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 > かたゆき さんの口コミ一覧。7ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1891
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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121.  ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 《ネタバレ》 
1960年代、公民権運動に揺れる激動のアメリカで、過激な黒人解放運動を展開した伝説的な政治結社「ブラックパンサー党」。暗殺されたその創始者マルコム・Xの後を継ぎ、自身も警察に殺害された指導者フレッド・ハンプトンの生涯を、組織に潜入捜査していたスパイの視点から描いた政治ドラマ。実話を基にしているということもあり、この全体を覆う圧倒的な熱量にはやられました。黒人の権利拡大を叫び自らの命を賭してまで活動を続ける党員たちと、政治には無頓着だったもののいつの間にか彼らに共感してゆくFBIの飼い犬潜入捜査員、彼らの鬼気迫るようなやり取りに最後まで釘付けです。特に、カリスマ的な指導者を演じたダニエル・カルーヤの熱演は素晴らしいものでした。聴衆をどんどんと熱狂させるアジテーションは観客さえも惹き込む熱気に帯びたもので、アカデミー賞受賞も納得の貫禄。と、制作者たちのこの事実を多くの人々に知ってもらいたいという情熱は確かに素晴らしいものでしたが、純粋に映画としての評価は正直微妙でした。事実を追うことに拘り過ぎたのか、ストーリーがちょっと分かりづらいところが多いんですよね、これ。しかも説明もあまりされないまま、ハンプトンが捕まったり、急に党本部で警察と激しい銃撃戦が始まったりと展開が急すぎてついていけなくなることもしばしば。潜入捜査物の醍醐味と言ってもいい、いつその正体が彼らにバレるのかというサスペンスももう少し盛り上げてほしかったところ。この驚きの事実を知れたという点で観てよかったとは思うのですが、映画としてはちょっと物足りなさが残る印象でした。それにしてもこの主人公の潜入捜査員が、それから何年も経ってテレビのインタビューを受け、それが放送された日に自ら命を絶ったというのは衝撃的ですね。それほどまでの傷を心に抱え込んでいたんでしょうか。人種差別問題の深い闇を改めて思い知らされました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-02-11 14:11:49)
122.  グリーンランド -地球最後の2日間- 《ネタバレ》 
地球のほぼ真横を通り過ぎる巨大彗星クラークの接近を控え、にわかに天体観測ブームで沸くアメリカ。糖尿病を患う一人息子を抱えた一級建築士のジョンもまたその一人だ。仲の良い友人や親戚たちを集め、そんな史上最大の天体ショーを自宅で楽しもうとした矢先、彼のスマホに謎のメッセージが届けられる。「これは大統領アラートだ。訓練ではない。この連絡がきたのは、地下シェルターへの避難を許された選抜者のみ。繰り返す、これは訓練ではない」――。その直後、州最大の大都市に彗星の破片と思われる巨大隕石が直撃するのだった。遠く離れた地であるジョンの自宅も爆風で激しく揺れ、何が何だか分からぬままパニックへと陥る近所の人々。すぐさまニュースで確認すると、これはアメリカだけではなく、世界各地の大都市も同じように隕石の直撃を受け壊滅してしまったらしい。すぐさま指示された空港へと向かうジョンとその家族。だが、そこでジョンは病気の息子は乗せられないと告げられてしまうのだった……。巨大彗星衝突により滅亡の危機にさらされてしまった世界を舞台に、決死の覚悟で生き延びようともがくある家族の姿を描いたパニック・アクション。主演を務めるのは、男臭い役柄がウリのジェラルド・バトラー。まぁ昔からよくある隕石衝突型のディザスター・ムービーなのですが、映像はそこそこ迫力があってけっこう楽しめました。本作のポイントは、これまで一個だった隕石が小さな破片が幾つも連なった彗星であるところ。おかげで隕石衝突の醍醐味が何度も味わえてお得感倍増。まあそれが予算の都合か、ほとんどテレビニュースの中の小さな場面でしか見られないのはご愛敬ですけどね(笑)。ただ、お話が最後までずっと一本調子だったのがちょっと物足りなかったかな。主人公家族が逃げて離れ離れになって暴徒に襲われてまた逃げて……の繰り返し。もう少し違うエピソードも見たかったような。こういうパニックものって基本群像劇になりがちなんですけど、本作もそうした方が良かったように僕は思いました。とはいえ最後の無数の隕石衝突の映像は迫力あったし、家族愛に絞った脚本もベタですけどそこそこよく出来ていたし、普通に面白かったです。少なくとも最近のローランド・エメリッヒ作品なんかよりは楽しめました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-02-07 23:31:27)
