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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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81.  オーソン・ウェルズのフェイク 《ネタバレ》 
騙す事の楽しさ、騙される事の楽しさ。それが詰まった「フェイク(贋作)」。  細野不二彦の作品で「ギャラリーフェイク」という漫画があるが、90年代に描かれた漫画に先駆けて70年代にウェルズは「贋作」の醍醐味を映画で語っていたのだ。  ファーストシーンで手品を披露するウェルズ。この場面こそこの映画の全て。自ら「ペテン師」と称し、「嘘」を映像の中で「本物」にしていく作家としての、舞台俳優としての演目。  ファーストシーンが終わって1時間は、稀代の贋作家と稀代の偽作家のエピソードをインタビュー形式で淡々と語る。 やや退屈な1時間だが、ラジオ時代の「宇宙戦争」に関する面白いエピソードやピカソの情事は興味深い。 その後に訪れる17分間の「オヤ」のエピソード。今までの退屈さをなかった事にしてもいいくらい画面に吸い込まれる。どこまでが嘘でどこまでが真実か。 最後まで見ないと絶対に損をする映画です。  この映画のトリックはオープニングから既に始まっていた。 実在の美人モデル、贋作家、偽作家など様々な「フェイク」がインタビュー形式で出てくる。 そこから既に「騙し」が始まっていた。  歳を取っても若い頃の情熱は失わない。 最後まで少年の遊び心で映画を作り続けたウェルズのこだわりが感じられる。  それはラジオ時代の「宇宙戦争」の頃から変わっちゃいない。 白熱した実況で視聴者に「本当に宇宙人が攻めて来たのか!?」と騙くらかしたエピソード。後の猛抗議も、ウェルズにとっては「してやったり」。  映画デビュー作「市民ケーン」もそう。 実在の新聞王ウィリアム・ハーストの「偽物」チャールズ・フォーガスタ・ケーンを産みだした。 その偽物の新聞王を映画の中で「本物」にしていく面白さ。ケーンの壮絶な生き様が「本物」にした。確かに映画の中に生きていたのだから。  「黒い罠」はタイトル通り、観客を騙す「罠」。これも最後まで見ろないとアカン映画だね。  「オセロ」や「マクベス」は心理描写の騙し合い。自分自身すら「騙して」追い込んでいく人間の限界を魅せつける。  ともかく、この作品はウェルズのお遊び精神の結晶の一つ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-07 20:25:05)(良:1票)
82.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 
常に陰鬱な空気が包み込む「金田一耕助シリーズ」の第一弾。 原作以上にエログロナンセンスをねじ込む市川崑の世界観が拡がる。 オープニングの斬新なクレジットの入れ方はカッコイイ。けど、このシリーズが市川崑の代表作と言われるのは何だかなあ。本当は海外で評価が高い「東京オリンピック」や「ビルマの竪琴」「野火」といった作品が代表と言えるものなのだけど(何故コッチの評価は日本で低いのか謎)。 俺としては「木枯し紋次郎」といった時代劇をオススメしたい。  個人的にこの手の大量殺戮を敢行する推理ものは嫌いだ。 金田一という探偵は事件を止められない(もはや止める気がない)。 事の成り行きを傍観し、頭を掻いてフケを撒き散らし、そして事件の真相を暴く。 まるで殺された魂を待ち受ける死神(轟警部にとっては厄病神か)のように・・・。 毎回金田一の事を忘却する轟警部、いつも金田一と鉢合わせする宿場の娘など、個性豊かなキャストがドラマをさらに盛り上げる。 そして権力とか何やらに溺れる欲深い大貴族とか大家族とかを虐殺レベルで殺しにかかるのがこの映画シリーズ。 おまえら全シリーズを見てみろよ! 「名探偵コナン」よりよっぽど死神だぞコッチの方が!! そんな映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-06 19:43:29)
