフは持ち得なかった、とゆーことで、直接的なショック描写が殆ど皆無の本作は結論的にはホラーとしては極め付けに地味で、正直コレはもーちょっとキツいというレベルすね(今サラ観ると特に)。 とは言え、流石にそっちの方だけでは映画に為らんのも悟ってはいたよーで、なのでそーいう怪物赤ちゃんを産み落としてしまった両親の苦悩・それでも芽生える赤ちゃんへの情、といったヒューマニティなモノを描き込んでゆくことで何とか間を持たせようとしてる…のだケド、それも正直ごく終盤まではあまり巧いコトいってなくて、序盤・中盤がこれまたちょっと退屈レベルの許容値を超えている感じ、でもある。ただ、ヒューマニティ溢れる最終盤はそれなりに観れなくもないし、救いが無いうえに実に不穏なオーラスも決して悪くはないとも思った。うーん…根本のアイデア以外にも、もう少しだけ展開・演出面で見るべき良質な工夫を施すことが出来てれば…という感じすかね。 [DVD(字幕)] 4点(2021-08-08 18:22:27) |
845. 拷問男
《ネタバレ》 この邦題は「罠」ですよ。この映画で真に拷問されるのは作中の浅はかな登場人物ではなく、こんなタイトルに釣られてトーチャーポルノ目当てでホイホイ群がってくる変態どもの方です。正にこの世の地獄の様な、とでも言いましょうか、とにかく全編実に居たたまれないという作品です。お気をつけアレ… キャッチー?なタイトルに比べ、その拷問描写は(低級~中級程度というワケでは決してありませんが)そこまで突き抜けてグロ全開、というホドではありません。個人的な観たままの感覚としては『ホステル』か『ソウ(2以降)』と同程度、ないしは少し下、といった位かと。今作で拷問を手掛けるのは主人公ですが、元々はごくマトモな父親なのですから、激しい拷問とはゆーてもそこにはどこか理性が残されていて、狂気というまでのモノは感じ取れない、というコトだと思います。その分、その哀れな父親の人物像を描いてゆく部分には、前述どおり非常に高度な居たたまれなさを伴う優れた見応えが確実に存在します。たぶん「思ってたんと違う」映画になるコトも多々あるかと思いますが、それでも(チャンと観れば)おそらく観る価値はきっと見い出せるという作品、なのではないかと思いますね。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-07 15:55:24) |
846. ワイルド・スピード/ジェットブレイク
《ネタバレ》 最初と最後のアクションはまずまず高品質ですし(またカネ掛かってそう)、本来のコンセプトである乗り物アクションの側面をごく重視している、という点でも個人的に好印象です。結論的に娯楽アクション大作としては全く悪くはない出来だと思いますが、ただしまずアクションにしても、最近の本シリーズの傾向ではありますがかなり荒唐無稽(いくら何でも無茶苦茶な)という部分も多々見られますし、それ以上にストーリーはまた相当にいい加減です(言わずもがな、過去作との整合性という部分が)。 本筋のアクション部分のストーリーは極めてよくあるお話ですし、中盤はそこにドムの過去の話やハンの話が混ざり込んでくるので正直ちょっとかったるいです。やはりお話にワクワクしてゆくとゆーよりは、シリーズでつくり上げたドムとファミリーのキャラクターの活躍を眺めてゆく方に見ドコロがあるという作品でしょうし、その意味では彼らの出来も悪くはなかったとも言えるでしょう(今作ではミア・トレットが妙に存在感ありましたですね)。ただ一点、前作『アイス・ブレイク』にせよスピンオフ『スーパーコンボ』にせよ、ロック様とステイサムという非常に魅力的なキャラが居たのが今作には居ない、とゆーのはひとつ残念ポイントではあります。加えて、今作にもセロン姐さんは出てるのですが、彼女もごく終盤まで殆ど目立っていないので、その意味でも出演者のゴージャス度とゆーのは前2作にはいくぶん劣るかと。次はオーラスらしいので、多少ムチャしてでも全員放り込んだお祭り騒ぎを期待しています。 [映画館(字幕)] 6点(2021-08-07 13:13:48) |
