1161. RETURNER リターナー
《ネタバレ》 第一印象は、『ビジュアル一流』『脚本二流』『演技は三流』というイメージ。 見ているほうが恥ずかしくなるようなセリフと演技の数々。 プロットはもろ『マンガ』で、『E.T』や『マトリックス』や『ターミネーター』にインスパイアされている感じですね。 やたらバイオレンスだったり、やたらコメディタッチだったり、映画としてのバランスもそんなに良いとは思えません。 失礼ながら、『B級臭丸出しの作品が、頑張って背伸びしちゃってる』と感じるのです。 オープニングの金城武の棒読みのシークエンスから、はっきりとこの映画の『レベル』ってのを感じ取ってしまって、つまりはそれ以降なめて見ていたんですね。 『擬態宇宙船』やら『加速装置』やら、いろいろと面白そうなギミックを見つけては、喜びます。映画の内容とは関係ないとこで遊んじゃう感じです。ずーとそんなぬるいテンション。そしていよいよクライマックス。 『あー終わったー。そりゃ普通に帰るよねー。消えていく映像すげーじゃん。なんか感動的ー。』 とか思ってて。そんで、 『ん?まだ続くのかい?下手に長引かせないほうがよろしいんじゃございません?』 と思っていたら、『ん?ん?あー!!そーゆーことかー!!』 と、油断していた私は、まんまとこの映画の仕掛けに引っかかりまして、そりゃあもう最高のラストを感じられたわけですね。 これが完成度の高い作品だったら、きっと気付いちゃったであろう仕掛けに、気付かないおかげで感じられたラストの驚きと清涼感。 タイムスリップものは『タイムパラドックス』の問題が入ってくるとややこしくなるから苦手なんですが、この作品ではその辺はスルー。そこも潔くてわかりやすくて良かったですね。 死にかけの宇宙人も、宇宙船団が故郷に帰るための『門(ゲート)』としての役割だったわけで、彼がいないとみんな帰れなかったわけですね。そんで地球人のせいで故郷に帰れなくなったから、報復で地球人を皆殺しにする未来を変えたわけだ。 大きなプロットも、小さなプライベートストーリーも、すべてが丸くおさまって、観終わった後はなかなか気分爽快でございました。 [DVD(邦画)] 8点(2016-12-02 14:45:45)(良:2票) |
1162. 13ゴースト(2001)
《ネタバレ》 アトラクションムービー。ストーリーはあってないようなものですね。 お化け屋敷にストーリーを求めないように、これはこれでビックリ箱のような面白さがあります。 12人の幽霊たちが良かったですね。一人一人個性があり、禍々しさがあり、大変ユニーク。クリーチャーとして大変魅力的です。 生きている人間より、クリーチャーたちに焦点をあてたほうがよほど面白かったのではないかと思えるほどです。 人間達のやりとり、ドラマはいまいちですね。 助けに来てくれた女性が実はサイラスの手先というサプライズ演出。ところがその女性にまるで魅力がないので、そのサプライズが劇中で上手く機能しているとは思えません。霊能者のデニスも、なぜか急に良い人になります。そこまでは良いのですが、彼の自殺ともとれる自己犠牲的な死にいったい何の意味があったのか、最後まで見てもよくわかりません。 ついでに言うなら、子供達を中心に話をすすめたほうが、面白かった気もします。 全面強化ガラスのからくり屋敷は、仕掛けとして大変面白いですね。呪文が書かれているところはゴーストは通れない、という制限ルールも、ありきたりですが良いルールです。メガネも良かったですね。 アイデアは豊富で、そのどれもがなかなか良い。ただ、あまり深く掘り下げられることなく、あっさりしたテイストのまま物語はクライマックスへ。潔さも感じますが、もったいないとも思ってしまいます。 ただ、その分何も考えずに見ていられますね。 それでいてビジュアルは刺激的。 ソフトタイプのモンスター映画はこれで良いのかもしれません。 のんびり見るエンタメ作品としては及第点ではないでしょうか。悪くないです。 [DVD(字幕)] 8点(2016-11-29 06:10:22)(良:2票) |
