81. ターミナル
《ネタバレ》 恋愛映画にならなくて良かったー!ビクターの奇怪な行動(書くよりも、観てもらった方が楽しめますね)が、あの目的のためにとどまり続けると知ったときは、コメディだけど自分の好きなジャンルのヒューマンドラマだなぁと分かり、素直に感動できました。さすがトム・ハンクスです。 [DVD(吹替)] 7点(2006-06-10 22:12:16) |
82. 25時(2002)
《ネタバレ》 犯した罪を償う=刑務所に入るというのを、違う視点から紛糾してくれた作品です。スパイク・リーの説教じみたドスの効いたメッセージをビリビリ感じてしまいました。明日死ぬという設定ではなく、収監(中途半端にやり直しができる)というのが良いです。麻薬の売人という、買った人間だけでなく、麻薬欲しさに波及する殺人・強盗など、ただ売っただけでは済まない犯罪を犯してきたモンティが、いざ収監前夜、友情を失いかけ、恋人も呪い、今日も明日もあさっても続く自由を堪能している快楽に溺れた連中へ怒号する。クソッタレの韓国人!黒人!ビンラディン!しかしモンティ自身が今まさにこれまで見下してきた連中の下になろうとしている。自業自得といえばそれまでですが、もし罪を犯してなかったらどんな人生を送ってこれたのか?しかし正しい進路を選んだ人生を送ったところで、それがナチュラルのいない人生であってもよかったのか?モンティのように、たった1日で残りの人生の審判を下すという突然かつ究極の選択を、(この映画を観ている)お前にできるのか?と、スパイク・リー監督がまるで僕自身を指差して詰問しているかのような映画の迫力と、エドワード・ノートンの骨太の演技に、脳天直撃、ガツン!とやられました。 [DVD(吹替)] 7点(2006-06-10 22:11:52) |
83. クライム&ダイヤモンド
《ネタバレ》 あらゆる部分で”芸術的”でした。若き日のリチャード・ドレイファスの強奪のシーンといい、ティム・アレンの一癖も二癖もある役どころといい、セオリー通りの映画を作っていないところに好感がもてました。映画の尺は短いですが、ファンタジーとコメディが、サスペンスの血生臭さをうまく打ち消してくれています。空想と現実の交錯がこの映画の醍醐味ですね。観ながら、「ん? あれ? …あぁ」と、うなずきながら観てました(笑)。初めて観る人は、パッケージのあらすじを読まないで観た方が、ほんわかした気分になれるのではないかと思います。 [DVD(吹替)] 7点(2006-06-10 22:11:24) |
84. 僕はラジオ
《ネタバレ》 障害者を題材にした映画って弱いんです。下のほうでライヒマンさんも書いてますけど、観終わった後、優しい気持ちになっちゃいました。障害者をそのまま放っておけば、社会では邪魔になってしまう。可哀相だと思っていても、思っているだけで終わってしまいますよね。病気のせいとはいえ、健常者から見れば”変な”行動をしているからという理由で障害者を疎外してしまう。どんなにいい子ぶってる人だって、悪いと分かっていても、ジョニーと同じマネをしてしまいます。この映画では、子供のころ、障害をもった子に手を差し伸べなかったことを後悔していたジョーンズコーチが、ラジオに対して憐れみではなく、学校に欠かせない真っ当な人間であるという、感動の押し付けでない接し方に感動させてもらいました。ジョニーが改心したのも嬉しかったです。…、いや、ダメだダメだ!感動しているだけじゃダメなんだ!観終えた人たちも偏見から変わらないと!【ネタバレ】実話だと思ってなかったので、かなり衝撃的でした! [DVD(吹替)] 8点(2006-06-10 22:10:18) |
85. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 この映画はミュージカルとして観るのではなく、どこにでもいるシングルマザーのドキュメンタリーとして観たほうがいいですね。実は2回目の観賞にて、この点にしました。最初はセルマの顔になじめずリタイヤ。その後、いろいろな映画の観賞を経て再見。この映画を観る上で準備すべきは、①シングルマザーを題材にした映画を観る②身体障害者を題材にした映画を観る③フランダースの犬やテレビドラマ版家なき子(安達祐美)など、理不尽な目にあう主人公の話を観ておく。④たまには美男美女ばかりではない映画も観ておく(笑)。などを挙げておきます。セルマに対する批評が多いみたいですが、彼女は小さくても強いシングルマザーなんです。子を養ったり失明を恐れる重圧から解放されるのが、彼女にとっては舞台だったんだと思います。ミュージカルシーンになると、エキストラが急に仕事を辞めて踊ったり、死体が起き上がって踊ったりと不思議なシーンになりますが、ラストの締○台のシーンだけは、エキストラが現実世界のまま、セルマひとり歌う。そして”これは最後の歌じゃない”と出てフェードアウト。ラストの真意は観ている我々の想像に任せてもらえます。”これは最後の歌じゃない”。再見して良かったです。 [DVD(吹替)] 8点(2006-06-10 22:09:18)(笑:1票) |
86. 女はみんな生きている
男って、ホントにバカですね(苦笑)。男尊女卑で虐げられた女が立ち上がる、という筋書きなんだろ?と思ってたら、少し違うようです。よく、プロポーズの言葉の多くに、「君のことを幸せにするよ」という、こっ恥ずかしいセリフがあるわけですが、あれって、”君と結婚すれば、家事とかしなくて済む”という裏返しなんですね。この映画によって、女にだって、人生を切り開く覚悟があるんだということをまざまざと見せつけられました。男のだらしなさによって自分の人生を脅かされ、活力を失っていたヘレンの変化と、暗い過去から強く立ち直っていくノエミの変化が、上手く波長が合っていて、ついつい応援したくなってしまった。ラストのおばあちゃんの顔、年輪を感じるなぁ。まさに、”女はみんな生きている”だなぁ。 いや、”男がいなくても生きていける”だな。とりあえず、食器を洗うのぐらいは手伝わなきゃマズイよなぁ。ごはん作ってもらえないと困るしなぁ。 [DVD(吹替)] 8点(2006-06-10 22:08:58) |
87. チーム★アメリカ ワールドポリス
最初観たときは、なんだ、普通の人形劇じゃないか、と思いましたがとんでもない! 終盤30分のドトウのブラックな笑いに圧倒されました。これ、本人たちが観たら怒るって(笑)。自由の国アメリカにとって、”自由”を守るためなら他国の文化遺産や街を破壊しても一向にかまわないんだよー!という強硬な姿勢と、英雄は(この映画ではチーム★アメリカは)何をやっても許されるんでぃ!という勧善懲悪の思想を痛烈に皮肉ってる。(イラクからは大量破壊兵器が見つからなかったな、こりゃヤバイぞ。そうだ、じゃあ、北朝鮮から流れてることにしちゃおう!)という安易な発想を通じて、時の大統領をコケにしている。そういえば大統領、応援演説にハリウッドスターを連れて来るの常套手段だしね。北朝鮮お得意のマス・ゲームの目的がそれだったのかー(ホントかよ?)と思いつつ、実際ありうるという警鐘。ただの人形劇でもよさそうだったのに、このお下劣な毒がたまらない。映画『パール・ハーバー』がクソだというのは、みんなが思ってることなので、あえてツッコまない。では僕も。「まっと・でいもん」 [DVD(吹替)] 8点(2006-06-10 22:07:29) |
88. いま、会いにゆきます
《ネタバレ》 中村獅童と竹内結子の結婚をワイドショーで知ってから観たので、なんだ、おのろけ映画か? ツマンネ、と思って観ましたが、謝ります。ホントにごめんなさい。泣いてしまいました。獅童が演ずる、不器用だけど誠実で一途な巧が、とても良かった。澪の終盤に秘められた秘話も涙を誘います。賀来千香子, 佐野史郎, 野際陽子の『ずっとあなたが好きだった』とか、ドロドロしたドラマを観てきた人間からすれば、こういう純愛ドラマって、新鮮で素敵です。まだまだ僕も性根が腐ってなくて安心しました。どちらかというと僕もモテない寄りの人間なので、思いを告げられないながらも、澪を想う巧が、自分のことのように思えてなりません。感動を、感動をありがとう! [DVD(吹替)] 8点(2006-06-10 22:06:26) |
89. 香港国際警察/NEW POLICE STORY