847. 青鬼
《ネタバレ》 うーん…例えば主演のアイドルちゃんはかなり可愛いし、須賀健太とか出てるし、そして肝心の青鬼は(完全にCGで3回くらいしか出て来ないケド)そのクオリティ自体はそこまで悪くもないし、部分的には別にB級としては十分、とも言えるかと思うのだね。 ただ(B級のアイドルホラーとしては)「質」はギリ合格点を越えてたとしても、全く以て「量」とゆーのが足りてないのですよね。70分も無い映画なのに低級ホラーよろしく前半半分は殆ど何も起こらんし、前述どおり青鬼が3回しか出て来ないが故に後ろ半分にもまるでスピード感が無いし(途中停車の嵐)、そもそも元ネタって激しく青鬼に追っかけられまくって2,30分くらいで終わるゲームじゃなかったでしたっけ?その意味では、この物量・密度の不足ぶりは「ゲームの映画化」としての今作にとっては致命的かと思います。結論、ちょっと成立してないと感じたっすね。 [インターネット(邦画)] 3点(2021-08-07 01:44:44) |
848. ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷
《ネタバレ》 『呪怨』というホラーは、元々は超・低予算作品だし、かつ根幹的なコンセプトも「足を踏み入れた者が皆死ぬ呪いの家」という非常にシンプルなものではある、のだケド、ホラーとしてはやはりこれも非常に特徴的な側面を持つ作品でもあった、と思ってますです。それは第一に伽椰子と俊雄という実にユニークで禍々しいお化け(あとそのお化けを思いっ切り「見せて」ゆくという演出方針も)と、もう一つが時系列の入替えを含んだ(ホラーとしては異例なまでに)複雑に入り組んだシナリオ構成、という点であるかと思うのです。 ただその意味でゆーと、数あるシリーズ作品・リメイク(リブート)はやっぱし大体この2つは要素として取り込もうとトライしてるのだケドも、特に後者、ややこしい切り貼りシナリオとゆーのを採用したヤツが面白く出来てた試しがねえ、とも感じてるのですよ。アレはね、いっちゃん最初のオリジナルが奇跡的に超絶に出来が好かったから成立してるだけのモンなのであって、中途半端に真似できるよーなヤツでは全くねーのですわ。そもそもオリジナルを撮った清水崇本人ですら、それに続く劇場版もほぼ同じ感じでつくったケドも驚くほどに全くモノに成ってなかった、という代物なのですからさ。 今作も正にドンピシャでその感じ、とゆーか…作品自体は製作費もある程度掛かっていて、まずショック描写はだいぶん気色の悪いまずまずの質だし、かつそれが非常にチョコチョコと豊富に入り続けるのでそこら辺はB級よろしくケチってる感じも全くせず、決して全然見ドコロが無いという完全なポンコツとは言えないかと思います。しかし、ここまでお話が散発的でホラー的にも脈絡が無いとなると…どだい90分の映画に4つも話が入ってますからね。オムニバス的、と言うことも出来るのかも知れませんが、オムニバスとゆーのは4つ話が入ってるなら彩りとゆーのを考慮するモンじゃねーですか。今作の4つの話っちゅうのは率直にどれもほぼ同じ話で、そもそもそれらが只パッチワークで繋がってて只ノンベンダラリと流れてゆくだけで実はトリックもナンにも無い、とゆーのでは、結論、まるで何処にも盛り上がりとゆーのが見い出せないのですよ。