1341. ジェネックス・コップ
《ネタバレ》 行き当たりばったりの出たとこ勝負的な展開ばかりなので、ストーリー重視、プロットを大切にする人には絶対向かない作品。 一人一人のキャラは個性があって良かったのですが、全員が個性がありすぎると、逆に無個性になるもんですね。 アクションは結構良かったのですが、ジャッキーやリー・リンチェイを見慣れていると、物足りないと思います。 最初から最後まで退屈はしませんが、裏を返せばただそれだけの映画です。 チェン刑事の死に様については最早ギャグ。 もうちょっとだけ丁寧に作りこんでくれたら、娯楽大作になったかもしれないのに。ちょっと残念な出来ですね。 吹き替えで見ることをオススメします。 [DVD(吹替)] 5点(2015-06-12 15:11:24) |
1342. ダークシティ
《ネタバレ》 SFがすぎるSF。これは好みが分かれそうな作品ですね。 タイトルが『ダークシティ』なのだから、暗くて当然なんですけど、それにしても暗い。そして閉塞感が凄い。 このタイプの映画にしては、説明があまりに大雑把。ちょっと不親切ではないでしょーか。そのうえで、あまりにとりとめのない話が続くので、流石に途中ちょっとダレます。 はっきり言って導入から序盤は、ホラーテイストだし、ミステリーだし、なんか不思議空間だし、それはもう興味津々で見れたんですけど、中盤くらいになって、『もしかしてこれって何でもアリ的な展開になるんじゃね?』って思ったら、まさにそうなっちゃいました。 『チューン』とやらの力で、海と太陽まで作っちゃうとは・・・。本当に何でもアリ。 それでいて超能力合戦の締めくくりはナイフとばして、跳ね返して、ブスッて・・。何でもできるのに超地味な決着。このバランス感覚が何とも・・。 いや、それを言うなら、最早この世界を作っていらっしゃる方々なのに、ジョン・マードックの行方を追う方法は地道な聞き込みって。 この作品は確かに『マトリックス』系列ですし、舞台設定は『トゥルーマンショー』にそっくりです。ただ世界感は『未来世紀ブラジル』を思いだします。リアリティと共存するSFは凄い盛り上がれるのですけど、はじめからすべてがかりそめの舞台設定では、何をされても盛り上がることができません。残念です。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2015-06-12 04:02:55)(良:1票) |
1343. タイタンズを忘れない
《ネタバレ》 実話ベースの、人種問題を軸にしたスポーツドラマにしては、確かに『深み』は足りないほうかもしれません。何人かのレビュワーさんの『ダイジェストみたい』というコメントを見て、なるほど。言われてみればそんなイメージがぴったりです。 合併、合宿、白人と黒人の交流、試合、これだけ盛り込んでしまえば、一つ一つのエピソードの余韻に浸る間もなく『ハイ、次。ハイ、次。』と急かされる感じになってしまうのも至極納得です。ただ、それが映画全体に絶妙なテンポとスピード感を生んでいて、途切れることなくラストまで一気に見れてしまう良さがあります。 この作品は『実話ベースの感動もの』の体裁を保ってはいますが、これはもう『エンタメ作品』と割り切ってしまったほうが、楽しく見れるかもしれないですね。 今作を見る前に『リプレイスメント』というアメフト映画を見ましたが、アメフトというスポーツがわかりやすく楽しめたのはそっちのほうです。こちらの作品は状況が少々わかりづらい部分が多く、特にアメフトになじみのない日本人にとってはよくわからないまま試合が展開していくことがあります。『リプレイスメント』が純粋にアメフトというゲームを楽しむ映画だとしたら、こちらは、アメフトに携わる人々の心の機微を楽しむ作品と言えそうです。 [DVD(字幕)] 7点(2015-06-10 15:30:57)(良:1票) |
1344. 星ノくん・夢ノくん