《ネタバレ》 ここまで犯人に対して怒りと憎しみを覚え、しかし犯人を憐れむ映画も初めてでした。ド派手な銃撃と手に汗にぎるカンフーのバランスが上手く調和したアクションシーンの凄まじさは筆舌に尽くせないので、あえて省略します。あれこれ感想を書くよりも、実際に観てもらったほうが手っ取り早いです。むしろアクションよりも、過去の失敗から立ち直ろうとするチャン警部の苦悩がひしひし伝わってきて、人間ドラマとしての脚本の素晴らしさに惹き付けられました。警察官としてではなく、仲間を守れなかった後悔。新たなる悲劇。シウホンの叱咤がチャン警部を復活させていく。犯人グループの主犯格もまた…。”罪を憎んで人を憎まず”。この映画が警察官の映画であることを、最後の最後まで通してくれました。 [DVD(吹替)] 8点(2006-06-10 22:05:58) |
90. 最後の恋のはじめ方
《ネタバレ》 まず、コメディとしての見所。アルバートのドジっぷり。アレックスのテンポのいい身のこなし。恋人がいるかどうかで観方が変わってしまうと思うけど、良い映画です。ドジをふんでしまう人間が幸せになる。観ている人に、勇気とか意欲を感じさせてくれる映画だと思いました。別に外見に自信がなくてもいいんです。内面を相手に気に入ってもらえばいいんだと。一番好きな恋愛理論は、彼女の友達に気に入られる所。将を射るにはまず馬、というか、彼女しか見ていればいいわけでもないと。口説くのが下手でも、相手は意外な面を好いてくれるんだと。アルバートがイイ奴で、ホントにイイ奴で、影の主役だよ、コイツ。という目線でストレスなく鑑賞できました。彼の存在のおかげで、ウィル・スミスの軽快さをより際立たせていたと思います。アレックス×サラの恋愛は無難にラブコメだったけど、アルバート×アレグラの恋愛のほうが、ほんわかしていて、なんか、良いモノ観たという気持ちでいっぱいです。アルバート、良かったね! [DVD(吹替)] 8点(2006-06-10 15:14:04)(良:1票) |
91. WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルース
自主制作の映画を観たのは初めてですが、圧巻です。2作目の『運命じゃない人』がパルプ・フィクションの二番煎じであったといえど、邦画でよくぞここまで、と感嘆しました。偶然、近所のゲオの中古コーナーでホコリをかぶっていたこの映画のDVDを見つけ、速攻で買い、そそくさと帰りました。映像がビデオカメラ片手に頑張ったんだろうなぁ…というのがアリアリですが、脚本が素晴らしいので気にならなくなります。むしろ日常に近いリアルな映像として受け入れられるので、この映画の題材としてはむしろベストです。山本くんの表情が最高です。特にあの、「えっ!?」て首をかしげる時の表情が(笑)。例の謎の薬・サムライを一気に飲み干す山本くんを見る親友の健二くんの表情も最高です。前半は、ゆるく、ついニヤニヤしてしまう描写があり、コメディとしても儲け物です。中盤から終盤にかけて、ミステリーサスペンスとしてグイグイ謎に迫っていきます。内田けんじ監督、若いのに素晴らしい素質があると思う。自分で脚本を書き、監督もこなす。理想の映画を作る要素が備わっている。どこにでもいる青年が主人公で、登場する人物の背景描写も秀逸。今まで映画は、役者とか筋書きでしか観るかどうか判断してこなかった僕ですが、フランク・キャプラ監督に次いで、”監督買い”で映画を観る人が増えました。その人の名は内田けんじ監督です。 [DVD(邦画)] 9点(2006-06-07 18:54:37)(良:2票) |
92. 運命じゃない人
《ネタバレ》 これはスゴイ。筋書きにちゃんと整合性がある。これが脚本に力があるということなのだろう。最初、なんだ2時間テレビドラマじゃん、タイトルからしてラブストーリーものだろう、とタカをくくっていましたので、目からウロコです。よくハリウッド映画では、売れっ子俳優が自分の見せ場を作ってもらうため、監督や脚本家にワガママを言うので、原作から大きく外れた映画になってしまうというのは定説です。しかしこの映画、無名の俳優を使っているのもありますが、『まず脚本ありき』を徹底しているので、みんなが一致団結している。失恋した女といえば…。ヤクザの組長といえば…。それぞれのキャラクターのイメージに自分なりに固定観念がありましたので、あれよあれよと脚本の素晴らしさに惹きこまれました。この映画を観て感嘆したのは2つ。①電話番号をうかつに人に教えないほうがいい ②自分の知らないところで色んな事情が動いているという点。素晴らしい。エンディングを迎え、スタッフロールが流れたのでDVDのリモコンの停止ボタンを押そうとしたら…、いや、焦りました。あとは観てのお楽しみ!! [DVD(邦画)] 9点(2006-06-05 18:12:11) |
