1181. スクール・オブ・ロック
《ネタバレ》 これはちょっとだめですね。映画の出来の良し悪しとは別に、ストーリーが受け入れられません。 『終わり良ければすべて良し』って考え方には基本的に賛成なんですけど、これは賛同できない。 スタートがまずい。友人を騙し、学校を騙し、子供達を騙し、その親も騙す。 しかもその動機は、利己的で自分勝手なもの。サクセスストーリーの体を保ってはいるものの、そのプロセスは子供たちの善意とラッキーに頼ったもの。正直デューイ(ジャック・ブラック)が嫌いです。そして自分の職業柄、子供達の貴重な時間を、自分の利益のためだけに奪う行為は許せません。 子供達の得意分野が偶然ばらばら。個性もばらばら。にも関わらず、こんな型破りな新参者の教師の言うことを、誰一人として疑うことなく盲目的に従っています。しかも誰一人として親に『こんな教師が来たよ』ってことを話していません。こんなことはありえない。 子供達はみんな良い子すぎて素敵なんですが、だからこそ怒りがわいてきます。 学校を信じ、高い授業料を払って子供を預けている親達の気持ちはどうなる。 そもそも親だって信念が無さ過ぎます。 確かに最後のバンド演奏は良かったけれど、たったあの1曲で事をうやむやにすべきではないし、デューイを許すべきではありません。 期待して見ただけに、こんないかれたストーリーだとは本当に残念です。 そしてジャック・ブラックの過剰すぎる演技も、肌に合いません。 [ブルーレイ(字幕)] 1点(2016-11-03 12:35:12) |
1182. ジュラシック・ワールド
《ネタバレ》 映画館で見られなかったことをこんなに後悔するのは初めてかもしれません。 ああ、映画館で見たかった・・・。でもブルーレイでも、まじで恐竜がいっぱいだったので大満足です。 オープニングで、テーマパークへの入場を疑似体験。このわくわく感がたまらない。 『こんなテーマパークがあるのなら、自分も行ってみたい。』そう思わせるほどの感動です。 この感覚は、ハリー・ポッターの1作目にも通じるものがあります。 『これからなにが始まるんだろう』という期待感。それがこの作品にはあります。 草食恐竜と大自然に癒され、感動し、肉食恐竜に恐怖する。これこそが恐竜エンターテイメントでしょう。 パニックものとしても定石を踏んでおり、安定した完成度を見せています。 序盤はまだのんきに構えているんですよね。 『警戒レベルを1に』とかほざいちゃって。麻酔銃で何とかしようとしちゃって。スタッフはみーんな『まさか』と思っていて、そんなに危機感を感じていない、それが後半へのパニックへとつながっていく。この辺の演出は結構巧みだと思いますよ。 『麻酔部隊』全滅、ヘリ墜落、プテラノドン脱走。スタッフの顔色がどんどん変わっていくわけです。この辺りが好きですね~。お約束好きの私にはたまらんのです。 今作では、登場人物たちの感情の動きが、セリフや表情によく表れているようです。感情が見えると、こちらもより物語に入り込みやすく臨場感が出て面白さが増します。 確かにこーゆーパニックものでは、登場人物たちの馬鹿な行動は非難されがちです。ですが個人的には人間らしくて好きなんですよね。ここで完璧な対応ばかりされたら、ATMみたいで引いてしまうかもしれません。油断、慢心から生じるジャッジミス。人間らしくて嫌いじゃないです。 『檻から出てったと思い込む』『ラプトルをインドミナレックスと戦わせる』すべて人間の慢心から生じるもので、無いとは言い切れません。 個人的には、そんなことより突然昼から夜に変わったことのほうに違和感を覚えます。せめて夕焼けのシーンくらい欲しいですかね。 それに、恐竜に知性を与えすぎたり、殺すことそのものを楽しんだり、あまり擬人化させすぎちゃうのが好きではありません。 あくまで〝太古の生き物が現代に蘇る〟という夢のようなシチュエーションにロマンがあるのだと思います。 いろいろ文句も書いちゃいましたが、随所にユーモアをちりばめていて、恐竜エンターテイメントしての『怖さ』と『面白さ』の両方をしっかりと見せてくれました。 『あ、ボーイフレンドがいるんで』 唯一既成のパターンを崩す名場面です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-01 12:27:12) |
1183. キス・オブ・ザ・ドラゴン