《ネタバレ》 星ノくんと夢ノくんが、他の星から地球に修学旅行にやってきて、帰りの汽車に乗り遅れてしまうお話。 ある意味SFながら、二人の年齢をはじめとした様々なディテールがすべて省略されている潔さはなんか良い(笑) まあ、ファンタジーの様相を呈してはいますが、どちらかと言えば第三者的視点から、人類を弁護するようなテーマ性のあるストーリに仕上がっています。 キャラづけや雰囲気は悪くないんですけど、人によっては好みが別れそうな作品です。なにせ、まったりだらだら進むうえに、大して大きなイベントもありません。ちょっと変な人が途中参加するくらいです。 個人的にはシュールすぎて苦手な部類に入るんですけど、何となくへんな魅力で最後まで見れてしまう不思議な映画。はっきり言って面白いとは思いませんけどね。 [DVD(邦画)] 5点(2015-06-06 04:42:03) |
1345. ゴーストワールド
《ネタバレ》 目的のない映画は大変苦手。その中でもこの作品はまだ観れるほうです。理由のひとつは、イーニドを演じるソーラ・バーチの魅力を堪能できるところでしょう。それに、10代後半~20代前半くらいの、もてあまし気味な精神状態が、大変リアルに伝わってきます。これは多くの人の共感を呼ぶのではないでしょうか。 近寄ってくる人間は手当たり次第にバカにして、『人とは違う自分』をひとつのファッションにしておきながら、自分から人が離れていくと途端に不安になって、今度は自分から近寄り相手を振り回す。こーゆー心理状態って、若いときには誰しも経験ありそうです。 ただし、物事にはすべて『タイミング』があります。『自分の世界感に酔って斜に構えるのもいいけど、そのせいで大事なチャンス、人との信頼をなくすリスクがあるってことは、覚えておけ。』ってことを、様々なパターンで教えてくれているのが、この映画の最大の良心のような気がします。はっきり言ってどれも似たような経験があるので、何ともいえない居心地の悪さを感じてしまいますね(笑) ですがこの映画、裏を返せば『共感』+『あるあるネタ』によりかかっているだけに見えなくもないです。また、個人的にはラストにはっきりとしたオチをつけないのは好きではありません。どうとでもとれる隠喩的な映像で、鑑賞者に解釈を求めるやり方ってのは、表現者として卑怯な締め方の一つだと思っています。 [DVD(字幕)] 6点(2015-06-01 05:16:39)(良:1票) |
1346. X-メン
《ネタバレ》 大好きな映画のひとつ。エンタメ作品としてひとつの完成形に達していると、個人的には思える作品です。 いわゆるよくある『超能力』系。きっと、マンガ好き、ゲーム好き、であるならば、つい手にとってしまいがちな作品。そういった作品群の中でも、今作は非常に完成度が高く、面白みにあふれていると思います。 登場人物たちの能力が個性的で、視覚的にまず楽しい。それにこういったタイプの作品にしては、各動機付けがはっきりしていて、プロットがわかりやすい。ぐだぐだ説明されるのも面倒ですが、かと言って適当にとってつけたようなストーリーだと盛り上がりません。そういった意味では、今作のストーリーは絶妙なバランスの上に成り立っていて、非常に面白いです。 ただ難を言うならば、ストーム、サイクロップスの能力が強力すぎるのに対し、相手方の戦闘能力が何とも物足りないところでしょーか。何にでも変身できるミスティークは戦闘用の能力は無いわけだし、セイバートゥースだって、これじゃあただ力が強いだけの人です。(ってゆーか、セイバートゥースはこれでミュータントって言っていいのか?)唯一トードだけはミュータントっぽい戦闘能力を有しているわけですが、ストームの電撃バリバリ、サイクロップスの目からレーザーに対し、舌ビヨーンだけですからね・・・。 とてもイカス能力を有しているのはマグニートなわけですが、残念ながらこの人との本格的なバトルってほとんど無いんです。残念。 まあ、とは言え、本筋とは関係ないところで、炎を操る少年や、氷を操る少年や、壁をすり抜ける少女など、まさに超能力の世界感を楽しむ演出が随所にされていて、最初から最後までわくわくしながら鑑賞できるので、やっぱこの作品はいいですね! [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-05-31 15:35:41) |