123.  ミナリ 《ネタバレ》 
1980年代のアメリカ南部を舞台に、移民としてこの地にやって来た韓国系アメリカ人とその家族の苦難の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。ほとんどのセリフが韓国語でありながらアカデミー作品賞にノミネートされたということで今回鑑賞してみました。何が起こるわけでもない平凡な日々をただ淡々と描きながら、それでも最後まで見せきるのはこの監督の高度な演出力によるもの。破天荒なお祖母ちゃんや日曜は十字架を背負って町を歩く変わり者の農夫など、なかなか印象的な登場人物がたくさん出てくるのも魅力の一つでしょう。どこまでも夢を追い求める夫と家族の安寧を第一に考える妻の次第に擦れ違ってゆく心理描写も非常に丁寧で惹き込ませます。ただ、自分としてはいまいち嵌まらなかったです、これ。最後まであまりに地味で辛気臭いお話が延々と続き、観終わって僕はちょっとげんなりしちゃいましたわ。「これからも苦難の日々は続いてゆく」というラストも気が滅入るばかりで爽快感なんて欠片もありませんし。一つの作品としてその完成度の高さは認めますけれど、正直自分の好みではありませんでした。
[DVD(字幕)] 6点(2022-01-08 02:33:44)
124.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
1920年代のアメリカ南部を舞台に、牧場主の兄弟とこの家に嫁ぐことになったとある未亡人、そして彼女の息子のそれぞれ複雑に絡み合う思惑を濃密に描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチとベテラン女優キルスティン・ダンスト。監督は、カンヌでパルムドールを受賞した名匠ジェーン・カンピオン。というわけで、観ながら思い出されるのはやはり同監督の名作『ピアノ・レッスン』でしょう。許されぬ愛に身を焦がす男女をこってり濃厚に演じたホリー・ハンター&ハーベイ・カイテルに負けず劣らずの熱演を見せてくれます。特に、ほとんど風呂にも入らず悪臭を放つ荒くれ者でありながら実は繊細な心の持ち主である牧場主を演じたB・ガンバ―バッチは見事でした。愛のない結婚生活から次第に酒に溺れてゆくK・ダンストの切なげな表情もなかなか良かったです。そして、最初は頼りない若者に過ぎなかった彼女の息子が次第に何考えているのか分からない得体のしれない存在へと変貌してゆくのも不気味でいい。ただ、『ピアノ・レッスン』と比べるとどうしても地味な印象を持ってしまったのも事実。何が足りないのかと考えてみると、それはやはり音楽なんじゃないでしょうか。あちらでは世界的なピアノ奏者マイケル・ナイマンの繊細で美しい旋律を持ったピアノ曲が全編に流れていて、非常に気品溢れる芸術作品へと昇華されておりました。対して本作、最後までほとんど音楽が使われず、終盤まで何とも地味な展開で気持ちが離れてしまうこともしばしば。最後に各々の思惑が明らかにされ、人間の底知れぬ怖さが浮き彫りになるというのは良かったのですが、いかんせんそこまでが長すぎます。いろいろと興味深い部分も多かったのですが、それと同じくらい欠点も目につく作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 02:42:12)
125.  ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 
海外旅行中のタイで事故に遭い、下半身不随の障碍を負ってしまった母親とその家族の苦難の日々を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。3人のかわいい盛りの子供たちにも恵まれ順風満帆の人生を送っていたのにいきなり、そんな失意のどん底へと落とされてしまう母親を演じるのはベテラン女優ナオミ・ワッツ。タイトルにペンギンとありますが本作にペンギンは一切出てこず、実際はペンギンと名付けられた小さなカササギが物語の鍵となります。内容は、そんな小さな一羽の鳥がこの壊れかけた家族の絆を再生してゆくという、まあ率直に言ってベタなもの。物語の前半、不慮の事故により一生車椅子生活を強いられることになってしまったこの母親のあまりにも自己中心的な姿に、僕はちょっと観たのを後悔してしまうくらい腹が立ってしまいました。いやいや確かにしんどいのは分かるけれどもあなたより大変な思いをしている人はごまんといるし、自分を献身的に支えてくれる夫も居るし何より3人のかわいい子供たちも居るのに、何をそんな自分が世界で一番かわいそうみたいな態度取ってんだよ!っていう、ね。そう思わせるほどナオミ・ワッツの演技力が素晴らしいんでしょうけれども。まあ「子供がトイレで吐いてるのに自分はもう駆けつけることも出来ない、母親として私もう終わってる」という言葉には、確かに心動かされるものがありましたけれど。でも、その家族の元へと迷い込んだカササギとの交流を通じてこの主人公が次第に前向きな気持ちを取り戻してゆくというのは、実話ということもあってなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。