81. キューポラのある街
《ネタバレ》 なるほど、吉永小百合が早稲田の二文(夜間)に 進学したのは、この映画のためだったかと思える。 いい映画です。 苦難に屈せず、希望に充ち溢れている。 好感度抜群!小百合ちゃん♪ [DVD(邦画)] 7点(2024-07-31 13:10:19) |
82. エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
《ネタバレ》 アメリカは、空気同調圧力はないみたいだが、 その代わり、スクールカーストみたいなものはあるらしい。 その中で、無口な女の子が、自分を表現するために 色々悩み傷つきながら、悪戦苦闘している話である。 視聴者がいないのに、動画で、がんばってねと発信する主人公。 これは未来への自分への励ましなのだ。 そんな彼女だが、男が近づいてくる。 だが、彼女は自分を失わない。 安売りしなかった。 そこがホッとできる。 父親がまた素敵である。 男の子にはじめて求められたとき、 彼女は怖くて、家に帰ると、 父親に自分の希望を燃やしてくれと父親に頼むのだが、 そこでこんな会話がなされる。 娘「もし私に娘がいたらって それでもし、その子が私みたいだったら、 母親として惨めなんじゃないかなって 自分の娘だから愛するとは思う でも もし もしも 娘が私みたいな子になったとしたら 母親として悲しい」 父「それは違うよ ケイラ パパの顔を見て 違うよ お前みたいな娘をもったら 最高に幸せだ 全然分かってないな お前がどれだけ パパを幸せにしてるか 言葉ではとても言えないほどだ お前って子が いとしくてたまらない つい自慢したくなるよ 口先だけじゃない そりゃお前がイライラしたり 辛いときはパパも悲しくなる でも その悲しみの中身は その状況のことでお前自身じゃない とにかくパパは いつだってとんでもなく幸せなんだ お前の父親でいることがね ママが出てったとき パパは不安だった お前のことが でもお前は元気に育ってくれた 最初の一歩 最初の言葉 そして 友だちもできた パパは教えなきゃって焦ってた 人への親切や分かち合いの精神や思いやりの心を でもお前は全部自分で学んだ 先生に褒められたよ 素晴らしい子 いい子を育てなさいましたね でもパパは何もしてない ただお前を見てただけだ お前を見てたら 怖さも消えた 分かるか お前のことで怖がるのをやめたよ ずっと前にね なぜだと思う お前が勇気をくれたからだ だからお前もパパのように ありのままのお前を見ていけば 何も怖くなくなるよ」 名シーンだと思う [DVD(字幕)] 7点(2024-07-29 22:00:53) |
83. HOKUSAI
《ネタバレ》 鬼気迫る北斎の演技だった。 柳楽くんも田中泯さんも・・ 物語りは北斎の名作の誕生に迫っている。 4章から成る。 1章は、写楽、歌麿と競い合い、中々評価の定まらない時期。 波の絵で一皮むける。 2章は、嫁をとり、娘が生まれるまで・・ 途中、歌麿の手鎖事件のエピソードをはさみ、 3章の戯作者種彦の壮絶な最期の伏線となる。 3章から老年期に入り、田中泯が、絵師を見事に演じる。 彼の存在感と、役柄の北斎が、お互い両者譲らずで、負けてないのがスゴイ。 圧巻は、突風が吹いたときの庶民の姿をとらえた時の、北斎の表情だ。 その後、病に倒れるが、そこで雨の中の絵の具との戯れから、 あの誰もが知る「波」の表現についに至る。 しかし、同時進行で種彦との交流も描かれており、 3章のラストで、種彦の「討ち」死にが描かれる。 種彦が時の幕府の風俗取り締まりに逆らってまでも、 武家の身分で戯作をつづける覚悟を示したからだ。 北斎はここで、すさまじい絵を残す。それはあまり知られてない絵だった。 描き終わった後の仕事場は、戦場さながらだ。 最終章は、こんな江戸から逃げる。 そして旅先で、ついに若い頃の「波」の大作をしあげるのだ。 北斎の娘も只人ではないオーラをしめすが、そこは深く描かない。 鑑賞後、田中泯さんの表情が頭にこびりついて離れなかった。 それほどの怪演だった。 テーマは一貫している。 蔦屋の取り締まりから始まるこの映画は、一貫して、表現したいことを表現して 何が悪い、それを押さえつけるお上への非難になっている。 [DVD(邦画)] 7点(2024-07-29 21:55:53) |