ここまで来るとこれはもうキチンと統合された一本の映画とも言えないのではないか、とすら思いますね。 メイン主人公の(化粧っ気無い)女刑事さんの少し病的な感じがホラー的に好さそうだったのとか、リン・シェイがまた中々イイ感じのイカレ婆を演じてたのとか、ちょっと以上に好きな箇所もあったので(あと実はワリと少しだけ期待もしてたので)こんな初歩的な躓きで終わってしまったのには個人的にはかなりガッカリしてます。無念。。 [インターネット(字幕)] 3点(2021-08-07 00:10:25) |
849. 星空のむこうの国(2021)
《ネタバレ》 正直、時間が空いたので秋田汐梨ちゃん目当てで観にいっただけなのですが、個人的には中々の拾い物でした。チョコチョコまんまとホロホロさせられてしまいましたね。 いちおう、監督のセルフリメイクとゆーことでリメイクものです(前作1986年版の主演は有森也実で、今作でもヒロインの母親役を演ってくれてます)。内容は思いっ切りな「ジュブナイル」SFラブロマンスといったトコロで、SFとしてはパラレルワールドがテーマですね。全体的にだいぶしっとり目、かつベッタベタベタな手法でチョイチョイ泣かせに来る、とゆう感じで、そこら辺があまりに古風でベタ(乃至は若年層向け)なので率直に好みは割れそうな感じでもあります(演出、特にCGなんかは意図的にお子様風につくってる、とすら見え兼ねないレベルでありまして)。ですが、個人的には前述どおり結構ココロ動かされました。若い俳優さん達の演技が(決して巧みとは言わないまでも)そこそこエモーショナルに仕上がっていたか、とも思いますね。 実は主役の鈴鹿央士くんは、彼だけがパラレルワールド現象の当事者というコトもあって終始ちょっとキョドってる感じが強く、演技的な見せ場も決して多くはなかった気がします。が、全力で走ったり全力で自転車漕いだりヒロインをおぶって走らされたり、と色々結構頑張ってましたね。肝心の秋田汐梨ちゃんは中々手堅く爽やかに可愛らしい演技で、ある程度は「演技の出来る」+「期待の」若手、と言ってしまって好いレベルかと思いました。他、こーいうのは大体脇役の方が演技が好いものかと思いますが、今作もご多分に漏れず、まず重要な「尾崎」役の佐藤友祐くんは比較的好かったでしたかね(やっぱりとゆーか、彼は他のキャストよりチョイ年上ですね)。他にも、央士くんの妹役の平澤宏々路ちゃん、央士くんに想いを寄せる後輩役の伊原六花ちゃんにも「泣かせる」演技の見せ場があって、私自身はどちらも見事にハマってしまいました。重ねて演技面に関しては、期待の若手俳優さん達を大勢観れたコトも含めてそこそこ満足度が高かったと感じます。 もう一人だけ、汐梨ちゃんの主治医の川久保拓司さんは、コレどっかで見た顔だな~とずーっと思ってたら『ウルトラマンネクサス』じゃあねーですか!キャラ自体は若干ウザったいですが、ご本人はご健勝で何よりデス。 [映画館(邦画)] 7点(2021-08-05 23:05:39) |
850. クワイエット・フレンド 見えない、ともだち
《ネタバレ》 カナディアン・ホラーで、テーマはイマジナリー・フレンド、という作品。 ※以下、思いっ切りネタバレしてます。ご注意を。 何ですかね~観たコトが無くはない題材ですが、お話のキモであるトコロ、つまり、息子のイマジナリー・フレンドだと思ったら実はかつての母親のモノだった、とゆーのは、決して悪くないユニークなアイデアかと思うのですよ。ただ、にしても全体の話の流れの整理がちょっと雑・稚拙とゆーか、例えば過去に母親がいったん「Z」から解放されたのは何がキッカケだったのか、とか、母親も忘れていたのに息子が8歳にもなって突然Zが復活したのは何故なのか、とか、そこら辺がイマイチ判然としないが為に、結局ラストで母親があーゆう決断をすることで息子を救える、とゆーのにあまり説得力が無いのですよね。