1161. 早熟 ~青い蕾(つぼみ)~
《ネタバレ》 まさか2005年にもなって、こんなベタベタの作品を堂々と発表してしまう根性に驚嘆。これに対抗できるのは、関根恵子のデビュー直後の一連の作品くらいではないか。ただ、ベタなのは嫌いではないのだが、全体的にいろいろと都合良すぎというか、登場人物の人格よりも進行の便宜の方を優先してるっぽい箇所がいくつか目についた。 [DVD(字幕)] 6点(2013-03-20 01:04:42) |
1162. 雨音にきみを想う
《ネタバレ》 じわっとした緊迫感の中で進んでいく序中盤は良かったんですよ。光と影が交錯する作品世界の中で、役者陣も、軽率に騒ぎ出さない堅実な演技をしていたのです。が、クライマックスからの持って行き方が、どこにでもあるような感じで安直だったなあ。隣のおっちゃんとか、少女の実の母親とか、何かやってくれそうな魅力的な登場人物も、結局使いこなせませんでした。あと、このまとめ方なら、兄はともかく、ヒロイン自身の病気云々は要らなかったのでは? [DVD(字幕)] 6点(2013-03-19 01:56:43) |
1163. 男はつらいよ
《ネタバレ》 骨組みはまったくもってどうということもないはずなのに、その後のシリーズ化を支えるほどの基盤性までができてしまっている。そのポイントは、やはり、陳腐な大団円を迎えさせることなく、最後に寅次郎をすっと家から放り出していること。つまり、制作側がキャラクターのあるべき姿を正しく把握していたということ。 [映画館(邦画)] 6点(2013-03-18 00:10:54)(良:1票) |
1164. 女帝 春日局
《ネタバレ》 だらだら一生が続くだけの内容だったらどうしようと思っていたのですが、意外に焦点の絞られた好作品でした。十朱・名取・草笛の3すくみ的パワーバランスがいい感じですね(後2者の退場がちょっと雑な感じだったのは残念ですが)。しかもそれが、お世継ぎ問題という一点に収斂されて、ラストシーンの緊迫感を高めています。随所で蝋燭を多用しているのは、主人公の内面の芯の隠喩なのでしょうか。 [DVD(邦画)] 6点(2013-03-15 21:26:05) |
1165. 夕陽に赤い俺の顔
《ネタバレ》 50年以上前の日本とはとても思えないほどの、キッチュでオシャレなオープニングに唖然。キャラクター設定なんかも何かが無意味に暴走していて楽しいんだけど、あまりに突飛すぎて、演出側でもそれを捌ききれなくなった感じで、途中からはオーソドックスに収束してしまっている(珍しく胡散臭さ満載の神山繁の途中退場が惜しい)。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-04 00:08:18) |
1166. ハーヴェイ・ミルク
《ネタバレ》 開始後10分で早くも執行委員当選のところまで行ったときは「あれれ?」と思ったし(そもそも、なぜ彼がその立場を目指したのかということについては、あまり説明されていない)、死亡後の出来事(裁判など)に3分の1近くの時間を使っているのも、バランスが悪いのではないかという気はした。しかし、実際の記録映像を駆使して、実在の人物が現実に行った発言や行動を積み重ねるというのは、今に生きる我々にも、当時起こったことの重要性を生々しく伝えてくれる。記録映像とインタビューとナレーションの配分も、流れを壊さないように繊細に配慮されていると思う。 [DVD(字幕)] 6点(2013-02-11 02:05:09) |
1167. 喜劇 女は度胸
《ネタバレ》 ●1人1人の行動はどうということはないよくあることなのに、そのすれ違いや誤解が積み重なると、クライマックスの全員口論のようなスリリングでドラマチックな結果をもたらす。その辺のサスペンスなどぶっ飛びそうな、手に汗握る10分間。●その中に、それまでさして目立たなかった清川虹子のおっかさんが、さりげなく人と人の間に現れて立っている。それだけで「あ、この後何か起こる」と思わせる迫力。●倍賞美津子は、後のやせてクールになった頃よりも、この頃のふっくらした感じの方がはるかに良いですね。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-02-09 13:22:24) |
1168. オカンの嫁入り
もっとダサダサなありがちホームドラマになるのを危惧していたのですが、意外に上品にまとまっていました。良かったのは、登場人物が軽率に泣いたりわめいたりしないこと。特に、ちょっとした表情でいろんな心の動きを表現していた宮崎あおいは見事でした。それから、基本的なところですけど、役者陣の関西弁がおおむねちゃんとしていたのもいいですね。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-02-08 02:30:37) |
1169. 告白(2010)
《ネタバレ》 原作は、長文の一人称の交錯と裏返しというところにトリックの基本があったので、映像化は難しいんじゃないだろうかと思っていたのだが、何とか原作の空気を壊すことなく上手くまとめていると思う。ウェルテルは原作ではもっとウザそうな描写だったのだが、ここではもっとあっさり風味で、作品の流れを止めないようにしているのは感心した。あと、ラストの爆発のしつこさと、先生と少年Aの直接の対峙は余計だったなあ。あそこは電話の会話で容赦なく終わるところに風味があったはずで、そんなに無理矢理盛り上げようとせんでも。 [DVD(邦画)] 6点(2013-02-05 03:30:31) |
1170. モダン・タイムス
《ネタバレ》 工場で工員と経営者がいろいろやる話かと思っていたら、実はそれは導入部だけだったんですね。工場のパートは話の枠組と構造が単純で今ひとつなのですが、娘と出会って物語が動き出してからの方が断然面白いです。それと、台詞(この場合は字幕ですが)とシーンを必要最小限にすれば、90分足らずでこれだけの展開を盛り込めるわけで、その表現の力とでもいうべきものについては、今日でも参考になります。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-02 03:04:12) |
1171. ダウン・バイ・ロー