84. 聖なる犯罪者
《ネタバレ》 犯罪者が悔い改めて、新天地で神父になる。 善良な町人たちの教会。 しかし、そこにはある事件を経て、痛みのある町だった。 神父は、その事件への深入りすることで、自らの改心を行う。 ある事件の真相は? そして、町がその痛みを乗り越えようとしたとき、 神父の犯罪の、まだ未解決の落とし前が降りかかってくる。 事態は、意外な展開に・・ 最後まで目をそらすことのできない展開だ。 [DVD(字幕)] 7点(2024-07-29 21:53:25) |
85. シン・ウルトラマン
《ネタバレ》 大真面目にウルトラマン。 最初のウルトラマンも放映当時は、我々は子どもだったが、 その頃の大人たちも、今の我々が本作を見て感じる違和感を感じていたのだろうと思うと、 何やら発見がある。 話が二転三転していくとこが子供だましじゃない。 つまり我々が円谷プロからもらったプレゼントを、二〇〇〇年代の子どもたちにも プレゼントしている。 ここからどんな子どもが生まれるか・・ 会話が面白い。 吹き出してしまうくらいの笑いのセンスがある。 真面目過ぎる人が見ると、怒り出してしまうかも・・ [DVD(邦画)] 7点(2024-07-27 21:19:23) |
86. DUNE デューン/砂の惑星 PART2
《ネタバレ》 ヴィルヌーブの新作。 彼のSF映画のメカは、機能美のセンスである。 2001年宇宙の旅からはじまってる。 そこが世界観にリアリティをもたらしている。 デヴィッドリンチの頃は、監督のセンスにもたらされるものが大きかった。 (アメコミの影響もあるか?) カーペンターSFやバーバレラとか、そんな楽しいセンスの宇宙船とか スクリーンに溢れてる頃だった。 今は違う。ハイビジョンに耐えられる、本物の未来機械志向だ。 ヴィルヌーブ本作で一番興味があったのは、砂虫に乘って、 軍に侵攻するとこ。 リンチ版では、マンガチックなシーンで、 それが後の風の谷のナウシカの王蟲につながるのではないか? マンガチックは漫画を生む。 果たして、ヴィルヌーブの機能美メカは何を生むのだろうか? 感心したのは、砂虫の描写がヴィルヌーブらしく、彼の美意識内で処理されてる。 リンチでも思ったのだが、いかに伝説通りだろうと、 他の世界から来た、帰るところのある者に従うのは、 ちょっと砂の民が純朴すぎる。 都会に出れば、詐欺にすぐ引っかかるって話だ。 さて、砂の惑星、実はリンチ版はストーリーのほんの一部である。 まだまだ続く、この伝説SF古典をまさか、ヴィルヌーブは 全部、映画化? 次作からストーリは知らない。 その意味でも楽しみだ。 [DVD(字幕)] 7点(2024-07-21 22:57:48) |
87. 冬薔薇(ふゆそうび)
《ネタバレ》 令和版、「傷だらけの天使」といった感じか・・ 醒め切った監督の視線の先には、 断崖絶壁の花が咲いているだけである。 チンピラの先は、ヤクザしかない。 最後の、主人公の姿は、ヤクザになったという感じなのか・・ 阪本順治監督は、ヤクザが悪だとは言い切らない。 一つの生き方として、我々の前に示してくれる。 生徒に手を出した従妹の後始末をヤクザに頼んでたり、 チラチラ見える、あの世界の近さ。 エンターティメントとして、安全地帯にはいない監督の 描く世界は、日本映画として、突出して見える。 [DVD(邦画)] 7点(2024-07-21 22:49:25) |
88. いとみち
《ネタバレ》 田舎のポーッとした女の子がメイドカフェで働く。 ここで「昭和」の映画なら、田舎娘が風俗でどう苦労するかが 丹念に描かれてるとこだが、令和の今は違う。 仲良く仕事に居場所を見つけていく。 最初はスイングガールの三味線版かと思いきや、違った。 この主人公のいとの三味線は、聞かせる本格的なものだった。 ラストのメイドの姿の女の子が、足をひらいて、きばって 三味線を弾く。 監督はこれを描きたかったのかなぁ・・ とにかく津軽弁が聞きづらい。 とくにいとちゃんの津軽弁はハングル語みたいだった。 [DVD(邦画)] 7点(2024-07-21 22:45:31) |
