1621. 未来は今
《ネタバレ》 サクセスストーリーものは大好きなんですけどねー。 フラフープが売れてからのノーヴィル・バーンズ(ティム・ロビンス)のダメ人間っぷりに辟易してしまいます。もちろん、多少傲慢になるところがあるのは人間臭くて良いのですが、映画であればそこから立ち直る姿も見せて欲しいものです。 仕事はしなくなるし、浮気はするし、エレベーターボーイを馬鹿にする上クビにするし、たとえコメディでも観ててイヤな気分になるんですよ。その上、ちょっと旗色が悪くなるといじいじして、最後は飛び降りかい。 ですが結局はハッピーエンドになるんですよね。ただそれも、時間を止める神様らしき黒人の人と、天使になった元社長のブルーレターによって助けられて復活って、全部人の力じゃん。何かしっくりこないです。 ついでに言うと、あの性格のエイミーアーチャー(ジェニファー・ジェイソン・リー)と黒人の神様みたいな人が、なぜノーヴィル・バーンズにそこまで肩入れするのかも意味不明。そんなに魅力のある人には見えんのですが。 なんか辛口のコメントばかりになりましたが、映画そのものは、なんか飽きずに楽しめました。不思議なもんで、最後にフリスピーを笑顔で投げるシーンを見て、「まあ、良いか。」と思っちゃいました。終わり良ければ全て良しってことですかね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-16 15:22:41) |
1622. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 最初からスーパーマンであるアンディの快進撃に、刑務所ものでありながら爽快感を味わえるエンターテイメント性の高い作品です。 モーガン・フリーマン演じるレッドの評判が良いようですが、私はレッドの視点を通して描かれるアンディの人柄に魅力を感じます。言ってしまえばこれはきっと贖罪の物語なんでしょう。アンディがレッドに「妻を死なせたのは自分だ」と告白するシーンがあります。ノートン所長とハドリー主任にトミーを殺された直後です。レッドに告白したのは、公明正大なレッドに自分の罪を許して欲しかったからでしょう。そしてレッドの言葉が、きっとアンディに脱獄という選択肢、そして新しい人生を生きる後押しをさせたんじゃないでしょうか。 もしノートン所長がアンディにとって公平で中立な立場の人物であったなら、レッドの役割はノートンになっていたのかもしれません。再審請求をし、司法の力で自分の無実を証明すれば、妻殺しの犯人の再捜査が始まります。アンディにとってはそれが、妻のための罪滅ぼしになると考えていたのではないでしょうか。 ところが、ノートン所長もハドリーも、結局は私利私欲のことしか考えない卑小な人物でした。刑務所内での安全を確保し、やりがいのある仕事を与えてくれて、アンディに協力的だった二人ですが、結局はアンディの信頼を簡単に裏切ります。二人にとって、いや刑務所にとってアンディは「便利な囚人」以外の何者でもなく、道具に過ぎなかったのです。 ただアンディは二人を心底信じていたわけではありません。しっかり保険もかけていたのです。それが書類上でのみ存在する架空の人物であり、ノートン所長に作らせた口座であり、脱獄用の穴だったのです。それらを使うことになったのは結果論にすぎません。もしノートン所長達がアンディのために立ちあがるのであれば、私にとってこれはヒューマンドラマとして最高の作品になったかもしれません。 ですがストーリーは、かけていた保険を使うように展開していきます。散りばめられた伏線を一瞬で回収するラストは最高に面白いのです。やはりこの作品は、『娯楽作品』として一級品なのでしょう。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-01-13 13:47:55) |
1623. 激流(1994)
