1101. ルビー&カンタン
《ネタバレ》 ゆるい。さすがにゆるすぎる。ゆるすぎる展開に、何も盛り上がるところがありません。 ゆるすぎる警察。ゆるすぎるマフィア。コメディだからってこんなんじゃあ面白くないです。 カンタンを頭のねじのゆるいキャラクターにするんだったら、周りはしっかりしなくちゃ。そーしないとカンタンがやることの意外性がなくなっちゃいます。こーゆーのは周囲とのギャップが面白いんですから。 それに、結局はカンタンもルビーも犯罪者なわけで、まあそこはつっこんだらいけないのでしょーが、やはり共感しづらいです。 ただカンタンのキャラ設定は良かったですね。気は優しくて力持ち。好きなキャラクターです。脱臼も直しちゃったりして。要所要所で意外と役に立つのが良いですね。まあカンタンのキャラクター以外は、この作品に関して特筆すべき点は何も無いですね。 ストーリーがあってないようなレベルなので、せっかくの登場人物の個性も死んじゃってますし。 いまいちです。テンポが軽快なので、見飽きることはありませんが。 [DVD(吹替)] 5点(2016-11-21 05:09:14) |
1102. the EYE 【アイ】
《ネタバレ》 ベースは『シックス・センス』でラストは『ファイナル・ディスティネーション』。 確かに、いろいろな映画作品のファクターが見受けられます。ですがそれぞれの作品の良いとこどりで終わらず、きちんと一本の映画として昇華され、『the EYE』としてのオリジナリティが確立している点が素晴らしいですね。 前半、視界が定まらない主人公マン。頻繁に映るぼやけた視界。完全主観の世界。この作業を繰り返すことによって、見ている私達はマンと同じ体験を繰り返します。そして抱くようになる強烈なマンとの一体感。怖がりの私はホラー映画を一歩引いた目線で見るようにしているのに、そんな私を強制的に映画の登場人物と同化させることに成功しています。まいった。参加させられてしまいました。舌を巻くほどに完璧に計算された演出と脚本です。おかげさまで超怖くて、夜寝られないと思っていたら、この切ないドラマの完成度。これは凄い作品ですよ。 ホラー要素だけではなく、『美しさ』や『優しさ』といった人の良心を自然に表現したことで、作品に深みがでているじゃあないですか。 インインのエピソードは、涙なくしては語れません。 ラストの名台詞はこの上ない清涼感。そしてちょっと切なく、だけど幸せな人生を予感させるハッピーエンド。 書道教室、エレベーターの霊は否応なしに怖く、電車での手紙のエピソードで驚愕する。 これだけ盛り沢山な内容にも関わらず、ストーリーにはムダがなくムラもない。とてもすっきりまとめられています。 この完成度の高さ。抜群のバランス。『ホラー』『ミステリー』『人間ドラマ』、複数の要素が綺麗に融合すると、こんなに良い作品ができるのですね。 主人公以外になぜか霊が見える店員や、重要な役目を果たしているのかよーわからん霊媒師など、放置されたままの人材がいることは確か。ですがここまで本筋が面白ければ、細かい部分はもーどーでも良いですね。 ホラー映画の傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2016-11-20 14:55:38)(良:1票) |
1103. ソードフィッシュ
《ネタバレ》 非常にインパクトのある作品ですね。人の注意・関心を引きつけるのが上手いと思います。 世界中で映像が氾濫し、その結果『人の集中力の継続時間』が極端に短くなったらしい昨今、エンターテイメント作品においては冒頭10分以内で見せ場が1つは必要でしょうから、製作サイドも大変です。 今作は10分~15分以内に、『ハラハラドキドキ』『お色気セクシー』を定期的にはさむことで、『なんか面白い』と観客に錯覚を起こさせることに成功しています。ですので、ストーリー自体はそんなに面白いものではございません。見せ場の使い方が上手いということでしょう。 冒頭では『人間地雷』。序盤の『60秒ハッキングテスト』。『もう一人のハッカーの暗殺』。『ハルベリーのプチサプライズ』。 『いったい何の意味が?』というシーン、エピソードが、私達観客の意識をひきつけておくための『餌』だとしたら、その説明もつきそうです。 終盤からクライマックスにかけてはストーリーも面白く、作品全体のプロットが見えてきます。 