1681. キル・ザ・ギャング 36回の爆破でも死ななかった男
《ネタバレ》 70年代オハイオ州クリーブランドに於いてイタリアンマフィアと抗争を繰り広げたアイリッシュ・ギャング、ダニー・グリーンの生涯が描かれた実録もの。時折挿入されるニュース映像に爆殺に次ぐ爆殺事件が絵空事でない怖さを感じます。 どんなに分の悪い相手にも恐れることなく喧嘩を売る姿、老女を巻き添えから守る姿に、強調されるケルト人の矜持「闘争心と優しさ」を見ますが、それを真っ当に生きる事に使えなかったのかと醒めた思いにも。 クリストファー・ウォーケン、ヴィンセント・ドノフリオ、トニー・ロー・ビアンコ、ポール・ソルヴィノと濃い面々がレイ・スティーヴンソンを盛り立てています。お目当てクリストファー・ウォーケンの退場シーンは結末と重なる印象深いものでした。 本件をきっかけに司法取引からマフィアが衰退していったというのは、義理も人情もへったくれも無い者たちならではでしょう。 ポッテリとしたヴァル・キルマーの傍観者ぶりが-1点。盛り過ぎの邦題はご愛嬌。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-19 09:23:38) |
1682. 太陽は光り輝く
プリースト判事。冴えない見た目の飲んだくれが人を裁けるのか、やたらと陽気な音楽、ハズレだったかと思いました。しかし、「人間の尊厳は肌の色や職業に関係ない」譲れない思いは何があっても譲らない二つのシーンにひれ伏しました。とりわけ後のシーンの演出は鳥肌もので、将軍の胸中を想像すると泣けてきそうになりました。「怒りの葡萄」「わが谷は緑なりき」「周遊する蒸気船」に続く鑑賞となった本作も監督特有の骨太さに感じ入った傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-17 09:23:24) |
1683. 巨象の道
《ネタバレ》 ピーター・フィンチとダナ・アンドリュースの狭間で揺れるエリザベス・テイラー。死者の威光が支配する館。ワクワクしたのですが。 お粗末な展開の中での三人の無機質な芝居に白けて睡魔が押し寄せてきたところへの象の大群。シャキッとなりイライラも解消させてくれた象さんの大暴れに加点。アニマルパニックものにしょうもないドラマをくっつけた愚作。名優の無駄遣いに腹が立ってしようがない。 [DVD(字幕)] 3点(2018-08-15 13:20:28) |
1684. 恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ
暑苦しいイメージがあるジェフ・ブリッジスが醸し出す虚無的な雰囲気に惹きつけられる。一方ミシェル・ファイファーは蓮っ葉のイメージそのままで物語に酔えない要因に。兄弟の姿から、自活の為に好きでもない仕事をこなして「今日も稼いだ」と疲れ果てる虚しさと好きな仕事が出来る有難味をイヤと言うほど思い知らされる。 [DVD(字幕)] 5点(2018-08-15 01:16:41) |
1685. 灰色の男
《ネタバレ》 ジェームズ・メイソン初期作品は現代にも通じる見応え満点の傑作ドラマで彼の魅力も満載。 俳優キャリアに於いて屈折した貴族役の元祖とも言える「灰色の男」とロンドン社交界で忌み嫌われているロハン公爵。身に纏う衣装が実にノーブルで溜息が出まくり。 お家の体面第一で妻を子孫繁栄の道具にしか見ていない単に情の無い男であって変質狂には当てはまらず肩すかし感が強かった(-1点)のですが、最後の最後で残忍な気質を爆発させる「真っ黒な男」に恐怖で顔を覆った指の隙間から見る羽目に。また、初めて見るど突き合いファイト(お相手は宿敵?スチュワート・グレンジャー)はかなりの迫力で、恒例の replay time でウットリと。 男性二人が物語に深みを加えていましたが、主役はマーガレット・ロックウッドとフィリス・カルバートの女性二人であり、魔女と天使の出会いからそれぞれの最期まで名演も相俟って共に哀れを誘います。粋で余韻を残すラストがこれまたお見事。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-14 21:18:03) |
1686. 希望のかなた
《ネタバレ》 登場するワンコの名前がコイスティネンというのに、今も私の心の拠り所になっている「街のあかり」が思い浮かび、ラストショットに狂おしい思いにさせられました。 「何としても生きて、死なんといて、お願いやから・・・」 個の力ではどうにもし難い状況の中での一人一人のほんの少しの思い遣りと静かな意志が身に沁みる監督ならではの秀作。 日本贔屓の監督がいかりや長介さんの「もしものコーナー」を見たのかもしれないと感じた寿司屋の件は、笑いより痛々しさを感じてしまうもので、だめだこりゃの-1点。惜しい。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-14 00:59:24) |
