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anemoneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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141.  ホワット・ライズ・ビニース
普通に合格点、な小粒の良品だったと思うのですが、どうもキャストが派手すぎたのと公開時期のせいで一般の期待感にはそぐわなかったような気がします。ロバート・ゼメキス監督でハリソン・フォード主演、というと、どうしても派手でスゴイものを期待してしまいがちだと思うのですが、ヒッチコックを思わせる品の良いミステリーでした。たまにはこういうのもいいよね、という製作者側の遊び心というか余裕が汲み取れます。随所にヒッチコック作品へのオマージュともとれるシーンが見受けられ、これは作り手の映画に対する想いを具現化した作品かな、という気がしました。残念ながら、ミステリとして「傑作」と言えるほど凄い、という気は私自身はしなかったのですが、こういうビッグネームが、いろんな事情で普段はスケール感を出すことを要求されているんだけど、実は映画が大好きな「活動屋」にすぎないんだよ、ということを率直に語りかけてくれると嬉しくなります。そういう意味では、個人的にはすごく評価したくなる作品でした。
10点(2004-03-18 23:25:51)
142.  アメリカン・スウィートハート
残念ながら、日本では一番ウケないタイプのコメディかも知れないですね。スタンリー・トゥッチのキレっぷりとか、キャサリン・ゼタ=ジョーンズのアホっぷりとか、ちょっとした台詞にくっついてる小さいオチとか、字幕にすると伝わりにくいモノが多すぎます。ハリウッドの内幕モノとして、例えばグウェンがラリー・キングの悪口を言いまくったり、ビリー・クリスタルとセス・グリーンが映画を売るためにあらゆる努力を惜しまなかったり、映画ファンならとりあえず覗いてみたいナ、と思えるシーンも多くて、それなりに雰囲気に乗れれば楽しめるような気もします。劇中劇として出て来るグウェンとエディの主演映画が片っ端からアホらしかったり、それなりに結構辛口にはなってます。しばらくちょっと出すぎた感じだったビリー・クリスタルが、しっかり抑えに回っているところにも好感が持てました。キャストの割りに地味ですが、質重視の小粋なコメディだと思います。クリストファー・ウォーケンの天才ブリも笑えました。私はこういうの大好きです。 (追記)すみません、邦題について一言言いたくて更新しました。「アメリカン」と「アメリカス」では意味が全然違いますよね。邦題的としては語呂が良いのかも知れないですが、一応このタイトルはちゃんとネタになっていると思いますので、これはちょっとあんまりだと思います。1語をあなどるべからず。
9点(2004-03-14 15:39:09)
143.  知らなすぎた男
もちろんビル・マーレーが良いのはあったりまえなんだけど、この作品では特にピーター・ギャラガーの存在を思いっきり誉めてあげたいですね。この人って普通にハンサムボーイでも十分通用するルックスのはずなのに、敢えてダメ男系にものすごく真剣なところが素敵です。この作品でもビル・マーレーを露骨に邪魔にするエリート銀行員の弟役なんだけど、後半はステキに巻き込まれてロシアン・マフィアにボロボロにされています。そういうボロボロの一生懸命さが、決してコメディをナメない彼の一途な役者魂を感じさせてくれて泣かされます。私はこういう巻き込まれ型の不毛なコメディってものすごく好きなので、冒頭、イギリスの入国審査官を相手にマーレーがボケの大連発かますあたりから、後半のロシアン・ダンスまで非常に快調にげらげら笑い続けました。コメディ駄目な人は全然駄目でしょう。「シャイニング」のパロディシーンではちゃんと「Here's Johnny!」と言っているのに字幕は「お待たせ!」だったのでおそらく日本語字幕もあまり期待はできないでしょう。細かいところに映画ネタ山ほど詰まってます。ちゃんとパロディになってます。この映画を愛するためにはある程度ビル・マーレーへの愛情が要求されます。あるのはビル・マーレーの激しい空回りに次ぐ空回り、どこまでもツッコミようのない一人ボケ。それを支えるピーター・ギャラガーの共倒れぶり。のっけから最高にセンス良いフォービートの選曲、オープニングタイトルの素晴らしい出来栄え、真剣にコメディをやろうと思うこの姿勢が素晴らしいです。私はコメディが好き。