《ネタバレ》 脱獄が一瞬で終わってしまうというのにあっけにとられるのだが、それ以降も、あの小舟と同じように、当事者の感情が行ったり来たりするのが何ともおかしい。レストランでの展開などは、トリッキーですらある。それと比べると、投獄までの導入部がちょっと切れ味が弱いのが難点。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-12-30 02:58:50) |
1172. おっぱいバレー
《ネタバレ》 綾瀬はるかという人を一定時間きちんと見たのは初めてなのだが、演技らしい演技はほとんどできていないのに、フレーム内に収まっているだけで自然に目を引いてしまう、不思議な人です。で、その体型(というかバスト)をあえて強調しない撮り方をしているのはすぐに想像がつきましたが、かりにそれが目立つようにしてしまうと、映像内の主役が、先生でも生徒でもない「おっぱいそのもの」になってしまいますし、またそれを受けた生徒のリアクションや芝居も、全然別の方向に行ってしまいます。ここに出てくる生徒たちは、おっぱいという言葉1つからでも無限のパワーを構築できる、第一級の妄想力を持っているのです。なので、その立ち位置に見る側を同化させるためには、この撮り方はまったく正しい。それとやはり、タイトルを堂々とこれにしてしまったその度胸に+1点。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-12-29 01:41:40)(良:1票) |
1173. 喜劇 にっぽんのお婆あちゃん
《ネタバレ》 ミヤコ蝶々と北林谷栄が雑談をしながら並んで歩くだけで醸し出される、このど迫力。その中でも、何か楽しいことが起こっても、その後2人は行くところも帰るところもないんだろうと常に感じさせるほどの、人格的な背景の作り込み。これだけで十分に楽しめます。しかし、市原悦子も、この中に放り込んだらぴちぴちのお姉さんなんだな。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-12-24 02:48:38) |
1174. 拝啓天皇陛下様
《ネタバレ》 もっと陰湿で救いのない展開を想像していたのですが、意外に、主人公自身が状況に肯定的だったり、ここぞというところで都合良く助かったり、かと思えば天然ぶりを発揮してコケたりと、予想外しの連続でした(トリッキーとさえいえるかも)。主人公がフラフラ歩いていくラストシーンは秀逸。つまり、見る側も、神の視点ではなく、彼と付き合いのある一般人の視点で見終えることができる。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-12-10 04:18:24) |
1175. ヘルプ 心がつなぐストーリー
《ネタバレ》 前半は人間関係がちょっと分かりづらいのだが、それが整理されてきた中盤以降からは、全体が一体となってドラマが展開する。ただ、テーマへの突っ込みはやはり表層的で浅い。導入部と結実部分で視点が異なっているのも、それを象徴している。それを救っているのは俳優陣の達者な演技。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-10-16 00:42:02) |
1176. ストレンジャー・ザン・パラダイス
《ネタバレ》 結局誰も何もしないんですが、その登場人物におつきあいするがごとく、じーっと動かない、正面から撮らない、突然気まぐれっぽくシーンが終わる、という撮影と編集のコンセプトが凄いし、そのまま作品全体を通してしまったぶれなさっぷりも凄い。このインパクトがすべてですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-09-01 23:11:51) |
1177. アベンジャーズ(2012)
《ネタバレ》 ここまでの集大成にして、実はこれこそが後に続くためのスタートだった、という、よく考えると驚くべき作品。●再見してすっごく今さら気づいたのですが、視覚効果や音響効果の数々、そしてキャラクター集合のお祭り感もさることながら、会話や台詞の一つ一つがきちんと削ぎ込まれている。登場人物が強いだけではなくて頭も良いことが示されている。だから、見ていて心地良いし、ちょっと見始めたらそのままずっと見入ってしまうわけです。 [映画館(字幕)] 6点(2012-09-01 22:55:44) |
1178. タンポポ
《ネタバレ》 どうですいろんな食に関するお話もとりまぜて、単なるラーメン屋成功譚ではないでしょ?という入れ込み方が作為的すぎて、かえって発想の底が透けて見えてしまうのが難点。ただ、エンディングの授乳シーンがもたらす原始的な破壊力は、作品本体のメッセージときちんとつながっており、これがなかったらつまらなくなっていたと思う。あと、個人的には、あまりにピカピカに綺麗で上品すぎるラーメン屋って、美味しかったことないんだけどな。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-08-27 00:14:40) |
1179. ロッキー・ザ・ファイナル
《ネタバレ》 導入部の静謐な雰囲気が実にいいのです。チャンピオンの栄光の時期は完全に過去のものとした上で、未練も煩悩もなく、地道で穏やかな生活を送っているロッキーが、1~5のどれとも違うキャラクターとしてきちんと再生していて。しかし、そこの出来が良いからこそ、それをひっくり返して試合に挑むところの動機付けは難易度が高くなってしまうのですが、やはりその辺はあっさりしていました。しかし、試合終了後にリング上でポーリーに向けた一言がすべてを説明しきっているので、許す。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-08-23 02:14:33) |
1180. 遊び
《ネタバレ》 大門正明の台詞はいちいち説明的でわざとらしいし、2人のそれぞれの過去を逐一回想で説明してしまうのも野暮ったいのだが、あの強引極まりないラストによって全部が奇跡的なほど爽やかにまとまってしまっているから不思議である。16歳にしてこの存在感と躍動感を発散しまくっている関根恵子を収め切るためには、これくらいしないといけなかったのだろう。 [DVD(邦画)] 6点(2012-08-01 00:37:19) |