Menu
 > レビュワー
 > タケノコ さんの口コミ一覧。6ページ目
タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

たまにポチっと「良」投票・・・

よろしくお願いいたします。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314
投稿日付順1234567891011121314
変更日付順1234567891011121314
>> カレンダー表示
>> 通常表示
101.  カエル少年失踪殺人事件 《ネタバレ》 
同じく韓国映画であり、やはり実在の未解決事件を題材にした「殺人の追憶」が骨太のサスペンス映画だったのに対して、本作はより娯楽性の高い社会派ドラマを意識した作りになっています。 少年5人が神隠しにあったように消え去り、数年後に白骨死体で発見された。この事件が持つ異常性や「未解決事件」という大きな注目度は、メディアや評論家すじにとっては "金のなる木" です。この映画はその、金のなる木に群がるTV屋の男と大学教授の暴走ぶりによって、多くの問いかけを視聴者に投げかけます。彼らが求めるのは本当に真実の究明なのか、それとも名声なのか? そして、目的のために人は真実をどこまで歪曲していいのか? 興味深いのは、この事件を利用して金儲けをしようとする意味では、この映画も彼らと同類ということ。しかし、犯人がハッキリと顔を出して登場し、主人公とカーチェイスをしたり、殴り合いをしたり、このへんは安っぽい感じがしてキライでしたが、思えばこれは「娯楽映画」(=事件をモチーフにしたフィクション) であることの堂々たる宣言のようにも思えます。ここで改めて、この映画は前述のメディアや評論家たちとは一線を画すことが理解できます。真実を伝えることだけが目的じゃない。初めから、その目的自体が違う。 最終的に遺族の側に寄り添い、死んだ者たちは天国で仲良く幸せに、といった決着は、「映画」だからこそできる、被害者や亡くなった遺族たちへの精一杯の供養ではないのか。
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-19 10:49:04)
102.  海炭市叙景 《ネタバレ》 
暗い救いがない、と有名な本作ですが、実を言うと、函館山の山頂から見た日の出のあまりの美しさに感動して、最初のエピソードから私は涙が出た。だがしかし、その光景を目にしながら兄は将来を悲観して自殺することを決心した。希望と絶望は紙一重であることを痛感させるエピソードのように思えた。 そして、土地開発によって立ち退きを迫られる老婆、プラネタリウム男、無能でパワハラ志向で浮気性でDVの二代目社長、、全てのエピソードとその主演者には、一つ共通点がある。それは家や歴史に頑なに執着していること。つまり彼らはみな、未来を見据えることができず、過去にすがって生きている、ということ。 救いがないエピソードの羅列だが、「函館」という街の衰退を描いた疑似ドキュメンタリーとしては秀逸だ。 ちなみに、函館山から望む市街地の夜景は「世界三大夜景」なそうだ。 美しい光の群れ、、もしこれから観光で訪れたとしても、それがSOSの救難信号に見えそうで私は少しだけ心配している。
[DVD(邦画)] 6点(2020-12-16 12:17:20)
103.  裏切りの街 《ネタバレ》 
まさかの全員でしたか (笑) こうなってくると全員が悪者みたいなもので、だから「人」ではなくて、舞台である「街」が主役の物語、なんでしょうけど。 ストーリー上、駅前の繫華街や裏通りが頻繁に登場します。それは見通しが悪くて、複雑で、一つ道を曲がったすぐその先に背徳の温床 (ラブホテル) があって、、まるで "ネット空間" を彷徨っていかがわしいサイトにたどり着く危うさとよく似ていますわ。 そうそう、寺島しのぶさん演じる彼女。実は欲しかったのはセフレではなくて、赤ちゃんではなかろうか? エンドロール前後のまんざらでもない様子から、夫では子宝に恵まれなかった崖っぷち女による最後の手段としての不倫、だったように思えてならない。でもこれが真実ならば、彼女には少し同情したくもなるけど、これはもう行為としては単なる不倫の域を超えちゃってるよねえ、、。なんだか、女の怖さとか、ずる賢さを見た気がするけど、映画の終わり方はそうは見えないんだよなあ。 結局のところ、ちょっと何言ってるかよくわかんない。この映画は。
