1. 侍タイムスリッパー
《ネタバレ》 めちゃくちゃ好きだ。なんて愛らしい映画なんだろう。「ちょんまげぷりん」みたいで、「蒲田行進曲」みたいで、でもやっぱり「カメラを止めるな!」みたいで。■なんで「カメ止め」を彷彿とさせるかと言えば、彼の作が盛り上がってたころに、ちまたで言われていた「映画愛」を感じるところですよね。時代劇が好きで好きでしょうがないのだろう、と。これだけ殺陣シーンを固唾を飲んで視聴したことはなかったぞ。■主人公の高坂が、わりにすんなりこの状況に順応していくところも良かったし(性格が良くて頭が良い)、風見の中打ち上げでのあいさつ。トップランナーとして業界全体を盛り上げようとする気概に、おもわず映画館でワタシも拍手したくなりました。「すべる落ちるネタ」って、令和にやっても面白いんだな(しかし、演じる人が微妙にやりにくそうなのがうまい)。■きっとこの世にはタイムスリップしてきたお侍さんがもっとたくさんいて、一生懸命世の中支えてくれているんですよ。そうだといいな。 [映画館(邦画)] 10点(2024-11-28 16:43:41)《更新》 |
2. ダム・マネー ウォール街を狙え!
《ネタバレ》 ※是非とも、証券用語の「空売り」を押さえた上での視聴をおすすめします。 「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」の監督の作であり、公式サイトの雰囲気、主人公のいでたち、邦題の「ウォール街を狙え!」のダサさなどから、コメディだと思ってましたが、いたってマジメなドラマじゃないですか。ワタシ、今「変更作品要望」でジャンルから「コメディ」を外す申請をしています。この思い込みが鑑賞する上で邪魔だったと思いしたので。■で、面白かったです。ちまたの小口投資家たちが、資産家グループに一杯食わすお話であり、また小口投資家たちの群像劇みたいな面もあり、まあ面白くないハズがない。■ただ後半、小口投資家たちから「ローリング・キティ」が神格化されていくプロセスが怖いような気もしました。なんかこう、思考停止に陥っていくような。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-25 20:34:28) |
3. ルックバック
《ネタバレ》 見終わった今、率直にいうと気持ちをもてあそばれてしまった感じです。好きなシーンはたくさんある。京本(天才)に認められたことが分かった藤野(秀才)がスキップしながら帰るシーン。お互いの能力を信じ合える13歳の二人。町に出て、賞金で豪遊(5000円)するシーンとか、ほんとにうらやましいなあと思いました。しかし。■進む道が分かれた二人は、必ずまたどこかで出会うのだと想像していましたが、こんな別れですか。前半がすばらしかったから、”あのとき出会わなければ良かった二人”なんて妄想は、ワタシにはあり得ないんだけどなあ。■なにかもっと深い覚悟がありそうな作品ですが、ワタシにはこの点です。【追記】「京本死んだの、アレ、ワタシのせいじゃん」。なんという傲慢な。京本の主体性を踏みにじる言葉。ここをどう理解したらいいのかわからないのです。藤野には、京本に対しては畏れのようなものを持っていて欲しいのだ。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-11-24 20:26:36)(良:1票) |
4. 教祖誕生
《ネタバレ》 地下鉄サリン事件前の作品。たけしが本作を作るに当たって、オウム真理教のことが念頭になかったはずがない。■「やっと、神の影が見えたと言うことかな」。終幕近くで、司馬(たけし)がそうつぶやくわけです。集金のために利用していたかと思いきや、実は彼も神を希求していた、ということなのだと思います。つまり、司馬は上祐史浩だったと。しかし、何かそれまでにフリがないとカタルシスはない。何か、物足りない。■宗教者の日常を描いた作品としては、森達也氏の「A」が抜群に面白いわけで。とはいえ、本作が、ドキュメンタリーである彼の作に何となく雰囲気似てるのはすごいなと思いますね。 [DVD(邦画)] 6点(2024-11-03 05:55:13) |
5. ドライヴ(2011)