《ネタバレ》 怒りをアクションで体現できるジェット・リーの本領発揮。 かなり理不尽なストーリー展開が続くため、ラストの警察署殴りこみは否が応にもテンションが上がります。 黒人のボクサーくずれ。二人組みの足技使い。百人組み手。敵もバラエティに富んでいて申し分ない。大変見応えがあるアクションばかり。 ジェット・リー演じるリュウはカンフーの達人というだけでなく、『針』を使って相手の動きを封じる技も使えます。 タイトルにもなっている『キス・オブ・ザ・ドラゴン』がまさか北斗の拳の『秘孔』みたいなやつだとは、だれが想像できましょう。 カンフーアクションを散々見てきたのに、凄く面白かったので、目が肥えた人たちの鑑賞にも応えられる名作かもしれません。 ブリジット・フォンダ演じるジェシカが、かなり自分勝手で被害者意識が強すぎたのが、やや作品のバランスを崩している気がしますが、まあささいな事でしょう。 ひさしぶりの上質な娯楽カンフームービー。 ジェット・リーは最高っす。 [DVD(字幕)] 8点(2016-10-30 12:19:51) |
1184. フラッシュバック(2001)
《ネタバレ》 レイチェル・リー・クックが好きで見たのに、あまりのつまらなさに彼女を嫌いになりそうです。 どう扱っても魅力的になりそうな女優を、ここまで魅力のない人物に仕上げたことにまず拍手をおくりたいですね。 それに、字幕がところどころ変な訳なのも気になります。 『面白い映画は細かい粗が気にならない。細かい粗が気になる映画はそもそもがつまらないからだ。』っていう一般論は本当みたいです。 そもそもが、薄く浅いストーリーに、魅力の無い人物設定なのに、変に真面目に作るもんだからB級作品にさえなれません。 切なくしたいのか、怖がらせたいのか、いったいどうしたいのかわかりません。 これははっきり言って監督の力量不足でしょうか。 この作品だって、アランとデビットの友情を、もう少し丁寧に深く掘り下げるだけで、ラストの衝撃がはかりしれないものになったかもしれません。使い古されたプロットだって、料理の仕方次第で何度でもおいしく食べられるものです。 ラスト20分くらいの真相解明は面白いです。予想はつくけど面白い。期待を裏切らないオチは程よい感じ。 でもこの程度のオチを見るために、つまらないエピソードを小一時間も見ないといけないとなると、とても人には勧められませんな。 [DVD(字幕)] 5点(2016-10-24 05:36:37) |
1185. フォーン・ブース
《ネタバレ》 ジャンルとしてはサスペンスなのですが、個人的には結構コメディ。 もちろんハラハラもするのですが、なんか笑えちゃう部分があって。 どこで笑えるのか? 一番のポイントは、主人公スチュの告白シーン。 犯人に命令され、奥さんとパム(浮気相手?)の前で、自分がしてきたことを泣きながら告白する。この情けなさがちょっと面白いです。 でも一番おかしかったのは、奥さんの対応。 『あなたが何をしても平気よ。』 まじか奥さん。かっこよすぎ。 同じく騙されていた浮気相手のパムはというと、泣きながら真実を話すスチュに感動して、ちょっと泣きそうになっています。 この茶番、もう最高に面白いです。 犯人がなんだかんだ言いながらも、無関係な人を殺さなければ、脚本の完成度の高さを絶賛できたのですが。 客引きの兄ちゃんとピザ屋殺しちゃうんだもんなー。 いくらでも、どうとでもできそうなシチュエーションなのに、どうにもできないように思わせる演出は上手かもしれません。 それに、いざと言うときに人間の本性が出ると言いますが、その本性を逆に『善良』に描くという発想は、何となく好感がもてます。 こーゆー限られた空間、限られた状況下でのシチュエーションサスペンスって面白いですよねー。 まあ蓋を開けてみれば、引退したプロの殺し屋の暇つぶしにつきあわされただけのような気もしますが。 でも面白かったので、ま、いいか。という感じです。 残念ながら、全体的に良作ではありますが、傑作とまではいかず。 多くを望まなければ、娯楽作品としては十分及第点でしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2016-10-23 15:06:37)(良:2票) |