《ネタバレ》 目的地に行くにはこの川を下るしかないのです。しかし、「ガントレット」と呼ばれる危険度MAXの難所が行く手に待ち構えるんです。 母は言います。「あなたたちがガントレットで死のうが、それは自業自得よ。でも私には家族がいるの。ここにはいない娘も待っているの。幼い娘を一人残して死ねないのよ。」涙ながらに訴える母。冷たくつっぱねる強盗犯。 もう決死を覚悟でガントレットを越えるしかない・・・!それしか目的地にたどりつく方法はないのだから・・・。 これはもう「激流」というシチュエーションでつくられる大自然の密室サスペンス!すばらしい!なんて面白いんでしょう! な、の、に・・・・・・あー!だからだめだって、お父さん!陸路で先回りしちゃ!『川下りでガントレットを越えるしか方法が無い』というのが、この映画の醍醐味なんだから! でも観ているときはそんなお父さんの反則技を忘れちゃうくらい面白かったので7点で。脚本の段階で誰も気付かなかったんですかねー。みんな川下りに夢中で細かいことは忘れちゃったか。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-12 22:08:13)(良:1票) |
1624. 不機嫌な赤いバラ
《ネタバレ》 前半30分がイライラしっぱなしです。大統領からのクレームの電話以外に、これといって面白いエピソードもなくてつまらないのです。ただそっから先が面白いんです。 テスという人物の本質を端的に表すエピソードが二つ。一つめが息子の願いを断るシーン。もう一つがダグが泣いている一瞬を巻き戻して見ているシーン。表面上はただのわがままお婆さんに見せかけて、実は、物事と人間の本質を見抜いていらっしゃるのです。そして、テスがダグになぜこだわったのかもよくわかるんですよね。 そして後半になると、前半の無意味にも思えたわがままエピソードのひとつが、意味を持ち始めるくだりもあります。「いい話があるの。」→①「私には脳腫瘍がある。」②「スカッドミサイルを買ったわ。」③「オペラに行くわ。」→「どれが本当だと思う?」すでにダグと3年過ごしていて、でもダグから嫌われているテスは、もしかすると自分の病気の悩みを打ち明けようとしたのかもしれないです。でもつい、①でやめずに、②、③の選択肢をつくっちゃった挙句に、問題形式にしてしまうんです。素直になれない彼女の気持ちがよく表れています。ダグは当然③だと思っちゃうわけです。だからきっとオペラに行く気なんかなかったのに、オペラに行く予定を入れてしまったんじゃないでしょうか。結果、オペラで寝てしまうテス。あきれるダグ。ダグも私たちも、いつものわがままだと思ってしまうんです。なにしろ、それまでのわがままエピソードで、テスはそういう人物だと刷り込まれているから。これが本当だったら、よく出来ている脚本ですねー。ただよく出来すぎていて、なかなか気付かないですよね。 まあ何にせよ、心温まるドラマであり、ちょっと笑えるコメディである上に、刺激的な事件まで用意してくれているサービスいっぱいの映画でした。 でもつま先撃っちゃうのはちょっとやりすぎ。本当に撃ったからびっくりした。この作品のテイストにはあってないな~。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-06 02:48:08)(良:1票) |
1625. 降霊<TVM>(1999)
《ネタバレ》 霊媒の依頼を受ける佐藤純子(風吹ジュン)。「本当の霊媒師なのかどうか見極める!」みたいな変なスタンスで観ていたら、大杉漣の隣に、赤い服の女の霊が見えました。「本物の霊媒師だー」と何故かテンションが上がります。しかもこの昼間のファミレスで普通に霊が見えるというシチュエーションが良いじゃないですか。なぜ外に働きに出ようとしなかったのかもよくわかります。たくさんの人に会えば、それだけ幽霊見ちゃう可能性が高くなるからですよね。純子の性格、生活環境をいっぱつで表現する、なんて説得力のあるエピソードでしょう。これは期待感が高まってしまいます。 ところが、行方不明の少女を発見してからの夫婦二人の行動が、説得力無さすぎなんです。「ちょっとだけ夢を見たい。」わかりますけど。だとしてもあの数々のアホな選択はありえないでしょう。「救急車をお願いします。行方不明の少女を発見しました。」「警察ですか、行方不明の少女を発見しました。」これで解決です。「どうやって発見したんですか?」「私の霊能力で」これでちょっとだけ夢見れるじゃないですか。サスペンスとして、ホラーとしての体裁を保つために、無理矢理ストーリーをそっち方向へもっていかれると、イライラする気持ちが恐怖心を超えちゃいます。 観る人を怖がらせ、驚かせておけばなんでもOKみたいな、最初から娯楽ホラーとわりきっているエンターテイメント性の高いホラーなら良いんです。でもなまじ映画から真剣さが伝わってくるからこそ、ちょっとこの馬鹿夫婦には共感できないです。 なぜ少女が死んじゃったのかも、材料が多いためいくつか推測はできますが、結局結論は出してくれないんですね。後味の悪い余韻は確かに残りますが、それ以上に消化不良ですっきりしないです。 [DVD(邦画)] 6点(2014-01-06 02:06:01)(良:1票) |