[DVD(邦画)] 4点(2020-12-07 18:12:59)
104.  さいはてにて やさしい香りと待ちながら 《ネタバレ》 
眼前に広がる海という絶好のロケーションにおいしそうな珈琲、映画としてはこれだけでもう半分は勝ちというか、、。 ただ、肝心である人物の描き方が弱い気がしました。特にシングルマザーの絵里子さん。岬と彼女の合流は想像に難くありませんが、困ったことに、そこに至るまでの彼女の心境の変化がほとんど描かれていません。もちろん、彼氏の乱暴がきっかけではありましたが、それにしても、突然手の平を返したように二人が打ち解けたので、かなり違和感を感じました。以降、絵里子さんたら、顔つきも口調も洋服のセンスもまるで別人みたいになってるし、、人ってこんなに簡単に変われるものですか? 岬は以前に東京 (金沢?) で珈琲のお店をやっていて、彼女の作る味は多くの客の心を掴んでいた、というのは説明なくとも展開からわかるので、そこはよかったと思う。 全体的にみて、強く心に残る場面がなかったのが残念かな。海岸一面に巨体を揺らしながら稽古に励む相撲部員たちの光景はシュールで面白かったけど (笑) しかし本作の女性監督はかの楊徳昌のお弟子さんですか、、う~む。次作に期待。
[DVD(邦画)] 5点(2020-12-01 09:05:17)
105.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 
クリスチャン・ベイルがハゲを忙しく隠している。あっという間に見破られる。と言うよりは、とっくのとうにバレている。天才詐欺師が楽々と嘘を見破られる、この冗談のようなオープニングが皮肉まじりで何とも可笑しい。ハゲすら隠し通せない天才詐欺師さんよ大丈夫か、と心配に思いつつ鑑賞。 展開が矢継ぎ早で、状況の理解が難しい場面もありましたが、豪華出演者たちの演技合戦を楽しむだけでも観て損はない好作であることは間違いありません。 女優二人は本当にパワフルで、女はあれぐらいでなければ裏社会では生き抜けないということか。 デ・ニーロの登場は映画ファンには嬉しいサプライズ。演じた役柄もお得意のもので、まさに余裕綽々、貫禄の演技でありました。 人生はめくるめく騙し合い。騙すか騙されるかの世界であることはよくわかっておりますが、詐欺師になることも詐欺に合うこともご遠慮したい私は、やはり平凡な人生に価値観を見い出したい。
[映画館(字幕)] 7点(2020-11-20 21:23:11)(良:3票)
106.  メランコリア 《ネタバレ》 
鬱病の話は散々出たのでもうやめておこう。 これはつまり、巨大惑星メランコリアを男性になぞらえた、壮大な愛の物語だ (笑) 全ての発端は、ジャスティンの「誘惑」だ。誘惑と書いて字の通り、彼女の美しい裸体が惑星を誘う。彼は地球の近くを素通りするつもりが、素っ裸で森林浴をする彼女に気づいてしまった。地球上で最高の「美」を見つけてしまったから、さあ大変。彼女に一目惚れしてしまった彼はしばらく悶々と地球付近に停滞したが、彼女の求愛サイン (枝のヤツ) にとうとう抑えきれなくなり、まっしぐらに彼女のもとへ、、 メランコリア (鬱病) とジャスティン (鬱病) は抱擁し合い、その愛は地球を救う・・・ どころか、その愛は地球を破滅させてしまった。 色々な警告だろうな、さすがは、ラース・フォン・トリアーだ。
[DVD(字幕)] 6点(2020-11-20 21:13:15)
107.  母よ、 《ネタバレ》 
「息子の部屋」のナンニ・モレッティ監督らしく、本作も「死」をテーマにして、淡々とした語り口で物語を描いていきます。監督の描く死には宗教観や倫理観は見えなくて、かと言って劇的な出来事でもなくて、まるでそれぞれの人にとっての人生を締めくくる通過儀礼のよう。 また、平坦なストーリーで退屈になりがちな映画でしたが、個性派ジョン・タトゥーロの何かしでかしそうな存在感がそこを救っていたように思う。 お分かりになるように、今回は象徴的に壁 (境界線) が多く登場します。 労働者と経営陣の間にある工場の壁。娘と母の間にある病院の窓。そして、生と死の境界線。 人は生きていく上で、知らず知らずのうちに多くの境界線を越えていくものだけど、生と死の境界線だけは母と子が正しく順番にその線を越えていけたら、それはお互いに幸せな人生を送った、と言えると思う。 とても感動した、泣けた、と言うよりは、観終えた後からじわじわと静かな感動が押し寄せて心が熱くなるような、そんな映画でした。 何気に邦題もいい。 母よ、に続く言葉、きっと観た人それぞれの心にありますね。