もう少しそこら辺が整理されていたら…とは第一に感じるトコロです。もう一点、ちょっと展開運びにキレが無いというか、ドンデン返しが判明した瞬間の衝撃、とゆーのをいま一歩強烈に表現出来てないよーな気が…とも思います。 そしてやっぱし、恐怖描写が全編通して非常に地味なのも…そもそもZのあの造形もどーなのでしょうかね(これだけはちょっと派手で如何にもアメリカンという感じではありますケド)。元々は母親が子供時代につくり出した物なのでしょ?ソレがあんなに禍々しいっちゅうのはチョイ解せないですよ。やっぱ一見は普通のカワイイ子供だけど、何とも言えない邪悪さを纏っていて…つう方が好い(怖い)と思うのですけどね(ソレこそがお子様ホラーの醍醐味ではねーですか、と)。 [DVD(字幕)] 4点(2021-08-05 23:03:20) |
851. マーダー・ミー・モンスター
《ネタバレ》 う~ん、ほぼ怖くないという意味ではホラーじゃないし(つーか積極的に怖がらせようという作品ではそもそもない)、最後まで観ても結局ナニがどーいうコトなのかはサッパリ分からんという意味ではサスペンス・ミステリーにもなり切れてないし、でも他のモノでも更々ないし…ただただ気持ち悪くて奇怪(エログロも地味にタップリ)というニッチなジャンルの作品ですね。強いて言うなら雰囲気映画、ないしはアヴァンギャルド系の類いと言った方が近いでしょうか。 ただ、珍しいアルゼンチン産で、かつ舞台もそのアルゼンチンの田舎(山間部)なので情景自体は物珍しく、また地味に非常に美しく&興味深くもあります。緩慢でどこか寒々しい雰囲気自体も別に悪くはなくて、映画館とかで集中して観れたのならもしかするとある程度ホラーとしても成立したのかも知れませんね(ワケの分からないモノってそれなりに怖いですから)。どっかでまた上映機会でもあるよーなら、その時にでもどーぞ。 [DVD(字幕)] 4点(2021-08-05 23:01:56) |
852. ゾンビ津波
《ネタバレ》 『シャークネード』シリーズのアンソニー・フェランテとアイアン・ジーリングのタッグによる新作。ジーリングは続投しているが、相方タラ・リードの役割はチェリー・キャシディという女優さんに引き継がれている。 サメ竜巻の次は、ゾンビ津波ですか…という感じだが、日本人の感覚からするとそもそも津波だけでも相当恐ろしいぜ?と思うのが正直なトコロ。しかし、結論を言うと津波の方の描き方はかなり適当である。お話としては、沈没船に閉じ込められてたゾンビが→地震で解放され→発生した津波に乗って街に…という筋書き、だが、前シリーズよろしく津波に乗って次々迫り来るゾンビが大暴れ!みたいなシーンは実はほぼ無くて、ゾンビを運んでくる大津波のシーンはワリとしっかりしたCGでつくってあるものの、それ以降は基本的には津波は関係無いよくあるフツーのゾンビ映画になってしまっている(津波で街が大ダメージを受けたみたいな描写も、予算的なコトなのだろうケド殆ど無くて、ですね)。 なので、中盤はごくシンプルな(群像劇的)ゾンビものだとも言えるし、悪くはないケド若干退屈→それ以上に月並、ではある。とは言え、終盤は『シャークネード』のイイ感じにハッチャケた好い雰囲気も十分に感じられる。今作のゾンビには電気に弱いという属性が追加されており、ジーリングがスタンガン仕込んだ鉈(電撃剣)でゾンビを斬りまくるシーンとか、破砕機にゾンビを突っ込んで粉々にしてゆくシーンとか、総じてやはりチープだけどもそれ故に逆にちょっと見映えはするというシーンの出来は監督流石のノウハウ、という感じだった。