101. 茶飲友達
《ネタバレ》 2013年に起きた事件をモチーフにしているとのことですが、今も必ずこのような事案が発生しているはず。切実なニーズと莫大な市場が想像できます。新人のティ・ガールである若葉に指導する形で、仕事の概要を観客に見せるパートなどうまいなと思いました。喫茶店での勧誘シーンも、なんか伊丹十三監督の女シリーズのよう。■しかし。この舞台だからこその超絶面白い高齢者ギャグ(不謹慎)が放り込めたんだと思うが、終始シリアスな話運び。鑑賞後のトークショーでの監督を拝見して、面白話もお手の物だったんだろうけどあえて入れなかったんだと思いました。■また、こんな仕組みが警察に摘発されないわけにはいかないのですが、警察の説明が「ルールを逸脱したから」というのもなあ。おそらく、実際には、軽度の認知症がらみや、年金から何からつぎ込んでしまうような、ルール云々以前の実害があったはず。これはこれでいいじゃんという面ばかりで、負の側面が少ない。■こんな実話よく残ってたなっていう、せっかく良いカードを引き出したんだから、もう少し高い役(やく)を狙ってくれればよかったのにと思っています。 [映画館(邦画)] 7点(2023-04-01 18:59:56) |
102. 地球侵略27日目
《ネタバレ》 高い文明をもつ異星人に試された地球人ではあったが、優秀な博士がその秘密を解読し兵器の力を反転して使用することにより、地球にはワルものは消え去り、また危機にもあった宇宙人を地球に迎えることができましたとさ。めでたしめでたし。ということで、合っているのでしょうか?■自信がない。■最後は、そんなこともあろうかと思っていたのさ、とでも言いたげな異星人が、なんだかなあ。 [DVD(字幕)] 2点(2023-03-28 22:26:54) |
103. 刑事コロンボ/自縛の紐<TVM>
《ネタバレ》 自分で編み込んだトリックに縛られた犯人と、決め手にもなった犯人により縛られた靴紐のことがかかって、(原題とは似てもにつかぬ)邦題「自縛の紐」が生まれたのだと思います。もしかするとタイトルでネタバレ?とも思いますが、コロンボシリーズの邦題は、すべからく原題とは似てもにつかぬものであり、邦題をつけた人が愛着を持ってつけたんだろうなあと思えるものばかりです。そんな中でも、本作の「自爆の紐」は味わい深いものだと思っています。 [DVD(吹替)] 8点(2023-03-27 19:27:03) |
104. NOPE/ノープ
《ネタバレ》 なるほど。我々の知っている物理法則では理解できない、(生物だと想定して)全く心情を想像できない新しい恐怖の対象を作り出そうとしたのだと思ってます。いいじゃないですか。志が高い。しかも、ミッションのゴールを、それをカメラに残すというところに置いたところも好きでした。しかし。結果として、結構正体をあらわにしてしまっているのですね。また、最後には退治までしちゃったようにも見える。まあ、観客に対して親切と言えば親切ですが、もっと乱暴にしてくれてもよかったのにと思っています。【追記】猿のシーンは、どう扱ったらいいのかよくわからない。ただ、とてつもなく忌まわしいシーンだなあと。このイメージでもう一本短編映画が撮れそう。Gジャン同様、対処のしようのない恐怖として、親切でサービス精神の旺盛な監督がぶち込んできた、おまけのショートドラマだったのかもしれないと考えています。 [DVD(字幕)] 7点(2023-03-22 20:57:25)(良:1票) |
105. 性本能と原爆戦
《ネタバレ》 ■視聴してみて、あらためてよく分からない「性本能と原爆戦」という邦題。大蔵映画っていうものすごいクセが強い配給会社の手によるものとのこと。■原題は「ゼロ年のパニック」。ゼロ年とは。核兵器が使用された第3次世界大戦により、文明社会が最もダメージを受けた年を指定したもの。そこからの逃避行が本作。■主役のハリーは家族を護るために必死なのだが、画面に登場する人物の中で、最も暴徒的なのが皮肉だ。誰よりも人格が豹変した彼が、(異常な状況を乗り切るために)「我々の価値観を維持し、通常の日常を送ろう」とか、(娘を襲った2人を殺害して)「他人の悪意を探していたが、私の中にもあった」とか、いったい今更どの口がいう、というところも含めて面白い。■いまこそ、リメイクする価値のある作品。邦題もちゃんとしたのつけて。【追記】本当は「父性本能と〜」だったのではないか。クセつよの配給会社が、どっかで「父」をふざけてもいでしまったとか。 [DVD(字幕)] 8点(2023-03-20 20:01:15) |