[映画館(字幕)] 7点(2020-11-20 21:09:15)
108.  ハッピーエンド(2017) 《ネタバレ》 
題名に嘘偽りなく。トランティニャン爺がこの結末を自ら望んだのだから、彼の主観的に見るならば、紛うことなきハッピーエンドなんでしょう。そして、誰もが羨む金持ち一家が迎えた終焉ということで、客観的には "他人の不幸は蜜の味" というハッピーエンドでもある。そこが、ハネケのイヤラシイところ。 しかし、これをSNSというフィルターを通して見れば、少女が見ず知らずの車椅子の老人を快楽的に海に突き落として動画撮影しているようにしか見えず、残念ながら当事者たち以外には「ハッピーエンド」には全く見えない。 要するに、世界中に溢れる芸術性のかけらもない稚拙な映像作品によって、意図的あるいは偶発的に真実が歪曲されて伝わること、そこをハネケは警告しているのだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2020-11-20 16:05:37)
109.  海よりもまだ深く 《ネタバレ》 
近年の是枝監督作品はかつての小津監督の映画を彷彿させます。共通していることは、「家族」がテーマであることはもちろんですが、特にその時代を象徴する家族の姿を適格に、少しの哀愁を以て描いていること。本作で言うなら、もはや珍しくもないバツイチ 、低収入の中年男、ダンナより稼ぐ女性などは、今よりもむしろ何十年か経ってから、あの当時はこんな家庭が多かったなあ、としみじみ感じさせるような、そんな予感がするのです。 阿部寛の小悪党のようでもあるが、まったく憎めない魅力的なキャラを含めて、登場人物全員、人生の成功者ではないが人間味のある描き方をされていて、それはとても好感が持てました。 人生にも「台風」があるとすれば、それはたぶん離婚だったり死別であったりします。(要するにあまりよい出来事ではないということ) 台風の最中、深い海の底に潜むタコの姿は、彼が今人生のどん底であることを示唆しています。でも台風一過に覗いた晴れ間は明るくて、暗闇を抜けた先に見えた一筋の光明 (アカルイミライ) にも見えました。 彼は父親になれなかったのではなくて、愛はあったがお金が足りなくて父親稼業に失敗しただけ。だから彼のために一言だけ言わせてもらおう。「失敗も、一度は許そう、父親稼業」 ・・どうか彼の第二、、いや第三の人生に幸あれ。
[映画館(邦画)] 7点(2020-11-20 16:03:55)(良:2票)
110.  旅のおわり世界のはじまり 《ネタバレ》 
序盤の撮影中、前田敦子演じる葉子はいつも蛍光色のカラフルな服を着ています。世界の最果てのようなウズベキスタンの荒涼とした湖の風景に、その色がやたらと映えます。もちろん番組の衣装ですが、映画の意図としては、大人が子供に目立つ洋服を着せる感覚じゃないかな。迷い子にならないように。 湖面に浮かぶ舟や遊園地のアトラクションは、地に足がついていない少女心理の象徴。バザールを一人彷徨う危うさなんか、彼女が人生の路頭に迷う姿そのものでしょう。彼女は「少女」でした。 そんな彼女を高み (大人) へと導いた男たち。日本に待つ彼はもちろん、加瀬亮の上司もしかり。山羊 (オス) は、自由と厳しさが待つ "現実" の象徴でしょうか。面白いのは「愛の讃歌」の使い方で、それが誰のためになのか、本命の彼が確信犯的に登場しないあたり、あえて視聴者それぞれの心にある「顔」を大切にしたように思えます。 それにしても、この映画のなんという音楽の違和感だ。懐かしくてレトロな響きであり、どこか不安な旋律、、すごくいいんだけど、これがこのストーリーと全く合っていないんだ (笑) かつてホラー映画の名手であった黒沢清監督も近年は作風が変わりましたが、どうやらこの音楽 (BGM) だけは主義を貫きたいようだ。実はジャンルではなくて、この揺るぎない「音楽」こそが、黒沢清たる本当の個性かもしれない、、最近はそう思えてきた。