オーラスもビーチに集めたゾンビを電撃で一網打尽!からの大爆発!からの何故やらまた津波!?で、如何にもB級という感じでソコもそこそこ爽快であった。 お話は全体としてまたかなり適当(ラストだって、ちょっと考えりゃあこれでナニが解決してるの?という感じだし)、かつ重ねて衝撃度・ブッ飛び度は前シリーズには劣ると思うが、低予算娯楽作としては全体的にごく手堅い出来だと思う(暇潰しにならまあ全然使えるでしょう)。ジーリングは相変わらず頑張ってるし、女優さん(キャシディさんと、もう一人その娘役)もそこそこ美人&カワイイですし。 [DVD(字幕)] 5点(2021-08-05 23:00:06) |
853. サイコ・ゴアマン
《ネタバレ》 サイコ「ゴア」マンを名乗るだけあって、序盤からかなりグロいゴア描写がふんだんに盛り込まれており、主役が子供なのにこれはイイの?(倫理的に)と思ったりもしましたですね(中盤にはゴアマンが裏切者を大量殺戮する様子をミミちゃんが大喜びで見つめてたりするシーンもありましてですね)。ただ、ゴア描写もよく見ると結構チープですし、その他描写も総じて安上がり、特にしこたま登場する着ぐるみ宇宙人共の質感は最近の日本の特撮番組レベル(かチョイ下くらい)で、本質的には(やりたいのは)単純にコメディ、という作品でしょーかね(それも率直にかなりシュール・変テコな方のヤツ)。 ただ、私はフィーリングがドンピシャだったので相当に笑いました(でも映画館で観ましたが、皆さん笑い転げてる箇所も多々ありましたよ)。傍若無人極まりないミミちゃんは(実際は)12歳らしいのですが、この歳ながら実に可愛げの無い小憎たらしい顔つきで(どこぞの環境運動家ぽい)非常に前途有望?かと思います。もう一人、極めて情けないオヤジのキャラがちょっと欧米の映画では観たこと無いよーなレベルにも感じられ、個人的にはとても面白かったです。総じて「人間」側が人格的に破綻気味のイカレ連中であるのに対し、肝心のゴアマンは(彼も悪人の範疇ではあるのでしょーが)むしろマトモにも見えて、どちらかとゆーとツッコミ役にさせられていたのも中々興味深かったすね。結論、そこそこユニークな作品でもありますし、笑えますし、観る価値は十二分にあるかと。 [映画館(字幕)] 7点(2021-08-05 22:57:22) |
854. ジオラマボーイ・パノラマガール
《ネタバレ》 漫画の映画化、それも、もう30年も昔の作品の、なのですね。確かに、描かれるモノとゆーのはどちらかと言えば普遍的な、という感じの若い2人のアレコレではありますね。 主人公2人共から受ける印象としては、とにかく若い・「青い」、言い方を変えれば若いと幼いの「中間」の様な、とでも言いますか。特に女の子の方はだいぶ幼くてまだややチャランポランな様にすら見えました。一目惚れっちゅうのは、私も経験あるので全否定はしませんケドも、何ちゅーか人体の構造的欠陥の一つとでも言いたくなるよーなモンだとも思います。その瞬間から理屈や常識から飛躍したとてつもない弱点を抱える羽目になる訳で、女の子の方もソレに最後まで翻弄されっぱなしですし(まあ実は男の子の方も、今作では結局似た様な状況なのかとも思いますケド)。 女の子の話はひたすらに片思い・すれ違いであって、男の子の話は別の恋愛、とも言い難い曖昧で微妙な感じの話で、そして彼女と彼の物語はひたすら平行線を辿るので、ごく終盤までは件の「若さ」をそれぞれに描くことがテーマな作品に見えてもいまして、ただその観点からは2人の演技は決して悪くもなくて、結果まあまあと言って好い作品かなァと思ってましたです(やや薄味すぎるとも思いましたが)。しかしラスト、唐突に2人の物語は(色々な意味で)交わります。個人的には率直に、ココの描き方には不満があります。出し抜けにセックスを描くコト自体は別に好しともしますケド(渋々)、だったらソコにまつわる感情とゆーのはもっとチャンと描くべきではないのですかね。正直、少なくともこの映画版においてはその「行為」だけが浮いちゃってる様にも思いました。ソコだけは少し残念ですかね。 [DVD(邦画)] 5点(2021-08-05 22:53:56) |