1626. クロウ/飛翔伝説
《ネタバレ》 いかにもゴシック調の雰囲気のダーク・ヒーローものなんですが、勧善懲悪でわかりやすく作られているのが良いですね。もちろん、他のダーク・ヒーローものと同じく復讐劇ですので、爽快感マックスのストーリーではありません。それでも、僕は不死身のヒーローが悪いやつをびびらせ、驚かせ、ばったばったとなぎ倒していく姿にしびれてしまいます。昔から「不死身のヒーロー」大好きなんですよ。 また、警官や少女の目を通して、私たちもエリックの善良さに触れられるのが良いですね。これは感情移入しやすいし、なにより復讐を肯定する最大の要因となっている気がします。残酷な復讐シーンが、観る人のフラストレーションを解放し、警官や少女とのふれあいのシーンが罪悪感を緩和する。エリックは善良な人で被害者で、何をやっても許される、そう思えます。いや、思わされます。そしてラストに、エリックが恋人と再び出会えたことで、観る人に感動さえ与えてしまうんです。そんな良い映画なんです。きっと。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-01-03 04:17:24)(良:1票) |
1627. ディスクロージャー
《ネタバレ》 面白い!逆セクハラというより、もはやパワハラの問題でしょうか。いや、合併企業に対して開示すべき情報を隠蔽するための口封じが真相なので、セクハラやパワハラの問題でもないんですかね。まあ、とにかく面白かったです。 不明な点は確かにあります。社長はすべての真相を知っていながら、トム・サンダース(マイケル・ダグラス)をスケープゴートにしようとしたのか?フィルの目的は?メレディスのパワハラ・セクハラはトムが拒否した結果、トムを陥れる道具となりましたが、トムが拒否しなければそのまま懐柔するつもりだったんでしょうか? まあ、動機付けがはっきりしない部分はありますが、それを差し引いてもラストはきちっとわかりやすいハッピーエンドですっきりしました。忘れかけたころに“Friend”の正体が明らかになるラストも良いですね! ただ、フィルと社長が諸悪の根源のような気もするんですが、二人には社会的な制裁はないんです。組織内での最高権力者にはやはり手が出せるものではないのでしょーか。二人が何らかの形で失脚するところも見たかったなー。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-01-03 03:38:30)(良:1票) |
1628. 双生児
《ネタバレ》 冒頭の蛆虫くん。眉毛の無い人々。映画全体に得体のしれない存在感とわけのわからん迫力があります。ミステリー?ホラー?この謎めいた雰囲気が良いですね。ただ、ミステリーの要素は思ったより浅いものでした。ホラーの雰囲気も、ネタバレしちゃった後は影を潜めちゃいますね。で、中盤からはどちらかというと人情ドラマ&サスペンスにシフトしていき、答え合わせを見ているよーな感じです。この頃になると、眉無しにもすっかり慣れてしまいます。 ちょっと期待感を煽る前半の演出に比べると、真相そのものは、そんなにたいしたことないなーというのが率直な感想です。どちらかというと映像、美術、音楽、そして役者さんの演技力を楽しむよーな映画だと思います。ただ、一般に言われているようなカルトな要素はそれほどには感じませんでしたけどね。わりと誰でも見られるんじゃないでしょーか。普通に楽しめますよ。 ラストだけよく意味がわからないんですよね。解説がほしーなー。 [DVD(邦画)] 6点(2014-01-03 01:18:39) |
1629. 広州殺人事件