10点(2004-03-09 23:24:14)(良:1票)
144.  アダム・サンドラーは ビリー・マジソン/一日一善
決して人様にお勧めできないのが辛いところだけど、アダム・サンドラーに期待するものはそれなりに満たしている。小洒落たセンスやおバカな上品さを一切省いたベタベタのバカ主人公に、誰も気づいてないんだけどやっぱりちょっぴり良いところもあるみたいな、言うなればアダム・サンドラーワールドの真髄みたいな映画。何の驚きも感動もないが、妙に甘いハートフル系のノリにバカ丸出しの主人公、これって天才バカボンの世界なんですよね。私はこういう脱力系ってかなり好きな方なので素直に笑えたけど、よく言われているようにこの手の映画はやっぱり字幕の壁が厚いと思う。どうしても寒いダジャレ系の字幕になってしまうと思うので、それだけで興ざめでしょう。ものの5分しか登場しないスティーブ・ブシェミの「殺してやりたい奴リスト」にはひっくり返って笑ってしまった。こんなギャグに笑ってしまう自分を呪いたくなるほどのアホ映画だが、アダム・サンドラーにはこのバカバカしさを捨てずにこれからも精進してもらいたい。
7点(2004-03-05 00:46:36)
145.  ギャザリング
明らかにここ数年のハリウッド系クラシカルホラーブームの一端に位置する作品であると思うが、(これを言ったらミもフタもないんだけど)こういう映画が好きな人は好き、嫌いな人は嫌いだろう。敢えて傾向としてまとめるとしたら、例の大オチをとっぱらった「シックス・センス」を「それでも楽しめる」と言い切れる人ならノレるだろう。舞台はイギリス、主演はクリスティナ・リッチ、なのにアメリカが舞台だった「スリーピー・ホロウ」の半分も重厚感が出なかったのは現代劇の限界か。個人的にガーデニングを趣味としているので、本筋にあまり関係のないイギリスの田園風景や古い邸宅を彩る本格的なイングリッシュガーデンを堪能することができ、比較的満足度は高い。私はとにかくクリスティナ・リッチが異常に好きなので、あまり細かいことが目に入らなかったと正直に言っておく。一応、地味ながらオチもあるんだけど、そういうことにはあまり期待しない方が楽しめるのではないかとだけ言っておく。雰囲気一発系としては、それなりにいい感じが出た。
8点(2004-03-01 21:56:47)
146.  ゴシカ
映画とは基本的に楽しむために作られているのであって、限界を超えた恐ろしさを追求した昨今のホラーにはよほどのマゾヒストでなければ楽しめないだろうという感想を持つ私にとっては、これは楽しめるギリギリのところを実に上手く突いて来たほどほど感が非常に嬉しい作品。最近のホラーに馴れた世代には手ぬるいと感じられるのかも知れないし、確かに正視できないほどの強烈さはない。あるのは由緒正しい極上のホラームーヴィー、ただし近未来的とさえ言える現代的なアメリカ建築としての精神病棟を持って来たところで不思議に今っぽさが出た。シャープな映像、ややSFチックな舞台設定が、シンメトリーを多用することによって絶妙のクラシック感覚を醸し出す、このバランスは古き良き時代のホラームーヴィーを研究し尽くしたもの。随所にちりばめられたお約束としてのヒッチコックへのオマージュも暑苦しいほどではなく、ファンならニヤリ、とさせられる品の良さ。全てにおいて非常にバランスが良く、総合点の高い作品であると思う。ハル・ベリーとペネロペ・クルズの競演はまさにせめぎあいの様を呈し、敢えてB級の仕立てにはなっているものの安っぽさは微塵も感じられない。一流のスタッフ、キャストが真剣に丁寧に作った、いわゆるB級ホラーとは完全に一線を画する作品。しかしそれにしてもペネロペ・クルズって英語上手くならないですね。はっきり言って、工藤夕貴の方がずっと上手いです。演技が出来ることは実感できたが、あれだけの演技センスがありながらあれだけ英語が上達しないのってある意味ひとつの才能だと思う。
9点(2004-02-29 02:08:40)
147.  ローズ