1163. サウンド・オブ・サイレンス(2001)
《ネタバレ》 これは面白いですね。『コール』に設定が似ていますが、あっちより好きかもしんないです。 まあ人によっては『どっちもどっち』でしょーが。 個人的には、こーゆー『子供が機転を利かすサスペンス』って好きなんですよね。 最大の見所はジェシーが歌を歌うシーン。そして母親のアギーが娘の唄に気付いたかどーか確認するシーン。緊迫感があります。 そしてネイサン、アギー、キャシディ刑事が、それぞれのフィールドで事件の核心に迫り、ストーリーが同時進行で一気に加速する中盤がクライマックス。ここが一番面白いです。 後半はややトーンダウンするものの、中だるみするほどではありません。 本来であれば、エリザベスの回想シーンに驚くべき真相が隠されていたりして、終盤でもう一回くらいあっと驚く展開があったりするのでしょうが、残念ながらそれはありません。本当にただの思い出です。少女エリザベスが父親の棺にすがりついて数字をなぞるシーンはそれなりに感情移入しますが、涙を誘うほどではありません。やはりもとはと言えば、エリザベスの父が『強盗』で『裏切り者』ということに事の発端をなしているせいでしょう。 ただ娯楽サスペンスとしては十分。わかりやすい。面白い。ハラハラする。見応えがあります。 どんな作品にだってつっこみどころはあります。この作品にもあります。いくらでもあります。 ですが面白ければ、あえて粗探しをする気は起きません。要は、見ている人をそーゆー気分にさせないことが大事なんじゃないかと思います。 映画とは関係ないですが、若くして亡くなったブリタニー・マーフィとスカイ・マッコール・バートシアク。映画の中ではこうして永遠に生きつづけるから、映画って凄いですよね。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-27 15:48:17) |
1164. 殺人の追憶
《ネタバレ》 まいった。なんて後味の悪い映画なんだ。後味の悪さでいったら『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『セブン』『息もできない』に匹敵します。 ラストもオチもクライマックスも、すべてにおいて救いがない。 最初少し目を離していたので、未解決事件なんちゃらも知らずに鑑賞。ただの猟奇殺人ものサスペンスと思って見ていたんですね。 『犯人はいったい?』みたいなお気楽な感じで。 で、見ていくうちに、いろんなテイストが混ざってきます。 警察の負の部分がメインなのか。連続強姦殺人事件がメインなのか。なんかよーわからんくなってくるんです。 『どうやら純粋にみんなで力を合わせて犯人を追い詰めていくとか、そういう話ではないらしいぞ』と、わかってくるんですね。 『とび蹴り刑事』は新しく来た課長に粛清されるし。やけを起こすし。足を切断するハメになるし。そのせいで唯一の目撃者は電車にはねられちゃうし。話があっちに行ったり、こっちに行ったり、忙しい。でも、犯人さえつかまれば、全て無事解決だと思ってがまんがまん。 ・・・と思っていたら、結局犯人はわからない。 犯人は、捕まるどころか、見つかりさえしません。もうびっくりドンキーですね。 そしてラストの少女の話。 いやー、恐ろしい。 この映画を何食わぬ顔で犯人が見ていたかもしれないと考えると、もう恐ろしさを通り越して憤りを感じますね。 知的障害者もかわいそうでしたが、何といっても女子学生のエピソードがしんどかったです。 後味の悪い映画ってのは、見ている間はこちらの心を掴んで離さないのだから、タチが悪いっす。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-26 04:57:22)(良:1票) |
1165. 春の日のクマは好きですか?