《ネタバレ》 コメディとサスペンスとアクションをほどよくミックスさせた娯楽作品ではありますが、やはりメインはコメディでしょうか。ただ、ブラックユーモアの割合が多く、人によっては笑うより眉をひそめてしまうかもしれませんね。なにしろ、前半のうちは、主役の若き判事が、わいろに目が無いなかなかのクソ判事で、弱きを挫き強きに媚びるもんだから、いくらコメディとはいえ応援しづらいんですよ。 さてさて。この作品、香港映画ではよくある「修行」があります。ただし、これがちょっと変わっています。「カンフー」ではなく「口げんか」みたいなもんを修行するんです。これを本格的に修行して、最終的には口げんかで相手をふっとばすみたいなことまでできるようになります。そこまでやるとさすがに面白いです。 修行を終えてから、メインのストーリーが動きだします。仲間と協力して見事に悪党どもに制裁をくわえます。それなりのサクセスストーリーで、それなりにすっきりします。ただ、肝心の修行の成果を見せる裁判(つってもそんな大した裁判じゃないんですけど)で、修行の成果がなんか悪口合戦に終始してしまったのはちょっと残念。もっと諸葛亮孔明みたいに敵を論破するのかと思っていたんですけどね。 それなりに楽しめるんですけど、なんか惜しい感じのする作品でした。 [DVD(吹替)] 6点(2014-01-02 22:27:02) |
1630. スターゲイト
《ネタバレ》 この作品はスターゲイトをくぐるまでが面白すぎて、後半が物足りなく感じてしまうのは仕方がないのかもしれないです。きっと反動でしょう。映画はつくづくバランスも大事なのだと思う次第です。第一、SFというジャンルで、さも「何が出るかな?何が出るかな?」という空気を作っておきながら、実際あんまたいしたもんが出てこないんじゃ顰蹙かっても仕方がないです。じゃあ後半がそれほどつまらないかと言えば、B級アドベンチャー+アクション映画としては全然楽しめる申し分のない出来。ようは前半の期待値の上げ方にきっと問題があるんです。 ジャック・オニール大佐(カート・ラッセル)とダニエル・ジャクソン博士(ジェームズ・スペイダー)のキャラはありきたりだけどわかりやすくてかなり好き。特に少しずつ二人が信頼感を深めていく様子なんか結構良い味だしてるんです。現地人を息子を見るような目で優しく接するオニール大佐が、好奇心から銃を扱おうとすると激怒するシーンがあるんです。これって、オニール大佐は実の息子が銃で遊んでて死んでしまうという辛い過去がありまして、その背景をふまえてのシーンなんですよね、きっと。でも突然、このタイミングで伏線の回収にこられても、ちょっと気づきづらいかもです。実際オニール大佐はその彼を息子とダブらせているようなシーンは敬礼のところでも見られます。良いシーンです。ちょいちょい、良いシーンがあるんです。 でも6点。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-01 19:46:34)(良:1票) |
1631. ハリウッド・トラブル
《ネタバレ》 実力はあるのに売れない俳優マット(ニック・ノルティ)と、その娘ジーニー(ホイットニー・ライト)の親子の絆を描いた物語。ただ、二人をとりまく人々にもかなりスポットライトが当てられているために、どうかすると主軸のテーマが見えにくい群像劇のようなドラマにも見えてしまうかもしれません。個人的には群像劇が苦手だし、ドラマ性がちょっと低いかなーと思ってしまったため、この点数になってしまいましたが、映画としては心温まるドラマとして完成度は高いのではないかと思われます。 マットはジーニー、キャシー(ジョエリー・リチャードソン)、バーク(アルバート・ブルックス)、ナン(ジュリー・カヴナー)といった人達に対して、優しく、温かく、誠実に向き合う好印象な人物です。そしてそんなマットといつの間にか心を通わせあっちゃうジーニーや、マットに恋心と尊敬の念を抱くキャシーが、俳優としてなかなか芽の出ないマットを励まし、応援してくれます。 どの人物も魅力があって良い感じなのですが、バークとナンのエピソードだけがちょっとくどい感じがしたでしょうか。それが、なんか群像劇っぽく見えてしまう一番の原因かもしれないです。 ラストはそれぞれ小さくハッピーになるハッピーエンドでして、余韻はかなり良いです。それぞれがそれぞれのスタートラインに立ち、きっとこれからハッピーになっていくのだろーなーと感じさせてくれる良い終わり方。ただ、その終わり方にちょっとだけ物足りなさを感じちゃったわけでもあります。 邦題がちょっと残念。このドラマの本質がわかっているのであれば、原題のままのほうがぴったりです。 [DVD(字幕)] 6点(2013-12-31 17:13:27) |
1632. エンジェルス
