1881. スチュアート・リトル
《ネタバレ》 本来人間の子供が演じる役回りをネズミに置き換える。この力技を違和感なく観客に納得させているのは、ネズミというチョイスが絶妙だからだと思います。ネコやイヌではこうは行かない。世界観をファンタジーに逃げるのではなく、あくまで現実世界の中でコレをやっている。結構スゴイと思いました。(注:あらゆる動物が人間と会話するのであれば、完全なファンタジー。でも本作は、ネズミのみに例外を認めている。ですから本作の世界観は“現実”と考えます。)主人公をネズミにしたことでコメディの要素を生み、楽しい作品に仕上げています。その手際はお見事。ただ設定とは裏腹に描かれる物語はどこまでも現実感を欠きます。家族愛。偏見を失くすこと。美しいテーマは垣間見えます。しかし心を捉えません。実の子を亡くしたとき、ネコを亡くしたとき、スチュアートを亡くしたとき。あの一家は同じように泣くのだろうか。偏見を失くそうというメッセージもそう。偏見とは、壁の無いところに壁を立てるようなもの。本作では逆に、在るはずの壁を無いものとして扱っています。両方とも結局は同じこと。“違い”を誤魔化すのは偏見と同じくらい危ういことです。ただサラリと表面だけを楽しむには最適な作品だとは思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-04-05 19:56:28)(良:2票) |
1882. 名探偵再登場
数多くの名(?)探偵が登場した前作には、華やかさの点で本作は及びません。しかし会話の楽しさは堪能できました。この部分は前作よりも優れていると思います。主人公をはじめ登場人物の口から出る言葉に、まともな受け答えはありません。流れるように相手の問いかけを受け流す。ジョークによるかわし合い。まるで会話でダンスをしているようです。ただ、“ウィットに富んでいる”というよりは、“下世話な冗談”に近い。でも不思議と下品とは思いませんでした。“大人の会話”というやつ。もし日本で本作をリメイクするなら、「オヤジギャグ」の応酬になるのかな。自分は「オヤジギャグ」肯定派ですが、観てみたいような、観たくないような。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-04-04 20:30:56) |
1883. バイオハザード(2001)
《ネタバレ》 予想以上に面白かった最新作Ⅴ。原点回帰との印象を受けたため、比較検証のためにⅠを再鑑賞しました。続編との決定的な違いは、本作は『ゾンビ映画』であったということ。そう、シリーズ唯一『ゾンビ映画』でした。“死”という恐怖の上位に位置する恐怖が描かれるのがゾンビ映画たる所以。自己を失う恐怖。知性を奪われる恐怖。そういう意味では、本作のハイライトの一つである“アリスが三角飛び蹴りでゾンビ犬を倒すシーン”はアクションゲーム『バイオハザード』的には正しくても、『ゾンビ映画』としては間違っていたと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2007-04-03 21:24:58) |
1884. トランスポーター
《ネタバレ》 結論から言うと“アリ”なのですが、予想以上におバカ映画だったのに驚きました。主人公はルールに厳しいプロの運び屋。それに寡黙な男。口を開けば渋い声。スタイルも抜群。文句なくカッコイイのですが、自ら決めたルールを破ったあたりから様子が怪しくなります。予約の無い仕事を請け負ったり、誘われるままに素性の分からない女と寝てしまったり。意外とうっかり屋さんです。当然の如くトラブルに巻き込まれていく主人公。終盤に至っては、プロでもなければ運び屋でもありません。でもダサくならないから素敵。足技にこだわったアクションもめずらしく、観ていて楽しいです。(基本的に“殺さない”姿勢も良い。)言うならば、カッコおバカ作品。こんなのも結構スキです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-04-02 21:20:22) |
1885. グエムル/漢江の怪物
