1121. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 運命に翻弄される男たち。その陰で蠢く女たち。イーストウッドはよくこんな暗く重い映画を撮ったものだ。「人殺し」の顔をしたショーン・ペンの圧倒的な演技力。オスカー受賞は当然でしょう(獲るのが遅かったくらい)。後味は悪いが、見応えのある傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2007-08-19 21:46:10) |
1122. デッドマン・ウォーキング
《ネタバレ》 被害者の遺族は娘や息子にさよならを言うことも、愛してると伝えることもできなかった。しかし、なぜ加害者には家族とのお別れがきちんとなされるのだろうか。被害者とその遺族の無念を考えると、納得いかない。ラストは死刑囚に感情移入して観るべきなのだろうが、全く泣けなかった。憎しみの連鎖はどこかで止めるしかない。だが、犯罪被害に遭われた人々のことを考えると、加害者に同情することはできない。とは言え、被害者と加害者の両方に寄り添い、憎しみに満ちた心の救済を願う無垢なシスターに非があるはずはないのだ。スーザン・サランドンとショーン・ペンの名演、ティム・ロビンス監督の演出は素晴らしく、文句のつけようがない。考えさせられる作品だ。 [DVD(吹替)] 7点(2007-08-19 10:27:43) |
1123. オーシャンズ13
《ネタバレ》 前作の反省を踏まえてか、軌道修正されたオーシャンズ。もはや泥棒映画でなくなっているのがナンだが、明確な悪役を設定することで、娯楽色豊かな作品となった。相変わらず誰も死なないので(予告編を観てルーベンが殺されるのかと思ったが、裏切られたショックで倒れただけ)、お気楽に観られる。ベネディクトが味方についたのには驚き(最後には良い人になってるし)。ナイトフォックスの登場など、前2作をきちんと把握してないと「?」なシーンが多いので、他のレビュアーの方も言っているが、前作の復習は忘れずに。個人的にはメキシコの騒動が面白かった。ジュリア・ロバーツはいなくて正解。 [映画館(字幕)] 5点(2007-08-14 14:09:16) |
1124. シーズ・ソー・ラヴリー
《ネタバレ》 ことあるごとに「金持ってないんだけど…」と正直に白状するショーン・ペンが可笑しい。で、周りの人たちも何故かとっても親切。やはり凄いのはペンの演技で、どのようなアプローチでこの役を演じたのだろうか(『アイ・アム・サム』より断然凄い)。まるで天使のような男なのだ。内容はもう目茶苦茶で、ラストは呆気に取られること請け合いだが、そこには世間一般のモラルを超えた何かがあると思う。大体、平気で人を殺しまくるアメリカ映画界にあって、元の旦那と駆け落ちするぐらい、そんなに目クジラ立てるようなことではないのかもしれない(実際には嫌だけどね)。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-12 22:37:56) |
1125. 海の上のピアニスト
《ネタバレ》 対決シーンでの、「後悔させてやる」が恰好いい!鳥肌が立った。ラストシーンは悲しすぎ。あと、エンニオ・モリコーネはいつ聴いてもいいね。トルナトーレとの相性もぴったり。「人生は無限だ!」など、名言の宝庫。 [映画館(字幕)] 7点(2007-08-12 22:20:50) |
1126. ザ・エージェント
心が風邪を引いた時に観る映画。 [DVD(吹替)] 8点(2007-08-12 22:12:42) |
1127. ペイバック
時代遅れのパルプ・ノワールを本格的に映画化したブライアン・ヘルゲランドとメル・ギブソンの勝利。とにかく出てくる奴がみんなワル。たった7万ぽっちのために組織に喧嘩を売る一匹狼の格好良さ。青を基調としたクールな映像とサントラの選曲に痺れる。 [DVD(吹替)] 7点(2007-08-10 19:05:02) |
1128. レミーのおいしいレストラン
《ネタバレ》 リングイニが「目的のないダメ男」との批判があるようなので、ちょっと擁護したいと思うのですが、彼は元々コックになりたかったわけではなく(本人がそう言っている)、序盤にスープの味付けをしていたのは、誤ってこぼしてしまったのを隠すため。彼がそもそもこの店を訪れたのは、母親の紹介状があったからで、料理がしたかったからではない。とにかく職にありつく必要があったのだろう。身寄りもなく才能もない彼にとって、職を得るのは大変なことで、要するに生活がかかっているのだ。コックだのウェイターだのと選り好みをしていられる立場ではない(当然クビは何としても免れたい)。また、コレットがレミーの存在を知ってからも「ダメ男」リングイニと付き合っている件だが(つまり彼には料理の才能がないと知った)、リングイニの長所は、レミーをパートナーとして選んだことだろう。彼はいち早くレミーの才能を見出し、たとえネズミであっても、友人として迎え入れた。それは、「誰でも料理を作れる」というグストーのモットーであり、グストーに師事するコレットにとっては、リングイ二を好きになる充分な理由になるのではないか?リングイ二は確かにちょっと頼りなくだらしのない男だが、ネズミを殺すこともできない優しさを持っている。レミーがグストーの遺言状をシェフの手から取り返したのは、誰のためだろうか?友人であるリングイ二のためではないか?リングイ二はレミーに操られているだけのように見えて、実は二人(?)は運命共同体、どちらかをなくしては成立し得ない存在となっている。つまり、リングイ二は充分魅力的な人物として描かれており、リングイ二あってこその「レミーのおいしいレストラン」なのだ。しかし、この作品で最も素晴らしいのは、何と言ってもフルCGで描かれた映像スペクタクルだろう。レミーの表情、仕草、体毛の質感は勿論のこと、ネズミの視点で描かれたアクション、息を呑むパリの夜景、涎が出るほど美味しそうな料理の数々。まさに「眼福」と言いたい。 [映画館(吹替)] 8点(2007-08-09 08:38:10)(良:2票) |
1129. カジュアリティーズ
《ネタバレ》 マイケル・J・フォックスが想像以上に良い演技をしていた。内容も心に残るものだ。主人公が味わう苦悩は、程度の差こそあれ、誰しも一度は経験するものではないだろうか?集団対個人という図式において、自分はどのような行動ができるか。正しい判断を下すことができるか。最近、イラク戦争で少女をレイプし殺害した米兵の裁判が行われ、見張り役が懲役110年の刑を言い渡された。未だにこのような蛮行が行われていることが痛ましい。映画のラストで、ベトナム人学生を演じている女性は、ショーン・ペンらにレイプされ殺された女性と同一人物だ(メイクで顔を変えて演じている)。主人公の苦悩は癒されるべきなのだ。戦闘シーンなどの無駄なデ・パルマ・タッチがなければ、映画としてもっと評価されていたであろう、隠れた名作。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-07 17:16:47) |
1130. グッドモーニング,ベトナム
最近、「ベトナム戦争映画特集」というのを個人的にやっておりまして、主要なベトナム戦争映画を一挙に観たのですが、これはちょっと毛色が違いますね。アメリカが「ベトナム」を描こうとすると、血生臭いものになりがちですが、この映画では、戦闘シーンもほとんどなく、ロビン・ウィリアムスのトークが大半を占める(半分以上理解不能ですが)。ベトナム人少女も可愛らしく、一服の清涼剤のような映画でした。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-07 17:03:15) |
1131. ワンス・アンド・フォーエバー
『プライベート・ライアン』以降の戦争映画ということで、戦闘シーンの激しさは群を抜いている。しかし、戦場で戦う兵士たちをヒロイックに描き過ぎて、いかにも「映画」になってしまっているのが惜しい。それにしてもメル・ギブソンって、本当に戦争が好きなんだな… [DVD(吹替)] 6点(2007-08-07 16:54:15) |
1132. 7月4日に生まれて
オリバー・ストーンのベトナム戦争映画だが、戦場のシーンよりも、出征前と帰還後を丹念に描くことで、「戦争に行くとはどういうことか?」を力強く訴える。戦場の生々しさを描いた『プラトーン』とはまた違ったアプローチをしているのが面白い。個人的にはこちらの方が好印象を持った。トム・クルーズの熱演にも評価。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-07 16:51:10) |
1133. プラトーン
《ネタバレ》 「本物のベトナム戦争映画」ということで、実際にベトナムに従軍したオリバー・ストーンが脚本と監督を兼任。バーンズもエリアスも実在した人物とのことだが、実際には別の部隊だった二人を同じ隊に入れ、最終的には殺人(未遂)行為までさせるのはどうか?また、ストーンの分身であるクリスがバーンズを撃って終わり、というのも、いかにも物語的で、リアリティを削ぎ落としているように思える。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-07 16:42:03)(良:1票) |
1134. 地獄の黙示録 特別完全版
《ネタバレ》 ジョン・ミリアスのオリジナル脚本では、クライマックスに大規模な戦闘シーンを用意していたらしいが、マーロン・ブランドの我がままでボツに…(泣)脚本通りに仕上がっていたらどんな映画になっていたのだろうか。これは、さしずめ「ウィラードと巡るベトナム周遊紀行」といったところか。3時間半の長旅だったが、思い出すのはキルゴアのナパーム投下シーンのみとは… [DVD(字幕)] 7点(2007-08-07 16:31:50) |
1135. アウト・オブ・サイト
ここでは評判悪いみたいですね~。結構好きな映画です。コレでクルーニーもソダーバーグも知りました。原作がエルモア・レナードなので、ちょいと軽めでオシャレな犯罪映画。同時期に作られた『ジャッキー・ブラウン』とのリンクネタも有りなので、一緒に観ることをお勧めします。 [映画館(字幕)] 7点(2007-08-07 07:45:29) |
1136. オーシャンズ11
オシャレな犯罪映画。ジョージ・クルーニーが好きなので贔屓目ですが、つい何度も観てしまう。基本的に誰も死なないのが良いのかも。かつて、故・淀川長治氏が『特攻野郎Aチーム』を紹介する時に、「Aチームは誰も殺さないのが良い」みたいなことを言っていたことがあります。時間をかけて仲間を集め、わいわい言いながら仕事をするところなんか、『Aチーム』的で好きですね。って、『Aチーム』のことばっかり言ってるな… [映画館(字幕)] 6点(2007-08-07 07:38:57) |
1137. ダイ・ハード4.0
《ネタバレ》 「ありえねーよ!」と突っ込みを入れつつ楽しむのが本作の鑑賞方法。もはや不死身のジョン・マクレーン、車でヘリを撃墜するわ、トラックで戦闘機とやり合うわ、常人では考えつかないようなことをやってのけます。「FBIのジョンソン」など、第1作とのリンクネタも何気に楽しい。敵役のマギーQも色っぽい(かなり残虐な殺され方をするが…マクレーンやりすぎだよ…)。アクションを観てスカッとしたいな、という時にはこれを観るに限る。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2007-08-06 01:20:50) |
1138. トランスフォーマー
《ネタバレ》 マイケル・ベイの映画って大真面目にバカやってたりするんだけど、これは確信犯的なおバカ映画。まるで80年代にタイムスリップしたようなストーリー(童貞とオタクが地球を救う)に、最新鋭の映像技術を投入。CGが凄いのは当たり前(『マトリックス』に驚いてたのがバカみたい)、ビックリするほど幼稚なストーリー展開が逆にほのぼのしていて良い。主要人物が誰も死なないので安心して観られます。鑑賞後、自分の車をもう少し大事に扱おうと思った。映画館で観るべき映画。 [映画館(字幕)] 7点(2007-08-06 01:10:52)(笑:1票) |
1139. オーシャンズ12
《ネタバレ》 『グレムリン2』を思い出した。まさに監督のやりたい放題。前作はわりと一般向けの娯楽映画として作られていたが、これは監督の趣味丸出し。ストーリーの整合性より、ジョークを楽しむべき映画。それにノレるかどうか何だけど、正直イマイチ?面白いといえば面白いし、面白くないといえば面白くない。愛車を爆破された時と、携帯を盗られた時のブラピのヘン顔が良かった。クルーニーの「俺って50に見える?」も笑った。ジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスのギャグはやり過ぎかと… [DVD(吹替)] 4点(2007-08-04 07:21:48) |
1140. デモンズ’95
《ネタバレ》 これは名作。『デモンズ』なんて邦題がつけられているのが可哀相。アルジェントの弟子ミケーレ・ソアヴィが監督しているということ以外、『デモンズ』とは何の繋がりもない(そもそも本作は、ソアヴィがはじめてアルジェントの手を離れて撮ったオリジナル作品)。死者が甦る墓場で、夜毎襲い来るゾンビの群れを退治していく管理人とその助手。何ともいい味を出しているのが助手のナギ。知恵遅れのようだが、実は天才(らしい)。首だけのゾンビ花嫁とラブラブになるところが可愛い。また、暴走族ゾンビに恋する少女が自分の肉体を差し出すところが非常に印象的だった(フツーは恋人がゾンビになって襲い掛かってきたら即行で逃げる)。「死と愛」という永遠のテーマをゾンビ映画という枠組みで描いた、異色作。 [DVD(字幕)] 7点(2007-07-31 23:52:52) |