855. 死霊のいけにえ(2015)
《ネタバレ》 コレも完全にフォーマットは『死霊のはらわた』ではあるのです。大金が在ると聞きつけて元締めのチンピラのトコに殴り込んだ娼婦4人が、そいつらを皆殺しにしたうえで一人の男を人質にして山小屋に逃げ込む…という話なのですが、まず風変わりなのが、その人質の男とゆーのが「反キリスト」の超能力者だった…というコトなのですよ!とりあえず、前半はこの男の暗示にかかって4人が派手に同士討ちを繰り返す(暴れる女は元ネタのグロテスクなゾンビ風に変貌して)という展開が続いてゆきます。 後半は、反キリストの本来のターゲットである「神の子を宿した女性」を殺そうとする話に(これまた突拍子も無く)展開してゆきますが、ここでも変だなと思うのが、結局この反キリストとゆーヤツが凄いんだか凄くないんだかよく分かんない、とゆうコトですね。能力的にはテレパシー(+暗示・催眠能力)・サイコキネシス・パイロキネシス・終いには死者を甦らせて使役するというネクロマンサーなコトまでやってのけるのですが、そもそもなんでそんなヤツが簡単にとっ捕まってるのかも解せないですし(能力は多彩なワリにそれぞれのレベル自体はチョイ微妙、ということではあるのでしょーが)、後半も娼婦4人組のリーダー格に完全に主導権は握られっ放しでその辺の感じは少しコメディ風でもあります(実は、この女もまた…という奇天烈なオチなのですケド)。 あと今作、正直ホラーと言うよりだいぶスプラッタ・アクションに近い、というレベルで派手な格闘シーンが全編で連続してゆくのですが、これまた妙に過激なうえに率直に描写がちょっと雑だと感じますね。キャットファイトよろしく髪を引っ掴むのはイイのですが、そこから壁やら棚のカドやらに顔面を何度も何度も叩きつけてグッシャグシャ音がしたりするのに次のシーンでは平然としてたり、終盤なんかは釘の突き出た板で(頭を含めて)タコ殴りにしてたりするのですがこれすらも大してダメージ無さそうに直後に平気で動き回ってて、派手なのは好いんですケドちょっとこれも変じゃね?という感じですわね。 CGや特撮の粗さを消すためなのか全編16mmフィルムのよーな低画質で少し観にくいし、前述どおりにお話含めて色々とかなりチャランポランな作品でもあります。とは言え、アクションの派手さ・タップリな分量・キレの好さ、そしてお手頃に高めのグロ度合はそこそこ観ていて快適でしたし、この手の名作オマージュとしても比較的かなり観れる方、そして暇潰しには確実に十分、かと思います。お暇なら是非どーぞ。 [DVD(字幕)] 5点(2021-08-05 22:48:37) |
856. カポネ
《ネタバレ》 映画自体の全体的な質は十分だし、カポネを演じるトム・ハーディの出来は特に相当に上質な部類だと思う。が、中々ココまで何が描きたかったのかがピンと来ないという作品も稀だ、というレベルで中身が薄い。中盤以降カポネは完全に廃人状態で意識もちゃんとあるのか無いのかすら定かではなく、元気に動き回ってるシーンは全て彼の幻覚(過去の情景も多分に入り混じって)なのだから、その意味でも結局「晩年のカポネを描く」というテーマつーのは、それだけでは一本の映画としては成立しないというコトだったのだろうと思われる(だからソコの補強が必須な筈なのに、ソコを碌に手当てしてないから案の定こーいうコトになってる、つーか)。 