Menu
 > レビュワー
 > θ さんの口コミ一覧。8ページ目
θさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 609
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031
>> カレンダー表示
>> 通常表示
141.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 《ネタバレ》 
劇場版は未見。レビューを見ると劇場版の方が評判がいいらしい(しかもシーンの意味付けが結構変わるらしい)が、個人的には完全版でも十分楽しめた。  ■子供時代をアルフレードと心を通わせ、青春時代にエレナとの恋に落ち、そして村を出ていって三十年後に再び戻ってくる。まさに人生そのものという感じ。映画と人生を重ね合わせつつ「人生の方がはるかに複雑だ」と語るアルフレードは印象的。個々のエピソードが決して押しつけがましくもなく、すっと入ってくるのは脚本のうまさか。  ■そして本作を盛りたてているのは音楽。この音楽を聞いただけでなぜかノスタルジーを感じてしまうのは私だけではあるまい。音楽と内容が噛み合って、最高のハーモニーを奏でている。
[DVD(字幕)] 10点(2011-01-06 00:49:56)
142.  アラビアのロレンス 《ネタバレ》 
壮大な、あまりに壮大な映画。このようなスペクタクルの映画は、現代においてはもはや撮れないであろう。  ■タイトルからはいかにもロレンスという人間を描くのかと思わせているが、意外とロレンスの人間像の掘り下げは浅い。彼の心情やその変化についての描写があまりなく、事実をつないだ感じになっているのはわりと残念。  ■しかしその代わり、アラビアの壮大な砂漠や、そこに生きるアラブの民族の描写は素晴らしかった。冒頭の陽のシーン、それに続く砂漠をひたすら進むシーンだけでもうお腹いっぱい。ひたすら広がる雄大な光景は、3時間半という長尺にもかかわらず全く飽きさせられることはなかった。  ■しかし砂漠って魅力的だなぁ
[DVD(字幕)] 9点(2011-01-04 13:14:13)
143.  生きる 《ネタバレ》 
「人は何のために生きるか」という思い問題を投げかけてくるが、自分はむしろ「人は何で変わるか」という方に興味を持った。  ■本作が「死期を前にして公園づくりのために全力を注ぐ公務員の話」かと思っていたので、踏ん切りのつかない前半にはかなり拍子抜け。なんだかんだ、やってることは元同僚の女をおいかけ回してるだけじゃん。あれはもうちょいコンパクトにまとめてよかったと思う。あと全般的に志村さんの声が全く聞こえないのがつらい。  ■後半、やっと死ぬ気で頑張りだす志村さんが見れるかと思いきやいきなり通夜でびっくり。けどこのやり方はなかなか巧妙だったと思う。回想のなかでしか存在しない志村さん。通夜の最初の方のありえない叩かれよう(いくらなんでも故人の通夜の席ではあんなこと言わないでしょう)からの一転はうまい。決してヒーロー的な活躍を見せるのではなく、終始だんまりでさえない感じでいるあたりが、自分たちと同じ等身大でありながら、本気を見せるとあそこまで成果を上げれるのだということを見せつける。  ■しかし、その思い出を回想し「よし、自分たちも変わろう」と言って何も変われなかった同僚たちが非常に印象的。とあるツイートで「人間が変わる方法は3つしかない。1番目は時間配分を変える。2番目は住む場所を変える。3番目はつきあう人を変える。この3つの要素でしか人間は変わらない。最も無意味なのは『決意を新たにする』こと」ということを見たが、まさにそれを思い出さされた。志村さんは「死期」ということによって環境が激変した。他方、「決意を新たにした」だけの同僚は結局何も変われなかった。
[DVD(邦画)] 9点(2011-01-02 01:21:50)
144.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