《ネタバレ》 さすがディズニー。わかりやすく、楽しく、そしてちょっとだけ感動させてくれますね。野球好きの少年が、父親と暮らしたいので、エンジェルスを優勝させてほしいと星に願い、その夢を本当のエンジェル(天使)たちがかなえてくれるというなんともファンタジックで夢のある作品。しかもディズニー作品ですから、展開はお約束の連続。ですがお約束だとわかっていても楽しませてくれるのがディズニー映画最大の魅力なのです。むしろそのお約束を見にきているのです。 この映画に出てくる天使たちは、天使長のアル以外、誰も言葉を発しません。陽気でノリのよさそうな黒人天使も、優しそうな女性天使も、ふとっちょ天使も、だーれも一言も話しません。ただ楽しそうに、一緒に野球を楽しんでいるという感じです。天使が出てくるシーンは、ぐっとコメディ要素が強くなるにも関わらず、この「一言もしゃべらない」という演出のおかげで、天使の神秘性というのが保たれているのも本作の魅力。もちろん、子役の二人も、ノックス監督も、選手たちも、みんな魅力的です。 幸せな気分にひたりたい時はオススメの一本。なかなかの掘り出し物てき作品だと思われます。 [DVD(字幕)] 8点(2013-12-30 04:03:22) |
1633. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 3D映画を初体験。IMAXではなかったのですが、その映像と臨場感に圧倒されました。今まで『めがねの上にめがねをかける』というのが何となく抵抗があって3Dを敬遠していました。ですが、実際映画が始まると全然気にならないものなんですね。 「みんなのシネマレビュー」で平均点8.9点!好きなジャンルのSF!そんなわけで、連れに「面白い映画があるから見に行こう」と行って一緒に見に行ったわけですが、感想は正直微妙です。 これほど凄い映像技術とリアリティで、なぜか終始第三者の視点で見てしまうんです。最後までいまいち映画に入りこめないのです。でも連れの感想を聞いて、その理由がわかりました。『U○Jのアトラクションみたい。』そうなんです。映画を見に行ったというより、アトラクションに行った感覚が強いんです。連れも自分も3Dが初体験で慣れていないということもあったでしょう。ですがそれより何より、ストーリーが足りないんです。映画としての面白さが足りないと言い換えてもいいかもしれません。 破片が来襲する場面では緊張しました。腰が浮きました。ライアンが宇宙空間に一人放り出されたときは、えもいわれぬ恐怖感を感じました。(正直ゆうと、序盤のこのシーンが一番怖かった。)マットが助けにきたかと思いきや、それが空想の産物だと知ったときには切なくなりました。ライアンが地上に降り立ったときには、もの凄い重力を感じました。一つ一つのシーンが素晴らしいんです。その臨場感だけでも、素晴らしい映画であることは間違いないのでしょう。だけど、人に薦められるほど自分自身が面白いと思えなかったのもまた事実。 映画が凄いということと、面白いということは、必ずしも一致しないようです。 [映画館(字幕)] 5点(2013-12-30 03:23:51)(良:5票) |
1634. 告発
《ネタバレ》 法廷ものとしてこれより面白い映画はたくさんありそうですけど、アルカトラズ刑務所の負の遺産を映像化し人々の記憶に残すという意味では、この映画を超えるものはないかもしれません。 スタンフィルのナレーションで、ヘンリーヤングとスタンフィルがたどってきた道のりを比較していくとき、使われる映像はヘンリーのものだけです。確かに、スタンフィルの人生は言わば一般的なものであり、言葉だけでも私達は認識できるでしょう。ですがヘンリーの人生は無理です。ヘンリーのたどった人生は言葉だけではとても伝わらない。これこそ映像化し、見ている人に疑似体験してもらう必要があったのかもしれません。そしてその試みはおそらく成功なのではないでしょうか。 スタンフィルの存在もかなり重要です。彼は言わば私達側の人間です。はじめは、ヘンリーと言葉を交わすことすらできません。「君を弁護するためには、君にも協力してもらわなくちゃいけない。」と言っている時点で、ヘンリーとは意識の次元が違いすぎます。ですが、ヘンリーと少しずつ言葉を交わし、ヘンリーの人生の片鱗を共有したとき、スタンフィルは社会とヘンリーを結びつける重要なポジションになった気がするのです。 この映画で僕が一番鳥肌が立ったのは、スタンフィルがアルカトラズ刑務所と、所長・副所長を告発したシーンです。今まで決して表舞台にさらされるはずのなかったアルカトラズの究極の闇の部分が、白日の下に晒されるきっかけとなったシーンです。そしてやはりラストの、ヘンリーの告白でしょうか。確かにあそこに戻るくらいなら死んだほうがマシなんでしょうね。こんなにストレートで説得力のある言葉はありません。 この映画で、唯一共感にブレーキをかける要因になるものがあるとすれば、「何故脱獄したのか。」です。2時間という枠でそこまで明らかにするのは難しかったのかもしれませんが。やはり気になります。ヘンリーを完全なる被害者側の人物と位置づけられるかどうかの重要なファクターになると思うんですが、結局最後までわかりませんでしたね。 [DVD(字幕)] 9点(2013-12-19 03:37:41) |