やはりこれはジャニス・ジョプリン本人とは切り離して、あくまでもその人物像にヒントを得た創作と捉えるのが筋だと思う。ジャニス本人と近しかった人々からより真実に近いジャニス像が語られ始めたのはもっとずっと後のことで、本作の作られた79年当時、ジャニスはまだ死後数年。ショックの癒えぬ関係者たち、利害関係のしがらみも消えやらぬ中、ベット・ミドラーという不世出の白人女性ヴォーカリストを主人公に話題性としてのジャニスを引き合いに出しつつ独立したロック映画を作ったと考えれば、この作品が一個の作品として非常に丁寧に作り込まれた質の高い音楽映画だということが見えて来る。もちろんジャニスは「When A Man Loves A Woman」をカバーなどしなかったし、舞台の上で倒れて死ぬこともなかった。だからこれはあくまでもファンタジー、でもこのために書かれた楽曲のクオリティの高さ、演じたベット・ミドラーの類稀なる存在感、既に当時から評価の高かったヴォーカリストとしての彼女の才能、これらを包括してなお、人々がロックスターに求める孤独と絶望の実生活を映画の中に投影することで人々のロックスター幻想を二重に描き切ったセンスは偉大。人々はロックスターに夢を求め、さらにその私生活には荒廃した無限の孤独を求める。その一方的な要求こそが「スター」ジャニス・ジョプリンを死にまで追いやったことを、まるであざ笑ってでもいるかのように。美化された孤独、美化された生涯、この映画をジャニスが観ることがあったらきっと手を叩いて笑っただろう。この映画を楽しみましょう。その瞬間、私たちは自分がジャニスに求めたものの愚かしさに気づくに違いないから。
9点(2004-02-26 23:13:52)
148.  去年マリエンバートで
空前絶後のつまらなさ。
0点(2004-02-24 09:35:56)
149.  ケーブル・ガイ
ベン・スティラー監督でジム・キャリー主演で、っていう組み合わせでソソられたからこそ普通に楽しめたんだろうとは思うけど、冷静に見つめればベン・スティラーだからどうの、って映画ではなかったですね。誰が撮ったってジム・キャリーはジム・キャリーだし、特に演出がどうとかって感じはしない。ジェニーン・ギャロファロやオーウェン・ウィルソンといったベン・スティラー一座にジム・キャリーを投げ込んで、そこにジャック・ブラックを混ぜてみた、そのわりには意外といつものジム・キャリーの映画だったね、というヘンな安心感はある。まあ小ネタも利いててそこそこ笑えるし、パロディとしての作りもけっこう丁寧。そのわりには、冒頭で朝8時に来るはずが4時間遅れてやって来たケーブル・ガイに、「スーパーに行く予定だったのに閉店時間だ」って昼の12時のはずじゃん?とかよくわかんない穴がポロポロ・・・これってネタなんですかね?まあベン・スティラーだし。このアバウトさはしかし、ファンじゃなきゃ許せないような気はする。私は甘い。
8点(2004-02-23 01:56:23)
150.  荒野の七人
西部劇を学ぼうと思い立ち、右も左もわからないまま西部劇コーナーの前に立って真っ先にこれを選び出した自分の野生の勘を誉めてあげたい(笑)「七人の侍」を観たのは20年前のことなので正直、比較するほど覚えていなかったりするし、前作への思い入れが強ければ強いほどイメージが下がるのがリメイクの常なので、おぼろげに知っているぐらいの鑑賞姿勢はプラスに働いたように思われる。ジェームス・コバーン、スティーブ・マックイーンといった未来の大スターたちが、駆け出しの初々しさを持ちながらも後の成功を納得させるだけの存在感を醸し出しているのには率直に驚嘆させられる。特に75個しか台詞のなかったマックイーン(笑)、動く動く。とにかくどんな片隅に置かれていてもひっきりなしに何かやっている。このカウボーイハットが、後の「大脱走」で野球のボールに代えられて行くのですね。ユル・ブリンナーは大物の風格で当然圧勝といったところだが、この人の存在感だけに頼りながらも自分の強烈な存在感をはっきり自覚しているところはやはり凡人にはなし得ない一つの才能だろう。もちろん彼のカリスマ性あってのこの作品だと思うけど、これだけのメンバーが一堂に会して一点のブレもなく一本のベクトルにまとまっている訴求力は名作と言われるだけのことはある。西部劇の名にふさわしい、アメリカ大陸西南部独特の地形的なスケール感、低いアングルを多用した空と馬たちの躍動感、暗く湿った東洋の小国で初めてこれを見たおとうさんたちを、打ちのめすには十分だったに違いない。Sweet!