1186. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 ジャンルが『サスペンス』『SF』。なるほど。確かにそうかもしれません。ですがこの作品の核は何といっても『ラブストーリー』ですね。昔ドラマで『プロポーズ大作戦』というのがありましたが、それにテイストが似ています。 ただこちらは映画。 1回のタイムスリップエピソードに使える尺は、『過去』+『改変後の現在』あわせて10分~15分程度。 よってひとつひとつのエピソードがもうばたばた。 目まぐるしい展開は、テンポの良さ、スピード感、勢いを生み出す一方で、意外にも『飽き』を感じさせることもあるみたいです。 主人公のエヴァンは、『改変前の人生』+『リニューアル』の記憶が次から次に追加されるので、そのたびに脳が肥大して鼻血ぶー。それはなかなか面白い演出ではありますが、新しい記憶が追加されているのに、自分の手がなくなったことや母親が肺がんになった事実を知らないってのはおかしいのでは?といったつっこみ所は結構ありますね。 こーゆー作品こそ整合性が大切だと思うのですが。どーも肝心なルールが曖昧に処理されている感じがします。 とは言うものの、速い展開が見ている人に考える暇を与えません。よって結局見ている間は普通に面白い。 まあそれでも5点~6点くらいの感触で見ていたのですが、ラストで評価がちょっと上がりましたね。 『みんなの幸福のために、自分の恋心を犠牲にする』皮肉にもそれが、全員が幸せになれる唯一の選択肢であったとは。 エヴァンにとって最も辛いエピソードであるはずの、『爆発に巻き込まれちゃったバージョン』では、エヴァンが過去に戻ろうとしないんですよね。それどころか、自殺しようとします。そしてトミーに言ったセリフが、『君達が幸せならそれでいい。』 ラストの選択といい、他者のために自己犠牲を厭わない、ドラクエでいうメガンテを使う僧侶のようなエヴァン。 その善良さにプラス1点です。 それにしても、タイムスリップ時の、世界ががたがたと揺れるシーンは、何回見てもワクワクします。 タイムスリップの演出は今まで見たタイムスリップ系では一番良いかも。 [DVD(字幕)] 7点(2016-10-21 05:47:24) |
1187. ジュラシック・パークIII
《ネタバレ》 「ジュラシック・パーク」と「ロストワールド」は見ていたのですが、「Ⅲ」をまだ見ていなかったので、このたび鑑賞。 前2作に比べると、随分ストーリーが単純化されたような。 コスタリカのソルナ島にベンとエリックが避難着陸。エリックの両親ポールとアマンダは、「Ⅰ」でおなじみ、アラン博士をだましてガイド役として島に連れて行く。そして恐竜に襲われ、ひたすら島の脱出を目指すというもの。 ここまでストーリーが単純化かつ一本化されてしまうと、映画と言うよりアトラクションみたいな感じですね。 まあ個人的には『恐竜』も『アトラクション』も大好きなので、全然構わないのですが。恐竜が動いているだけで大喜び。 ただ、さすがに映画としてはどうかな、という印象。映像技術に頼りきっているだけの作品に見えなくもないです。 それに『ジュラシックパーク』とは違い、この作品では最初から恐竜は脅威の存在として描かれています。よってホラー演出にはどうしても限界がある気がするんですよね。 とはいえ、飛行機の窓から覗くスピノサウルス、霧の中から現れるプテラノドンなど、それなりにドキドキさせてくれるシーンはいくつもあります。スピノサウルスのお腹から鳴り響く衛星電話も良い演出でしたね。 そう、恐竜好きにとって、スピノサウルスやプテラノドン、ちょっとだけの登場ですがアンキロサウルスやパラサウロロフスなんかいろんな恐竜が見られたのは嬉しい限りです。 広い草原に草食恐竜たちがたくさんいる様子は感動的。欲を言うと、こういうシーンをもっと見たかったものです。 肉食恐竜も、ただ恐怖の対象としてだけ描くのではなく、肉食恐竜ならではの美しさというものを見せて欲しかったですね。 ひたすら人を襲うだけの描き方だと、エイリアンやゾンビと変わらない気がするんですよね。 恐竜って、そういうものでは無い気がします。 あくまで自然の驚異として扱ってほしいですね。ただの私のわがままですが。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-10-20 03:43:33)(良:2票) |
1188. オールド・ルーキー
《ネタバレ》 ジム・モリスという実在したメジャーリーガーの半生を綴った物語。 マイナーリーグを解雇された野球選手が、高校教師に。⇒(それだけでも凄い気がする) その後再びプロを目指すわけですか。凄いですね。 とは言え、一人の野球選手の単純なサクセスストーリーにしていたら、きっとここまで味わい深い作品にはならなかったと思うのです。 サクセスストーリーにある期待感。高揚感。 もちろん、それもあるのですが。 親子の交流。夫婦の交流。師弟の交流。これを主軸においた人生ドラマ。これが本当に良かったと思うんです。 全体の半分以上は、再び野球へ転身するのを、『決意』するまでの物語。