スタンリーはガブリエルとジンジャーが大金もってまんまと逃げおおせたのを、それ以上は追求しません。『たいしたやつだ。』の一言には、ガブリエルを人として絶対に許すことはないが、人として認めることはできるという意思が見てとれます。 実際に、ガブリエルは潤沢な資金を手にし、次々とテロリストを始末していきます。 悪の華、アンチヒーローの誕生です。 もちろん、ガブリエルによって、罪の無い人が無残な殺され方をした事実は消せません。ですがそれを言い出せば戦争だって同じですからね。 理屈ではガブリエルの合理性を認めながらも、人としての良心、道徳を重んじるスタンリーは、ガブリエルに賛同することはないわけです。二人はさながら『曹操』と『劉備』のような関係ですね。 この作品に難があるとすれば中盤。 今何が起きていて、誰が何をしようとしているのか、テンポを重視したため説明不足すぎる箇所が、中盤に集中しています。 特に背信議員によって派遣されたヒットマングループの車襲撃シーン。スタンリーがジンジャーを問い詰めるシーンなどは、一瞬なぜそうなったのかわかりません。しばらく様子を見て、あるいは結果を見て、『あー、そうゆうことか。』と結局は答えが提示されるから良いんですけどね。スピード感を重視し過ぎると、説明不足を招き、臨場感を損ない、中だるみさえ引き起こしかねない、と感じます。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-11-19 11:54:04)(良:1票) |
1104. ワイルド・スピード/SKY MISSION
《ネタバレ》 前作の『EUROMISSION』より良かったが、『MEGAMAX』には敵わないという印象。それでも『MEGAMAX』に匹敵する面白さということで8点。 今作では、より少年漫画のようなノリが強くなりました。 主人公メンバーにそれぞれ因縁の相手みたいなのができます。 『ドムVデッカード』。『ブライアン』VS『キエット』。レティやテジにも少しではありますが、見せ場があって嬉しい。 お気に入りのローマン・ピアースだけが、完全にお笑い担当に成り下がっちゃってますね。それはそれで良いのですが、彼にもお笑い以外での見せ場が欲しいところです。 今作は車だけでなく、格闘シーンも今までで一番スピード感を感じます。 カーレースも相変わらずの迫力。初期の頃が懐かしくなるくらい何でもありの世界へ。そろそろネタも尽きるのではないかと思っていたのですが、無人戦闘機と公道でバトルさせるとは恐れ入ります。 ストーリーはゴリ押しも良いところで、ここまでくると笑っちゃいますね。 デッカード・ショウを探すために危険を冒して『神の目』と『ラムジー』を奪還するドミニクチーム。 そしてその奪還ミッションの最中に襲い掛かるデッカード。 ん?何かおかしくないですか?デッカードいるやん。・・・とか考えたらダメなんでしょうね。これは考えたら負けですね。 まあ結果、奪還ミッションのせいでいたずらに敵を増やしただけっていうのが笑ってしまいますが。 このシリーズでストーリーにつっこみを入れるのはもはやご法度であり野暮ってもんでしょう。 細かいところも細かくないところも、海のように広い心でさらっと受け流し、数々のアクションを何も考えずに楽しんでいれば、こんなに面白いシリーズはないんですから。 それにしてもデッカード、まるでターミネーターみたいです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-17 15:04:49)(良:1票) |
1105. ヘヴンズ・ドア 殺人症候群
《ネタバレ》 アイデアが面白い。 『死にたがり』が集まるサイト。『死にたがり』が他の『死にたがり』の希望を叶えていくというのが大まかなプロット。 『死にたがりA』が『死にたがりB』『C』『D』と殺していき、その『A』は『E』に殺される。警察が『E』に追いつくと、『E』は『F』によって殺されているという終わりの見えない鬼ごっこ。抜群に面白くなりそうなストーリーです。 ですが、映画そのものはアイデア先行で素材を活かしきれていない感じがします。 かなりの死人が出るにも関わらず、緊迫感のかけらもありません。中盤からは『またか』くらいの感覚で、中だるみを覚えるほどです。 致命的なのは、田中美奈子や前田耕陽の『火曜サスペンス劇場』みたいなノリの演技が、作品の雰囲気にまるで合っていないことです。 