7点(2004-02-22 14:48:29)(良:3票)
151.  プレッジ
配役の上手さだけでも余裕で合格点の作品。実力のあるバイプレイヤーを集めて来て使い方にひとつの誤りもなく、それぞれが各自の持ち場をキチンと引き締めたこのバランスは見事。中西部独特の大自然に囲まれた町の持つ絶妙なスケール感と、刑事という仕事だけにアイデンティティを見出して来た男の孤独、その引退する最後の日に降って湧いた突然の「事件」に余生を引きずられて行く人間の危うさ。主観と客観との落差を調整するために必要不可欠な緩衝材としての「家族」を取り除かれた人間の孤独は、愛情さえも時として狂気にさえなり得ることを、観客の目にしか明かされない運命の皮肉という形であまりにも冷酷に描いた救いのない作品だが、逸脱した使命感を誰が何の権利を持って「異常」と決めつけるのか、その線引きの曖昧さ、難しさを描いた作品としてこれは明らかに傑作の域に達し得ていると思う。彼は本当に狂っているのか、あるいはどの時点からその心理状態は「狂気」と捉えて良いものなのか、物語はその経過を描きはするが結論は出していない。おそらく正常と狂気を見極める絶対的な価値観などは存在し得ず、万人が認めさえすれば愛情さえもその瞬間から狂気になるのだ。そして万人から認められた狂気はその瞬間から、人間を本物の狂気へと追い込んで行くのだろう。90年代以降、決して作品に恵まれて来たとは言えないジャック・ニコルソンが、老境に及んでなおその持ち味をいかんなく発揮できる作品に恵まれたことの意義は大きい。そしてその場を提供したジョーン・ペンこそ、実はニコルソンの最高のファンの一人と言えるのではないだろうか。
10点(2004-02-21 12:50:39)(良:2票)
152.  PLANET OF THE APES/猿の惑星
前作の熱狂的な、おそらく生涯の大ファンである私が、そこまでではないが結構熱心なファンであるティム・バートンの「猿の惑星」を観ていったい何と言ったら良いのか。究極のジレンマな気もするが、こういうモノはとにかく前作と切り離すに限る。この作品にはもちろん、前作に色濃かった絶望的な未来感、壮絶な主従逆転の構図、といった趣はない。その代わりに、この作品には前作では技術的になし得なかった超越的な運動能力を誇る猿、スピード感溢れる演出、CGを駆使した圧倒的なスケール感がある。娯楽作品としてどちらが優れているかは自明の理であり、前作を支配していた世界観をそのまま引きずって低俗な二番煎じに落ち着けなかったという点で、全く別の現代の娯楽作品として正当に評価するべきだろう。ティム・バートンならではの茶目っけに溢れ、前作の時点で技術的に実現し得なかった部分については誠実にオマージュとしてやるべきことをやり、「ゴメンネ。」と観客に率直に頭を下げるエンディングは爽快。あくまでも前作に敬意を表しつつ、今どきの映画だったらこうなるんだよね、というところを無限のプレッシャーの下で上手く切り回したバートンには率直に拍手を贈りたい。残念ながら生涯に渡って愛し抜くほどの作品には至らなかったが、考えられるギリギリのバランスで上手くまとめられていると思う。この作品が前シリーズをどれだけ愛しているか、愛している者にはやっぱりわかると思うんだよね。どうしても誰かが作らなければならなかったんだとしたら、それがティム・バートンでやっぱり良かったと思う。一時はオリバー・ストーンまで名前が挙がっていたぐらいだし。被害は最小限に食い止められたんだと思いますよ、これ。
8点(2004-02-18 00:58:54)(良:4票)
153.  ズーランダー