89. 少年の君
《ネタバレ》 観ている側のハートが痛くなるほどの、純愛を見せつけられる。 優等生の女の子とチンピラの純愛。 日本の映画でも、ここまでの純愛映画は観たことがない。 それは親に見はなされた小さな二人の子どもが、どこよりも強い 愛で結び付けられる。 セックスなどない、ピュアな関係で、ここまで強い絆が 生まれることに、汚れている自分のハートが、締め付けられた。 他の国は恋をするとすぐ寝るが、そんな文化の国は嘘っぽくすら感じられる。 二人を見守る若い刑事もいい。 若い二人の愛を少し羨ましくも思い、大人の対応で、 二人にとって本当によい解決策に導く。 いじめが背景の映画。 いじめられて、追い詰められて、純愛にすがるしかなかった女の子。 チンピラもすぐ寝るとかしない、本当にこの女の子の気持ちを 組んで、そこに自分の人生すらかけてもいいと思う。 もう泣ける。 孤独な男女の愛でもヒットするのに、 ここでは孤独な男の子と女の子の話だ。 「小さな恋のメロディ」のような甘さはない。 孤児のような二人の男の子と女の子の話だ。 日本の「誰も知らない」が、こんな愛にならないのが、日本だ。 大抵、どちらかは裕福な子だ。 男女の子ども、両方が孤独という、この状況。 中国はやばいのか? 勝ち誇る中国だから、描けたストーリーかもしれない。 でも観終わった後、アメリカ映画のラブロマンスは嘘に見えてくる。 中国でこの映画ができたことに、色々考えさせられる。 [DVD(字幕)] 7点(2024-07-21 22:42:35) |
90. 御誂治郎吉格子
《ネタバレ》 江戸を騒がせた鼠小僧。 大阪に潜伏していたのだが、女との出会いから、 そのスキルを活かすことになるという話。 いいよね。 上方の女の情が、江戸の時代劇とは、ちょっと違う。 おきゃんではなく、しっとりとした情感ある女が出てくる。 大河内伝次郎も、最初は突っぱねるが、 クライマックスでの女の行動に、思いをはせるという話。 御用だ提灯が、江戸の時代劇とはまた違う風情。 いいです!伊藤大輔! [インターネット(邦画)] 7点(2024-07-20 00:41:08) |
91. 十字路
《ネタバレ》 おお!このような名画が、YOUTUBEで観られてしまう時代に感謝♪ 映画演出の教科書「戦艦ポチョムキン」と同じころ、 日本ではすでにこんな映画を創っていた! 自分を見失った弟を持つ薄幸の姉。 手に汗握るクライマックスに日本の時代劇の描き切れてない部分を観た気がする。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-07-19 01:01:58) |
92. 赤西蠣太
《ネタバレ》 暗い内容の時代劇を軽妙に描くと、後に評価が高まるようだ。 伊丹万作監督の本作もそうだし、山中の「丹下百萬」もそう。 伊丹万作の有名な作品ではあるが、歴史背景を知っておくと、更に面白い。 小生、1度目も無骨な主人公の姿が心に残ったし、名作だと思った。 しかし、2度目は伊達騒動のことを調べてから見ると、原田甲斐と伊達藩との関係、 そしてクライマックスの3月27日甲斐と安芸の斬り合いから、 赤西がこのための幕府(?)からのスパイだったことが分かる。 これは、原田甲斐の政治的立場をさらに理解すると、広間での連判状の一幕の意味がもっと分かるかもしれない。 しかし、伊丹万作は、そこまでは要求しないだろう。 創られた当時は、講談や歌舞伎で、伊達騒動はみんな知ってる話だったことも有る。 今の人が観て、ちょっとついていけないのも無理はない。 が、巨匠伊丹万作のその他の時代劇「権三と助十」を観ても、 ちょっとやそっとではお目にかかれない時代劇の名手であることは確かで、 日本のお話家さんは、観ておかないといけないと思います。 今はネットで手に入るし・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2024-07-14 05:50:48) |
93. 市子