また、『死にたがり』の望みを叶えるというのが、この作品のコンセプトであり大事な要であるはずです。にもかかわらず、関係の無い神父を殺す。刑事を人質にとる。途端に俗っぽさが前面に押し出され、本当に火曜サスペンス劇場に成り下がります。これはもったいない。 ただ、『オカルト』と『サイコパス』の融合にみせかけて、実はちゃんとした真犯人がいるというサプライズ的展開は、悪くはないと思います。 そしてラスト。オチに再び意味不明なホラー要素のつけたし。潔さがないですね。脚本のセンスのなさを感じます。 [DVD(邦画)] 4点(2016-11-16 15:13:54) |
1106. クライム&ダイヤモンド
《ネタバレ》 軽妙洒脱なクライムコメディですね。 クリスチャン・スレーターが好きで見たのですが、彼よりも『毒舌ジム』を演じるティム・アレンが凄く良い味出しています。 この作品の笑いはティム・アレン一人で全部持っていっているかも。 映画好きの殺し屋。 その殺し屋に今までのストーリーを聞かせるという、よくあるパターンの物語。 そのよくあるパターンを、『毒舌ジム』という強力な個性が、斬新なストーリーに変えています。 警察も良い味出しています。 リチャード・ドレイファス演じる奇術師マイコーも、ビリー・コノリー演じるサビアンも、良い脇役です。 主役級はもちろんですが、良い映画というのは、『脇』が良い気がするのですよね。 どこかで見たことあるようなシチュエーションの映画も、完成度が高ければ十分に面白いという作品の典型でしょう。 むしろ定番のハッピーエンドへ進むのだろうということがある程度予測されちゃうので、安心して見ることが出来ます。 もちろん予想外の展開になれば、それはそれで面白いのです。 ただそんなよくあるパターンの中で、伝書鳩にダイヤを2個ずつつけて飛ばすというアイデアは凄く良いですね。 地道な作戦なのに、爽快でおしゃれでわくわくする不思議な感覚。 一つ不満をもらすなら、ラブコメパートでしょうか。 ポーシャ・デ・ロッシはかわいらしい女優さんではありますが、彼女とのシーンになるたびに、トーンダウン、ペースダウン、中だるみを感じちゃうのです。そこだけがちょっと残念ですね。 ラストは良かったですけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-13 23:10:32)(良:1票) |
1107. シンドバッド/7つの海の伝説
《ネタバレ》 ビジュアルが美しい。アニメーションがなめらかできれい。スピード感があって面白い。声優さんも完璧。 特にお気に入りのシーンは、『ドラゴンの牙』のセイレーン。恐ろしさと美しさを併せ持つ名場面。さすがはディズニーですね。 ですがストーリーは一本調子。基本的には逃げの一手。途中で飽きます。 また、他のキャラクターのビジュアルは申し分ないのですが、カオスの女王エリス、シンドバッド、マリーナ、メインの3人のビジュアルが好みでありません。これは致命的。誰か一人でも好みに合っていたら、ストーリーの拙さをカバーできたのに。 子分たちも登場シーンはイカしていたのに、それ以降は完全にモブに成り下がります。 副官みたいな人、武器をいっぱい持っている人、やたら身軽な人。 魅力的なキャラクターも結構登場させておきながら、全然活躍しません。 日本の人気漫画『ワンピース』なんかに慣れ親しんでしまうと、物足りないのです。 バトル系やアドベンチャー系では、やはり日本の漫画はトップクラス。すべてのキャラクターに見せ場があり、イキイキと活躍するのです。 この作品も悪くはありませんが、日本の漫画には遠く及ばないですね。 [DVD(吹替)] 6点(2016-11-13 15:06:06) |
1108. インファナル・アフェア 無間序曲