[DVD(邦画)] 7点(2020-11-12 18:26:12)
111.  洋菓子店コアンドル 《ネタバレ》 
スイーツ好きにはたまらない映画。出来上がった完成品はもちろんだが、洋菓子を作成する過程、特に手首より先を意識したショットの数々はよかったと思います。完成品ばかり映すなら、お店の陳列で本物を眺めた方がいいからね。 キャストでは、蒼井優はキャラがわかりやすくてよかったのですが、江口洋介演じる十村の人物描写が浅かったのが残念。現場を捨てた理由は痛いほど伝わりました。しかし、現場復帰の決断に至る心境はよく伝わってこなかった。彼の部屋で、表彰楯などパティシエの賞や、輝かしい過去の写真などがさりげなく飾ってあるショットを入れたらよかったと思います。現場への未練が言葉なくともよく伝わるし、なつめはきっかけを待っていた彼の背中をポンと押しただけ、で違和感なく繋がりそう。それにね、やはり本音として彼の手腕をもっと観たかった。だって、せっかくの「伝説のパティシエ」の技、もっと映さなきゃダメでしょ。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2020-11-12 18:04:11)(良:1票)
112.  モヒカン故郷に帰る 《ネタバレ》 
始めの10分足らずで主要な登場人物たちのキャラが大体わかるという、実にムダのない人物描写はさすが沖田監督。 今回、彼らの趣味は、音楽やスポーツ観戦といった曖昧なものではなく、モヒカン (デスメタル) 、矢沢永吉、広島カープ、なんです。そこ、重要。数多くの中でも、「それじゃなければだめだ」ということ。だから本作ではその趣味について、個人の強い個性、主義 (主張) 、こだわり、または地域のコミュニティや郷土愛を視覚的に具現化したもの、と捉えるべきでしょう。同じ人間同士でも、それは全然違います。もちろん生きていく上で、ぶつかり合うこともあるでしょう。他人同士ならともかく、家族や結婚を通して人や地域のつながりが広がればなおさらで、嫌でも向かい合うことを余儀なくされます。とは言え、生きるということは共存していくことなのだから、他人の "それ" を否定することではなくて、理解し、認め、時には歩み寄ることが大切でしょう。モヒカンと矢沢永吉、デスメタルと吹奏楽、東京と広島 (地方)。ほら、不思議と仲良しこよしに見えてきませんか (笑) みんな、根っこは同じなんです。 ついでに、宅配ピザ屋さんのエピソードは、さも個性を主張するけど、実はどれも大差なく変わらないという「没個性」の象徴ですね、悪しからず。
[DVD(邦画)] 7点(2020-11-12 17:53:33)
113.  オーバー・フェンス 《ネタバレ》 
チャラい感じの恋愛映画と思って敬遠していたが、とてもよい映画だった。 とにかく、函館という街がいい。坂道、人けのない漁港、海の向こう側に見える寂れた工場群、、実に映画映えする風景だ。 登場人物たちもいい。特に近年のオダギリジョーは、本当にいい演技をみせてくれる。軽口の叩き方とか、すごく好きだ。蒼井優はちょっとオーバーだったけど、静かな映画のいいアクセントになっていたように思う。あの鳥の求愛ダンス、うちに秘めた弱さと寂しさを隠すための "虚勢" のようにも見えたが? どうでもいいような若者たちとの合コンの場面に、いい台詞があった。 「20代のうちにたくさん笑ってろ。40代にもなればもう笑えなくなるから」 白岩のこの台詞、心にガツーンときた。もちろん、俺も今まさに彼と同じ年代ということもある。確かに、最近は笑うことも少なくなった。でも、ただそれだけじゃない。この映画のメッセージは、フェンスの中とか外とか、そんなことは関係ない、ということがわかったからだ。 これは職業訓練校という極めて閉鎖的な舞台であり、正しい人生を一歩だけ外れた者たちの物語、と思って少しだけ上から目線で観ていた。 ・・全然、違った。これはぼんやりと目的もなく生きている人全てに対するお説教であり、その背中を押してくれる応援歌だ。 大きな成功ではなくて、自分にとっての起死回生のでっかいホームラン、何とか打ってみたい、、そんな気にさせてくれる映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2020-11-11 10:11:04)(良:1票)