=自分の教え子たちが地区大会で優勝するまでを描いています。これはこれで一つのサクセスを描いているので、物足りなさは感じるもののやはり気持ちが良い。 ですがやはり見所は後半。 主人公の葛藤。妻の葛藤。様々な葛藤が、映画をより深く、面白くしています。 胸に響くシーンはいろいろありますが、個人的には電話のシーンが一番かな。 『家に帰る。潮時だ。』と電話するシーン。 一転して、『メジャーリーグだ』と報告するシーン。そのときの奥さんの反応と対応。どちらも感動的な名シーンです。 『サクセスストーリー』のテイストながら、『伝記』としての意味合いも強いこの作品。 当然全部は描ききれませんから、どこかをカットしないといけないわけですが、まさかのマイナーリーグ時代をばっさりカットしてしまったのが、良かったのかもしれません。 つまりは、メインは『野球』ではないということですね。 メインは『家族』『人生』、そして『生き方』でしょう。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-10-17 16:05:38)(良:1票) |
1189. スパイ・ゲーム(2001)
《ネタバレ》 エンターテイメントとしては結構小難しい作品ですね。 もちろんわかる人は難なく楽しめるのでしょうが、私のような小市民がこの映画を楽しもうと思ったら、頭から煙り出しながらでないと無理です。 この作品のストーリーは大きく2つ。 ミュアー(ロバート・レッドフォード)とビショップ(ブラピ)の過去のエピソードを巡る回想シーン。 中国当局に監禁されたビショップをミュアーがCIA本部にいながらにして助け出す現在のシーン。 前者はドラマ性が強く、後者はサスペンス色が強い。 前者はドラマ要素が強いためわかりやすく、とっつきやすい。また、ブラピの魅力全開なので、面白い。引き込まれます。 それに対し後者の『現在』を描いたストーリー。これがわかりにくい。 ミュアーが何をしようとしているのだろうと、わくわくしながら見ることはできますが、はっきり言って結論が出るまではさっぱりわかりません。で、難しいわりには、結果を見た後のインパクトは弱い。 結局CIAは、ビショップが何か重大な任務で動いていたのかどうか、それをミュアーに確認したい。ミュアーはすべてを話してしまうとビショップが見捨てられてしまうため、情報を小出しにし、その間にマスコミにリークすることで、『アメリカ政府』VS『中国当局』の図式を作ろうとする。そしてアメリカ政府の司法取引を利用して救おうとしていたのでしょうか。 ところがそれが寸前で失敗。仕方がないので、ミュアーは強硬手段に。 違っていたらごめんなさい。簡単に言えばこんなストーリーかと思います。 面白いストーリーだとは思うのですが。やはりわかりにくいのが難点か。 今何やっているのかわからないと、緊張感も生まれないですし。 そもそも今回の騒動の事の発端はミュアーにあります。ビショップの行動も愛ゆえとはいえ、自己中心的なものであり、プライベートなものでもあります。よって一応のハッピーエンドではあるものの、爽快感は得られにくい結末というのが個人的な感想です。 作戦名を聞いたときにビショップが涙ぐむのは感動するんですけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2016-10-16 07:06:25) |
1190. 火山高
《ネタバレ》 こーゆー〝おばかアクション〟って大好きです。 『教師の乱』だの『しびぼうろく』だの、知らん単語が次から次に。 突然始まるバトル。 突然始まるラブストーリー。 脈絡のないストーリー展開がB級に拍車をかけます。 学校NO.1の実力者ソン・ハンニムは早々に戦線離脱。 戻ってくるかと思いきや、最後まで少年院に入れられたまま。 このように、やりっぱなし、投げっぱなしのエピソードがいくつもあります。 やはりおばか映画はこうでなくてはいけません。 ただただ、一つだけ注文をつけるなら、『気』を使える人と、使えない人の戦闘力に差がありすぎじゃないですか? 戦闘力の格差がありすぎると、一部の人たちばかりが活躍しちゃうので、いまいち盛り上がらないような気がします。 重量挙げ部、剣道部、アイスホッケー部、ラグビー部、柔道部。せっかく面白そうなキャラが盛り沢山だったのに、キャラが生かしきれていないのが残念。 それに、ストーリーがもっと単純明快のほうがスカッとしたんじゃないかな。 いくらおばか映画でも、戦いの動機は明確にしてほしいものです。 そもそもこの人たちはなんで戦っているんでしたっけ? [DVD(吹替)] 5点(2016-10-12 04:54:06)(良:1票) |