娘を思うあまり主人公に酷い言葉をはいてしまう母親の造形も何ともリアル。そして最後、色んなものを抱えながらもそれでも前を向いて生きてゆこうと決意する家族の姿には、素直にエールを送りたい気持ちにさせますね。ただ、最後にテロップで表示される「この母親はその後、カヤックで世界大会に出場し、障害者サーフィンで2度優勝した」との事実にはビックリ!え、そっちをメインで描くべきやったんじゃないの?(笑)。ここまでベタで行くなら、ペンギンとのエピソードはあくまでサブに抑えて、この失意のどん底にいた主人公がカヤックやサーフィンで世界へと羽ばたくというお話にした方がより面白くなったと思うんですけど……。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-12 02:49:13)
126.  ムクドリ 《ネタバレ》 
生まれたばかりの赤ん坊を亡くしてしまった中年女性、リリー。以来、精神の不調から入退院を繰り返す夫を支えながら、近所のスーパーでパートとして働いていた彼女だったが、それでもふとした瞬間にどうしようもない悲しみに襲われるのだった。なんとか気分を変えようとリリーはある日、自宅の庭をガーデニングすることを思いつく。倉庫からスコップや鍬を取りだし、麦わら帽をかぶってこれから素敵なお庭を完成させようとした矢先、思いもよらぬ敵が彼女の前に立ち塞がるのだった。それは、一匹の小さなムクドリ――。庭で何かしようとするたびに自分のことを執拗に攻撃してくるそんな小さな闖入者に、いいように振り回されるリリー。ホームセンターでフクロウの置物や害獣用の駆除剤を手に入れ、なんとか撃退しようと目論むリリーだったが、どうにもうまくいかない。そんな折、病院に入院していた夫の病状が悪化しているとの連絡が……。大切なものを亡くし失意の中に生きていた中年女性が、小さなムクドリとの攻防を通じて自らの過去と向き合う姿を描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めるのは、何処にでもいるような平凡なおばちゃんを演じさせたら右に出るもののいないメリッサ・マッカーシー。彼女のナチュラルな演技は抜群の安定感で、そんなどうしようもない悲しみに暮れるパート主婦をリアルに演じております。基本暗くなりがちな内容なのに、最後までそこまで重苦しくならないのは彼女の持ち前の明るさによるところが大きい。アメリカ郊外のノスタルジックな映像とほのぼのとした音楽も観ていて心地よく、この悲しい物語をいい感じに中和している。なので最後まで気持ちよく観ることが出来ました。ただ、彼女と裏庭に棲み着いたムクドリとの肝心の攻防が物語としてイマイチ巧く効いていないのが僕的には物足りなくも感じちゃいました。もっとスラップスティックなドタバタに振り切るか、あくまでリアルに徹するか、どちらかにしてほしかったですね。そうすれば、後半に明かされるムクドリの習性ももっと活きてきたと思うのに。この監督の前作『ドリーム』でも感じた、暗く重い物語をあくまで明るいエンターテインメントでという作風は嫌いじゃないだけに何とも惜しい。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-27 05:31:07)
127.  私というパズル 《ネタバレ》 
赤ん坊を自宅出産した女性が、助産師のミスからか、産まれたばかりのその子供を死なせてしまい、以来激しい喪失感と罪悪感に苛まれる日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。見どころとなるのは、やはりなんといっても冒頭30分にも及ぶワンカットで撮られたリアルな出産シーンでしょう。不安や痛みがダイレクトに伝わってきて、まるで自分もその場で立ち会っているかのような緊張感が感じられました。このシーンは率直に見事というしかない。ただ、それ以降、映画はずっとこの子供を亡くした夫婦の苦悩の日々をひたすら淡々と描いてゆきます。アカデミー賞にノミネートされただけあって、主役を演じたヴァネッサ・カービーの熱演も真に迫っております。ただ、とにかく暗い!!正直自分はこういう後ろ向きな人々の激しい口論がひたすら続くような内容がかなり苦手です。いや、彼女たちの気持ちは分かるんですけどもう少し明るい内容というか、もっと希望を持てるような展開がないとちょっときついですね。もう気が滅入って仕方ありませんでした。病んだ妻に嫌気がさして浮気しちゃう夫も、余計なお世話を焼いてますます事態を拗らせちゃう身内も、誰も彼も全く好きになれませんし。きっと完成度は高いんでしょうけれど、自分はこういう内容は好きじゃないです。すんません。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-08 07:01:04)
128.  時の面影 《ネタバレ》 