すごいなあ。私こういうの大好きです。ベン・スティラーが本気出したらこのぐらいは、と思ってた人、けっこう多いんじゃないでしょうか。これまでもいろんな映画で、いい味も出して来たしみっともなさもさらけ出して来た彼ですが、ここまで本気の彼はなかなか見られることがなかったので、はっきり言って胸のすく思いがいたします。カメオで登場したキャストの豪華さも、彼の築き上げて来た人脈の厚さを伺わせます。お父さんのジェリー・スティラー、アメリカでは知らない人のいないぐらい超有名なコメディアンですけど親子共演はこれが初めてではないでしょうか。もちろん芸の道では全然格が上、存在してるだけで笑いが取れるスーパーお父さんなわけですが、息子と本気で渡り合っているところもプロ同士の心意気を見せられた気がして楽しかったです。ちょっと声が出ていなかったなあ、トシなのかなあ。ガソリンかけのシーンでは思わず声を出して爆笑こいてしまいました。あの無駄な清々しさ、爽やかなハッピーさ、たまりませんです。あと最後のショーの場面で舞台に出る直前と出た後のデレクのメイクが思いっきり違っているのとか、ネタなんだかグーフなんだかわかんない仕掛けも意外と細かく落ちている。もうちょっと研究の余地はありそうなので当分ハマりたいと思いますが、とりあえずベン・スティラーに敬意を表して10点。ここまでやられたら満点献上しなければ。
10点(2004-02-17 01:27:22)(良:2票)
154.  ハンテッド(2003) 《ネタバレ》 
ウィリアム・フリードキンにはもう騙されないぞ、と念仏みたいに繰り返しながら早30年。最後に騙されなかったのが1973年の「エクソシスト」であったことを考えたら、さすがにいい加減何かを学んでも良さそうなものだと自分自身に愛想が尽きる私である。ベニシオ・デル・トロ、トミー・リー・ジョーンズ、二人のカッコよく闘う姿が腹いっぱい見たいぞ、という一つのファンタジーは実現しているような気がするが、いくら頭がおかしいからって無動機殺人を繰り返して逃走中の犯人がノコノコ自宅に戻って来たり、それを追いかけて来るFBI捜査官が包囲網のひとつも敷かずにこれまたノコノコ犯人宅に上がり込んでいきなり逃げられたりとツッコミどころは数知れず。知らないうちにずいぶん老け込んでしまったトミー・リーの姿にちょっと切なくなったり、めちゃ強のアクション・スターと化したデル・トロのオスカー俳優なんてオラ知らないもんね的庶民感覚にホロッとさせられたり、内容以外で肩入れ出来る部分がこれほどあるのに、ここまで楽しくならない映画っていうのも正直どうかと思う。まあでも、そう言いながらもフリードキンがいまだに映画監督やってられるってことは、私ばかりじゃなくて世間全般が彼にはどうしても甘いのかもね。彼にどういう偶然で「フレンチ・コネクション」が撮れたんだか、そろそろ納得の行く説明を誰かがした方が良いような気がするのだが。悪魔に魂でも売ったのでしょうか。
5点(2004-02-16 17:49:07)
155.  ハンガー(1983)
たまに間違えてホラーのコーナーに置かれているのを見かけることがあるけど、これは違いますよね。テーマはデカダンだよね。ボウイが美しいのなんか冒頭のほんの数分で、あとは見るも無残に老いぼれていくヨボヨボのヨロヨロ。何年生きてるんだか誰にもわからないカトリーヌ・ドヌーブがこんなに妖しく美しいぞ、というのが主題なんじゃないのかなぁと思いますが、対するスーザン・サランドンの微妙な生々しさ等、配役にはちゃんと意図が感じられると思います。ミステリアスにオカルティックに展開するわりにはジャンルがミステリーでもオカルトでもないので、肩すかしを食らう人が多いのではないかと思いますが、「移ろわない美ってこんなに悲しいぞ」という比較的語り尽くされたテーマを当時のドヌーブを主役にして描きたかったという趣向にはかなり納得の行くものがあります。この作品でわずか2カット、台詞1個で出演したウィレム・デフォーは後にデビッド・ボウイと「最後の誘惑」「バスキア」で、スーザン・サランドンとは「ライト・スリーパー」で競演することになります。ファンなら当然、チェックしておいて損はない作品でもあります。
8点(2004-02-16 17:41:16)
156.  メラニーは行く!
