1381. 昔みたい
とにかくゴールディ・ホーンが可愛い作品です。ゴールディが夫と元夫の2人の対照的な男の間で心が揺れ動くラブコメ。2人の男は順風満帆のエリート人生を歩む夫、チャールズ・グローディンと犯罪に巻き込まれ逃亡生活を送る元夫、チェビー・チェイスという手堅いキャスティング。ゴールディはパワフルなコメディエンヌですが、本作は職業柄ちょっとだけ大人しめです。 脚本はニール・サイモン。このキャストの割にはドタバタ度数は低めですが、ウィットに富んだ彼らの絡みに台詞が楽しく、この3人の関係の結末は可笑しくもちょっと切ない、と思っていたら最後はやっぱり可笑しなサイモンらしいラブコメでした。チャールズ・グローディンは本作といい「ベートーベン」シリーズといい、犬とのコントが上手い(笑)人です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-04-22 14:11:59) |
1382. 12人のパパ
スティーブ・マーティンのいい味がよく出ていて、ボニー・ハントのきれいな肝っ玉母さんぶりも良かったです。家族の物語としては終盤はかなり一気に家族に起こっている問題を片付けてしまいましたが、コメディとしては途中は楽しかったしこの手の映画は幸せな家族の姿で終わるのが基本だしこれでいいんじゃないかと思います。ただ、子どもの数が多すぎで、大した役割が無く最後まで名前が覚えられない子どもが一杯いましたね。 [DVD(字幕)] 5点(2011-04-21 00:15:43) |
1383. 暗殺者の家
《ネタバレ》 先に「知りすぎていた男」を見ているので(本作を先に見る方は少ないと思いますが)どうしても比較しながら見てしまう。「知りすぎていた男」は僕のお気に入りのヒッチ作品の1つであり、特にコンサートの後の息子救出の際のドリス・デイが歌う”ケ・セラ・セラ”はお気に入りのシーンですが、勿論本作にはそれはありません。こちらはコンサートの後は銃撃戦になりますが、テロリストの側から見せるシーンが多く、父の娘救出はこの銃撃戦の合間に挿入されますが、銃の音は聞こえているもののあまり銃撃戦とは関係なく進行していくので緊張感は少ない。ただ、ピーター・ローレはやはり本作でも独特の存在感を醸し出しています。 [DVD(字幕)] 5点(2011-04-17 23:07:44) |
1384. スパイ・ライク・アス
ジョン・ランディス監督にチェビー・チェイス&ダン・エイクロイドのコンビによるユルユルのスパイ・コメディ。ランディス監督もこの2人も大好きな僕にとってはそれなりに笑えるシーンもあったものの(序盤の海外勤務適性テストの会場での2人のコントとか)もっと敵地に潜入して以降に派手にバカやって笑わせてもらいたかったですね。意外と笑いドコロが少なかった。このユルいスパイ・コメディにあって一人マジメに仕事をした?エルマー・バーンスタインの壮大な音楽が逆に笑えました。最後は結構グダグダですが、アメリカとソ連、東西冷戦が下地にある中で、核兵器による世界の滅亡を回避すべく最前線で両国の要員が仲良く共同作業するユルさが微笑ましかったです。 [DVD(字幕)] 5点(2011-04-16 17:17:16) |
1385. シー・オブ・ラブ
犯人はどうやら女らしい。その女をあぶり出すために策を打つ。刑事がそこに現われた犯人かもしれない女を愛してしまうという、どこかで見たことがありそうな展開ではありますが、真犯人は誰なのかという点は重要ではなく、愛してしまった女がクロなのかシロなのか、この一点だけで楽しめる作品でした。エレン・バーキンの妖しい魅力が良く出ていたしパチーノも頑張って抑えた演技をしていました。個人的にはオーバーアクト・パチーノが好きなのですが元女房が忘れられない哀愁を感じさせ、冒頭の犯罪者をおびき寄せるヤンキースファンの集いに遅刻してきた息子連れの男を放免してやるなど冴えないけど愛すべき人間味を感じさせる刑事ぶりが良かったです。その相棒のジョン・グッドマンもいい味を出していたし、なかなかのいかしたコンビぶりでした。 [DVD(字幕)] 6点(2011-04-14 23:46:33) |
1386. リトルショップ・オブ・ホラーズ(1986)
リック・モラニス演じる冴えない花屋の店員と彼が思いを寄せるエレン・グリーンの主演2人に、 イカれた歯医者のスティーブ・マーティンに、そのイカれた患者のビル・マーレイの濃い2人のコントにジェームズ・ベルーシにジョン・キャンディと、出番は少ないけど濃い存在感全開のサタデーナイト・ライブ組も多数出演のキャストが最高! ミュージカルシーンは楽曲もいいし、街や建物の形状を上手く利用して姿を現す3人のコーラスのお姉さんの登場のさせ方も巧いです。成長したオードリーⅡがリードボーカル、その子株たちがコーラスっていうのもいいじゃないですか。 ラストはバッチリハッピーエンドですが、シーモアの犯した罪はいいのか?まあ、宇宙から地球を征服に来た謎の植物を倒して地球を守ったんだから不問にしておきましょうか。どうにもアホな設定と登場人物のホラー・ドタバタコメディ・ミュージカル仕立て・・・欲張りな設定を上手く纏め上げたフランク・オズ監督。流石です! [DVD(字幕)] 8点(2011-04-12 21:36:04) |
1387. 女はそれを我慢できない
マリリン・モンローと並び50年代を代表するセックスシンボル、ジェーン・マンスフィールドに目が釘付け!のゴキゲンな当時のヒットナンバーに乗せておくるとても楽しいラブコメです。 共にブロンド美女でそのダイナマイトぶり、甘ったる~い話し方、それでいて可愛らしさがある。そして2人とも若くしてこの世を去っています。マリリンとジェーン、共通項の多い2人ですが、(ゴージャスさではジェーンが凌駕していますよ!)マリリンの方が数年早く世に出てきたんですよね。 マリリンと比較するとジェーンは語られる事も少なく忘れられたスターのような存在ですが、もしジェーンの方が数年早く世に出ていれば、ジェーンがマリリンのポジションにいたのかもしれませんね。 お話は至って無邪気なラブコメ。マリリンの50年代の「百万長者」「紳士は金髪がお好き」などもそうですが、この頃のコメディの持つ雰囲気に彼女達のキャラクターが見事にはまります。 本作ではジェーンが町を歩けば男達は仕事の手も止まりみんな彼女に釘付けになる。彼女がそばを通れば氷屋の氷が溶け出して、アパートのオッサンは彼女を見た衝撃で眼鏡にひびが入る。また、音痴のジェーンが歌えば衝撃で電球が割れる。この頃のコメディのこんないい意味での無邪気さは今に見ると、とても楽しく微笑ましく感じられるのです。 [DVD(字幕)] 7点(2011-04-10 15:40:32)(良:2票) |
1388. プリシラ(1994)
ドラッグクイーン一座の3人組がオーストラリアの大平原を行く珍道中を描いたロードムービー。 途中で通りかかる小さな町で出会いや騒動が起こるのですが、変人扱いされ、傷ついて涙を流す事はあっても明るくめげずに目的地を目指すという、基本的に町に着くごとに同じパターンが続く。 ドラッグクイーン達のステージも結構ショボいのですが、冒頭で歌われる(口パク)”I’ve never been to me”がいい選曲。(フルコーラスやってほしかった。) 何度聞いても心に響く名曲であり、ストーリーが進むにつれてこの曲の歌詞が頭をよぎりました。 この曲の主人公の女性は「ついに本当の自分は見つけられなかった」と言う。本作のドラッグクイーン達にもまだ見つかっていないのでしょう。しかしそれでも終盤からラストのドラッグクイーン達の姿には希望が感じられるし、こうした人生に対して分かりやすく明るい前向きな映画の鑑賞後は心にいい余韻を残してくれます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-04-10 01:12:04)(良:1票) |
1389. SOMEWHERE
《ネタバレ》 俳優として成功し、金と名声を得てフェラーリを乗り回し、高級ホテルのスイートで豪華ではあるが享楽に溺れ堕落した日々を送る主人公の男が別居中の妻の元で暮らす娘をしばらくの間預かることになる。娘と共に生活するうちにもっと大切な何かに気付くという、ハリウッドの成功者を冷静な目で見つめた作品。 前半は享楽に溺れるこの男の派手な日々を見せる。中盤以降は娘と共に生活する静かな日々を、退屈なほどに実に淡々と綴っていく。そこには大したストーリーすら存在しませんがこの男が娘との日々で得たものが伝わってきます。娘をキャンプに送り届け、一人ぽっちになる。自分がいかに孤独であったかを思い知り、別れた妻に電話をかける。スイートを引き払い、何も無い荒野でフェラーリを乗り捨てて一人歩き出す所で実にあっけなくエンディングとなりますが、これは今までの自分を脱ぎ捨て、新たな人生を歩き出そうとしていたと思いたいラストでした。 娘役はエル・ファニング。日本で言うとまだ小学生ですが、とてもそうは見えない大人びた表情も、父と遊ぶときの無邪気な表情も、淋しさを父にぶつける表情もとても良かったです。監督はソフィア・コッポラ。父は言うまでも無く巨匠フランシス。ハリウッドの成功者を父に持つという点でエルが演じた娘と共通するのが興味深い。本作の父の描き方はさておき、自身が子どもの頃に感じた思いが投影された作品なのでしょうか。 [映画館(字幕)] 7点(2011-04-05 21:01:20)(良:1票) |
1390. フォロー・ミー
人間、言葉も大事なんだろうけれど、その場を取り繕う言葉よりも人間関係って心なんだな。トポルとミア・ファローが一言も言葉を交わすこと無くロンドンの街を歩くミステリアスでもあり、可笑しくもあるシーンからはそんな事が感じられました。 前半はとても台詞の多い映画だっただけに、中盤以降の台詞が無い一連のこの2人のシーンが凄く効果的でしたね。最初、ミア・ファローの前に現われたトポルはただの不審者。しかしこの奇妙な10日間の間に少しずつ魅力的な表情に変わっていくミア・ファロー、トポルのユーモラスな味わいのある演技も素晴らしいものでした。 [映画館(字幕)] 8点(2011-04-05 20:20:12) |
1391. のるかそるか
《ネタバレ》 50ドル持って競馬場にやって来たさえないオッサンがツキにツキまくって勝った金を全額次のレースに転がして大金を手にするという、ただそれだけの話ですが、これが素晴らしきコメディに仕上がっています。そのさえないオッサンを演じるリチャード・ドレイファスがあまりにも素晴らしい。 賞には無縁の映画だろうけれど、ドレイファスに何か賞をあげたくなるくらいですよ。レースとレースの合間も非常に上手くつないでいてテンポの良さもバッチリ。特に馬券売り場の係員のオッサンとの前半の心理戦、しかし徐々に係員のオッサンがドレイファスに親しみを感じ、敬意を示す。この2人のやり取りが絶妙。 大好きなドレイファスが出てなければ見ることは無かったであろう作品ですが、ギャンブルものとしての緊張感や痛快さも程よくミックスされており、隠れた良品を見つけた気分です。 [DVD(字幕)] 8点(2011-04-03 23:07:29)(良:1票) |
1392. 若草の頃
《ネタバレ》 「オズの魔法使」で人々に愛されたドロシー。この時1939年。しかしその10年後頃からは常にジュディ・ガーランドにはスキャンダルが付きまとい、その後も素晴らしい映画がありましたがあまりにも短い生涯でした。よって、本作の頃が最も彼女が輝いていた、まだ二十歳を過ぎたばかりの彼女にとっても若草の頃でした。 そんなジュディが歌う数々の素晴らしい歌も心温まる家族愛の物語も楽しく感動的な作品です。冒頭、家族が口々に歌う”セントルイスで会いましょう♪万博で会いましょう♪”から楽しく、中盤の路面電車のシーンの素晴らしさ!女達の色とりどりの花をあしらえた帽子と衣装、歌うジュディ、その曲の高揚感。ジュディ演じるエスターの心も、万博がやって来る街の高揚感もが見事に伝わってくるシーンです。 エスターと優しい姉がいて、可愛い妹達がいて、両親にお爺ちゃんに兄にお手伝いさんに至るまで家族皆が魅力的でそれぞれの作品の中での存在感がしっかり出ていています。元気いっぱいのジュディを中心に明るく仲睦まじく暮らす家族の姿が描かれ、幸せなクリスマスに続き家族愛と家族それぞれの故郷を愛する思いが伝わってくる万博会場でのラストも実に感動的でした。 [DVD(字幕)] 9点(2011-04-03 01:03:18)(良:2票) |
1393. ザ・ファイター
《ネタバレ》 これは実在する元チャンピオンのボクサーを主人公としたボクシング映画ではあるのですが、同時に兄弟愛、家族愛のドラマとしても心に残る映画でした。 無口で真面目な主人公のミッキーに対し、ジャンキーの兄貴と試合のプロモートに口を出し、息子のボクシングに介入しまくる母が、前半はミッキーにとって邪魔な存在にしか見えない。その見事にアクが強い演技を披露したクリスチャン・ベールとメリッサ・レオの2人の助演賞コンビはやはり良かったです。特に途中からはボクサーの弟のサクセスストーリーよりも、このイカれた兄貴がどうなっていくのか、そちらの方が気になってしまうほどベールの本作における存在感が際立っていました。 一方ノミネート止まりでしたが、ミッキーの恋人を演じたエイミー・アダムスも良かった。本作のような気が強く逞しさが前面に出るこんな役の彼女は初めて見ましたが、今後もっと色んな役の彼女を見てみたいです。 兄と母だけでなく、いっぱいいたミッキーのお姉ちゃん達も弟の恋人にアバズレだ何だとイチャモンを付けまくる。しかし、それでもこの家族は互いを応援し合ってるんですね。ミッキーのことを応援するのは勿論なんですが、兄貴がムショから戻ってきた時にジムで家族総出で手作りのお帰り!のボードとケーキであたたかく歓迎する。存在感は薄かったですがお父さんもちゃんとその場に一緒にいる。その直後に兄貴は悪友の溜り場に別れを告げる。ミッキーも魅力的なベガスからの誘いを蹴って小さな町ローウェルに残り家族と共にチャンプを目指す決心をする。ミッキーのボクサー人生を通して描かれる兄弟、家族の絆の物語が心に残る作品でした。 [映画館(字幕)] 7点(2011-03-29 19:22:40) |
1394. バルカン超特急(1938)
《ネタバレ》 スロースタートで話が動き出すまでが長く感じられますが、列車が動き出してフロイ婦人が消えて以降はテンポの良さも素晴らしくとても面白かったです。物的証拠の眼鏡をめぐる格闘のシーンなどサスペンスとしての緊張感はゆるいのですが、サスペンス、ミステリとユーモアの上質なブレンドや、紅茶のパックや窓に指で書かれた文字の巧みな見せ方はヒッチコックの十八番。イギリス時代のヒッチ作品はあまり見ていないのですが、本作も僕が好きなヒッチらしさが随所に感じられる作品でした。 [地上波(字幕)] 7点(2011-03-27 21:23:46) |
1395. ソウル・キッチン
ソウルキッチンという食堂を営む主人公の男と、店に関わる人々をコミカルに描いた作品。主人公の男は不器用ながらもまともなのですが、あとがおかしな奴らばかり。ムショ帰りの兄貴と得体の知れない兄貴の悪友に、キレると包丁を投げつけてくるちょっとイカれた、しかし腕は確かな孤高の料理人に、ソウルキッチンに住んでいる?謎のジイさんに、同級生の最後はマヌケな悪徳不動産屋など、見事にヘンな連中揃いなのですが、それぞれに憎めないものがある。結構強引な展開もあるし、途中は一体何の店なんだ?なんてツッコミを入れたくなる時間帯もあったのですが、作品自体にも何か憎めないものがあるし退屈させない勢いもありました。店を取り戻す競売もかなり強引でしたが、人生、上手くいかない時期もあるけれど生きがいを失わず頑張っていればまたいいことがあるさ。最後はそんなことを感じさせてくれました。 [映画館(字幕)] 5点(2011-03-25 22:39:35) |
1396. 男はつらいよ 柴又より愛をこめて
《ネタバレ》 第36作。栗原小巻、第4作以来マドンナとして2度目の登場です。1度目の第4作では御前様が園長を勤める幼稚園の明るく朗らかな先生。本作では式根島の小さな小学校に勤務する人生に思い悩む先生。いつもは騒動勃発の柴又への帰郷もいたって平和でその後もとらや騒動も無い。途中の「二十四の瞳」までは良かったのですが、その後は寅さんの真知子への恋に、あけみと島の旅館の息子とのドラマと真知子先生と一人娘のいる中年男とのドラマが並行する形になり寅さんが目立たない時間帯も多く、笑いドコロも少なく地味な作品となってしまっています。ただ、冒頭のお馴染みの寅さんの夢は面白かった。寅さんが日本人初のNASAの宇宙飛行士となり、宇宙に行くというのに雪駄履きの寅さん、TIME紙の表紙を飾った寅さんには思わず笑ってしまったのでした。 [DVD(邦画)] 5点(2011-03-24 23:19:21) |
1397. 殿方ご免遊ばせ
これはもう完全にブリジット・バルドーを見るための映画であり、完全にその為に作られたような映画ですね。それは彼女の名前がそのまま役名になっていることを見ても明らかではないか。さらにバスタオル1枚の姿、鏡の前で踊る姿などは彼女を魅せるために用意されたシーンであります。本作でも彼女は勿論セクシーなのですが、同時に可愛いんですよ。お話の方はありがちな、おバカラブコメといったところですが、ブリジットがいい具合に弾けていて見事なコメディエンヌぶりです。ブリジットと殿下、2人が交互にくしゃみをして、ブリジットのアップで締めるラストも楽しくて粋だ。という訳でこれでもかと言うほど詰め込まれたブリジットの魅力を存分に堪能させていただきました。ありがとう、BB! [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-24 00:07:17) |
1398. トランスアメリカ
《ネタバレ》 ある事情から初めて会うことになった性同一性障害の父と、義理の父から虐待を受けて育ち犯罪に手を染め始めていた息子の2人旅を描いたロードムービー。性同一性障害や虐待、他にも数多くの人種や宗教を抱えるアメリカらしい問題を挟みながら旅は進みますが、ゆったりとのんびりとしていて程よい軽さがあり予想以上に見やすい作品です。 心に傷を負った2人が少しずつ打ち解けていく過程、グレていた息子は少しずつ素直さを取り戻し、父は少しずつ親らしい言動になっていく過程の見せ方も無理が無く、淡々とした旅の道中に挿入される様々な出会いもいいし、互いの故郷を訪れながら2人の過去が少しずつ明らかになっていく見せ方も実によく練られています。 見渡す限り何も無い砂漠の風景に、野宿の夜の焚き火を囲んでの語らいに、ヒッチハイクに、途中からはトラックの荷台にカウボーイハットの地元のオッサンと一緒に揺られ、その合間に現われる小さな町・・・流れる音楽は勿論カントリーミュージックがよく似合う。のんびりとしたアメリカン・ロードムービーの良さを随所に見せてくれる旅の風景もとても良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2011-03-22 21:10:19)(良:1票) |
1399. 思い出の夏
《ネタバレ》 中国の貧しい山村に住む、時折村の広場にやって来る巡回の映画が何よりも楽しみな映画好きの少年。ある日、その村にやって来た映画の撮影隊との交流を通して、この少年の目線で見つめた中国の山村に住む人々の思いが描かれます。 山村の風景は貧しさが目に付く。コンクリートでできた建物はなく、村の道は舗装もされていない。一旦村を出て町へ行った者は誰も戻ってこないという。その少年が映画に出る事になる。町へ出て行く姉に対し「僕は町になんて行かない」という台詞が言えず、「僕も町へ行く。こんな村は嫌だ」と台本に無い台詞を言ってしまう少年の姿は、中国の山村に暮らす人々の思いを代弁しているかのようでした。 監督は中国映画第6世代にあたるリー・チーシアン。第5世代のチャン・イーモウも本作と同じく現地の素人の子どもを使い、子どもの目線で中国の山村を見つめる映画を撮っています。冒頭に村の広場で上映されていた映画は、そのチャン・イーモウの「キープ・クール」。中国の地方を舞台にした映画を多く撮っていたチャン監督が都会に出て北京で撮った都会派コメディを使ったのが興味深いところです。 [DVD(字幕)] 6点(2011-03-20 22:33:16) |
1400. 暗黒街のふたり
《ネタバレ》 ジャン・ギャバン演じる老いた保護司とアラン・ドロン演じる本気で更正を目指しもがき続けるムショ帰りの男のドラマ。しかし冒頭のジャン・ギャバンの語りが・・・。特に今もフランスに2つ存在する、”ある物”についてまで語ってしまうので、一旦犯罪組織に関わってしまった者の更正の困難さや後味の悪い結末を確実に予感させるし実際にその通りに話が進んでいきます。あまりにもひどい警察と裁判の描写も気になるところですが、監督・脚本のジョゼ・ジョヴァンニはかつては実際にギャングに加わり、死刑判決を受け、その後恩赦になったというあまりにも波乱万丈な過去を持つ人だけに、ジョバンニの他の作品もそうですが、本作でもそんな彼の特異な過去が色濃く現われています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-17 21:22:01) |