1687. アパルーサの決闘
《ネタバレ》 辛気臭い、もとい、寡黙な二人組エド・ハリスとヴィゴ・モーテンセン VS 初めて観るウエスタンもののジェレミー・アイアンズ(お目当て) 決闘模様に寄せた大きな期待を木端微塵にぶち壊してくれたのがレネー・ゼルウィガー。見た目も性格も「はぁ? アンタ何なん?・・・以下、悪口」 彼女に振り回されるエド・ハリス同様に脚本(by エド・ハリス)も情けなく、決闘場面に頭の中は「何でやねん?」でいっぱい。もう、いっその事皆死んじゃえばよかったのにと燻っていた憤懣が燃え上がる。 持ち味を十二分に発揮していたヴィゴ・モーテンセンに+2点 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-12 13:45:24) |
1688. 女と女と女たち
監督は巨匠、脇役陣は一流どころがズラリと居並ぶのに期待が膨れ上がったのですが、シャーリー・マクレーンを愛でるだけの作品で残念。七変化は欲張り過ぎで3話くらいをじっくりと魅せて欲しかったところです。曲者キャラでないピーター・セラーズの瑞々しさが妙に印象に残ります。 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-08 15:09:16) |
1689. 死にゆく者への祈り
墓場での暗殺行為に「場所もわきまえずに、この、腐れ外道が・・・(以下、罵詈雑言)」腸が煮えくり返る。ミッキー・ロークにしてもアラン・ベイツにしても人情は持ち合わせているのに遣る瀬無い思いが。神父とは対極のイメージのボブ・ホスキンスが一番興味深かったけれど今一つ中途半端なキャラクターであるのが歯痒い。リーアム・ニーソンが活かしきれていないのが更に歯痒い。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-07 03:23:34) |
1690. 生きるべきか死ぬべきか
「メル・ブルックスの大脱走」既見。筋立ては解っているので双方比べてみると、メル・ブルックス>ジャック・ベニー、チャールズ・ダーニング>シグ・ルーマン、キャロル・ロンバード>アン・バンクロフトといったところ。お笑い度・しんみりさせられ度はリメイク>オリジナル。ナチスドイツによってドイツ市民権を剥奪されたユダヤ系のルビッチ監督が1942年に作り上げた事を思うと、 生きるべきか死ぬべきか>メル・ブルックスの大脱走 の結論になりました。 ご贔屓アン・バンクロフトが見劣りしてしまったキャロル・ロンバードの魅力に驚いています。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-07 03:01:30) |
1691. 青の寝室
《ネタバレ》 監督・脚本・主演のマチュー・アマルリックと実生活で彼と10年来同棲しているステファニー・クレオのベッドシーンに二人の神経を疑い目を背けてしまう。幼い愛娘を持ちながら不倫に走った男の心模様はそこそこ見応えあるものの、女のロボットのような無機質さに白けてしまう。真相は藪の中の結末がもどかしいものの、「あなたの番よ」がサスペンス色を盛り上げてくれた。6点の基準そのままの作品。 [DVD(字幕)] 6点(2018-08-03 14:39:21) |
1692. 恐怖(1961)
面白さが凝縮された81分間。兎にも角にも脚本が素晴らしい。独特のアングルのモノクロ映像とスーザン・ストラスバーグ、アン・トッドを固唾を呑んで見守る。8割がたは予感通りの展開だったが、分からなかった2割の部分に唸らされる。 皆様にお薦めしたい極上の逸品。初見の際は絶対に予備知識無しでご覧頂きたい。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-31 09:20:02) |
1693. ブルー・マックス
《ネタバレ》 WW1に於けるドイツ空軍が描かれた物語。地べた這いずり回る歩兵のシュタッフェルが上空の戦闘機を眺める胸中に共感を。技量に出身は関係なくとも、勲章が欲しい、欲しい、欲しい! 飢えた姿に貴族と平民の育ちの違いがある事を実感。更に将軍の妻と火遊びに興じるのには「図に乗るな。このままで済むと思うな。罰が下るぞ」(これは欲求不満気味の妻にも言える)と眺めていました。騎士道精神を持つ隊長以外まともな人物がいない中での真打がクルーガーマン伯爵・将軍。保身>空軍の体面>甥の敵且つ間男への鉄槌を表現するジェームズ・メイソンをたっぷり堪能させてもらいました。終盤の元帥からの電話以降は彼の独断場であり、「うわ~そうきたか、頭いい~、しかし悪いやっちゃなぁ」と思った途端の Sit Down !!!!!!!!! に椅子から思わず立ち上ってしまいました。「えらいすんません」怒髪天を衝く鬼の形相での野太いベルベットボイスはジェームズ・メイソン名場面集の1つとなりました。やるせなさが募る異色の戦争映画。傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-30 16:19:39) |