1191. シービスケット
《ネタバレ》 序盤の人間関係が結構わかりにくい。 騎手、オーナー、調教師。それぞれ違う人生を歩んでいた三人の主人公のストーリーが交差する物語だと知っていれば、もっとわかりやすく見れたかもしれません。 そもそもミステリーではないわけですから、このジャンルは最初からあらすじを知っていても差し支えないですね。すべて観終わった後に、予告を観るのが好きなのですが、予告を見てから本編見ると楽に見れたと思います。 始めのうちは、シーンや人物がとにかくころころ入れ替わるので、全然物語に入り込めません。 三人が出会うのが、映画が始まって40分くらいした頃。その辺りから、どういう状況なのかがわかりはじめて、ようやく落ち着いて見ることができます。 ストーリーの起伏は少ないですね。実話ですから仕方ありません。演出も控えめです。過剰な演出はほとんどありません。その分洗練された映像がカバーしている印象です。よってサクセスストーリーとしては、手堅くまとまっていると思います。 ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパーは抜群の安定感。特にクリス・クーパー演じる調教師はしびれるほどにかっこいい。 それに対して、トビー・マグワイア演じるレッドは、成功してからも何かやらかすんじゃないかという、変な意味での存在感が常にあります。若者特有の精神的な未熟さというものがうまく出ていたと思います。願わくば、もう少しレッドの精神的な成長が見られるとより良かったかもしれません。レッドよりむしろオーナーのほうが、心の変化がよく描けていたような気がします。特に『車』⇒『馬』はわかりやすかったですね。 レッドのライバルジョッキー、〝アイスマン・ウルフ〟が、脇役ながら素晴らしい存在感を放っているのも見所かも。 期待していた程ではありませんでしたが、爽やかな充足感が得られる良作の部類に入ると思います。 [DVD(字幕)] 7点(2016-10-10 14:49:15)(良:1票) |
1192. ブルークラッシュ
《ネタバレ》 『なるほど。母親のこと、けがをしたときのことがトラウマになっているわけですね。きっとこれを克服していくんだな。そして仲間達と一緒にトレーニングを積んで、最後は優勝しちゃうのかな?』と、またまた先入観たっぷりに鑑賞。 結果。克服しない。練習しない。優勝しない。もうびっくりです。 もっとばりばりのスポ根とサクセスを期待していたので、思っていたのと違うテイストで残念。 妹のことでフラフラ。男のことでフラフラ。友人とけんかしてフラフラ。何に対しても優柔不断。信念なし。主張なし。プライドなし。こんなに情けない主人公いますかね。 この主人公にぴったりのストーリーもつまらない。サクセスストーリーとしては、棚ぼた感が強すぎて充足感が得られない。恋愛ドラマとしてはあほすぎて見ていられない。スポーツドラマとしては論外。 結局練習らしい練習はほとんどしないまま大会へ。で、当然のことながら予選敗退。それは当たり前の結果ではありますが、そんなん見て何が面白いのよ。 挙句の果てに、ラストは対戦相手に誘導してもらう始末。なんて情けない主人公。 せめて主人公が人格者であればもう少し違った見方もできるのですが。 妹とのことは何も解決しないままうやむやに。心配する友達には逆ギレ。 『ケイト・ボスワース』『ミシェル・ロドリゲス』『ミカ・ブーレム』と魅力的な女優さんをそろえて、こんなにも魅力の無い作品ができるものでしょうかね。 ただ波の映像は素晴らしいです。いったいどうやって撮ったんだというくらいの迫力の映像。これを見るとサーファーという人種はほんとクレイジーだと思います。それくらい凄い映像が盛り沢山。映像技術だけでいうなら文句なしの満点です。 これでストーリーと主人公にもっと魅力があれば、見ているほうもまさに〝波に乗れた〟のに。 ・・・お後がよろしいようで。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2016-10-02 16:15:21)(良:1票) |
1193. ワイルド・スピード/EURO MISSION