1635. アイ・ラブ・トラブル
《ネタバレ》 良作。これは面白いです。コメディとしてはこれくらいのバランスが一番自然に笑えて心地よいと思います。 サブリナ・ピーターソン(ジュリア・ロバーツ)とピーター・ブラケット(ニック・ノルティ)の取材合戦もさることながら、二人が合流してからのやりとりも楽しいです。「力を合わせよう」「ネタを出し合おう」とか言いながら二人とも口ばっかりで笑わせてくれます。ここまで仕事最優先に競争心まるだしで、平気で相手を出し抜こうとすると、すがすがしくすらあります。いざピンチになったら息ぴったりに協力しあっちゃうところなんかも良いし。 サスペンスの要素も、だらだらしがちなコメディのクオリティを上げるのに一役買っていると思います。まさにほど良い緊張感を生んでくれているんです。 突出するような名シーンや派手な演出がなくとも、バランスが良ければ映画は面白くなるもんだとあらためて感じました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-12-17 14:42:35) |
1636. ブローン・アウェイ/復讐の序曲
《ネタバレ》 爆弾ムービーっていうのは、わかっていてもハラハラする独特の緊張感がありますね。爆弾を解除するまでの緊張感もさることながら、どこに爆弾が仕掛けられているのかわからないっていうのも思っていた以上に怖い。正直見るまでは多少地味な映画を想像していたものですから、予想以上に面白くて良かったです。 以前本格的に爆弾を解除する映画を見たことありますが、こちらの映画は解除そのものには力を入れていない感じです。むしろ、いろいろな仕掛けで楽しませてくれる、と言ったら不謹慎でしょうか。ギャリティー(トミー・リー・ジョーンズ)が楽しそうに爆弾づくりにいそしむものですから、見ているほうもなんかつられて、どんな爆弾ができるのか期待してしまいます。 ただそれでも、ラストの車内での爆弾解除はさすがに適当すぎて笑ってしまいました。まだなんか続きがあるのかと思ったら、アントニー(フォレスト・ウィッテカー)がなんか良いこと言って締めにはいって、ほんとにそのまま終わっちゃいました。ラストだけはやや拍子抜けしましたが、テンポが良く、誰もが楽しめる良作ではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2013-12-17 14:19:39) |
1637. ターゲット・ブルー
《ネタバレ》 まさに隠れ名作。ひさびさの痛快ガンアクション。 リー・リンチェイといえばカンフーばかりが頭に浮かびますが、そのカンフーとガンアクションを融合させるとここまでクオリティの高いものが出来上がるのかと感嘆。 更に、更に。ストーリーも面白い。面白いんです。脇役のみなさんも良い味だしまくりの名演技。ドラゴンボールのカードでカンフー教えてもらおうとするところなんか笑っちゃいます。 個人的にはショッピングモールでの銃撃戦が見所。出るわ出るわ。シューティングゲームかと思うくらいあちらこちらが敵だらけ。しかもみんないろんな客やら従業員になりすましてるもんだから、たまらない。実は胸ポケットにさしたペンで判別できるっていう細かい工夫がまた良いんです。 リーリンチェイが、依頼人と恋仲になりそうで、でもやっぱり職務を優先するところが終始一貫していてかっこいい。素晴らしい。 これはみなさん、ぜひぜひ見てください。 [DVD(字幕)] 8点(2013-12-17 02:54:50) |
1638. 39 刑法第三十九条
