1101. ウェディング・クラッシャーズ
《ネタバレ》 最後だけ良かったです。 あとは全部ダメ。 映画としてどーこー、というより、人物、ストーリー、これがどちらも好きになれない。魅力を感じられないのです。 ジョンとジェレミーがやってきたことってのは最悪です。これは秩序や道徳を重んじる日本人、つまり私の感性とは、かけ離れすぎていて全然笑えません。二人が酷い目にあうと、多少嫌な気分にはなりますが、とても同情する気にはなれません。自業自得です。 しかもこの2人の友情の薄っぺらさが酷い。自分の事しか考えてなくて、相手のことなんてぜんっぜん考えていません。 ジョンにいたっては、自業自得のくせに、他の結婚式に乱入しては、幸せな場を八つ当たりでぶち壊して、ドン引きです。 この二人だけでなく、グロリアは頭おかしいし、ホモの末っ子は気持ち悪いし、クレアの婚約者はいじめっ子気質で最悪です。見ていて気分が悪いことこの上ない。 良かったのはレイチェル・マクアダムス演じるクレア。この人が本当にかわいくて、彼女を見るためだけに2時間つきあったようなものです。 ジェレミーがグロリアと本気の恋になって、二人が結婚するという展開も嫌いではありません。 ラストに暴君の婚約者がぶっとばされるシーンも胸がスカっとします。 ですがそれ以外に良いところはありません。 コメディなのに笑えない。ラブストーリーなのに応援できない。 第一クレアの婚約者もだめだけどさ、ジョン、こいつもダメ人間ですよ。クレアを好きになる資格はないし、ハッピーエンドになる資格もない。ってゆーか、こーなってくると、クレア、あんたが男を見る目がないんじゃないの? ただどんな作品であれ、ラストがハッピーエンドっていうのは後味が良いものですから、その辺は無難にまとめてくれたと思います。 [ビデオ(字幕)] 3点(2017-04-24 02:50:17) |
1102. 最後の恋のはじめ方
《ネタバレ》 『デート・ドクター』という恋愛コンサルタント業は面白いですね。 ただ単に女性をひっかけるというわけではありません。 『本当に好きな女性とのデートを成功させる。』これが誠意が感じられて良いです。 ウィル・スミス演じるアレックス・ヒッチは、おしゃれでありながら、誠意もあります。過去の苦い経験のエピソードが、彼の人柄に安心感を与えています。 『真剣な想いを応援する。』という土台が既にあるので、アレックスがどんなにテクニックを使っても軽薄に感じることはありません。 むしろ、女性を振り向かせたい男性たちにアレックスがアドバイスすればするほど、その一生懸命さを応援したくなります。 これはキャラ紹介における演出と脚本が非常に上手なんでしょう。 個人的には、導入部分が『恋愛コンサルタント』という仕事の一番面白い部分が見えた気がします。 それ以降は、まあゆっても王道ラブコメの域を出るものではありません。『誤解』⇒『けんか』⇒『ハッピーエンド』という絶対外れないパターンを踏襲しているわけですから、あっと驚くような展開があるわけではありません。 でもそれが良い。 奇をてらわなくても、楽しい映画はいつみても楽しいものです。 アレックス・ヒッチ、サラ・ミラス、アルバート・ブレナマン、それぞれに心境の変化が起こるのも良いですね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-04-23 22:20:30)(良:2票) |
1103. アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ
《ネタバレ》 アクションのレベルが下がったとは思わないのですが、アクションもストーリーも前作ほどのスピード感を感じませんでしたね。 アクションやパルクールに慣れてしまったのか。ストーリーの緊張感が足りないのか・・・。 レイトとダミアンのことを良く知っているので、なんとかなるっていう安心感があります。更には強い仲間が集まる集まる。 それに対する警察組織、軍、そのトップの情け無いこと。 序盤は極悪、強敵の雰囲気がびしばし伝わってきていたので、終盤のへたれっぷりは残念でしたね。 もちろん『圧勝』っていうのは、場合によっては気分爽快になれます。 とはいえ、敵の一番強そうなやつが急所蹴りの一発で瞬殺されちゃうってのは物足りないです。 前半はレイトもダミアンも、大統領ですらもある意味罠にはめられまくって、防戦一方。 後半は力の差がありすぎて緊張感に欠ける。 中盤の、レイトがダミアンを救出しに来るあたりが一番面白いかもしれないですね。 『これから逆襲するぞ!』っていうワクワク感は、いつ見ても楽しいものです。 [DVD(吹替)] 6点(2017-04-22 15:13:58) |