93. スタンドアップ
テーマが重く、一人で立ち向かうことの難しさを感じた映画でした。セクハラって、第一義的な定義が、体に触るとか卑猥なことを言うってことだと思っていたんだけど、実際に映像を通して、想像以上にとんでもないことなのだということを知りました。最初、僕自身も序盤のジョージーの男性遍歴(?)があったというエピソードで、一種の偏見を感じていましたが、サミーの出生の秘密を知ってから、偏見を持ってしまった自分が恥ずかしく思います。自分が立ち上がらなければ、他の人たちを動かすことってできないんですね。素直に、観て良かったし、学ぶべきことも多かったです。こんなに、辛く、泥臭いけど、力強く闘う、女性であり母親である、難しい役を演じたシャーリーズ・セロンさんは素晴らしい演技をしてくれたと思います。 [DVD(吹替)] 8点(2006-06-02 17:13:17)(良:1票) |
94. キング・コング(2005)
キング・コングが実に人間くさいところがあって、それがとても良かった。アンがお手玉やってるのに、あくびをするところとか。尺が長いのでだれそうだったけど、力技で盛り返した感じです。ナオミ・ワッツの女性特有の絶叫と、恐怖のあまり声も出ず、ひたすら逃げまくる形相も自然な感じがしました。オリジナルを観てないので、これがキング・コングかー、という印象ですが、ただのモンスター映画にならなくて良かったと思う。20世紀初頭の時代背景といい、未開の地の舞台設定といい、映画に没入する要素も文句なしです。2流の監督だったら、現代を舞台にして、オリジナルのイメージを台無しにしていたと思う。ピーター・ジャクソン監督に感謝。 [DVD(吹替)] 8点(2006-05-29 17:04:47) |
95. キル・ビル Vol.1(日本版)
終始ホッペがゆるみっぱなしです(笑)。現代の日本は当然、徳川幕府のころから敵討ちが廃止されているし、明治時代から帯刀禁止令があるし、銃刀法による、武器の所持の禁止もされている。そんな日本を撮るタランティーノ監督って、とっても日本が好きな人なんだと思う。映画って、大きく分類して、教養となるか娯楽となるか、だと思う。この映画は、そのベクトルがどっちでもない、あさっての方向に向いてる気がする。たしかに血飛沫がスゴくて、グロくて、どうしようもない。これを観て、刀でキルことに憧れるバカが出てくるかもしれない。それはさておき、日本人の撮る殺陣とは違う殺伐さがあるし、アメリカの拳銃などの決闘シーンにない、居合の抜刀術の魅力をアメリカに発信しようという気概が感じられる。脚本がどうしようもないのはこの際、目をつぶろう。でも誰かがこういう映画を撮ってくれないと、後進の気鋭の映画監督は現れてこないと思う。映画としての評価は3~8点が妥当だと思うけど、復讐&チャンバラごっこという、日本古来からある、今となっては禁断なんだけど、日本人なら何となくフツフツと湧き上がる映画を作った点では評価したいと思う。監督、この映画を撮るの、すごく楽しかったんだろうなぁ。 [DVD(吹替)] 7点(2006-05-28 23:05:28) |
96. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 どう頑張っても彼女が不幸になってしまうのは切なかったです。脚本もさながら、あのタイムスリップの方法も、周囲の邪魔をやり過ごしながら行うという点でスリルもありました。人生の分岐点って、ホントに些細な場面なんだと思う。特に好きな女の子(男の子)が、他の人間に取られたりすると、やり切れない。僕自身も今の人生に満足はしていないけど、もしあの時ああしていたら変わっていたのかも。いや、今よりもっと悪くなっているのかも。今をちゃんと生きないと後で後悔するんですね。 [DVD(吹替)] 8点(2006-05-28 22:24:47)(良:1票) |
97. リリイ・シュシュのすべて
観ている間、ずーっと嫌悪しか感じないのに、惹きこまれてしまう不思議な映画でした。10代の少年少女の残酷さを如実に表していたと思います。一人の級友をよってたかって狡猾にイジめ、いじめられっこはネット上でしか本音を語れない。現代っ子って、グレてない子でも不良っぽい言葉で話してる。違いますなら「ちげーよ」とか、かっこいいなら「カッケー」とか。みんな使ってるからとか、カッコイイからとか、使うことが高校生のステータスみたいになってしまっている。自分の痛みには気づいているのに、人の痛みには無頓着な残酷さ。僕の学生時代よりもさらに人間らしさを失っていて、正直、こわいです。一方でいじめっこの星野の心の闇も垣間見え、イジメは決してなくならないという絶望すら感じてしまう。嫌悪感しか感じなかった人は、人生や友人に恵まれている人なのかもしれない。最後まで観てしまったということは、僕にもそういう面があるってことだと思う。音楽が繊細でとても良かったです。 [DVD(邦画)] 8点(2006-05-26 20:13:05) |
98. バンド・オブ・ブラザース<TVM>
この戦争ドラマにプロパガンダなど存在しない。戦闘の恐怖や退役後の夢など、彼らは兵士以前に人間であることにスポットを当てている。兵士たちは自分の命を第一に守ることも当然ながら、共に戦う兄弟たちとの絆を、駐留生活でのひとつひとつのドラマを通して上手く映し出している。陽気なガルニエ、無能なダイクなど、市民生活では勝ち組でも戦場では…と、壮絶な戦闘シーンを通してその違いを突きつける。普通はダイクのように混乱してしまうのだろう。しかし恐怖を乗り越えないと戦場では生き残れない。一瞬の判断ミスが中隊を全滅させてしまう。兵士が敵兵を殺害するのは、国のためではなく、早く85点を貯めて故郷に帰りたい、という実に単純な理由です。しかし、その唯一の方法に全てを賭けている。あのソベル中尉とウインタース少佐の敬礼の命令のやりとり、上官・仕官の階級もありますが、ぬくぬくとしてきたソベルに対し、昇進していったウインタースの背中には犠牲となった多くの兵士たちがあり、その名誉の戦死への敬意も含まれているように思う。一番、感銘を受けたのは第6話の『衛生兵』です。この映画には絶対唯一の主人公というものは存在しない。一人一人がそれぞれにその瞬間のドラマがある。この戦争ドラマが、戦争を知らない、映像を通して戦争を知る我々にもたらした功績は大きい。 [DVD(吹替)] 9点(2006-05-24 02:47:49) |
99. 亀は意外と速く泳ぐ
本当に殺傷能力のある武器を扱うスパイであると終盤に分かって、少し引きました。しかし、それでもスズメのスパイ活動には大いに笑わせてもらいました。普通にふるまうのって、こんなに大変だったんですねぇ。物陰から「フェッフェッフェ。」上野樹里の笑い方がグー d(・∀・) とにかく着眼点が面白い。日常の中の非日常が映画なんですが、この映画は日常の中の日常なわけです。全般に渡り、危機感が全くないし、現代邦画なのでストレスを感じないで、観てるこっちまでスパイになり切ってしまう。あぁ、だからこの映画、ゆるいのか。カタブツの役者たちが真剣にバカやってる分、疲れたときでなくても楽しめる映画だと思います。役者のネームバリューがなくても良い映画ってできるんですね。特にパーマ屋の温水洋一さんのダンス、ハラいたい(笑) [DVD(邦画)] 8点(2006-05-24 02:46:15) |
100. イン・ハー・シューズ
社会生活では申し分ないが満たされない姉と、本当にやりたいことが見つからないでいる妹と、両方に共感がもてました。今の自分がまさにそうだから。姉が何を思ったのか、あの仕事をやって変わっていく様。妹が老人たちに接していって、自分が目を背けていたことに気づいていく様。特別なことをしているわけではないのに、何かが変わって失いたくないものに気づいていくのを観て、心つき動かされるものがありました。おばあちゃんがいなかったら家族が崩壊していたし、そのおばあちゃん自身も長年の後悔から解放されたという脚本は、評価に値すると思います。教授との詩の朗読のシーンが一番じーんときますね。 [DVD(吹替)] 8点(2006-04-16 22:51:36) |