《ネタバレ》 『MEGA MAX』と比べると、対立構造が単純になっていますね。 今回は、はじめからFBIのホブスと共同戦線を張るため、残念ながら緊迫感に欠けます。 また、前作同様の仲間が、最初から簡単に集まってしまうので、『仲間が集まるワクワク感』も前作に比べると劣りますね。 前作と違うのは、今作の敵がかなり強い武闘派集団であること。ボスのショウはもちろんのこと、その部下に至るまで戦闘のスペシャリストが揃っています。それは車の運転から格闘までと幅広い。 そしてその集団の中に、レティがいます。今回は『チップ奪還阻止』と『レティ奪還』のストーリー。はっきり言って、ストーリーは単純そのものであり、そこに面白さや新鮮味はほとんどありません。 また、『攻め』と『逃げ』を同時進行でこなしていた前作に比べると、今作は『攻め』一辺倒。どうしても一本調子になってしまいます。 ただアクションに関しては、前作よりもパワーアップしている感じがあるので、見所も多いんです。 カーアクション、ガンアクションに加え、今回は格闘アクションもアツイ。 『レティVSジーナ・カラーノ』、『ローマン&ハンVSジョー・タスリム』は個人的にベストバウト。 ですが、前作のクライマックスに匹敵するものは、今回なかったですねー。 それに、レティが戻ってきたのは嬉しい限りなのですが、今回のミッションでジゼルとハンが抜けるのが何とも寂しい。 それともレティみたいに、『実は生きてました』パターンでカムバックしてくれるのでしょうか。この二人なら、同じネタで復活しても全然許すけどな。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-10-01 17:41:03)(良:1票) |
1194. アイドルとデートする方法
《ネタバレ》 久しぶりに良いラブコメを見ました。笑えるし泣ける。そして終盤では切ない気持ちに浸れる。まさかこんなティーン向けのコテコテなラブコメで涙腺がゆるんでしまうとは。 ストーリーは古臭さを感じさせるかもしれません。ですが昭和生まれの自分にとっては、この古臭さがストライク。 この作品では、タッドが悪役として描かれないのが良いですね。 タッドがただの女垂らしであれば、『ざまーみろ』の一言でおわり。 ですがタッドが何気に良い人なんですよ。ただのチャラ俳優ではありません。タッドなりにロザリーとのことを真剣に考えています。 だからロザリーが、タッドではなく結局ピートを選んでしまうラストに、B級作品とは思えない説得力が生まれます。 また、良い作品というのは、主役級の人たちだけではなく、その脇を固める人たちにも魅力があります。 この作品でも、『父親』『バーテンダーの姐さん』『ロザリーの親友』など、個性溢れる人たちがたくさん出てきます。 ただのあっぱっぱーな人もいれば、さりげない優しさを見せるひともいる。 そのバランスが極めて上手く、コメディタッチながらも穏やかな優しさにつつまれた作品へと仕上がっています。 ロザリーの父親の台詞は良かったですねー。 『タッドが来てから、街中がそわそわしている。いつもなら娘が誰を選ぶかはわかる。でも今は〝いつも〟とは違う。』 人を慰める名台詞だと思います。 劇中劇もしらけることが多いのですが、この作品での使い方は実に上手いです。 特に、冒頭の映画シーンと、クライマックスのリンクのさせかたは、ありがちだけど見事! [DVD(字幕)] 10点(2016-09-30 17:47:54)(良:1票) |
1195. ハーモニーベイの夜明け
《ネタバレ》 『愛は霧のかなたに』+『ショーシャンクの空に』+『ハンニバル』+『告発』÷10くらいの作品。 どれも何かの作品で見たようなシーンと小ネタばかり。 ですが面白い。 それはひとえにアンソニー・ホプキンスとキューバ・グッティングJrという二人の俳優の魅力によるところが大きい。 ストーリーそっちのけで、二人のやりとりを見ているだけで面白い。 物語も最初はひきつけられるものがあります。 それは、映画がミステリーに満ちているからでしょう。 『なぜパウエル博士は人を殺したのか。』『何故一言も言葉を発しないのか。』『いったいアフリカで何が起こったのか。』大変興味をそそられます。 その解答そのものは、残念ながら予想の範疇を超えるものではありません。ですが、解答の〝見せ方〟は実に上手いと思います。 特に、初めのゴリラが撃たれるシーンはなかなか衝撃的です。 衝撃的ですが、やはり答えがわかってしまうと、この作品の骨子であるミステリー性がなくなります。 それから先はこの映画の〝落としどころ〟ですが、これがただの脱獄じゃあなんかスッキリしません。 もしアフリカのゴリラを襲った部隊の行為が国際的に違法性のあるもであるならば、もっと別のアクションを起こす展開を見せてほしかった。 諸悪の根源はゴリラを無差別に襲った人々。なのにまるで刑務所が〝悪〟であるかのように、憎むべき対象がシフトしてしまっています。 演出は感動的にしようとしているのに、肝心のストーリーに説得力がないのが残念です。 [DVD(字幕)] 7点(2016-09-29 02:30:19) |
