121. ノスフェラトゥ(1978)
疫病を恐れて静まり返った夜の街。石畳の上をマントを翻して走る吸血鬼の白い頭がぼうっと光ってなんともシュール。怖いような気もするんだけど、クラウス・キンスキーの白塗りがどうかすると『ひょうきん族』っぽく見えてしまったのが敗因で怖がれず。不真面目さがここで出た自分に立腹。 [地上波(字幕)] 6点(2011-12-20 00:14:02) |
122. テス
どうも一昔前の文芸作品はべったべたの愛憎劇が多くて肌に合わない。この映画もストーリー云々より記憶に残るのは映像美と、ナスターシャ・キンスキー。ああ、彼女から発光されるのは美の極致。この世のものではないような。すっかり魂を抜かれたワタクシ。弱冠15歳の美の女神に手を出したというポランスキー監督。この小男を私は絶対許さない。 [ビデオ(字幕)] 6点(2011-10-03 23:48:14) |
123. フロント・ページ(1974)
なんでこうなっちまうんだ、の状況に次々襲われる とほほなJ・レモンと驚異的なしつこさを見せる編集長のW・マッソー。B・ワイルダーお約束の状況設定がコミカルで楽しい。はずれなしのコンビの安定した心地よさ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-09-13 16:35:14) |
124. グリース
ミュージカル映画の中でも屈指の明るさと屈託の無さ。何も考えてなさそうな高校生。特にドラマの起伏は無いのね。脚本作家はある意味ラクですね。 古くはあるけどカラフルで。 野暮ったいけどダンスのキレは一流で。 ポップな画の演出センスは今でも通用する場面が多々あります。 それにしても当時はこの老けたキャスティングに異論は沸かなかったのでしょうか。ちょっと記憶にない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-09-28 23:09:04) |
125. ラスト・ワルツ
《ネタバレ》 ちょっと勘違いしていました。‶ジャージー・ボーイズ”のような、一バンドの解散に至るドラマかと思っていたのですが。 完全なるファイナル・コンサートの記録でした。合間にインタビューを挟んではいるものの、これはザ・バンドに思い入れのある層にのみ向けた映像作品です。 残念ながらこのバンドについては(耳なじみのある曲はちらほらあるものの)ほぼ一見さんに近い立場で鑑賞しましたから「ああ、間違ったなあ」と途中からずっと思ってました。 スコセッシの名前にもミスリードされてしまったというのもあるな。 点のつけようもないのですが、若い頃のE・クラプトンやロン・ウッドを見られたということで中間点を。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-05-20 22:57:59) |
126. スラップ・ショット
けっこうお下品な描写やハダカが多いんですね。家族そろって観るには不向きですね。 そもそも乱闘沙汰で客を呼ぼうという発想が無茶に感じる。マイナーアイスホッケーってプロレス的な位置付けだったの? 氷上の選手としては老け過ぎ感のあるP・ニューマン、粗野でがさつなコーチも兼任。こんな役もできるんですね。 スピードにのったプレー中のカメラなんかは迫力があってすごいなあとは思いましたが、リンク上での男性ストリップとかは笑えるツボとまではいかなかったのでこの点数で。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-12-11 00:28:36) |
127. 悪魔の棲む家(1979)
《ネタバレ》 オカルトの原点でもあり、「家モノ」の定義を確立した記念碑的作品とも聞きますが、印象としては怖がらせ要素を盛りすぎと思います。「ポルターガイスト」あり「エクソシスト」あり。虫がいっぱいの生理的嫌悪描写なんかは「サスペリア」のようでもあり。地下に先住民の墓地があるそうだが、先住民の祟りというのは神父の悪魔祓いでも応用が利くのだろうか。そんなことを思いつつ観続けたけれど、神父はエクソシストするわけでもなく、さらにスピリチュアルとはほど遠い現実の刑事まで出てきて殺人事件の観点から口を挟んでくる。これではホラーなのかサスペンスなのか見てるこちらは気持ちの持ち方が定まらず、集中できずじまい。先述の地下室に落っこちたお父さんはコールタール状のモノでどろどろになってましたが、それ何?怖くない。怖くないぞお。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-04-15 23:54:45) |