リース・ウィザースプーンには思いっきり期待している個人的な思い入れをもってしても、この作品は残念ながらNG。全体に、笑わせようという気迫も足りなければ、情に訴えようとする真剣味も足りない、要するにただリース・ウィザースプーンが可愛いだけの映画。可愛いし見せ場も多いんだけど、それだけで観客の心を掴むにはもうちょっと弱いんですよね彼女。持ち味を支え切るだけのストーリーがなければ。途中きちんとジョージア・サテライツで盛り上げようとしたワリには、タイトル曲であるはずのSweet Home Alabamaを何故かJewel版にしちゃったのも脱力感に輪をかけてしまった感じ。最終的にレーナード・スキナードでキメてくれれば、私なんか案外簡単にだまされてしまったんじゃないかとは思う。ああもったいない。
6点(2004-02-16 14:04:18)
157.  レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード
どうなんでしょう。例によって前作を観ずに「2」だけを観るというものすごく邪道な観方をしてしまっている私の意見があまり参考になるとは思えないのですが、正直、期待したものはしっかりある映画でしたヨ。どういうものを期待するかというのは本来「1」によって培われるモノじゃないかと思うので、ここのところが微妙にズレてるかも知れないんですが。何事も徹底的であって欲しい、と願う立場から、このぐらい徹底的におバカでク~ル、笑っちゃうほどのカッコ良さ、中途半端にやったらもう鳥肌モノだと思うんですが、明らかに確信犯で超本気だから安心して笑ってられます。ある意味「オースティン・パワーズ」と同じベクトルです。笑うつもりが全然なくて、本気で心酔したいと思ってる人とかが観たら、うっかり寒い内容ではあると思います。要するに映画に何を求めるかという立場によって印象が大きく変わる作品ではないかと思いますが、キネマの世界を愛し尽くしたおバカな活動屋たちが目に涙をためて嬉しそうに作っている雰囲気がプンプンして、バカな私は大いに笑いころげながらもこのアホらしさ、脱力感がやけに病みつきになってしまう。なんだかんだと後半はちゃんとクーデターになっているし、仕立てはかなり戦争映画でした。どう見ても007のパロディというか冗談にしか見えないギターケースの秘密兵器とか、思いっきりオスカーのノミネートと日本公開を重ねて来たのもわざとかと疑いたくなるジョニデの怪進撃とか、撃たれた人が(どんな端役でも)ちゃんと数メートル以上は派手にふっ飛ぶ無駄な律儀さとか、どこを取っても「・・・ステキ。」という感想がぴったりな作品でした。おバカに乗り切れる自信のない方、シャレっけに理解のない方には全然おすすめしません。アホ映画だと思います。偶然かも知れませんがブシェミ監督の「アニマル・ファクトリー」とほとんどキャストが一緒のような気がするんですが、彼らは一座でも始めたんでしょうか?(笑)
10点(2004-02-14 09:59:44)(良:1票)
158.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
惜しいなあ、というのが本当に正直な感想。デカプリオは冴え冴えとしているし、トム・ハンクスの堅物ぶりも良い。ストーリーは期待した以上に面白いし、ちゃんと心に残る余韻も持っている。特に父親役を哀愁たっぷりに演じたクリストファー・ウォーケンは素晴らしい。シナリオはきちんと詰まっているし、運びはテンポ良く全体に実に無駄がない。ここまで誉めちぎっておいて本当にかえすがえすも残念で仕方がないのだが、いかんせんこの映画には絵が無さすぎ。ジャジーな音楽、60年代を意識したセンス溢れるアニメーションのオープニングタイトル、随所にちりばめられるレトロなアイテム、一見この時代を非常に良く再現しているかのように見えるのだが、どこからもキネマの香りがしない。60年代の作品であれば、どんな駄作からでもうっすらと漂って来る独特の香り。衣装やセットで可能な限り当時を再現していても、漂って来る空気は確かに21世紀のものなのだ。