1. ブラック・スワン
《ネタバレ》 バレエ漫画「テレプシコーラ」が好きで、監督の前作「レスラー」がベスト映画の一つである自分にとって、この映画はまさしく一つの理想型なのかも。ナタリーポートマンの演技が…みたいに何かが突出してよいというよりも、全体的にすべてがバランスよくよかった感じがします。 頂点まで追いつめられたあげくの黒鳥の鬼気迫る演技と変身、そしてあらゆるものから解放され自分自身をようやく乗り越えた最後の白鳥。この美しさをさらに超えるのが、ラストシーンのダイブしてからエンドロールに移り変わる白!涙が出るほど美しく、映画史に残る名ハッピーエンドだったと思っています。 <追記> なんと、どうしても我慢できなくて2回目を鑑賞してきました。さらにぐっときたので1点プラスします。 黒鳥後の幕間の、ついに黒鳥になりきれた喜び、実は殺していなかったという安堵、そして自分の命がもう長くないという哀しみなどなどの陰陽入り交じった複雑な涙を無理に拭って人生最後の晴れ舞台に向かおうとするニナを見て、もう涙が止まりませんでした。 [映画館(字幕)] 10点(2011-05-16 02:00:06)(良:2票) |
2. エイリアン
《ネタバレ》 とにかく隅から隅まで大好きな作品。よくSFゴシックホラーの金字塔と評されますがまさにその通りで、だからこその淡々とした語り口は多くの方の批判の的になっていたりもするものの、自分はそこが最も好きな理由だったりします。 このシリーズと言えばギーガーの功績が非常に高く評価されている訳ですが(もちろんわたしも画集を何冊も所有するファンの一人です)、実は地球サイドのデザインを担当したロン・コッブももっと評価されてしかるべきだと思っています。特に古城をモチーフとしたノストロモ号は非常に秀逸で、惨劇の舞台として実に相応しい佇まい。 好きなシーンを挙げるときりがないんですが、特に好きなのは、自爆プラグをセットした後に(このシリンダーの仕掛けも好きすぎる)解除しようとして間に合わなかった所。 「マザーーーー!今解除したのよ!・・・マザーーーーー!」「本船は5分以内に自爆します。」「こんちくしょーーーー!(そして八つ当たり)」 この冷徹なマザーの声がたまらん!! [DVD(字幕)] 10点(2010-02-05 20:32:10)(良:1票) |
3. コンタクト
《ネタバレ》 昨日久しぶりに再鑑賞しました。観ている最中からあまりのおもしろさに感動して号泣。改めて、、なんて面白い映画なんだ! 神を信じない人間を全人類の代表には選べない。まあこれは神を信じないから代表にしないのではなく、代表とは最も優れている人物であると同時に(良識ある)人類の平均値でもなければならないからですが、それってなんてリアルなんだろう。まるで、2010年の日本で言うところの国母バッシングによく似ていませんか? そして人々は証拠があるから物事を認めているのではなく、自分自身がそう思うから認める。神の存在を感じる時があるから神の存在を認める。エリーの言葉に嘘偽りを感じないからヴェガ人と接触したのを大衆は認めたんですよね。調査委員会は(公には)認めなくても。 さらにヴェガ人は言います。このワームホールは自分たちが作ったのではない。別の誰かが過去に作ったものだと。そんな大いなる存在を場合によっては「神」と称してもいいような気がします。 言ってしまえば、宗教も科学ももしかしたら同じようなものなのかもしれませんね。 [ブルーレイ(字幕)] 10点(2010-02-03 20:23:05)(良:1票) |
4. ブレードランナー
初めてこれを観たのは25年前、場末の映画館でのリバイバル上映で、「タクシードライバー」との2本立てでした。それからリバイバル上映される度に幾度となく映画館を訪れ、ビデオを何度もレンタルし、とうとう台詞を丸覚えしてスピナー釣ってるワイヤーとかのアラまで把握する程のめり込みました。 ファイナルカットは最近でも観ますが、この独白が入り、デッカードが人間だと思われていたバージョンであるオリジナルはもう20年くらい観てないですね。このバージョンが一番好きなので、あえて観ないようにしてるんです。この映画は「エイリアン」と並ぶ、自分のまさに青春。あの頃を振り返るのは、もっと歳を重ねてからにしたいんです。 [映画館(字幕)] 10点(2009-11-09 17:40:14) |
5. マルホランド・ドライブ
《ネタバレ》 初見で後半に折り返した(ループした)瞬間の衝撃と言ったら・・・。ものすごい戦慄が襲ってきて、「そう!それだよ!」と、思わず立ち上がりました。ハリウッドの光と影とか、ナオミワッツの名演技とかそんなのは自分にとってはどうでもよくて、それよりも世界というものは自分が感じている通りのものではないかもしれない、ということに言及していることが衝撃だったんです。イレイザーヘッドやロストハイウェイもそうなんですが、とりわけ本作は完成度が高い。人生を変えた映画の一つですね。 [DVD(字幕)] 10点(2009-09-02 15:17:31)(良:3票) |
6. ギャラクシー・クエスト
《ネタバレ》 今までの人生で最も好きな映画。たくさん笑って、たくさん泣いた、本当にお気に入りの映画です。今の自分にはもうなくなってしまった、純真でピュアな心が笑いにもなるけど、とても胸を打ちます。純真なのは宇宙人だけじゃない、放映後何年経とうがずっと熱心なファンで居続けている人たち、そしてそんな彼らの期待に応えようとするキャスト達もそうなんですよね。 アランリックマンを勝手に師と仰ぐ宇宙人が殺される所で、そしてなんとも都合良くファンのフェス会場に帰ってくるラストシーンで嗚咽が出るくらい号泣していたら、周りの人に怪訝な顔されましたが、自分にとってはコメディって言うよりも感動巨編です!(笑) [映画館(字幕)] 10点(2009-07-12 02:19:34)(良:2票) |
7. モンスター(2003)
《ネタバレ》 モンスターってのは主人公が子供の時に見た観覧車の事ですよね。それを本人の犯行の非人間的な所にかけている。で、観た人には「主人公がモンスターなんじゃない、この社会こそがモンスターなんだ」と思わせると。もしくはたかだか田舎町の観覧車さえもが幼少期の主人公にとってはモンスターに見えた、そんな小さな世界で生きていたはずなのに自分がモンスターになってしまったことに気付いてしまう主人公の悲壮さ、みたいな。どこかの雑誌の映画評に「主人公の生い立ちを考えると(連続殺人は)必然でそれが悲しい」って書いてあった。それはこの映画を観た誰もがふつうに感じ取ることなんだろうけど、自分はなにより若い子(っていうのは、物事を深くまで考えたことのない人という意味ですが)の残酷なまでの無邪気さというのが心に堪えたわけです。当人はもちろん無邪気なつもりじゃない、本気で考えているんだけど、(観客の立場とかで)ちょっと離れた人が見ると実は浅はか。でも人はそれを「若い」って言うんですよね。 周りにたくさんいるじゃないですか。「友情こそ人生最大の糧だよね☆」なんてみんなに聞こえよがしに言っている人。でもそういう人に限って意外とちょっとした事で冷淡になってしまったりするもんです。 そんなある意味ごく普通の、平均的な「いい人」達が、実は一番恐ろしい。何をしたのかわかっていないし、罰せられないから余計に。 人生で辛い思いをしたことがある人、まさしくクズに成り果てる寸前で立ち直った人が観たら、きっと自分と同じことを思うんじゃないでしょうか(そんな人あまりいないと思いますけど)。 [映画館(字幕)] 10点(2009-07-12 02:08:51)(良:2票) |
8. レスラー
《ネタバレ》 あろうことか、今現在今年一番の、、いや歴代映画ベスト3に入るほど自分の琴線に触れまくりっていうか切れちゃうくらい、号泣しました(笑)。 かっこ悪くて、だっさくて、しょーもない中年男。でも、たった一つだけ掛け替えのない栄光の過去を持っている。あの「グラントリノ」の親父には息子達には疎まれていながらも、我々観衆たちが共感を得られる所がいくつもあったわけですが、今作のミッキーロークにはまったくない!・・・はずが、自分にとってすべてが共感できてしまう。そんな思いをした人はあんまりいないと思いますが、自分の人生の中でのかっこ悪かったことや自業自得で失敗したことなんかを増幅させて見せられているような。 無骨で、まるでドキュメントなカメラワークや、ざっくりとした編集も完璧。もちろんキャスティングも。 ラストでガンズの入場テーマがかかった時の胸が締め付けられる感覚は一生忘れないと思います。 たくさん失敗や後悔もあったけど、たった一つでも誇れるものがあって奴は奴なりにいい人生全うしたと思います。自分もそうでありたい。 [映画館(字幕)] 10点(2009-07-12 01:59:07)(良:1票) |
9. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
今までの人生で、こんなにある映画を心待ちにして夜も眠れず、映画館に入った途端におかしいくらいに緊張して、始まるやいなや唾を飲むのも忘れるくらいに没頭して、見終わった後に異常な高揚感に包まれたのは初めてです。もちろんTV版からの筋金入りのエヴァオタだからこそなんでしょうけど、庵野監督にありがとうと素直に言いたい。 どんな映画もけちをつけようと思ったらできますが、これにはつける気にならないです。 新劇版エヴァは、旧世紀版エヴァのいわばリミックス。元曲が大好きなほど、リミキサーが優れているほど、それをサンプリングして作ったリミックス版は、似てるところや違うところが心のツボをつついて非常にうれしいものです。時には元曲を超えるリミックスができることがあるように、この新劇版エヴァが完結した時ずっと語り継がれるようになることを願ってやみません。 ということで、来週三回目観に行きま~す!(何回も映画館に通うのはブレードランナー以来!) [映画館(邦画)] 10点(2009-07-09 18:43:47)(良:2票) |
10. パルプ・フィクション
《ネタバレ》 「ちょっとあたしはトイレで鼻に粉をはたいてくるから、帰ってくるまでに決めといて」 あ~もう最高にバカで最高にかっこいい! 極めつけは、コカインだと思って鼻からたっぷり吸い込んだのがヘロインで、死にかける所。 「おい、なんとか言ってみろよ」「・・・なんとか」 あ~もう最高に下らなくて最高にかっこいい! 何回観ても、本当に下らなくて最高にかっこよくて超おもしろい。映画を通じて何かを訴えるのもありだけど、とにかく楽しめて観終わった後すっきりできる映画も必要だと思います。この映画好きすぎて死ぬ~ [映画館(字幕)] 10点(2008-12-30 17:41:47) |
11. 第9地区
《ネタバレ》 とにかく凄かった。字幕を見ているという意識や、まして映画を観ているという意識すら忘れて没頭してしまった。それほど、少なくても自分にとってアイデアや視覚効果だけが突出してしたのではなく、高いレベルでバランスがとれていた作品だった。没頭していたので当然黒い液体等の突っ込みすら頭に浮かばなかったし。(笑) 斬新なSF映画としても、エイリアンとの関わりを通して人間の本質を描いた作品としても高く評価したいと思います。 黒い液体燃料の正体は何でしょうね…自分的には彼らの文明ではDNAがいろいろ鍵になっているようなので、燃料の原料にもDNAが使われているのではないでしょうか…しかもDNAがウイルス的に他生物のDNAを書き換えるような性質を持っている。そんな妄想をするのも楽しいです。 [映画館(字幕)] 9点(2010-04-11 01:07:28)(良:1票) |
12. THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に
庵野監督は本当にエヴァに入れ込んでいて、この映画を作るのは本当に辛い作業だったんだろう。自らがおたく四天王であるが故に世のおたく達の反応が心に深く深く突き刺さったのだろう。監督の心理状態がここまで作品に反映された映画は後にも先にもこれだけじゃないでしょうか。さらにアスカ復活のシーンとその後の捕食シーンで観ている自分も深く深く傷つきました。だからこそ、新劇版が作られている今、この上ない幸せを感じるんです。 [映画館(邦画)] 9点(2010-02-09 21:11:56) |
13. 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生
《ネタバレ》 まさにエヴァファンに凄まじいトラウマを与えた作品。でも、DEATH編の時間軸を縦横無尽に走り回る編集はすごく好きだし、REBIRTH編の意地悪を通り越したサディスト的なぶつ切りと直後に流れる「魂のルフラン」は、ある意味すごいと今でも思ってます。 [映画館(邦画)] 9点(2010-02-09 20:39:21) |
14. エイリアン2/完全版