1347. BLOOD THE LAST VAMPIRE
《ネタバレ》 シリーズもののアニメの1エピソードを『読みきり番外編』で見た感じです。 アニメーション?とにかく映像のクオリティが大変高く、映像美だけでも楽しめます。退廃的な世界感も好きです。 保健室での『ここはやつらの食堂か。』の台詞が、偶然にも寄生獣と同じで、その既視感につい笑ってしまいます。 惜しむらくは、中盤以降は正体を現した吸血鬼とのバトルがメインとなってしまったことでしょうか。もちろんそこがこの作品の最大の見所なのでしょうが、そこから先がパワーゲームに終始してしまったのはちょっと残念。もう少し、序盤のホラーテイストな雰囲気を味わいたかったですね。ですが読みきり番外編の48分じゃ、これが限界かな(笑) それから吸血鬼の始祖である小夜、という設定が思いの外活かされておらず、『刀を振り回すだけの少女』どまりだったのも、後半が盛り上がりきれなかった原因かもしれません。もーちょっとだけ、吸血鬼と小夜にはっちゃけてほしかったな。 『あの保健室のおばさんが実は吸血鬼たちのボス』とかいうオチだったら満点つけたんですけどね(笑) [DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 04:41:45)(良:1票) |
1348. 暗戦/デッドエンド
《ネタバレ》 余命僅かの犯罪者アンディ・ラウと、敏腕刑事(交渉人)ラウ・チンワンとの頭脳バトル+友情物語。 『アンディ・ラウは何故ラウ・チンワンを選んだのか?』といった詳細には一切手をつけず、ストーリー展開のみで見る人をぐいぐい巻き込んじゃうなかなかの娯楽作です。 アンディ・ラウの裏をかきつづけるアイデア満載のストーリーは大変よく出来ていて見ごたえがあります。また、末期癌のためやたら吐血しまくる割には、それほど悲壮感を感じさせない割り切った演出もグッド。逆に、余命いくばくもないからこそ、開き直った人間の潔さや尊厳といったものが感じられます。ラストにいたっては、自分の病気すらも相手を騙しちゃう小道具にするわけですから、もはや爽快ですらあります。 バスの女性とのエピソードまでしっかりと収拾をつけるあたりも、絶妙な余韻が残って良い感じです。『このプレゼントをもらった日が、彼に会った最後です。』の台詞からもわかるように、おそらくこの世にはもういないのでしょうが、彼が死ぬシーンを映像化せず、安易なお涙頂戴でしめくくらない作成者側の姿勢には、感動すら覚えます。 なかなかの掘り出し物でした。 これでもうちょっとだけ映像がきれいだったら良かったんですけどね。それは、まあ仕方ないか。 [DVD(吹替)] 7点(2015-05-25 03:56:16) |
1349. マーシャル・ロー(1998)
《ネタバレ》 デンゼル・ワシントンとブルース・ウィリスの共演というだけでテンションが上がりますね。 ブルース・ウィリスには批判的な意見も多いようですが、個人的には二人の演技は完璧で、それぞれの立場、肩書きにおけるカリスマ性というものを十二分に発揮していたと思います。 映像・演出も凄いです。『バス爆破テロのシーン』のインパクトは強烈。このシーンがあることにより、結果のみを映した『劇場テロ』『FBI本部テロ』の惨劇までもがイメージできるわけです。惨劇をイメージさせる演出や、何かを予感させる演出は見事という他ないんです。『劇場テロで一瞬だけ映される片腕をなくした女性』『会議のときに一人、二人、・・・そして一斉に鳴り出すポケベルと携帯』『バーで飲んでいるときに地震のようにバーが揺れる演出』などは、どれも鳥肌もの。 ストーリーにおいても、市民にとっての脅威が、いつの間にか『テロ』から『軍』に移行していて、本質のすり替えがあまりに見事。 ハブ(デンゼル・ワシントン)が、『この国を混乱させることが目的だったとしたら?軍を出動させ、国民を不安に陥れ、やがて法と憲法の精神が破られたら?それこそが彼らの勝利だとするなら、彼らは既に勝っている。』と、デブロー将軍(ブルース・ウィリス)に言い放つ、これこそがこの作品のテーマなのかもしれません。 テロの危険因子を育てたのがアメリカなら、今回のテロの原因を作ったのもアメリカ。そんな映画をアメリカが作っちゃったってんだから、こりゃあなんか凄い迫力というか、警告めいたもんを感じます。 惜しむらくはこの作品、ものすごく頭の良い人や状況判断が早い人にとっては、格別の味わいを見せるのでしょうが、私のような中途半端な頭の出来では、状況や人間関係を理解するのに全力を尽くさないといけないので、途中でやや疲れてしまうのが難点と言えば難点か。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-05-24 16:45:26) |
1350. マイ・ビューティフル・ジョー
《ネタバレ》 救いようの無い母親ハッシュに終始イライラしちゃうんですが。自制心がなく、情緒不安定で、ギャンブル依存で借金作って、全部自分が悪いのに被害者面する人って大嫌いです。『実は・・・』って設定があることを期待したのですが、最後まで見てもそれは無く、本当にただのダメ女です。にもかかわらず、金融屋?のほうが無条件で『悪』とされちゃうことにものすごい違和感を感じます。 ジョーの『一見強面だけど、実はとっても真面目で優しい人』っていうギャップは確かに面白い。ですが、それが活かされたのって冒頭だけじゃないですか?冒頭以降は、ただの優しいだけの人に見えなくも無い。これといった取り柄が見当たりません。 それに、ジョーは本当の意味では全然ハッシュという人間を変えられていない気がします。結局ラストも棚ぼたみたいな感じでラッキーのみで乗り切ってしまいます。もちろんそれは、ジョーの人柄がもたらした人との絆によって得られたラッキーではあるわけですが、それが頭では理解できても、心には響いてこないのです。 登場人物に共感できず、物語に全く乗れないまま、突然子供が話し出し、病院で感動の再会を演出されても寒いだけなんですけど・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2015-05-22 12:49:35) |
1351. ハート・オブ・ウーマン
《ネタバレ》 『女性の心の声が聞こえるようになる』という使い古されていそうで、意外と使われていない設定を起用しているのが面白いです。 ワーキングドラマにホームドラマにラブストーリーが絶妙なバランスで融合しているうえに、アイデアの面白さも手伝って、なかなか面白い作品に仕上がっていますね。 ただ、ロマコメで2時間超えは、ちょっと長すぎな気がします。どうしても途中で集中力が切れちゃうんですよね。今作は設定からいろいろなアイデアが生まれて、それを欲張って全部詰めこんじゃった感じがします。個人的にはコーヒーショップの店員とのエピソードはまるまるカットしても差し支えないんじゃないかと思います。娘のドレス選びが長時間にわたり、ニック(メル・ギブソン)があくびしていましたが、同じ気持ちでした(笑)。 こーゆーアイデアが面白い作品こそ、ストーリーは必要最低限にすっきりまとめちゃって、『もう終わりかー。もう少し続きが見たかったなー。』っていう余韻が残るくらいのほうが良かったんじゃないかな。 それにしても、ただのコメディかと思いきや、終盤にかけてなかなかシリアスでハートウォーミングなドラマへと収束していきます。どちらかと言えば、女性賛歌のドラマ。男性目線でありながら、女性賛歌のドラマっていうのは、男女共に見ていて幸せな気分になれて良いですね。 [DVD(字幕)] 7点(2015-05-20 13:25:11)(良:1票) |
1352. キューティ・ブロンド
《ネタバレ》 都合の良さに批判はあるかもしれませんが、『努力している人間に運が巡り、協力者が現れる』、そういうストーリーは、『頑張っちゃいるけどなかなか芽が出ない人たち』の活力剤になると思います。映画が夢や希望を感じられるツールの一つだとすれば、この作品は至極真っ当に、健康的に夢を追体験できる作品だと思います。 個人的には、リース・ウィザースプーンを美人だとは思いません。ですが、非常に愛嬌があって魅力的だと思います。そんな彼女に本作のエル・ウッズは、はまり役。一見お馬鹿そうに見えるけど、芯があり努力を惜しまない人間を演じさせれば、彼女ほど応援したくなる人物もそうそういないかもしれません。 また、『派手でおしゃれな人たち』=『意地悪で嫌味で排他的で差別的』というステレオタイプを逆手にとって、『派手でおしゃれ』なのに、『親切で頑張り屋さんでプラトニック』、更にはハーバードで逆に周囲から仲間はずれにされるという設定は斬新で面白いです。 コメディとしても大変センスが光る名作。コテコテのコメディを売りにしている映画より、ストーリーコメディとして抜群のセンスを感じます。『ビデオ論文』『香りつき履歴書』『アリバイの真相』なんかは、その最たるものでしょう。 また、パッケージや邦題から予想されるようなラブストーリー全開でないのが逆に良いですね。むしろ恋愛要素が思いの外控えめなのが、この作品が万人に愛される理由の一つだとも思えます。 今作は、明日への活力をもらえる作品。自分も頑張ろうと思える作品。勉強を前向きに楽しんで頑張るってかっこいいじゃんって思える作品。努力を努力と思わず、自然体で実行に移す姿には大変共感できますね。 [DVD(字幕)] 9点(2015-05-19 13:23:53) |
1353. リプレイスメント
《ネタバレ》 アメフト版『メジャーリーグ』。期待を裏切らないで展開していくので安心して見ていられる反面、驚きや感動、真新しさというものを感じ取るのは難しいです。これはもう、シリーズものや連ドラを見る感覚で、お約束を楽しみ爽快感を味わう映画でしょう。 『アメフト』というスポーツは一人一人の役割がポジションによって全く違うので、個性が際立ちやすい。今作も、クォーターバックだけでなく、レシーバー、キッカー、ランニングバックなどそれぞれに見せ場を用意してくれているので、幅広く楽しめるのが嬉しい。 つまりは、監督のジーン・ハックマンや、キアヌ・リーブスは言わずもがな、それ以外の脇を固める選手達も個性あふれる活躍で、大変魅力的に描かれているわけです。 また、これもお約束ですが、チアリーダー達も含めたチームメイト同士の友情を味わえるので、見ていて心地よい気分に浸れるのは間違いありません。 一つだけ注文をつけるなら、どうせ映画なんですから、ラストはとことんハッピーにしてほしかった、というのはあります。 全員正規の選手に昇格しちゃって、ストを起こしていた傲慢なスター軍団は全員クビ、なんて非現実的な話のほうがより爽快な気分に浸れそうです。 [DVD(字幕)] 8点(2015-05-18 05:38:11) |
1354. アウト・オブ・サイト
《ネタバレ》 メインのストーリーがこれといって面白くないので、これじゃあどう頑張っても面白くなりませんよねー。 サスペンスは薄味。ラブストーリーのほうも、これと言って引き込まれるものはありません。 一時停止をしてみたり、時間軸をずらしてみたり、演出上での工夫が見られますが、今作に限ってはそんなに効果があったとは思えません。 『階段で転んで頭を撃ち抜く男』は、インパクトがあります。伏線もあります。ですが、実際にそれをやられたら、悲惨なうえにグロくてまるで笑えないのが正直な感想です。 今作の一番の見所は、『結局落とし所はどこになるんだろう?』という人の興味をひきつけるところにあると思います。『続きが気になる』というのは、個人的に映画を見る上で大事な要素です。その一点でのみ、この作品を高く評価しています。 落としどころは結局無難なものでがっかりですが、ラストのオチは大変よかった。 カレン(ジェニファー・ロペス)がヒジュラ(サミュエル・L・ジャクソン)の護送の日をずらし、フォーリーに脱獄のプロをあてがうところなんかは、これからの展開を予感させて面白い。このラストが一番洒落ています。 まあ、それだったら最初から捕まえてやるなよ、とも思いましたけどね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-05-17 14:16:16) |
1355. Needing You
《ネタバレ》 一昔前の日本のトレンディドラマみたいな雰囲気で、懐かしさを感じるライトなラブコメ。主役の二人、アンディとキンキーが魅力的でわかりやすいキャラクターなのがイイですね。 アンディとキンキーにはそれぞれ恋人や、恋人みたいな人がいて、アンディは最初キンキーの恋愛を応援するところから始まります。ところがキンキーはすでにアンディに魅かれはじめているというのがポイントですね。時間差でアンディもキンキーに気持ちが向き始めるのですが、この辺りの絶妙な恋のパワーバランスが最大の見所でしょう。 特に後半。アンディがブ男を紹介しようとしたり、バイクにはりあったり、キンキーの真似をして掃除を始めたりするのは、おかしくてしょうがない。気がついたら笑いっぱなしです。恋のライバルが若きイケメン実業家っていうのも良いんですよね。 今作は二人が仕事を一生懸命にやっているのも好感度が大きい。頑張っている人、誠実な人は応援したくなるのが人間心理。自然と二人への共感度は高くなります。 仕事のドラマのほうも結構面白かったんですけどね。途中までは良いんですが、ラスト辺りがぐだぐだにまとめられちゃいましたね。 それでも全編通して、笑いあり、爽快感ありの、よくできたエンタメ作品に仕上がっています。 [DVD(吹替)] 8点(2015-05-08 15:46:01) |
1356. 私が女になった日
《ネタバレ》 ポップでキッチュでファンシーな作品が好きな自分にとって、この作品は高尚すぎました。 何故観ようと思ったのかすら、今となってはわかりません。 牧歌的な1話の『ハッワ、疾走感を感じる2話の『アフー』、共に空間的な広がりを見せるにも関わらず、終始『慣習』『宗教』『しきたり』といった目に見えない檻にがんじがらめにされている、息苦しい閉塞感が漂っています。 そして急に謎かけみたいになった3話の『フーラ』。 そーかー。『家』かー。なるほどねー。全然気付かんかったー。 1話、2話でおなかいっぱいになって、完全に思考が停止していました。 すごい話ですね。 それに突然1話目、2話目と話がつながるのも嫌いじゃないです。 でも映画そのものは嫌いです。 脳みそぺらぺらの自分には、つまんないっす。 [DVD(字幕)] 2点(2015-05-07 04:22:58) |
1357. 楽園をください
《ネタバレ》 『戦争』という大きな枠組みの中で、どちらかと言えば『個人』の戦いやドラマを丁寧に描いた作品ですね。 それほど派手さはないものの、記憶に残るシーンや台詞が多いです。 いえ、むしろ多すぎたかもしれません。大事な場面や台詞が多すぎて、焦点がぼやけてしまっている印象です。結局一番言いたかったことやテーマのようなものって、なんだったんでしょうか。 それに、はじめのうちは誰が誰やらわからなくて、困ります。ジェイク、ジャック、ブラック・ジョン、ピット、ジョージ・・・。覚えられない。誰がメインかもわからない。 結局最後に残ったのはジェイクとホルト。中心人物たちの中で、もっとも中立に近い存在。ジェイクはドイツ系で、本来ならば父親と同じ北側でしょう。ホルトは元黒人奴隷なわけですから、奴隷解放を訴える北軍と戦うのは違和感を感じます。この二人は、戦争そのものを俯瞰して見ることができる、私達鑑賞者のレンズになっているような気がします。 だから、時折みせるジェイクの表情、それは猜疑心に満ちているようにも感じるし、迷っているようにも感じるし、鑑賞者の気持ちを代弁しているかのようにも感じます。 『自分達ゲリラは、結局私怨をはらすため、人によっては私欲を満たすために、戦争を利用しているだけではないのか。』と。 そこに大義はない、ということに、きっとジェイクたち劇中で気付いています。ですがそれに気付いても、最早一度上がった舞台からは誰も降りられないのが戦争なのでしょう。そう考えると、『Ride with the Devil』という原題は、見事に核心をついています。 その一方で、『楽園をください』という邦題もまた的を得ているようにも思えますけどね。 戦渦の中に身を置いた誰もが、最後にはそれぞれの楽園を望んでいたわけですから。 [DVD(字幕)] 6点(2015-05-07 01:57:13)(良:1票) |
1358. 学園天国
《ネタバレ》 学園ライトムービーとしてお手軽に見るには、なかなか面白い一本です。ストーリーはわかりやすく、キャラは個性的でそれぞれに魅力があります。下品になりすぎないコメディも大変良いですね。特に前半が面白いですよ。そしてメインのラブストーリー、お約束好きの自分にはストライクで、大変よかったです。 ストーリーは、人気者のクリスと、地味で認知度の低いライアンが、お互いのいとこ(アシュリー)と幼馴染(マギー)を狙って手を組むというもの。前半は、アシュリーを知り尽くしたクリスがライアンを導き、マギーを知り尽くしたライアンがクリスにマギーの好きなタイプを細かくレクチャーしていきます。 最大のポイントは、ライアンがクリスを手伝う最中で、突然マギーに対する自分の気持ちに気付いてしまうというところでしょう。べたですけどね(笑)ラブコメはべたでもいいんですよ(笑) 更にライアンは、性格の悪いアシュリーに愛想をつかしちゃいます。ところが、ここがこの作品の面白いところで、アシュリーは自分に対して冷たく乱暴に接する人には、余計に目がハートになってしまうキャラクター。この設定の扱い方、結構上手いと思うんです。つまりライアンが逃げればアシュリーが追っかけるという構図が、自然と出来上がっていくわけです。 そしてライアンがマギーに対する自分の本当の気持ちに気付くと同時に、マギーはクリスのことを好きになってしまうという、まさにお約束のラブコメ必勝パターンが炸裂。クリスにとってマギーは遊びだと気付いたライアンは、当然マギーを守ろうとするのですが、これがすべてから回り。ですがライトなラブコメなので、全然深刻にはなりません。多少の切なさを感じながらも、最後まで気楽に見れちゃいます。 真新しさは無いので過剰な期待は禁物ですが、個人的には、B級グルメの中ではおいしい一本だと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2015-05-05 13:31:04) |
1359. ファイナル・デスティネーション
《ネタバレ》 幽霊もゾンビも殺人鬼もクリーチャーも出ないのに、これだけ面白くハラハラできる映画が出来ることが素晴らしい。今まで見たホラー映画の中でも1,2を争う面白さです。 今作の最大の長所は恐怖を煽る演出。『トッド』や『先生』のように、『死ぬまでのプロセス』をじっくり見せるパターン。『テリー』や『ビリー』、ラストの『カーター』のような瞬殺パターン。つまり、『死の見せかた』が大きく2パターンあります。 実際、実生活において『事故死』っていうのは一瞬のうちに起こるものがほとんどです。それをただ垂れ流しただけでは、ただの事故映像であり、映画にはならないでしょう。『テリー』や『ビリー』のような瞬殺パターンっていうのは、従来のホラーでは、ホラーにはなりえなかったと思うんです。 ところが、それを『トッド』、『先生』のパターンと交互に見せることで、とたんに従来にはない新感覚のホラーになります。前後の文脈がなければただの『事故』ですが、前後に文脈があることにより、ただの『事故』から『ホラーによる惨劇』になるのです。つまり今作の『死の筋書き』というストーリーの存在により、今まで映像では成しえなかった新しい形のホラーができあがっちゃっているんですね。 また、それぞれの順番も非常に大事になってきます。『トッド』⇒『テリー』⇒『先生』⇒『ビリー』。野球でいうなら、速球とチェンジアップを交互に投げているようなもんです。この順番だったからこそ、21世紀を代表するホラー映画の傑作になったのだと思えます。 このシリーズは、どうしてもそのアイデアの性質から、一番最初に最大の見せ場である『大量死』をもってくる必要があります。最もインパクトの強い映像を一番最初に見てしまうわけです。最初のインパクトが強すぎると、それ以降は何を見せられても刺激が足りなく感じてしまうものです。これはホラー映画では大変危険な行為でしょう。 にもかかわらず、ちゃんと最後まで緊張感が持続するのがこの作品の凄いところです。 ディテールにも非常にこだわっていて、雑誌のきれはしに書かれた『Tod』、ビルの窓に映る『バスの影』、『シートベルトがちぎれる白昼夢』、その予見の演出は見事すぎます。ただ非常にもったいないのは、その演出が上手すぎるうえに、展開がスピーディーなので、初見では気づかずに見過ごしてしまう可能性が高いことでしょう。(※特にバスの影は、重要な会話シーンの中でさりげなく挿入されるので、一番難易度が高い。)この『予見の演出』に気付くか気付かないかで、この作品の面白さの感じ方って、また変わってくると思います。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2015-05-05 03:20:13)(良:4票) |
1360. トゥルー・クライム(1999)
《ネタバレ》 ちょっと軸がぶれているストーリー構成は賛否両論ありそうですが、はっきり言って面白いです。ともすれば重くなりそうなテーマを、ここまでエンターテイメント風味、いや、イーストウッド風味に仕上げてしまう手腕はさすがです。 エベレットのプライベートな問題に関する掘り下げ・描写に割いたウェイトが、大きすぎですね。ビーチャム親子とエベレット親子の対比を映し出したかったのかもしれませんが、今作においてはそれが上手く機能しているとは思えません。唯一のマイナスポイントと言えばそこくらいでしょうか。 ふたつの家族関係がうまく対比・リンクさせきれなかったため、『冤罪を晴らすストーリー』と『エベレット記者のプライベートなドラマ』の二本の軸ができてしまっています。プライベートパートも結構な力の入れ具合。そのため、ますます本筋のストーリーの邪魔に感じてしまうのかもしれません。いっそ添え物的に、もっとライトにポップに扱っても良かったんじゃないでしょーか。 ビーチャムとその家族の描写はパーフェクト!娘や奥さんに別れを言うシーンは、涙が止まらないです。個人的にはこの作品の一番の見所です。『涙活』です。奥さんの泣きの演技は終始胸を打ってしょうがないです。『涙活』です(笑) この家族のシーンがエベレットの捜査と交互に映し出されるため、観ている私達は、完全にビーチャム親子の味方です。だからこそ、そこからの死刑執行シーン、そして、薬が減っていくときの映像・演出が、尋常ではない緊張感を生み出しているのでしょう。やはり冤罪を晴らすストーリー一本でいってほしかったなあ。 ハラハラドキドキ、それでいて涙をさそい、編集者とのかけ合いトークでは笑いもさそう、、、ラストは完璧。上質のエンタメムービーです。 [DVD(字幕)] 8点(2015-05-03 20:18:50)(良:1票) |