ここまでやったのだから、というよりはここまでやったのに、現代的な味つけでは済まされないほど、映像のどこからも影が見えて来ない。そしてこれだけ芸達者な出演者たちの誰一人として、60年代の顔をしていない。人の顔って変わりますよね。時代によって、明らかにその時代に特有の表情がある。そういうものが、この映画からはちっとも見えて来ない。たぶん監督がスピルバーグだからなんだと思うけど、この映画に本当に60年代のキネマの香りが出せたら、正直ちょっとした傑作になり得たはずだと思うので、すこぶる残念。レオナルド・デカプリオは腐ってもデカプリオだと強く信じる立場から、彼はやっぱり上手いなあと感心はするけれど、ティーンから大人の役者への過渡期にお約束の苦闘の時代が彼にもやはりあったわけで、どうしてそのタイミングでこの役が降って湧かなかったかなあという無念さも残る。そういう理由から点数的には辛めになったが、話は面白いしデカプリオはやっぱり上手い。観ておいて損のない作品ではあると思う。うーん、でもこれを「映画」とか「作品」と呼ぶのにはとっても抵抗あるなあ。
6点(2004-02-07 02:49:47)(良:2票)
159.  タイムライン
素直に正攻法でこういう映画を撮ろう、という情熱はわからないでもないが、いくらなんでもベタすぎたような。昔懐かしい冒険活劇の現代版として、気軽に楽しめないこともないのだが、残念ながらそれ以上のものは特に感じられなかった。リチャード・ドナーはもともとキチンと丁寧に映画を作る人だと私自身は考えているので、それなりに合格点ではあるように思うのだが、やはりマイケル・クライトンの周落ぶりには、かつて彼の新作に熱狂した世代としては落胆せざるを得ない。21世紀の現代、ある意味成熟したSF界にあって、「タイムマシンで過去にびゅーんと飛んだぜ」だけで人々の賞賛を集めるのはいくらなんでも無理があったのでは。ジャンルとしてかなりの傑作を生んでいるタイムトラベル物として捉えると、これは残念ながら完全に落第作品。ただし時代物、コスプレ物としては「恐竜の島」とかあのへんで培われた未体験エリアへのいざないとしての楽しみ方はそれなりに出来る。やっぱり決め手に欠けてたかなあ。今年は東宝系ちょっと苦しそうですね。
5点(2004-02-01 01:01:00)
160.  ニューオーリンズ・トライアル
はっきり言って、ここ10年位の間に作られた法廷物の中では1、2を争うレベルの傑作なのではないかと思う。私はもはやハリウッドにここまで誠意に溢れた正当派の法廷サスペンスを作ろうとする誠実さは既に諦めていたのだが、そのぐらい、今やあり得ないほどの真正面から奇を衒わず、真面目に真正直に21世紀の「12人の怒れる男」をやっていること自体が驚きだ。ベタでありながらちゃんと現代的で、銃社会に対するメッセージもきちんと込められているがヒステリックでなく、さらにまっとうな仕掛けを用意してきちんとミステリ&サスペンスにもなっている。ほどほどの重厚感とほどほどのリアリズム、ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンをぶつけて来た辺りにはまたしてもスター隠し芸大会のニオイがしていて実に不安ではあったのだが、意外にも二人が上手く見せ場をシェアしていてバランスが良い。見せ場としては明らかにジーン・ハックマンの方が楽しそうなところだが、ホフマンとしては実に珍しく抑えの効いた良い芝居で太く短く見せ場をさらっていたところを高く評価したい。掴みも早く、プロットは緻密で良く練れている。個人的には「インサイダー」を秀作と言うなら明らかにこの作品は「インサイダー」に致命的に足りなかったものを持っている。泣かせどころもなく派手な仕掛けもないが、役者と演出の技量、手堅いシナリオなど極めて総合点の高い作品として、少なくとも私にとっては10年に1度出会うかどうかの傑作であることは間違いない。
10点(2004-02-01 00:42:51)
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