1694. 最後の突撃(1944)
喜怒哀楽の感情が何一つ湧く事が無かった初めての戦争映画。監督は戦意高揚作品を撮ったのか撮らされたのか? 腕の振るいようが無かったのかやる気が無かったのか? 本サイト3点の基準がそのまま当てはまる期待外れ感が大きい作品。 [DVD(字幕)] 3点(2018-07-29 14:16:09) |
1695. サマータイム・キラー
《ネタバレ》 幼少時に眼前で父を惨殺した者たちへの復讐譚。目元が父親似のクリストファー・ミッチャムは復讐鬼としての線が細く感情移入出来ず、ボクサー犬のほうに男気を感じてしまう始末。その点を補ってくれたのが、最近鑑賞した中で一番だったバイクアクションと瑞々しいオリビア・ハッセーと切なく甘酸っぱい音楽。そして特筆すべきは美味しい所をさらって行ったトップクレジットに相応しいカール・マルデン。マフィアに飼われている麻薬担当警部の地道に着実に一歩一歩近づく捜査に見入り、飼い犬に嫌気がさしたかのような行動に「あぁ、そんな事したら・・」予感通りの結末での諦観に満ちた姿が絶品。ラフ・ヴァローネ出演作という事で鑑賞した本作は掘出物の秀作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-29 01:15:05) |
1696. 夜の訪問者
殆どが椅子に腰かけているジェームズ・メイソンの舞妓さん並みの白塗りでの演技もチンタラした展開での幼稚なストーリーの前では何一つ響いて来ない。そもそも声に何時もの艶が無く、体調不良だったのかと思わされた精彩を欠く姿だった。チャールズ・ブロンソンの上腕二頭筋と天下無敵の活躍を素直に楽しめる、筈も無く。 かなり迷ったけれど「アカンもんはアカン」恐れながらの2点という結論に。 [DVD(字幕)] 2点(2018-07-28 20:46:33) |
1697. 私の殺した男
《ネタバレ》 息子を亡くした親の喪失感がひしひしと伝わってきて、墓地での母親同士の会話に泣かされてしまいました。 ラストで演奏に聴き入る夫妻にこれでいいのだと思う一方で、真実を隠し通せるとは思えず、明らかになった場面を想像して、やはり真実を伝えた上で葛藤を乗り越える物語でなけらばならないのではないかと複雑な心境です。 抑えた語り口で反戦を謳う本作から7年後にWW2が開戦する現実の厳しさを感じます。ヒトラー総統は鑑賞してなかったのでしょうね。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-27 16:29:43) |
1698. 青髭八人目の妻
クローデット・コルベールが演ずるニコルが鬱陶しく胸糞悪くて笑えず、ゲイリー・クーパーの熱演も空回り感が激しい。ワイルダー脚本作でこんな大ハズレがあるのが驚き。 [DVD(字幕)] 3点(2018-07-22 23:00:28) |
1699. ナザレのイエス
DVD2枚組6時間超の完全版鑑賞。何日かかることやらと思っていたのが丹念に描かれたイエスの生涯に長さを感じる事無く2日間で完走。絢爛豪華さでは鑑賞歴中ナンバーワン(オスカー受賞者7名、ノミネート6名、他名優)の脇役陣を従えた感のあるイエス演じたロバート・パウエルが絶品。次いで印象に残ったのがヨハネ演じたマイケル・ヨーク。次いでモーリス・ジャールの重厚な音楽。お目当てジェームズ・メイソンは全体通じても10分程の出番で語る点がないのは致し方なし。「世の終わりまであなた方と共にいる」と遺言を残したイエスは、その後何千年に亘って神の名の下に繰り広げられた諍いに何を思うのだろうか。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-22 20:18:58)(良:1票) |
1700. 名誉と栄光のためでなく
ロブソン監督作という事で鑑賞。アンソニー・クインにしてもアラン・ドロンにしてもジョージ・シーガルにしても監督ならではの男気が不足しており惹き込まれない。国が独立を果たす為にどれ程の血と涙が流れなきゃならんのかという思いはあったもののアクションものとして気楽に楽しめた作品。 [DVD(字幕)] 6点(2018-07-21 21:04:06) |