1. ザ・ブリザード
《ネタバレ》 主人公の命を思うフィアンセと、人命救助の仕事に忠実な司令官の掛け合い、とっても良かったです。どっちの正義も痛いほどにわかる。そしてどっちの正義も相入れることがない。司令官、フィアンセに冷たく返し続ける言葉、内心辛かったろうな。その内心を表現し得ないところを、見た目に優しさと強い誠実さを感じられるエリック・バナという配役にしたのは良かったと思います。 ボートに遭難者を乗せた後の主人公と司令官の掛け合いも、同じくgood! これ、もし全員死亡してたら「だから言わんこっちゃない、無理せず人数に見切りをつけるべきだった」「司令官の指示に従ってれば無駄に死人を増やさなかった」など世間は言いたがるもの。 この奇跡的幸運の数々が現実にあったということは貴重。 フィアンセ役の女性、僕的に顔は好みじゃないけれど、それでも役柄はとっても健気でチャーミングで好きになりました。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-16 02:40:32) |
2. レヴェナント 蘇えりし者
《ネタバレ》 緊迫感あって楽しめたのですが…… ラストへの展開で全てが台無しになるかのようなマイナス印象。宿敵はもろに悪魔のような存在だが、自分が生き残るためなら手段を選ばないという存在が、自分が殺されようとしている時にのうのうと主人公への批判など普通しないだろう。 殺した本人が「帰ってはこないんだ」と平気で言っちゃう奴だとしたら、もう完全に悪魔なわけだから神に裁かれるというのは納得もできるが、それを人間が決めるということ自体、他人の不幸に「天罰が下った」という奴と変わらないではないか。ちゃんと自分で殺して欲しかった。それも瞬殺ではなく長く苦しむように殺って欲しかった。そして少し気分が晴れた表情して欲しかった。 なんだ、あのラストシーンは。「殺人の追憶」か? ダッサ‼︎ エンドロールにイニャリトゥの名を見て「またこいつか!」と呆れた。この人は最近面白くはなってきたが、結局向かっていく結論がダサすぎて最後にものすごくドッチラケル! [DVD(字幕)] 4点(2016-11-16 02:07:48) |
3. メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮
《ネタバレ》 今度はゾンビかぁ…と、既視感いっぱいの映像で暇つぶし。クモ怪物よりはマシだった。砂漠の中、青空にそびえる崩壊ビル群の映像も綺麗でした。「希望って危険な言葉だと思う」というセリフが気に入りました。前作に比べたら、今回の終わり方は次の成り行きを見守りたい気にさせてくれました。とは言っても、ものすごくハードルを下げて観たからであって、謎の出し渋りが半端なく、退屈な映画です。 [DVD(吹替)] 3点(2016-11-16 01:37:09) |
4. 追憶の森
《ネタバレ》 ようやく樹海の自殺志願者の映画が登場と期待したのですが、あまりのウダウダ話に全くついていけず。わざとらしくすれ違い傷つけ合い距離を置き合う。ここまで行き違う夫婦に愛が戻るとか、あるのでしょうか? [DVD(字幕)] 2点(2016-11-08 01:57:30) |
5. ムーン・ウォーカーズ
《ネタバレ》 キューブリックは人生最後の作品にイルミナティの存在を暴露する『アイズ・ワイド・シャット』を撮ったそうですね。 月面着陸捏造説の真偽は知る由もありませんが、宇宙飛行士の頭上から照明が落ちてきて月の地平線からスタッフがわらわらと出てくる動画は見たことがあります。なので、コメディということを了解しつつ、けっこう期待していたのですが、あまりの軽薄なイジリ様についていくのが困難でした。 ものすごい大金を用意しての初対面者との取引に、マヌケすぎる間違い。このあり得ない発端を見逃しながらハリポタのロンの演技を楽しんでいましたが、キューブリックがジャンキーのオカマで気違い染みたクリエイターにされちゃってるのを見たら「この映画の本当の意図は茶化しと揉み消し?」と逆に感じたほど(あれキューブリックじゃないなら私の勘違いで、あの人物の紹介シーンを見落としているかも)。 いずれにせよ、それほど笑えもしないし、成り行きにハラハラもしないし、ガッカリでした。 [DVD(字幕)] 4点(2016-10-30 00:20:45) |
6. ダラス・バイヤーズクラブ
《ネタバレ》 政府や法の如何に不正たるかは見ることができたので損はしなかった。ただ、あの女医の行動など事実だったのか、かなり胡散臭く感じる。主人公が正義だったかというと、そういうわけでもなく、手放しに彼を擁護すれば、自分たちの正当な権利を剥奪されることに拍車をかけるだけだろうと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2016-10-28 14:51:02) |