第二次大戦前夜、イギリスの歴史を揺るがすような世紀の大発見をなしたとあるアマチュア考古学者と地主の未亡人との交流を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。ベテラン俳優レイフ・ファインズとキャリー・マリガンが豪華共演ということで今回鑑賞。丁寧な演出と確かな時代考証、そして全体に漂う気品に満ちた美しい雰囲気とで終始心地よく観ることが出来ました。主演俳優二人の抑制の効いた静かな熱演も素晴らしく、何より第二次大戦前夜のイギリスを覆っていたであろう不穏な空気を忠実に再現することに成功している。と、作品の世界観はなかなか素晴らしかったのですが、肝心のお話の方には僕はちょっと物足りないものを感じてしまいました。一言で表すなら、「ザ・事実の羅列」。色んなエピソードが並列的に描かれるのですが、軸となるお話が何とも弱い。学会から軽視され続けた異端学者の偉業達成、戦争によって夫を失った未亡人の苦悩、宇宙に憧れる少年の鬱屈した青春の日々、これらのいったいどれをメインに見ればいいのか最後まで分かりません。特に、リリー・ジェイムズ演じる助手研究員の不倫話は明らかに不要。彼女が出てきて二人の男とチュッチュチュッチュするたびに何だか白けた気分になっちゃいましたわ。いや、見たいのはそこじゃないですから。全体に漂うこのノスタルジックな雰囲気や、世紀の大発見の裏に隠された市井の人々の努力を現代に蘇らせたその着想などは大変良かっただけに、惜しい。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-10-12 00:30:14)
129.  ソニック・ザ・ムービー 《ネタバレ》 
超高速ハリネズミ、ソニックの大冒険をCG満載で描いたアクション・アドベンチャー。基になったゲームは全くやったことはないんですけど、ジム・キャリーが出ているということで今回鑑賞してみました。まあこんなもんじゃろという感じの内容でしたね、これ。可もなく不可もなくの安定の定番エンタメ。面白いっちゃ面白いけど、心に残るものはあんまないです。ただ、主人公のソニックが猛スピードで大都会を駆け巡るシーンは爽快感抜群で、それを観るだけでも充分楽しめます。ま、ストーリーに関してはこの際どうでもいいんじゃないでしょーか。
[DVD(字幕)] 6点(2021-08-03 00:00:21)
130.  プロジェクト・パワー 《ネタバレ》 
街に蔓延する謎のドラッグ、その名も「パワー」。その薬を呑んだものは、遺伝子レベルの体内覚醒により、様々な生物の特殊能力を手に入れることが出来るのだ。ある者はカメレオンのように体表の色を自在に変え、ある者はアルマジロのように銃弾を跳ね返すほど全身を硬くさせ、またある者はタコのように身体中の関節をぐにゃぐにゃにさせる……。超絶的な力を手に入れた〝超人〟たちが街に溢れ、社会を大混乱へと陥れる中、薬の供給元である謎の組織を追って、売人の少女、市警の私服刑事、元軍人がそれぞれの方法で謎に迫ってゆく――。という、まぁいわゆるマーブルの『X‐メン』なんかでもお馴染みのミュータントものなのですが、見せ方が巧いのでけっこう惹き込まれて観ることが出来ました。肝心の薬の正体をなかなか明らかにせず、最後までちょっとずつ小出しにしてゆく脚本もけっこうよく出来ている(若干イライラするけど!笑)。それぞれの方法で謎の組織へと迫ってゆく主人公を演じた、ジェイミー・フォックスやジョセフ・ゴードン・レヴィットといった人気俳優も華があって大変グッド。特に、敵味方双方のバラエティ豊かな特殊能力をCGで再現した映像は観ているだけでわくわくしちゃいますね。後半息切れしたのか、クライマックスに近づくにつれどんどんと脚本がグダグダになっちゃったのが残念でしたけど、まあエンタメ映画としては充分及第点。気軽に観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-01-31 00:08:12)
131.  ジングル・ジャングル 魔法のクリスマスギフト 《ネタバレ》 
弟子の裏切りによって全てを失ってしまった偏屈な玩具職人が、孫の魔法の力を借りて再起を果たすという超王道クリスマス・ファンタジー。主人公を演じるのがオスカー俳優のフォレスト・ウィテカーということで今回鑑賞してみました。なんですけど、いやー、もうこれでもかってくらいベッタベタな内容でしたね、これ。最初から最後まで先の読めるストーリーにどっかで何度も見たようなミュージカルシーンの数々、そして一切個性の感じられないステレオ・タイプな登場人物たち……。正直に言って、この手の分野の大御所であるティム・バートンの作品から一切の毒を抜いたような超絶薄っぺらい内容でした。最後に明かされる、このお話を読み聞かせるお婆ちゃんの正体はきっとアレなんだろうなぁと思ってたら、本当にそのまんまのオチで思わず苦笑しちゃいましたわ。とは言え、けっこうお金が掛かっているであろう、仕掛け絵本を模したファンタジー・シーンはさすがのクオリティだったし、ミュージカルシーンもぼちぼち楽しかったので、何も考えずに観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2021-01-15 23:13:53)
132.  レベッカ(2020) 《ネタバレ》 