三時間半を超える長い尺で描き出されるユダヤ人虐殺の悲劇。だがその印象としては、本作を「ユダヤ人に起こった悲劇についてのドキュメンタリー・記録」として見るならば一級品だと思うが、「シンドラーという一人の男の物語」として見るならば失敗作だと思う。  ■ユダヤ人がどのように迫害され虐殺されていくか。本作の大半の時間は、タイトルから予想されるシンドラーという人間についてではなく、名もなきユダヤ人たちの悲劇の描写に費やされる。遊び半分で殺されていく収容所のユダヤ人たち。あの、ついさっきまでは命があったのに、撃たれた瞬間にパタッと倒れる描写は相当リアルだ。カラーの服の女の子の使い方も巧妙。シャワー室の伏線を張りながらあっち側に落とすのも憎いやり方。そしてラストの石を置いていくシーンで物語の真実さを浮き彫りにする。  ■だが、シンドラーの描き方は相当ひどい。前半で金もうけのためとしてユダヤ人を使っているのはいいのだが、そこから後半の人格者への変化のプロセスがほとんど描かれていないのはあまりに問題。それに「ユダヤ人を助けるための執念と努力のさま」が金以外の形ではほとんど描かれていないのも大きくマイナス。結局シンドラーの内心がまったく見えてこないというのでは、本作をアカデミー賞作品賞をとるような「映画」として見た場合には、高い評価は与えられない。  ■しかし最後のテロップで、戦後にシンドラーは事業も結婚も失敗したということを知ったが、運命というのは決して報われるようにできているわけではないんだなぁとつくづく思った。ユダヤ人の運命が不条理だとすれば、シンドラーの運命も相当不条理なものだろう。  ■本作が賞狙いという批判もあるようだが、賞狙いだとすればナチスによるユダヤ人虐殺をあれほどまでに描いた(それを世界に知らしめた)方であって、シンドラーの描写の方ではないと思う。というかあのような掘り下げない人物描写で賞狙いだったら驚愕せざるを得ない。
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-02 01:03:50)(良:1票)
145.  殺人に関する短いフィルム 《ネタバレ》 
主人公と、主人公が見ているもののみを明るくし、周りを暗く押さえる映像法で徹底して「見える世界」を限定しつつ、それでいて淡々と殺人を描き出していく手法はなかなかのもの。  ■「なぜ殺したのか」は一切描かない(というより、ない)。殺人はあまりに淡々と、突き放して描き出される。その代わり弁護士の心中はくっきりと描かれる。同じカフェにいたのに、もう少しうまく弁護できたかもしれないのに、依頼人は自らの目の前で絞首刑になる。  ■タクシー運転手についても殺されるまでを描いていたが、そこはあまり利いてない気がした。これほど短い作品ながら、前半は冗長さを感じてしまった。代わりに、彼女に「この車どうしたの?」と詰め寄られるシーンの後を、個人的にはもっと見てみたかった。
[DVD(字幕)] 5点(2010-12-31 19:40:02)
146.  ミッシング(1982) 《ネタバレ》 
軍事クーデターが起きているチリで失踪した夫/息子を探す物語だが、最後に再びの再会を果たしてハッピーエンドというような展開を考えているとガツンとやられる。  ■山場はラスト付近、チャーリーが死んだことを知った後の、白々しいアメリカ側とのやりとりではなかろうか。結局のところアメリカはチリ政府に処刑のGOを出し、見殺しにする。それを悪びれることもなく堂々と認めている。空港での「アメリカは許さないぞ」とのセリフもむなしく、最後のテロップで告訴却下の旨が観客には知らされる。  ■しかし、展開としては前半は時系列がなぜかねじれていて見づらく、ラストまでは別段情報が増えることもなく淡々と聞き込みを繰り返すだけという平板な展開なのはあまり頂けない。時系列をひねったのは「始まったときにはすでに終わっていた(処刑されていた)」という風にしたかったのかもしれないが、余計な演出の印象。平板なのは実話だから仕方がない面もあるが、同監督で同じく実話ベースの「Z」の緊迫感と比べても、本作の単調さは否めない。いい題材なだけに残念。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-29 23:43:14)
147.  偶然 《ネタバレ》 