7. サウルの息子
《ネタバレ》 数週間生き延びるために同胞を地獄に送って処理する男。この姿を見てどう思えと? 数週間生き延びてこだわった事は周囲を不幸に巻き込むばかりで無意味。それくらいユダヤ人は悲惨な思いをしたと言いたいのだろうか? しかしユダヤの経典タルムードのことを思うと同情する気には全くなれないし、ホロコーストの歴史的記録も疑わしい。時間の無駄映画だった。 [DVD(字幕)] 0点(2016-10-28 14:43:53) |
8. グラスホッパー
《ネタバレ》 つまらなくはなく、そこそこに楽しめました。けれど、満足できない点が多い映画でもありました。幽霊が車を運転して去るという描きについていけないし、種明しの仕方が安直で面白くないし、大事な人を殺されて「タイムマシンだ」とか言って微笑みが出るものかなぁ? 1番苦しむべき悪は、とーっても楽な感じに苦しみもなく呆気なく死ぬし、冷凍庫の思い出とかで終わらせられても全く共感できません。なんで彼女は殺されて、しっかりクローズアップされて撮影されていたのか、あのハロウィンマスクの子は何者なのかもサッパリ分かりません。あの子の親はどこでどうしとるんじゃ?! まともじゃない。 [DVD(邦画)] 6点(2016-10-17 01:26:22) |
9. グッド・ライ いちばん優しい嘘
《ネタバレ》 観る価値のある良い話でした。「子供たちの悲鳴が消えない」と涙したシーンが1番印象に残ってます。それに対する元兵士の慰めの言葉は、優しさから発せられた言葉でしょうし、それ以外何が言えるかと問われれば、言葉もないのですが、私には腑に落ちない思いが残り続ける映画でした。平気で子供達を銃で追い回す大人たちの姿に対する怒りが消えないのです。最近のこの手の映画は、被害者とそれを支える人との交流は描くけれども、悲劇を作る張本人たちの問題は蚊帳の外で放置したままということが多い気がします。子供を平気で殺す大人に対する罰や責任の問題はどうなってるんでしょう? 子供を兵士にさせてしまう大人の責任も。 [DVD(字幕)] 8点(2016-10-17 01:03:30) |
10. 独裁者と小さな孫
《ネタバレ》 最後の浜辺のシーンで、一人のおばさんが叫んでたことが1番納得でした。酷いことですけど。 逆に「負の連鎖を断ち切るんだ」「踊らせるんだ」と自分の首を差し出した男の気が知れない。主張はしても良いが、自分の命を投げ出す価値が分からない。彼には家族も友もいないのか? 1番いいのは、あの孫を独裁者の目の前で殺し、独裁者にはずっと生き地獄を味わってもらうことでしょう。 こんな意見は褒められないこと分かってますけどね。 もう1つの考えは、独裁者を孫の目の前で最も悲惨な方法で長く苦しませて殺す。そして孫は一生生き地獄か自殺か。万が一、孫が復讐を誓って生きていかないように、長きにわたって孫の精神をくじく。 [DVD(字幕)] 1点(2016-10-15 16:40:56) |
11. 草原の実験
《ネタバレ》 何のために言葉を一切排したのだろう? あまりに不自然過ぎて「これは全くの虚構です」と主張されているようで、ノレませんでした。どんな嘘話であっても「この話は作り話です」と言い続ける話はシラけます。少女の顔はわりと好みでしたが、竹内まりやの「ケンカをやめて」みたいな下らない情景を引っ張るし、詩的でアートな画面構図も「キュピーマヨネーズのCMかっ!」と思っちゃう。いやぁ、こういうのは短編でサクッとまとめないとダメなんじゃない? [DVD(字幕)] 3点(2016-10-15 14:53:42) |
12. ラン・オールナイト
《ネタバレ》 エド・ハリスの役柄がとっても作品を引き立てていたと思います。ワルなんだけど、一定の義理人情を大事にしているキャラなので存在感ありました。観てる間は楽しめる作品だと思います。ただ、親子の確執はいまいちドライ過ぎに終わってあとに何も心に残りませんでした。僕にとっては、いつか忘れてしまうだろう作品でした。兄貴と子分の任侠映画みたいな感じでしたが、リーアム・ニーソンが倒れたエド・ハリスを抱くのは分かるけど、エド・ハリスがニーソンを撫でる真理は理解不能でした。そんな心境になれるなら殺そうとすんなよと思ってしまいました。自分の息子が殺されたのは仕方ないと思えないくらいニーソンを憎んだ男の心理として不可解。てっきり刺すかと思ったのに。その違和感だけ引っかかりましたが、楽しめたので7点です。 [DVD(字幕)] 7点(2016-05-18 01:30:40) |
13. グローリー/明日への行進
《ネタバレ》 オプラ・ウィンフリーは『カラー・パープル』の時と同じく白人に拳を上げてしまう役で、ちょっと笑ってしまいました。行進に多くの白人が加わったのには驚きと感動でしたが、その時、行進は中止されました。あれ、行進を続けてたらどうなっていたんだろうなと、考えても分からないことが気になって仕方ありませんでした。マーティン・シーン演じる判事さんが正義の人で良かったです。ケネディ暗殺やベトナム戦争の話が出てくる背景で、黒人が権利を勝ち取ってからまだ歴史は浅いのだなと感じました。ティム・ロスは憎まれ役ですが、彼が頑固だったおかげで「国の問題」に昇華できたとも言えるし、彼は結局のところ黒人の人権獲得に貢献する結果を導いたような気がします。 日本に住む日本人じゃない人の中に困った人種がいることを思うと、人種差別の問題というのは、この映画のように単純に考えるわけにはいかないなと思ったりもしました。黒人の歴史は無理矢理アメリカに運ばれて奴隷にされた始まりがあるのですから、白人たちが黒人を忌み嫌うならアメリカは黒人をアフリカに帰って生活できるように補償すべきでしょうし、そうしない以上はアメリカで幸福に自由に暮らせる権利を与えて当然と思えます。けれど、日本を侵略するために入り込んでる日本国内の〇〇人のことを同じように考えるわけにはいかないです。 人種問題とか差別の問題って難しいなと思います。キング牧師は判事が正義の人だったから道が開けたけど、これが今の日本の裁判官みたいなのが相手だったらうまくいかなかった可能性もあると思います。行進に白人が参加したことも含めていろいろ考えたのですが、結局、人種だのなんだので人間の質を決めつけてしまうことがいけないのであって、大事なのはその人間が正しいことをしている人か悪いことをしている人かを見極めることなんだろうなと思いました。とくに言葉ではなく行動こそを見るべきかと。耳に心地よい嘘をつく人は一杯いますから。 この映画の中で暴力団以下の下衆どもだった警察官が何の罪も無い人間を平気で殺して普通に生活を続けられる社会はどう考えても病んでいます。今の日本、支配層に都合悪い有力者を痴漢冤罪で陥れたり、〇〇人ヤクザなどに殺させて(時には自殺に見せかけもし)不問にしちゃう警察がいるのだから、まだまだです。署内に閉じ込めて水も飲ませずトイレにも行かせず外部に電話することも許さないなんてことが未だにあるのだから、日本は決して健全な社会ではありません。 差別や闘争を嫌う人にありがちなのが「とにかくみんな仲良く」というお花畑思考ですが、悪い事には戦わないとダメだって思います。けれど「非暴力で平和主義な者」と「平気で人を殺し罪に問われない支配者」の闘いって結局非暴力側は殺される覚悟がいるんですね。現在の日本でも命を狙われる体験をしながら世の不正と戦っている人がいるのだから、この物語は「昔の出来事」で片付ける話ではないなと思いました。 キング牧師は道程で凶弾に撃たれる恐怖は無かったのだろうか? 史実として残るものがなければ事実として描けないでしょうが、キング牧師が死の恐怖とどのように闘ってきたのかが知りたいと思いました。 [DVD(吹替)] 6点(2016-05-18 00:54:55) |
14. ベイマックス
《ネタバレ》 良い人そうに思ってた教授が…ってことぐらいしか印象に残っていない。あとは理系オタクでも大柄マッチョは実際いるんだろうねー…と思ったり、そういうキャラを「実は隠れオネェ?」と感じさせる瞬間ギャグにあららな気分になったり…でした。この作品、観る前からずーっと「なんでなの?」と気になり続けていることがあります。それは主人公と兄が日本人という設定にしたのは何故なのかということです。ロボット技術って日本が最も進んでるとか? マシュマロマンみたいな風船ロボのデザインもたしか日本のイラストレーターがやったんですよね。なんでこんなに日本をフィーチャーしてるのかな? いい大人が子供向けのアニメやヒーローものに恥ずかしげもなくフィーバーするオタク文化を一番のカモにできると算段してるような気もしたり、もっとなんかイヤーな裏をわけもなく感じてしまったり、どうにもハッキリ言葉では言い表せない第六感的なきみ悪さを感じてしまうのです。 [DVD(吹替)] 5点(2016-05-09 23:12:17) |
15. セッション