1196. ロックンロールミシン
《ネタバレ》 邦画特有なのか、行定監督特有なのかわかりませんが、何もかもをグレーで終わらせる空気感がたまりませんね。 自分達のオリジナルブランドを作り、自分達の服を作ることに情熱をかける3人。そこに混ざるサラリーマンが1人。 普通であれば、そのサラリーマンが化学変化を起こすのか、はたまたその逆になるのか。 ところがこの映画にそんなものはありません。主人公のサラリーマンは、最初から最後まで『お客さん』でしかない。3人の優しさに甘えるだけの『お客さん』。少なくとも同じ戦力としての『仲間』には最後まで見えません。主人公にしかできないことをするとか、そんなエピソードは一切ありません。リアルと言えばリアル。そこは賛否が分かれるところ。個人的には『否』。だってそれじゃああまりにも物足りないじゃないですか。 みんながミシンを使って作業をしている様子は文句無くカッコよいです。 『オフ』と『オン』の描き方がこの作品は非常に良いです。 そして作った服にはさみを入れちゃうシーンは、最も衝撃的であり、最悪でもあります。 人によっては『次の一歩のための勇気あるリセット』に見えるでしょう。 ですが、私個人としては、『何を期待してるのか知らないけれど、今までお前が見てきたものは全部茶番なんだよ』と言われているようで、悲しいことこの上ないです。 雰囲気とキャストの演技だけで2時間見せてしまうのは凄いと思います。ですがこの作品がやはり『地味系』の作品であることに変わりはありません。だからこそラストくらい、ちょっと夢や希望を見せてほしかったんですが、残念。 仲良くなった外人が、みんなで作ったTシャツ着ているからって、そんなんじゃ全然足りない。 Tシャツといっしょに結局強制退去させられているし! [DVD(邦画)] 6点(2016-09-26 11:43:00) |
1197. スパニッシュ・アパートメント
《ネタバレ》 これはちょっと共感できない。 浮気は好きではないし、不倫も見ていて気持ちが良いものではない。それがお世話になった人ならなおさらです。 もちろん、そこがメインのテーマでもなければストーリーの骨子でもないわけですが、だったらこの映画のストーリーって何なんでしょう。 強いて言えば、『本人すら気付かない個人のアイデンティティーの確立』なんでしょうか。 遠距離恋愛でうまくいかなくなる。⇒ふられる。⇒無気力になる。⇒友人からなじられる。 日本での『あるある』が世界でも『あるある』。世界をすごく身近に感じられるエピソードの一つですが、だからなんだと。わざわざ映画でまで見たいエピソードではありませんがな。『リアル』だから良いってことはないのですね。 この何となく共同生活をしているために、馴れ合いのような仲間意識が生まれるというシチュエーションも当たり前すぎて好きではありません。 やはりクリエイティブな映像世界であるからこそ、もう少しストーリーが欲しいところです。 かなり序盤なのですが、交換留学生の手続きをしている主人公が、次々と書類を提示されて、『どうして世界はこんなに複雑になってしまったのだろう』というくだりだけ、妙に共感してしまいました。 それにしても、オドレイ・トトゥは好きな役者さんではあるのですが、彼女がでる映画で面白いと思ったものが一つもありません。なのに記憶に残るのだから、よほど魅力のある人なんだと思います。(あくまで個人的主観による感想です。) [DVD(字幕)] 5点(2016-09-19 04:01:43) |
1198. ヴィドック
《ネタバレ》 内容的に派手な作品ではありません。 ですが、最初から最後まで人をひきつける吸引力のある作品です。 妙な緊張感と、気持ち悪さ、知的好奇心をくすぐる展開、様々な要素が混在しています。 登場人物たちは、脇役も含め、個人的には非常にカルトな雰囲気を感じます。正直外見は気持ち悪い。そしてアップも気持ち悪い。 ですが中身はいたってまともな人が多い。非常識な外見に、常識的な中身。 そして外見が一番スマートで爽やかな好人物が、異常殺人鬼という逆転の発想。 そんな意図はないのかもしれませんが、人は外見からでは判断できないという皮肉すら感じちゃったりして・・・。 まあ一方で、犯人の意外性に対し、その真相に対してはあまり心が動きません。なぜかって? おそらく『誰が犯人?』ということに興味がわきづらい作品だからでしょう。