《ネタバレ》 バイオレンスなシーンがちょっと引くほどグロいけど、繊細な映画だったと思ってます。好きなシーンもある(窓越し、ガラス越しの不穏、影の戦いなど)のだけど。■なんか分からないよね。軽々に弱みになりそうなものを作らなそうな主人公が、なぜアイリーンたちに惹かれてしまったのか、ドライビングテクニックが武器のハズの主人公が、なぜそれを見せ場にしないのか?■それが理解できる方は、評価が高いんでしょうなあ。あいや、分かればおもしろそうなんですよ。 [DVD(字幕)] 5点(2024-10-27 18:53:57) |
6. 首(2023)
《ネタバレ》 本作の信長は、人は惹きつけられずにいられないような部分があってしかるべきだったのだと思うが、なんせ狂人一辺倒。■たけし演じる秀吉が一番のワルになるのだろうが、相変わらず覇気のない演技。監督だけやってればよかったのに。■いやしかし。たけしに現場を仕切る力は残ってるのだろうか。本作の現場も、たけしを支える黒田官兵衛や秀長がいてからこそであったような気がする。■好きなシーンは、大竹まことと木村祐一の差し違えのシーン。 [DVD(邦画)] 4点(2024-10-24 17:24:26) |
7. パージ:エクスペリメント
《ネタバレ》 はああ?びっくりするくらいつまらなくなってしまいましたね。いちおう、製作年を追ってシリーズを視聴してきましたが、シリーズ全体を毀損しているのではないでしょうか。そもそもの「24時間犯罪合法化」というとんでもない設定が、当局の社会実験のインチキ事例が元だったなんて、ケチな話になったものです。ポピュリズムのなれの果てみたいなイメージだったんだけどなあ。隣人同士が殺し合うのがキモだったはずじゃないですか。傭兵投入なんて、どうかしてますよ。わざと毒抜き目的で作りましたか?、てなもんです。ガッカリしたなあ。 [インターネット(字幕)] 1点(2024-10-19 16:52:26) |
8. 12モンキーズ
《ネタバレ》 未来から来たわりには、状況をそのまま話してしまっては受け入れる側としては基地外としか解釈できないであろうことに無防備すぎるし、何よりも乱暴で粗雑なのが嫌だなんて思いながらジェームズをみてました。しかし、次第に自分の現在がわからなくなっていく流れを見て、なるほどこれがやりたかったかと、合点がいきました。▪️ラストについては諸説あるようですが、ワタシは人類の99%が死亡は避けられなかったという解釈に一票入れたいです。空港でサンプルのふた開けてますよね。また、起こったことは変えられないという無情さがカッコいいとも思うので。▪️面白かった。 [DVD(字幕)] 8点(2024-10-14 19:49:07) |
9. 拳銃と目玉焼
《ネタバレ》 「8万円のカメラと750円のライトで撮った」という予告編を視聴後に見ましたが、言われなければ気づかない。腕のあるチームが作ったのだろうことが、忍ばれます。■ほんとうに寡黙で地味な主人公のことが、すごく気になる。気持ちを入れ込んじゃう。本作のために出てきた人かとおもいきや、かなりキャリアのある役者さんだったのね。■ハーレーで彼女の元に彼を連れて戻った主人公が、「正義のためでなく、~○○~」と言い切ったシーンが、最後まで弱ヨワのシローだったからこそ胸に響く。そうだよ。そんなもの(正義)のためになんかに、必死にはなれない。■あそこでバスッと切ったエンディングにはシビれましたが、エンドロール後もありますんで、そこ見ないでこのサイト見ている方は、一応チェックおすすめです。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-14 13:15:30)(良:1票) |
10. オッペンハイマー
《ネタバレ》 視聴開始30分後には、これはたまらんと「ネタバレなしの解説サイト」を勉強してから(本当にそうしてよかった)、視聴の継続におよんだモノです。さらに、終幕後には再度、「ネタバレありのサイト」を閲覧し、復習し直しておおよそわかったような気になっているモノでもあります。■常人には理解し難い物理法則が世界にはあることを認識した上で生きる天才たちのありようというか、なんかこう、アカデミックな感じのするところとか好きでしたし、「アマデウス」みたいでもあったよねなんて、今は思っています。■いつか、もう一度見直してみると、いろんなことに気づきそうとも思いますが、一体どんな機会に本作を見直すのだろうと思うと、途方に暮れてしまいます。■ちょっと疲れたなあ。 [DVD(字幕)] 6点(2024-10-08 17:13:47) |