駅で「電車に乗れる/追いつけない/駅員に止められる」という3つの場合、それぞれ主人公がどうなってしまったかを3回にわたって見ていくという、運命のいたずらを見せつけてくる作品。  ■とりあえず3つの運命は「体制派/反体制派/中立(政治にかかわらない)」と色分けできるだろう。それぞれ決してうまくいくわけではなく、それぞれなりの悲劇的結末を迎える。  ■カギなのは「あのときこうしてたら・・・」型のパターンではないということではないだろうか。主人公の意図が介入する余地はゼロで、電車に乗れるかどうか、駅員が止めるかどうかは完全に運命の手に委ねられている。運命の番人はこの3つの結末のどれになるかを決めることが出来る。どれであってもうれしいものではないのだが・・・裏を返せば自分が運命を超越出来たところで、やはり悪い事態は悪いままということかもしれない。  ■ただ、3つのストーリーの連動性が低く、ただ3つの対照的なストーリーを並べただけに終わっているのが残念。もう少し「主人公がこうした/しなかった」ことがゆるやかに利いてくるような、つまり複数話をまたいで登場するイベントなどがあった方が、全体としては面白くなったのではなかろうか。このままでは一つ一つの物語が単調で面白味にかける。残念
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-29 01:01:59)
148.  レスラー 《ネタバレ》 
「落ち目の男」を描くという、珍しいけど外さなそうなポイントを、これまた素晴らしいチョイスでミッキー・ロークを持ってきての本作。  ■本作の一つのポイントは、落ちぶれたのが周りの冷遇のせいだけではなく、明らかに本人の責任であるものも多い(娘の約束すっぽかすと・・・)という点だろう。そのポイントが、ランディに同情するかどうかという話ではなく、純粋に「武骨でダメな男の生きざま」になっているのだろう。あまりあの生き方に憧れはしないが、盛りを過ぎると自分もこうなるのかなと思いながら見ていた。  ■さて、あまり関係なさそうだが、これを見ながら美空ひばりの復活コンサートのことを思い出していた。あれもかなり無理をした復活コンサート直後に倒れている。やはり栄光のプロは自分の生きる場所、そして死に場所を最後まで自分のステージに求めているのだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-27 00:34:13)
149.  エグザム 《ネタバレ》 
ワンシチュエーションものは「CUBE」「SAW」などに追従していろいろと出てきているが、本作はかなりレベルの高い部類の属すると思う。決してグロ描写等に訴えて逃げるのではなく、徹底して知能戦を繰り広げるのは好感。  ■最初の感じは「SAW」に近いのかと思わされたが、むしろ「CUBE」に近い印象(いる人間の本性が徐々に明らかになってくる感じなど)を受けた。仕掛け自体は引っかけクイズレベルだが、それを包み隠す雰囲気がうまく、きちんと引っかかってしまった。  ■個人的には、最初に動きだした男の読み「残りのものを失格にすればよい」だと思ったのだが、違ったのね。あのタイマーはきっと何か仕掛けられる(ドラマ「ライアーゲーム」の最初の一億円争奪戦で似たようなのがあったし)とは思ったけど。  ■ただ、最後の撃つ展開は無駄な気がした。あそこで一気に非現実的技術の印象を受けてしまったし。収束はもう少しうまくやれた感じ。その辺が少し心残り。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-23 23:24:42)(良:1票)
150.  愛してる、愛してない...(2002) 《ネタバレ》 
これは巧い。ラブストーリーは全然見ないし苦手な自分でも非常に楽しませてもらえた。  ■なんといってもカギなのはオドレイ・トトゥの純粋そうな目だと思う。前半はあの報われない展開とけなげさ(?)によって完全に引き込まれた。それを一転させる後半のあの展開は衝撃的。なんか歪んでるなぁと思っていたがまさかああいうことになっているとは!  ■こういうフランス発ラブストーリーは「アパートメント」で見た感じだけど、こっちの方がわかりやすい。あっちは後半を異常な視点から描くのに対し、こっちは後半を正常な視点から描いているのが差かな。しかしすべて謎が解けてみるとあのお医者さんはかわいそうすぎる。。。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-15 23:30:46)
151.  レポゼッション・メン 《ネタバレ》 