《ネタバレ》 モンスター系パニック映画の常道を覆し、のっけからその姿を露にするグエムル。この登場シーンが秀逸です。橋桁にぶら下がる謎の物体。姿を見せることと正体を現すことは別。「何だアレ?」という疑問と同時に、生き物としての勘が自分に訴えかけます。何かヤバイものだ!序盤からのハイスパートでつかみはOK。娘の遺影を前にして泣き叫ぶ家族。涙を誘うシーンなのに笑えてしまう。シリアスにならざるを得ないお話なのに、あくまでも“娯楽作品”。クライマックスの決闘はもちろん、グエムルの巣から脱出を図るヒョンソなど、力が入る見せ場は多いです。それに多少強引な展開でも納得させられます。何故なら娯楽作品だから。でもラストには驚きました。本作の流れを考えれば、ヒョンソは助かって然るべき。だのに、こんなに悲しい結末にするなんて…。彼女の死は無駄ではなかった。それがせめてもの救いなのでしょう。でもやっぱり子供が死ぬのは切な過ぎる。こんなときに奇跡が起きなくてどうするの!それがフィクションの特権なのに!いや、後日談でナムジュが食卓にいないのは、長期入院しているヒョンソの付き添いをしているから、と考えることにしよう。物語の解釈は観客それぞれに委ねられている。それは観客に与えられた特権です。 [DVD(字幕)] 8点(2007-04-01 07:21:46)(良:2票) |
1886. 妖怪大戦争(2005)
《ネタバレ》 荒木飛呂彦のマンガから抜け出たようなルックスと身のこなしの栗山。『シムソンズ』の時より数段カワイク見える高橋(隣にローサがいないから?)。有名人も数多く出演しており、それなりに楽しめます。(ただギャグは好みではありません。)本作で描きたかったのは妖怪が大挙して押し寄せる場面。宮迫が叫んだ「妖怪大戦争だ!」という言葉に全てが集約されていると思います。だからでしょうか、ストーリーはあって無いようなもの。オチの付け方なんかとくにヒドイ。子供の観客を意識しているとは思えない、やりたい放題ぶりです。というよりも、子供の観客にも本作の主人公と同じく成長を促しているとみるべきか。大人になることは、自分の無力さを知るということ。今まで見えなかったものが見えるようになり、代わりに見えていたものが見えなくなるということ。それは正しいと思いますが、それを本作から読み取れる子供がどれだけいるのか疑問です。少なくとも自分が神木くんくらいの時は、もっと小さな価値観に縛られていましたね。少年の成長、消費社会に対する警鐘、反戦。意外なほど多くのメッセージを内包する本作。でも少々詰め込みすぎの印象。潔くおバカ映画に徹したほうが観やすかったと思います。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-03-31 00:06:33) |
1887. 回転
《ネタバレ》 女幽霊が出現する場面は、ほとんど引きの画のみ。彼女がどんな顔なのか最後まで分かりません。クライマックスで、どーんとおどろおどろしい顔のアップ!そんなホラーに慣れた身としては、逆に新鮮でした。この例に限らず、“目を背けたくなる”描写は一切なし。でも常に不穏な空気を醸し出す演出はお見事でした。言葉はオブラートに包まれているので、直接的な生々しさはありません。でもよく考えると結構ハード。濃い内容を上品に仕上げてあったと思います。ただラストについては不満(疑問)が残ります。何故主人公は、子供たちに霊の存在を意識させることで、問題を解決しようとしたのでしょう。子供たちが、妄想に捕らわれているだけなら有効な方法かもしれません。でも彼女は霊の存在を確信していたはず。その選択が理解できませんでした。それに結末も唐突。後味の悪さよりも、オチの付け方としてしっくりきません。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-03-30 22:26:35) |
1888. 少林寺木人拳
小学生くらいの時、よくテレビで観ました。勿論吹替え版を。大好きでした。懐かしくなって20年(以上!)ぶりにDVD鑑賞をすることに。吹替え版が入っていたのに石丸博也さんじゃありませんでした。激しく残念。各場面、ああなって、こうなってと克明に記憶していたのには、我ながら驚き。ただ、演出音楽がほとんど無いのにまたビックリ。記憶の中ではドラマチックな音楽が流れていたのに…。おそらく他作品と混同しているのでしょう。ジャッキーのカンフーアクションは練られた型の魅力。木人のギミックは漫画的。でもそれがたまりません。凝ったストーリーは要りません。ジャッキーのカンフーアクションが楽しめればもう満足なんです。 [DVD(吹替)] 8点(2007-03-29 18:54:08) |
1889. アサルト13 要塞警察