1104. ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記
《ネタバレ》 前作に負けず劣らずのクオリティ。プロットもほぼ一緒で、前作が好きだった人は今作も十分満足できる仕上がりです。 まるで自分でアドベンチャーゲームをやっているような軽いタッチの作品。よって深みはありませんが、気軽に楽しめるお手ごろ感があります。 もちろんトレジャーハントでミステリーですから、次から次に宝につながる謎が出てきます。だけど謎はベン(ニコラス・ケイジ)がてきぱき解いてくれるので、わからなくても気にする必要がありません。筋書きさえ見失わなければ大丈夫です。 ディズニー映画はとにかくわかりやすく作ってくれるので、誰が見ても迷子にならないだろう安心感はあります。 ただ『黄金都市のありかをしめす手がかりが、ロンドンのバッキンガム宮殿と、ホワイトハウスの大統領執務室に』⇒『大統領執務室に隠されていた手がかりは既に誰かが見つけたあとだった』⇒『その手がかりのありかは、歴代大統領に受け継がれている一冊の本に書かれている可能性が高い。』⇒『その本のありかを聞き出すために大統領を誘拐』、とこの辺りの流れは手順が多いので、気をつけて見ていないと、今何をしているのかわからなくなるかもしれませんね。 キャストについては、いつもの仲良し三人組が一緒に宝探しをするのが嬉しいですね。今回はそれに加え、ベンの父だけでなく、母、それにライバル?のウィルキンソンも参加。この辺りの流れは前作同様で、楽しいです。また、前作でセダスキーが脇として良い味を出していたように、今作では大統領が良い味を出してくれています。大変魅力的な大統領です。 そしてなんといってもウィルキンソンのキャラクターでしょうか。批判も多いみたいですが、個人的には、傭兵あがりの乱暴者だけど悪人になりきれない微妙な人物像を、名優エド・ハリスが好演してくれていたと思います。 そんなウィルキンソンの犠牲は少なからずショック。 というより、この映画に『犠牲』っていります? ちょっと苦味の残る結末が個人的に不満です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-04-21 13:57:06) |
1105. ターミネーター3
《ネタバレ》 あっちこっちで酷評されているので期待せずに鑑賞。 シリーズものなので避けては通れませんからね。 ところがところが。見る前のハードルがあまりに低かったせいでしょうか。非常に面白かったです。 前2作に比べると、ややアトラクションムービー化している趣がありますが、その実、ストーリーがしっかり作りこまれているじゃありませんか。 スカイネットの危険性を示唆する演出。この水面下でピリピリしている緊張感。良い。 『今日の18時27分に核ミサイルが発射される。あと2時間48分後だ。』この展開の早さ。制限時間の厳しさからくる焦燥感。良い。 街中でのカーチェイスアクション。世界滅亡というマクロのテーマを抱えながら、ミクロの世界での攻防、このギャップ。良い。 T-800、T-X以外のロボットたちの登場。興奮しすぎて鼻血でちゃう。最高に良い。 そして何より、驚愕の事実に2度ほど驚かされるストーリーが良いです。 一度目は、未来でジョン・コナーが殺されているという事実。しかも殺した張本人はT-850。ジョン・コナーの少年時代の思い出を利用したらしい。容赦がない。あらためてターミネーターがいかなる存在であるのかを再認識しますね。 そして、二度目は言わずもがなラストでしょう。 こんなバッドエンドなら、もはや滅びの美学です。 『旧型のパソコンしか置かれていない』に始まり、『ここはスカイネットの中枢じゃない。政府要人のための最終避難用核シェルターだ。』で終わる、絶望と希望が同居するラスト。 きっちり描かれる核ミサイル発射の映像。 個人的には『2』より好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2017-04-21 02:17:44)(良:1票) |