《ネタバレ》 最初の1時間くらいが全然面白く無い。まじでやばいくらいにつまらないです。あまりに退屈で時間を確認したらまだ30分も経っていなくて驚愕します。 それに、ヒロインのヒョンチェと、ヒョンチェを好きな地下鉄運転手ドンハ。この二人にあまり魅力を感じません。 まあヒョンチェは百歩譲って良いとして、ドンハが見ててイライラします。 個人的には、研修に来ていた社員と、女子店員とのプチエピソード。こちらのほうがちょっと良かったです。 この社員と結婚することになった女子店員、ちょこっとしか出番がありませんでしたが、一番可愛かった気がします。 いろいろ文句ばかり並べましたが、事実が明らかになる後半、急に路線が変わり面白くなります。 今までのゴリ押しのラブコメから、急に正統派ドラマへとシフトチェンジ。急にシリアスに。そしてミステリー感も強くなり、なかなか興味をひかれます。そんでもってラスト。 『誰?』聴覚障害の女性は知っている、でももう一人の男性は? もう少し伏線でもはってあれば驚くこともできたのでしょうが、全然知らない人がラストのオチを飾るって、すごいっすね。 [DVD(吹替)] 5点(2016-11-23 04:55:54) |
1166. ウォルター少年と、夏の休日
《ネタバレ》 思っていたよりコメディ色が強く、ストーリーが浅いです。人物の描き方も表面的。 一つ一つのエピソードはそれなりに面白いです。 『隠し財産』『ファンタジックな武勇伝』『謎のライオン』『若者達との乱闘』『セールスマン』 小さなエピソードの積み重ねが、なにか一つの本流を生み出しそうで、でも実際には何も起こらない。それぞれのエピソードは何かのメタファーに留まっているような印象です。 そもそも原題を知らなかったことが問題かもしれないです。『中古のライオン』という原題を先に知っていれば、本作をまた違った目で鑑賞していたかもしれません。『ウォルター少年と夏の休日』。わかりやすくとっつきやすいですね。でも間違った先入観を与えてしまうタイトルはどうかと思います。まるでウォルター少年の成長日記を予感させるようなタイトルですよね。ですが実際は『ハブとガースの物語』でしょう。ウォルター少年は二人を見るレンズ的な役割にすぎません。 ガースとハブのキャラクターは非常に良かったですね。 それに対して二人以外の登場人物は、『嫌な奴はこう』『馬鹿な奴はこう』と、型にはまった人物造形で、全く人間味を感じません。 そう、まるで小学校の国語の教科書を見せられているような感覚です。 悪い映画ではありませんが、面白くもないですよね。 [DVD(字幕)] 6点(2016-11-22 15:09:18) |
1167. ルビー&カンタン
《ネタバレ》 ゆるい。さすがにゆるすぎる。ゆるすぎる展開に、何も盛り上がるところがありません。 ゆるすぎる警察。ゆるすぎるマフィア。コメディだからってこんなんじゃあ面白くないです。 カンタンを頭のねじのゆるいキャラクターにするんだったら、周りはしっかりしなくちゃ。そーしないとカンタンがやることの意外性がなくなっちゃいます。こーゆーのは周囲とのギャップが面白いんですから。 それに、結局はカンタンもルビーも犯罪者なわけで、まあそこはつっこんだらいけないのでしょーが、やはり共感しづらいです。 ただカンタンのキャラ設定は良かったですね。気は優しくて力持ち。好きなキャラクターです。脱臼も直しちゃったりして。要所要所で意外と役に立つのが良いですね。まあカンタンのキャラクター以外は、この作品に関して特筆すべき点は何も無いですね。 ストーリーがあってないようなレベルなので、せっかくの登場人物の個性も死んじゃってますし。 いまいちです。テンポが軽快なので、見飽きることはありませんが。 [DVD(吹替)] 5点(2016-11-21 05:09:14) |
1168. the EYE 【アイ】