両親を病で亡くし、以来天涯孤独となってしまった〝私〟。生きてゆくために私が選んだ仕事は、気難し屋の大金持ち婦人の使用人だった。モンテカルロでのバカンスに連れてこられた私は、そこで偶然、上流階級で優雅な生活を送る紳士、マキシム・ド・ウィンターと出会う。結婚したばかりの妻を海の事故で亡くし未だ失意の中に生きていたというウィンターに、私は徐々に惹かれてゆくのだった。彼もまた、そんな孤独な私に心を許してくれ、いつしか私たちは結婚を誓い合うまでに。婦人と話をつけ、晴れて夫婦となることが出来た私たちはさっそくマンダレーに建つ彼の大豪邸へと移り住む。高価な家具調度品やたくさんの使用人に囲まれ、何不自由ない生活を手に入れた私。だが、次第に拭い切れない違和感を覚え始める。家のあちこちに残されたRの文字。「レベッカっていったい誰なの?」――。そう、館の至る所に残されたその痕跡は、前年に死んだ彼の元妻レベッカのものだったのだ。夫や使用人に聞いても詳しいことは何も話してくれない。まだ生きて何処かに潜んでいそうなそのレベッカの影に、私は徐々に追い詰められてゆき……。閉鎖的な上流階級へと嫁いできた若き女性が、夫の今は亡き前妻の秘密に翻弄される姿を描いたサスペンス・スリラー。同じ原作を映画化したというヒッチコックの古典的名作の方は未見。まあ何十年も前に書かれた小説の映画化だけあって非常にオーソドックスな内容なのですが、それでも細部の演出がけっこう丁寧でなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。主人公が豪邸の中で、今は亡き元妻レベッカの痕跡を徐々に発見してゆくくだり――夫の書斎に隠してある手紙やブラシに残った金髪、愛犬が部屋の一点をずっと見続けているといったエピソードの数々は、何処かモダンホラー的でぞくっとするような怖さがあります。特に、主人公に何かとチクリとする一言を放ってくる家政婦長のいや~~~な感じは特筆ものでした。ただ、残念だったのは後半の展開。ここまで良い感じでサスペンスを煽っておきながら、後半息切れしたのか急にグダグダになっちゃったのがなんとも勿体ない。特に最後に明かされることの真相はかなり強引で、僕は到底納得できるものではなかったです。前半が良かっただけに、この後半のモヤモヤ感がなんとも惜しい!え、原作もこうなんですかね?それともこの監督の詰めが甘いだけ?確認するにはやはり、ヒッチコックのその名作と呼ばれてる方を観るしかないですね。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-01-11 01:09:09)
133.  ミッドナイト・スカイ 《ネタバレ》 
2049年、突如として発生した謎の現象により、地球は急速に滅亡へと向かっていた。逃げ惑う人々はなすすべもなく犠牲となり、三週間後にはほんの一握りの人々を除き、人類はほぼ死に絶えてしまう――。北極圏の小さな天文台に取り残された年老いた科学者もまた、絶望の中に生きていた。過去の思い出だけを慰めに、酒に溺れ、孤独に死を待つだけの日々。そんなある日、彼は宇宙の彼方からとある交信を受ける。なんと何年も前に木星の衛星へと旅立った宇宙船が任務を終え、今から地球へと帰還するというのだ。「今、戻ってきても地球には何もない」。すぐさま宇宙船へとそう知らせようとする老科学者だったがこちらからの交信はまだ向こうには届かず、しかも汚染された空気はもうそこまで迫っていた。ここよりさらに北に向かったところにある観測所に行けば、何とか宇宙船へと知らせることが出来るかもしれない。老科学者は、同じく生き残った口の利けない少女とともに天文台を旅立つのだった。だが、そんな二人に自然の猛威は容赦なく襲い掛かってきて……。終末を迎えつつある絶望的な世界の中で、ただ人類の未来のためだけに苦難の旅を続ける老科学者を描いたサバイバル・SFドラマ。監督・主演を務めるのは、もはやハリウッドの重鎮となったジョージ・クルーニー。という訳で、けっこう期待して今回鑑賞してみました。なんですが、うーん、正直どうなんでしょうね、これ。世界の破滅の原因となった事件を一切描かないというのは明らかに意図したことだとは思うのです。なので本作のテーマが、この生き残った老科学者の内面描写を中心とした哲学的なものになるのは必然。ところがこの肝心の人間ドラマが一向に面白くならない。きっとSF版『老人と海』のような究極の孤独なサバイバルを描きたかったのでしょうけど、それならこの口の利けない少女の存在は明らかに邪魔。かといって、この二人の絆がテーマになるのかと思えば、それも一向に深まっていかない。これではなんとも中途半端と言わざるを得ません。少女の秘密が明らかとなる最後のオチに至っては、なんだか取って付けたようで肩透かし感が半端ありません。と、明らかに欠点ばかりが目に付く本作なのですが、それでも僕はそこまで嫌いではないんですよね、これ。けっこうお金が掛かっているであろう宇宙船内の描写はスタイリッシュで洗練されていて、対照的に吹雪が吹き荒れる地上の描写は何処までも荒々しい。この二つのシーンが交互に展開される中盤はなかなか迫力があって、画的には普通に観ていられました。それだけにもう少しストーリーを頑張って欲しかったです。惜しい!
