121. となりのトトロ
単なる子供向けの単なるアニメ映画。大人の鑑賞に耐えうる作品では全くない。だが確かに子供にはウケルようで、ウチの1歳の子供はなぜかこれが好き。なので3点のところ+1点で、4点。 [DVD(邦画)] 4点(2009-08-28 23:35:16) |
122. アマデウス
《ネタバレ》 私は大のクラシックファンだし、特にベートーベンとかモーツァルトなどの古典派が一番好きだ。恥ずかしながら素人作曲までして某サイトに古典調の音楽を投稿までしているほどの「マニア」である。賞をバンバンとって評判もいいこの映画(10点がメチャクチャ多いじゃないか)、大いに大いに大いに期待して観たのだが……。なんともつまらなかったというのが正直なところ。恐らく逆なんだと思う。クラシックをあまり知らない人がこの映画を見れば「なんてモーツァルトってメチャクチャな奴だったんだ」という印象を受けるんだろう。だが私のようなマニアになると「こんなマトモな奴じゃないだろ!」と思えてならないのだ。モーツァルトは私の中ではもっと下品でもっと無茶苦茶でもっと経済力がなくてもっと酒やギャンブルにだらしなくて、そしてもっと天才でもっともっと並外れた超人なのである。なのにこの映画のモーツァルトときたら、単なるどこにでもいるような天才でしかないじゃないか。むしろサリエリの方が(音楽的にではなく人間的に)非凡に見えてしまう。レクイエムを書かせて殺すなんざ、並の人間には思いつかないんじゃないか。それ以上にラストの「赦す」の連呼など、もはや狂気そのものであり、患者たちの酷い姿とあいまって身震いしてしまう凄味がある。これは失敗作だ。モーツァルトを描くためにサリエリなどを持ってくるのが間違いなのだ。サリエリなどはほんの数コマで吹き飛ばされてしまう役で十分なのである。ただ一ヶ所、墓地の場面だけはよかった。モーツァルトは大作曲家であるにもかかわらず適当に数人で埋葬されて現在でも墓の所在がわからないという史実に忠実だし、天才の末路としてぞっとくるものがあった。時間が長すぎるとは思わなかった。むしろ短すぎだ。この倍の時間をつかってもいいから(そうなるとドラマか)モーツァルト自身を描ききってほしかった。これではモーツァルトの孤独も凄味も天才もわからない。 [DVD(字幕)] 3点(2009-08-16 02:49:53) |
123. 刑事コロンボ/ルーサン警部の犯罪<TVM>
《ネタバレ》 カーク船長登場! だけど声は山城新伍(なぜだ……)。やや、よく見ればチェコフも! というよりバビロン5のベスターと言ったほうがいいのか? またほんのちょい役なのが泣けるぞ! と、ちょっとトレッキーかもしれない私はどうでもいい部分にひっかかるのだが、なんかどうも乗れない話なんだよね、これ。犯人のキャラもよくわからないし。弾の指紋吹き忘れってのもなんかマヌケだしその証拠をつきつけられても芝居口調なんだから、なんだかなぁ。それとも照れ隠しの一種なのか。大体さ、コロンボだってドラマじゃん。刑事ドラマの犯人が刑事ドラマの刑事役ってのは、ちょっとなんかやりすぎのような気が。 ネタバレ付記:コロンボに肩を並べる傑作「名探偵モンク」で、似たようなオチがあった。電池式の携帯電話(そんなものがあるらしい)の電池の指紋を吹き忘れるというね……。もしかするとこの作品が意識されているのかも知れない。ああそういえば刑事ドラマの刑事役が犯人ですというのもあったなぁ……。 [DVD(吹替)] 5点(2009-06-19 05:09:16) |
124. 刑事コロンボ/闘牛士の栄光<TVM>
《ネタバレ》 細かいやりとりに光るものがいくつもあるが、動機と犯人逮捕の方法が弱すぎる。せめてモントーヤにコロンボが「あのときもこうだった。それを見られたことが殺しの動機だ」とか何とか言ってほしかった。最後の二人の握手がとてもすがすがしい。サンチェス刑事の正義感なくしては、解決なんてできない事件だったように思える。 [DVD(吹替)] 6点(2009-06-19 04:50:40) |
125. 刑事コロンボ/黄金のバックル<TVM>
《ネタバレ》 本作はトリックとしての面白さに欠けるし地味なので凡作と評価されているようだが、この寒けがするような恐ろしい雰囲気は他のどのコロンボ作品にもないもので、一種特別な作品だと思う(強いて言えば「黒のエチュード」が多少似ている)。その原因となっているのが舞台となったこの古めかしい美術館の雰囲気であり、さらにはこの事件のずっと以前に起きたもう一つの殺人事件である。特に後者はコロンボによってその真相が解明されて行くことで犯人の心の闇が浮かびあがるような仕組みになっている。最後の場面、ジェニーに向かって「私がパパを殺したというのは嘘ですよ」と言い、コロンボに「嘘をついたんでしょう?」と犯人が詰め寄るのはほとんど脅迫のような懇願であり、絶対にジェニーにだけは真相を知られたくないという犯人の悲痛な叫びともとれる。だがこのセリフは単純ではない。なぜならジェニーを陥れたのはそもそも犯人にほかならないのであり、解釈が難しい。逮捕は免れないと思った犯人がこのときだけはジェニーを思いやってそう言ったのだと仮定しておこう。ポアロと違ってとことん筋を通すコロンボが常にも似ず「おっしゃる通り、嘘ですよ」と嘘をつくのは、あるいは犯人のその気持ちを汲んだようにもとれる。「コロンボさん、手をとって下さる?」というのは恐らくは犯人の感謝の気持ちであると同時に「どこへ行くにも殿方のエスコートが必要だ」という姉の言葉が下敷きになっている。全編に流れる音楽も雰囲気にぴったりだ。ああそれからもう一つだけ、この話は邦題より原題(「古めかしい殺人」)の方がいい。 [地上波(吹替)] 7点(2009-06-18 05:02:51)(良:2票) |
126. 刑事コロンボ/仮面の男<TVM>
《ネタバレ》 アメリカ人にとってはどうか知らないが、私の世代の日本人だとCIAの部長を見て「あ、『奥様は魔女』のラリー(とんでもないお調子者キャラ)じゃん」と絶対に思ってしまうだろう。しかも声優さんも同じなので、どうみても違和感がありまくり。懐かしかったけど。 それはそうと、本編の謎は最後の冗談だ。吹き替えは絶対に原語と違ってるなと確信させるほどわけわからない内容だが、原語の冗談もさっぱりわからない……と思ったら解説しているサイトがあるそうで、そこを読んでやっと氷解した。それにしても「ある日、ポーカーと麻雀が賭をした」は、余りといえば余りにも意味なし翻訳ではないだろうか。 [DVD(吹替)] 5点(2009-06-07 05:20:20) |
127. 裸の銃を持つ男
10点つけるのはどうかと思ったんだけど、映画で一番笑ったのはこれなので敬意を評して。 [ビデオ(字幕)] 10点(2009-05-27 08:14:40) |
128. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 これを最初にみたときは中学生のときで、マセガキだった私は芥川の主要作品は全部文庫で読んでいたから、途中から「あれ? これ『藪の中』じゃん」と肩すかしというか妙な違和感を持ったのを覚えている。それから相当年月が経ったけど、どうして「藪の中」でなくて「羅生門」なのか、いまだにわからないままだ。 この作品に対しては、黒沢よりも原作者の芥川龍之介に軍配を上げたい。この作品について「今昔物語の話を多少設定を変えて書き直しただけ」だと私は長年思っていたが、実は原作はこんな話では全くなく、妻を目の前で手込めにされる情けない男の話でしかないことを最近知って驚いた。要するにこれをミステリー仕立てにし、さらに一つしかない事実が人(死者も含めて)によってかくも違うように語られるという不条理さを追加したのは全部芥川の手腕なのだ(もっとも、これについても何か原案がある可能性は残っているが)。まことに驚嘆するべき想像力、洞察力ではないだろうか。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-05-25 14:36:20) |
129. チャップリンのニューヨークの王様
《ネタバレ》 黒沢ですらも老いて無残な映画を残したが、チャップリンには老いはなかったことの見事な証明。いわゆる「チャーリー」ではなく、スクリーンに写る姿は老いたチャップリンそのものだが、精神は断じて老いてはいない(相変わらず女好きでもある:笑)。ユーモアを交えながらも痛烈にアメリカを皮肉っているのがまさに「王様」の貫祿だ。なるほどこの映画がアメリカで10数年の間公開できなかったのも頷ける。なお本作は当時のアメリカの状況がわからないと意味がわからないので、赤狩りやチャップリンがアメリカを追放された歴史について少しでも知っておくべきことは、言うまでもない。それにしても病めるアメリカの姿は、ついに飛行機による自爆テロまで引き起こした。あれをチャップリンが見ていたらどう思っただろうか。 [ビデオ(字幕)] 9点(2009-05-25 10:25:42) |
130. 刑事コロンボ/歌声の消えた海<TVM>
《ネタバレ》 事件前にコロンボが犯人と遭遇するのは珍しい。上司が犯人だった「権力の墓穴」はともかく、他に何かあったろうか? 「缶詰買ってメキシコ行こう」という笑えるセリフや、同じ船に乗ってるのにとうとう最後まで出てこないカミサン、「汽船」と「ボート」を何度も間違えまくる警部などなどニヤニヤさせられる部分もたくさんある上に、ミステリーの点でも設定がきちんとしていて完成度が高い作品である。細かいことを言えば犯人が愚かにもコロンボのトリックにひっかかるラストは弱い(が、「どうして自分を疑ったのか」という犯人の問に「床に落ちていた羽から疑いを持った」と答える場面が「よくぞそんな小さなところまで気がつくもんだ」と思わせることによってその弱さをカバーしている……ちょうどそこで羽が落ちるなんざ、実はできすぎなんだけど)、それ以上に銃を購入したレシートを手提げ金庫に忍ばせるのはどんなもんだろうか? 店がわかれば当然警察が聞き込みに行くだろうし、店員が購入者の顔を覚えていたら困ったことになるだろうに。そもそも自分には完璧なアリバイがあるんだから、ピアニストに罪を着せる必要が果たしてあったのかという疑問も出てくる。だがそれはそれ、陽気な音楽と豪華な船旅を満喫する人々の姿が楽しげで、こちらまでちょっとした船旅気分になれる(?)ところも高評価。 [DVD(吹替)] 7点(2009-05-24 06:24:13) |
131. 刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM>
《ネタバレ》 他の作品には見られないラストの論理的な追い詰め方がこの作品の最大の特徴。まるでパズルを解くかのようだ。もっとも「いや、実は『先々週の』日曜の朝に見たんだ」と強弁したらどうするつもりなのかという疑問は出るが、軍人としてそういう態度は潔しとしないだろう。なおこの殺人の動機は学校がなくなったら自分が職を失うからなどという個人的な動機ではない。「あれは必要だった。必要なら何度でもやるだろう」と言っているのは「アメリカのためにまだまだ有能な軍人を養成することが必要だ」という意味であり、そのための学校をつぶしてはならないというのが動機である。「アメリカを守るため」だから殺人だろうが何だろうが「何度でもする」のであって、それを単に私怨と受け取られては、大佐にとったら不本意だろう。それとラスト以外で一つ印象的な場面は、大佐が珍しく相好を崩して「バラがあってね……」と語るところである。コロンボの追及を交わすためだった可能性はあるが、堅物軍人が心をほんの一瞬だけ開いて見せるその瞬間が印象的だ。本当にコロンボ作品は、人間をよく描いている。 [DVD(吹替)] 7点(2009-05-13 07:13:05) |
132. 刑事コロンボ/逆転の構図<TVM>
《ネタバレ》 …………いやあたしゃ最初からね、あの時計がひっかかってねぇ……。だってそうでしょう? あの農家の雰囲気にあわないもの。チグハグなんだ。第一文字盤がないってのが妙だよねぇ。ウチのカミサン曰く、まるであれじゃぁ、時限爆弾の装置みたいじゃないかってな代物だよね。でも謎解きの場面で、ピーンときたんだよね。なぜって文字盤があったら裏焼きのミスがすぐわかってしまうから、トリックが成立しないものねぇ。それであんな変な時計をわざわざ持ち出す必要があったわけだ。はなっからあの時計が気になって仕方がなかったけど、やっとこれですっきりしたよ。辻褄がちゃんとあった。 ……ああそれからもう一つ、浮浪者に間違えられる場面だけど、いろんな作品でいろんな人からいろんなものに間違えられるのが常でね、荷物運びに間違えられたり職探しにきた失業者と間違えられたりとにかくうんざりするほど間違えられるんだけど、シリーズ全体でもピカ一の「間違えられ方」だねこれは。これほど笑えるのは他にはないよ。ほんとドジな話でね。………… それはさておき、実はこの作品、いまいち動機がはっきりしない。本人は一流のカメラマンなんだからいくらでも稼げるし、若い愛人(らしき女性)もいる。妻がうるさいだけならさっさと離婚すればいいだけじゃないか? 「白鳥の歌」では弱みを握られていて離婚できなかったわけだし、「権力の墓穴」ではそもそも妻の財産なんだから離婚するわけには行かないという事情があるが、この作品ではそれがわからないままになっている。 [DVD(吹替)] 6点(2009-05-11 05:39:50) |
133. 刑事コロンボ/別れのワイン<TVM>
《ネタバレ》 最高傑作とは思わないが、情感あふれる作品だと思う。しかも犯人の側を一方的に美化して描くことをせず、被害者側の人間から「兄貴は少しおかしいんだ」と言わせているところが奥が深い。人生ワイン一筋、結婚より監獄が自由だなどという人間は「どこかおかしい」と言われても仕方がないからである。だがコロンボはそうした声を耳にいれた上で犯人を敬愛し、本気でワインに取り組む。この姿は「自爆の紐」の30日間トレーニングをやりだす態度などとは全く違って、「本気も本気、大本気」なのだ。この作品に我々が感動するのはまさにこのコロンボの姿ではないだろうか。憎むべき殺人犯を心から尊敬し、真摯な態度で犯人に接し、犯人がコロンボの努力を素直にたたえると本当にうれしそうに笑い「何よりもうれしいお褒めの言葉です」と心から感謝する。なんと人間味あふれる刑事なんだろうか。コロンボの魅力はやはりこの人間味にある。私が全然古畑を評価しないのは、コロンボがすばらしく人間臭いのに対して、古畑からは演技臭さしか感じないからである。 [DVD(吹替)] 7点(2009-05-10 05:51:51) |
134. 刑事コロンボ/自縛の紐<TVM>
《ネタバレ》 トレーニングするコロンボや珍しく怒りの感情をあらわにするコロンボが見られるのはいいが、残念なことにラストが弱い。靴紐の結び方って、私なんか昔から紐が結べなくてわっかなんかあっちいったりこっちいったりしてるもの。私が陪審員ならそんなことでとても有罪にはできない。「被害者は不器用だった」で終わり。それよりも、電話の記録とか残ってないの? 「実は自宅のもう一本の電話からかけてた」または「クラブからは電話をかけていない」ことがわかったら、それで犯人はオシマイじゃん。靴紐よりずっと説得力あるし。 [DVD(吹替)] 6点(2009-05-10 05:06:23) |
135. 刑事コロンボ/白鳥の歌<TVM>
《ネタバレ》 「悪人じゃない」ってコロンボは言ってるけど、ちとおかしい。だって二人も殺してるんですよ。しかも奥さんを殺害する動機はまだしも、若い女性を殺害する動機はちょっといただけない。身勝手でしかないじゃないか。それにコロンボにしても「なぜ妻殺しのために『関係ないはずの』女性まで巻き込んだのか」という疑問は当然出てこないとおかしい。そして「死んだ妻は夫の弱みを握っていた」「一週間前から若い女性歌手の交代を命じていた」という情報が加わわれば、実は若い女性は「関係ない」わけではなく、犯人は最初から「妻と若い女性」の二人とも殺そうとたくらんでいたことがコロンボなら推理できるだろうし、さらに「妻が握っていた夫の弱み」の内容もたやすく想像できると思うんだけど。 それともしパラシュートを使ったと確信してたなら、実際に山岳警備隊に捜査させてもよかったんじゃなかろうか。遠くに捨ててしまった魔法瓶はともかく、パラシュートは骨折した犯人が墜落現場近くまでやってきている以上、そう遠くには隠していないはずだと推理できる。しらみ潰しにやればそのうち見つかりそうな気もする。 ラストは別のある作品とパターンが同じなんだけど、空港の部分でしっかり謎をかけてあるために「今のはなんなんだろう」という疑問が持続するため、そんなに物足りなくない。 それにしても「軍隊では何やってたんです」と質問して「パラシュートの整備だ」という答えを聞いた直後のコロンボの「なるほど、それか……」と辻褄があった表情をするのが実にうまい。演技力に感心してしまう。 [DVD(吹替)] 6点(2009-05-10 04:49:18)(良:2票) |
136. 刑事コロンボ/愛情の計算<TVM>
《ネタバレ》 ラストの逮捕劇のあまりのお粗末さにコロンボシリーズ(もちろん旧作)の中での最低作品として2点を献上する。いくら犯人を逮捕するためだとは言え、完全なでっち上げで息子を逮捕するなんて無茶すぎる。コロンボの逮捕劇はかなりキワドイものが多いが、それが犯人に向けられているのならともかく関係のない息子と被害者の妻が愛人関係にあったなどというでっち上げはまことにいただけない。裁判やったら負けるどころの話じゃないと思う。大体あんなでっち上げで犯人が音を上げる必然性がないではないか。だからせめて「本当は愛人関係ではないけど、そう思われても仕方がない状況があった(モテルには行ってないけど、モテルの近くで密会していたとか、一度だけ息子が奥さんにキスしようとしたところを誰かに見られていた、など)」ぐらいの設定がほしかった。それまでが非常にいい出来だっただけに残念。それにラストの音楽は「野望の果て」などのラストの音楽と同じだけれども、この作品のラストの場面には全然合ってない。 [DVD(吹替)] 2点(2009-04-20 16:49:21)(良:1票) |
137. 刑事コロンボ/第三の終章<TVM>
《ネタバレ》 この作品の特徴は他の作品では例がないほどに念が入った逮捕劇にある。他のコロンボ作品なら合い鍵のトリックにひっかかった時点で逮捕してしまっているんじゃなかろうか。「この鍵のことをお話したのはあなただけですよ」とか言って。ところが犯人がシラを切ると原稿配達人を買収していたことを証明し、さらについ最近行われた変更が何ヶ月も前の原稿に記されているという決定的な矛盾をつきつけてさすがの犯人も観念する。いや、お見事。お見事なんだけどコロンボ慣れしていると鍵の件にせよ、「知りえるはずのないことをずっと以前に知っている矛盾」にせよ、他の作品にも使われているのでやや興ざめしないこともない。あともう一つ、コロンボが自分の解決した事件(野望の果て)について語っているのが珍しかった。 [DVD(吹替)] 7点(2009-04-18 16:43:15) |
138. 刑事コロンボ/毒のある花<TVM>
《ネタバレ》 これも結末が弱い。シラをきったら医者に連れてって「毒ヅタ」でかぶれたのはどこで? みたいな方面から落とすつもりだったんだろうか。ただあの試作品! あれを海に投げ捨てる場面は「別れのワイン」以上にもったいなかっただろうと思う。なにせ世界にたった一つしかない、ヒットすれば何百万ドル以上もの利益をもたらす夢のクリームだったんだから……(でも、あの酔っぱらいにもう一度作らせればいいんじゃないの? てな気もするんだけど)。そう考えるとあれを捨ててしまったことで会社の命運も尽きたと思って自供したのかもしれない。犯人は素直に美人だと思った。ま、コロンボも私も中年なんで、そこんところは感覚が似てるんだろうな。あ、あと一つだけ。この作品の犯人になぜかウチのカミサンがえらく同情するんですよ……。かわいそうだとか男が悪いとか。 [DVD(吹替)] 6点(2009-04-07 16:38:51) |
139. 刑事コロンボ/二つの顔<TVM>
《ネタバレ》 これは「双子のどちらが犯人?」という疑問が最後まで続くので、厳密に言えば「最初に犯人は明らかになっている」という他のコロンボシリーズとはパターンが違うと言っていい。その点で結末はかなり意外なものになっていると思う。だがそのせいで第二の殺人についてどちらの犯行だか示されないし、しかも結局謎解きも何もされないので、いかにもとってつけたようになってしまっている。それにしても全財産が結婚予定だった女性に行くというのはよくわからないのだが、遺留分とかないのだろうか? 特に甥たちを嫌っていたわけではないと思うのだが、妙な設定だと思う。あとペックさん怒りすぎです(笑)。 [DVD(吹替)] 7点(2009-04-07 16:19:00) |
140. 刑事コロンボ/断たれた音<TVM>
《ネタバレ》 コロンボに何本かある「え、こんなことで逮捕できるの?」と思わせる作品の中の一つ。しかもこの作品の場合、そもそも殺しの動機が弱すぎることもあって(愛情や遺産をめぐる殺人というのは実際にもあるが、チェスや将棋で「対戦相手に勝てそうにないから殺す」というのはちょっと現実には聞いたことがない)無理がさらに重なる印象を受けてしまう。で、そういうところに疑問が浮かぶと、例えば薬のリストをちょっとみただけで暗記するというのはともかく、それを暗記してどうするんだ? みたいな疑問も浮かんだりする。殺したいのなら適当な毒物を混ぜればいいだけのような気がするし、そうじゃなくてその薬の成分をうんと強くして殺すつもりだったというのなら相当その方面の知識が必要だろうから、なぜチェスの名人がそんなこと知ってるんだということになってまたしても不自然さが増す。あとレストランでのチェスだけど、チェスというのは将棋と違ってとられた駒はもとに戻せないからどんどん駒が減って行ってしまうはずなのだ。あんなに長時間打っててあんなに駒が残るものなんだろうか? まぁどうでもいいことですが……。 あ、あと一つだけ。殺された名人がなんとな~く鈴木銀一郎氏に似てると思ったのは、私だけだろうか……(汗)。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-07 15:58:00) |