11. マッドマックス:フュリオサ
《ネタバレ》 十分期待していたもの(砂漠でのイカレタ乗り物と人間の戦い)が見れらたし、面白かったとは思うのだけれど、あの「怒りのデスロード」の前日譚だと思うと、少々物足りないような気もする。行って帰ってくる、という前作のシンプルさと比べて、なんだか物語が邪魔しているような気がするなあ。なんか屈託が滲み出ちゃってて。エンドロールで「デスロード」の名場面集が流れるのですが、そこで妙にニヤニヤしちゃうワタシなんですが、つまり本作には、そんなバカっぽいかっこよさがないんですよね。坊主になることを際立たせるためだったとは思いますが、長髪(80年代の頃のお姉さんみたい)のフュリオサが状況にそぐわなすぎて、カッコ悪かったのも減点だと思います。あれで、火の中かいくぐれないだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-07 20:03:10) |
12. マミー(2024)
《ネタバレ》 うーん。率直に言えば面白くないし、好きでもないのだけれど、なんだか異様な雰囲気はある。事件の真相に迫るというのがメインの筋ではあるのだけれど、それよりも有名死刑囚の「ファミリーもの」という側面が強すぎて。保険金詐欺の部分については、もう繕おうともしないわけだな、林健治氏は。家族からマミーと呼ばれ、教育熱心ではありつつも、そんなことの片棒かつでいたのだな、真須美氏は。また、若手監督のいっちょコレで当ててやる感が強すぎて。カメラの停止を要請されても、画角を変えて撮り続ける。取材先からNGを喰らい続ける姿は「青春もの」のようなのだが、林家の皆さんはなぜOKをだしたのか?自分たちの主張の場が欲しかったのだとは思うが、であれば健治氏の不用意な発言はなんなんだ。■眠れない夜に、時々思い出してしまいそうでイヤな気持ちになる。 [映画館(邦画)] 4点(2024-09-21 16:12:02) |
13. エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
《ネタバレ》 モラルがねじ切れたやつらの話。作中人物(投資会社取締役)が語ったコトバ、「不正や虚偽をかさねて現実を見失っていた。真実とウソの境目が消えて、偽りの世界が現実に取って代わっていた。偽りが真実になれば、詐欺意識が働かなくなる」が、まさにそれ。悪人と呼ぶことさえ、たいして意味があると思えず、もう何らかの人格障害なのだと思う。せめて、しでかしたことを償わせたいと思うが、ケン・レイは収監される前に別荘にて心臓発作で他界し、ジェフ・スキリングは12年の刑期を終え、5年前には釈放されたという。 [DVD(字幕)] 7点(2024-09-16 18:56:33) |
14. 26世紀青年
《ネタバレ》 あの「バス男(=ナポレオン・ダイナマイト)」並に手に取るのを躊躇する邦題。朗らかに笑おうと思ってチョイスした本作。確かに、何度か声あげて笑ったのですが、しかし。2006年のブッシュを嗤っていられたあのころから、2024年の熱狂的なトランプの支持者がいる現在のアメリカを考えると、怖いような気もするなあ。見終わって、もしかしたら、楽しみ方をワタシ間違ってたかもしれん、と後ろを振り返りたくなる。けっこう難解なのか、どうなんだ?邦題には、いい意味で裏切られたと思うことにします(前掲「バス男」同様)。バカっぽい邦題も、作品世界になじんでいたのね。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-14 13:30:42) |
15. 人間魚雷回天
《ネタバレ》 うーん。脱出装置はなく、1.5tの爆薬とともに出撃すれば、敵艦に体当たりするかそうでなければ自沈するしかない、「鉄の棺桶」とよばれた回天の絶望を考えると、本作で開陳されるエピソードはピンとこないですよ。神風(航空機)による特攻よりも狂気が深いことを考えると、前夜のデートや最後の酒宴なんて想像の範囲のセンチメンタルというか(ひとでなし)。作中、朝倉少尉の「僕達が死んで行くのは、無謀な戦いを無謀なものだと気付かせるためなんです。」というセリフはメチャクチャなんだけど、志願する兵士のメチャクチャなメンタルを多少なりとも理解できるセリフ。オレは何を見たがっていたんだろうとも思うが、大津島であったことはこんなんじゃないだろうと思っています。■回天の攻撃成功率は、2%(神風は10%程度)だったとのこと。わたしゃ、最後の出撃は、4人全員失敗してこそこの映画の価値と思っています(どんどんひとでなし)。 [DVD(邦画)] 4点(2024-08-26 20:24:12) |
16. 名もなき人々の戦争
《ネタバレ》 一番印象に残るのは、沖縄戦でのエピソード。投降を促しにきた仲間を、日本兵が3人がかりで惨殺したのを見て、アメリカ兵がありとあらゆる銃弾を打ち込んできた、と。日本兵と戦うアメリカ軍の恐怖に思いを馳せました。▪️こいつらにだけは、もう二度と戦争をやらせてはならないという強い恐怖から生まれたのが、日本国憲法なのではないか。▪️もうはっきり言うが、こんなに自国民を大事にしない「システム」があの時勝たなくて本当によかったと思っています。 [インターネット(邦画)] 8点(2024-08-25 20:19:58) |
17. 正義の行方
《ネタバレ》 長い映画なのだけれど、がぜん物足りない。NHK福岡も事件発生時の報道現場での当事者であったはずなのに、当時の担当者が出てこない。悔恨があるなら、まず自らを省みるべきでは。そして何よりも、久間三千年氏の声が聞こえない。外に対しては、あまりメッセージを発しなかった人だったようですが、本作スタッフなら、久間氏の声を拾っていたでしょう(手紙でも、なんでも)。実際には、群像劇だったのだろうし、いろんな正義があったのだと思う。もっと混沌としていた良かったのではと思う。なんか、「福岡県警パート」長すぎない?もっといろんな人、出して。■「正義を相対化する作業が、ジャーナリズム」って本当だろうか?そんな傍観者的でいいの?もっと批判的であってほしいのだが。□八丁峠の森、時々挟まれる電車の風景などがキレイなのはサスガ。 [映画館(邦画)] 5点(2024-08-17 21:52:50) |
18. 死体の人
《ネタバレ》 やさしい映画だなあ。オラは好きです。主人公の奥野瑛太氏は、ワタシ、ノーマークでしたけど、「もっと見てみたい!」と切実に思いました。烏丸せつこさんも、久しぶりに見たなあ。もっと出てきてほしい。きたろう氏の父親役は、すごく滋味深いのでした。よかった。なお、臆することなく、3巻ぶんもあるのなら、もっとガッツリ「ニュー・シネマ・パラダイス」をやればよかったのにと思っています(広志ダイジェスト)。 [DVD(邦画)] 7点(2024-08-15 20:23:44) |
19. 召使
《ネタバレ》 凝ったシーン(鏡越し、カーテンの影、アングル)が多く、前半はかなり引き込まれたのだが、後半。召使二人の関係がバレてから、こんな物語でいいのかと不思議になるような展開。頭下げて元に戻ったバレットが、次のシーンではすでに居丈高。無報酬で採用されたの??? 主人が没落したり、主従が入れ替わってしかるべきとは思うのですが、いかんせん、流れが不自然、というか雑。映像の作り込みの丁寧さに対してあまりのヘンさに、いま、翻訳がおかしかったのではと疑っています。ワタシが見たのは、販売元がアイ・ヴイ・シーのものですが、みなさん、どう思われますか? [DVD(字幕)] 4点(2024-08-10 20:35:04) |
20. アイアム・ア・コメディアン
《ネタバレ》 前提として、ワタシ、村本さんの漫才(漫談も)は好きですし、そのありようも好きです。であっても、本作の感想は、ようするに「現役芸人のドキュメンタリーはヤボである」ということです。同じ系統の映画である「テレビで会えない芸人」の一口コメントでも同様のことを書きましたが、本作は、村本さんにとってプラスなのか? 本作が村本さんが引退されたのちに公開されるならいいんですよ。しかしいま、こんな舞台裏をみせられても。本作での村本さんは自己陶酔が強すぎて好きではありません。今度、ネタを観るときに、本作で得た情報はじゃまになりそうなんですよ。村本さんが好きなら、村本さんのネタだけ観ればいいんだと思った次第です。■あるいはそれでも、芸人さんが主体のドキュメンタリー映画を取るならば、オチがあってしかるべきではとも思います。本作であれば、実はお父さんは、亡くなってはいなかったとか(エンドロールで談笑してたり)。芸人なら、最後にツッコマれてなんぼでは。いやいや、一体全体どこまでがホントなのかわからん、みたいな。 [映画館(邦画)] 4点(2024-08-04 13:46:12) |