《ネタバレ》 本作の攻城戦には、立て籠もる側の勝利条件に“引き分け”がありました。これがあるのと無いのとでは大違い。戦略が全く違ってきます。相手を全滅させる必要はなく、時間切れに持ち込めればOK。持ち堪えるため、時間を稼ぐためにどんな工夫を凝らすのかが見もの。その観点からすると、いささか物足りません。13分署は単なる箱でしかなく、砦として機能させようという意識が守備側にみられません。その箱に歯が立たないのだから、寄せ手はもっと情けない。“時間制限”という緊張感を煽れるファクターがあるのに、活用しない展開がもどかしい。人物の描き込みも今ひとつ。先の事件で心に傷を負うほど繊細な主人公が、今回の事件で立ち直るのは腑に落ちません。民間人まで死なせてしまった本件の失策の方が、より重大だと思います。同僚が死ななかったからOKなのでしょうか?とは言いつつも、実は結構楽しめました。そもそも自分はこういう設定が好きなのです。秘密基地をつくった世代だからでしょうか。ただ、期待値までは届かずでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-03-28 19:06:18)(良:2票) |
1890. 転がれ!たま子
《ネタバレ》 鉄兜は心の鎧。甘食はたま子の人生観。穴に落ちるエピソードは、そのまま閉鎖的生活環境の比喩表現だと思います。主人公の自分探し。そして自立の物語。パン屋での修行は小さな一歩。でも本人にとっては、別の価値観に触れる大きな一歩。もっと感動があっていい。でもあまり心に響きません。見た目の華やかさは、それなりにあります。甘食の魔法や、突如出現する穴。それにカーニバル。ドレスの羽根やスパンコールのように、部分的には目を惹きます。でもオシャレは気取ると恥ずかしい。全体としては不恰好だと思いました。ナレーションが冒頭だけなのも不自然。その場限りの賑やかしでは、観客の心を揺さぶるのは難しいと思います。謎の少年は何者でしょう。甘食の妖精?自分は、たま子の“幼い自我”だと思いましたが、それなら少女のほうが相応しい気が。自分は監督の想いを受け取ることが出来なかったようです。主役をはじめキャストは魅力的。でも作品の骨格は脆いと思いました。 [DVD(邦画)] 3点(2007-03-27 22:10:33) |
1891. マイ・ボディガード(2004)
《ネタバレ》 人の心は天秤のイメージ。釣合いが取れている時は心穏やかな状態。辛いこと、悲しい出来事は重りとなって人の心を傾ける。傾き過ぎると、歩くことはおろか立っていられない。ボディーガードを引き受ける前のクリーシーは、この状態でした。アルコールを逆の天秤皿に注ぎ、一時的に傾きを中和する。でも酒はこぼれ落ちるばかり。酒は更なる重りに変わります。ピタと過ごした日々は、彼の心の天秤を水平に戻す過程であったと思います。やっと歩けるまでに回復した矢先の事件。傾きを和らげる手段として、彼が選んだのは復讐でした。重りを取り除くのではなく、逆の天秤皿に別の重りを載せる作業。重りを載せ過ぎるのは危険です。天秤は壊れ易い。でも載せずにはいられない。それが人間の情です。死の間際、クリーシーの心は水平だった。それがせめてもの救いだと思います。凝った映像表現がやや煩いものの、観客を惹きつける展開はお見事です。自分も架空の重りを心に背負いました。ピタが生きているのは不自然ですが、こういう奇跡は歓迎します。それにしても治安の良さは、かけがえのないものだと痛感しました。何だかんだ言っても日本は恵まれている。それは感謝しなければと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-26 18:16:15)(良:1票) |
1892. ピンチランナー
《ネタバレ》 アイドル映画にはアイドル映画としての役割がある。物語性だとか演技だとか、過分に求めてはいない。観客(この場合はファン)もそれは承知しているでしょう。「顔のアップを多めに押さえておきゃOKでしょ」的な製作サイドの姿勢がひしひしと感じられます。だから“燃えやすいナイロン製ベンチコートで火に飛び込ませる”のも、“フォローが無い難病設定”にも疑問を抱かない。安倍と市井の私服の色味が、まるっきり被っているのに誰も気付かない。メインの駅伝に至っては、物語の一部としての役割を放棄しています。ずっと横腹を押さえてチンタラ走る後藤。沿道のファンに愛想を振りまく飯田。安倍の体型。すべてあり得ない。ツッコミつつも笑っていられればOKですが、腹が立つようではダメ。本作の価値は、開き直る前の加護が見られること。矢田亜希子嬢を奪った押尾の大将の経歴に本作が刻まれたこと。そして、いろんな作品に対して優しい気持ちになれることです。『模倣犯』だってそんなに悪くないと思えるから不思議。 [DVD(邦画)] 2点(2007-03-25 03:10:28)(良:1票) |