《ネタバレ》 これは劇場版よりも絶対に完全版の方がいいです。SFアクション映画なのに、深みが加わって。リプリーの娘が死んでいるという下りや、エイリアンに襲撃される前の植民星の様子があってこそ、よりキャラクターへの思い入れが強くなると思います。それらのシークエンスを付け加えても意外にテンポは落ちてないしね。まああくまで劇場版を観た人が家庭で鑑賞する分にはですけど。あーまた観たくなってきた。。 [ビデオ(字幕)] 9点(2010-02-04 21:06:37) |
15. ガタカ
《ネタバレ》 とても大好きな映画です。そもそもスペースサーガとかスペースオペラに全く興味がない自分にとって、こういった類のSFは宝物です。この映画の世界に限らず、現実ってのは思いのほか理不尽ですよね。でもそこでヒーローが出てきて問題を片付けてくれたり、自分がヒーローになったりっていう夢を見るには、自分はあまりにも色んなものを見過ぎた(?)みたいです。 みんなが知らない振りをしている事「選ばれた人しかヒーローにはなれない」。それに真っ向から挑み、優生学を情熱と努力(と運)でねじ伏せるイーサン・ホークを見ていると、同じく選ばれし者ではない自分にとって明日への希望にもなります。そういった意味ではこれこそSFファンタジーなのかも! [DVD(字幕)] 9点(2010-02-02 15:02:37) |
16. イレイザーヘッド
《ネタバレ》 最初観た時の衝撃はマルホランドドライブと同レベル。これこそまさに世界の本質を描いている!と。まさしくこの世は消しゴム工場のようなものなんだと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2009-09-02 16:02:46) |
17. ローマの休日
若い頃からもう何回も観てます。あのラストシーンは酸いも甘いも噛み分けた今ですら(笑)、ほんとに切なくなる名シーン。白黒なのにいつの間にかカラーを観てると錯覚してしまうのは、きっとこの作品が魅力的だからなんだと思っています。 [DVD(字幕)] 9点(2009-07-12 02:31:14) |
18. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
映画館で2回、DVDで数え切れないほど観た後、ブルーレイでまた相当観倒しました。はい、エヴァオタです。気に入らないところも多少ありますが、そんなこと気にならないほど純粋に観ていて楽しいです。元の作品を知っている人達のツボをうま~く刺激するちょっとした変更点や共通点に、スタッフ達の情熱や愛情がひしひしと伝わってきます。完結するまで絶対死ねない! [映画館(邦画)] 9点(2009-07-09 19:00:57) |
19. 疑惑(1982)
《ネタバレ》 まさにこれが映画じゃ!って感じの傑作。 脚本もキャストも演出もなにもかも最高。本当に桃井ははまり役ですよね。そして、これだけおもしろい上に、今観ると笑いの要素もたっぷりと。「この、ペン乞食が!」「バンス」「あんたみたいな女、大っ嫌い」「お゛えーっ」・・・名セリフ(?)連発! [ビデオ(邦画)] 9点(2008-12-30 19:11:04) |
20. メランコリア
《ネタバレ》 鑑賞直後の不思議なほど清々しい気分といったら! 前半でいかにジャスティンが常軌を逸していて、健常な人から見るといかに不快な女であるかを、不快なくらい長時間見せつけて観客をイライラさせるテクニックが良い。そして人類全体にメランコリア(ここは鬱病と解釈したい)が忍び寄るにつれて、健常だった人々はまさに鬱の症状を呈し、鬱病のジャスティンは全てを悟り健常に…。 そうか、鬱病ってもしかすると自分だけが苦労しているとか、不幸であるとかいう孤立感から引き起こされるのかも。だからジャスティンは人類はこの地球上にしかいない、そしてそれがもうすぐ根絶やしになると悟って生き生きとして、人類代表のクレアと旦那(と執事?)は鬱へと進んでいくんだね。 真実はどうなんだろうか…自分も人類は地球上にだけしかいないような気がします。 そして有史以来ずっと孤立していた人類が生み出した大きな大きな鬱がメランコリアとなってやって来たのかも。 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-17 16:21:14) |