コレにシンプルに『カポネ』というどーみても伝記映画なタイトルは、ワリと詐欺にも近いと思う。このタイトルならもうちょっと工夫して(あまり描かれなかった晩年を含めた)カポネの人物像が総合的に理解できる映画であるべきだよね(とは言えやや尺も短めだし、騙される人もあまり居なさそうだケド)。結論、トム・ハーディの怪奇な演技を観れる!というだけの映画であります。その点に興味がある方は是非どーぞ。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2021-08-03 00:33:35) |
857. ジャングル・クルーズ
《ネタバレ》 乗り物映画(船)というコトで、4Dで鑑賞しました(4Dですけど2Dでしたが)。今回は4DXを選択したのですが(実はお初)、ミストの有無を選択できるのとか、天井からも水が降ってくるのとか、火のシーンで首元に温風が来るのとかはMX4Dとは相違点としてありましたね。他方、椅子の動き自体はMX4Dの方が激しいでしょーか(アッチはたまに落っこちそうになるくらい傾くのですよね)。結論、エフェクトの多さは4DX、アトラクション感・乗り物感はMX4D、というトコロでしょーか。 で、1000円追加して4Dで鑑賞した甲斐もあって、アトラクション映画としては十分に楽しめましたですよ。ストーリー・設定も分かり易くて単純ですし、率直に言えばやはり完全な子供・ファミリー向けの映画だと言えるでしょう。映像自体はなんか他でも観たことあるよーなのも多いですが(特に『パイレーツ・オブ・カリビアン』あたりで)、クオリティはそんなに悪くもないし、非常に手堅い娯楽作だと思いました。 ただまあ大人が観たのであれば、お話の「お手軽さ」をレビューに残しておくのも無駄ではないでしょう。なんかよく分からん不老長寿の妙薬をジャングルに探しに行く、というシンプル極まりない話ですが、そもそもキーアイテムの「鏃」はなぜ当初ロンドンに在ったのでしょう?(ロック様はずっとコレを現地で探してたのではないのですかね?)ロック様に関してはキャラ設定が少しだけややっこしいですが、そこの背景ストーリーはイマイチしっくり来ない箇所もありますし(長老はアギーレを呪うのはいーのですが、何故についでにロック様まで呪いに掛けちゃったのですかね?)。ラストで目的のブツを手に入れた後、ロック様+ブラント姐さんがどーなったのかも随分と適当に流しちゃってて、総じてストーリーはどーでもイイというレベルの気の入れ方だとも思いましたですね。 とは言え、気楽に楽しむ分には全くもって十分なクオリティです。完全にロック様とブラント姐さんの2人の映画でありますが、2人とも出来はかなり上々でしたし、彼らのファンなら必見でしょう。かなり迷いましたが鑑賞環境の力も加えて、1点高めに付けておきます。 [映画館(字幕)] 7点(2021-08-01 15:48:42) |
858. マイラ
《ネタバレ》 若さ故にトガリすぎている(必要以上に)というだけなのかも知れませんが、こんなコトされたら誰だって怒るでしょ、としか言い様がありません。どーもこの手の人たちってのは「新しい」自分達は絶対に「正しい」=何をやっても好い、一方で、古くて間違った連中は何もかも許容しろ、というダブルスタンダード甚だしい思考に陥っている傾向に在るよーに思います。言ってるコトが(ある程度でも)正しいのと、違う考えの他人に敬意を持てないのは、全く別の問題だと思っています。まあ、ヨーロッパ圏の「風刺」文化とゆーのがそもそもどーにも肌に合わない私にとっては一際、というコトだとも思いますケド。