1. スター・ウォーズ/フォースの覚醒
《ネタバレ》 なんでハンソロ殺しちゃうのかが訳解らない。ハリソンフォードの年齢とか健康とかで退場せざるを得ないんだろうけど、もうちょっとやり方あるだろう!と、思った。 白兵戦や、風景などのリアリティはもはやCGの方がリアルなので、未だにCGCG言ってる人を見ると、張りぼてとフィルタでここまで出来るわけないよね、ってだれか教えてあげてください。完璧です。 話にならないからしょうがないとは思うけど、理由もなく共和国(こんだけ科学が進んだ世界で共和制て!と失笑するところだが)が、残党(このファシズムの概念も失笑だ)に追われまくってる状態も失笑。ストーリー以前の設定がガタガタ。エンジェルダッシュみたいに、口で言ってるだけですよね?そうはならないだろ?って笑ってしまう最低レベルのSFです(笑)。ルーカスなのか誰なのか知らないけど、パワーバランスをきちんと描いてきたシリーズだけにあー、企業が中身考え始めたな感に変な感慨を覚えた。 別に他の映画では普通なので、SWとして異質だなって思った部分だ。 あと、チャンバラが雑!雑です!棒立ちで殴り合わないでください!もうジェダイとか能力関係無い(笑) 神秘性とか超能力とかを嫌ったんでしょ?どうせ。っていうマーケティングをガリガリ感じる!(笑) まあ、もうディズニーなので受け手が頭切り換えるところでしょう。もう旧作みたいな殺陣はない!諦めろ! とは言え、視覚的に凄くリアルなので、それはそれでいいじゃないかと。お話しが懐古趣味だからなんだ。お話しの作り手としては下の下なんだろうけど、観る側としては非常に親切だ。お話しの創造性ゼロで、全く創作能力がない人達の集まりでも、ゼロなりの戦い方があるじゃないか。それをやってのけて、映像を作る才能たちがしっかりと受け止めて良い物を作り上げている。 ネームバリューがなかったり、SWの設定を使わないでやれと言われたらたぶん同じレベルの物を作り出せなかっただろうけど、有る物をきちんと能力限界まで使い切ったんだから尊敬すべきだ。ストーリー以前の話作りがガタガタでもここまでの物を作るディズニーに、作った人にリスペクトだ。 [映画館(吹替)] 8点(2016-01-10 18:20:37) |
2. ロボコップ(2014)
《ネタバレ》 高品質な脚本は、単体の映画としてみても非常に完成度が高い。また、特殊効果、襲撃プロットなども相当な高品質だった。 キャストの力量も高く、土台の揺るがなさ、見応えの大きさ、真摯な作りがうかがえる。正しく高度な、まじめな面白い映画であったと思う。 引き替え、受け手側のオリジナルとの対照が実に滑稽であり、ただの思い出自慢が非常に煩わしく鑑賞後の余韻をかなり削いでくれた。 劇中で、中国人や中東の人達が勘違いしている狂ったアメリカを、事実だと思い込んでいる人が、アメリカを風刺した作品であるかの如く勘違いしている様などは実に、映画作りに立ち向かう方たちへのディスリスペクト以外の何物でもなくなんて事をしてくれているのかと聞いてみたいところだ。 映画の魅力を映画とは関係無いところで削いでしまう作品というものがあるが、本作品がそれに該当するかも知れない。 近年の作品では、作り手側が受け手に対して要求する情報量の水準が高まりつつある事が明確になりつつある。 本作品のように、素人お断り感の強い映画では理解力が及ばないということが、不満が、自分が悪くないんだと言うことが、ネットに書き連ねられている。 ただ、中国経由の平行宇宙のアメリカ像しか知らないひとや、過去のオリジナル作品をみただけのひとにとって、閉め出すかのような攻撃性も確かに感じられ、そこはやり過ぎではないか?と感じたのもの事実だ。 取材の一つも、なんやかやもやったことのない素人が好き勝手言う場に追いかけてきてまで、プロが彼らを追い詰めるような本気の作品を作ってしまうところが今のアメリカ映画の妥協のなさだろう。 文芸作品と比べたら取るに足らない等とようなことを言う素人が、結局分かりやすいアクションしか理解できない事実を、作っている側が知らないと思ったら大間違いであり、見てみぬ振りをしてもらえた時代が終わりつつある。 正直、それが痛快でもある。スッとした。 [ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 9点(2015-12-26 04:36:01) |