83.  レッド・サン 《ネタバレ》 
「Soliel Rouge」。  テレンス・ヤングと言えば「007」でおなじみの脳みそ「テレッテレー♪」な監督だが、「暗くなるまで待って」とかまともな作品もあるので油断できない。  だが本作は文句なしにテレンス・ワールド全開の映画だ。 からっ風吹き荒れる荒野にたたずむ日本の武士。 文化の壁を破壊するようなシュールな光景だが、そこに立つ侍の「黒田」には男の魂が宿る。 明治維新の使節団として派遣された黒田たち。 強盗団の襲撃に巻き込まれ、天皇からの授かりものである宝刀、そして同僚の命を奪われる。 上司の密命を受け、命懸けの行動に出る黒田。 移りゆく時代を受け入れようとする黒田と、時代に縛られずに生きる賞金稼ぎのリンク。 軍人とアウトロー。 どこまでもデコボコな二人が、死地をくぐる度に絆を深めていく。 話は突飛な描写や展開も多いが、時代考証は上出来(明治維新以後なら天皇が取り仕切る。でもわざわざ紋付き袴で来なくても・・・)。 テレンス・ヤングの荒っぽさと三船敏郎の知識が融合したような映画だ。 三船敏郎の殺陣、馬術、英語とポテンシャルを遺憾無く発揮。 髭面のブロンソンも悪党のアラン・ドロンも伸び伸びしている(ドロンの声だけ吹替なのが残念)。 ブロンソンの鋼の肉体、三船敏郎の無駄な肉が無い引き締まった体。 とことん男の友情が詰まった「雄」の映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-06 15:13:08)
84.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 
スティーヴン・キングの原作を忠実にやりやがったホラー映画。 キングが大絶賛、本編は大惨事。 ブライアン・デ・パルマ監督がホラー&サスペンス時代に撮った怪作。  オープニングは「これポルノ映画?」とDVDケースに18禁マークがあったかどうか慌てて確認したほど思い切った映像で始まる。  前半のヒロインのいじめ問題やそれに向き合う過程のドラマはとても良かった。 ヒロインの「あの能力」も日常の中に奇をねじ込むスティーヴン・キングらしい話だと軽く受け止めていた。  ところが終盤はヒロインがとうとうブチ切れ、周辺を大惨事にしてスタコラ後を去る。 信じた人間に裏切られた絶望、自分を陥れて嘲笑う人間への怒り・・・それがキャリーのリミッターを破壊した。 キャリーの壮絶な最期も「えーっ!!?」という感じで凄まじ過ぎて受け止めきれない。  キャリーの事を最後まで思っていた友達も悪夢にうなされるし、「リング」の貞子とどっちが怖いか対決させたいくらいの映画だった。  マジで酷い映画だった(大賛辞)。 「スカーフェイス」や「アンタッチャブル」が可愛くみえるくらいのな。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-04 23:27:49)(良:1票)
85.  ワーテルロー 《ネタバレ》 
アベル・ガンスの「ナポレオン」ほどじゃないが、かなり見応えのある大作。大作といっても、「戦争と平和」の200分超ではなく、2時間弱で締めてきた事に関心を覚える。オリジナルの200分を見ても悪くはないだろうが、ボンダルチュクの場合は上映時間が短い方がありがたい。 といっても、シュトロハイムの「グリード」が4時間でなく2時間弱しか残っていないように、この映画も「ワーテルロー」であって「ワーテルロー」ではないのだ。 ただ・・・ドラマの厚みと達成感はやはり「戦争と平和」の方があるだろう。それでも、ドラマはボンダルチュクらしく重厚すぎて退屈な部分もあるが、ナポレオンが復帰するドラマや雨の中で復讐の闘志を燃やすシーンなど、ふつふつと総てが決する“ワーテルロー”へのエネルギーと緊迫感を高めていく演出は中々。 戦闘シーンのスペクタクルは圧巻。大砲の轟音と共に時計から時計に繋げるショット、クローズアップがしばらく続き衝撃が中々コチラまで届いてこない徐々にコチラに迫ってくるスリル。