でも、他人をコキ下ろしても自分の(絶対的)価値は決して上がらない(むしろ下がる)というコトにどこで気付くか、というコトにも思えますケドね。 そこら辺の殊更に不愉快なシーンを除けば、単純にコメディとしてはそこそこ面白くも観れますし、何と言ってもキャスト自体はかなり豪華です。ラクエル・ウェルチもファラ・フォーセットも素晴らしいルックスでしたし、それ以上にメエ・ウェストの存在感たるや(中盤のステージは地味に圧巻でした)。まあそのうち二回目を観るかも知れませんが、なのでその時にはもう少し寛容にシンプルに楽しめるかも、という気もします。 [DVD(字幕)] 1点(2021-08-01 11:19:37) |
859. プロミシング・ヤング・ウーマン
《ネタバレ》 ムム…リベンジものですが、スリラーではないのですね。そもそも、お決まりのエロやヴァイオレンス・残虐描写というのはほぼ無いと言ってよいです。「前途を約束された女性」だった主人公が、とある事件の所為で七年も苦しみ抜いた末に、ふとそれを乗り越えかけた様子も見せつつも、結局は呪縛から逃れられず最悪の結末を迎える、という本質的には全く爽快・痛快なお話ではないのです。非常に迷いましたが、私のポリシーからは少し外れる映画なので1点引いておきます。 ただ、映画としては相当に好く出来ている方です。結論的には主人公の女性を描くことに完全にフォーカスした作品だと言えると思いますが、それを演じるキャリー・マリガンは諸々と絶品な出来でしたね。やさぐれて老け込んで疲れ果てた様な気怠い様子から、一転して怒りを迸らせて凄む様子の迫力たるや。また、いっとき前向きになる場面の幸せそうな様子も(儚げな翳を含みつつも)非常にチャーミングでした。もう一つ、先ほど老け込んでと言いましたが、作中年齢は30歳のトコロ実際のマリガンは30半ばで、ソコのちょっと「薹が立った」感じもなんか妙に色っぽく見えたりしましたですね。中々に魅力的な女優さんだと思いました(だから尚更、このラストの無念さが際立つのですケド)。 [映画館(字幕)] 6点(2021-07-31 21:45:05) |
860. ジョアンナ
《ネタバレ》 ジョアンナちゃん自体はメッチャ可愛いすね。演じてるのはジュヌビエーブ・ウエイトという女優さんですが、ルックスに関しては率直に同時代の他の方々と比べても相当にハイレベルだと思いますし、ファッションも凝っていてカラフルで中々上等です。ただ、演技に関しては相当に微妙、とゆーか、あの声で成立する演技とゆーのがそもそも極度に限定されてきてしまう、という感じでしょーかね(損な、とゆーか、ピーキーな、という感じの声ですね)。もう一点、頻繁に登場するどーみてもカツラなあのクルクルモッフモフの髪型は一体どーいう意図なのでしょう?あーゆうのが実はスウィンギングなのでしょーか?知識無いので誰か教えてください(私にはむしろロココ調にも見えましたが)。 内容の方は、正直かなり薄っぺらいですね。特にお話は終始散々に漂流した挙句、全然意図してなかったゴールに辿り着いてる、という様にも見えます。だとすると、それこそスウィンギングな60'sのカウンターカルチャー的価値観を描くことの方がより重要なテーマだとも思うのですが、正直ソコもイマイチ伝わってこないのですよね。その点のキモはおそらくジョアンナの奔放さ、つまりはフリーセックスな恋愛遍歴の描写にあるのだろうと思うのですが、当時の人々にとってはだいぶ衝撃的であったとしても、現代の私が観た限りではそーでもない(=キョウビもはやフツーな風に見える)というコトかとも思われます。ちょっとトゲが抜け落ちてしまった映画、なのかも知れないと思いました。 [DVD(字幕)] 5点(2021-07-29 01:23:10) |