この主人公、考えてみるとそうとう好き勝手しているというか、まあジュード・ロウは勝手に埋め込まれたといってもいい展開(業務上の事故だから普通は会社が補償するものだろあれは)だからいいけど、女の方は完全なる踏み倒しなわけで。  ■後半がいかにも都合のいい流れなのは、ラストのブラジル的な展開によってまあ許容はされるのだが、そうするとラストで昇華させた「自らの体を傷つけてでも臓器をレポする」という行動の意味が薄れてしまう気はした。  ■まあラストまでは普通のB級アクション映画でした。はい。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-12 23:28:05)
152.  大いなる勇者 《ネタバレ》 
期待してみたがイマイチ。ストーリーが中途半端。山に生きるどうのこうのみたいなのなら(あまり面白くもないが)、それをきちんと描くべきだし、復讐の心理ならきちんとそこを描くべき。聖地汚して復讐されて、どういう悔悛ないし憤怒があったかもよく描かれないまま「ただいたから殺した」かのような復讐劇。完全にダラダラ。まあ現実はこんなものかもしれないが、それならもっとリアリティある普通の都市での設定にしてほしいし、わざわざ偉人的扱いをしておきながらこれはないでしょ。
[DVD(字幕)] 5点(2010-12-10 23:44:48)
153.  風が吹くとき 《ネタバレ》 
主題は「核の恐ろしさ」なんだろうが、個人的にはむしろ「無知・不勉強の恐ろしさ」の方を強く感じた。  ■はっきりいって、前半の夫婦のやりとりはギャグにしか見えなかった。扉外してシェルターとか作っている段階であれは「秘密基地ごっこ」と同一地平。あれは「無垢」というよりは「無知」でしかない。もっとも、「アトミック・カフェ」などを見ると、こういうのが案外普通に信じている人が多いのかもしれないが。  ■そして被爆地にとどまり続け、結局放射線障害で死ぬ(のだろう)。ほのぼのした彼らの生活はしかし、恐ろしいというよりも無頓着という印象がぬぐえない。無知であることは時に自らの命をも奪う。「目で見ればわかる」というのは近代以前であり、現在は科学も発達し見えないところにも悪魔は潜んでいるようになった。そうした悪魔は「無学」の頭に住み込んで彼らを内から蝕んで殺す。我々には無知でいる権利はない。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-07 23:58:56)
154.  ひまわり(1970) 《ネタバレ》 
TSUTAYAの名作コーナーに置かれていたので、普段はあまりそういうのは借りないのだが鑑賞してみた。結果、予想よりもかなりいい作品だった。壮大な音楽と、冒頭、中盤、最後で現れる一面のひまわりは、見ているだけで何かを感じさせられる。  ■展開は男女が戦争で生き別れ、再会できたものの相手はすでに別の生活を築いており、もう元には戻れない、というオーソドックスなもの。だが、それを正面から訴えてくる本作は、最近の過度な装飾の作品とは異なり、心を揺さぶるものがある。  ■あのような展開をたどるのだったら、ひまわりの畑の下にアントニオが眠っていた方がどれほどよかったものか。ジョバンナもきっとそう思っていたに違いない。生きていたのに、やっと再開できたのに、一度運命に引き裂かれてしまった糸はもう紡ぎなおすことはできない。それは死んで別れてしまうより辛い。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-23 00:07:23)
155.  法王の銀行家 《ネタバレ》 
扱っているテーマはなかなか重たい上に反対も多く起きそうなものでいいセンスしてるのだが、しかし「夜よ、こんにちは」でも感じたように実話ベースのイタリア映画ってラストに事件を持ってくるからなんかラストに向かうまでがだらけてしまうというか。結構サスペンタフルなことが起きているはずなのだが、展開にあまり起伏を感じられず、乗りこめなかった。残念。
[DVD(字幕)] 4点(2010-11-11 00:22:16)
156.  ダブルタップ 《ネタバレ》 