[インターネット(字幕)] 6点(2021-01-06 01:32:39)(良:1票)
134.  エノーラ・ホームズの事件簿 《ネタバレ》 
あの伝説の名探偵には妹がいた!その名も、エノーラ・ホームズ。どうしようもないお転婆で、世間のせまっ苦しい常識なんか大嫌い、何かというとトラブルを巻き起こすじゃじゃ馬な彼女だったが、それでも兄譲りの推理力だけは誰にも負けない自信があった。そんな彼女の母親がある日、原因不明の謎の失踪を遂げる。「ママはきっと私に何かメッセージを残しているはず!」――。ロンドンで大活躍する兄も急遽帰ってくる中、そう確信したエノーラは独自に捜査へと乗り出すのだった。果たして母親は何処に消えたのか?問題の核心はロンドンにあると突き止めた彼女は、兄の手を逃れ、大都会へと向かう汽車へと飛び乗ることに。偶然出会った、同じく家出してきた貴族の息子とともに捜査を続けたエノーラは、やがて失踪した母親の本当の目的を知ってしまう……。19世紀のロンドンを舞台に、伝説の名探偵の妹が母親の失踪事件の裏に隠された陰謀を巡って大活躍するエンタメ作品。全編を貫く、観客にとにかく徹底的に楽しんでもらおうというサービス精神には素直に好印象。主人公となるお転婆探偵エノーラ・ホームズも充分に魅力的で、彼女とタッグを組む貴族のダメ息子もなかなかのヘタレ具合なのに決めるとこはちゃんと決めるというお約束も大変グッド。仕掛け絵本や古い映画フィルムを模した細かい演出もけっこうワクワク感あります。主人公が何かというとカメラ目線で観客に語り掛けるという、ともすれば鬱陶しさが先に立つ演出も僕はそこまで気になりませんでしたし。ただ、残念だったのは、脚本がいまいち練られていないとこ。肝心の母親の行方が物語の焦点となるのかと思いきや、後半は何故か相棒の貴族の息子くんの命を狙う黒幕探しになっちゃって、どうにもちぐはぐ感が否めない。ここらへん、もうちょっと頑張って欲しかった。とは言え最後まで小気味よく楽しめる、肩の凝らないエンタメ映画としては充分及第点。暇潰しで観る分にはちょうどいいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-29 02:01:39)(良:1票)
135.  ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey 《ネタバレ》 
映画としてはポンコツだったものの、サブキャラとして登場したハーレイ・クインというビッチな女の子があまりにもキャラ立ちしていて強烈な印象を残してくれた『スーサイド・スクワッド』。そんなクソビッチな彼女をがっつり主人公にして制作された本作。今回も主演を務めるのは、当然と言えば当然のまさに嵌まり役というしかないマーゴット・ロビーということで、そこそこ期待して鑑賞してみました。率直な感想を述べさせてもらうと、ま、こんなもんじゃろって感じの出来でしたね、これ。期待を大きく上回ることもなければ、こちらのハードルを著しく下回ることもないという、まさに模範的なスピンオフ映画。脚本がかなり大雑把なとこも、これまた想定内。とは言え肝心のアクション・シーンはけっこう力が入っていて、ポップでキレもそれなりに良かったしで、最後までそこそこ楽しんで観ることが出来ました。最後、追い詰められたビッチな女たちが一致団結して、けつあご男どもをばったばったと薙ぎ倒してゆくとこはなかなか爽快感抜群でしたね。あと、個人的に残念だったのは、ハーレイ・クインのハミけつが今回ほとんど見られなかったこと。ここ、自分にとってはかなり重要ポイントなんですけどー!
[インターネット(字幕)] 6点(2020-12-18 21:24:44)(良:1票)
136.  オールド・ガード 《ネタバレ》 
彼らの名は、オールド・ガード――。謎の現象により、ある日突然、不死の力を宿してしまった四人の男女。以来彼らは何百年もの間、歴史の陰で人知れず人類の危機を救ってきたのだった。ナポレオンのロシア遠征、南北戦争、二度に及ぶ大規模な世界大戦、そして冷戦終結……。遥か昔に生を受け、もはや何百年生きたかすら分からないアンディをリーダーに、彼らは今日も世界の危機を人知れず阻止していた。そんなある日、四人は数世紀ぶりに新たな仲間の誕生を知る。アフガニスタンの紛争地で敵の襲撃に遭い、呆気なく命を落としたはずの若き黒人女性兵士が、そのすぐ後には何事もなかったように立ち上がったのだ。脳内映像でそのことを知った彼らは、すぐさま新たな仲間の元へと向かうのだった。そんな折、彼らの存在を知った世界的製薬会社がその不死の秘密を探ろうと動き始めていた……。アメリカのグラフィック・ノベルを原作に、歴史の陰で暗躍する孤高のダーク・ヒーローたちをスタイリッシュに描いたSFアクション。主演を務めるのは、もはや世界一カッコいい美魔女と言ってもいいシャーリーズ・セロン姉さん。徹底的に鍛え抜かれたであろう彼女のそのパーフェクトなボディが画面狭しと暴れまくるアクションシーンは、もうさすがの貫禄でそれだけでも見応え充分でした。いやー、どうやったらこのお歳でここまでの美貌とプロポーションと身体能力を維持できるのやら…。この人、もはや半分機械で出来てるんじゃないかとさえ思っちゃいますね(笑)。ただ、それに対してお話の方には僕はそこまで嵌まれませんでした。まあ突っ込みどころ満載の荒唐無稽な設定はそーゆーもんなんで全然オッケーなんですが、問題は脚本の詰めの甘さ。まず、主人公がこのセロン姉さん演じる不死たちのリーダーなのか、それとも新人のこの若い黒人女性なのか、最後までそこらへんが非常に曖昧なのでいまいちどちらにも感情移入出来ない点。やはりこの黒人女性をがっつり主人公にして、物語の冒頭は彼女が生き返るシーンから始めた方が良かったのでは。そんな戸惑う彼女に、アンディはじめ不死の軍団が現れた方がより物語に入り込めたように思うのですが。あとこのアンディが物語の終盤で不死の力を失ってしまうシーンがあるんだけど、そこも結局どうなったのか最後まであやふやなまま終わらせたのは致命的。不死の力を失ってはもはやリーダーを続けていけないと思うんですけど。映像は終始キレイだし、アクションシーンもスタイリッシュでけっこう頑張っていただけに、もう少し脚本を練って欲しかった。惜しい!!