114.  モリのいる場所 《ネタバレ》 
まるで「モリの家」を舞台装置に見立てた、山﨑努さんと樹木希林さんのお二人による夫婦コントですよね。今回、沖田監督のイメージとして、ロケーションが変わらないことが大前提で、役者たちの見た目も演技も大げさでいい、場合によっては宇宙人が登場したっていい、、言わば、コント (お芝居) に限りなく近い映画があったと思うんです。だから、熊谷守一氏という仙人のように超個性的な人物、そして "自宅" を出ないという人生、これはうってつけの素材だったのでは? もちろん、ドリフネタは表向きは笑いですが、これは監督の密かな「メッセージ」じゃないかな。 監督は過去にも、南極観測基地を舞台装置にしたり、映画の中で映画を撮影したり、色々と実験的な試みをされていますが、まだまだその路線を追及されているように感じました。 演者が客を楽しませる、といった意味では芝居もコントも映画も源流は同じだし、映画としてはその境界線にどこまで迫れるのか、監督の挑戦からますます目が離せません。
[DVD(邦画)] 7点(2020-10-11 11:43:01)
115.  ここは退屈迎えに来て 《ネタバレ》 
「私」が車窓から覗く田舎の風景。 チェーンの飲食店や電器屋が幹線道路に立ち並ぶ、よくある地方の街の風景だ。それは自虐的に言うほど、ド田舎ではない。かと言って、都会ではない。でも「中途半端」だから、なおさらもどかしいのかもしれない。 もどかしいと言えば、いったい友達なのか、恋人なのか、全くハッキリしないティーンエイジャーたちの距離感 (関係性) だ。それをまた、誰に肩入れすることなく、客観的に群像劇風に描いていて、最終的に勝者も敗者もないという、何から何まで中途半端で、なんとモヤモヤする映画なんだ。 そして「私」たちの今は、もう子供でもないが、大人にも成りきれないという、どこまでもモヤモヤさせてくれる。 だから本作は、どこからどう見ても大人たちのマキタさんと村上淳さんが秀逸だ。かつて思い描いた人生とは違うだろう、でもそれを受け入れて自虐的に語りながらも、真剣に今を生きている。実にいい大人たちだ。そんな彼らはもうモヤモヤしてないから、私もモヤモヤが少しは解消された。 きっと「青春」なんてさ、大人になるといつの間にか消えてる、モヤモヤモヤモヤモヤモヤのことなんだわ。
[DVD(邦画)] 6点(2020-10-05 23:03:49)
116.  メランコリック 《ネタバレ》 
ストーリーがあり得ないほどぶっ飛んではいますが、ギリギリ破綻していないと言うか、、まさに新人監督ならではの怖いもの知らずな脚本ですよね。私は好きです。 ありふれた日常と非日常の境界線の曖昧さ、そして、近所の「銭湯」でそれが交差するという滑稽さ。果たして、鍋岡に待ち構えるのは天国か地獄か? ハラハラドキドキする展開の先に待つ何という幸せな結末、、と大げさに言っても、せいぜい等身大の幸せなのが多くの共感を呼びます。 ちなみに、鍋岡にやたら急接近してきて銭湯で働くよう勧めたのは彼女でしたね。ふふふ、わかってるぜ、実は彼女こそ (悪の) 黒幕なんだろう? と私は確信していたのですが、それは考えすぎでした。たぶん、私は何かしら映画の観すぎです (笑) でも、たった一人でもそう考える人がいたってことは、彼女の存在そのものがミスリードとして充分機能しているようには思えました、はい。
[DVD(邦画)] 7点(2020-09-25 11:44:37)(良:1票)
117.  教授のおかしな妄想殺人 《ネタバレ》 
まずは聴いてすぐにウディアレン監督とわかる音楽が相変わらずよいです。 地位も学もある男が殺人妄想に駆られて、やがて妄想に飽き足らず実行することに、、といったお話し。J・フェニックスが無表情で暴走するかたわらで、E・ストーンが一人慌てふためく姿は不謹慎な笑いを誘います。 彼はいわゆる「サイコパス」と思いますが、こういった人間を題材にしてホラーやサスペンスタッチにならないのは、まさにアレン監督ならでは。 その悪党は、あの時のペンライト (だったかな?) で滑って自ら奈落の底へ。色恋沙汰には寛容だが殺人者は罰を受ける、といった内容はアレン作品では通例ですが、今回の末路はいつになく、罪と罰や因果応報といった言葉が頭をよぎります。 それとなんだろう、この酷い末路は教授という職業に何か個人的な恨みつらみでもあるのだろうか (笑)