《ネタバレ》 見応えあり! あの血の繋がってない妹に下した行為。 そこから、どんどん周囲を巻き込んで、最後はあのラスト。 犯罪者の映画と思って観ると、また違う感想も抱くが、 自分もあの立場なら、と説得力ある演出に思わず嗚咽しちゃう♪ 人生で唯一、幸せだった長谷川君との生活がシミジミ語られて、 コロナ禍で我々を励ましてくれた「にじ」を花ちゃんが鼻歌の 余韻をひくラストでした・・ [DVD(邦画)] 7点(2024-07-08 00:23:44) |
94. 一心太助 天下の一大事
《ネタバレ》 時代劇というと、武士道は死ぬことと見つけたりというくらいだから、 悲壮感漂う内容が多いが、一心太助はいいねぇ・・ 江戸っ子の話だから、斬った張ったが、無い。 漫画ど根性ガエルの世界観に通じるものがある。 侍じゃないから、喧嘩に負けて、悔し涙でやけ酒飲むシーンもあり、 サラリーマン哀歌だよぉ、これ。 クライマックスは、祭りだ、喧嘩だ、の大騒ぎ。 さて、色ボケ役人から、純情カップルは守られるか?最大の見せ場。 興味ある人は、観てください(笑) [DVD(邦画)] 7点(2024-06-29 03:00:24) |
95. ちひろさん
《ネタバレ》 ドラマ性はない。 ただ、こんな人がいたって映画だ。 ちひろさんがいた。そういう映画だ。 糸の切れた風船みたいに、ふわふわと・・ それで周囲の人が幸せになってるから、観音さまみたいな女性。 [DVD(邦画)] 7点(2024-06-23 17:49:34) |
96. 銀平町シネマブルース
《ネタバレ》 映画館が舞台の映画。 良かったです♪愛すべき佳作。 ちなみに、地元ではないのですが、 北九州の映画館が火災にあいました。 その復興の動画があります。(下のURL) https://www.youtube.com/watch?v=Qk6wzXdp_MA 良ければご覧あれ♪ 小出恵介、「風が強く吹いている」は良かったぞ~! 頑張れよ! [DVD(邦画)] 7点(2024-06-20 11:36:22) |
97. ザ・ホエール
《ネタバレ》 終わってみると、ここに肉欲はなかった・・ しかし、苦悩する主人公の容姿は、肉の塊だ。 ここにアメリカ映画の深さを感じた。 健康的ではない。それは確かだ。 アランを放っておけなかったチャーリーが自己過信が過ぎたのだろう。 それも娘の愛ゆえなのかもしれない・・ 男が描けるカタギの女性の姿、ギリギリのとこまで描いたのではないか・・ 舞台劇という、この映画。 会話だけでは伝わらない、神々しさが感じられた。 唸りました・・ [DVD(字幕)] 8点(2024-06-16 23:51:58) |
98. ノン子36歳(家事手伝い)
《ネタバレ》 「残念」な映画である。 でもまぁ、夢を持ってやってきた星野源にしても、 東京で借金をこさえて、昔の女を保証人にしようとした鶴見辰吾にしても、 坂井真紀さまを抱けたのだから、良いではないか・・ 「残念」な世界に、女性の裸は海のように、我々を慰めてくれる。 シミジミ・・ まぁでも、真面目な話をすれば、熊切監督らしい地方映画です。 東京からの出戻り女性の、何とも言えない日々を描いている。 地方からの女性流出とか問題にされているが、戻ってきた女性を そう地方が容易く受け入れてくれるのではないという問題意識も描かれている気がします。 [DVD(邦画)] 7点(2024-06-15 20:54:03) |
99. チィファの手紙
《ネタバレ》 岩井俊二の「ラストレター」の中国版である。 面白いが、やはり女の子のヒリヒリ感を出すには、 舞台が日本の方がいいみたいだ。 中国の女の子は、素朴過ぎて、ヒリヒリ感があるのかどうなのか? ヒリヒリ感とは、自傷行為っぽい繊細さを意味する。 [試写会(字幕)] 7点(2024-06-12 22:56:52) |
100. 怪物(2023)
《ネタバレ》 子どもは純粋無垢じゃない。 こども視点から描くと、彼らの世界は、ドロドロしている。 大人の我々は、それを忘れているだけだ。 子どもの扱いに巧い是枝監督が、その子どもワールドを描く。 観終わると、大人が「怪物」ってことになるのかな・・ 田中裕子の演技が、見事に映画の層を厚くしている。 貫禄です! [DVD(邦画)] 8点(2024-06-09 18:38:36) |