そんなに期待してはいなかったが予想外に面白かった。アクションベースだけど心理描写とかも結構巧みで、そうしたいろんな要素をコンパクトにまとめていると思う。  ■まず銃の扱いがリアル。射撃をベースにしているので、凡庸なアクション映画に見られる実際にはあり得ないような銃裁きは誰もしない。構えや動きがリアルさを漂わせているので、銃撃戦なんかもすごく「ありそう」な感じがする。  ■そして心理描写。アクション映画ではとかく簡単に人を殺すし、悪人を殺すのはよいのだと簡単に信じ切って行動している。だが実際の警官は大半は一度も銃を使わずに職を全うするのだし、実際人を殺すというのはすごい心理的圧力を受ける。ガンチャンピオンがサイコキラーになるまでの心理変化、それを追い詰めに行くもう一人のチャンピオンの刑事の心理変化がすごくリアリティをもって迫っている。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-07 01:14:45)(良:1票)
157.  戦場のピアニスト 《ネタバレ》 
タイトルからイメージされるような、ピアニストであることが重要であるような映画ではない(最後にちょこっと利いてくるだけだ)。極めてよくできた戦争もの、それもありそうでなかった戦争ものである。  ■多くの戦争映画は二通りに分けられる。 一つは主人公が「戦う」映画。それは主人公が兵士であったり、あるいはレジスタンス的に活動していたりである。望まないで徴兵されてしまうのもこのパターンに入れられる。 もう一つは主人公が誰かを「助ける」映画。「ホテル・ルワンダ」のように誰かをかくまったり、あるいはジャーナリストとして戦地の状況を世界に伝え、国際世論を喚起する(「サルバドル」みたいな)というがこれに当てはまる。 大概の映画はこのどちらかである。  ■ところが、本作はこのどちらにも属さない。この映画の主人公はただ「逃げる」。レジスタンス活動にも結局与することはなく、むしろレジスタンスにひたすら助けられ、かくまわれているだけだ。だから主人公はちっともかっこいい位置付けではない。 だが考えてみよう。もし実際に日本が戦場になったとしたら、我々はレジスタンスを行ったり、他の困窮している人を助けたりするだろうか。恐らく、ただ「生き延びる」ことで精いっぱいのはずだ。だからこの映画は、すばらしく等身大の戦場を描き出しているのだ。  ■ラストのピアノはいろいろと言われているようだが、個人的には弾き手の心のすさみっぷりが伝わってくるような音色だったと思う。ある種の乱暴さではないが、心の傷と棘を感じさせられるような音であった。だからなぜ大尉がシュピルマンを助けたのかを解釈するならば「ピアノに感動した」というよりも「ピアニストの心をかくも傷つけてしまうようなことを自分たちがしてきたことを恥じた」と見た方がいいのではないだろうか。  ■ただ、大尉の登場時間が短いのに、最後に「私は彼を助けたんだから、彼に私も助けてもらえるはずだ」みたいな命乞いをするのは興ざめであった。あれでは自分の命を守るために(おそらくドイツは負けるし、彼は著名人だから影響力もあるだろうと踏んで)彼をわざと生き残らせた、というえらく合理的で感動もあったものではない解釈がもっとも自然になってしまうではないか。あそこにマイナス
[DVD(字幕)] 9点(2010-11-07 01:08:04)(良:1票)
158.  イントゥ・ザ・ワイルド 《ネタバレ》 
恐らく多くのレビュワーの方々の感想とは逆に、見ている間はなんとなくいい感じの映画に思っていたのだが、見終わってから振り返るとコマ切れの話のつなぎ合わせ出しかなく、映画のポイントが頭に浮かんでこない、そういう感じの映画だった。  ■会っていった人々との個々のエピソードはなかなか感慨深いのだが、全体としての連結性があまり見えてこないのと、カットバックを多用して時系列にしていないことの効果が「わかりにくくなる」以外にほとんど感じられなかったのとが大きくマイナス。「なぜ旅に出ていったのか」「旅のと途中で出会った人々との交流で、彼はどう成長・変化していったのか」「荒野に一人生きることとは」という3つのそれぞれ重要なテーマをすべて混在させたまま「まあ実話なので」という感じでつないでしまい、焦点がわからなくなってしまった印象。  ■なお、彼が荒野に向かったのは自立でも成長でも、ましてや文明の超越でもない。「人工/自然」という構図自体が近代・文明の所産なのであり、ひたすら自然に向かうのはその裏返し、反転した純化思想に過ぎない。 