1106. ターミネーター2
《ネタバレ》 はじめて見たのは中学生の頃か、高校生だったか・・・。当時では考えられないT-1000の流動的な映像に度肝を抜かれたのを覚えています。 その映像技術に頼りきらず、その映像技術から更に工夫されて生み出されたアクションの数々。 初見のときにはこれ以上無いくらいに胸が躍り、そして今見ても十分に面白いと感じられます。 ストーリーはどうでしょう。 テーマは大きい。『世界の滅亡』『人類の存亡』。 それに対して、ストーリーはシンプル。 1.『人類(抵抗軍)のリーダー』を『殺そうとするもの』と『守ろうとするもの』の闘い。 2.事の発端となる人物及びチップの破壊。 壮大なテーマでありながら、ストーリーは限りなく単純化したことで、大変わかりやすいエンタメ作品へと仕上がっています。 自分達が作りたいものを、誰がみても楽しめる作品へと仕上げる。これぞプロの技ですね。 ただ、子供の頃には気にも留めなかったことが、気になっちゃうのが大人であります。余計なことを考える邪念が入り込んでくるんですよね。 『T-1000』をサラ・コナー暗殺に1984年に送り込めばいいじゃん。とかね。 だからね、タイムスリップものを楽しみたいときは、『ドラえもん』を見るような温かい気持ちにならなきゃだめなんですよね。 じゃないと、中古品が新品ロボットからターゲットを守るっていうシンプルながらもアツいストーリー、そしてアクション、そーいったものを純粋に楽しめる自分ではなくなってしまったと感じ、愕然とするわけです。 ですから、今だったらはっきりわかります。 そして自信をもって言えます。 これは『子供向けアクション映画』なのだと。 それを大人でも楽しめるようにプロの技でコーティングされた傑作なのだと。 ただ残念ながら、わたくし個人としては、傑作とまではいきませんでした。 子供の頃の自分であれば、満点ですけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2017-04-18 03:48:43)(良:2票) |
1107. イン・ハー・シューズ
《ネタバレ》 ん~、良い映画っぽくしているし、実際そうなんでしょうが、・・私は微妙でした。 マギーとローズ、タイプは違えど他者への依存心が強いという点では似たもの同士。 依存心が強い人間というのは、とかく自己中になりがちです。二人の自己中心的な振る舞い、言動を見ていると、とても愉快な気分にはなれません。 もっとコメディコメディしていれば良いです。ですがこれはかなり真面目に作られたドラマ。正直『楽しさ』よりも『痛さ』のほうが目についてしまいます。 それに、これは私の価値観の問題ですが、途中で仕事を投げ出す人間が嫌いです。 仕事にプライベートを持ち込む人間も嫌い。 そーゆーわけで、主演の二人、どちらにも感情移入できないんだから、見ていて楽しいわけがないんです。 二人以外にも、父親の後妻、こいつがまじで性格悪くて胸糞が悪くなります。 もちろん、エラやスタインのような良心的な人間も多くいます。 『誌の朗読』や『お買い物ビジネス』のようにハートフルなエピソードも良い味出しています。 姉と妹の心の変化、成長、人とのつながりを通し、泣けるシーンや感動するシーンだってあります。 ただどうしても『ダメ人間が良いことすると、とても良い人に見えちゃう』心理が働いているような気がして、素直な気持ちになれないんです。前半の妹、後半の姉、どうしても好きになれない。 二人に共感できないってのが致命的。映画としても面白いかどうかは人によると思います。 [DVD(字幕)] 5点(2017-04-17 02:12:38) |
1108. アルティメット
《ネタバレ》 スピード感あふれるアクション。陰謀うずまくストーリー。 これぞアクション映画ですね。 『パルクール?』『フリーランニング?』なんかよくわかりませんが、これを使った追いかけっこがとにかく凄い。 空間をタテ・ヨコ・ナナメと自由自在に飛びまわる。こんなに爽快な追いかけっこは見たことありません。まじでかっこいいです。 そしてもう一人の主人公の潜入捜査官ダミアン。こちらも登場シーンからとばすとばす。 この無敵艦隊の二人が手を組んだらいったいどうなるのか・・・? あれれ?意外とおとなしい。いや、むしろピンでやっていたときのほうがアクションのキレがあったような。 『妹の救出』『爆弾の解除』『敵グループの仲間割れ』『政府の陰謀』と、いろいろな要素を詰め込んでしまったためか、後半はアクションがやや失速気味になりましたね。 ただ映画としては十分面白く、ラストのやりこめた感も一応のカタルシスを得ることが出来、満足です。 とは言え、最初に主人公のレイトが捕まえた敵グループの頭タハ、こいつをあろうことが見逃し、更にはレイトを逮捕し、レイトの妹はタハにくれてやるという、外道の極みの悪徳警官が何の制裁も受けていない、こいつは納得できませんね。 そんな仕打ちを受けたレイトの怒りの沸点も低いんじゃあないですか。もっと怒り狂ってほしいです。 他にも気になる点が。 タハの口座から全財産を引き出したのはおそらく政府関係者。ですがその辺の真相はうやむやのまま。 そーゆーとこ放置されると、見終わってからもやもやするのでやめて欲しいです。 せっかく面白い映画なのに、もったいない・・・! [DVD(吹替)] 8点(2017-04-15 14:16:13) |
1109. ナショナル・トレジャー
《ネタバレ》 序盤は『まあこんなもんかぁ・・・』って感じで見ていたのですが、宝探しが本格的になってきた中盤あたりからが次第に面白くなってきました。 『いかにも』って感じの遺跡やらジャングルやらではなく、『街中』ってのが良いですね。シティアドベンチャーって大好きです。 自分が住んでいる街に、謎や財宝が隠されているなんて、ロマンですねぇ。 正直謎解きのシーンは、何言っているのかちんぷんかんぷんなんですけど、成り行きを見ているだけでも面白い。 『わかりやすさ』でいけば、ディズニーはトップクラスの水準です。(その分深さを犠牲にしているのですが) ニコラスケイジ達が何言っているのかさっぱり理解できなくても、十分一緒に冒険している気分になれます。 敵・味方一緒になって最後の謎を解きに行く、というシチュエーションも好きなんです。 『共闘』とか『一時休戦』とか、独特の緊張感とパワーバランスを感じられるから好きです。 それでいて、お互いの目的が一致しているときはもちろん協力し合うわけです。敵同士なのに。いいですね。お約束なんですけど、いいですね。 そしてラストは駆け引きで勝利し、謎を解き、宝を手にいれ、国の役にもたち、無罪放免、彼女もゲットでこれ以上ないハッピーエンド。すばらしい。 そういえば、プロローグで、『少年』⇒『ニコラスケイジ』に変わるシーンがあるのですが、なんか無性にせつなかったです。 いや、深い意味はないんですが・・・ [ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-04-15 03:42:51)(良:1票) |
1110. チアガール VS テキサスコップ
《ネタバレ》 こーゆーサスペンスコメディ大好きです。 適度におかしくて適度にハラハラできる。この『適度に』ってのがポイントです。 度を越してはだめなんです。サスペンスとコメディが適度なバランスで混ざったとき、軽快なテンポのエンターテイメントが約束されるのであります。 ただこの作品は、コメディ色がかなり強く、サスペンスは味付け程度。 ちょっとバランスがコメディよりになりすぎました。 せめて途中で1回くらいピンチがあれば、シャープ(トミー・リー・ジョーンズ)に対してチアガールたちが心を開いていく説得力が生まれたと思います。黒幕が動きだすのが、ラスト15分。しかもそれまで慎重だったのに、ラストではあっさり正体ばらします。サスペンスの手抜き具合はいかがなものか。コメディとしてだけ見ればまあまあ面白いんですけどね。 さすがにチアガールと中年のカルチャーショック的笑いで1時間強をひっぱるってのは間延びしちゃいます。 せっかくの面白い設定が、活かしきれていないのでは。 [DVD(字幕)] 6点(2017-04-14 03:47:40) |
1111. チャイルド・プレイ/チャッキーの種
《ネタバレ》 個人的にはホラー・コメディの成功例と思っているチャイルド・プレイシリーズ。 今作も例にもれず、安定感のあるエンターテイメントとして仕上がっています。 二人の子供という新しい要素、家族ドラマを取り入れながらも、ファンが見たいチャッキーを見せてくれます。 ストーリーが粗くても、私はこの作品の芸の細かさが好きです。 例えば、呪文で目覚めた後は、人形なのに体の中が人間と同じになっていたり。こーゆーの好きです。 『人間に戻る』という目的がずーと変わっていないのも好き。 今作は犠牲者が多いため、一人あたりにかける時間はとても短いです。 そのためテンポは良いが、ホラーの緊張感はパワーダウン。 むしろ、今回の殺人はおまけみたいなものでしょう。 今回はチャッキーファミリーの教育方針をめぐる家族ドラマであり、親子ドラマ。このシュールさ、嫌いじゃないです。 ついにチャッキーが、『うるせー』ってぶちぎれちゃって、『やめだやめだ、人形のほうが気楽で良いぜ。』って言っちゃうシーン、大好きです。あんた、それを言っちゃあおしまいですよ。 それにしてもジェニファー・ティリーはぶさいくだなぁ・・・。 ジェニファーの女マネージャーと運転手、二人とも凄く良い人だったので、殺されちゃったのが少し残念かもです。 [DVD(字幕)] 6点(2017-04-13 14:50:11)(笑:1票) |
1112. ゴジラ FINAL WARS
これはなんだ?ゴジラは出てくるけれど。『ゴジラ映画』と言っていいのか。 まるで、厨二の妄想全開の中に、ゴジラが巻き込まれたような、言葉では言い表せない世界。 『ヴァーサス』の『人間』が『怪獣』に変わっただけじゃねーかよ。 言いたいことがありすぎて、何を言ったらいいのかわからない。 とりあえずゴジラにあやまれ。 モスラにもあやまれ。 エビラにあやまれ。 ヘドラには特にあやまれ。 マトリックスにあやまれ。 スターウォーズにあやまれ。 この映画を『ゴジラ映画』だと思って見てしまった人たちにあやまれ。 ・・・てゆーか、この監督『ゴジラ』を見たことないんじゃ・・・ [DVD(邦画)] 1点(2017-04-13 04:27:47)(良:2票) |
1113. 恋人はゴースト
《ネタバレ》 ベタの王道ラブコメながら、これは感動します。 アイデアそのものは使い古されたものですが、アイデア頼みになっていないのがこの作品の良いところ。 ファンタジーでも、ラブコメでも、細かい設定、エピソードがとても丁寧に作られていて、説得力があります。 『見える人』『見えない人』設定の使い分けは見事。しかも、上手くストーリーの中でその設定を機能させています。 よって見ているこっちは、もやもや、はらはら、どきどき、いろんな感情を織り交ぜながら楽しむことができます。 『同僚』『お姉さん』『友人』『霊能者?店員』『子供達』『嫌なやつ』誰一人として無意味なモブキャラは存在せず、必要な人員としてきれいに配置されているのが大変良いですね。 伏線の張り方も上手。その回収の仕方も鮮やか。『リジー』の呼び名がこんな形で活きるとは。ありきたりでも予測がつかず、どきどきします。 『悲しい話で泣ける話』はたくさんあれど、『ハッピーエンドで泣ける話』はめったにないので貴重かもです。 この作品の魅力はちょっとだけミステリー感があるところですが、その中でも主演二人の絆、これは気になるところです。 ところがその絆ってのがあまりに小さなもの。 これには拍子抜けしちゃいましたが、ラブコメとしては傑作といってよい作品です。 とてもピュアな作品なので、家族で見られるのも◎ですね。 [DVD(字幕)] 9点(2017-04-10 15:17:48)(良:1票) |
1114. ブラッド・ワーク
《ネタバレ》 安心して観られる王道サスペンスの良作。 序盤から中盤にかけては謎が多く、少しずつ明らかになる事実や証拠をもとに、いろいろ考えながら見られるのが楽しいです。火曜サスペンスと同じノリですね。 で、謎が多いわりに難解ではなく、気楽に観ていても内容がつかめるので、娯楽作品として申し分ありません。 それでいて自分が事件を解決していくような爽快感も感じられます。 相棒に小切手の宛名を尋ねるシーン。 ちゃんとした推理ができていなくても、ここの『間』のとりかたやカメラワークで、何となく相棒が怪しいってわかってしまいます。 でもまだまだ楽しい。『本当に相棒が犯人なのか?』って期待しながら見れるので。 ただ本当に犯人が誰だかはっきりしてしまうと、そっから先は純粋なガンファイト。 しかも1対1。多少の心理的駆け引きはあるものの、う~ん、つまらない。盛り上がりません。くわえて、画面が暗い。よく見えないよー。 まあいつものごとく、こーゆーミステリー系では、どうしても真相がはっきりしたラストの展開が盛り下がりがちです。 最後に一つ。クリント・イーストウッドのロマンスはもーいいって。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-04-09 19:58:17)(良:1票) |
1115. ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS
《ネタバレ》 前作のはまだストーリーがしっかりしていて面白かったのですが、これは子供だましすぎます。 いや、当時の子供であっても、だまされないような薄っぺらすぎるストーリーです。 セリフだって常套句のオンパレード。 もちろんゴジラ映画ですから、そんな高尚なお話でなくて良いのです。 かといって、特撮さえしっかりしているのであれば、何でも良いというわけでもないのです。 『機龍を使うとモスラが人類の敵になる。』 『モスラの幼虫が双子』 何かの伏線か?と思ったのですが、この設定が活きるような展開は見事にありませんでしたね。 アイデア出しっぱなし。もう少し練ってください。 ゴジラシリーズのストーリーってたいしたことなくても、いつも楽しく見れていたのに、今回はちょっと退屈で欠伸が出ます。 子供が一人であれだけの椅子と机を校庭に並べる。そんな展開を平気でやっちゃう脚本。真剣に作った作品とは思えないです。 [DVD(邦画)] 3点(2017-04-09 02:48:46)(良:1票) |
1116. エリザベスタウン
《ネタバレ》 いわゆる『人生失敗してもやり直せる。頑張ろう。』という人生応援ソング。 ただ内容を見る限り、仕事で上手くいっていない人は元気をもらえるかもしれませんが、恋愛でうまくいっていない人には、神経逆なでするだけかもしれないですね。 それに、言っていることは正しいのかもしれませんが、なんとなく説教臭い雰囲気がちょっと嫌。 映画としての面白みにも欠ける。 『良い話』をただ『良い話』として見せるのと、『映画』として魅せるのは、違うと思うんですよね。 この作品は、はっきりいって冗長。それでいて工夫もない。もう少し感動を演出しても良いんじゃないかな。 単純にラブコメとして見る分には、面白いと思います。なんたってこの作品のキルスティン・ダンストは魅力抜群。キュンときちゃうシーンだって、結構あります。 ですが冒頭の出だしがあれでは、純粋なラブコメとして見るのは最初から無理なんですよねー。 『ドリューの失敗が世に知れ渡り、そのうえでエリザベスタウンの人たちは、彼とどう接するのか。』そーゆードラマ展開を期待しちゃっていたわけです。私の期待とはちょっと違うストーリーでしたね。 この作品にいまいちノレない理由がもう一つ。この作品は『結果』ばかりを並べすぎです。 『母親は精神安定剤を飲んでいる』⇒なぜ? 『全く靴が売れず、10億ドルの損失』⇒どこが悪かったの?その靴が出来上がるまでのプロセスは一切なし。 『ドリューにやたら興味をもつクレア(キルスティン・ダンスト)』⇒どこに惹かれたの? などなど、数え上げるときりがありません。 当然それらに対する回答は、劇中一切触れられません。でもそれって手抜きなんじゃ。 どうでも良いシーンが多いわりに、肝心なシーンや説明が抜けている、そんな印象の映画です。 雰囲気がいいだけに惜しい。 [DVD(字幕)] 5点(2017-04-08 00:04:37) |
1117. トリプルX