《ネタバレ》 残念ながら、1作目の緊迫感と衝撃には敵わず。 一番の原因は、潜入をしている二人がメインではないからでしょう。 ウォン警部とルク警部。マフィアのほうではサムとハウ。そしてサムの妻マリー。 そういった人物たちを中心に物語は展開していきます。 よって、前作のような衝撃のラストが待っているわけではないので、サスペンス色は弱めに感じます。 ですがクライムムービー、マフィアものとしては素晴らしい完成度で、見所が多いのは確かでしょう。 ただ、クライマックスが中盤くらいでいっきに押し寄せるため、終盤からラストにかけては消化試合のような雰囲気に。 この後半でラウとヤンがそれぞれの潜入を活かしたあっと驚く展開ストーリーが待っているかと思いきや、何もなし。前作の説明書的役割に落ち着いちゃってますね。 まあそれでも、ハウの2年分の証拠をきっちり集めたヤンは評価しましょう。 その一方で警察内部に潜入しているラウは果たして何の役に立っているのか? そもそもラウを警察官に仕立て上げなくても、サムはウォン警部から情報を仕入れられるのだから、ラウ潜入の必要性がほとんど感じられないのは残念ですね。 怒涛のごとく死者の山を築いていく中盤から後半は、その勢いに圧倒されること間違いありません。 バイオレンスギャングムービーとしては良作、なんでしょうが、そうなってくるとあまり好きなジャンルではないんですよねー、これが。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-13 04:29:55)(良:1票) |
1109. ブラックホーク・ダウン
《ネタバレ》 実話をもとにしているだけに、ドキュメンタリーのように事実だけが淡々と映し出されていきます。 ですが退屈とは無縁の内容ですね。 ソマリアのアイディード将軍の側近?の身柄を拘束するだけの強襲作戦。速やかに30分程度で終わるはずだった作戦は、泥沼の市街戦へと突入。陸上部隊も、輸送トラックの部隊も、予想を超える攻撃に次々と死者を出します。 そして撃ち落とされるブラックホーク。救援に向かうブラックホークまで撃ち落とされ、被害は拡大の一途をたどります。 1名、2名を救うため、更なる死傷者を出していく。 単純な足し算引き算ができないのはわかっていますが、やりきれない思いでいっぱいになります。 『あいつらは石を投げてくるから気をつけろ』に代表されるソマリア民兵を下に見る、数々の格下発言。 民兵の子供達が無線機でヘリの音をとり、米軍の出動を知らせるシーンで、子供達に向かってヘリから手を振るアメリカの兵士。 確かにこの作品は純粋な反戦映画ではないのかもしれません。 むしろ、戦争の相手を『無能』『格下』と決め付けてしまったがために、急襲が急襲でなくなり、待ち伏せに会い、被害を拡大させてしまったことをアメリカに反省させるような内容に見えます。 見逃してしまった待ち伏せのサイン。あそこで待ち伏せされていることに気付いていれば、アメリカもソマリアも被害が拡大することはなかったのでしょう。 戦争をする気はなかったのに戦争になってしまった、というのが本当のところではないでしょうか。『これはもう強襲作戦ではない。最悪の市街戦へと突入したんだ。』という本部の上官の悲痛な叫びが、すべてを物語っている気がします。 登場人物が多すぎて、誰が誰だかわからなくなります。誰がデルタフォースなのかも、途中からよくわからなくなります。ソマリアの人たちも、民兵と一般市民の区別がつきません。 つまりは、偉そうに語ってしまいましたが、私がこの映画を理解できているのかどうかが、そもそも怪しい。 ですが、戦争のシビアな現実は、少なからず感じ取ることができたのではないかと思っています。 戦争映画でこのコメントを使うと顰蹙を買いそうですが、『大変面白かった』です。 当事者ではないから言える意見ですね。日本に生きる私にとっては、やはり他人事なのかもしれません。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-12 14:17:52)(良:2票) |
1110. スコア
《ネタバレ》 地味で爽快感には欠けるが、中盤からクライマックスにかけての緊張感がたまらない作品。 映画のほとんどがロバート・デ・ニーロとエドワード・ノートンのやりとりで進められます。 エドワード・ノートン演じるジャックがニック(ロバート・デ・ニーロ)を裏切るのは予想がつきますが、それを含めても面白いです。 ストーリーは真新しいものではありません。 金庫破りのプロが、マックスからの依頼で、得体の知れないやつと組まされ、三千万ドル相当の品を盗み出します。 ジャックは警備システム全般を担当、ニックが潜入+強奪を担当。シンプルかつ簡潔。フィールドも限定的です。 だからこそわかりやすく、緊張感がひしひしと伝わってきます。 ジャックは知的障害の清掃員を装っているため、職員からはまるで警戒されず動き放題。そのジャックの面倒を見ているダニーおじいさん。このダニーに、作戦の準備をしているジャックの姿を見られそうになるたびに、緊張がはしります。 この辺りの演出、そしてエドワード・ノートンの演技が抜群にうまいのです。 新感覚、新しいジャンルの映画が次々と創作されていく中で、こういう手堅くて硬派、でもエンターテイメントとして見応えのある作品に出会えるのは得した気分になります。 『隠れた名作』って言ってもいいんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 8点(2016-11-11 01:35:00)(良:1票) |