早朝から夕方までの戦況の変化を刻々と描いていくシーンも緊張感を増して良い。 現地に居ればそれを肌で感じられるのだろうが、画面越しでもそのヒリヒリするものを感じられるのが凄い。 包囲陣形で押していく圧迫感、騎兵が一気に目の前になだれ込んでくる迫力とスペクタクル!・・・をいちいちスローにして落とす演出が無ければ良いのになあ。「戦争と平和」でも感じた事だが、どうして肝心なところで余計なものを挟むのだろうかこの監督は。それが無ければ文句のツケどころがないというのに。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-02 23:35:56)
86.  旅芸人の記録 《ネタバレ》 
テオ・アンゲロプロスは「霧の中の風景」や「放送」は文句なしの傑作だと思うが、正直本作は言うほど傑作と呼べる映画だろうか。  確かに、素晴らしい映画だとは思う。 旅芸人の一座が時空を越えてギリシャの混乱期、戦争を交えた15年間を渡り歩くロード・ムービー。  戦争と密告で殺し合う一家の闘いはギャング映画のような壮絶さも感じるし、アンゲロプロスが危険をかいくぐって撮りあげたという鬼気迫る映像には敬意を表せざる負えない。  でも3時間50分は長すぎる。 dvdにしたって2時間チョイでようやくチェンジだ。それまでが大変だよ。  ところどころ楽しい大合唱や悲痛な場面があって胸に迫るものがあったが、あの馬鹿げた長回しは人を殺しにかかっているとしか思えない。  この映画のファンはこう言うだろう。 「感情移入やストーリーだけが映画じゃねんだよっ!」と。  だからって余りにロングショットで延々と撮るシーンが多すぎんだろうがあっ!! アンゲロプロスにしたって「霧の中の風景」はロングとクローズのバランスが素晴らしかった。  だが、この映画は上映時間の長さに加えて戦争の悲惨さで心まで重くなる。 加えてカットが変わる事無く時代が変わるので、その辺で混乱をきたす人もいるだろう。  その混乱は旅一座が散々味わってきた苦しみでもあるし、この映画の殺人的な退屈さは、それを一緒に体験できるような感覚だ。  ラストの生き残った一座たちが、再び冒頭の駅に戻ってくるシーン。あの瞬間の言い知れぬ達成感・・・!あの瞬間を見るだけでもこの映画を見る価値はあるだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-11-07 01:17:28)
87.  未知との遭遇 《ネタバレ》 
スピルバーグにしては少し退屈な映画だったが、あの宇宙船のインパクトは凄い。 キューブリックで言えば「2001年宇宙の旅」とも言える最も退屈な部類の映画であり、最も魅力的な一篇と言える。 ハワード・ホークスとクリスティアン・ナイビイが組んだ「遊星よりの物体X」を思い出すセリフやシーンがある。 ジョン・カーペンターは「遊星からの物体X」として地球外生命と戦う映画を継承したが、スピルバーグは「遊星よりの物体X」で研究資料として我が物にしようとする・・・いや、地球外生命との相互理解の可能性を模索したキャリントン博士の心持でこの作品を撮った。トリュフォーは正にキャリントン博士。しかし、劇中のトリュフォーは「話せば解り合える」という面持ちでコンタクトを試みる。まるで「野性の少年」と心が信じると最後まで願ったように。 「Watch the sky」のセリフも「遊星よりの物体X」に因む。 今までファースト・コンタクトを描いた作品の人類は、大抵襲われ、戦う事になる。 ロバート・ワイズの「地球が静止する日」ですら戦いは避けられなかった。 だが、スピルバーグはこの作品と「E.T.」で戦いの無い、“旅人と現地人の平和な交流”を描く事を選択する。こんなにも意味あり気に盛り上げておいて、ハッピーに終わらせるファーストコンタクトものはこの映画くらいか。 「蜘蛛巣城」を思い出す序盤で砂漠の中に現れる謎の物体。 「十戒」も「五戒」まで、この映画を「未知との遭遇寸前」まで見れた人間はけして多くないだろう。 ホラーテイストで未知の脅威を描いていく様子はスピルバーグのB級魂を強く感じる。 というより、B級とされる娯楽映画を超A級に押し上げたのはまぎれもなくスピルバーグです。 俺に言わせりゃジャン・ルノワールやハワード・ホークスといったアメリカ映画の傑作群の再評価を推し進めたのは、ゴダールやトリュフォーといったヌーヴェルヴァーグよりもスピルバーグやジョン・カーペンターの影響の方がよっぽど強いと思うのだけれど。 そんなトリュフォーとスピルバーグが組んだ同人的映画がこの「未知との遭遇」である。 UFOを追うトリュフォーの同人クラブ。 ファースト・コンタクトのシーンを見るだけでもこの映画を見る価値があるぜ。本当にデケえ。 「激突!」や「ジョーズ」で散々見えない恐怖を描いてきたスピルバーグが、この映画ではあっさりと映してしまう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-10-27 18:59:09)
88.  夕陽のギャングたち 《ネタバレ》 
原題は頭を下に、もしくは「伏せろ!(Giù la testa)」、あるいは「伏せろマヌケ野郎!(Duck, You Sucker!)」、あるいはジェームズ・コバーンを指して「一握りのダイナマイト(A Fistful of Dynamite)」、あるいはワンス・アポン・ア・タイム三部作を飾る「昔々の革命(Once Upon a Time... the Revolution)」か。  レオーネの作品は「夕陽のギャングたち」以前の大成功と高い評価、以降の再評価によって大多数が傑作と称賛されている。本作は他の作品ほど評価されていないが、俺個人は結構好きな作品だ。 ロッド・スタイガーの強盗とジェームズ・コバーンの爆弾魔。二人の悪党が次第に友情を結んでいく過程が楽しい(流石に回想シーン多すぎ&長すぎるとは思ったが)。利害の一致から腐れ縁、漢の友情へ。  戦闘面も銃撃戦と爆弾の使い方、特にファーストシーンが良い。 走る駅馬車、乗り込む乗客、巻き起こる事件。子供軍団と一緒に死線を潜り抜けてきたであろう野獣のようなスタイガー。レオーネの映画における駅馬車は無事では済まないのである。  今回のコバーンは爆弾魔。 趣味は爆破(ジェームズ・ドカーン)、好きな飲み物はニトログリセリン(嘘)。 ヒゲがあまりにも似合ってなかったが、ヒゲの無かった過去とヒゲのある現代の対比。ヒゲの無いコバーンの若々しさが、アイルランド時代の青臭さを出していて良かったと思う。  金目当てで突撃したら実は・・・知らず知らずの内に臨まぬ英雄&もっとヤバい奴に狙われる。コバーンと二人で小高い丘から機関銃で迎撃するワクワク感・戻って来た先に拡がっていた絶望。 救出劇は「善玉・悪玉・卑劣漢(続・夕陽のガンマン)」のイーストウッドとウォラックを髣髴とさせる!  列車でのやり取りは「善玉・悪玉・卑劣漢(続・夕陽のガンマン)」から「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト(ウエスタン)」へと受け継がれる。本作は列車もドカーンの標的となる。  コバーンはあの終わり方以外考えられなかったような気がする。友を失い、想い人とも離れ離れ、旅路でも散っていく仲間・・・コバーンは先に行った仲間たちに会えたのだろうか。  そして「俺はこれからどうすりゃいいんだよ」という表情を見せるロッド・スタイガーの何とも言えない顔が忘れられない。何もかも失ってしまった漢たちの旅・・・。
[DVD(字幕)] 8点(2014-04-09 21:47:59)
89.  ラスト・タイクーン
スコット・フィッツジェラルドの「遺作」、そしてエリア・カザンにとっても「遺作」になるとは皮肉なものだ。 1つ違うのは、フィッツジェラルドの原作は未完に終わるが、カザンの映画は未完とされる部分で結末を迎えているところだ。  かつてハリウッドを代表するプロデューサーだったアーヴィン・タルバーグをモデルにしたストーリー。 ロバート・デ・ニーロが相変わらず「誰てめえ」ってくらい名演。 劇中の時代は恐らくトーキー全盛期の1930年代、つまりタルバーグがなくなる直前の最も彼の人生が目まぐるしかった時だ。 物語の主人公モンロー・スター(タルバーグ)は作品を成功させるためなら容赦なくハサミを入れる男。 信頼はあるが、その徹底した商業主義は上層部や監督たちからやや距離を置かれているようにも感じられた。 そんな大物プロデューサーのロマンス、そして破滅。 かつて彼が目をかけた大物女優ディディは「年増」と揶揄されていた。 彼女がモンローにとっての“過去”であり、彼を慕うエドナは「現在」、彼が追うセシリアは彼にとっての「未来」なのだろう。 そんな「未来」は彼のプロシューサーとしての実績に暗い影を落とそうとする。 いや、性格には彼が深入りしすぎたと言うべきか。 どうでもいいけど、例のハゲのオッサンは何度見てもヒッチコック御大にしか見えません。本当にありがとうございます。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-11 21:19:17)
90.  ジャッカルの日 《ネタバレ》 
ジョン・フランケンハイマーの「影なき狙撃者」に次ぐ佳作。 ジンネマンだから見る気すら起こらなかったけど、「ジャッカル」とか言うクソリメイクを見てしまったのが間違いだ。ただジンネマンを少し見直せたという意味ではちょっぴり感謝していると言えよう。 「暴力行為」の一発屋という印象があったジンネマンだが、コレは中々面白かった。 いつものジンネマン特有と言えるピリピリした空気で緊張が保たれる。 「真昼の決闘」なんて勘違い西部劇は緊張が保たれるものの決闘が1回だけと解かってしまい極めて退屈な映画だったが、「ジャッカルの日」は殺し屋とフランス官憲たちの心理描写が面白い。 ドゴール将軍の暗殺を巡って繰り広げられる追走劇。 イギリス出身という事以外名前も解らず謎がジャッカル。彼の完璧と思われた計画がパリの習慣によって狂う瞬間は息を呑む。 キツネ(エドワード・フォックス)が“ジャッカル”というのも皮肉なものだ。 政治的に“黙殺”されていく暗殺者の孤独。ルベル警視はそれを悟っていたのかも知れない。 ジンネマンはやはり現代劇でこそ真価を発揮する男だ。「地上より永遠に」「ジュリア」も良い作品だと思う。 
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-06 14:08:27)
91.  時計じかけのオレンジ 《ネタバレ》 
人間好きなものは、嫌いなものは一生好きになれないのが性というものらしい。 もちろんキューブリックは好きな監督だよ。キューブリックの戦争映画にハズレはないって思っているし、犯罪映画でも初期の「現金に体を張れ」や後年の「シャイニング」は大好きだ。 でも「時計じかけ」だけはマジで勘弁して下さい。もう一度あの狂気に満ちた世界を見ろだなんて俺にとっては拷問といってもいい。ダメなものはダメなんです。途中出てくるルドヴィコ治療法の映像だって俺には怖すぎる。 同じSFで人間の狂気を描く作品なら、俺は「博士の異常な愛情」を選ぶだろう。  でもこの映画がすごいという事は認める。認めざる負えないよ。 近未来的で不思議な世界観、そこを闊歩する若者たちの狂気、狂気、狂気!女が服を破られおっぱい丸出しでレイプされる寸前、変態どもが乱入して縄張り争い。老人をなぶり、車を猛スピードで飛ばして次から次へと悪事を重ねていく。仲間ですら腹に杖を撃ち付け川に叩き落し「上下関係」をハッキリさせ、支配しようとする。強盗、強姦、虐待、何だってやる。ルイス・ブニュエルの「忘れられた人々」を思い出す強烈さ。  だが彼らに罪悪感なんて欠片もない。何故なら「楽しい」から。自分たちが同じ目に遭うなんて考える気もない。今しか奴らは見えていない。 いつの時代も若者は時代を逆走する。「世界を変えられるのは俺たちだけだ!」それが巧を奏せば“英雄”にされる。だが大抵は“愚か者”となって自分の愚かさを思い知らされていく。 主人公なんか正にそう。怖いものなんて何も無い。いや怖いものを「まったく知らない」から。止める人間がいなければ何処までも奴は突っ走る。ソイツに共感する奴もいると思う。  俺?俺の場合は共感どころか「クソ野郎がブッ殺してやりたい」と素直に思ったね。この映画の後に「雨に唄えば」を見たからこそ言っておきたい。誰かアレックスをジャック・ニコルソンの斧でブッ殺せるゲーム作ってくれマジで(嘘ですゴメンナサイ殺さないで下さい)。  偽善者?そう思いたい奴はそう思え。ただ主人公を見てムカツかない奴も俺はどうかと思うぞ。 なんせアイツが好きな音楽も聞けない、悪事も出来ずに仲間にも裏切られていく様子は不覚にも同情しちまいそうになった。犯した女が筋肉モリモリマッチョマンの眼鏡になっているわ、美味そうなスパゲッティ喰いながら失神するわ、部屋に監禁されて好きな音楽に“殺され”そうになるわ。 「こんな奴に同情するなんて・・・」でもこれが人間だと思う。  でこのまま死ぬのが普通の映画だろ?ところがどっこい、重傷負って死ぬどころかピンピンしてら。オマケに開き直って女とヤリまくり、いつも通りの主人公だ。見事に「免疫」が出来ちまった。  ただただ「(゜д゜) 」だったよ。 殺意も同情も呆れ果てて失せた。  馬鹿は死んでも治らない奴っていんだな・・・。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 10:27:33)(良:2票)
92.  アンドロメダ・・・ 《ネタバレ》 
ロバート・ワイズのSF映画は結構面白くて好きなのだが、流石に「地球が静止する日」や「スタートレック」等に比べると派手さに欠け題材も取っ付きずらい印象。  宇宙船やら宇宙人やらが出てくる映画を期待した人間はさぞかし肩透かしを喰らったと思う。 本作のSFは「少し不思議」なミステリー仕立てだ。  人々が全滅した街に残された「未知」。 生存者は? 何故生存したのか? 物語は淡々とした作りだが、徐々に「未知」の招待に近づいていく緊迫感が漂う。  近未来風のセットではなく、あくまで当時の技術で魅せる事にこだわった造り込み。  宇宙人はいるのか? 地球外生命体はいるのか? いずれにせよ、地球外生命体が本当に発見された時が再評価の時だと思う(スタートレックしかり)。  核で成長とかその発想はなかったわ。 そういやトランスフォーマーで「レーザーウェーブ」ってロボットがいるのよ。 好物が核燃料だぜ? 是非とも福島の復興に来てください(超切実)。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-22 00:14:29)
93.  ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 《ネタバレ》 
溝口健二、そしてその全てのファンに捧げられたともいうべきドキュメンタリー。 まあ溝口健二を余り知らない人が見ても楽しめるかどうかは解らないですが、多くが語られてこなかった溝口健二について知る事が出来る貴重なフィルムです。 溝口健二が何者なのか、溝口健二がどんな映画を撮ったのか。それを探るために溝口健二と関係が深かった人々に片っ端からインタビューしていきます。宮川一夫、川口松太郎、依田義賢、増村保造、それに伊藤大輔まで!そして溝口映画を彩ってきた女優たち。彼女たちの老いた姿は最初ショックかも知れませんが、当時を活き活きと回想する姿はじんわりしてしまいます。特に「祇園囃子」についてのシーンが印象的。「祇園囃子」は溝口健二に言わせると間に合せの作品だったそうです(えー!?間に合せであんな面白い映画を撮ったの)。「力を抜いて」なんて聞く兼人さんはちょっとデリカシーに欠けている気がします。モチロン悪気は無いと思います・・・ただ、命懸けで役を演じてきた人に対して「力を抜いて」は無いでしょう。聞かれる方は目が笑っていないんですもの。「おめえさんに何が解りますんや?」とでも言われているような冷たい目が怒りに似た心情を感じさせます。ただ良くも悪くも「祇園囃子」を始めとする溝口映画がまた見たくなるほど刺激のある内容です。
[DVD(邦画)] 8点(2014-01-18 15:52:53)
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