《ネタバレ》 とても重く、息苦しく、理不尽極まりない内容でした。真面目に作られている分臨場感があるし、へたな脚色がない分リアリティが感じられます。映像に、ストーリーに、この作品の世界に引っ張り込まれちゃいます。 工藤啓輔と同じ立場であれば、自分ならどうするだろうと考えずにはいられません。 問題提起もさることながら、映画としてのエンターテイメント性が失われていないことも凄い気がします。鬱になりそうな雰囲気を、ミステリーとサスペンスが程よく中和しているかのような作品です。 少年工藤が妹を発見するシーン、犯人が切断した妹の手を持っているシーンは、衝撃よりも嫌悪感のほうが大きい。(ホラー映画なら平気なのに。不思議なもんです。)それでもこのシーンがあるからこそ、問題提起への強い思いが感じ取られるのです。 確かに日本の法律は、ごく一部かもしれませんが、被害者よりも加害者を守るための法律ってのがある気がします。加害者の人権もあるかもしれません。ですが、被害者は生命という最も大切な人権を奪われたわけですからね・・・。いえ、ここで論じることではありませんね。 確かにもしかすると見る人を選ぶ映画かもしれませんが、それでも多くの人にお薦めしたい映画です。 柴田が誰で、工藤が誰なのかはっきりしたとき、爽快感とは程遠いやるせなさを感じました。 [DVD(邦画)] 9点(2013-12-17 02:39:13)(良:1票) |
1639. 若草物語(1994)
《ネタバレ》 原作知らず。前作も知らず。この作品で「若草物語」初デビューです。よって、この映画のみでの感想です。 はじめのうちはよくある悲喜こもごものホームドラマのような印象しかなかったのです。それが、物語がすすむにつれ、ある種の切なさのようなものが。 いつも一緒にいたはずの四人姉妹。まるで一生一緒にいるんじゃないかと錯覚するほどです。ですが四人姉妹を別つものが訪れます。それは夢であり、結婚であり、そして死です。 前半の少女時代の雰囲気を見事に、でもあくまで自然に作っちゃったのが後半に活きています。後半に終始感じる切なさは、時の流れがあの四人いつも一緒だった子供時代には決して戻ることがないということを感じさせるからでしょう。 ただ、ベスの死をきっかけに、再び家族が集まり始めるラスト。ホームドラマならではの清々しいカタルシスを感じることができるハッピーエンド。失われた命もありますが、新しく誕生した命もあり、新しい家族になる人達もいて、時間の流れというものは過去に回帰はできないが、でも決して寂しいことではないと感じさせてくれる良いラストでした。 [DVD(字幕)] 7点(2013-12-10 13:37:31) |
1640. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
《ネタバレ》 人間ドラマとホラーを絶妙なバランスでミックスさせた傑作です。この映画特有の雰囲気を作り上げちゃっているところに、この映画の個性が感じられます。 トム・クルーズのレスタトは、ヴァンパイアという運命を受け入れ貪欲なまでに欲望に忠実であるところに美しさと魅力を感じます。そしてブラッド・ピットのルイスは、人としての魂の輝きが失われないままヴァンパイアとなってしまったその切なく、苦悩する姿にひきつけられます。そして、このレスタトとルイスの相反する個性が、お互いの存在をよりくっきりと鮮明に浮かび上がらせるわけです。相乗効果というやつですね。 更に、この二人だけでも充分すぎるほどの存在感なのに、そこへ登場するのがキルスティン・ダンストのクローディア。てっきりルイスのおまけのような、マスコット的なキャラクターかと思いきや、立派な第三勢力として強く輝きます。 彼女ははっきり言ってレスタト側です。だからこそ、レスタト同様、ルイスに強くひかれたのでしょう。レスタトもクローディアも、人間としての心の最も美しい部分を残したままヴァンパイアとなってしまったルイスのその魂の輝きに、メロメロになっちゃっています。この危ういバランスの三角関係が何とも背筋が寒くなるような緊張感を生んでいる前半が、個人的にはこの映画のハイライトでした。 難を言うならば、前半の完成度が高すぎたために、レスタトが退場になってからの後半がどうしても蛇足気味に感じられてしまうのが残念といえば残念。 もちろん、後半は後半で楽しめるんです。映画としてのエンターテイメント性は十分です。でも前半ほどの魅力が感じられないというか、半減しちゃっている気がするんです。それくらい、レスタト、ルイス、クローディアの3人のドラマが良かったってことなんですけどね。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2013-12-09 00:50:50) |