141. 死刑台のエレベーター(1958)
序盤はミステリー?という印象でしたが、途中からハプニングと誤解とすれ違いが絡み合うサスペンスに。男のキャラ設定が若干雑なのは気になるものの、女性の描写はデビュー作からほぼ完璧。最後まで気持ちいいくらい自己中心的なジャンヌ・モロー、ガミガミ怒りながらも一緒についていってしまう花屋の娘(これがまた可愛い)。ミステリーとして見れば穴が多いけれど、十分に楽しめるサスペンスでした。 7点(2004-03-21 23:01:15) |
142. 地下鉄のザジ
ジャンルや年齢を問わず、これほど女性を素敵に描く監督はそういない。ザジのこまっしゃくれた感じといい、クールな割りに一切ツッコミをしない美しい叔母といい、見事に生きている。しかし残念なことに、コメディのセンスはあまり無い監督だと思う。さんざんドタバタした後に笑った記憶と言えば、マイペースな叔母さんと炎のジャグラー白クマくらい。 6点(2004-03-21 22:49:42) |
143. ネットワーク
メディアの世界に対する強烈な皮肉と警鐘を感じた。現在のメディア界がこの映画に近づいてきていると思うのは決して考えすぎでは無いと思う。 8点(2004-03-21 22:44:38) |
144. 大人は判ってくれない
《ネタバレ》 何だか妙に冷めた子供たちばかり出てきて、自分もこの年頃はこんなだったかな?と回想してしまった。傷つきやすいがゆえに不器用になってしまう子供に対し、感情的にしか対応できない余裕の無い大人たち。まだまだ甘えたい対象である大人に失望してしまった寂しさが全体に漂っている。一心不乱に走る最後は名シーンだと思う。 8点(2004-03-21 22:40:31) |
145. 失われた週末
音楽やそれに伴う雰囲気は結構緊迫してますが、内容はそんなに大した話じゃない。偉大なる小品という感じ。しかし中毒になる心理はかなり伝わった。やりたいことがあるのに自信がなくてできない。そういう自分が嫌いで嫌いで仕方なく、もううまいとも思えなくなった酒を飲んで一時の現実逃避。救いの手を求めているはずなのに、手を差し伸べてくれる真面目でしっかりした兄がコンプレックスの対象になってしまい、ひねくれてしまう。一途に愛してくれている女性も負担に感じて拒絶してしまう。そのジレンマに苦しむ様子がつらく、刺さった。同じことを自分もしていないか、と。 7点(2004-03-21 22:35:07) |
146. エド・ウッド
映画が大好きで、行動力があって、弁が立って、仕事が速い。成功の要因は揃ってるはずなのに、一番必要なセンスが悪過ぎた悲劇の映画監督。のはずなのに、本人も周りのスタッフも何だかやけに楽しそうだった。多分、実際にも楽しかったのだろうと思う。「こんなに面白いのに、なぜウケないんだろう」という疑問が解けないまま死んでいったかと思うと、気の毒な反面やはり笑ってしまう。ベラ・ルゴシとの友情も素直に胸を打つ。 9点(2004-03-21 22:26:48)(良:1票) |
147. さよなら子供たち
冷ややかで苦くて残酷な映画。心に刺さる厳しさがある。普段は妙に大人びていて冷めた感じの2人が無邪気にピアノを弾くシーンが素晴らしい。それだけに、あまりに重いラスト。美しい映像がさらに残酷さを際立たせている。 8点(2004-03-21 22:16:24) |
148. ギャラクシー・クエスト
かなり甘い。それでも筋の噛み合わせが抜群に良く、見てるうちに乗せられてしまう。夢の無い現状に慣れきった登場人物たちが、段々気合を取り戻していく過程がとても爽やか。見終えた後、「アメリカの映画見たー」って感じになる。 8点(2004-03-21 20:40:25) |
149. プラトーン
悪くないとしか言いようが無い、ほどほどの映画。想像を裏切るような展開も特に無く、いかにも常識に溢れたビジネスマン的な性格の監督だな、という感じ。「このシーンを見せたい」という気持ちが強すぎて、ややあざとく感じられるのが難。戦争の皮をかぶった社会人一年生物語。 6点(2004-03-21 20:33:01) |
150. ベニスに死す
岩谷テンホー的ヒゲオヤジの、かなわぬ老いらくの恋。とにかく受け付けなかった。相手が美少年だろうと美少女だろうと構わないのですが、セリフも少なく、地味な行動と音楽と映像美で魅せる形は非常に苦痛でした。そもそも美の追求という哲学的な考えにピンと来なかった時点でこの映画には向いてなかった。 6点(2004-03-17 01:43:07) |