1893. 他人の顔
《ネタバレ》 医師と顔を無くした男のやり取りが主軸となって物語は進行します。そこで語り合われる事柄が、そのまま本作のテーマ。文学的アプローチが本作の魅力です。しかし2人の口数が不自然なほど多く、説明過多だと思いました。思想に被れた学生同士の会話のよう。それゆえ、せっかく深いテーマなのに、浅く感じてしまいました。頭でっかちでリアリティを欠いた印象です。でも映像は斬新。演出にも独自の色があります。キャストも皆上手い。作品の持つ鮮烈な輝きは、制作後数十年経った今でも全く色褪せていないです。凄い作品なのは間違いない。ただ自分の嗜好からは少し外れたようです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-03-24 19:59:41) |
1894. 三年身籠る
《ネタバレ》 オセロ中島主演ゆえにコメディを予想していたのですが、違いました。たしかにコメディの味も感じます(1箇所だけ大爆笑しました)。でもその実は結構シリアスなドラマ。男と女の“生き物”としての違いを、まざまざと見せつけられた気がします。オスとメスの違い。父と母の違い。さらに女と母の違い。男→父の変化よりも、女→母の変化は、より劇的なのでしょう。考えてみれば、「身籠る」という言葉からもその事がうかがえます。自身の体の中にもう一つの命を籠もらせる。他者の介入を一切許さない長期間に及ぶ関係は、あらゆる対人関係と一線を画します。三年身籠ったことも、それを“よし”とした主人公の選択も、常職では考えられません。自分は中島をコワイと思いました。でも“母の本質”はこういうことなのかもしれません。男としても、父としても興味深く観させていただきました。ちなみに多彩な料理も見所だとか。 [DVD(邦画)] 6点(2007-03-23 18:55:18)(良:1票) |
1895. ニンゲン合格
黒沢監督作品は、本作で自身6作目の鑑賞。やはりこの監督とは相性がいいようです。淡々とした語り口ながら、気付いたらいつも物語に引き込まれています。教え上手の先生の授業を受けているような感覚。手取り足取り、懇切丁寧が良いとは限りません。要所を押さえて適切なヒント。考える時間が丁度いい。答え合わせに喜びや驚きがあるので、内容がどんどん頭に入ってくる。(たまにヒントが少なかったり、フォローが無かったりもしますが。)この先生は教材のセレクトも抜群。役所広司の仕事ぶりは間違いないですし、西島秀俊のハマリ具合は絶妙でした。生徒を震え上がらせることでは定評のある先生。本作ではいつもと違って、かなりギャグをとばしています。一般受けが良いかどうかは分かりませんが、自分は結構笑いました。確かにポニーじゃない(笑)。タイトルをそのまま受け取るか、皮肉と取るか…。今回の宿題も楽しめそうです。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-03-22 18:25:25) |
1896. ドラえもん のび太の宇宙開拓史
《ネタバレ》 毎度のことながら、設定が素晴らしい。時空のねじれが2つの異なる世界を結びつけた。時の流れと重力の違い。コーヤコーヤ星の季節のうつろい、不思議な生き物。どれをとってもワクワクします。子供の自分が魅了されたのも頷ける。ラストシーンの切なさは絶品です。ただ大人になって観直してみると、思っていた程でもない。同時期に制作された、『大魔境』や『海底鬼岩城』は、今でも存分に楽しめた(むしろ大人になってからの方が楽しい!?)のに、本作はそんなに楽しめない。おそらく舞台の違い。現実には存在しないコーヤコーヤ星よりも、身近な存在である地球のほうが、イマジネーションを刺激されたのです。架空の世界よりもリアルな世界の方が楽しめる。ああ自分も大人になったのだなと、少し寂しくもあり。 [DVD(邦画)] 7点(2007-03-21 17:44:28) |
1897. ガッツ伝説 愛しのピット・ブル