106. イルカの日
《ネタバレ》 静かなサスペンス。得体の知れない組織の気配など好きでした。しかし、物足りないところもある。イルカの描かれ方が、無垢でかわいい一辺倒でもったいない。イルカには凶暴な獣の側面もあるわけで。また、冒頭の講義でも紹介されていたように「数マイル四方の情報をキャッチできる」「人間で言えば超能力」を持っているのであれば、それを生かしたシーンがあればなあ。大統領の船に爆弾を仕掛けに行くビーを止めるのに、ファーはあんなに懸命に泳がずとも、声を届けられたのでは、【蛇足】念の為、吹き替えでも少し見てみたら、ファーにも日本語吹き替えが付いていました。 [DVD(字幕)] 5点(2023-02-24 16:53:48) |
107. PLAN 75
《ネタバレ》 角谷ミチが生き延びたのは、物分かりが良すぎる自分に対する抵抗ではなかったか。 [インターネット(邦画)] 10点(2023-02-20 06:39:24)(良:1票) |
108. ジェノサイド ナチスの虐殺 ホロコーストの真実
《ネタバレ》 ■当時の写真や動画を編集した、ナチスによるホロコーストのドキュメンタリー。本作を観たら、グイドが愛息ジョズエのためにつらぬいた嘘が白々しくなってしまいます。もう「ライフ・イズ・ビューティフル(1997)」を観られなくなったかも。■とにかく人格を無視した悪辣な連続殺人事件が600万人も組織的に起きている様を観るわけです。戦争が怖いというより人間が怖い。■よその国の昔のこととは思わない方がいいのだ。一人一人は善良でも、集まるととんでもないことを始めてしまう集団を大なり小なり見てきたからね。■組織を笠に着てヒトを踏みつけにするような人間に、自分がならないことをまず考えたい。 [DVD(字幕)] 6点(2023-02-17 17:11:15)(良:1票) |
109. プライベート・ベンジャミン
《ネタバレ》 子供のころ、映画雑誌でよく目にしていた本作をやっと見たという感慨はあります。しかし。頼りないけど可愛らしい女性が、軍隊で酷い目に遭いつつも、望外のラッキーに恵まれて、成功を収めるみたいな話だと思ってたのですが、大金持ちとの結婚を夢見ていた女性が、自分の力で生きていくことを決めるまでの物語だったのですね。予想していたのよりもコクのある話だったと思いますが、だからといって、面白かったかと言うとそうでもないなあ。実戦演習のグダグダっぷりはなあ。当時売れっ子だったゴールディ・ホーンが、制作総指揮までやって作った彼女のプロモーションビデオだったのではないでしょうか?ワタシが軍隊に入ったら面白いんじゃね、みたいな。◆ただ、映画のポスター(DVDのジャケット)はすごく好きという厄介な映画。 [DVD(字幕)] 3点(2023-02-11 15:09:45) |
110. 狂った野獣(1976)
《ネタバレ》 「暴走野獣・速水伸」とかいうテレビドラマがあり、そのスペシャル版として映画の「狂った野獣」が制作されたとしたなら、まあ理解できるのですが、そういうわけでもないのですね。犯人側サイド(またはバスの乗客)のキャラが立ってたと思いますが、敵役の警察があまりにも行き当たりばったりなんですよね。作戦らしきものを立てるんだけれど、ことごとく裏を書かれるような筋だったら(コヨーテとロードランナーのような)と思っています。コメディなんだし。後半、ただバスがパトカーを壊すだけの映画になってしまってました。オチは、こう落とすのかと少し感心しましたが(というほどのものでもない)。 [インターネット(邦画)] 4点(2023-02-05 21:15:11) |
111. ベイビー・ブローカー(2022)
《ネタバレ》 ワタシは見ていて、「八日目の蝉」を思い出していました。どうしても我が子を手放さなければならないソヨンの強烈な母性。単に愛情などというのもではなく。そうであるならば、最後に譲り渡すことにしたご夫婦こそ、愛情深いと思われ。これはいいです。 [DVD(字幕)] 8点(2023-02-04 14:06:28) |
112. ブレット・トレイン
《ネタバレ》 パラレルワールドのような「奇妙なニッポン」が見たいというニーズは世間には確かにあって、実はワタシもそういうのが見たい一人です。そこを狙ってやってるんだろうし、そういった意味では最後まで面白かったとは思うんだけど、しかし。■伊坂幸太郎の殺し屋シリーズの映画化って、「漫画の映画化」と同じハードルがあるように思うのですね。小説なんだけど、読者は明確なビジュアルをイメージしてページをめくっていたのではないかと。こんなのオレの蜜柑と檸檬じゃない。東北新幹線ではなく、東海道新幹線にしたのは「奇妙なニッポン」的には正解なんだろうけど。■運も不運も捉え方次第なんて話ではなく、原作では命をどう扱うかというようなお話だったかと思っていまして。もっと原作に敬意を払えよって、ヤボを承知でちょっと思ってます。 [DVD(字幕)] 6点(2023-01-27 20:07:24) |
113. ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌
《ネタバレ》 向田邦子ドラマスペシャル(監督;久世光彦)のような佇まいもあり、差し込まれる音楽パートは、NHK「みんなのうた」のものすごくいいときのヤツのよう。いや、この音楽パートのクオリティがとてつもなく高く、さくらももこ氏がどれくらい入れ込んだんだろうと。私も買い物ブギが好き。基本、にぎやかな映画なんですけど、のっそりと始まるオープニングが、なんでかってくらいすごい好きです。 [DVD(字幕)] 7点(2023-01-22 12:56:21) |
114. アイス・ロード
《ネタバレ》 雪道でスタックしたり、氷上運転でスリップした経験がある人には、きっと面白い映画。やっと渡った橋なのに○○○のシーンとか、あのジワジワどうにもならない感じがホント怖い。首振り人形をセットするシーンがすき。おまじないかと思いましたが、危険を察知するセンサーなのね。プロっぽい。あの仕事をする人独特の流儀、あるあるネタがもっとあったんじゃないでしょうか。鉱山会社の裏切りエピソードとかより、ガッツリお仕事ムービーにしたらもっと良かったんじゃないかなあ。つまり、もっと氷上の「恐怖の報酬」に寄せてくれてれば。 [DVD(字幕)] 7点(2023-01-04 19:23:52)(良:1票) |
115. みかへりの塔
《ネタバレ》 うんざりする映画だと思いました。■ニセの家庭に素行の不良な少年少女を囲い込み、矯正する。家庭内では、お母さん役の保母とお父さん役の先生の裁量でルールが決まっていく。その外側では教護院のシステムで物事が決まっていく。■「家庭」をことさら標榜する組織は怖いですよ。■土木のプロが監督するわけでもなく、2㎞の水路を手作業で切り開いていく。子供たちが。作業中に倒れる子供、体調を崩してなお、医務室から現場に行こうとする子供。合理性とか、成功にむけての道筋とかがみられない。ただ、従ってがんばるだけ。これらが美談として流通されていたんだから。■最後の卒業式のシーンでは、マインドコントロールの終わった子供が野に放たれていくよう。■戦前を強く意識する作品でした。そういった意味では意義深い。■清水宏ですら。 [DVD(邦画)] 2点(2023-01-02 19:54:23) |
116. 狩人の夜
《ネタバレ》 サイコ野郎や宗教カルトがあり、影絵のような美しい映像も、動力のない小舟に乗って殺人鬼から逃げるような風情のある演出もあり、またクリスマス映画でもある。見所はたくさんあったのだと思うが、何か物足りない。これは、物語の所々に現れる変態パウエルのツメの甘さからくるんだろうか…。などと鑑賞後、何か理解しがたい思いがあり、チャプターリストを見直していたら、チャプター1のタイトルは「怖い怖いおとぎ話の始まり」。なるほど、この物語を、最後にジョンとポールを救ってくれた女性(クーパー、冒頭にもでてた)が語っていたおとぎ話だとすれば、なんとなく全体の調和が取れるような気がするが、なんだよそんな手の込んだメルヘン話かよとも。 [DVD(字幕)] 6点(2023-01-01 23:06:59)(良:1票) |
117. 死刑にいたる病
《ネタバレ》 んー、なんかピンとこない。死刑にいたる病とは、連続猟奇殺人すら馬鹿馬鹿しくなった榛村の患った病であり、絶望だと思っています。もはやすべてを終わらせるために、根津かおる殺しをやった。しかし、本作においては、殺人の描写がいたずらにキツく、またサイコなシリアルキラーにみんな滑稽なくらい動かされていくその様だけが強調されていたような気がします。連続殺人犯の異常性だけを言いつのる話ではないのだろう。最後のネタばらしもそうインパクトはなく、そういえば、そのこと忘れてたくらいなものでした。原作で答え合わせしたくなる映画ではありました。それはさておき、阿部サダヲはやっぱりすごいよね。もはや、主役しかできないんじゃないだろうか。なんか神がかっている。 [DVD(邦画)] 5点(2022-12-28 17:04:14) |
118. 裸のムラ
《ネタバレ》 面白かったです。ムスリムの家族とバンライフを送る家族がよかった。北陸の地方都市においては異質な家族だと思いますし、ワタシも初めはおずおずと見守ってましたが、今は親しみしかない。抱えてる悩みは、ウチとおんなじじゃないですか。もちろん独特なイベントはあるのですけど、家族の有り様としては同じです。石川県庁パートは、アウトレイジみたいでもある。同監督の「はりぼて」テイストがあって、天を仰いで笑うに笑えない。谷本知事もウチに帰れば、家族の一員だろうに。■鑑賞後、監督の舞台挨拶をお聞きしました。3つのパートの間に対比があって映画が進むとのお話でした。しかし、ワタシは、観客は全体で解釈しようとせず、3つのパートをオムニバスで見たとしてもそれで良いのではと思っています。ただ監督の興味が向かった3つのことをドキュメンタリー映画にした。「裸のムラ」っていう幅広なタイトルが、五百旗頭監督界隈のリアルな現実及び今どきのニッポンを意味しているのであれば、「裸のムラ」シリーズで定期的に上映して欲しいと本気で思ってます。 [映画館(邦画)] 8点(2022-12-24 14:44:01) |
119. デフ-コン4
80年代で世紀末を描いた作品といえば、邦画では「狂い咲きサンダーロード」があります。それとはまったく異なるモチーフなんだけど、でも乱暴でタブーなんか無視した物語展開という点では似ているような気がします。本作が好きかといえば、彼の作同様、好きではないワタシですが、たぶんこれ好きな人がいるよという熱気は感じるやっかいな映画です。なお、デフコン(アメリカ英語: DEFCON)とは、「Defense Readiness Condition」の略で、通常は戦争への準備態勢を5段階に分けたアメリカ国防総省の規定を指す、とのこと(コピペ:Wikipediiaより)。5は平時で、1が戦争状態とのこと。「4」って、本作のような状態なの?だいぶ、仕上がった状態じゃん。納得いかない。 [DVD(字幕)] 3点(2022-12-17 20:13:39) |
120. 金環蝕(1975)
《ネタバレ》 悪い自民党と提灯持ちのマスコミ。■コロナ禍+東京オリンピック2020があぶりだしたように、そのなれの果ての世界に生きる我々のワケでして。一部の団体や組織のための政治であることを隠すことさえしなくなった自民党と、あの総務大臣政務官や政務会長や衆議院議長を糾弾できないマスコミ。■本作で、脈々と続くそのフォーマットを観て、怒りではなくて、ワタシはもう「あきらめ」の感情しかない。イヤな映画だと思う。■ワタシが疑心暗鬼になるのは、自民党議員の中には、好ましいこととはいわないけど、俺たちって所詮こんな感じだよねって、あたかも本作の登場人物のように振る舞っている人物もいるんじゃないか?、ということ。自己模倣。ある種の政治家の参考書みたいになってるんじゃないか?■ようするに本作や本作的なものが、このフォーマットを許すための逆・プロパガンダになっちゃったのではないか?(考えすぎ)。□それでも、悪い点がつけられないのは、気持ち悪い総理の女房役・星野官房長官を演じた仲代達矢と、彼の「最後のチャンス」とはなんだったんだろうと心にのこる石原金融王を演じた宇野重吉。役者は、確かにすごい。 [DVD(邦画)] 6点(2022-12-10 04:43:53) |