128. 超高層プロフェッショナル
《ネタバレ》 高層ビルの工事現場での人間ドラマって、珍しいジャンル。友情あり陰謀あり。作業妨害してくる悪玉がちゃんといまして、場所も危険だしサスペンスフルな展開を期待したのですが。資材が届かなかったり、それを取り返しに行ったりの攻防はそれほど大乱闘にならず肩透かし。銃撃も無いし死人も出ません。 かつての仲間らを招集するくだりも、やけにはしょってとんとん拍子に進む。ライバルや女好きな奴や、名コンビなどキャラクターはそこそこ個性的なのを集めてますけど、ドラマは広がりきらずの感。大団円で終わりましたがこれまたなんとなく読めちゃったしね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-09-27 00:58:20) |
129. 名探偵登場
お話の内容よりも、二ール・サイモン脚本の洒脱さと各キャラクターの存在感合戦が印象に残る一本。 そうそうたるネームバリューの名探偵たちがぞろぞろ出てくるので、詳しい人ほど楽しめるかと思いますが、それほど元ネタに詳しくない私でも、とぼけたギャグの数々やギネスやセラーズの怪演ぶりなど、そこそこ楽しかったな。 ストーリーはミステリーとしてきちんと構築されたとは言い難いというか、そういう作品ではないので、ゆめゆめオチには期待なさらぬよう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-12-11 00:23:11) |
130. 白い肌の異常な夜
《ネタバレ》 「異常な」とは凄い邦題だけども、なんか訳者の気持ちが分かる。なんつうか「ヘン」なんですよこの作品の手触り。登場人物がですね、皆こちらの思う線とズレがあって、そのズレが「意外で興味深い」というんじゃなくて、「なぜにそうなる」と不可解なんですな。 まずイーストウッド。のっけから12歳の少女にキスをかまし、ロリータから熟女まで幅広すぎな女好きぶりを隠すことなく発揮。一見誠実そうに見えるだけに、その節操の無さはちょっとひく。さらに脚をとられた(!!)後の亀殺しや”学園まるごとハーレム宣言”にはさらに引く。 ”貞淑な”女学院の生徒さんたちにはまるで商売女みたいのがいたり、グロ好きがいたり。規範となるべき女先生の「死ねえええ」の咆哮には、一体どこが淑女やねん、と目が点だ。しかもしかも女校長は兄と関係があって、小間使いの黒人女もその兄と何かあるようで、カオスさながらのこの話一体どこに着地するんだと恐慌状態になりながら観てたら、イーストウッド毒キノコ殺害事件にて投了。こんな話あり?独特が過ぎて忘れ難いけどさ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-03-14 23:04:28)(良:1票) |
131. キングコング(1976)
コングがリアルになったら、なんかつまんなくなっちゃいました。人間的な感情なんか入れなくたって良いよ。モンスターだからこそ良かったんだよコングは。 なんだかヒューマニズムな描き方が鼻について、ことさらにコングを可哀想に描いているみたいで好きじゃないです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-05-20 00:00:33) |
132. お熱い夜をあなたに
《ネタバレ》 この邦題、かの“お熱いのがお好き”の二匹目のどじょう狙いなのは明らか。だけどモンロー主演の永遠の名作を愛する客もそうでない客も、かなり期待外れになるだろうなあ。プチトラブルに巻き込まれるJ・レモンの役まわりはいつも通りだけど、今作では仏頂面で威張っているキャラなので彼の持つコミカルさがあまり活きてない。乳まで出した主演女優も頑張ったけどそんなに魅力的とはとても。乳出さずして輝いたモンローの偉大さを改めて思う。 イタリアの風光明媚かつ陽光の眩しさは美しいけれど、お話はゆすり・殺人・不倫とおだやかでなく、死体のすり替えまであって笑うに笑えないというか。それに、老いた両親の10年にわたる関係と、レモンとパメラの不倫は違うものだ。パメラは若いもの。残り少ない余生を真実の愛に捧げたというなら絵にもなろうが、若い彼女を夏の一ヶ月間だけ縛る、というのはこりゃどうなの。男がズルすぎないか。ここら辺の、脚本の感覚のズレというかさじ加減の失敗を色々感じるお話でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-02-25 00:01:01) |
133. 天国の日々
《ネタバレ》 映像はキレイですけどね、さわやか自然百景を観てるんじゃないんですから。もう少し脚本何とかならんか。子供のナレーションが不穏な空気をやたら煽るけど、肝心の主演男女二人が情感不足でなんのことやら。 富豪を乗っ取って、底辺から這い上がろうと画策する美人局の二人に刹那的な焦燥感が全然無いんだ。こんなのんびりなバカップルに展開をまかせていたって面白くなるはずもなく、ストーリーの転換はイナゴの襲来を待つしかないんだな。 そしてもっと美人の女優を起用したらどうだろう。口角の下がったカエル顔をアメリカ人は好むのかもしれないけど、私には『お金持ちが次々と声をかける』ような美人には全然思えなかった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-11-17 00:16:05) |
134. 不連続殺人事件
いやあシュールなもん観た~。古典的な節回しの台詞と舞台劇のような大仰な仕草。横溝映画になれそうでなれないけっこうな詰めの甘さ。無駄に裸になる女優とエロ描写。目が点になるばかり。 そこそこ重量感のある役者を並べていながら、脚本の粗っぽさとのミスマッチが観ていてバランスが悪くて気持ちが悪い。気持ちが悪いといえば、狂人海老塚医師とチンピラ内田裕也、こんな濃い目のヤバいのがセットで狼藉し放題、ついていくのがやっと。濃いなー。 胸を張るわりには「本格推理作品」とは遠いプロットの粗さ。意味なく配置されている人物の多さも気になる。「犯人を逃がしゃしませんよ 畜生!」と憤っていた素人探偵氏の、数分後の解説者風謎解き場面には腰くだけた。あの怒りはどこへやら。 70年代の香り漂う、シュールで独特な雰囲気は唯一無二ではある。いろんな意味で忘れ難いほど印象強烈。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-03-11 00:07:25) |
135. キラーカーズ/パリを食べた車
《ネタバレ》 ピーター・ウィアーのデビュー作らしい。監督、これキャリアにしといていいんですかね?内緒にしときましょうか、と気を利かしたくなるようなヘンテコ映画。何が変ってうまく説明し難いんだけど・・、まず舞台が街ぐるみで追いはぎやってる犯罪タウンなんだ。ここに偶然たどりついた主人公、彼によってこの街の非道が暴かれ、裁かれるのかな?と思ったら、さにあらず。この彼がけっこうなぼんくらで、悪徳市長に言いくるめられるのみ。観てるこちらの正義はどこにも預けられないの。でもって凶悪な暴走族が登場、街を破壊するクライマックスなんですがここもハリネズミみたいな改造車でどかーんと建物に体当たり。迫力もあまり無い。正直住民が逃げ惑う姿に違和感あり。主人公はといえば人ひとり圧殺して“運転できるようになった♪”と嬉々として街を去るのだった。こらーっ。おまけに音楽が、こんなに変で異様な展開なのにリゾート地でかかる系のBGMだった。なんか色々と、映画を観るうえで初体験なこと多かったです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-10-21 00:45:20) |
136. ブリキの太鼓
《ネタバレ》 所謂「名作」かと思っていたので、観た時はもーびっくりしちゃって。なんかもうグロかった。“耽美”じゃないただのグロ。ことさらに人間の不快感覚を刺激するべく描いているみたいだった。耳障りなオスカルの叫び声。生魚。唾液。牛の頭部の死骸からウナギ。果ては3歳児の性交。小人という畸形をビジュアルに置いて何を描きたかったんだろう。戦争が終わって小人をやめるオスカル。精神と肉体が乖離しているこの奇妙な存在と、所属先の無い自由市だったダンツィヒの混沌が象徴的に重なるのか?うまいこと読み解ければ評論家になれるのだろうけど、ちょっと私にはわからない。“ショック”という意味では、この映画、“時計じかけのオレンジ”にも匹敵するけれど、「ブリキ」で描かれるグロさは言ってみれば平凡で、大きな声では言えないがこの程度のグロテスクならば、私は軽く十や二十は考えつく。展開がことごとく予想を上回る“オレンジ”よりもずっと評価が低くなりました。 [ビデオ(字幕)] 5点(2013-06-11 00:49:55)(良:1票) |
137. M★A★S★H/マッシュ
ストーリーが一本の流れでなくて、ぽつ、ぽつと点在しているのに困惑した。後で元TVシリーズなのだと知って納得。TVならば、“今週のどたばた話”として一話一話がすとんとおさまる。最後のアメフトの試合も戦争映画ジャンルとして観ると?だけどTVシリーズなら、なじみの登場人物たちが今週はアメフトやるんだってさ、でいいもんね。でもなんか、そんなに笑えなかった。ブラック・ユーモアというよりは悪ふざけに近い気がする。あの婦長が、最後まで生真面目キャラで押し通すとかしてくれないと。ボケがいないじゃないか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-05-10 01:06:46) |
138. チャンプ(1979)
お涙頂戴映画を作るぞー、とハリウッドが全力を傾注して作り上げた家族愛物語。わかってはいたけど、ここまでやるかと思うほどにべた。作中子供にやたらチャンプ、チャンプと呼ばせてラストなんざ絶叫だ。わかっちゃいるんだけど、それが上手いんですよ、ノセ方が。ノセられて何度も途中鼻すすってしまうんだ。この子役が初めの方で「アンは分かっていないんだ。賭けに負けたらあきらめないと」と気を揉んでいる。チキショー、上手いなあ。これ一発でもうこの子を嫌えない。でも散々泣いたわりに時間がたつとやっぱりそんなに“残らない”んですな こういうのは。あとこの当時のセレブ服であろうひらひらAラインドレスがF・ダナウェイに激しく似合ってなかった。 [地上波(字幕)] 5点(2013-04-27 00:55:27) |
139. 獄門島(1977)
《ネタバレ》 どうしても一連の石坂金田一シリーズと比べてしまうのは致し方ないというもの。「犬神家」や「手毬唄」の、あのクセになりそうな怖い陰気さが薄いのです。 三人娘の殺され方は充分ムゴイし、ピーターの気色悪さはスケキヨには及ばないものの健闘してはいるのですが。なんたって海が明るい。陽射しもふんだんに注がれる小島が舞台では、内地のじめっとした因習が発生しづらいよね。 お話もこれまでの「誰かを想う」ゆえの哀しい惨劇ではない。因業じじいの遺言になぜだか寺の住職まで言いなりに振り回されているという、美しさの乏しいものですので、心の琴線に触れるといった仕上がりにならなかったものと感じます。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-01-16 18:12:55) |
140. 燃えよドラゴン
そうですね、ブルース・リーの出演作としてはやっぱりこれが一番鑑賞に堪えるというか予算がいっぱい出たんだね、というか。リーはいつでもリー以外の何者でもなく、こうなるとリー以外演っていないブルース・リーは果たして役者なのか?という気もするのですが。もちろんファンの方にとってはそんな瑣末なことはどうでもよいことでありましょう。一部男子の琴線をかき鳴らした(?)B・リーの雄姿を観られて光栄でした。ストーリー等については何も申しますまい。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-01-13 00:45:00) |