《ネタバレ》 監督は舞台の演出家。確かに舞台のような雰囲気があります。役者の演技が濃い。ナチュラル演技全盛のおり、演技らしい演技の印象は悪くないです。ただアクションシーンについては、それが悪いほうに出た気がします。気になったのは“記号”の表現。“殴ったふり”で殴ったことにする、ある種の決まりごと。舞台でも映画でも見られますが、映画の方がよりリアリティを演出することが可能です。見せ方に工夫ができる。でも本作では、舞台さながらに記号の表現が幅を利かせており、安っぽく見えました。役者の力量が不足しているのであれば、それをカバーすることも演出の役目だと思います。逆に、“映画的”と感じたのはクライマックス。お祭りの太鼓演奏のシーンでは、カメラワークを駆使しています。でも迫力が伝わってきません。本作はいたって真面目な人情喜劇。タイトルから感じるようなオチャラケ企画ものではありません。ただ脚本が弱く、後半はヨレヨレ。正攻法なだけに、よけいに粗が目立ちました。真面目な制作姿勢を批判するつもりはありませんが、もっとはじけて欲しかったと思います。 [DVD(邦画)] 4点(2007-03-20 18:43:12) |
1898. デジャヴ(2006)
(ネタバレなしで書きます。なお予備知識は無いほうが、間違いなく楽しめます。公式サイトもテレビCMも、ネタバレしていると思います。注意して書いたつもりですが、自分の書き込みも読まずに映画館に足を運ばれることをオススメします。)まずとんでもない設定に惹きつけられます。簡単に以下説明。複数の衛星を駆使した、凄い監視システムがある。ただし衛星から送られてくるデータが膨大過ぎて、処理に4日かかる。ゆえにリアルタイムでは画像を見られず、4日前の画像しか見られない。でもこのシステムが凄いのは、監視エリア内であれば何処でも瞬時に視点を移動し、アングルを自在に変えられ、室内も見通せるということ。しかも音声つき。例えるなら“4日前のあるエリア内に、瞬間移動のできる透明監視カメラがある”ようなもの。ただしカメラは一台しかいないので、何処にカメラを向けるか指示しなくてはならない。そして過ぎ去った場面を別アングルで見直すことは“不可”。超ハイテクシステムなのに、有効活用するには人間の勘が必要。このシステムを使って、爆破テロの犯人探しをするのが主人公の役目です。つまり4日前“犯人が立ち回ったであろう場所を推理”するのです。「このシステムすげえなあ」と「犯人は特定できるのか?」で自分の頭はいっぱい。と、ここまでは序の口です。ここからの怒涛の展開が本作の見せ場です。結構荒っぽい。でも観客に考える隙を与えず、力ずくでストーリーに引き込みます。手に汗を握り画面に釘付け。そして最後には「なるほど」と膝を打ちました。伏線の張り方もお見事ですが、多少粗くても勢いで“魅せる”作品だと思います。余韻は絶品です。先に述べたように、公式サイトもパンフレットも視野を狭めてしまうので、鑑賞後の楽しみにとっておいてください。 [映画館(字幕)] 8点(2007-03-19 18:21:40)(良:1票) |
1899. セーラー服と機関銃
角川らしいアクの強い映画。凝った構図に派手な展開。娯楽性には富んでいます。ただ何かしっくりきません。たぶん主人公の心の動きが見え難いから。普通に考えれば、主人公の境遇はとんでもないもの。だのに彼女は動揺したそぶりを見せません。ただ、淡々と流れに沿って生きている。人の死が重く感じられない。だからクライマックスの殴りこみにカタルシスがありません。自分には別世界の物語に感じてしまいました。薬師丸の演技の問題というより、キャラクター設定が“新人類”のはしりだったような。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-03-18 00:21:48) |
1900. おばあちゃんの思い出
《ネタバレ》 自分のおばあちゃんは、のび太のおばあちゃんのように優しく見守るタイプではありません。どちらかといえば厳しく躾けるタイプ。にもかかわらず、泣けて泣けてしょうがないのは、心の根っ子の部分にある想いがおばあちゃん全てに共通するからだと思います。おばあちゃんと孫の関係は、親子とはまた違う繋がりがある。おばあちゃん最後の台詞は、一撃必涙の破壊力です。またのび太の成長が感じられたこと、そしてジャイアンとスネオが本当はとても友達思いのイイ奴だったと分かったこと。それが本作の収穫でした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-03-17 00:19:06) |