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かわまりさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 295
性別 女性
ホームページ kawamari7.hatenablog.com (質問と建設的な指摘をお待ちしています。JTNEWSに届けてあるほうでは文字化けします。)
自己紹介 私の名前は「真理子」といい、「可愛い真理ちゃん」と呼ばれるのを省略して「かわまり」というハンドル名にしましたというのは嘘で、「かわうそ」にしようと思いましたが気が変わってこうなりました。

取り締まる法律が必要な(1)XX中毒。生まれた場所のせいで3歳の時に兆候が現れ、13歳で表彰状物の重症に、今ではより強い刺激を求め(2)X屋の中だけではなくこのサイトにも出没、インターネットで(3)XXXXXXがないかと探し回るのにカウンセラーも警察も動いてくれません。(空欄に文字数が一致する言葉を入れてください。)

空欄の答え:(1)XX=「言語」、「活字」も可、(2)X=「本」、(3)XXXXXX=「読める外国語」、大阪キリスト教国際病院で生まれ、宗教は一応仏教。

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1.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
正論を吐く理系官僚ということで財務省をいびり出されたインフルエンサーの某氏が「既に4回見たがまだ何回か見るつもり」と言ったので怪獣映画は子供の頃から嫌いでしたが見に行きました。主演はNHK の朝ドラで植物学者の役をやった神木くんじゃないですか。途中でゴジラは今まで日本の国土と国民を脅かした地震、台風、津波、B29(空襲)、原爆におまけの蒙古襲来を全部足したもののアレゴリー(比喩)じゃないのかと気づいてからは「ゴジラを倒すのがウルトラマンだったりしたらわたしは出口で観覧料の返金を要求するぞ!」と息巻きましたが幸いにしてそんなこともなく最後は国土を襲うどんな災難も他国のせいにはせずにゴジラの姿に結晶させて科学技術とチームワークで立ち向かい、決して他国のせいにしたりはしない、ましてや十倍返しにしたりしない日本人の賢さと優しさに感涙しました。さて、日本は第二次世界大戦の終盤で英米の科学者がナチスドイツを倒すために製造した原子爆弾の被害を被りましたが原爆製造で功績のあった科学者四巨頭(オッペンハイマー、フェルミ、ロレンス、コンプトン)の原子爆弾を日本に投下すべきか否かの議論には結論が出ず、議長のオッペンハイマーは「わたし達4人の科学者はそれぞれ一票の投票権を持つ市民でしかありません!」と結論を放棄してしまいました。では誰が広島・長崎の原爆投下を決めたかというと時のトルーマン大統領だと言うのは簡単ですがトルーマンに復讐することはできないし、トルーマンを大統領に選んだアメリカ人に十倍返しをするのは憎悪の連鎖を生むだけだし⋯結局ゴジラにしてしまった方が全て平和裡におさまるわけです。日本の周囲には大きな大陸国と小さな半島国が何をしでかすかわからない状態にありますが、これから何が起きてもゴジラを倒すつもりで対処できればと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2024-03-20 19:10:20)(笑:1票) (良:2票)
2.  クイン・メリー/愛と悲しみの生涯
「1000日のアン」のDVDが欲しくて通販サイトを漁っていたら本作とのダブルディスクのパッケージを発見して入手しました。主演女優の美しさとスコットランドのスケールルの大きな風景が印象的でアカデミー賞の複数ノミネートも頷けますが、主題が何なのか今いちわかりませんでした。メアリー・スチュアートはフランス皇太子とのおままごとのような結婚で夫と死別した後、スコットランドの王位継承権もある純粋スコットランド種のお坊ちゃんと結婚、坊ったま旦那が政治音痴で「我こそはスコットランド王なり」なんて言うのに辟易するわけだけれど、この時点迄は坊ったまに本気で惚れていたのかはたまたボッタマの血統に惚れていたのかようわからないです。我が国でも年齢こそこ皇女様より何日か年上だけど何でも皇女様の言いなりになった挙句「俺様を殿下と呼べ」などと宣う毛並みの悪いお方がいませんでしたっけ? まあいいけれど、一国の君主の配偶者というものは良くも悪くも君主の一生、そしてその統治する国を大きく左右します。本作ではメアリーが従姉のエリザベス一世に処刑されるところまでは描いていませんが、両女王のどちらが君主として優れていたかと問われれば十中八九は「わたしはイングランドと結婚した」というエリザベスに軍配を上げるでしょう。でも歴史の面白いところは、跡継ぎを残さずに亡くなったエリザベス一世の跡を継いだのがメアリー・スチュアートの息子のジェームズだということです。西洋史家で西洋美術の解説で有名な中野京子さんあたりはメアリー・スチュアートのことをぼろくそに言っていますがスコットランド王ジェームズ六世にしてイングランド王ジェームズ一世となったメアリーの息子は外交が上手な結構賢い王様だったようです。でもメアリーに育てられたわけではありませんからね。なお今日本でかしがましい女系天皇の可否論争との絡みで言うとメアリー・スチュアートは男系女王でその子供は女系継承となるところをでしたが結婚相手によって息子のジェームズが父系でも血統の正当性を主張できるようにしました。日本の今後の参考になるようなヒントも見つかるかもしれない作品です。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2022-07-05 21:52:48)
3.  ドライブ・マイ・カー 《ネタバレ》 
村上春樹氏の原作は映画観賞予定の前日の夜に読破⋯と言っても短い作品なのでなぜこれが3時間の超大作でしかもアカデミー賞を受賞したのかワケわかめ状態で映画館に入りました。理由は簡単にわかりました。わたしがダ~~イ好きな劇中劇、しかも劇を作っていくと言うオハナシが入れ子になっているではないですか! 類似の作品として本サイトでもカルロス・サウラ監督の「カルメン」と「タンゴ」にわたくし奴がレビューとあらすじを書いておりますのでDVDなどで是非ご覧ください。但し両者共に音楽劇(前者はギターが伴奏のフラメンコ劇で後者はミュージカル)なのに対して本作は純粋な話劇を作るお話で人間関係ももっと複雑だしなんと言っても3作共通の主演でディレクター役の中年男優の中では本作の西島秀俊がダントツに魅力的です。観賞中に目を背けたくなったのは濡れ場ではなく例の男の高槻が運転しながら家福と長々と家福の死んだ妻について語り合うシーンです。正直言ってこんな運転をする奴はまともな男か間男かとは関係なく立木かガードレールに激突して死んでしまえばいいと思いましたが類似の結末になってひとまず安心です。家福と高槻と後部座席にみさきちゃんが乗った車は自損事故も他損事故も起こしませんので安心して観賞してください。但し高槻のような運転は絶対にNGです。みさきちゃんのような運転を心がけましょう。  全般的に練習が進んで日に日に劇としての骨格や登場人物の個性という色彩を備えていく舞台に比べて現実の方が色褪せて見えました。早春の広島から北海道に行くのには車より飛行機の方がいいとか履いている靴は皮靴かスニーカーかとかばかり気になったのに引き換え、虚構である演劇の世界では北京語の女優と韓国語手話の女優の間に一瞬通った魂の交流は真実を描いて余りあるシーンだったし家福が高槻に語るチェーホフ劇の魅力と魔力にも納得、虚構を通して真実を描く演劇人としての家福の姿は清々しかったです。  ここで小ネタです。軍事侵攻後に西側ライセンスビジネスのロシアからの撤退が相次いだことは周知ですが、ロシアのKFCは店の旗印を紅白のC.S.おじさんのものから赤地に黄色の”B”の字を染め抜いたものに変え、店名を全て「ワーニャおじさん」に変えたそうです。 ロシア語表記では「ワーニャ」の頭文字がBなんだそうで、旗は全てマクドナルドから譲り受けたものを90度回転して使っているそうです。詳しくは https://youtu.be/XPsO65jOGoY をご覧ください。小ネタ2として家福の妻は原作では子宮癌で亡くなりましたが子宮癌には体癌と頸癌があって40歳代だったらしい家福の妻は前者には若すぎます。(映画でのくも膜下出血もかなり無理筋っぽいですが⋯}、後者(頸癌)はイスラム教徒の女性と未婚(未経験)の女性は罹患率がほぼゼロなのですがその理由は自分で調べてください。「ワーニャ伯父さん」岩波文庫の電子版を映画館の中で予告の間にダウンロードしたのでこれから読みます。
[映画館(字幕)] 8点(2022-04-06 19:37:24)
4.  蝶々夫人 《ネタバレ》 
あるインタビュー番組で八千草薫が青春時代の思い出として口パクとはいえ懸命に役作りをして歌詞も全部覚えたことをあまりに懐かしそうに語ったのでDVDを探しまくって国際通販サイトを通じてスペインから購入しました。八千草薫にこだわらなければ名指揮者、名男性歌手(蝶々夫人の相手役のアメリカ人は贔屓の歌手にはあまりやってほしくないけれど…)、主演は中国人女性歌手だったり白人の名女性歌手だったりとか各種ありますがこの版では(明治維新直後の日本の状況の説明がスペイン語なのは仕方がないとして)東宝が美術と日本人のキャスティングを担当しているだけあって、これがカラー作品だったらとため息が出ました。そのせいか台詞・歌唱のない日本の伝統音楽を次々とオーケストラ演奏で聴くことができ、その合間合間に歌われる蝶々夫人とアメリカ人士官ピンカートンのアリアやデュエットはあくまでも甘く、はたまた糸引きモッツアレラチーズのようでした。ストーリーは改めて紹介するまでもなく、元武家の娘の蝶々さんとアメリカ人士官の文化を超えたラブストーリーがアメリカ人の方の裏切りで蝶々さんの武家のしきたりに従った自害に終わるという悲劇です。なんだか日本の異国情緒をてんこ盛りにして舞台にのっけるためにストーリーを作り、「純心で高貴な日本女性を欺く薄情男はアメリカ人にしちゃえ!」みたいな作品で、そのせいかイタリアでの初演は不評だったそうですが、まあそれでもいいじゃないというのが感想です。一応、日本の高い文化や美意識は表現されているし、若き日の八千草薫は純心で高貴な雰囲気をよく出しているし…、ということで八千草薫のファンにはお勧めです。初演は不評ながらいろんな主演女性歌手で再演され続けている理由は納得できます。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2021-09-01 18:20:58)(良:1票)
5.  地獄門
わたしの母が「芥川龍之介の『地獄門』の朗読を聞きたかったのにYouTubeで出んかった。何でやねん?」と言ったことから中国語字幕付廉価版値段並DVDを再度プレイヤーに……。カンヌ映画祭のグランプリ受賞ということで期待して購入したんですけれど……。アカデミー賞では美術賞か何かの受賞だけに止まったのも当然です。惜っしいです。盛遠が袈裟御前にしつこく言い寄って競馬で彼女の夫に挑むだけではなく、歌、蹴鞠、奏楽、舞踊、その他諸々の競技と学芸全てで袈裟御前の夫に挑戦して悉く打ち負かされてボコボコにされて「袈裟ちゃんなくしてまろの生きる意義はいかに?」と自問自答しながら死んでいくという日本平安時代版「若きウェルテルの悩み(ゲーテ作)」のストーリーにしていればきっとアカデミー外国語部門賞を取っていたはずです。これじゃまるで長谷川一夫と京マチ子のプロモーションビデオです。だから今後に期待します。因みに対応する芥川龍之介の作品は「袈裟と盛遠」と「地獄変」です。
[DVD(邦画)] 5点(2021-02-20 21:33:12)
6.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
この手の作品(ブラック・コメディー)としては高い平均得点を獲得しています。アメリカの同様のサイトのIMDBではさらに高い平均点ですがどちらを取っても冷戦終結の前につけられた点数ではないです。しかし、昨今の生物兵器ではないかと言われる567禍では古色蒼然…かもしれません。何しろ、核兵器は殺して破壊するしか能がありませんが世界征服を企む輩は所有し、服従させなければならず、しかも出来たら密かにそれを成し遂げようと画策するのです。こんなことを書くとなんだかわたしが新時代のリッパー将軍みたいなな被害妄想狂のようですが、現に今時点では「あの頃はなんで核兵器なんか怖がっていたのだろう。結局、何も起きなかった。」と古今の感があります。ただ為政者が発狂でもすれば核兵器はやはり怖いし、その後ぞろぞろ出現したサイバーテロや同時多発テロなど心配の種は尽きません。どなたか現代版(サイバー戦争+生物兵器)のブラック・コメディー映画を制作してくださることを切に望みます。チャップリンの「独裁者」の頃から悲惨な可能性は笑い飛ばさないとやっていけないのです。
[DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2021-01-01 23:21:33)
7.  タクシー運転手 約束は海を越えて
主演男優の喜劇役者っぽい風貌のジャケットに惹かれてブルーレイを購入してしまった韓流ビデオ3本目です。これを見て韓国よりもどちらかと言えば中国寄り(政治的にではなく文化的に、もっと言うと映画的に)のわたしは「ああ天安門事件の映画はいつ製作されるのだろう?」と思ってしまいました。この作品が扱っている光州事件の引き金となったのは金大中氏の拘束だったと伝えられています。その金氏が大統領に選出され、歴代の韓国大統領の中では唯一かもしれない穏やかな死を遂げられてからもうしばらくになります。天安門事件もそうでしたが渦中にある人間には結構何が起きているのか訳がわからないことが多いのです。この作品の邦題にはぱっと見では訳がわからない副題がついていますがその訳は巻頭ですぐに理解することができます。重要脇役と言っていいドイツ人ジャーナリストの決死の光州への潜入が物語の鍵になっています。そして銃声から倒れる人々銃弾が発せられた方向までの詳細な映像記録が光州で起きたこの民衆蜂起の本質が何であったのかを如実に物語り、韓国の現代史の貴重な1ページとなっているのです。これは実態が何だったのかわからない従軍慰安婦や徴用工(応募工)よりもはるかに重要な、韓国国民が誇るべき歴史だと思うのですがさて、韓国の現状はどうなのでしょうか。。。 終盤のカーチェイスはやはりハリウッドの真似かと思わせます。まあハリウッドの何を真似しようがテーマがオリジナルであれば瑣末事ではありますが。。。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2020-06-12 12:13:59)
8.  大いなる遺産(1998)
これもあらすじを投稿してから十年もの間レビュー投稿を忘れていた作品。作品中でイーサン・ホークが演じる一流画家の才能を秘めた漁師の青年フィンの絵画にかける想いに焦点が当てられるわけでもなく、少女から女へ変化していくミステリアスなエステラに対するフィンの恋心に焦点が当てられるわけでもなく、ストーリー的には「中途半端やなあ」という感想しかない本作品に超アマ8点をつける理由はひとえにフィンが描いたことになっている洒脱な絵に魅せられたからです。でもフィン人生はそれでいいのではないかと思います。本当はこうなって、ああなっていればストーリー的に面白いのに、とかもっと幸せになれたとかいういけんを戦わせてみるのもいいかもしれません。映像美は抜群です。
[DVD(字幕)] 8点(2020-06-01 07:13:42)(良:1票)
9.  炎の人ゴッホ 《ネタバレ》 
長かった。しかも前半ではゴッホの絵はほとんど出てきません。オランダで炭鉱労働者に同情して説教師の傍ら彼らの生活を描くことから画家として出発したゴッホは一説によると売春で自分と子供との生計を立てていたという貧しいシングルマザーに振られ、ものの本によるとイギリスでも誰かに振られ、他人に対する共感性多過だと返って女性には振られやすいのかもしれませんが、彼自身それほど頼り甲斐のある男だったかというとそんなことはなかったわけで、どうせ一夫一婦の誓いを立てて身を捧げるなら、例えば画家に転身する前のポール・ゴーギャンのような稼ぐ男の方が絶対にいいです。そして弟テオの誘いで流れ流れてフランスのパリから南仏のアルル、パリ郊外のサンレミとゴッホの長い長い忍耐の旅が続くのですがこの旅に付き合って退屈させられないのはゴッホと同じくらい共感性の高い人だけかもしれず、そういう人ならこの作品に10点満点をつけるかもしれませんが、わたしは残念ながらそうではないのでこの点数です。アルルでの開放感とゴーギャンとの共同生活と苦い喧嘩別れを起点としてゴッホ特有の数々の名作が生まれるわけですが、ここに至るまでに本作品の鑑賞者が強いられる忍耐はゴッホ自身の忍耐とは比べものにならないはずなので我慢して鑑賞しましょう。絵画に生命力を爆発させたゴッホの生涯を演じたカーク・ダグラスには「迫真の名演技」を超えるものがあります。なぜならゴッホ自身が自殺を遂げてその肉体が滅びた後もゴッホが描いた数々の絵画はこの世に残り、それらに感動を覚える俳優ならゴッホの精神の軌跡を言動で表現することは絵画を見ることと同等なのです。
[DVD(字幕)] 8点(2020-06-01 02:32:11)
10.  マルサの女2 《ネタバレ》 
一世を風靡した感があった前作と比べ、地上げ屋や新興宗教を取り上げ、国会議員も登場させてちょっと手を広げすぎた感じがしました。わたしは本作品を確かニューヨークのマンハッタン、リンカーン・センターの近くの映画館で見た記憶があります。「あの石を3つ所有する者は世界を支配すると言われています。今のところ教祖様の他ではロックフェラー財団が一つ持っています。」と怪しげな教団勧誘者が言った時にはアメリカ人が殆どの館内がわっと湧きました。伊丹監督は異文化も充分意識したようです。ただ三国連太郎が扮する地上げ屋兼新興宗教の教祖の夫は前作で山崎努が演じた守銭奴のようにユーモラスではなく、「日本の東京がその国際的地位を奪われないように俺が汚い役をかって出る!」のような悲壮感のある決意がありながら自らの欲望のために少女の将来を台無しにするといったどちらかというと憎むべきキャラなのが前作とは異なり、悪役への感情移入を難しくしてしまったのが残念です。
[映画館(邦画)] 6点(2020-05-30 11:53:44)
11.  マルサの女
あらすじを書いた後で直ぐにレビューを書かず、そのうち「こんな名作、みんなが寄ってたかって書くからいい!」というズボラ根性を発揮し、そのうち書いたような気になっていました。この作品、印鑑文化とか銀行通帳といった日本ならではの慣習をキーとして描写しながらも世界中、特にアメリカで大受けしたのはやはりタックスポリスと脱税者というお金だけを巡るせめぎ合いを描いたおそらく世界初の作品だったからでしょう。山崎努が演じる守銭奴の権藤は「奥さんに本当に惚れていたら離婚して慰謝料をガバっとやってから再婚するんだぜ。慰謝料は非課税だからな。」と合法手段での節税からきわどい手段までを駆使するなぜか憎めない男ですし、彼に相対するマルサの女も「再婚する前に奥さんが逃げちゃうかもね。」というなかなかのキレ者でこの二人のやりとりが最後まで息をつかせませんでした。
[ビデオ(邦画)] 8点(2020-05-30 11:34:05)
12.  聖衣
この作品を初めて見たのはまだ小学生の頃だったと思います。イエス・キリストの生涯については新約聖書を子供向きに書き直したものを読んでいたものの本作品とオーバーラップする箇所はロングショットで映されるイエス・キリストの磔刑のシーンしかなく、世界史(ローマ帝国)についての知識は皆無でしたがなぜか子供の頭にもすんなり入る内容だったことを記憶しています。もう一度鑑賞してみてその理由を探るとやはり若き日のリチャード・バートンの西洋流チャンバラの負うところが多いのではないかと思います。兜のてっぺんの赤い飾りが特長的なローマ武将(護民官)がキリストの磔刑の警備に当たっていたと思ったら次のシーンで同じ格好の同僚とチャンチャンバラバラ。。。視覚的に非常にわかりやすかったです。この映画が作られた1953年にはチャールトン・ヘストン主演の「十戒」が制作され、1959年には同じヘストン主演のハリウッドの記念碑的作品の「ベン・ハー」が作製されます。日本にとって戦国時代が汲めども尽きないドラマとスペクタクル源泉になっているように、キリスト教国のアメリカではまずは聖書がスペクタクルとドラマの源泉と映画界は捉えたようです。そして日本の戦国時代を舞台とする映画作品がカオスによってその後三百年弱の江戸時代の太平の礎(いしずえ)が築かれる様を描いているように、聖書を題材とする多くの映画作品はイエス・キリストが生きた時代に原始宗教が主流だった世界に唯一絶対神の下での統一された道徳観を人類の大半にもたらす礎石が築かれる過程を描いているのです。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2020-04-13 12:51:52)(良:1票)
13.  千と千尋の神隠し
巻頭では無気力で新しい環境に適応する気もない女の子の千尋が両親と共に廃墟になったテーマパークらしい場所に迷い込んで好奇心が旺盛であって然るべき子供らしくもなく「帰りたい。進みたくない。」とゴネるという決して魅力的とは言えない始まり方なのですが、両親がブタに変えられ、野原だった入り口のゲートと江戸風の街路との間が海か湖に変わって大きな遊覧船が千尋に向かって進、接岸すると胴体が無い仮面が下船してくる下り(その間、沖縄の音楽のようなBGM)から俄然興味が湧いてきました。そしてミステリアスな昔の装束を纏った禿(かむろ=おかっぱ)頭の少年ハクの出現。。。 ハクはその後も、千尋が魔女の湯ババによって名前を「セン」と変えられた後もずっと超自然の世界で影に日向に千尋を守ろうとするのですがその理由が明かされるのはずっと後になってからです。しかし、千尋が経験した世界は超自然の世界ではなく、わたしたちが暮らす世界そのものなのでは無いでしょうか? ただ万物に宿る精霊たち、日本風に言えば八百万(やおよろず)の神々は通常は万象の影に身を潜めているのかもしれません。そしてそれらの中にはハクやリンのようにわたしたちを支えて助けてくれる精霊たちが多く存在し、湯ババ、銭ババや顔なしのように全悪の判別が難しいものも多くいるのです。人間の想像力が精霊たちを生かし、精霊たちに人間が生かされるのは日本ならではと言えるかもしれませんが、西欧でもハローウィンに奇怪な面をつけて練り歩いたり妖精の存在を信じたりと、一神教が行き渡っても今なお万物に宿る神秘的な存在を感じる人々がいるからこそ、この作品は欧米でも多くの人を惹きつけるのだと思います。
[DVD(邦画)] 8点(2020-04-13 02:10:04)
14.  平成狸合戦ぽんぽこ
- [x] この作品は多摩丘陵のお話ですがタヌキは結構適応力があって東京二十三区内どころか山手線の中でも皇居、新宿御苑、明治神宮、護国寺、増上寺などタヌキがいそうな場所を多く思い浮かべることができます。ぞのタヌキたちがどうやって食べているかというとやはり夜な夜な森林地域から出てレストランの残飯を漁ったり残飯を漁るネズミを捕食したりして結構栄養バランスの良い食生活を送っているのではないかと思われます。ただキツネと違って脅かされると気絶したりマヌケな仕草や生態があるらしくそれだけ親しみを感じさせます。作品中のタヌキたちは人間のように直立して環境保全の策を練っている時にはイラストが巧みな人が一筆書きで描くような単純な線でユーモラスに描かれていますが、四国のタヌキたちが戦列に加わってから一目で水木しげるさんの筆だとわかるゴージャスと言いたいほどの精緻な化け物や妖怪がオンパレードで、もしも東京に生息しているタヌキたちが訳が分かって水木しげるさんのイラストを見たらさぞ面映いことだろうと思います。タヌキによる環境保全という主張はありますがタヌキの方がキツネよりもずっと適応力があるのではないかと思わせ、わたしたちをある意味なごませてくれると思います。
[DVD(邦画)] 8点(2020-04-12 08:55:55)
15.  白鳥 《ネタバレ》 
結婚は誰にとってもプライベートな苦しい道のりです。相手を批判したり、自分の包容力に照らして許容したり、短所や長所、価値観などを天秤にかけたり。。。それがこと他人事、特にセレブのことになると外野の声援や批判の喧しいこと! 日本では某なんとかの宮様の娘について噂がやかましいけれど、かの王女様の立派な伯父様(はっきり申し上げてすみません。今上天皇陛下です)が皇后陛下に求婚中だった時には宮内庁職員が運転するワゴン車の後部座席に乗って皇居を脱出して雅子様とデートされたとのことです。その間、「あの皇居から出てきたワゴン車を終え!」などという事態になったら、わたしの想像では当時の皇太子殿下は登山の時に被られる縁なしのチューリップ型登山帽を目深に目のすぐ上にまで下ろし、車が赤信号で停車する度に後部の窓から覗かれても大丈夫なように座席で身を曲げて。。。 外野から見ると「ピッタリなお二人やん。行け行け!」なのですが、お二人にとっては引き返すことができない橋を渡るか渡らないかの瀬戸際で周囲の声を聞くよりは自分の心の声に耳澄ます必要があるのです。本作品のアルバート皇太子はお妃探しでヨーロッパ中を巡り、アレクサンドラの館にたどり着いた時にはすでにアレクサンドラを自分の伴侶で未来の王妃と定めていたらしいのですが、到着と同時にセレブ同士の求婚につきもののコメディーが始まるわけです。アレクサンドラの母の兄か弟が俗人ではなく修道士で皇太子のズッコケの真意を見抜いているらしいのが人物配置として面白いです。終わり近くで修道士が皇太子に「殿下の人格に敬服します。」と言い、皇太子が「加えてわたしは嘘つきでマヌケです。」というところなど、2人がくっついたら領地や屋敷はどうなるなどという俗物の関心が皆無の修道士、そしてアレクサンドラに対する愛情をひた隠しにした嘘つきでアレクサンドラの自分に対する愛情に気づかなかった自分のマヌケさを告白する純粋な人間同士の触れ合いが花火のように目に見えました。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-09 01:45:36)
16.  裸足の伯爵夫人
初期テクニカラー映画に共通な映像美が見られる作品です。でも中身はというと微妙です。のっけからシーンは語り手である劇作家兼映画監督のハリーの回想ナレーションが入る薄幸のヒロインの告別式で次のシーンはスペインのマドリッドの場末の、流しのフラメンコダンサーがギタリストを連れてやってくるようなレストランということになっていますがハリー以下ロケでスペインに滞在しているらしい映画人はタクシード、女優らしい女性はイブニングドレス着用で多編成のバンドが演奏していて結構ゴージャスでした。わたしがスペイン旅行で流しのフラメンコショーを見たのはグラナダの小高い丘陵地にある本当に場末のレストランでマドリッドの高そうなところのレストランには行ったことはありませんが、ほぼ確実にアンダルシアの場末のフラメンコの方が良いと思います。ヒロインのマリアは美しいし英語もできるので権謀術数で自分のダンスを披露する縄張りを確保したのかもしれませんがそれにしても英語が上手過ぎます。平均的スペイン人の英語力は平均的イタリア人よりもずっと下手だという印象があります。インバウンド擦れしてないのです。白亜の像が墓所に捧げられる告別式のシーンと場末(?)のレストランとの対象でマリアが尋常ならぬ人気か名声を博して亡くなったことが示唆されていて以降、鑑賞者はそのアップ・ダウンの経歴を追うように誘導されるのですが、それにしてもスペイン人(もしかしたらジプシー)という設定のマリアの英語はネイティブでハリーとテキパキとやりとりし、運命に翻弄される薄幸の美女からは程遠くアヴァ・はこの役割を知的に演じすぎたきらいがあります。「北京の55日」の中で彼女が演じたロシア貴族の外交官夫人の方がはまっていました。南フランスのリヴィエラ(カンヌやニースがある地方)などの背景は文句なしに綺麗です。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-08 07:28:18)
17.  コッポラの胡蝶の夢 《ネタバレ》 
邦題の「胡蝶の夢」というタイトルよりも「邯鄲の夢」と言うタイトルが相応しいと思える内容ですが、高校の漢文の授業を思い出してもらっては困るのでこのようにしたようです。と言っても正式な邦題も中国の古典である「壮子」、直接的には作品の最後の方でのドミニクと同僚らしい年配者との集いでの会話から来ています。老子と並ぶ道教の思想家である壮子は西欧の芸術家に多大な影響を与えました。わたしが知る限りではメキシコ人ノーベル賞詩人兼哲学者でスペイン語圏に俳句を導入したオクタヴィオ・パスが「胡蝶の夢」というタイトルの詩を書いていたはずですで監督のコッポラも壮子の胡蝶と邯鄲の故事の両方を知らなかったはずはありません。そして中国語の習得に励むドミニクが書いた最後の漢字は「未熟、無知」を表す「蒙」です。それはいいとして、中盤からドミニクがナチスの秘密警察に追われるようになった経緯はよく耳を傾けたのですがわかりませんでした。ストーリーはハンガリーの首都のブダペストで始まり。ドミニクは精神科医の助けで中立国スイスに逃げ、そこで戦後になってヴェロニカと出会うのだと思うのですが、間違っていたらごめんなさい。でも今回2度目となる鑑賞ではそれらはどうでもいいことだとわかっていました。ただ、東欧の良識ある人々にとって、特に第一次世界大戦終結までオーストリアと同じ君主を元首として戴いていた独立国のハンガリーにとって、1939年にオーストリアがナチスソイツに無血併合されたことは悪夢のような出来事だったに違いなく、第二次世界大戦後そのままソビエト連邦の傘下に入ったこともまた然りだったということは記憶に留めないといけません。この作品が制作されたのはベルリンの壁が崩壊して9年後ですが、ナチスドイツとソ連の支配下から脱することができた東欧の人々はこの頃ようやく自分の頬をつねっては「醒めない悪夢はないのね。」と呟き始めたのではないでしょうか? バルカン半島だけは1984年に自由ろ繁栄を謳歌する冬季オリンピックを主催した後で民族抗争の嵐に見舞われ、10年後のオリンピックの開会式で黙祷が捧げられたことを鮮明に記憶しています。醒めない悪夢がないなら醒めない甘い夢もないということなのでしょうか。。。これを書いている現在、わたしが住む街ニューヨークでは伝染病が猛威をふるい、第二次世界大戦後に国際平和の実現のために設立された国連の事務総長が(おそらく)ニューヨークから「人類の敵であるウイルスと戦うために世界中の全ての紛争を停止せよ!」という号令を発しました。戦争の脅威は死と破壊ですが、死と経済衰退という脅威を目下人類に与え続けている伝染病が「醒めない悪夢は本当にないんだね。」とみんなが思えるような形で収束し、全ての人類が地球に生まれて良かったと思えるような思い出とともに人生を全うできるといいです。
[DVD(字幕)] 8点(2020-04-06 04:53:02)
18.  ニュルンベルク軍事裁判〈TVM〉
空襲で焼け野原になったニュールンベルクの、机や椅子などが全て持ち出されて床が塵芥で覆われた裁判所内部でジャクソン検察官の秘書が壁を指して「こんなところモーゼが受け取った十戒のタブレットのレプリカがあるわ!」と叫びます。モーゼが受け取った十戒こそが近代国家が遵守する法治主義の原点なのですが、人類の代表として基本法である十戒を受け取ったユダヤ人を迫害したことでゲーリング以下のナチスドイツの高官らは軍事法廷に立たされて審判を受けるのです。この事実からして、ナチスドイツによるユダヤ人迫害は異端審問と同じ性質のものだったと言えないことはないでしょう。「いや、異端審問は審問であり裁判で刑が確定した。」とおっしゃる方はエドガー・アラン・ポーの「落とし穴と振り子」を読んでいただければ異端決定がいかにいい加減なものだったのかがわかります。そもそもモーゼの出エジプトの起源になったエジプト王による迫害も王の母が叔母がモーゼを我が子のように可愛がったことによる血族間の憎しみに端を発しています。そしてユダヤ人のイエス・キリストに対する憎しみは唯一絶対神の信仰が民族宗教にとどまるべきか世界宗教に発展すべきかという考え方の違いに端を発しているようです。憎悪というものは近しい者同士や知った者同士で一層燃え上がるようですが、ナチスのユダヤ人に対する憎悪は少なくともヒトラーなど上層部では魔女狩りと同じで不寛容から発するヒステリーだったように思えてなりません。だとするとそれは戦時ヒステリーか不況によって引き起こされたヒステリーであって今の世の中で近代的な法治主義を採用する国家ではありえないと思いたいです。  中盤でゲーリングと心理学者として従軍したイギリス人将校との間で「ユダヤ人を大量に殺したのは罪だ、」「連合国だって広島と長崎で罪もない市民を大量に殺したじゃないか」「彼ら犠牲者は連合国の市民ではなかったがナチスドイツが殺したのは自国の市民だった。」という会話がなされ、ここではイギリス人将校が明らかに守勢立たされています。日本人としてはよくぞ言ってくれたというところですが、東京裁判の結果死刑を宣告された日本人の中で同様のことを主張した人はいたのでしょうか。。。おそらくいなかったと思います。わたしは靖国参拝したことはありませんが、せめて東京裁判で文明を被告とすることや勝者が敗者裁くことの理不尽さを指摘したインド人裁判官ハル氏の考え方を理解してから靖国参拝したいと思っています。
[DVD(字幕)] 10点(2020-04-04 02:26:38)
19.  日本のいちばん長い日(1967)
最初図書館でDVDを借りて見た後でアナログ経由の劣化コピーで何度見たかわかりません。終戦前日正確に言うと玉音放送が放送されるまでの二十四時間に政府内部で起きた政変にも近いような天皇人質のに取った政争劇がそれほど強烈だったのです。対立の構図は戦争継続を絶対に望まない天皇と本土決戦を望む軍部、とりわけ陸軍の若手将校たち、そしてその間で立場決めかねた総理大臣以下の閣僚たちでした。閣僚の中でも真珠湾攻撃の直前まで開戦反対していた海軍の長である米内海軍相は早い段階から本土決戦に反対し、陸軍相阿南は血気はやる若手将校らの意気を理解し、また陸軍内でのクーデターを恐れたのか内部的には懐柔策を取り、閣僚会議や御前会議では強硬論を唱えます。しかしやはり決定的だったのは昭和天皇の強いいしでした。  「四方の海 みなはらからと 思う世に など波風の たちさわぐらん」と開戦決定がなされた御前会議で天皇は明治天皇御製の短歌を朗詠して戦争に対して精一杯の抗議をなさいました。この時点で昭和天皇は明確に抗議しよう思えばできたはずでしたが、また明日に抗議すれば聞き入れられないことも十分に承知しておられたはずです。この時に天皇の頭をよぎったのは維新の元勲の山県有朋と仲違いして一説には暗殺されたとされる父の大正天皇のことだったかもしれません。昭和天皇はご自分が万能ではないことも議会制民主義の枠組みだけは成立している日本で自分がしゃしゃり出ることは適当ではないこともご存知でした。昭和天皇は開戦時に「とにかく生きよう。父大正天皇の轍は踏むまい。」と思われたのではなかったでしょうか? そして広島長崎の原爆投下ソ連の宣戦布告後の御前会議で全て状況が日本にとって不利であるとの閣僚からの報告の後で天皇の意志は強固でした。「日本国民を生かすためには無条件降伏やむなし。」と思われ、また「自分はそのために生きてきたのだ。」思われたかもしれません。そして宮殿の一室での玉音放送録音後、ご寝所に入られた後で天皇は皇居を占拠した陸軍将校たちの実質的な人質となるのですが、天皇はご寝所の周囲じ止まった忠実な侍従らに守られて熟睡されたのではないでしょうか。  終戦後、昭和天皇はマッカーサー元帥に対面されて自分は戦争責任を追求されて縛り首になってお構わないおっしゃったそうですがマッカーサーは天皇の紳士的な人柄に惚れ込んで天皇の戦争責任は追求しませんでした。昭和天皇の長い在位期間中に日本は復興を遂げ経済成長を果たして国民総生産世界2位の国家になりました。昭和天皇はご自分が終戦の時に果たした役割に満足し、さぞかし長生きをしてよかった思われたことでしょう。
[DVD(邦画)] 10点(2020-04-01 13:56:16)(良:1票)
20.  十戒(1956)
むかしむかしあるところに… ヘブライ人という人々が住んでいました…。とお話を始めるのが本来なら適当かと思います。本作品はエジプトナイル川のほとりで「ファラオ(王)がわたし達ヘブライ人の男の子を皆殺しにする命令を出したけれどこの子だけは。。。」と母と娘が生まれたばかりの男の子(後のモーゼ)をバスケットに入れて川に流すシーンから始まります。ヘブライ人(ユダヤ人)はナイル川の恩恵で生産性が上がったエジプトに労働力として移住してきたようですが、この民族は他民族と異なり、原始多神教ではなく唯一絶対神を信仰し、後年世界宗教となるキリスト教とイスラム教の間接的な始祖、ひいては法律や科学の基礎を築く民族になるのです。さて、お話しはほとんど終盤までユル・ブリンナー演じるファラオがこれでもかこれでもか、と言わんばかりにモーゼとヘブライ人を弾圧する内容に終始しますが、その過程でモーゼの杖が毒蛇に変わったり、モーゼが神の声に導かれたり等々、それはモーゼとヘブライ人達が「そうだ。われわれは神に選ばれている。われわれは世界の創造者たる唯一絶対神を敬う民なのだ!」と民族の自覚を獲得していく過程なのです。そして最後近くで神からの十ヶ条の戒めを与えられたモーゼが「規則なくして自由はない!」と宣言しますが、これこそ現在、宗教を問わず国家の基本となっている法治主義の起源なのです。数々の奇跡のスペクタクルが目を楽しませてくれる作品ですが、現在先進国に住むわたし達が当然と受け取っている考え方の源流を探ってみると面白いです。
[DVD(字幕)] 8点(2020-03-29 01:17:12)(良:2票)
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