《ネタバレ》 こんなにつまらないアクション映画を見たのは久しぶりかも。 迫力なし。緊迫感なし。セリフは棒読み。 特に、ヴィン・ディーゼル、アーシア・アルジェント、マートン・ソーカスの3人がひどいです。 この3人のセリフが、いかにもセリフなんです。暗記したセリフを間違えないように暗唱しているだけのように聞こえます。まるで感情が伝わってきません。これだったらいっそ吹替えで観たほうが良かったかもしれないです。 そもそもヴィン・ディーゼルが役柄に合っていません。彼の良さが完全に死んでいます。 ヴィン・ディーゼルは『ワイルド・スピード』『ピッチ・ブラック』『リディック』といった代表作で演じたように、アンチヒーローで本領を発揮するタイプです。ちょっとスカした感じが良いのです。 この作品でも、前半は良かったです。問題は中盤以降。正義に目覚めたらだめです。アツくなったらだめです。ヴィン・ディーゼルがアツくなればなるほど、こちらの熱が冷めていきます。 序盤のアクションでスローモーションの多用がありましたが、それもやめてほしい。ジャッキー映画じゃないんですから。 『どう?このアクション凄いでしょ?』っていう製作サイドの発表会につき合わされているみたいです。 そりゃ凄いです。でもそれを自分の口から言わないのが粋ってもんでしょ。凄いアクションをさりげなく見せてくれるのが格好良いのに。 ロブ・コーエン監督の作品は、どれも序盤は良いのですが、後半がいつも息切れ気味です。 だから観た後の満足感がいまいち。やっぱりアクションはラストを盛り上げてくれなくちゃ。 何点にしようか迷いますが、『トリプルX』にちなんで3点。 いろんな意味でトリプルプレーです、この映画。 [DVD(字幕)] 3点(2017-04-06 12:34:06)(良:1票) |
1118. サン・ジャックへの道
《ネタバレ》 ロードムービーはどちらかと言えば苦手なジャンルです。ここでの評価がよほど高くなければ見ることはありません。 結論から言えば、素直に最後まで飽きることなく見ることができました。 ロードムービーの良さというものを堪能できた気がします。 まず第一に風景。 そして第二に、一緒に旅をする仲間との連帯感。 第三に、旅の過程において変化・成長していく一人一人の心。 第四に、宿や食事、洗濯に歯磨き、買出しなどの、旅先ならではの生活感。 そういったものが、矢継ぎ早に次々と映し出されていくスピード感と心地よいリズムが、この作品にはあります。そう、1つ1つのシーンが短いのがこの作品の特徴ですね。長い長い旅なのに、スピード感があるので、最後まで一気に見れてしまうのです。 小粒なエピソードを、軽快なテンポで見せてくれるので、まさに一緒に旅をしているような感覚になります。 三兄弟の長男社長が、『俺は最後まで旅を続ける』と言ったとき、すごく共感するんです。観ている側も同じ気持ちになれるってのは、ロードムービーとして貴重。 ただ個人的にこの作品で残念な人物が、三兄弟の中で仕事をしていないダメ人間の次男。 飲んだくれ。頭が悪い。自制心がない。人に依存する。平気で嘘をつく。自己中心的。空気が読めない言動、行動。私は、こーゆー人間が一番嫌いなんです。 そんな人間でも、例えば劇中で他人の荷物を持ってあげるとか、心の変化が見られればまだ救いがあったのですが、一切ありません。 むしろ、後半になればなるほど、彼に対するいらいらは募るばかりです。 それに、これは自分の問題ですが、『宗教』『世界史』、本当に疎いのです。 おそらく夢の世界を含め、宗教や哲学的なメッセージが発信されているように感じるのですが、その真意が知識不足でつかめず、残念。 とは言え、誰が見ても楽しめるように作られている作品ではあります。 特に、メインの9人以外の登場人物を頻繁に絡ませる演出は素敵ですね。 これによって、9人の擬似家族の絆が、コントラスト効果によって、より色濃く鮮明に浮き上がる感覚が好きです。 [DVD(吹替)] 7点(2017-04-03 14:11:16) |
1119. リベリオン
《ネタバレ》 アクションは素晴らしいのですが、ストーリーと世界観は苦手なタイプ。 こーゆーSFって、よほど上手く作ってくれないと、世界が小さく見えてしまって、いまいちノリきれません。 上手いSFは、劇中で表現しきれない部分を、観る人が自然と想像力で補って、頭の中で世界を広げていく面白さがあります。 この作品では、残念ながら想像力が働きません。だから世界も広がらないのです。 そしてアイデア。『感情の抑制』という非常に曖昧な物差しをもってきましたね。 ストーリーの核となる、『妻』『同僚』『ヒロイン?』の処刑。その理由が『感情規制違反』という凄く曖昧なルールによるもので、ピンときません。本当は悲劇なのでしょうが、悲劇と感じさせるための演出ができているとは言いがたいです。 そして、薬をやめ、感情が戻る主人公。その主人公が取る行動。これが凄い。 『子犬』を助けるために仲間を皆殺しにする主人公。 『反乱軍?』を助けるために仲間を皆殺しにする主人公。 感情が戻ったのに、仲間を皆殺しにすることにまるで躊躇がありません。 『そもそも論』になっちゃいますが、『感情が戻ったから、現体制は敵』っていう極論は、この作品が投げかけているテーマに対して、あまりに浅はかな『答え』だと思います。 それに、プレストンがやっていることは、ファーザーがやっていることとなんら変わりません。『権力』が『暴力』にすり替わっただけのやはり『独裁』なのです。 『人類総ロボトミー手術』という破滅的なアイデアは良かったのですが、まさにアイデア先行の出たとこ勝負ストーリー。 ただこの作品、アクションだけは飛びぬけて素晴らしい。 あまりにアクションが爽快すぎるので、それだけでも面白かったです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-04-03 02:21:42)(良:1票) |
1120. ファインディング・ニモ
《ネタバレ》 さすがピクサー、素晴らしい映像技術。今から14年前にこの映像が出来ているということに、もはや言葉が出ません。 ストーリーは、人間に連れ去られたニモを父親マーリンが助けに行くという一般ウケするアドベンチャー。 道中ドリーやアオウミガメのクラッシュ、ペリカンのナイジェルといった協力者の助けを借りるため、一本調子になりがちなロードムービーを、実に面白くアレンジしています。 また、我を失うサメ、アンコウ、クラゲの大群、クジラ、カモメ、ダイバー、子供など、小魚目線ならではの脅威の描き方が実に上手い。もはやホラーと言っても過言ではないくらい、手に汗握ります。 ピクサーは『おもちゃ』、『魚』、『恐竜』、『動物』とさまざまなものを擬人化しますね。 擬人化が極端になりすぎるとオリジナルの良さを損なうし、あまりにリアルを追求しすぎると夢がなくなりそうです。そういった意味では、この作品の擬人化は適度なバランス感覚で実によくできていると言えそうです。 また、擬人化をキーワードに考えると、『バラクーダ』『アンコウ』『カモメ』など、作中言葉を発しない、もしくは発しても意思疎通のできない生き物が出てきます。コミュニケーションの喪失。そして明らかな敵意のある存在。現実世界に例えるならば、テロリストや北朝鮮のようなものでしょうか。その一方で、本来魚にとって脅威であるはずのペリカンやサメでさえも、コミュニケーションが取れれば、友達や仲間になりえることが描かれているのですが、それは深読みのしすぎでしょうか。 サメのエピソードだけは、あってもなくても本筋のストーリーに影響を与えるものではありません。初めはムダだと思ったものですが、このサメのボス、ホオジロザメは、もしかしてアメリカの隠喩なのかなーって。 我を失い、仲間のサメたちから押さえつけられるホオジロザメ。自国への警告であり、自戒なのか。それともただの私の考えすぎなのか。 『クラゲ』や『クジラ』は自然災害を象徴しているように感じるのです。 魚群の忠告を無視し、結果クラゲの大群につっこみ、その脅威にさらされるマーリンとドリー。 クラゲやクジラに明確な敵意はなく、ただ存在しているだけ。 クジラに飲み込まれ絶体絶命のピンチだったにも関わらず、結果シドニーへとたどりつくことができたマーリンたち。それも、ドリーの言うように、『クジラ』という『自然』に逆らわず、身を任せた結果事態が好転してゆくのです。 脅威にもなれば味方にもなる。まるで自然の厳しさと恩恵を体現しているように感じたものですが。いったいどうなんでしょう。 考えすぎですかね。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2017-03-31 15:05:29) |