1111. ダンス・レボリューション
《ネタバレ》 画に描いたようなサクセスストーリーで見ていて気持ちが良いですね。 主人公ハニー(ジェシカ・アルバ)のダンサーとしてのサクセス。 子供達のためのスタジオを手に入れるというサクセス。 二つのサクセスがものの見事に成功していく様子は見ていて爽快。 母親とのすれ違い。親友とのすれ違い。気にかけている子供達とのすれ違い。このちょっとした心のすれ違いが、良い意味で物語を味わいあるものにしていますね。 更には成功と挫折、金銭問題、子供達をとりまく家庭環境や社会問題。たくさんの要素がつめこまれています。その割りに、ストーリーに一貫性があり、非常にすっきりとまとめられていて、まったく違和感はありません。 主人公が努力家なのも良いですね。 与えられたチャンスに甘えるだけではなく、自らの力で成果を出そうともがいている。その姿が魅力的で共感できるじゃないですか。 バスケやなわとびをヒントに振り付けを考えるシーンなど、小さい見所が盛り沢山。 きっとこういう小さい見所の積み重ねが、ラストの感動へとつながっていくのだと思います。 ラストダンスはハニー自身は裏方に徹し、踊りません。それが多少寂しくはありますが、物語のテイストとしては悪くありません。 それに、自分達のダンスで、自分達を取り巻く環境、世界を変えようとしている、『ダンスレボリューション』というタイトルに相応しいしめくくりじゃないでしょうか。 正直ちょっと感動します。 バックダンサーや振り付け師の仕事をしているときに、知り合ったアーティストで、ハニー自身の才能を認めてくれる人がいてくれたことも嬉しい。 良い意味で予想を裏切る、爽やかな味わいの青春ダンスムービーでした。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-07 05:33:12) |
1112. 同い年の家庭教師
《ネタバレ》 コンセプトとシチュエーションは楽しいですね。序盤はかなり面白いと思います。 漫画チックでお約束の連続ではありますが、そのべたな演出が昭和世代の自分と相性が良いようです。 それが中盤以降はなぜか全然楽しめません。 前半までの丁寧なつくりが嘘のように、後半はシーンとシーンのつながりが途端に雑になります。 突然現れる恋敵。突然はじまる恋敵の告白。突然接近する主人公とヒロイン。 シーンも、児童福祉施設⇒ラウンジ?⇒教会⇒空⇒遊園地、とめまぐるしく変わります。 全然気持ちが置いてけぼりにされたままラストへ。 ラストのドタバタは更に加速。 ジフンが、どこかのヤクザの武闘派3人と、熱いラストバトルを繰り広げます。 ・・・あれ?これって同い年の生徒と家庭教師のラブストーリーじゃなかったですっけ? という感じなんです。 中盤以降のカオスな群像劇にまるでついていけず残念です。 ジフン、スワン、ジフンの両親、ジフンを好きな女の子の、心の交流を中心に描いてくれたほうが良かったのではないかと思います。 そして、それぞれの心境の変化などを最後に見てみたかったものです。 [DVD(字幕)] 5点(2016-11-07 00:45:15) |
1113. 2LDK