151. 駅馬車(1939)
典型的と言ってしまえばそれまでの多様なキャラクターが乗り合わせ、各々の性格通りの行動でドラマが細やかに描かれている。ジェロニモに襲われるシーンのスピード感溢れるアクション、ジョン・ウェインの不器用な恋など、エンターテインメントの全てが注ぎ込まれた傑作。 10点(2004-03-17 01:36:14) |
152. マンハッタン
イヤミなくらいシャレた大人の恋愛映画。クラシカルな音楽からNYの風景まで、ウディ・アレンの美学が指先まで浸透している。どうしようもない現実にあきらめるラストの多いこの監督の映画にしては、珍しく希望が見えるラスト。教訓としては、やたら理屈ばっかり述べるくせに不倫という理屈に合わない行為をしている女は、やはり幼児的な依存心を持ち続けていて信用できないなと。 9点(2004-03-17 01:30:36) |
153. フェリーニのアマルコルド
じわっと良さがよみがえって来るような不思議な映画。笑えるシーンや見惚れる程の美しいシーンも満載。でも確たる主人公を宣言してない感じなので、他人の想い出アルバムを見せられているような変な感覚にも陥る。多分自分のために撮った映画ではあると思う。 9点(2004-03-17 01:25:06) |
154. 八日目
《ネタバレ》 本物の障害者が持つ気持ち悪さ、怖さ、狡猾さ、計算の無い優しさ等がやり過ぎなくらいリアルに描かれている。しかしこの世で誰にも受け入れられない絶望感は例え障害者でなくても経験する。それだけに胸に迫る哀しいラストだ。社会で成功するための自己啓発セミナーで言われそうで、かつ現在の社会で正しいと思われている自己演出力のようなものの虚しさを取り上げてくれたところがとても痛快で嬉しい。 8点(2004-03-17 01:21:07) |
155. リトル・ヴォイス
全く外れの無い監督。細かい笑いから微妙な感情表現、人間関係まで隙がない。でもこの映画の肝は主役のLVの魅力そのもので成り立っている。すっかり惚れてしまった。彼女を閉じ込めていたカゴは、強烈な母でも外界への恐怖でもなく、実は愛する父親へのこだわりだったのでは。シャイなユアン・マクレガーが妙に似合ってました。 8点(2004-03-17 01:10:41) |
156. シーズンチケット
《ネタバレ》 一切の甘い希望を排除した後に残る絶望。その絶望の中に偶然できた一筋の光。その光を発見した時の感情。ラストシーンを見た時の形容しがたい温かさはこんな感じだと思う。親父が死んだ時の笑い、最後老人の家に入る時のわざとらしい愛想笑いがこの映画を素晴らしいものにしている。作品の根底にある最底辺の人々の諦観が心地よい。 8点(2004-03-15 00:18:48) |
157. パピヨン(1973)
脱獄ものの割には全然スカっとしない不思議な映画。途中まではもちろんマックイーンを応援しますが、終盤は、もうやめとけよと止めたくなる。あきらめない不屈の精神というよりも、脱獄するという行為に依存しきった哀れな男の生き様を感じた。 7点(2004-03-15 00:06:04) |
158. 情婦
《ネタバレ》 原作の短編「検察側の証人」が切れ味抜群の幕切れなだけに、ラストのもう一ヤマは蛇足としか思えない。看護婦とのかけあいといい、ビリー・ワイルダーが何とか自分の世界に塗り替えようとした感じ。弁護士のイカすキャラクター脚色は素晴らしいけれど、やはりどんでん返しのあるミステリーっぽいミステリーには向いてない監督だ、と思った。 8点(2004-03-14 23:59:12) |
159. マーティ
人が日常生活の中で感じる色々な負の感情が満載。意地やプライドを捨てきれないひねくれた寂しい姑。屁理屈言いながら傷をなめあい寄りかかり合ってるモテない男たち。その中でもマーティとその親友の空気の読めなさは最強。だからモテないんだよ、と他人事のように笑った。一人のモテない男を中心に据えた細やかな群像劇とも言える。人が幸せになるためには、つまらないプライドや見栄をいかにして剥がしていくか、という大きな宿題をもらった気分。 9点(2004-03-14 23:52:16) |
160. TAXi3
あまり冒険せずに落ち着いちゃったなーという感想。シリーズ中では一番細かい笑いに力を入れてたと思う。カーチェイスが少なめとか終わり方があっさりし過ぎとか不満はいくつかありますが、署長をただの狂言回しにしないでしっかり仕事できるところを見せてたシーンに良心を感じた。 7点(2004-03-14 23:43:14) |