3. 映画 鈴木先生
《ネタバレ》 原作への尊重と、映画という媒体への導入という作業を両立させることの難しさがうかがい知れる。 原作漫画のメッセージ性はそもそも行間に含まれた意図が複雑で、さらにいうとこの漫画でテーマになっているような側の人間にとってことさら痛い物だ。教育者というキャラクターを使うからには、その周辺の分野も取材したのであろう事が覗われ、その成果が出ていると言える。精神医学的なことや発達学などの心の構造を上手に作中にも表現方法にも反映していた。 この映画にも、表面的な面白さと、行間の構造両面での試行錯誤が幾つも発見できるのだが、恐らく受け手全員がそれを発見できる、あるいはそれを快く思うかは分からない。 感受性の維持や、ステレオタイプを切り替える事、自分だったらこうした。と言うような事は人によってはその能力の維持が難しい事だ。だが、そうした事の低下に気がつかなければ色々な映画の表面的な部分しか理解できずスカスカに見えてしまう事だろう。この映画はそうした危険性を気にせず作られている様に感じたが、読み取る事が出来なかさそうな人には見てもらわなくても良いような仕掛けをどこかで設けるべきではなかったかと、テレビ東京に感じた。 が、ここは映画の出来とはまったく関係無く、むしろ色々な人がちゃんと見られれば問題ないところではある。 [映画館(邦画)] 8点(2015-06-14 02:38:51) |
4. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
《ネタバレ》 込められた一つ一つの意味を、一つ一つの悪意で見もしない。 丁寧に設計された薬理を、テレビ番組の非科学が否定するかのような。複雑な機序に織り込まれた医術を嘲るようななんら医学の根拠に基づかないウェブサイトのような。 そう言った批判に疑念をいだく。その、雑誌やテレビでありきたりな、なんのひねりもない借り物の批判は、いろいろな有様をさらけ出していることに気付いているだろうか? 架空の人物を作り出して、描くという作業の難しさを借り物のことばで理解する世界にしか、ただの人は普通は生きられない。 でも、完成品への敬意も忘れてすっかり見下すことに夢中な人たちの目には、苦しさや開放が見えてこないのだろう。分からないなら分からないでいいではないか。なぜ理解できない対象への攻撃性を丸出しにするのか。 [映画館(字幕)] 9点(2015-06-08 02:01:10)(良:1票) |
5. 機動戦士ガンダムUC/episode 5 黒いユニコーン
《ネタバレ》 このガンダムって言うアニメは、テロリストに寛容すぎる。 「視点によって正義は変わる、誰が正しいとは断言できない」 ガンダムとか言うテロリストまるだしな嘘を、コミュニケーションに癖のある人間をターゲットにしてわざと書いてるでしょ?信じるから止めなさい、と思う。 今作は特にヒドイ。この間までテロリストだった人がその罪や間違った思想をすっかり忘れている。贖罪の観念が無い事がこのアニメの最大の難点だ。 モデリングとモーションのしっかりしたアニメが今までに無い絵的説得力を押し出してると思う。技術は高いけど、信じやすい人には毒。 [DVD(邦画)] 5点(2015-04-13 00:27:29) |
6. アメリカン・スナイパー
秀作。クリスカイルという人物を面白く描いていた。史実がとかどうのこうのな意見もあるが、原作本の記述のぼかされ具合からいって映画なんだし史実って一体何???創意工夫の余地が大きいのは当たり前ではないか??? あと、非正規戦だし。もはや戦争ですらない。殺人が大好きな団体の抑制と排除という仕事をよく描いていた。テロリストに同情する人ってまだいるみたいだけど、彼らが一方的に悪いんだけどな。変な同情する人変なの。子供に爆発物もたせれば米兵の奴らPTSDになるぞ、って腹抱えて笑ってる人たちなんだけどな。 合衆国軍がイラクでなにをしなければいけなくて、何をしてきたか理解してる人あんまり居ないのだろうなと思った。 先進国が抑制して制御しなければ、中東の倫理観や社会性で国家運営どころか、行政の運営一つ出来ないことを知った方が良い人がネットに多い。