《ネタバレ》 ベースは『シックス・センス』でラストは『ファイナル・ディスティネーション』。 確かに、いろいろな映画作品のファクターが見受けられます。ですがそれぞれの作品の良いとこどりで終わらず、きちんと一本の映画として昇華され、『the EYE』としてのオリジナリティが確立している点が素晴らしいですね。 前半、視界が定まらない主人公マン。頻繁に映るぼやけた視界。完全主観の世界。この作業を繰り返すことによって、見ている私達はマンと同じ体験を繰り返します。そして抱くようになる強烈なマンとの一体感。怖がりの私はホラー映画を一歩引いた目線で見るようにしているのに、そんな私を強制的に映画の登場人物と同化させることに成功しています。まいった。参加させられてしまいました。舌を巻くほどに完璧に計算された演出と脚本です。おかげさまで超怖くて、夜寝られないと思っていたら、この切ないドラマの完成度。これは凄い作品ですよ。 ホラー要素だけではなく、『美しさ』や『優しさ』といった人の良心を自然に表現したことで、作品に深みがでているじゃあないですか。 インインのエピソードは、涙なくしては語れません。 ラストの名台詞はこの上ない清涼感。そしてちょっと切なく、だけど幸せな人生を予感させるハッピーエンド。 書道教室、エレベーターの霊は否応なしに怖く、電車での手紙のエピソードで驚愕する。 これだけ盛り沢山な内容にも関わらず、ストーリーにはムダがなくムラもない。とてもすっきりまとめられています。 この完成度の高さ。抜群のバランス。『ホラー』『ミステリー』『人間ドラマ』、複数の要素が綺麗に融合すると、こんなに良い作品ができるのですね。 主人公以外になぜか霊が見える店員や、重要な役目を果たしているのかよーわからん霊媒師など、放置されたままの人材がいることは確か。ですがここまで本筋が面白ければ、細かい部分はもーどーでも良いですね。 ホラー映画の傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2016-11-20 14:55:38)(良:1票) |
1169. ソードフィッシュ
《ネタバレ》 非常にインパクトのある作品ですね。人の注意・関心を引きつけるのが上手いと思います。 世界中で映像が氾濫し、その結果『人の集中力の継続時間』が極端に短くなったらしい昨今、エンターテイメント作品においては冒頭10分以内で見せ場が1つは必要でしょうから、製作サイドも大変です。 今作は10分~15分以内に、『ハラハラドキドキ』『お色気セクシー』を定期的にはさむことで、『なんか面白い』と観客に錯覚を起こさせることに成功しています。ですので、ストーリー自体はそんなに面白いものではございません。見せ場の使い方が上手いということでしょう。 冒頭では『人間地雷』。序盤の『60秒ハッキングテスト』。『もう一人のハッカーの暗殺』。『ハルベリーのプチサプライズ』。 『いったい何の意味が?』というシーン、エピソードが、私達観客の意識をひきつけておくための『餌』だとしたら、その説明もつきそうです。 終盤からクライマックスにかけてはストーリーも面白く、作品全体のプロットが見えてきます。 スタンリーはガブリエルとジンジャーが大金もってまんまと逃げおおせたのを、それ以上は追求しません。『たいしたやつだ。』の一言には、ガブリエルを人として絶対に許すことはないが、人として認めることはできるという意思が見てとれます。 実際に、ガブリエルは潤沢な資金を手にし、次々とテロリストを始末していきます。 悪の華、アンチヒーローの誕生です。 もちろん、ガブリエルによって、罪の無い人が無残な殺され方をした事実は消せません。ですがそれを言い出せば戦争だって同じですからね。 理屈ではガブリエルの合理性を認めながらも、人としての良心、道徳を重んじるスタンリーは、ガブリエルに賛同することはないわけです。二人はさながら『曹操』と『劉備』のような関係ですね。 この作品に難があるとすれば中盤。 今何が起きていて、誰が何をしようとしているのか、テンポを重視したため説明不足すぎる箇所が、中盤に集中しています。 特に背信議員によって派遣されたヒットマングループの車襲撃シーン。スタンリーがジンジャーを問い詰めるシーンなどは、一瞬なぜそうなったのかわかりません。しばらく様子を見て、あるいは結果を見て、『あー、そうゆうことか。』と結局は答えが提示されるから良いんですけどね。スピード感を重視し過ぎると、説明不足を招き、臨場感を損ない、中だるみさえ引き起こしかねない、と感じます。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-11-19 11:54:04)(良:1票) |
1170. ワイルド・スピード/SKY MISSION
《ネタバレ》 前作の『EUROMISSION』より良かったが、『MEGAMAX』には敵わないという印象。それでも『MEGAMAX』に匹敵する面白さということで8点。 今作では、より少年漫画のようなノリが強くなりました。 主人公メンバーにそれぞれ因縁の相手みたいなのができます。 『ドムVデッカード』。『ブライアン』VS『キエット』。レティやテジにも少しではありますが、見せ場があって嬉しい。 お気に入りのローマン・ピアースだけが、完全にお笑い担当に成り下がっちゃってますね。それはそれで良いのですが、彼にもお笑い以外での見せ場が欲しいところです。 今作は車だけでなく、格闘シーンも今までで一番スピード感を感じます。 カーレースも相変わらずの迫力。初期の頃が懐かしくなるくらい何でもありの世界へ。そろそろネタも尽きるのではないかと思っていたのですが、無人戦闘機と公道でバトルさせるとは恐れ入ります。 ストーリーはゴリ押しも良いところで、ここまでくると笑っちゃいますね。 デッカード・ショウを探すために危険を冒して『神の目』と『ラムジー』を奪還するドミニクチーム。 そしてその奪還ミッションの最中に襲い掛かるデッカード。 ん?何かおかしくないですか?デッカードいるやん。・・・とか考えたらダメなんでしょうね。これは考えたら負けですね。 まあ結果、奪還ミッションのせいでいたずらに敵を増やしただけっていうのが笑ってしまいますが。 このシリーズでストーリーにつっこみを入れるのはもはやご法度であり野暮ってもんでしょう。 細かいところも細かくないところも、海のように広い心でさらっと受け流し、数々のアクションを何も考えずに楽しんでいれば、こんなに面白いシリーズはないんですから。 それにしてもデッカード、まるでターミネーターみたいです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-17 15:04:49)(良:1票) |
1171. ヘヴンズ・ドア 殺人症候群
《ネタバレ》 アイデアが面白い。 『死にたがり』が集まるサイト。『死にたがり』が他の『死にたがり』の希望を叶えていくというのが大まかなプロット。 『死にたがりA』が『死にたがりB』『C』『D』と殺していき、その『A』は『E』に殺される。警察が『E』に追いつくと、『E』は『F』によって殺されているという終わりの見えない鬼ごっこ。抜群に面白くなりそうなストーリーです。 ですが、映画そのものはアイデア先行で素材を活かしきれていない感じがします。 かなりの死人が出るにも関わらず、緊迫感のかけらもありません。中盤からは『またか』くらいの感覚で、中だるみを覚えるほどです。 致命的なのは、田中美奈子や前田耕陽の『火曜サスペンス劇場』みたいなノリの演技が、作品の雰囲気にまるで合っていないことです。 また、『死にたがり』の望みを叶えるというのが、この作品のコンセプトであり大事な要であるはずです。にもかかわらず、関係の無い神父を殺す。刑事を人質にとる。途端に俗っぽさが前面に押し出され、本当に火曜サスペンス劇場に成り下がります。これはもったいない。 ただ、『オカルト』と『サイコパス』の融合にみせかけて、実はちゃんとした真犯人がいるというサプライズ的展開は、悪くはないと思います。 そしてラスト。オチに再び意味不明なホラー要素のつけたし。潔さがないですね。脚本のセンスのなさを感じます。 [DVD(邦画)] 4点(2016-11-16 15:13:54) |
1172. クライム&ダイヤモンド
《ネタバレ》 軽妙洒脱なクライムコメディですね。 クリスチャン・スレーターが好きで見たのですが、彼よりも『毒舌ジム』を演じるティム・アレンが凄く良い味出しています。 この作品の笑いはティム・アレン一人で全部持っていっているかも。 映画好きの殺し屋。 その殺し屋に今までのストーリーを聞かせるという、よくあるパターンの物語。 そのよくあるパターンを、『毒舌ジム』という強力な個性が、斬新なストーリーに変えています。 警察も良い味出しています。 リチャード・ドレイファス演じる奇術師マイコーも、ビリー・コノリー演じるサビアンも、良い脇役です。 主役級はもちろんですが、良い映画というのは、『脇』が良い気がするのですよね。 どこかで見たことあるようなシチュエーションの映画も、完成度が高ければ十分に面白いという作品の典型でしょう。 むしろ定番のハッピーエンドへ進むのだろうということがある程度予測されちゃうので、安心して見ることが出来ます。 もちろん予想外の展開になれば、それはそれで面白いのです。 ただそんなよくあるパターンの中で、伝書鳩にダイヤを2個ずつつけて飛ばすというアイデアは凄く良いですね。 地道な作戦なのに、爽快でおしゃれでわくわくする不思議な感覚。 一つ不満をもらすなら、ラブコメパートでしょうか。 ポーシャ・デ・ロッシはかわいらしい女優さんではありますが、彼女とのシーンになるたびに、トーンダウン、ペースダウン、中だるみを感じちゃうのです。そこだけがちょっと残念ですね。 ラストは良かったですけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-13 23:10:32)(良:1票) |