もっと言うなら、誰が犯人でもおかしくないことが犯人探しへの興味を削いでいると言ってもいいかもしれません。 ですから、誰が犯人かなんてどうでも良い。むしろその動機に興味があります。なぜ『政治家』『科学者』『医者』の3人が狙われたのか。ですがその3人の共通点も中盤くらいで明らかにされてしまいます。 したがって、ミステリーという側面では、やや面白みに欠ける作品かもしれません。 ですが、話の落とし所が気になります。ですからプロットや演出は良いのだと思います。 ただ、よく時代背景がわからないのですけど、革命みたいなのが起こっていて、そっちのほうが『おおごと』に見えてしまったために、殺人事件が『大事の前の小事』みたいな印象を受けてしまいました。ちょっともったいなかったかも。 猟奇的な殺人事件というのは、平和な日常の中で起きるからこそ、その猟奇性が増すのだと思いました。 そしてタイトルに問題ありなのも同感です。 それとも、すべてはヴィドックが仕組んだシナリオというミスリードの意味でもあったのでしょうか。 [DVD(吹替)] 7点(2016-09-18 23:06:47)(良:1票) |
1199. ワイルド・スピード/MEGA MAX
《ネタバレ》 今までと違い、まじめなサスペンスアクションへと進化を遂げちゃってます。 いつものお気楽な感じはナリを潜め、みんな真剣。 今回は『FBI』、『麻薬王』、二つの巨大権力から命を狙われているわけですから、当然と言えば当然。 ドミニク、オコナーの『仕事』だって、ここにきて『1億ドルを金庫ごと強奪』という離れ技に。とたんにスケールが大きくなりましたね。 今作では、今までのシリーズの主要人物たちが勢ぞろい。 『MAX』のジゼルに、『TOKYO DRIFT』のハン、『X2』のローマン・ピアースとテズ・パーカー。オールスターです。そして手を組み、最終ミッションへ。熱い。否が応にもテンションが上がります。 このノリは『オーシャンズ11』と同じですが、今までのシリーズに愛着がある分、仲間がつどった時の興奮はこちらのほうが上。みんなで焼肉パーティーをするシーンなんかもあっちゃったりして、嬉しくなりますね。 そしてなんと言っても、ラストの大一番。金庫振り回してのカーチェイスは痛快の一言。 銃やショットガンを撃ちまくってくる相手を、ドライビングのテクニックのみで撃破する。これも熱いですねー。 でかい金庫をふりまわし、汚職警官ふっとばす。壊す壊す。こんなに痛快なカーアクションが今まであったでしょうか。 ラストはお得意の、ドライビングのトリックで金庫のすり替えに成功。 報酬を手にした後の、それぞれの人生を見せてくれるのも、幸せな気分を共有できて爽快。 ヴィンスはちょっと可哀想でしたが、みんなハッピーになれて満足です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-09-17 13:06:26)(良:1票) |
1200. レジェンド・オブ・アロー<TVM>
《ネタバレ》 テレビ映画なので、画質が良いわけもなく、スケールも小さいが、中身は面白いです。 ストーリーが淡白すぎるので、物足りなさは感じます。 アクションもなんだかもたもたしています。 ですが役者さん達が結構良くて、飽きずに見られるクオリティに仕上がっていますね。 そんな中でも、ロビン・フッド役のスチュアート・ウィルソン。飄々とした雰囲気がなんとも言えず魅力あります。彼が出るシーンはウィットに富んでいてユーモアを感じさせます。 誰だか知りませんが、フィリップ王子役の人も良い。最初はただのバカ王子かと思いきや、意外にもなかなかの賢王です。 そしてなんと言ってもグウェンを演じるキーラ・ナイトレイでしょう。きれい。かわいい。美しい。特にショートにしてロビン・フッドの格好をしてからが最高に良い。まるでRPGの主人公みたい。その旅立ちの姿にほれます。 ただ、旅立ちのシーンの期待値とは裏腹に、思ったほど活躍のシーンがなかったような気もします。 どちらかと言えば罠にはめられてばかりで、あんまり良いところがありません。 もっとロビン・フッドの娘ならではの美技や体術で活躍するシーンが見たかったですね。 やたら感情的なところも、主人公の神秘性が薄れてしまってもったいないです。 どうせよくある御伽噺の域を出ない単純明快なストーリーなんだから、もっと圧倒的に強い主人公が大活躍する冒険活劇でも良いような気がしますね。 ちょっとけちをつけてしまいましたが、魅力溢れる主人公であることに間違いはありません。 あの笑顔は最高です。 [DVD(字幕)] 7点(2016-09-16 14:45:55) |