《ネタバレ》 ささいな言い争いから始まり、それがエスカレートして最後には殺し合いにまで発展するストーリー。 個人的には好きなテイスト、すきなジャンルの作品。 ただ殺し合いにまでエスカレートしていく動機が不十分。 ラナが自分の名誉を希美(小池栄子)に破壊されて、ぶちぎれるのはわかる。 だけど、まだ新人の希美が先輩のラナに対してそこまで憎悪をむき出しにする理由が弱いんですよね。 ここでの説得力が弱いと、『実際こんなことがあるかも』と思うより、『そんな馬鹿な。ありえねーだろ』という気持ちのほうが勝ってしまいます。 一歩引いた目線で見てしまうと、途端に三文芝居に成り下がり、面白さが半減してしまいますね。何とも勿体無いストーリー。 それなりに二人のバトルが面白かったので、最後まで見ることができましたが、『世にも奇妙な物語』の域は出ていません。 二人の強烈なキャラの割りに、はっちゃけ具合も足りないですかね。 カビキラーをかけられたり、電気ショックを浴びたり、熱湯をかけられたりしても、外見に何の変化もありません。 悪趣味なのは勘弁ですが、ビジュアルに対して何の工夫もないのもどうかと思います。 青たんだけ作って、『さあどうだい?刺激的だろ?』みたいに主張されてもね・・・ コンセプトに対して、作り手に気合が足りないように感じられる作品でした。 まあまあ面白いですが、肩透かし。拍子抜け。まあ、そんなものか。 主演の二人は頑張っていたと思います。 [DVD(邦画)] 6点(2016-11-06 03:11:06) |
1114. ターンレフト ターンライト
《ネタバレ》 すれ違ってすれ違ってすれ違って・・・最後にようやく出会うお話。 その出会い方も、さんざんすれ違っておきながら最後は大地震で部屋の壁が崩れて出会うというミラクル。もはやコント。感動というより吹き出してしまいました。 この作品は様々なすれ違いを演出しているのが面白いですね。 『二人は隣に住んでいるのにお互い気付いていない』とか。 『肺炎で二人並んで担架で運ばれているのに気づいていない』とか。 〝赤ちゃん〟と〝犬〟の使いかたは斬新で良い。映画を面白くするために、細部まで演出やストーリーに気を配っているのがよくわかります。 それに主人公二人の周囲の人間は簡単に出会って、次々と恋が成就するんですよね。なのに二人は全然出会うことさえできない。この対比構造がわかりやすくて面白いです。 主人公二人はあまりにも優等生。すれ違いオンリーのストーリーは多少の飽きもくる。 よって発想は面白いのですが、思いのほかストーリーの起伏は少ないかもしれません。 定食屋の娘と、あほ丸出しの医者が良い味出しています。 ただこの二人の存在がコメディ色を強くし、主人公二人のピエロ感を強め、切なさを奪ってしまったのも事実でしょう。 よって、総評。『まあまあ面白い作品』。以上です。 [DVD(吹替)] 6点(2016-11-05 15:32:28) |
1115. スクール・オブ・ロック
《ネタバレ》 これはちょっとだめですね。映画の出来の良し悪しとは別に、ストーリーが受け入れられません。 『終わり良ければすべて良し』って考え方には基本的に賛成なんですけど、これは賛同できない。 スタートがまずい。友人を騙し、学校を騙し、子供達を騙し、その親も騙す。 しかもその動機は、利己的で自分勝手なもの。サクセスストーリーの体を保ってはいるものの、そのプロセスは子供たちの善意とラッキーに頼ったもの。正直デューイ(ジャック・ブラック)が嫌いです。そして自分の職業柄、子供達の貴重な時間を、自分の利益のためだけに奪う行為は許せません。 子供達の得意分野が偶然ばらばら。個性もばらばら。にも関わらず、こんな型破りな新参者の教師の言うことを、誰一人として疑うことなく盲目的に従っています。しかも誰一人として親に『こんな教師が来たよ』ってことを話していません。こんなことはありえない。 子供達はみんな良い子すぎて素敵なんですが、だからこそ怒りがわいてきます。 学校を信じ、高い授業料を払って子供を預けている親達の気持ちはどうなる。 そもそも親だって信念が無さ過ぎます。 確かに最後のバンド演奏は良かったけれど、たったあの1曲で事をうやむやにすべきではないし、デューイを許すべきではありません。 期待して見ただけに、こんないかれたストーリーだとは本当に残念です。 そしてジャック・ブラックの過剰すぎる演技も、肌に合いません。 [ブルーレイ(字幕)] 1点(2016-11-03 12:35:12) |
1116. ジュラシック・ワールド
《ネタバレ》 映画館で見られなかったことをこんなに後悔するのは初めてかもしれません。 ああ、映画館で見たかった・・・。でもブルーレイでも、まじで恐竜がいっぱいだったので大満足です。 オープニングで、テーマパークへの入場を疑似体験。このわくわく感がたまらない。 『こんなテーマパークがあるのなら、自分も行ってみたい。』そう思わせるほどの感動です。 この感覚は、ハリー・ポッターの1作目にも通じるものがあります。 『これからなにが始まるんだろう』という期待感。それがこの作品にはあります。 草食恐竜と大自然に癒され、感動し、肉食恐竜に恐怖する。これこそが恐竜エンターテイメントでしょう。 パニックものとしても定石を踏んでおり、安定した完成度を見せています。 序盤はまだのんきに構えているんですよね。 『警戒レベルを1に』とかほざいちゃって。麻酔銃で何とかしようとしちゃって。スタッフはみーんな『まさか』と思っていて、そんなに危機感を感じていない、それが後半へのパニックへとつながっていく。この辺の演出は結構巧みだと思いますよ。 『麻酔部隊』全滅、ヘリ墜落、プテラノドン脱走。スタッフの顔色がどんどん変わっていくわけです。この辺りが好きですね~。お約束好きの私にはたまらんのです。 今作では、登場人物たちの感情の動きが、セリフや表情によく表れているようです。感情が見えると、こちらもより物語に入り込みやすく臨場感が出て面白さが増します。 確かにこーゆーパニックものでは、登場人物たちの馬鹿な行動は非難されがちです。ですが個人的には人間らしくて好きなんですよね。ここで完璧な対応ばかりされたら、ATMみたいで引いてしまうかもしれません。油断、慢心から生じるジャッジミス。人間らしくて嫌いじゃないです。 『檻から出てったと思い込む』『ラプトルをインドミナレックスと戦わせる』すべて人間の慢心から生じるもので、無いとは言い切れません。 個人的には、そんなことより突然昼から夜に変わったことのほうに違和感を覚えます。せめて夕焼けのシーンくらい欲しいですかね。 それに、恐竜に知性を与えすぎたり、殺すことそのものを楽しんだり、あまり擬人化させすぎちゃうのが好きではありません。 あくまで〝太古の生き物が現代に蘇る〟という夢のようなシチュエーションにロマンがあるのだと思います。 いろいろ文句も書いちゃいましたが、随所にユーモアをちりばめていて、恐竜エンターテイメントしての『怖さ』と『面白さ』の両方をしっかりと見せてくれました。 『あ、ボーイフレンドがいるんで』 唯一既成のパターンを崩す名場面です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-01 12:27:12) |
1117. キス・オブ・ザ・ドラゴン
《ネタバレ》 怒りをアクションで体現できるジェット・リーの本領発揮。 かなり理不尽なストーリー展開が続くため、ラストの警察署殴りこみは否が応にもテンションが上がります。 黒人のボクサーくずれ。二人組みの足技使い。百人組み手。敵もバラエティに富んでいて申し分ない。大変見応えがあるアクションばかり。 ジェット・リー演じるリュウはカンフーの達人というだけでなく、『針』を使って相手の動きを封じる技も使えます。 タイトルにもなっている『キス・オブ・ザ・ドラゴン』がまさか北斗の拳の『秘孔』みたいなやつだとは、だれが想像できましょう。 カンフーアクションを散々見てきたのに、凄く面白かったので、目が肥えた人たちの鑑賞にも応えられる名作かもしれません。 ブリジット・フォンダ演じるジェシカが、かなり自分勝手で被害者意識が強すぎたのが、やや作品のバランスを崩している気がしますが、まあささいな事でしょう。 ひさしぶりの上質な娯楽カンフームービー。 ジェット・リーは最高っす。 [DVD(字幕)] 8点(2016-10-30 12:19:51) |
1118. フラッシュバック(2001)
《ネタバレ》 レイチェル・リー・クックが好きで見たのに、あまりのつまらなさに彼女を嫌いになりそうです。 どう扱っても魅力的になりそうな女優を、ここまで魅力のない人物に仕上げたことにまず拍手をおくりたいですね。 それに、字幕がところどころ変な訳なのも気になります。 『面白い映画は細かい粗が気にならない。細かい粗が気になる映画はそもそもがつまらないからだ。』っていう一般論は本当みたいです。 そもそもが、薄く浅いストーリーに、魅力の無い人物設定なのに、変に真面目に作るもんだからB級作品にさえなれません。 切なくしたいのか、怖がらせたいのか、いったいどうしたいのかわかりません。 これははっきり言って監督の力量不足でしょうか。 この作品だって、アランとデビットの友情を、もう少し丁寧に深く掘り下げるだけで、ラストの衝撃がはかりしれないものになったかもしれません。使い古されたプロットだって、料理の仕方次第で何度でもおいしく食べられるものです。 ラスト20分くらいの真相解明は面白いです。予想はつくけど面白い。期待を裏切らないオチは程よい感じ。 でもこの程度のオチを見るために、つまらないエピソードを小一時間も見ないといけないとなると、とても人には勧められませんな。 [DVD(字幕)] 5点(2016-10-24 05:36:37) |
1119. フォーン・ブース
《ネタバレ》 ジャンルとしてはサスペンスなのですが、個人的には結構コメディ。 もちろんハラハラもするのですが、なんか笑えちゃう部分があって。 どこで笑えるのか? 一番のポイントは、主人公スチュの告白シーン。 犯人に命令され、奥さんとパム(浮気相手?)の前で、自分がしてきたことを泣きながら告白する。この情けなさがちょっと面白いです。 でも一番おかしかったのは、奥さんの対応。 『あなたが何をしても平気よ。』 まじか奥さん。かっこよすぎ。 同じく騙されていた浮気相手のパムはというと、泣きながら真実を話すスチュに感動して、ちょっと泣きそうになっています。 この茶番、もう最高に面白いです。 犯人がなんだかんだ言いながらも、無関係な人を殺さなければ、脚本の完成度の高さを絶賛できたのですが。 客引きの兄ちゃんとピザ屋殺しちゃうんだもんなー。 いくらでも、どうとでもできそうなシチュエーションなのに、どうにもできないように思わせる演出は上手かもしれません。 それに、いざと言うときに人間の本性が出ると言いますが、その本性を逆に『善良』に描くという発想は、何となく好感がもてます。 こーゆー限られた空間、限られた状況下でのシチュエーションサスペンスって面白いですよねー。 まあ蓋を開けてみれば、引退したプロの殺し屋の暇つぶしにつきあわされただけのような気もしますが。 でも面白かったので、ま、いいか。という感じです。 残念ながら、全体的に良作ではありますが、傑作とまではいかず。 多くを望まなければ、娯楽作品としては十分及第点でしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2016-10-23 15:06:37)(良:2票) |
1120. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 ジャンルが『サスペンス』『SF』。なるほど。確かにそうかもしれません。ですがこの作品の核は何といっても『ラブストーリー』ですね。昔ドラマで『プロポーズ大作戦』というのがありましたが、それにテイストが似ています。 ただこちらは映画。 1回のタイムスリップエピソードに使える尺は、『過去』+『改変後の現在』あわせて10分~15分程度。 よってひとつひとつのエピソードがもうばたばた。 目まぐるしい展開は、テンポの良さ、スピード感、勢いを生み出す一方で、意外にも『飽き』を感じさせることもあるみたいです。 主人公のエヴァンは、『改変前の人生』+『リニューアル』の記憶が次から次に追加されるので、そのたびに脳が肥大して鼻血ぶー。それはなかなか面白い演出ではありますが、新しい記憶が追加されているのに、自分の手がなくなったことや母親が肺がんになった事実を知らないってのはおかしいのでは?といったつっこみ所は結構ありますね。 こーゆー作品こそ整合性が大切だと思うのですが。どーも肝心なルールが曖昧に処理されている感じがします。 とは言うものの、速い展開が見ている人に考える暇を与えません。よって結局見ている間は普通に面白い。 まあそれでも5点~6点くらいの感触で見ていたのですが、ラストで評価がちょっと上がりましたね。 『みんなの幸福のために、自分の恋心を犠牲にする』皮肉にもそれが、全員が幸せになれる唯一の選択肢であったとは。 エヴァンにとって最も辛いエピソードであるはずの、『爆発に巻き込まれちゃったバージョン』では、エヴァンが過去に戻ろうとしないんですよね。それどころか、自殺しようとします。そしてトミーに言ったセリフが、『君達が幸せならそれでいい。』 ラストの選択といい、他者のために自己犠牲を厭わない、ドラクエでいうメガンテを使う僧侶のようなエヴァン。 その善良さにプラス1点です。 それにしても、タイムスリップ時の、世界ががたがたと揺れるシーンは、何回見てもワクワクします。 タイムスリップの演出は今まで見たタイムスリップ系では一番良いかも。 [DVD(字幕)] 7点(2016-10-21 05:47:24) |