また、彼は両親とのいびつな関係において愛を受けることが出来なかった。そのため、人と向き合い、自分をさらけ出し、互いに信じあえるような関係を築くという道ではなく、人を避け続けることで「人と向き合えない、向き合うのが怖い自分」を伏せてしまう道を選んだ。彼の生き方は充実はしていた。しかし最後、彼は「幸福を分かち合える仲間」の重要性に孤独の中でやっと気付かされた。  ■ちなみにほとんど表に出てきてないが、同一の環境で育ちながら家を飛び出していったわけではない彼の妹(映画の語り手)との対比というのは実は重要ではなかろうか。別に彼が旅に出たのは環境の必然ではない。妹のナレーションでは「繊細」という語が用いられていたが、彼は傷つきやすかったがゆえに傷つかない環境へ消え去った。他方の妹はそうした傷を甘受するだけの、よくいえば忍耐、悪くいえば鈍感さ、を持ち合わせていた。そういうことだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2010-11-03 00:47:53)(良:1票)
159.  96時間 《ネタバレ》 
ストーリーは極めて単純ながら、前半のわずかな娘との間の展開で完璧に父親に感情移入させ、あのご都合主義極まりない展開を不思議と説得力ある形にさせている。90分という短い時間にアクションのおいしいところをぐっと濃縮し、無駄をそぎ落としてまとめあげたいい感じの映画。アクション好きなら見逃せない一本。  ■途中で一旦捕まった後、殺される直前でつるしてあるパイプを追ってどうにかするのだが、あれはいくらなんでも無理でしょというか運良すぎでしょと思う。ほかのご都合主義は何か目がつぶれる感じだが、あそこだけは・・・  ■皆がセガールを彷彿させるのも納得の強さと展開。けど、セガールよりは圧倒的に「よきパパ」と「必死さ」と「娘への愛」がつたわってくるのですんなり入り込める。  ■しかし旧友の汚職警官が「ジャン=クロード」って・・・こういう映画見たら「ヴァン・ダム」しか思い浮かばないでしょ(笑
[DVD(字幕)] 8点(2010-10-30 00:03:21)
160.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
人間に潜む「悪」というものをここまで見せつけてくる作品は久しぶりに見た。アメコミを超えた、というキャッチコピーの意味は中盤まではわからなかったが、ラストでそういうことかと思わされた。  ■ジョーカーは完璧なまでの悪。それはただ単に残忍な悪事を彼が良心の呵責もなく犯すというそれだけではなく、彼は人々が信じていたい自分の心の中の善と希望をも破壊しつくそうとする。それがすなわちあそこまで高潔だったデントの転落である。正しく生きている「がゆえに」どんどんと不幸になっていくという究極の不条理の中において、彼はついに悪へとなびく。各レビュワーさんはこの辺についてさまざまな映画を思い起こしているようだが、自分の場合は「セブン」のラストを思い起こした。  ■だが、ある意味で彼以上の正義感を持つバットマンは、さらに辛い選択を取る。彼はまったく報われることもなく、誰からも評価されない、しかし人々のためにはなっている道を選び、自ら汚名を被る。「報われない、認められない正義」ほど、これまでの作品において描かれてこなかったものはないだろう。悲劇的な最期を遂げたとしても、「評価される」ことがほとんどだったからだ。わずかに「隣人は静かに笑う」のような例外はあるにしても、こういう展開は、しかも巻き込まれたのではなく自ら選びとるというのは、極めて重い。  ■ラスト前後のストーリーの重さは非常によかったのだが、前半がよくわからない展開(これはバットマンシリーズを見ていないからかもだが)なのと、全体に暗くてアクションシーンが特に何をしているのかよく見えないのとが大きくマイナス。夜しか出れないヒーローとはいえ残念。
[DVD(字幕)] 8点(2010-10-28 00:19:38)
040.66%
1132.13%
2193.12%
3254.11%
4274.43%
5589.52%
67712.64%
710917.90%
814423.65%
99715.93%
10365.91%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS