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王の七つの森さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 188
性別 男性
自己紹介 ・・・・最初に投稿してから4年近くたとうとしています。
これからも、細々とでも投稿してゆきたいと思っています。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ノー・マンズ・ランド(2001) 《ネタバレ》 
映画音楽が全く使用されていません。・・・・映画音楽とは何なのだろう、と考えさせられました。・・・・・地雷をセットされた兵士は、旧ユーゴを象徴させているのでしょう。「解決できない」「動いたら爆発する」というのは、旧ユーゴの民族対立でした。ラストで横たわった兵士は旧ユーゴの地図に重なります。・・・・地雷は本当に外せないわけではないでしょう。もしそんな状態なら、一連の動きの中で爆発しているはずです・・・・・最後のセリフが強烈でした。国連軍司令官「夜に塹壕に相手が進出する予定だと伝えろ」→当然、両軍とも夜になれば塹壕を激しく砲撃するでしょう。国連軍司令官は、そうやって、地雷兵士を抹殺し、証拠の隠滅をはかっていました。・・・・レポーター「塹壕の中には何もない」→世界の旧ユーゴへの無関心を象徴させていました。・・・・・争っていた二人は、セルビア人とクロアチア人なのでしょう。セルビア語とクロアチア語は、ほとんど同じで意思疎通が可能といわれていますから。・・・国連司令官がTシャツで出てくるのは、秘書との情事の後だからでしょう。ハリウッド映画だと、そういう乳繰りあうシーンを入れるのかもしれませんが、この映画には、そんなサービス精神はありません。・・・・・・全体として、良くできた大人の映画でした。ただ、これが映画として面白いのか、と考えると、どうかなー、と思えるので、1点減点です。(旧ユーゴ紛争のおおよその図式がわかっていても退屈なので、そんな10年以上も前の出来事に係わっている暇のない現代の若者には、もっと退屈な映画ではないだろうか、と思います)
[DVD(字幕)] 9点(2012-05-20 00:07:28)
2.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
イーストウッドの作品はこれまであまり好きではなかったけど、この作品は、ほんとうに凄い作品だと思いました。・・・・主要なテーマは、人生を終えるに際しての赦しのこと、遺すもの。・・・・赦し、贖罪の問題は、非キリスト教徒である私たちにはわかりにくいのですが、イーストウッドは、朝鮮戦争での自分の行為について、どうしたら赦され解放されるのかをずっと悩んできているわけです。彼が問うているのは、教会で制度を通じて与えられる形式的な赦しではなく、真の赦し。・・・・それは最後に果たされました。このシーンは、十字架上のイエスとイーストウッドが重なり合います。・・・・・遺したのはグラントリノ。そしてそれは家族の枠を越え、自分の意思を継ぎうるものに渡されます。・・・・・・それにしても指で拳銃を模すシーンが何度も登場します。イーストウッドが何本も撮ってきた西部劇の数々のシーンを想起させると同時に、この映画の最後のシーンの伏線にもなっています。なんという重層性でしょうか。・・・・・あと何十年か経過したら、ミスティックリバーの方が高い評価を受けているかもしれませんが、イーストウッドの作品を同時代のものとして見てきた私たちにとっては、この作品こそ、彼の最高傑作だろうと思えのるです。
[DVD(字幕)] 10点(2010-05-26 21:56:26)
3.  K-20 怪人二十面相・伝 《ネタバレ》 
最初の20分くらいは楽しめましたが、あとは、ひたすら退屈でした。------- そして、希望を捨てちゃいけないよ、と熱く語っていた、結核とおぼしき南部先生は、どうなったのだろう、団員たちはどうなったのだろう、とずっと気にかかりました。 ---- 要するに、思いつきと、奇抜さを狙ったイメージの寄せ集めの映画で、しかも、そうしたイメージが、宮崎アニメをはじめとして、みなどこかで見たようなものなのだ。 ----- 金城と松は、ルパンとクラリスのようだし、國村も手塚以来の技術者イメージを踏襲しているし、 ------ 最後のシーンなど、おいおいおい、バットマンかよっ、ということで。 ------ ただ仲村トオルは良かったかもしれない。 ----- 一番、許せなかったのは、最後にビルが崩れるシーン。もし9.11のWTCビル倒壊のシーンを意識して作成したのであれば、倫理的に許されないし、もし知らずに作っているのであれば、基本的情報力の不足を指弾されるべきです。  
[DVD(邦画)] 2点(2009-10-21 09:29:40)
4.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
子どもが死ぬまでは、非常に退屈な映画です。そこまで30分、危うく途中放棄するところでした。・・・・この映画、男性の見る目と、女性の感想とでは、もしかしたら、かなり違うのかもしれない。というのも木村多江の感情の動きが、確かに、こういうのはあるだろうけど、自然なものには思えないから。・・・・・ということで、リリーフランキーにしてみると、仕事は最低、自分の態度も最低、奥さんも最低、奥さんの母親も薬事法違反の行為で金を稼いで最低、奥さんの兄も殆どヤクザで最低、兄の嫁も最低、法廷画家の仕事も最低の内容、そしてこうした犯罪者も最低なら、それを生み出す社会も最低。・・・こんな最低の周囲に対して、どう接したらよいのだろう。木村多江は、最低の部下に対して、結局自分が破壊され、仕事を辞めた。フランキーの父は、自殺した。・・・・この映画、そうした態度を「逃げる」と表現し、逃げてはならない、と説く。最低の周囲環境から逃げることなく、無理に戦わず、適切な関係を取って生きて行けば、木村多江の失踪した親父のように、最後にこの上のない微笑みを保つことができるのでしょう。拒否するのでもなく、かといって、全面的に受け入れるのでもなく、最低な周囲の存在を承認するけど、自分はそれに染まるわけではない。・・・・それにしても、こんな大人の日本映画があり得たのだ、とびっくりしました。
[DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 23:32:19)(良:2票)
5.  おくりびと 《ネタバレ》 
それほど時間のたつのを気にせずに最後まで見ることができたので、それなりに面白い映画でした。だけど、このテーマなら、演出の創意次第で、もっと味わい深いものになり得たのではないだろうか。・・・・例えば、本木は親父のために30万円の一番高価な棺を選んでいるのだけど、父親を拒絶していた本木がどうしてそれを直ぐに選ぶことになったのかわからない。・・・・一番気にかかるのは、干し柿、クリスマスの鳥、白子など、食べているものが美味しそうに見えないこと。これらの食べ物は、生きるもの、現世の象徴の意味も込めているのだろうから、もっと豊かで、美味しそうでなければならないと思う。・・・どうしてあの干し柿は、あんなにまずそうに食べるのだろう。・・・・それに笹野はどうして突然、火葬場の職員なのだろうか。伏線もなく、唐突で、必然性が感じられない。・・・・そう考えると、解散を告げられた団員の反応も不自然だし、父の引き取りを巡って事務員の懇願に本木が突然、激高するのもあまりにありきたりだし、、・・・。とはいえ、山崎努がいいですね。吉行和子の手のしわがリアルでした。それと峰岸徹の役者根性みたいなものにも、おおっ、とうならされます。彼は、この作品をみんなが見る頃には、自分はもうこの世にはいないと達観していたのかもしれません。
[DVD(邦画)] 5点(2009-03-24 00:31:56)(良:2票)
6.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 
冒頭、土合の駅の484段の階段を、堤真一が、一歩、一歩、ゆっくりと登るわけですが、これは彼の60余年の人生の歩みを象徴するだけでなく、事故で死んだ520余人の一つ一つの命と重ね合わせているわけです。そこに静かにピアノのテーマ曲が流れて、なんだか、御巣鷹の尾根の慰霊碑にまずは手を合わせてから映画が始まる印象でした。・・・・・原作などは未読ですが、映画でのテーマは、「決断」、つまり100%の確証が得られないスクープを載せるのか、断念するのかの決断に設定されているように思います。もし掲載を決断していれば、これは記者たちのスカッとした英雄譚になるわけですが、堤が載せないことを決断するために、本当の勇気とは何か、というような、なんか渋い話しになります。ただ、最後のテロップが存在することで、堤の決断も、一つのあり得る決断だったのだなという臨場感が伝わります。・・・・・・ニュージーランドのシーンは余計なシーンには見えるけど、人間、最後は仕事を離れて一個人として生きなければならないのだから、納得できないことはありません。・・・・とにかく、新聞社の中の、人と人とのぶつかり合い、そしてそれぞれの言い分が説得的で、非常に面白い。原田監督という人は、娯楽性を保ちつつ、考えさせる映画を作るのが上手です。
[DVD(邦画)] 10点(2009-03-11 22:43:44)
7.  スカイ・クロラ The Sky Crawlers 《ネタバレ》 
人は記憶と意識によって定義される。身体がなくなっても、記憶と意識が残れば、その人は生きているのだし、逆に、身体は全く健全でも、記憶と意識が別のものになってしまえば、それは別の人だ。そして、その記憶と意識が数十年という限界を持っていると意識するとき、それを愛おしく思う強い気持ちが生じる。「ブレードランナー」のレプリカントは、その有限性をさらに圧縮された存在であった。その生き様からは、短縮された生の輝きが強烈に伝わる。・・・・・「キルドレ」は逆に、その生の有限性から解放された存在だ。永遠の生を与えられた彼らの日々の生活は、当然、惰性となり、輝きを失う。だから、彼らは戦闘での死を敢えて選ぶ勇気を持とうとする。その時、日々の生活は輝きを取り戻すのだ。空でティーチャーに遭遇したとき、彼らが必ずそれに挑むのは、生の充実を求める衝動に突き動かされてのことに違いない。・・・・と解釈できるかなと思うけど、この映画を見て、死を選んだ函南から、生の輝きは伝わるだろうか。むしろ僕には、押井は、この作品を通じてを死を弄んだだけのように思われた。・・・・それにしても、「こども」「大人になる」「kill father」とか、後半は、ヱヴァンゲリヲンを見ているようだった。・・・・子どもは煙草を吸ってはいけない。(こんなに煙草を美味しそうに吸うシーンが何度も、何度も出てくる映像は、反社会的である。10年前に苦労してやめた煙草をまた吸いたくなってしまったではないか。)
[DVD(邦画)] 4点(2009-03-01 16:10:32)
8.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
ある作家の高評価もあって、期待度が高すぎたせいもあるのかこの点になりました。・・・1. アクション・シーンは、この手のハリウッド映画に一般的水準です。ダイハードや、スピードや、ターミネーターを越えるものがこの映画にあるのか、と尋ねられたら、残念ながら、ない、と答えざるをえません。・・2. ジョーカー、マフィア、ラウの関係が、極めて不鮮明だし、全体として、話しの展開に脈絡がなさ過ぎ。・・・3. 札束を燃やすシーンも想像力が欠けているように思えます。ジョーカーが金銭に拘らない悪であれば、例えばゴッホとかダヴィンチとかの絵を燃やして見せれば良いのです。このキャッシュレスの時代に、巨大な札束の山を燃やしたって、中は燃え残るし、社会的にはまた印刷すればよいだけです。・・ 4. ジョーカーは、ずいぶんと手下をもち、組織を作っています。でないと、例えば、銀行強盗の後のスクールバスの行列や、警察組織への浸透や、情報収集や、あるいは病院や船に爆薬を仕掛けることも、人質にマスクをさせて偽装することも不可能です。もしそうした組織を持たないなら、リアリティがゼロのものになってしまう。そして組織があるならば、ジョーカーには、狂気というよりも、理性的な組織者しか感じらなくなってしまう。・・・突き抜けた狂気を感じさせるのは、例えば「ブラックレイン」の松田優作かなんかじゃないでしょうか。あるいはアンソニーホプキンスとか。・・・・説得力を持たせるには、ジョーカーをある種の神として描く必要があるのだけど、それにしては、登場しすぎだし、演技しすぎ。・・・・5. 光と闇というのも、ゾロアスター、マニ的伝統なのだろうけど、説得力を持って展開されていない。・・・全体として退屈な作品でした。
[DVD(字幕)] 3点(2008-12-12 00:33:26)(良:2票)
9.  今宵、フィッツジェラルド劇場で 《ネタバレ》 
こういう映画を面白いと思えるのは、おそらく、ある年齢以上ではないだろうか。僕も、もし20歳前後だったら、面白くも何ともない、と思うだろう。ただの老人たちのおしゃべりと、カントリーソングと、そんなのしか出てこないのだから。・・・・・それに映画の構成としては、別に舞台裏で老人が死ぬ必然性はないと思うし、新所有者の代理人が飛行場での帰りがけに事故死する必要もなく、なんだか、しっくり来ない展開がずいぶん多い。・・・・・さらに、天使役の役どころ、演技など、違和感がたっぷりとある。・・・・・それでも、良き古きアメリカを体現しているような雰囲気がいいですね。
[DVD(字幕)] 8点(2008-07-14 23:16:55)
10.  “アイデンティティー” 《ネタバレ》 
消費としての映画の典型です。・・・・90分それなりに楽しめれば、後に何も残らなくて良い、しょせん、映画なんてそんなものだ、という割り切りがあるのでしょう。後で振り返って考えてみると、すっきりしない展開が多いのですが、製作者は、後で考える必要なんてない、その時、はらはらどきどきすれば良いのだ、と答えるに違いない。・・・・まあ、そういうのも、映画の一つのあり方だから、それはそれで良いのですが、この映画は、実は、後に、乖離性同一性障害に対しての偏見を確実に植え付けてゆくのです。乖離性同一性障害=重大凶悪犯罪、というような、極めて一面的な先入観です。・・・・・こういう風にして、アメリカでは、娯楽映画を通じて、様々な偏見、先入観が植え付けられて行くのかもしれません。そういう点では、最低の映画の部類に属していると思いました。
[DVD(字幕)] 3点(2008-04-16 12:34:15)(良:2票)
11.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 
一見したところ「善き人のためのソナタ」という題名の方がぴったりと来る印象なのに、原題はどうして「他者の人生」なのだろう。それを少し考えてみると、この映画をより深く味わうことができるように思います。・・・・・大尉はどうして変わったのか。・・・大臣とクリスタとの関係を、呼び鈴を操作して故意にドライマンに知らせたのは大尉でした。大尉は、ドライマンとクリスタとの関係が破壊され、ラズロ作戦の目的がより容易に達成されると判断したからでしょう。しかし、二人の愛は逆に深まってしまう。[・・この二人の孤独な魂がふれあうようなシーンは実に素晴らしい]・・大尉は自分と違う世界に突然に遭遇して混乱する。ベッドに手を当て、その世界が何であったのかを理解しようとする。・・・・そして少なくとも、その愛の行方を見届けたいという気持ちに強くひかれてしまう。・・・・酒場でクリスタは大尉にいいます。「guter mensch善い人ね」、・・・・他者の人生に接し、それを赦し、理解しようとすること、そしてそれが自分を変えることになるのなら、甘んじてそれを受けること、それが善きことの本質なのだ、と映画は語っていると思いました。つまり、旧東ドイツのシュタージを直接のテーマとしていながら、この映画はそれを越えた普遍的な事柄に迫っています。・・・・・・それにしても映像の美しいこと。また例えば大尉の報告書のインクリボンの跡など、細かな映像上の仕掛けなど、隅々まで素晴らしくできあがっていると感嘆しました。
[DVD(字幕)] 10点(2008-01-29 12:28:02)(良:3票)
12.  ツォツィ 《ネタバレ》 
ストーリーの展開としては、平気で殺人を犯してしまう主人公が、赤ん坊を車の中に置き去りにしなかった理由がわからない。・・・・全体として強いて解釈すれば、どんな犯罪者にも悪と善とが心中に混在していて、何かのきっかけで、善なるものに目覚めるということなのだろうか。・・・・だけど、これだけの貧富の差、不平等を放置しておいて、赤ん坊の無垢さだけを頼りに、乱れた秩序に平安をもたらしましょう、というのはあまりに安易なような、、、、。極めて治安の悪いヨハネスブルクと言うけど、この映画の牧歌的な雰囲気を見ていると、救いが必要なのは、むしろ先進国の都市の方なのかもしれないと思えてくる。・・・・暴力、犯罪を描いているはずなのに、出てくるのは善人っぽい人ばかりだし、、、、主人公は、無垢な赤ん坊によって善なる心を育むけど、日本では、幼児虐待が増加しつつあるわけです。・・・・・・・・音楽といい、ストーリー展開といい、なんだか高校生や大学生がつくったフィルムを見ているような気がしました。
[DVD(字幕)] 5点(2008-01-23 22:58:36)
13.  太陽(2005)
前半部分は、特に敗戦の御前会議と思われる会議が「?」です。・・・阿南陸将はどうして軍服を着ていないのだろう。天皇が「四方の海」と明治天皇の歌を詠むのは、開戦の時の御前会議で、敗戦の時の会議ではなかったはず。・・・・外国の映画だから、仕方がないといえばそれまでだけど、日本的環境では確認されている事実が、ないがしろにされてしまうと、事実は事実として扱ってね、と思ってしまう。・・・・・・とはいえ、特にマッカーサーとの対面や、会食のあたりが興味深い。昭和天皇とはこういう人だ、と決めつけるのでなく、子供じみた部分、科学者的側面、責任感、プライド、外交的能力などなど、昭和天皇の多面的な部分を、イッセー尾形が実に良く表現している。そして実際の人間や出来事というのは、そのように多面的なものなのだから、イッセー尾形を見ていると、一つに決まらないもどかしさがある一方で、現実性、リアリティを感じることができるのだ。そして占領期の日本について考えるきっかけを与えてくれる点でも貴重な作品といえる。・・・・・・とはいえ、天皇制の宗教性など、文化的な事柄を考えるには、全く掘り下げられていないと感じました。
[DVD(字幕)] 7点(2008-01-04 23:31:04)
14.  武士の一分 《ネタバレ》 
役者さんの演技は皆さん一生懸命できていて気持ちのよいものです。・・・・・とはいえ全体としてのまとまりは欠け、個々の展開も説得力がなく、しかも退屈だし、惨めな作品でした。面白くも何ともない。・・・・例えば、最後の鳥かごのところとか、・・・一羽死んで、残りを自由にして、かごを焼いて、直ぐに奥さん帰ってきて、新しいかごを買わせようとして、あまりにあわただしくとってつけたような展開では、象徴的な意味を味わうゆとりなどありません。・・・或いは、決闘のシーンにしてもどうして脇差しをおとりに捨てるのか、どうして屋根からの攻撃をかわすことができたのかなどに説得力を欠いています。・・・また、木村側にも、坂東側にも「武士の一分」があったわけですが、それが考えさせるものとして殆ど提示されていない。・・・・一連の山田時代劇で描かれる男女の感情、行動様式は、昭和期のそれであり、江戸期のものとはとても思えません。一時代前の感情や行動様式を、相当に古い時代に投影して描かれても、なんの想像力も刺激されないというか、そんなところです。
[DVD(邦画)] 2点(2008-01-01 21:19:31)
15.  21グラム 《ネタバレ》 
テーマは、許し、癒し、であり、ショーン・ベンは21g分、現代のイエスなのでしょう。・・・・・つまりナオミ・ワッツは、夫と子どもを奪われ、ジャックに対して激しい怒りにとらわれている。ジャックもひき逃げの事件以来、神への不信、この世への絶望にとらわれている。・・・・しかしショーンベンが自らの命を捧げる=キリストの自己犠牲、により、ナオミワッツは怒りから解放され、ジャックも人生に肯定的に臨めるようになる。そして、病院のロビーで二人は、感情をぶつけ合うことなく、同じ空間と時間を分かち合っていることをかみしめるわけです。・・・・・ジャックは人生に肯定的になって家に帰り、ナオミワッツも生まれてくる子どもを楽しみに待つことができた。・・・・そういう最後の数分の、前向きさ、人生への肯定の部分がなんともいえず素晴らしい。・・・・・またショーンベンはイエスの役回りだと考えられますが、現代のイエスは唯一の存在ではなく、私たち一人一人が、21g分だけ、そのようにな神性を必ず分け持っている。私たちは、自らを捧げ21g分の神性を実現することで、ささやかであっても周囲の大切な人達の心の平安をもたらすことができるのです。・・・・・ただ、この細切れ、バラバラカットは、映画に娯楽性を持たせる意図としても、これではやりすぎで、映画の良さをかなり損ねていると思います。前半の方の幾つかのカットは、文脈、意味がわからないために、記憶から直ぐに脱落してしまうからです。最後の数分を見て、高く評価したい気持ちになりましたが、それまでは自己満、くそ映画に思えました。・・・・しかしナオミワッツの演技は素晴らしかった。
[DVD(字幕)] 8点(2007-12-19 22:28:17)
16.  バベル 《ネタバレ》 
テーマは、人間の愚かさ、なのでしょう。そしてその愚かさを、悲しく抱きしめつつ、人は家族の絆を確かめることになる。役所は娘の手を握り、ベビーシッターは息子と抱き合う。・・・・・[モロッコ]//バスに向けて打ったりしなければ・・・///兄弟は言い争い、関係のない姉のことも暴露してしまう///弟は警官に向けて発砲などしなければ兄が死ぬことなどなかった。[ブラピ夫婦]母は、ずっと子どもの世話を殆どベビーシッター任せ、そうして夫婦は仲違いしている・・・観光客とは無意味なつかみ合い、その結果、バスは発車。[ベビーシッターと親戚の男]息子の披露宴で、昔の恋人と、、、//あわてて帰ろうとして、酒気帯びで国境越え//検問所を強行に突破//ライトを消してじっとしていれば良いものを、ライトをつけて逃走をはかり、あげくは砂漠の中に女子どもを置き去り//置き去りにされてじっとしていればよいものを、歩きまくって体力を消耗、あげくは子どもを置き去り・・・・最後は不法入国で強制送還されて米国での全てを失う・・・・・[役所]そして発端のライフルは、役所が善意で送ったものではなく、妻の自殺の道具を自分で処分できずに放棄したものであった。・・・・・全ての人が善意なのだけど、あまりに愚か。そしてバベルの塔の崩壊の後、人の言葉は多様になっても、その愚かさは地球をまわって連鎖している。[菊地]彼女は現代文明でのdiscommunicationの象徴なのでしょう。動物化が進むポストモダンでは、人は理性的な言葉で意思の疎通を果たせず、体でコミュニケーションするしかないわけです。・・・・・・・というようなことが美しい映像と、巧みな展開、映像とマッチした音楽によって紡がれていました。最後に家族の絆を持ってきて、息子たちへの言葉を記すところが、チョー気にくわないところですが、素晴らしい映画でした。
[DVD(字幕)] 10点(2007-12-12 09:50:43)(良:4票)
17.  父と暮せば
重たいテーマ(戦争や原爆)を真面目に扱えば、必ず良い映画になるとは限らないし、時間をかけて一生懸命に努力して演じれば、心を動かす演技になるとは限らない、ということではないでしょうか。・・・・・要するに、皆さんもおっしゃっていることですが、これは映画でなく、舞台劇のままではないですか。劇中劇にするとか、セットに工夫を持たせるとか、逆にカメラを固定するとか、、、、、。セットや小道具は舞台のまま、カメラだけ上からとったり、移動させたりして映画っぽくするから、なんだかちぐはぐです。これだったら、実際の舞台の録画を見ている方が伝わってくるものがある。舞台と殆ど同じ脚本で、映画ならではの工夫がなく、舞台を越えられないのだったら、映画にする必要はないし、見る意味もないのではないでしょうか。・・・・・広島からは60年以上が経過しようとしています。その実際の記憶が残っている人は70歳以上になろうとしていて、あと20年もすると、語り伝える人もいなくなります。広島をどのように語り継いでゆくのかも転機を迎えようとしているのでしょう。もっと想像力のある語りが必要だと思いました。・・・・・・・あと、宮沢りえは、もっと、もっと輝くことができるいい役者なのに、じじいたちが自分たちの古い女性像を押しつけて、どんどん駄目にしていっているようにも思います。
[DVD(邦画)] 3点(2007-12-10 10:35:32)
18.  フラガール 《ネタバレ》 
テーマ自体が非常に興味深いのですが、脚本がそれに見合っていないという印象でした。・・・・・典型的なのは、駅のホームで松雪を呼び止めようとするダンスのシーン。ゆったりとした美しい踊りです。前半の方で松雪に仕草の意味を解説させています。見る方は、それを曖昧ではあっても覚えている筈で、その空間と映像を楽しもうとしていると、車中の松雪に仕草の意味を語らせてしまう。するとその空間と映像は言葉によって破壊されてしまう。・・・・・・最大の問題は、リズム感のある踊りとゆったりとした踊りとのバランスが配慮されていないことかもしれません。だから全編を通じて、フラダンスが魅力的なものに感じ取れない。後半で富司純子が見る蒼井の踊りも、「花とアリス」での踊りと較べると美しくもなんともない・・・・・また、色々な要素、サービスを入れ込みすぎで、全体としての調和、統一に欠けている印象も強いです。・・・富司純子は浮いちゃっていますね。どうしてストーブを集め始めるのかもわかりにくい。また会場の木陰に隠れてステージを見るシーンは漫画です。・・・・それに寺島進の役どころもなんだかわかりにくい。後半の橋の上のシーンもどういう意図なのでしょう。・・・・・・・・興味深いテーマなのに、奥深さのない映画でした。
[DVD(邦画)] 7点(2007-12-04 12:19:10)
19.  300 <スリーハンドレッド>
これを映画といって良いのだろうか。・・・・なんていったら、映画の概念を覆す革命的な作品だといって褒めることらになってしまうかもしれません。・・・・おじさんになると、こういうのを楽しむ精力はもはやありません。・・・・・・重装歩兵の戦いぶりを見せてくれるかと思ったら、最初だけだったし、、、カルタゴの軍隊のように象が出てきたり、蒙古軍のように火薬を使ったり、イスラームのような装束だったり、、、評議会の風情はローマそのものだし、あげくは能面をかぶった二刀流の忍者が出てきたり、、、、、ラストの倒れたレオニダスは十字架のキリストのイメージだし、、、、、音楽はどっかで聴いたたことがあるような定番で、、、、、自由だの、家族だの、自己犠牲だのアメリカ的な価値を叫びまくり、、、、、血しぶきだとかは大昔の黒澤流なだけで、、、、、間道を教えて裏切るキャラはロードオブザリングそのままだし、、、、、アメリカ映画に想像力が殆ど枯渇している現状を象徴しているような作品でした。
[DVD(字幕)] 2点(2007-12-02 03:43:40)(良:1票)
20.  カポーティ 《ネタバレ》 
絵は綺麗です。音楽も静かなピアノが絵とマッチして素敵です。主演男優賞の演技も見事です。・・・・・ただ、『冷血』についてのある程度の予備情報がないと、特に最初の部分の断片的な展開など、理解に苦しむと思われます。・・・・・更に、この映画は、何について表現したかったのだろうか、と見終えて、思いました。カポーティが事件に接したアンヴィバレントな態度なのだろうか。(→犯人に示した共鳴敵部分と、作品完成のために犯人の処刑を待つような部分との矛盾など)・・・・例えば「アラバマ物語」に対してカポーティが示す無関心は、彼がヒューマニストで無いことをアピールしています。・・・・だけど、猟奇的な事件だから取材を開始した最初から、そんなこと自明なことではないだろうか。・・・・・僕は、カポーティは、事件と深く関わるうちに、想像から仮設されるフィクションよりも、現実の出来事の方が圧倒的に劇的であることに心を奪われていったのではないかと思う。そして作品を完成させた後、これよりも劇的な作品をどうやって創作できるかに腐心し、もがいていったのではないかと思う。だとすると、処刑直前の犯人と面接するカポーティはああいう乱れ方にはならないんじゃないの、と思うし、処刑に立ち会ったカポーティは、そのある種の劇的さにエクスタシーを感じたに違いないと思う。・・・・・処刑直前の犯人たちの演技が、表情とか平板でした。
[DVD(字幕)] 8点(2007-10-14 10:11:26)
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