1173. シンドバッド/7つの海の伝説
《ネタバレ》 ビジュアルが美しい。アニメーションがなめらかできれい。スピード感があって面白い。声優さんも完璧。 特にお気に入りのシーンは、『ドラゴンの牙』のセイレーン。恐ろしさと美しさを併せ持つ名場面。さすがはディズニーですね。 ですがストーリーは一本調子。基本的には逃げの一手。途中で飽きます。 また、他のキャラクターのビジュアルは申し分ないのですが、カオスの女王エリス、シンドバッド、マリーナ、メインの3人のビジュアルが好みでありません。これは致命的。誰か一人でも好みに合っていたら、ストーリーの拙さをカバーできたのに。 子分たちも登場シーンはイカしていたのに、それ以降は完全にモブに成り下がります。 副官みたいな人、武器をいっぱい持っている人、やたら身軽な人。 魅力的なキャラクターも結構登場させておきながら、全然活躍しません。 日本の人気漫画『ワンピース』なんかに慣れ親しんでしまうと、物足りないのです。 バトル系やアドベンチャー系では、やはり日本の漫画はトップクラス。すべてのキャラクターに見せ場があり、イキイキと活躍するのです。 この作品も悪くはありませんが、日本の漫画には遠く及ばないですね。 [DVD(吹替)] 6点(2016-11-13 15:06:06) |
1174. インファナル・アフェア 無間序曲
《ネタバレ》 残念ながら、1作目の緊迫感と衝撃には敵わず。 一番の原因は、潜入をしている二人がメインではないからでしょう。 ウォン警部とルク警部。マフィアのほうではサムとハウ。そしてサムの妻マリー。 そういった人物たちを中心に物語は展開していきます。 よって、前作のような衝撃のラストが待っているわけではないので、サスペンス色は弱めに感じます。 ですがクライムムービー、マフィアものとしては素晴らしい完成度で、見所が多いのは確かでしょう。 ただ、クライマックスが中盤くらいでいっきに押し寄せるため、終盤からラストにかけては消化試合のような雰囲気に。 この後半でラウとヤンがそれぞれの潜入を活かしたあっと驚く展開ストーリーが待っているかと思いきや、何もなし。前作の説明書的役割に落ち着いちゃってますね。 まあそれでも、ハウの2年分の証拠をきっちり集めたヤンは評価しましょう。 その一方で警察内部に潜入しているラウは果たして何の役に立っているのか? そもそもラウを警察官に仕立て上げなくても、サムはウォン警部から情報を仕入れられるのだから、ラウ潜入の必要性がほとんど感じられないのは残念ですね。 怒涛のごとく死者の山を築いていく中盤から後半は、その勢いに圧倒されること間違いありません。 バイオレンスギャングムービーとしては良作、なんでしょうが、そうなってくるとあまり好きなジャンルではないんですよねー、これが。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-13 04:29:55)(良:1票) |
1175. ブラックホーク・ダウン
《ネタバレ》 実話をもとにしているだけに、ドキュメンタリーのように事実だけが淡々と映し出されていきます。 ですが退屈とは無縁の内容ですね。 ソマリアのアイディード将軍の側近?の身柄を拘束するだけの強襲作戦。速やかに30分程度で終わるはずだった作戦は、泥沼の市街戦へと突入。陸上部隊も、輸送トラックの部隊も、予想を超える攻撃に次々と死者を出します。 そして撃ち落とされるブラックホーク。救援に向かうブラックホークまで撃ち落とされ、被害は拡大の一途をたどります。 1名、2名を救うため、更なる死傷者を出していく。 単純な足し算引き算ができないのはわかっていますが、やりきれない思いでいっぱいになります。 『あいつらは石を投げてくるから気をつけろ』に代表されるソマリア民兵を下に見る、数々の格下発言。 民兵の子供達が無線機でヘリの音をとり、米軍の出動を知らせるシーンで、子供達に向かってヘリから手を振るアメリカの兵士。 確かにこの作品は純粋な反戦映画ではないのかもしれません。 むしろ、戦争の相手を『無能』『格下』と決め付けてしまったがために、急襲が急襲でなくなり、待ち伏せに会い、被害を拡大させてしまったことをアメリカに反省させるような内容に見えます。 見逃してしまった待ち伏せのサイン。あそこで待ち伏せされていることに気付いていれば、アメリカもソマリアも被害が拡大することはなかったのでしょう。 戦争をする気はなかったのに戦争になってしまった、というのが本当のところではないでしょうか。『これはもう強襲作戦ではない。最悪の市街戦へと突入したんだ。』という本部の上官の悲痛な叫びが、すべてを物語っている気がします。 登場人物が多すぎて、誰が誰だかわからなくなります。誰がデルタフォースなのかも、途中からよくわからなくなります。ソマリアの人たちも、民兵と一般市民の区別がつきません。 つまりは、偉そうに語ってしまいましたが、私がこの映画を理解できているのかどうかが、そもそも怪しい。 ですが、戦争のシビアな現実は、少なからず感じ取ることができたのではないかと思っています。 戦争映画でこのコメントを使うと顰蹙を買いそうですが、『大変面白かった』です。 当事者ではないから言える意見ですね。日本に生きる私にとっては、やはり他人事なのかもしれません。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-12 14:17:52)(良:2票) |
1176. スコア
《ネタバレ》 地味で爽快感には欠けるが、中盤からクライマックスにかけての緊張感がたまらない作品。 映画のほとんどがロバート・デ・ニーロとエドワード・ノートンのやりとりで進められます。 エドワード・ノートン演じるジャックがニック(ロバート・デ・ニーロ)を裏切るのは予想がつきますが、それを含めても面白いです。 ストーリーは真新しいものではありません。 金庫破りのプロが、マックスからの依頼で、得体の知れないやつと組まされ、三千万ドル相当の品を盗み出します。 ジャックは警備システム全般を担当、ニックが潜入+強奪を担当。シンプルかつ簡潔。フィールドも限定的です。 だからこそわかりやすく、緊張感がひしひしと伝わってきます。 ジャックは知的障害の清掃員を装っているため、職員からはまるで警戒されず動き放題。そのジャックの面倒を見ているダニーおじいさん。このダニーに、作戦の準備をしているジャックの姿を見られそうになるたびに、緊張がはしります。 この辺りの演出、そしてエドワード・ノートンの演技が抜群にうまいのです。 新感覚、新しいジャンルの映画が次々と創作されていく中で、こういう手堅くて硬派、でもエンターテイメントとして見応えのある作品に出会えるのは得した気分になります。 『隠れた名作』って言ってもいいんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 8点(2016-11-11 01:35:00)(良:1票) |
1177. ダンス・レボリューション
《ネタバレ》 画に描いたようなサクセスストーリーで見ていて気持ちが良いですね。 主人公ハニー(ジェシカ・アルバ)のダンサーとしてのサクセス。 子供達のためのスタジオを手に入れるというサクセス。 二つのサクセスがものの見事に成功していく様子は見ていて爽快。 母親とのすれ違い。親友とのすれ違い。気にかけている子供達とのすれ違い。このちょっとした心のすれ違いが、良い意味で物語を味わいあるものにしていますね。 更には成功と挫折、金銭問題、子供達をとりまく家庭環境や社会問題。たくさんの要素がつめこまれています。その割りに、ストーリーに一貫性があり、非常にすっきりとまとめられていて、まったく違和感はありません。 主人公が努力家なのも良いですね。 与えられたチャンスに甘えるだけではなく、自らの力で成果を出そうともがいている。その姿が魅力的で共感できるじゃないですか。 バスケやなわとびをヒントに振り付けを考えるシーンなど、小さい見所が盛り沢山。 きっとこういう小さい見所の積み重ねが、ラストの感動へとつながっていくのだと思います。 ラストダンスはハニー自身は裏方に徹し、踊りません。それが多少寂しくはありますが、物語のテイストとしては悪くありません。 それに、自分達のダンスで、自分達を取り巻く環境、世界を変えようとしている、『ダンスレボリューション』というタイトルに相応しいしめくくりじゃないでしょうか。 正直ちょっと感動します。 バックダンサーや振り付け師の仕事をしているときに、知り合ったアーティストで、ハニー自身の才能を認めてくれる人がいてくれたことも嬉しい。 良い意味で予想を裏切る、爽やかな味わいの青春ダンスムービーでした。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-07 05:33:12) |
1178. 同い年の家庭教師
《ネタバレ》 コンセプトとシチュエーションは楽しいですね。序盤はかなり面白いと思います。 漫画チックでお約束の連続ではありますが、そのべたな演出が昭和世代の自分と相性が良いようです。 それが中盤以降はなぜか全然楽しめません。 前半までの丁寧なつくりが嘘のように、後半はシーンとシーンのつながりが途端に雑になります。 突然現れる恋敵。突然はじまる恋敵の告白。突然接近する主人公とヒロイン。 シーンも、児童福祉施設⇒ラウンジ?⇒教会⇒空⇒遊園地、とめまぐるしく変わります。 全然気持ちが置いてけぼりにされたままラストへ。 ラストのドタバタは更に加速。 ジフンが、どこかのヤクザの武闘派3人と、熱いラストバトルを繰り広げます。 ・・・あれ?これって同い年の生徒と家庭教師のラブストーリーじゃなかったですっけ? という感じなんです。 中盤以降のカオスな群像劇にまるでついていけず残念です。 ジフン、スワン、ジフンの両親、ジフンを好きな女の子の、心の交流を中心に描いてくれたほうが良かったのではないかと思います。 そして、それぞれの心境の変化などを最後に見てみたかったものです。 [DVD(字幕)] 5点(2016-11-07 00:45:15) |
1179. 2LDK
《ネタバレ》 ささいな言い争いから始まり、それがエスカレートして最後には殺し合いにまで発展するストーリー。 個人的には好きなテイスト、すきなジャンルの作品。 ただ殺し合いにまでエスカレートしていく動機が不十分。 ラナが自分の名誉を希美(小池栄子)に破壊されて、ぶちぎれるのはわかる。 だけど、まだ新人の希美が先輩のラナに対してそこまで憎悪をむき出しにする理由が弱いんですよね。 ここでの説得力が弱いと、『実際こんなことがあるかも』と思うより、『そんな馬鹿な。ありえねーだろ』という気持ちのほうが勝ってしまいます。 一歩引いた目線で見てしまうと、途端に三文芝居に成り下がり、面白さが半減してしまいますね。何とも勿体無いストーリー。 それなりに二人のバトルが面白かったので、最後まで見ることができましたが、『世にも奇妙な物語』の域は出ていません。 二人の強烈なキャラの割りに、はっちゃけ具合も足りないですかね。 カビキラーをかけられたり、電気ショックを浴びたり、熱湯をかけられたりしても、外見に何の変化もありません。 悪趣味なのは勘弁ですが、ビジュアルに対して何の工夫もないのもどうかと思います。 青たんだけ作って、『さあどうだい?刺激的だろ?』みたいに主張されてもね・・・ コンセプトに対して、作り手に気合が足りないように感じられる作品でした。 まあまあ面白いですが、肩透かし。拍子抜け。まあ、そんなものか。 主演の二人は頑張っていたと思います。 [DVD(邦画)] 6点(2016-11-06 03:11:06) |
1180. ターンレフト ターンライト
《ネタバレ》 すれ違ってすれ違ってすれ違って・・・最後にようやく出会うお話。 その出会い方も、さんざんすれ違っておきながら最後は大地震で部屋の壁が崩れて出会うというミラクル。もはやコント。感動というより吹き出してしまいました。 この作品は様々なすれ違いを演出しているのが面白いですね。 『二人は隣に住んでいるのにお互い気付いていない』とか。 『肺炎で二人並んで担架で運ばれているのに気づいていない』とか。 〝赤ちゃん〟と〝犬〟の使いかたは斬新で良い。映画を面白くするために、細部まで演出やストーリーに気を配っているのがよくわかります。 それに主人公二人の周囲の人間は簡単に出会って、次々と恋が成就するんですよね。なのに二人は全然出会うことさえできない。この対比構造がわかりやすくて面白いです。 主人公二人はあまりにも優等生。すれ違いオンリーのストーリーは多少の飽きもくる。 よって発想は面白いのですが、思いのほかストーリーの起伏は少ないかもしれません。 定食屋の娘と、あほ丸出しの医者が良い味出しています。 ただこの二人の存在がコメディ色を強くし、主人公二人のピエロ感を強め、切なさを奪ってしまったのも事実でしょう。 よって、総評。『まあまあ面白い作品』。以上です。 [DVD(吹替)] 6点(2016-11-05 15:32:28) |