1. 時をかける少女(2006)
《ネタバレ》 ヒロインとぼくはたぶん20年以上も世代が違うはずなのに。なんなんだろう、この共感は。この共感こそが、この映画を名作たらしめている最大の要因。(共感をよぶために細田監督は夏の風景やプリンやカラオケなど最大限の努力をしているけれど)胸がしめつけられるような切なさが最初から最後まであふれています。なんというセンチメンタル。すばらしい。 [DVD(邦画)] 10点(2010-03-01 11:50:36) |
2. サマーウォーズ
《ネタバレ》 古くはマシュー・ブロデリックの「ウォー・ゲーム」、最近だと「イーグル・アイ」、 題材に新しさはない。が、この映画のイマジネーションの炸裂ぶりはすごい。長野の美しい自然の描き方、バーチャルシーンでのまるでフリーダムな描写法、なにをとっても一級品。観ているあいだ脳汁があふれまくります。こんなアニメ、世界中でも日本でしか作れない。アニメ文化が真に成熟した国でないとこの映像は出てこない。久々にこの国の国民であることを誇りに思う映画でした。DVDが出たら観ればいいやとおもってるあなた、いますぐ映画館へ! [映画館(邦画)] 10点(2009-09-06 21:26:33) |
3. グラン・トリノ
《ネタバレ》 悩んだ挙句に10点献上。ウォルトの人物像に激しく共感。少々政治的な寓話の匂いを感じ取ることもできるけれど、クリント・イーストウッドが真に言いたいことは「良識とはなにか」でしょう。映画のテーマとしてそんなど真ん中のものをケレン味もなくストレートに描ききった、その勇気と力量に感服しました。たぶんDVD買っちゃうな。 [映画館(字幕)] 10点(2009-05-04 00:53:16) |
4. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 宮崎監督、ジジイの妄想大爆発! そのイマジネーションの引き出しの多さに完全にノックアウトされました。どこからが現実でどこからが夢なのか、それともすべてが夢なのか、そんなストーリーの穴なんかどうでもいいぐらい、いろんなシーンにメロメロです。高波の上をポニョが走るシーンなんておしっこもらすかとおもうぐらい感動しました。ここまで妄想して、その妄想をここまで映像化できるというのは、映画文化の成熟した国の人間にしかできないことでしょう。日本人に生まれてよかったと心から想いました。 [映画館(邦画)] 10点(2008-10-06 12:12:21) |
5. シャーロック・ホームズ(2009)
欧米発「やおい」映画キター! 腐女子文化がアングロサクソンにも浸透したのかと確信してしまうほど、ロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウが組んず解れつ、付かず離れず、ステキ光線だしまくり。2人のイチャイチャっぷりが楽しさの約半分を占めますが、演出のテンポもよく、薄汚れたロンドンの雰囲気もおもしろく、見どころは満載。あちこちの映画館で満席が続いているようですが、これなら納得。映画らしいダイナミズムもケレン味もたっぷりなので、ぜひ映画館で見ることをおすすめします。 [映画館(字幕)] 9点(2010-03-23 11:46:32) |
6. スペル
サム・ライミという人はキリスト教的価値観にとらわれない人だなあ。「がんばれば道は開ける」とか「許しを請えば許される」とか、そういう安っぽい(西洋的ともいうけれど)考え方を、鼻クソのように丸めて捨ててます。場内爆笑のテンポ感あふれるホラー描写、すさまじいスピード感、すべてが一級品。サム・ライミよ、古巣に帰ってきてくれて本当にありがとう。文句なしに10点っていきたいところが、邦題が最悪、-1です。ていうか原題がすばらしすぎるんだけどね。 [映画館(字幕)] 9点(2009-11-14 16:13:09) |
7. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 感動しました。まっすぐな一本道をなんの迷いもなく最後まで歩ける映画です。見ていて邪念が起きませんし(この人なんでこんな服きてるんだろ、とか、このエピソード辻褄あってない、とか)、主人公に素直に感情移入できます。そんな映画、実は少なかったりしますもんね。アンジェリーナ・ジョリーってこんなに素晴らしい俳優だとは、これを見るまで知りませんでした。いやあ、実に感動。 [映画館(字幕)] 9点(2009-04-28 18:30:54) |
8. パコと魔法の絵本
《ネタバレ》 最初の20分ほど、人物紹介がちょっとたるい。が、それを乗り越えると俄然おもしろくなります。ファンタジー感あふれるすばらしいCGに負けない役者たちの熱い芝居も見どころ。なんといっても役所広司がすごい。この人の俳優としての底力をまざまざと見せられた思いです。登場人物が多すぎるかな、という点でマイナス1点。 [映画館(邦画)] 9点(2008-10-06 12:19:23) |
9. おくりびと
日本人の「死ぬ」尊厳をていねいに描いた秀作。冬の山形の白っぽい風景描写や、建物のちょっとした洋風趣味を取り入れたのも、映画の雰囲気を創りだすのに成功しているようです。ところどころ小っ恥ずかしいセリフがあるのと、広末の年齢不祥な演技が気になったのでマイナス1点。 [映画館(邦画)] 9点(2008-10-06 11:48:37) |
10. ハート・ロッカー
ハッキリ言わせていただくが、これはれっきとしたエロ映画です。過剰なまでのオスの表現が最後までみっちり詰まってます。男の記号【無茶・無謀・大酒のみ・無意味な裸】が満載。個人的にはかなり萌えましたが、日本女子にはうっとうしいだけかもね。気になったのは全体にわたる手ブレ映像。ライブ感があるけれど、だんだん見るのに疲れてくる。それでもスクリーン全体から匂いたつようなオスの香りでチャラになります。なんていやらしい。 [映画館(字幕)] 8点(2010-03-08 11:35:14)(笑:2票) |
11. アバター(2009)
《ネタバレ》 引き合いに出して悪いんだけど、CGがすごい映画という意味でどうしても『2012』と比べてしまう…もちろんあっちが薄っぺら。こちらは映像美を堪能できるだけでなく、舞台設定の奥深さ、人間描写の細かさなどもしっかり楽しめます。この描き出される世界に、目も心も入り込んでしまいます。まさに夢心地。とはいえ、SFとして見るならば異人種の造形がちょっと類型だったり、ストーリーがありきたりだったりするのは小さくない欠点ですが、それでも魅力にあふれた映画ではあります。余談ですがシガニー・ウィーバーがナヴィになっても顔がまったく変わらないってのはいかがなもんだろう。本人怒らなかったのか? [映画館(字幕)] 8点(2010-01-14 15:53:37) |
12. 少年メリケンサック
テンポ良く、変な脱線もなく、言いたいこともハッキリしていて、実に楽しい映画。宮崎あおいは「篤姫」よりこっちのほうがイキイキしていて魅力的に見えます。あ、あと小汚くても佐藤浩市は佐藤浩市。なんかカッコいいのが玉に瑕です。 [映画館(邦画)] 8点(2009-04-28 18:23:47) |
13. 007/慰めの報酬
《ネタバレ》 ずいぶん時間がたったので前作のストーリーはほとんど忘れてましたが、それでも十分に楽しめました。つまり、前作見てなくてもまったく問題ないと思います。というか、ストーリーはぶっちゃけどうでもいい、というスタンスの映画かも。初頭20分のアクションは見逃すべからず。映画の開始時間に遅れたら次の回を待ちましょう。そのぐらい初頭20分がすごい。というわけでアクションを楽しむならぜひ。難点はボンドの「人間性」。たぶんダニエル・クレイグの芝居のせいだと思うのだけれど、ちょっとサイボーグっぽいの。恋をしたり、眠れなかったり、と人間くさいエピソードが出てくる割には、いつでも最強・最悪・最凶。かっこいいし、スタイルもすばらしいんだけど、人間としての体温を感じにくいので「あこがれの対象」にはならないかなあ、と思いました。ショーン・コネリーとの違いはそこかもしれない。 [映画館(字幕)] 8点(2009-01-26 01:46:34) |
14. インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
前の三作より「広げた風呂敷がデカい」。もうまとめられないほどデカい。破天荒というか荒唐無稽というか…デタラメとかトンチンカンとかのほうが言葉が近いかな(笑)。観ている間にずいぶんな回数失笑してしまいました。でもね、それがこの映画の良さです。小粒なSFより、爆発したデタラメ話のほうがおもしろいに決まっています。個人的には非常に好感をもって最後まで観られた映画でした。 ハリソン・フォードはいまだにセクシー。それもすごい。 [映画館(字幕)] 8点(2009-01-18 23:33:11) |
15. ノーカントリー
最後まで飽きない、ぎっしり詰まった造り。この重ったるさが好き嫌い分かれるだろうけど、ストーリーの重さに負けないハビエル・バルデムの重量級の存在感を観るだけでも一見の価値ありです。重さの割には読後感がすっきりなのもまたよし。 [映画館(字幕)] 8点(2009-01-18 23:18:07) |
16. ハッピーフライト(2008)
《ネタバレ》 「テレビっぽい」。が、それがダメかっていうとそんなことないです。軽薄な感じがこの映画の醍醐味かと。テンポがよく、少しハラハラもして、笑いもいっぱい。主役らしい人を決めない群像劇って日本ではあまり思い出せないけれど、この映画はまさにそれ。視点がくるくる変わるので見ていて飽きません。 内容的に気に入ったのは、トラブルの原因が、勘違いしたプロ市民団体ってとこかな(笑)。リアリティばっちりで、すごくあり得そう。 [映画館(邦画)] 8点(2008-12-16 12:15:12) |
17. おろち
みどころは主演女優2人の本気の殴り合い。いやあ、爆笑しました。 [映画館(邦画)] 8点(2008-11-03 23:40:18) |
18. 抱擁のかけら
みんな見てないのかな? さすがアルモドバル!「こっくり甘辛煮」といった映像とストーリー展開。わかりやすさはないけれど、登場人物の心の動きが手に取るように感じられ、どっぷりとつくられた世界に浸ってしまう。ただし、この監督の旧作のような(例えば「オールアバウトマイマザー」)キレのある、スパッスパッといった展開がないのが退屈に感じる人もいるかも。 [映画館(字幕)] 7点(2010-02-25 11:33:45) |
19. 20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗
《ネタバレ》 前作でも書きましたが「新春かくし芸大会」の域を脱していないのは今作も同じ。ただ、あれだけとっちらかった原作をよくまとめたなあ、と。煙に巻かれた印象はなく、観客にストーリーを理解させることにしっかり気を配っています。原作より読後感がほんのちょっとさわやかなのもまたよし。よって脚本のみに7点献上。しかしアレだね、役者全員が「ちょっといい芝居をしてやろう」という意志がゼロなのはいかがなもんだろう。全員が全員、台本どおりやってギャラもらってさっさと帰りたい、と顔に書いてあるみたい。呆れちゃう。 [映画館(邦画)] 7点(2009-11-04 17:22:53) |
20. 南極料理人
南極の、どこまでいっても雪雪雪…という摩訶不思議な閉塞感がよくでてる。その閉塞感のなかで事件らしい事件が何も起こらない、というなんともまったりした映画。そのまったりが実に楽しい。登場人物のひとりひとりがとても愛おしく感じました。一年という時間の長さを表現するために、たぶん意図的に演出を間が抜けているようにしているんだと思うけど、最後のほうになるとその間にも少々飽き飽きしてくるわけですが…気が短い人はやめておいたほうがいいかも。いわゆるスピード感とかいうシロモノとは無縁の映画です。食い物がやたらうまそうなのは◎。 [映画館(邦画)] 7点(2009-09-28 23:32:44)(良:1票) |