[インターネット(字幕)] 6点(2020-11-09 03:09:27)(良:1票)
137.  スペンサー・コンフィデンシャル 《ネタバレ》 
彼の名は、スペンサー。どんな些細なことでも曲がったことが許せない熱い男だ。警察官として日々犯罪と向き合ってきた彼だったが、五年前、ある事件を起こし自らも犯罪者となって刑務所へとぶち込まれてしまう。妻に暴力を振るっていた上司に暴行し大怪我をさせてしまったのだ。当然警察も辞め、何もかも失ったスペンサー。五年後、無事に刑期を務めあげた彼は、久しぶりにボストンの街へと帰ってくる。大型トラックの免許でも取って何処か誰も知らない街で新たに人生をやり直そうとした矢先、スペンサーはあるニュースを耳にする。なんと件の元上司が、彼が出所した日に暴行を受け死体となって発見されたらしい。当然容疑を疑われたスペンサーだったが、次の日、事件は急展開を見せる。元上司の相棒が車の中で自殺死体となって発見され、しかも彼の自宅から大量の麻薬が見つかったのだ。「この事件にはきっと何か裏がある!」――。そう直感したスペンサーは、独自に調査に乗り出すことに。格闘家志望のルームメイトや自由奔放な元恋人の助けを受け、事件の真相に迫ってゆくスペンサー。すると、彼は五年前の自らの事件との意外な繋がりを発見するのだった……。熱血元警察官スペンサーがとある殺人事件の裏に隠された真実を追って孤軍奮闘する姿を描いたコメディタッチのミステリー・アクション。毎度おなじみ、ピーター・バーグ監督&マーク・ウォールバーグ主演コンビで送るそんな本作、まあ終始気軽に楽しめるエンタメ映画としてはぼちぼちよく出来ていたんじゃないでしょうか。とにかくこのスペンサーと言う主人公が魅力的で大変グッド。熱血漢ではあるものの、そこまで暑苦しさを感じさせない飄々としたキャラがM・ウォールバーグにばっちり嵌まっておりました。それに彼の元恋人である、胸元ざっくり空いたビッチヒロインもナイスな仕事ぶり!彼女とスペンサーがトイレでの久しぶりのエッチに思わずエキサイトしちゃうシーンなんて、バカバカし過ぎて思わず笑っちゃいましたわ。ただ、肝心のミステリーがけっこう大味だったのが本作の残念なところ。もう少し丁寧な演出を心掛けてくれたらなお良かったと思うんですけど、この監督にそれを求めるのは野暮と言うもんかな。まぁ、最後までお気軽に観られるエンタメ作品としては充分及第点だったんじゃないでしょうか。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-27 23:42:25)
138.  最高に素晴らしいこと 《ネタバレ》 
今年で高校を卒業するティーンエイジャー、バイオレットはその日、哀しみに沈んでいた。何故なら、唯一の理解者で子供のころからの大の親友でもあった姉が本当なら19歳の誕生日を迎える日だったから。そう、大好きだった姉は、自らも乗り合わせていた車で事故を起こし、帰らぬ人になっていたのだ。気付いたら、姉が死んだ場所の近くにある橋の上に立っていたバイオレット。あと一歩踏み出せば、全てを終わらせることが出来る――。そんな彼女を救ってくれたのは、たまたま近くをランニングしていたクラスメートの男の子、フィンチだった。変わり者として有名で、いろいろと噂の絶えない問題児でもある彼。でもその日から、バイオレットはなんとなく彼のことが気になるように。そんな折、授業の一環で地元の名所を二ヶ所以上辿り、二人一組でレポートを作成するという課題が出される。「僕と一緒に色んな所に行ってみないか?」。フィンチからのそんな提案に、最初は戸惑いながらもバイオレットは少しずつ受け入れてゆくのだった。美しい大自然の中で、次第に惹かれ合ってゆく二人。だが、フィンチもまた、誰にも言えない秘密を心に抱えていて……。交通事故によって姉を失い失意の中に生きていたティーンエイジャーが、ある一人の男の子との交流を通じて次第に再生してゆく姿を瑞々しく描いた青春ドラマ。率直な感想を述べさせてもらうと、まさに「ザ・王道」。よく言えば、最初から最後まで心地良く観ていられる安定の青春ラブ・ストーリー、悪く言えば、終始既視感満載のよくある感動もの。とはいえアメリカ郊外の豊かな自然の映像やセンス溢れる音楽などはなかなか美しく、主演を務めたエル・ファニングちゃんの魅力とも相俟って最後まで普通に観ていられました。まあさすがに、彼女の過去に主演した幾多の青春ものの二番煎じ感は否めないですけど。もう少しこの作品ならではと言った印象的な部分があっても良かったのでは。そう考えると、やはりソフィア・コッポラは偉大だなぁなんて思ってみたり。ただ、最後にこれだけは言っておきたい。ここでぶっちゃけてネタバレすると、彼女の彼氏となるフィンチ君は、物語の後半でなんと自ら死を選ぶのです。彼女の死を食い止めたはずの彼自身が自殺するという悲劇。きっと、作者は人が自ら死を選ぶということがどういうものか、そしてその行動が周りにどんな影響を及ぼすのかを描きたかったのだと思うのですが、いかんせんテーマへの掘り下げが浅すぎます。彼の自殺をあまりに軽く扱っていて、観る者の心に全く刺さらない。ノンフィクションならまだしも、それが作者の完全なる創作であるなら、人の死にはちゃんと意味を込めて欲しいと僕なんかは思うのです。監督にはもっと、この主題と真摯に向き合う覚悟が欲しかった。映像や音楽などにはなかなかセンスを感じただけに、惜しい。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-15 00:01:46)(良:1票)
139.  ニモーナ 《ネタバレ》 
中世の騎士や最新鋭のテクノロジーが同居する近未来都市を舞台に、女王殺しの汚名を着せられたとある騎士となんにでも姿を変えられるという超能力を持った謎の少女ニモーナの闘いを独創的な映像で描いたアニメーション。とにかく唯一無二のこのマジカルでポップな世界観が大変グッド!恐らくCGで描かれた、流れるように動く流麗な映像がすこぶる良かった。特にリスやゴリラや犬やクジラにまで自由自在に姿を変えられる少女ニモーナが画面狭しと大暴れするシーンは単純に楽しい。『スパイダーマン/スパイダーバース』と画的にけっこう被っちゃてるのが玉に瑕でしたけど、魅力的なキャラクターと躍動的な映像美で最後までぐいぐい引っ張った所はなかなか見応えありました。ただ肝心のお話の方が弱い。主人公と相棒になるこのニモーナという少女がいったいどういう存在なのかいまいち分かりにくい。なんか人類と敵対する古代の怪物みたいな感じなのかと思いきや最後は人々の為に戦っちゃてるし。ラストもけっこうグダグダで自分はいまいちカタルシスを得られませんでした。総じて、映像面は文句なしだけど、お話の方があと一歩って感じですかね。あと……、これは完全なる個人的意見なんですけど、主人公である騎士バリスターのゲイ設定って果たして必要だったんでしょうか。物語的に活かされているわけでもないし、ゲイであることがストーリーの要になっているわけでもない。主人公がゲイであってもいいじゃないか!という主張はもちろん分かるんですけど、この映画に関しては自分はなんだか取ってつけたような安易なものを感じてしまいました。「自分たちはこんなにも社会の多様性に理解のある、進歩的な映画人なんだよ」という主張があからさま過ぎて、なんかイヤ。昨今のポリコレ至上主義に安易に媚びてる感じが自分は物凄くハナにつくんですよね~~。よって、-1点!
[インターネット(字幕)] 5点(2024-06-21 12:43:08)《新規》
140.  マエストロ:その音楽と愛と 《ネタバレ》 
『ウェストサイド・ストーリー』の音楽などで有名な、世界的作曲家で指揮者でもあるレナード・バーンスタイン。彼の波乱に満ちた生涯を実話を基に描いた伝記映画。監督と主演を務めるのは、俳優として長年第一線で活躍してきたブラッドリー・クーパー。観終わってすぐの率直な感想を述べさせてもらうと、「ザ・普通」。決してつまらなくはないんだけど、さして面白くもないという。バイセクシャルでもあった彼と、長年彼の浮気に悩まされてきた妻との愛憎渦巻く関係を軸に描かれるんだけど、これがすんごく浅い。なんだかどちらの思いにも表面的なアプローチしかされてないので、自分は全く感情移入できませんでした。よく分からない理由で喧嘩していつの間にか仲直りしてまた喧嘩して、最後はガンになった妻に愛情を取り戻して大団円……。子供たちもこの親に怒ってんだか許してんだかもよく分からないし。うーん、これ、なんか内容薄すぎじゃないですか?もっとドラマティックに描くことも出来ただろうに。まぁ、前半2人がラブラブだった時代を白黒のノスタルジックな映像で描いて、後半夫婦の関係がギクシャクしてゆく過程はカラーで生々しく描くというのは対比が効いていて良かったのと画面が次々と切り替わってゆくミュージカルタッチの前半部は普通に見応えあったので、5点。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-06-07 11:40:52)
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