[映画館(字幕)] 6点(2020-09-23 13:07:47)(良:1票)
118.  ウィーアーリトルゾンビーズ 《ネタバレ》 
「何もないーー」耳に残るわ~このフレーズ (笑) 確かに少年たち四人は (心の) 被害者です。でも最大の被害者は実は死んだ親たちなんですが、どうせなら被害者ヅラして調子に乗ってやれ、という発想の転換がまずあります。初代ファミコンを彷彿させる、シュールなアイコンや単音。それは、悲しみや怒りの感情を強調することなく、あえて虚しい心境 (虚無感) を強調してやれ、という考え方を表しています。そもそもセオリー通りならば、冒頭の火葬場の場面は曇りや荒天のはずですが、雲一つない快晴を選択するという念の入れようです。 だから本作のテーマは、人生の苦境における "発想の転換" なのかと。ありがちな "ポジティブシンキング" とはちょっと違う。そこが、凡庸な映画とはあきらかに一線を画すところ。 シンプルイズベストなのか、「ウィーアーリトルゾンビーズ」のテーマ曲はやたら耳に残るし、前述のファミコン演出も斬新で印象には残ります。「不幸」をオープニングとする少年たち四人のRPGに見立てる発想もいいとは思う。でも、面白かったか? と言われるとそこまで楽しめなくて。皮肉にも僕自身が空虚な心境で、どこか冷めた目で彼らを見てしまったんです。そんな私に彼らは気づいたのか、「どうせ他人事と思ってるでしょう?」と訴えるような少年たちのカメラ目線、その眼差しが心に突き刺さりました。
[DVD(邦画)] 6点(2020-09-04 16:27:03)
119.  そらのレストラン 《ネタバレ》 
北海道の風景とおいしい料理でらしい感じにはなっていますが、中身は完全なハリボテです。 まず、料理を題材にした映画でありながら、肝心の料理をする場面は皆無で、出来上がった完成品を並べるだけという芸のなさ。チーズにしても、作られた完成品よりは、それを作る工程 (職人の手作業) がみたいのです。 スポンサーの圧力なのか、まるで新品にしか見えないキレイなお洋服を着回していて、彼らの恰好から生活感を感じない。そもそも、新品同然の作業着や靴を着せられていては、たとえ羊を飼ってもイカを釣ってもトマトを栽培しても、第一次産業に従事する人たちには全く見えません。 (本来はもっと泥臭くて、汗臭いものです) ついでに言うと、いい歳した大人たちが仲良すぎて気持ち悪かったです。この友情ごっこよりは、もっと描くべきものがたくさんあるはずでは? 「狼少女」「半分の月がのぼる空」の深川監督、何だかだんだん悪くなっていくなあ (泣)
[DVD(邦画)] 3点(2020-08-17 21:50:24)(良:1票)
120.  パターソン 《ネタバレ》 
アダム・ドライバーがパターソンの街でバス・ドライバーのパターソンって (笑) 遊び心がすぎるぞ、J・ジャームッシュ。 かつての彼の映画は、ビリビリとした個性を放っていて近寄りがたい空気があったものだが・・。今作はずっと優しく温かくて、監督ご自身が丸みを増したかのような印象を受けました。 家と通勤路、バスからの風景、BAR、滝を望む公園。陽光、行き交う人たち、色づく街路樹。さりげない日常の反復のようでいて、毎日違う顔を魅せる、いつもの風景。大きなドラマはないが、一画一画がとても洗練されていて、まるで写真集のページをめくっていくような味わい深い映画でした。 一つ、インパクトのある台詞があります。「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」 これは、音や韻が持つ響きも含めて "オリジナル" を愛せよ、と解釈したい。 そして本当の個性とは、個性的なことではなく変わらないこと。 一見すると変化しているように見えて、変わらないその本質は、J・ジャームッシュのスタイルそのものです。
[映画館(字幕)] 7点(2020-08-10 12:18:58)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS