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1.  グレイテスト・ゲーム 《ネタバレ》 
実在の伝説アマチュアゴルフプレーヤー、フランシス・ウイメットが1913年の全米オープンゴルフで起こした奇跡を描く。この映画を観るまでウイメットの名を知らなかったが、奇跡までの険しい道のりを丹念に描き、さらに全米での戦いぶりは緊張感が伝わるなかなかの表現力。名バイプレーヤーのビル・パクストンがメガホンを取った事も驚きだが、十分に感動できる高レベルな作品になっていることがうれしくなってしまう。イーストウッド、レッドフォードクラスではないにしろ、ハロルド・ライミスなど俳優だけではなく監督でもいい作品が作れる才能、映画そのものを愛している映画人の層の厚さを痛感する。「コンスタンティン」「トランスフォーマー」のシア・ラブーフが主人公を熱演している。今でこそゴルフは一般的だが、当時は上流階級のスポーツ、イギリス勢が常に優勝、アマチュアは勝てない、などの常識を覆す活躍が気持ちいい。見所は、全米オープン初日、キャディを頼んだ親友が来られず、その弟エディ(わずか10歳!)が代役として活躍するところ。かわいくて、情熱があって、おまけに「バガーヴァンス~」クラスの最高の助言をくれるのだ。いくら実話とはいえ、実際の会話が映画の通りではないかも知れない。しかし弱冠20歳の青年が幼きキャディとともに天才プロゴルファーらに競り勝ったのは事実。その偉業を考えると、10歳のキャディが単なるクラブ運びではなく、タイムリーな助言や緊張感をほぐす何かがあったのは間違いない。数日間の競技を勝ち抜くのは運だけでも技術だけでも成り立たない。この作品はその事実を感じることができる、素敵な題材選びと的確な表現力、まじめにいい映画だ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-02-16 20:44:28)
2.  キャスト・アウェイ 《ネタバレ》 
前半の決死のサバイバル、ケリーに会いたいの一心で耐え忍んだ努力をしっかり見せていたにもかかわらず、「覆水盆に返らず」だと悟って「次に進め」はいくら何でも骨折り損だ。もちろん世の中すべてうまくいくわけがないが、映画だけでも希望を見出したいよ、この手の作品は。 生還を知ったケリーに旦那だけでなく子供が映り込む瞬間に、常識人だった主人公の行動は決定された。 あっさり4年もワープした進展具合が、ここにきて意味が出る。1年であれば、実は彼の子供でしたというハッピーエンドが用意(しかも再会したときは、主人公はすでにほかの男性と結婚して子供もいる、という勘違い描写付き)で、お決まりのハッピーエンド。 しかし本作はそれを封じるためにも4年後の設定。こうなると、さて、この男は観客の予想を裏切ってどんな行動をとるのかに絞られるが、結局は常識人で終了。ってことは何を言いたいの?となる。 俳優人トム・ハンクスだけはやりがいはあっただろう。普通の映画ならサバイバルのみか生還の苦悩どちらかだけが、両方演じられるのだから。 さらに、生還後をそれなりに尺を使って旦那を登場させたり、ケリーと会話させたりすることで、妙な雑念もわいてくる。 ケリーはいつから歯科医と親密になったのか?恋人の担当歯科医がどのようにしてケリーと知り合い心の隙間を埋めるようになったのか?彼女は目標をいったん取りやめていたと語っているが、歯科医の妻として不満なく生活しているのは明らかだ。そう考えると、主人公をそこまで愛していなかったのでは?なんて邪推も生まれてくる。 飛行機墜落から生還した男が、だれからも必要とされなかった、という流れには感動という言葉は与えられない。 ただ、ショーシャンク~作品の系譜と似ていることを考えると、キリスト教の精神が垣間見える。それで納得するしかない。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2022-03-06 09:13:43)
3.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
1作目のEPIⅣはとにかく光り輝いていた。冒頭のいきなり「EPISOPDE Ⅳ」にとてもわくわくした記憶がある。当時最新のSFXを導入しスペースオペラとはこういうものか、と満喫した。そして28年目にしての本作。EPIⅠとⅡの「そもそも話」からいよいよEPIⅣへの橋渡しという最も重要な作品だ。否が応でも期待してしまう。そして…鑑賞。「これはひどい…」が最初に出た言葉だった。キャラが破綻しEPIⅣとつながらないのだ。あれほど神格化されていたジェダイは、人の心を見通せない(ゆがみ始めたアナキンを放置)超能力集団であり、アミダラを守りたいアナキンはまさに本末転倒!彼女に暴力を振るい、そしてまんまとダークサイドへ。カセのつけ方が不十分なおかげでダメダメ集団のつまらない抗争を見させられた印象だ。EPI6のレイアがルークに告げる「母の悲しい横顔」というエピソードは収集つかず状態。そもそもこのセリフで、アミダラと娘の切ないシーンを想像した自分がいけなかったのか(実際は産み落としてすぐ死別。しかも出産時に唐突に命名)。 CGアクションに活路を見出そうとしているが、動きは激しいがどうせ結末が分かっているのでまったくどきどきしない。キャラに魅力が無いため「こいつだけは助かってほしい」という感情もおきてこない。1977年当時新しいと思っていたシリーズ構成が完全に失敗だったことを思うと胸が詰まる。欠けていたピースがすべて埋まったことに喜びを感じるとの意見も十分理解できるが、それ以上にEPIⅣに新しい時代の幕開けを感じ評価した私にとっては失望の作品だった。ただしこれだけはすごいとしか言いようが無いのはクリスト・ファー・リー!「ロード・オブ・ザ・リング」とこちらも超大作という両作品にボスキャラとして登場。1922年生まれであの存在感は映画ファンとして最大の賛辞を贈りたい!
[映画館(字幕)] 3点(2018-12-30 01:05:36)(良:1票)
4.  スラムドッグ$ミリオネア
この映画はなかなか考えられて作られている。警察の取調べという形をとってジャマールの過去が引き出され、過去へのシーンにつながる。それとクイズシーンの交互の展開は、クライマックスの結末にフラグを立たせているので、「ハラハラドキドキ、先が読めない展開」の物語とは一線を画す。それよりも、ジャマールがいかにつらい日常を過ごしてきたのかという最底辺の暮らしぶりを味わい、最後に一気に大逆転させ爽快感を堪能するという構図を持っている。都合よすぎという意見も目にするが、本当にあるかも?という視点で描かれている類ではないので、そう感じたらこの映画の感想はそこまでどまり。彼の過去の経験が解答させたとこのプレビューサイトのあらすじに書いてるが、過去の過酷な経験をしたからこそではなく、明らかに彼だけの経験があのときの出題に合致しているということを忘れてはならない。100ドル札の肖像を答えられても、インドの紙幣のガンジーは答えられないのがその証拠。過去の経験で頭がよかったのではなく、たまたま答えられる経験をつんだだけである。つまり、これは大金を手にする貧困の青年の物語ではなく、幼いときに出会ったレティカをどんなときでも忘れられない心優しき根っからの正直者の青年の話なのだ。徐々にうそをついていないと確信していく警察の表情がほほえましい。まさにファンタジー!各世代の配役も見事。フリーダ・ピントの美しさに目を奪われがちだが、主人公ジャマールは出会ったときからレティカのことが好きだったわけで、そのぶれない点も、主人公を応援してしまう重要なファクターだ。唯一のマイナスは、さすがに回答させたくないと思う司会者が警察に主人公を送り込ませる設定。「クイズショウ」同様、国民的スターの誕生を望まない司会者はいないのだから。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-02-21 17:09:40)
5.  シービスケット 《ネタバレ》 
まず、直感で8点。ストーリーの構成がマイナス1点。3人をすべて最初から説明する必要があるのだろうか?自動車で大成功を収めた大金持ちのハワーズがなぜ落ちぶれてさびしい暮らしを送っているのか?トムはなぜ殺されるはずの馬を助けようとしたのか?ジョニーはどうして片目が見えないのか?3人のうち1人だけでも後半まで引っ張ってもいいのではないだろうか。すべてを実直に均一で紹介をしたため、シービスケットと出会うまでに30分以上もかかってしまい、そこまでのモチベーションがなかなか持ちにくい印象を受けた。しかし、それぞれが名優。一度説明してしまえば後は何も描かずとも彼らが見事に行間を埋めてくれる、監督はそこに賭けていたのだろう。邦画の場合もこのケースが多いが、この映画のいいところは、そのマイナスを補っても余りある名シーン・名セリフが中盤から登場する。地味ながら一般市民の代表的な存在のDJはもちろんだが、ライバル騎手ウルフが特に素晴らしい。役を演じたゲイリー・スティーヴンスは殿堂入りも果たした本物中の本物のジョッキーであると後に知るのであるが、ヘンリー・フォンダの雰囲気漂う誠実さはとても素人とは思えない。間違いなくこの作品をさらに高めているのだ。ラストのレースシーンのスタート前や騎乗中の行動や言葉は何度見てもこみ上げるものがある。その他、ジョニーの欠陥を知って憤怒する調教師が、逆にハワーズの一言に納得するあたりは、絶妙なバランスの人間関係である。そして何よりレースシーンがすごい。ベンハーのレースシーンを髣髴とさせるカメラアングルは必見!対抗馬と並び、目が合った瞬間のシービスケットのダッシュは思わず「うおおー!」と唸るほどの興奮だ。そしてラストのジェフ・ブリッジスが勝利に狂喜乱舞するのではなく虚脱したようにへたり込む仕草が素晴らしい。心の底からレッドとシービスケットを心配し、そして見事再生する命の輝きを目の当たりにした人間の真の反応だ。プラス2点!1年に1回は見たくなる作品に久々に出会った。
[DVD(字幕)] 9点(2017-01-15 13:27:01)(良:2票)
6.  16ブロック 《ネタバレ》 
アメリカンニューシネマの微かな香りのする作品。多種多様な映画が存在する中でこの作品はうもれてしまうかもしれないが、この香りを感じ取れればなかなかの一品だ。いつの時代にも通用する映画だが、もしかするとブルース・ウイルスゆえに固定概念が強すぎせいなのか。「ガントレット」と構図は一緒だが、「バニシング・ポイント」や「コンドル」のテイストが練りこまれている。リチャード・ドナー起用はそのためかもしれない。アクションの派手さや奇抜な演出が作品の善し悪しと思われる昨今だが、既にやり尽くしたあたりのジャンルの隙間を狙った優れた作品だと思う。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-04-13 03:33:34)(良:1票)
7.  デジャヴ(2006)
やはりトニー・スコットのサスペンスは凄い。それそれが長くても数秒に満たないシーンを重ね合わせる職人芸。主観カットもあれば、超望遠レンズで狙撃手や放送映像のようなのような視点も組み合わせ、グイグイと作品に引きずりこんでいく。それゆえヒロインとの心のやり取りの切ないシーンもかえって際立つ。BGMも実に効果的だ。タイムリミットや追跡シーンは秒針を刻むごとく、ヒロインとは兄の作品「ブレードランナー」のデッガードとレイチェルに流れるような切ないメロディで実にわかりやすい。この「わかりやすい」というのはとても重要だ。これがあるから観客は戸惑うことなくもっと深い心情にまでたどり着けるのだ。タイムマシーンという荒唐無稽な発想も彼だからこそここまで仕上げられたのだ。考えれば考えるほどトニーの死は残念でならない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-07 13:32:07)(良:1票)
8.  パーフェクト ストーム 《ネタバレ》 
実話で迫力シーンも随所にあり、おまけに悲劇的!であればそれなりにヒットするだろうと思って、題材選びで大間違いを犯してしまった典型的な作品。だって全員死んだのになんで凄まじさを描けるの?という根本に気づかなかったのか? 生き証人がいるからこその実話でしょ?すべて推測じゃ制作陣の妄想を見せられただけじゃん。
[DVD(字幕)] 3点(2013-12-05 23:54:06)
9.  リメンバー・ミー(2000) 《ネタバレ》 
「未来は自分で切り開け」「好きだと思ったらはっきり告白するべき」「自分に嘘はつかないで」などきれいごとのヒューマニズムが当たり前の中、この主人公はそれを選ばなかった女性。それによって、もちろん苦悩や後悔もしているだろうけれど、この映画のそこがとても愛しい。今夢中になっている先輩が、まだ十分に知りえぬ親友とその後に結婚する運命を知ってしまうのは、あまりに切ない。良くぞ身を引いたと心から敬服してしまう。この映画、ストーリーの仕掛けがしっかりしているから、いつも以上に感情移入できてしまう。またキム・ハヌルの悲恋に焦点が行きがちだが、ユ・ジテのどこにでもいそうな朴訥な大学生がこのストーリーをしっかりしたものにしている。イケメンではないがとってもいい奴なのだ。無線機から聞こえる彼の声も実に美しい。「オーロラのかなたに」と導入が同じこともあって比較されがちだが、サスペンスやタイムパラドックスの妙に逃げずに最後までヒューマンドラマに徹した志は見事。ラストシーンの彼女が老けていないと疑問を感じる人も多かったが、実際に下手なメイクで老けさせたり、別な俳優に演じさせるのは考え物と思う。おそらくスタッフも考えた末の判断ではないだろうか。(どうせならあえて昔のままで)あくまでも現実にはありえないファンタジー。そう思ってくると、ユ・ジテにだけ見えたイメージ?昔のままの姿でいるという事は今もあの人を忘れないという意味?切なく美しい寓話でした。
[試写会(字幕)] 9点(2012-08-24 01:19:39)(良:2票)
10.  完全なる報復 《ネタバレ》 
クリント・イーストウッドの「ザ・シークレット」を思い出した。悪役が完全に主人公の能力を上回っている。あの映画もマルコビッチが最後までイーストウッドを圧倒していた。この手の映画はある種、一見勝ち目がない悪人をどう追い詰めるか?出し抜くかが爽快感へとつながるのだが、ときどき出し抜けないまま犯人自ら死を選んで決着させてしまう作品がある。本作もその要素が強い。それほどジェラルド・バトラーの存在感が大きい。ただ、少し趣が違うのは犯人にそれなりの理由があって復讐していること。妻子を殺された上に司法取引で釈放されてしまう殺人犯そして司法関係者を復讐するのは被害者としてわずかながらも映画的には同情の余地がある。覚悟し牢獄での爆発寸前に子供の遺品を手にするカットもそれを強調している。その意味からも勧善懲悪ものではなくアメリカの司法制度の危うさを下敷きにしている点がこの映画の魅力だ。ところが、ラストはみなさんのご指摘通り「?」である。子供を優しい眼差しで見つめる主人公では何も解決していないのだ。殺人犯を野放しにした責任は家族といる時でさえ脳裏にこびりついてこそ納得できるのではないだろうか。少なくともラストシーンまではそう描いていたのだから。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-03-15 01:22:20)(良:1票)
11.  the EYE 【アイ】 《ネタバレ》 
前半の静かな恐怖が絶品。エレベーターの老人、通信簿を探す少年は全世界のマンション暮らしの人々共通の怖さだろう。説明セリフではなく、さらに盲目時代の彼女をしっかり描いているからこそ、彼女しかわからない恐怖と孤独感がその効果をもたらしているのだ。そして、意識的に先の読めるようにミスリードして、彼女の目から見た自分の顔が実は!という大ドンデン!このジャンルとしては切れ味ある展開だ。後半は真相追求というサスペンスになっていくが、ここはJホラーよりもテンポがよく、香港ならではのお家芸が垣間見れる。エンタテインメント性と完成度の高いホラー映画だ。ただ、最後の再び失明する原因は雑な印象で残念。両目同時に破片が刺さるなんて!(映画では片目だけなのに)でも秀作です。 
[DVD(字幕)] 8点(2011-10-26 16:38:08)(良:1票)
12.  96時間 《ネタバレ》 
この手の作品のほとんどが、「父ちゃん強過ぎ」「リアリティなし」などの表現とともに低評価をされてしまう。ところが本作、偶然なのか計算しつくされたのかの議論は分かれるものの、実にいいバランスで展開している。リーム・ニーソン扮する男の肩書をうっすらと紹介する程度にとどめ、ライブコンサートでの活躍と機転で「ただ者ではない」を植え付ける。一方、娘を盲目的に愛していることもしっかり見せたおかげで、倫理観を無視しても助け出す、という一点のみのキャラが確定したのだ。こうなればもう怖いものなし。思慮深い役が多いニーソンのキャラを逆手に取った起用は正解だ。いつものアクションスターだと「いつまでこんなことやってんの?」的な失笑もあるだろうが、彼は実は腕っ節が強いというキャラをつけただけなのに、大胆な行動も不思議と違和感が起こらない。ちなみにシュワちゃんがやると真犯人は妻だったとなるんだろうなあ、ハムケ・ヤンセンだから。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-06-07 13:02:51)(良:1票)
13.  魔法にかけられて 《ネタバレ》 
いつかは出るであろうディズニー物のパロディをディズニー自身がやるなんて、すごすぎる!確かにおとぎの世界はキャラクターの考え方や行動そのものも現実離れしていて、現代人が冷静に見るといささかイラっと来る部分もある。たとえば、白雪姫が森をさまよううちに小人たちの家に勝手に上がりこんで、七人分のベッドを一人で使って眠り込んでしまう身勝手さは現実の世界では不法侵入にあたるかもしれない。このギャップを逆手にとってここまでうまくまとめた力に頭が下がる。おとぎの世界を否定しているどころか、お姫様の純粋さこそが現代の忘れたものである、と気づかせてくれるというお見事な展開。王子やナンシーも無用な嫉妬で引っ張らず、大団円になるのも爽快だ。ミュージカルという非現実の世界も彼女ならもちろん違和感がない。ロバートを好きになり始める後半のジゼルのしおらしさは、エイミー・アダムスが演じるからこそいじらしく見える。歌唱力はすばらしいの一言。そしてダンスパーティで自分の好きな人がほかの女性(ナンシー)とダンスを踊り、いつしかその女性と結婚してしまうという、おとぎの世界では絶対にありえない片思いの表情はとても切なく美しくみえてしまう。おとぎ話では片思いは絶対にないだけに心の痛手は俗世の我々と比べられないほどつらいものなのだ。さらにその直前に踊る二人のダンスシーンは「美女と野獣」そのままのカメラワーク。アニメだからこそ出来たと思う映像が実写ではより鳥肌もののすばらしさ!ダンス途中でロバートが告白とも言える歌詞の口ずさみもロマンチックな演出。これぞ映画!日本語版も観たが、吹き替えの主要人物(歌を歌うジゼルとエドワード王子とダンスパーティの歌手)の声色はあまりにも原作(字幕版)と似ていてまったく違和感がない。吹き替え版制作のこだわりにも拍手を送りたい。
[DVD(吹替)] 9点(2011-05-31 11:18:22)(良:2票)
14.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
圧倒的映像美だけでなく、主人公が地球人そのものではなくアバターに行動させるというひねったストーリーで見る者を飽きさせない作りは見事だ。ただ映像が見事であればあるほど、根本のテーマが気になる。征服者の優越と傲慢さから端を発し、一方で、それを阻止しようとする主人公の行動はまさにマッチポンプそのものだ。滅びゆく地球のために新たな物資のためなら何をしてもいいという論理。もちろん映画の中でもそれを悪としているが、何も解決していないのだ。今回は地球人の攻撃は食い止められたが、いつか必ず地球人は再び侵略してくるだろう。原住民や生態系を維持するために攻撃するのはやめようなど考えるはずもない。なぜ人間は自分たちの都合で破壊や殺りく行為を繰り返すのか?スケールを大きくしたためそんなことまで考えざるを得ない。それがこの映画の最大のミスだと思う。よくジブリ的というたとえをする方も多いが「もののけ姫」「平成狸合戦ポンポコ」は自然破壊を「変えることが出来ない過去」という<時の流れの宿命>として扱っている。決して異端者ではない。また「風の谷のナウシカ」は異端者による侵略ではあるが、それを食い止めるのは主人公たち人間ではなく、自然そのものの大いなる力である。ジブリ作品に爽やかさを感じるが、この作品に後味の悪さを感じ、手放しで「面白かった」と言えないのはその点かもしれない。
[DVD(吹替)] 6点(2010-12-16 18:21:34)(良:1票)
15.  ナイト ミュージアム 《ネタバレ》 
そもそも博物館の標本は何のためにあるのか。その場所で見ることのできない、もしくは現在では見ることのできないものを再現するためである。観客たちはそれを見ながらその場所やその時代に思いをはせるのである。この映画、それを楽しく実現してくれているのだ。単なる子供向き映画ではなく、博物館にとっての究極の夢の具現化といってもいい。さらにこの映画は博物館内の陳列物同士の人間関係まで膨らませている。ローマ人とガンマン、ルーズベルトとサカジャウィアなどなど、それぞれが蝋人形やミニチュアとわきまえながら今を生きているのだ。この映画を見た後の博物館見学はもっとゆっくり標本を見て回ろうとおもう。江戸時代の侍がマリー・アントワネットの噂話をしながら、ピラミッドの建設を手伝っているかもしれない。そして驚くべきは、エンドロールでのディック・ヴァン・ダイク。奇跡のようなダンスが披露されている。おそらく現場のスタッフ全員で感動したに違いない。チキチキバンバンやメリーポピンズで育った世代にとってあの柔軟な身のこなしは、博物館にしまっておくものではないと判断したのだろう。
[映画館(吹替)] 8点(2009-11-27 01:48:36)
16.  母なる証明 《ネタバレ》 
一見よくある溺愛息子の冤罪晴らしに執念を燃やす母親ストーリー。だがボン・ジュノはタブーに近い展開を後半畳み掛ける。真犯人は誰なのか?今の日本のテレビ中心のドラマや映画に慣れすぎると、監督がちりばめた無数のヒントが気づかなくなるらしい。友人の半数がストレートな解釈で納得していることに驚いた。この監督はそんなに甘くないし、恐ろしくクールだ。よく練られたシナリオと俳優の迫真の演技、昔はいっぱいあったのに…なんて愚痴りたくなるほど、すばらしい。日本で作ると当たらないんだよなあ、こういう作品。それでももし日本で作るならば私の中で配役は決まっている。母親に吉行和子、息子は境雅人、息子の友人は成宮寛貴。年齢はぜんぜん違うけどそれぞれみんな激似です。
[映画館(字幕)] 9点(2009-11-02 02:29:52)
17.  ハンコック 《ネタバレ》 
スーパーヒーローでウイル・スミスという必ず訪れる組み合わせに、多くの人はストレートな痛快アクションを期待していたのでしょう。皆さんのレビューや点数の低さからもそれは伺えます。期待を裏切ったのはおそらく宣伝方針が原因でしょう。私はそれほどの期待をしていなかったため、ひねりにひねった展開に後半のほうがひきつけられました。シャーリーズ・セロンが実は…という展開はさすがに驚きました。そりゃ、彼を家で見たときうろたえるよなあ。2回目の鑑賞では彼女の表情や態度が良く理解できます。数千年生きているという設定も二人しか存在しない共通の孤独、空虚感はよくよく考えると、「レディホークにもつながるなんとも悲しい関係です。二人の続編が見たいものです。いつかそれぞれが力を失うのを知りながらそっと余生を過ごすのでは、なんて考えてしまいます。それにしても、セロンの家族は。今はいいけど何年たっても老けない彼女をどう思うのか?なんてこと考えると彼女にとっての家族はほんの一時しか味わえないのかもしれません。こんなひねりの映画があってもいいので8点献上。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-31 18:26:52)
18.  世界最速のインディアン
まず、監督の手腕とアンソニー・ホプキンスの演技力に拍手。実在の人物の人徳をそのまま映画にしても、こうもうまく映像化できないだろう。偽善ではない「せめてこの爺さんだけは夢をかなえさせたい」という良心のかけらを満喫できる逸品ではないだろうか。純粋で無防備な老人を心から応援したり、わずかでも思いやる周囲の人々の配役も絶妙だ。彼らも十分すぎるほどの作品に説得力を持たせてくれているのだ。隣人の家族はもちろんん、モーテルの黒人ゲイ店員、ベトナム戦争に向かう兵士、途中で知り合うインディアンや老婆、レース仲間、競技委員、おまわりさん…。ともすれば「アメリカも捨てたもんじゃない」といいがちだけど、国の問題じゃないことが見れば見るほどわかってくる。特に旅立つ前に経験するバイク野郎たちのエピソードは素晴らしい。後に心優しき人々が登場する方向性を示唆してくれるだけに、とても重要な役割なのだ。実話ものが氾濫する昨今ではあるが、やはり題材選びは重要であることを再認識。この作品は興行的に当たらなかったかもしれないが、題材選びとしてはふさわしいものだと思う。「悪役がいない」と成立しない映画は確かにある。多くはサスペンスやアクション、サクセスストーリーなどだ。しかしこの映画のテーマはそれではない。つい助けたり、優しくしたくなる「夢を追う老人」のストーリーなのだ。アンソニー・ホプキンスは特別なメークはしていない。つまりレクター博士とほとんど同じはずなのに…その老人を演じているのだ。拍手いや脱帽の一言。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-09-04 16:18:56)
19.  ハイジ(2005) 《ネタバレ》 
日本のアニメの影響力の大きさがベースにあるとはいえ、100分程度で十分「ハイジ」を味わえる魅力がこの作品にはある。小作品ながらアルムおんじ扮した名優マックス・フォン・シドー、神経質で高圧的なロッテンマイヤー役にジェラルディン・チャップリンを起用。アルプスストーリーとアムステルダムストーリーにそれぞれ配置、見事に功を奏している。彼らは限られた分数を収めるべく、ほんの少しのシーンで演じる役の背景や人物像を端的に表現してくれるのだ。そしてやはり主人公ハイジ役のエマ・ボルジャー。顔パンパンの女の子がとっても可愛くいとおしい。おそらく撮影現場でもスタッフ・キャスト陣から可愛がられたに違いない。ファインダーを覗いた監督は演技とは違う彼女の天真爛漫さにほれ込んでいるのではないか、そう思えるほど生命力にあふれているのだ。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2009-03-08 17:13:10)
20.  グラディエーター 《ネタバレ》 
いっせいに放たれる火矢、「ダイヤモーンズ!」と陣形を組み立てる組織的戦術にしびれると同時に、この映画にひきつけられるのは、時代考証の再現性とマキシマスの人間性だけではない、敗者の刹那が描かれているからだと思う。ホアキンがマキシマスと同様の描写力で孤高の暴君を見事に演じている。親の信頼を得られず性格的にゆがんでしまう彼も、ある意味被害者と思えてくる。極論かもしれないが、彼の親は彼への教育法を誤っているのだ。家臣に愛される帝王学を教えていないからこそ、あそこまで歪んでしまったともいえる。単なる悪役ではない悲しみを演じる負け犬顔のホアキンがうまい。ストーリとしては奴隷から皇帝謁見までがとんとん拍子過ぎる感がある。現代の映画事情からすれば、上映時間をなるべく短くして、一日に5,6回は上映できる、いわば回転率を高めたい意図はわかるが、もう少し、途中描写を追加して、皇帝謁見までもっと時間をかけて、なかなか中央のコロセウムまでたどり着けない描写があってもいいのではないかとおもう。復讐できない焦りと苛立ち、そしてそこで知り合うさまざまな人々が「戦士」ではなく「人間」としてのマキシマスにひきつけられる人々が描かれればよりいっそう感動的なものになっていたように思う。完全な余談だが、殺された妻は幸薄そうな女性をイメージしていたがあれれ?と思ったのは私だけ?
[DVD(字幕)] 9点(2009-02-21 13:26:45)
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