ほんとに多い。 宗教観の違いなんてものは私人間のエチケットであって、公的な場では同情を得られる事はあっても、それで利益が得られる事や要求が通ることなんか無いこと知らない人多すぎて失笑だ。 また、中東の石油産業程度の経済を動機に先進国がこれほど親切に治安維持に出動することなんか無い。単に、ほんとに倫理観が欠落した人間を抑え込むために派兵してるんだって事理解するべき。この映画を楽しむ土台がない人がネットに溢れてる。震災後のネットってほんとにまともじゃないんだけどなんで? この手の映画見ても意味分かんないんじゃないのかな。 宗教問題だから、とか、私人間の争いじゃないんだからそんな事は理由にならない。西洋が死人を出しまくって作り上げたルールの世界を逆恨みしてテロリズムで遊んで暮らそうとする人に立ち向かう、そういう世界観なんだけど理解してんだろうか? 宗教やら社会主義やら中華思想やら。今更もはや家庭内の問題。経済とかビジネスに持ち込むな。それが出来ないから揉めている。 騙されて信じてる人も、信じている間は本物のテロリストだ。それを殺してしまうかどうかでダラダラ先送りしているのが現在。 いつまでもアメリカが悪いとか、宗教がとか。フィクションをフィクションとしてとらえられないネットのとらえ方に心から失笑。 あと、こう言う文藝調の映画で、1から10まで説明してもらえる訳無いじゃん。説明不足とか言うひともネットに多くて失笑。 そんくらいスマホで調べろよ。ほんと自分の頭で考えてんのかって映画と関係無いところでこの映画でイライラする。 [映画館(字幕)] 9点(2015-03-29 05:06:40) |
7. るろうに剣心
《ネタバレ》 60年代や70年台にアメリカの制作会社がコスプレでそのまんま漫画やら小説を映画化していたけど、やっとそこに追いついたらしい。 本歌取りは大切なことだ。けど半世紀以上の遅れを取り戻すのは大変だ。 文芸作は欧米と遜色ない水準に来たけど、娯楽作はまだまだコスプレだ。タイツを履いたバットマンと同じところにいる。 商業的には色々チャンスがあるんだろう。 [地上波(邦画)] 5点(2014-08-05 22:42:20) |
8. ダブル・ミッション
無念だけど、ジャッキーじゃなかったらと思うと胸が痛くなる。80年代の檻から抜け出ることが出来なかった人はこれを見たら切なくなるだろう。 [地上波(吹替)] 6点(2014-08-04 15:33:43) |
9. 英国王のスピーチ
《ネタバレ》 猫は、いい。するすると人が行き交う中から、ちょっとした植え込みへ座る場所を変えて、寝転ぶ。時々はニャーとかなんとかないて、人を呼びつけたかと思うとやっぱりどうでも良くなってまたするする逃げる。 彼らは自由だ。ものすごく。毛皮を着ていても風に吹かれれば寒がるし、冷房の空気が流れ込むところを見つければ、それに人が気がつく頃には先に寝転んでいる。この失礼極まりない、だれにも媚びない彼らが一つニャーニャー泣き叫んで欲しがる物がある。 カリカリだ。フリスキーだ。キャラットもウマい。 欲望に忠実すぎて、餌の前では全くの囚人でありながら、ぐるぐるならす喉と出し過ぎなくらいの腹から見ても間違いないくらい満足しているのだろう。 ジョージ六世は、割と自由だ。囚人のようでいて、自分を伸ばし可能性を広げるチャンスを生かす自由を選ぶことが出来た。時々ローグのしつけからするする逃げ出してしまう彼だが、ローグのやり方だってまずい時もある。 でも、彼らの関係は時折、猫と人の様に対等以上で、なびかない猫を見た人間が手の打ちようの無さに落胆を隠せない時のようなことだってある。 それに、猫のように気高いジョージは、ただの人であるローグに容赦ない尊大な態度を取る。それでいいんですよ、とローグは説明するがジョージは高貴な生まれを巧妙に使いつつもそれに迷う。 だけど、お互いがまた存在を確かめ合うときっとお互いに、 「ありがとう」 って言うんだろう。ジョージがウンコファックと絶叫したあの時間の中に、くくりを超えた熱があった。うっすら光り始めた何かはその時消えてしまったけど、それでも彼らはズンズン前に進んでいった。 [地上波(吹替)] 8点(2014-02-28 13:14:10) |
10. パシフィック・リム
《ネタバレ》 冒頭。109のIMAXに衝撃が走る。小うるさくマナーを口にするコップのフチ子であるが、マナーのことなど全く耳に入らない程パンツが見えそうである。見えそうで見ない。この段階ですでにボルテージは上がっている。 日本のロボット文化へのリスペクトを前面に押し出している本作であるが、実際の所、日本のロボットは微妙でありカッコいいということを後天的に埋め込まれていないと、そのような感受性が生まれないということを実は日本の作り手は自覚していない。 伸びる関節、止め絵、歌舞伎のような決めポーズ、西洋甲冑への劣等感。欧米圏で一切格好良く思われないこれらのフィーチャーをすべて乗り越えて、それでも日本の人型ロボットをカッコいいとわざわざ思ってくれるアメリカ人も確かにいる。 イェーガーと呼ばれるロボット群の、機械的な美しさに日本のアニメロボット好きは気付いただろうか。 関節や可動部への愛、金属の限界、巨大な構造物が動くかもしれない期待感。こういったものへ日本のロボット作家が発明したエッセンスを、理性の許すギリギリに振りかけてデザインされた美しさに気付いただろうか。 ガンダムのような西洋甲冑コンプレックスに押しつぶされた記号性の無意味さは、西洋甲冑に元々なんの魅力も感じない西洋人には一切通用しない。人間のような二足自律歩行をロボットが本当にしてしまう技術力が現実にあり、それを目にした、人間個々の高度なロボット解釈がイェーガー達には詰め込まれている。 今、危機と言わざるを得ない。円谷が発明した怪獣災害という概念は、昇華しいつの間にかスクリーンの中で孤高の存在である。同様に、日本のロボットメディアは現実のロボット産業のごとく、周回遅れ以上の差がついた。 棒立ちの着ぐるみ怪獣が銀色の宇宙人にしこたま殴られて爆発してる場合では無い。コンプレックス丸出しの汎スラブ色の甲冑型ゴム製ロボで子供が口喧嘩する紙芝居ももういい。自覚するときでは無いだろうか。 イェーガーのかっこよさは、わざとらしくとも所々に工業的な不格好さが埋め込まれた本当なら日本の作家達が発明すべきかっこよさだ。 それ故この作品は凄い。109でフチ子のパンツが見えそうで、ロボで怪獣を何回もやっつける。である。何度も言うが、フチ子のパンツと怪獣と人型ロボットだ。それなのに、おもしろいのである。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-17 01:16:38)(良:1票) |
11. 劇場版 SPEC~天~
これにお金を払う人がいて劇場公開しても良いくらい景気が良かったんだっけか。 [DVD(邦画)] 2点(2013-07-29 21:57:41) |
12. ポテチ
これはあかん。 良い話である。 [DVD(邦画)] 8点(2013-06-16 16:37:08)(良:1票) |
13. うさぎドロップ
《ネタバレ》 作家活動が軌道に乗りそうだから子供とかあんたにあげるよな母親っていうのが、コイツバカじゃねえのか?と、思わせるけどなるほど上手い設定だなとうなる。 間に挟まれる踊りの寸劇は如何なものかと思いつつも、コーヒーをすすってその妄想が終わるのを待っても良い余力はあった。それでも、いくら主観を喋らせても映像であって、その壁はなかなか高くて越えられない。超える必要自体感じられないのだけど、何故かそこに執着する映画は多いと思う。越えられないと言う媒体特性にもう少しの許容があっても良かった様な気がする。 このストーリーでマンガであるという原作に軽く驚く。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-09 04:35:05) |
14. アイス・カチャンは恋の味
《ネタバレ》 意外と良い話じゃないか。テーマと主演が秀逸。 ほんの少しだけ届いたと感じさせるんだけど実は届いていなくて。そう言うのしみるぜ的な。 でも本当はそういうことじゃないんだよね的な、しみやがり加減がなかなかいいじゃないか。 マレーシア映画と言う事で観はじめたのだけど、いつまでたっても東南アジアなテイストが出てこないので焦った。何語を喋ってるのか皆目検討がつかず。最後にさいちぇんって聴こえたから中国語なのか、華僑が多いらしいので無理に納得。あとどこで止めても絵になるぜ的に絵が綺麗。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-31 21:12:44) |
15. 麒麟の翼~劇場版・新参者~
グリッソム主任なら50分で二本は片付くであろう犯罪だったけど、雰囲気はそんなに悪くなかった。テーマは秀逸。 [地上波(邦画)] 6点(2013-05-30 00:47:18) |
16. バトルシップ(2012)
《ネタバレ》 五月の大型連休の前日、東海道線にゴトゴト揺られて実家に帰った。茅ヶ崎駅を降り、タクシーのドアを開けてもらうその寸前で、 「おーい。こっちこっち」と、家族の声がする。ああ、来やがった。ゆっくりさせろよお祖父ちゃん。聞こえる声量で言ったはずだけど、全く気にしてない。 「良いぞ-今年は、これ見よ、これ」どうだ孫よ。 「バトルシップ」良し、見よう。今すぐ見よう。と完全に舞い上がっている。お花見以来の孫を待っていたにしては、何故バトルシップなのか。去年より疲れる。 「ポップコーン買ったか?ああぁ後あれ、特保のコーラあれは必要」などと、イトーヨーカドーにあれこれ買いに行く。 ふと記憶がよみがえる。 左頬が痛い。凄く痛い。 近所の仲間と遊んでいたところ、喧嘩になってしまった。1対五では分が悪い。ジリジリと殴り合いが始まろうとしていた刹那。 「イカーン!」と、いきなり祖父さんが止めに入ってきたのだ。そして、どう言うわけか床に堅いものを落とした様な音が僕の頭の中で響く。僕が思う様殴られ、友達はポカーンと、何の話だったっけな状態である。そこから何故か怒号にて説教。曰く、五人がかりで何やってんだと。僕も五人相手に険悪にしてどうするのかともっともらしいことを叩き付けられた。それだけでどこかに行ってしまった。 何とも気まずくなったので又明日遊ぼう、と家に帰ると何食わぬ顔で祖父さん夕食つまみ食いである。 「凄く痛い。じいちゃんスゲエ痛い」 「喧嘩になってみろよ、もう何カ所か痛かったはずだろ?一個で済んじゃった」良かったな、孫よ。 畜生、メチャクチャな大人がいるよ。 そして今、祖父さんはバトルシップに夢中だ。良いか、アーレーバーグ級三隻だろ?敵はエイリアン。可愛そうだなぁエイリアン。米軍が強い前提で見ている祖父さん。一緒になって 「撃ちー方始め」 とはしゃいでいる。 この後みょうこうが撃沈し、軍艦が登場すると 「俺たちに任せろ!」と敬礼までしている。海軍式である。熱い。 僕も、祖父さんの横でイージス艦がこんなに弱くねえ。あんなのCIWSとオットーで百発投げてもあたんねーよ!とガリガリハマってる。畜生、連休が始まる前の夜にこんなもん見せやがって、次の日まんまと横須賀に護衛艦を観に行った二人であった。 完全にジジイの思うつぼなのが非常に忌々しい。 [ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 9点(2013-05-29 02:57:30)(良:2票) |
17. 希望の国
《ネタバレ》 「まあ大丈夫だろう」 「騒ぎすぎ」 「格好付けるなよ」 「知ったかぶっちゃって」 「これくらい」 「気持ち悪い」 「面倒くさい」 こう言った雑音が、その日所々から聞こえた。 「落ち着こうよ」 「気をつけないと」 「大変なことになったらどうするんだ」 「何かおかしいほどじゃない?」 「どうなっちゃうんだよ」 それでも一様に、誰もが心の中で何度も、何度も繰り返して、口の中で唱えるようにつぶやいた。 「大きいぞ」 我々が住む東京は、今から考えれば絶望的な地震が襲って何もかもが崩れてしまった、と言うことは無かった。それは東北でも同じようなことだったかもしれない。だけど、その「思ったより揺れていない」と言う事実は人を急速に蝕んだ。油断が、である。 あの日、仕事を途中で切り上げて国道一号前のレストランでだらだらと、帰るか帰らないか、止まってしまおうか明日休んでしまおうか等とまだ明るい窓の外を眺めながらひたすらおしゃべりに興じた。 しかし、異様な光景がずっと止まらずに繰り返しそこにある事に段々と気付く。 人の列がいつまで経っても途切れない。一人が気付くと、そこに居る何人もが「あ」と声を上げる。一斉に帰宅した我々も、窓の外の人の列もどうという予定も無く出てきてしまったのだった。 このまま歩いては帰れないと言う人を残して、比較的近所に自宅のある私は群れの中に紛れて見慣れた交差点まで一緒に歩くことにした。 水田に流れ込む津波や燃える街などのリアルタイム映像が止むこと無くテレビで流れ続ける。次の日には原発が爆発してしまった。もう生きていけないんじゃ無いだろうか。とすら誰もが思った。だけど、生きてる。もう二三台原発が爆発しても私たちはきっと生きてる。だから、今はまだ諦める時じゃ無い。 地震や原発がある人がその人であると形作る決定的な物を壊してしまって、その人はその人じゃ居られなくなってしまった。死んだら何もならない、そんな気持ちを伝えてしまうと自分が残酷な人間になってしまう。でも、もう完全な手詰まりをそこに見とがめてしまったら、やはり人は自分の命を絶つ。 母親は生き残って、狂ったような生き恥を晒して、護っていたのは何だろう。少々のセシウムから子は護れても、狂ってしまったお母さんからその子を護れない。 色々な物が、そう言えばボロボロになってしまった。 [DVD(邦画)] 7点(2013-05-28 02:30:31) |
18. 探偵はBARにいる
《ネタバレ》 相棒は重要だ。特に探偵に相棒は必須だ。居ないとダメだ、必ず。相棒が居なければピンチのさなかも一人だし傷つくことを言われたって自力で回復しなきゃいけない。困った物だ。でも、ススキノの探偵には彼にぴったりの相棒が居る。 僕の同級生、彼は探偵だった。横浜で探偵をやっていた。引退した動機は「危ない目に遭って続けていく自信がなくなった」だそうだが、未だ彼の放つ雰囲気に、いつも僕は怯む。ソファでゲームをやりながら二人、どうでも良い会話が弾む。酒が入って勢いが付いてくると血の気の引くような体験談も飛び出すのだが、同じ話がループするので自然免疫も付く。 「あのさ、会社で不正をやってるおじさんが居て、突き止めた上で釘を刺したくなるよな」 などと冗談でつぶやく。酔ってグチっぽくなった。が、 「やるか。おい、面白そうじゃん。今からやろう」 乗らなくて良い話に、無くて良い行動力で乗ってくるのがこの男だ。え?いや、そこまでしなくてもね、良いんだけど。と詰まる僕の横でもう一〇四相手に適当な事を言っている。そして抗しきれない質問に、酒と普段の腹立ちからぽろりと情報を与え始めてる自分も、いつしか乗り気だった。 彼は一週間この件にのめり込んで、毎晩桜木町の飲み屋で会社のおじさんの意外な側面を僕に聞かせた。 一週間後の夜、 「やっぱりやめよう。この辺にしておくか」と、彼はらしくない事を言う。 「ん?んーもう良いでしょ。二重の浮気とか金が欲しい理由も分かったし、このまま話持ちかけたりしても後味悪いから俺もやめた方が良いと思うんだ」だよねーと同意するが、どうもそう言うことだけが理由では無いらしい。何か危ない目にも遭った、と言うのだ。詳細は語らないのだが、こりゃあ一人ではやらない方が良いし、何人か居てもこういうことはしないことにした。という。 やっぱり探偵は危ない目に遭ったときに登場する普段少し抜けてる相棒が居て、護るべきヒロインなんかが居ない限りは、割の良い業務じゃ無いらしい。とは言え、刺激的な一週間を過ごした。 この映画では、『俺』には味わいのある相棒と、女優のようなヒロインがバッチリ居る。ドラマの様なトリックとどんでん返しもあるのに、終盤に探偵がワイルドカードになってしまったのが、ひどく残念でならない。 そう言えば、あのおじさんの何が危なかったんだろう。聞きそびれた。 [地上波(邦画)] 7点(2013-05-21 18:14:29) |
19. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 まばらに帰り始める同級生にばいばーいとさよならを投げかけつつ、部活の準備をする。 そろそろ帰宅部の連中は駅やアパートに向かって行ってしまった頃になる。そうすると僕らの第二格技場に向かう広い道で四人のクラスメイトが、ケチをつけてくる。いつもの出来事である。 「ねー、そんなにガチにやんなくても良いから帰ろうよ」 街で遊ぼうよという彼の気持ちは分かる。出来るだけ大勢が良いと言うのもだ。でもこの日は単調なトレーニングが中心だったからかつい、練習したいから遊びにいってくれ。と、僕は強く言ってしまう。このとき生じた彼らの中の黒い気持ちは、すぐに大きくなって僕に向かった。 「あのさ、ここはお前んちじゃねえし」俺らの勝手だし。一人が乱暴に近づいて僕の襟首を引き寄せると、彼らの心から本音のような物が溢れてきた。 不愉快だったのは彼らのせいでは無かったと思う。けど、僕は彼の右腕に僕の右腕をするすると這わせて肩口をつかんだまま、背後に立った。用意していた左手でつかんだ後ろ襟から彼に重しを掛けるとすぐに膝を突かせて自由を奪った。視界が揺れた瞬間の出来事に何が起こったのか彼は理解できないようだった。 今にも暴行事件になりそうな雰囲気に、残りの三人は顔色を変えてすまんすまん、コイツが悪い。悪かった。と、慌てて走り寄ってきた。 「いや、そう言うつもりでは無く、なんか怒っちゃってすまん」と、今にも壊れそうになっている人間関係を取りなそうと、僕も含めて全員必死だ。 彼らの中に溜まっていた、「何かに打ち込みたい」という応力が心を折って、今日は外に向かってしまったのだった。僕の一言が原因でもあった。 だけど、この一件で僕の心も何となく本当は打ち込んでいない事実を自分のなかに見つけてしまった。 厭々やっている。自分で選んで入ったのに。仲間が無心でサンドバッグを打ち続けているその傍で、僕も怒声を上げて人を蹴り上げている。嫌なのに。 そうやって月日が経っていくうちに、部活には出なくなってしまった。 結局、僕も講義が終わるとベンチに座って遊びに行くのを誘う側に立っている。「何かに打ち込みたい」って思いながら。 新しい仲間全員がそう思っていない事を意外に思い、でも、自分だけが勝手に狭い価値観を作り出している事にやっと気がついた。 と、脳内学園で事件が起こった。 [DVD(邦画)] 9点(2013-05-15 13:41:29) |
20. サラリーマンNEO 劇場版(笑)
《ネタバレ》 今日はご馳走作ったぞ。という母がドン、とテーブルにカレーライスを置く。サラダとカレーライスに相応しすぎるコップを突きだして、水汲もう水、早く早くというのである。宿題をやったかどうかとかゲームは一時間までだとか、いつものやりとりを終えて今日はご馳走か、何だろと聞こえるようにつぶやくが作ったと言う返事のみが返ってくるのだった。その日は偶然家族が出払って二人だけの食事となった。 「それでご馳走って何が出て来るの?」と期待にみなぎった問いを発する息子に母は今食べてるじゃないカレーよカレー。カレー一皿とレタスに掛けるドレッシングのみのご馳走とはこれいかに。想像の領域から外側にちょっぴりはみ出ていた。 「いや、美味しいね。お母さん美味しいよ。カレー」ハウス食品が作ったルーが美味しいのであってこの場合限りなくご馳走的意味合いは薄い。 「良く味わって食べなさいよー、肉がいつもより100円高いしほうれん草たくさんが入っております。凄いでしょ」でしょ?と言われても。確かにほうれん草のソテーがカレーに混ざると美味しいねであるが、いつものタマネギどっさりはどこ行った、である。 博多よかばい食品が出てこなかったのである。その上COSTも無かった。つまり、見事に私の嗜好はスルーされる結果となり、非常に無念極まりない鑑賞時間になった。確かにドラマ仕立てでプロジェクトX的な話をセクスィー部長に締めてもらうのも悪くは無いのだが、あの、なんかイライラするよかばい食品の人たちも、そもそも長すぎてそんなに大勢は見ていないだろうLOSTを丁寧にネタにしたCOSTも他の配役に降られて消滅していた。 カレーもご馳走でなくてもいつも通りに作った奴の方が良かったのだが、たまに出て来る自称ご馳走も食べておくかと、カレーの事は忘れていつもの会話に戻っていく。サラリーマンNEOの劇場版もたまに現れた自称ご馳走みたいな物なのかと見終わる頃には納得していた。 ちなみに、いつものカレーは一皿に対してタマネギ一個入っており、それが茶色くなるまで素揚げされ、良く油切りされた物が使われている。にんじんは入って居らず肉は豚肉細切れである。カリカリにフライされたジャガイモは皿に盛られた後カレーが掛かり歯応えが抜群であった。ルーはバーモントである。 どう考えてもほうれん草ソテーのカレー掛けよりも美味しそうである。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-05-13 16:07:52) |