《ネタバレ》 妙に宣伝されまくりで、逆に引いてしまって冷めた目で傍観していたのですが、観てみたらかなり良かったです。これは生きる強さを教えてくれる映画だなと思いました。普通なら「こんなヤツ2度と信じるもんか!」と思いたいところですが「次のチャーリー・パーカーは何があっても挫折しない」この一言だけで全てを飲み込んでしまえる。納得してしまえる。この言葉こそは教師が主人公(そしてこの作品を観る者)に贈る最高のプレゼントだと思う。「どうせやられてしまうなら、自分からその人生を降りて行くのなら、自分の全てをぶつけ切ってからだ‼︎ どんな邪魔をされてもはねのけてやる!」そういう気合いがビシビシ響いてきました。主人公を呼んだのは教師なのだから、主人公は公の場でどう勝手に暴れようと責任は教師にある。才能がなければただ滅茶苦茶にしてやる反抗しかできないだろうが、才能がある者は、反撃の牙を自分の為にも敵の為にも仲間の為にもプラスに変える力があるということだろう。主人公はただ天から才能をもらったのではない。文字通り血のにじむ努力が描かれていた。それをやってきたからこそ、何が何でも粘れるとも考えられます。努力が無駄だったと思いたくないから。『自分を大切にできる』というのは、こういう裏付けがあればこそなんではないかと思いました。自分を愛することができるように、自分もできるだけ頑張るようにしたいと思いました。 [DVD(吹替)] 8点(2016-05-09 21:23:30)(良:1票) |
16. HERO(2015)
《ネタバレ》 TVドラマは全く見ていないし、劇場版も過去のは観ていません。ゆえに、キムタクと松たか子にどういう過去があったのか知らない僕は「この調子でずっと置いてけぼりなのかなー?」と不安も感じたんですが、TVシリーズで途中から加わったであろうメンバー達も同じであって、彼らと同じ目線に立って見ればいいんだと納得することに。2人にどういう経緯があったかは知らないけれど、重く包むタブー感の中での質問やツッコミは、内情知らなくても笑えました。北川景子と松たか子の関係も感じ良くて好感持ちました。現実世界ではどれだけこの映画と同じようにできるかという疑問はこの際置いておいて、呼び出しくらった所長のキレちゃう訴えに感動してしまいました。こんないい上司、現実にはなかなかいないでしょうけど、でも大事な理想像だと思います。理想とは現実を導く指針なので、このシーンを描いてくれたのは本当に嬉しく思います。 [DVD(邦画)] 8点(2016-05-07 17:49:49) |
17. トゥモローランド
《ネタバレ》 とてもつまらなそうな映画に思えてスルーしていましたが、ブラッド・バードが作った映画ということとTV連続ドラマ『アンダー・ザ・ドーム』のお姉さんが映画でどういう演技を見せるかも気になり、大ハズレ覚悟でレンタルしたのですが、まさか自分が涙を流してしまうとは思いもしませんでした。 夜の闇を照らすライトも、空を飛ぶ飛行機も、ボケットに入れられてゲームだって出来てしまう小型電話機も、黒人や女性が普通に社会参加できることも、そのむかし全ての人が「そんなの無理」と思い込み信じきっていたなら、誰もそれを現実に作ろうとはしなかっただろうし、今のこの世界は無いはずです。今のこの世界があるのは、無かったものを夢見て「作ろう」とした人たちがいたから。だから良いビジョンを持つことは大切なことだと思います。 子供の頃に夢想したキラキラ平和な未来のビジョンを、映画としては初めて目にしました! 忘れかけた大切なものを思い出させてくれました。 エンリケ・バリオス著 『アミ 小さな宇宙人』から、以下の言葉が、この映画を表すに最適と感じたので引用します。 ーーーーここから最後までーーーー 注意(おとなのみにむけた) 読み(観)続けないように!きっと面白くないでしょう。ここに書いてあるのは、すばらしいことばかりだから。 たいていのおとなにとって、おそろしいことのほうが、すばらしいことよりも、ずっと信じやすいことだから、ほんのひとにぎりのおとなしかぼくを理解しないだろう この青く美しい、まるい地球の 未来の後継者であり また、兄弟間に争いのない 新しい地球の建造者である すべての国の さまざまな年齢の 子どもたちに捧げる [DVD(吹替)] 10点(2016-05-07 17:18:34)(良:1票) |
18. ドローン・オブ・ウォー
《ネタバレ》 邦題はドローンに焦点が向けられているし、店頭でのキャッチもドローンを使った戦闘の不気味さを売りにしてましたが、その手の映像はネット動画で実際のものを結構目にしていたので、その点に関しては特に新鮮さはありませんでした。原題は「Good kill」。映画の中で、見事命中した時にかけられる言葉なんですが、「善い殺戮」みたいな意味にもなるわけで、ここがこの映画のテーマでした。CIAの命令で無関係の市民まで巻き添えに殺したり、助けに駆けつけた者をさらに殺したり、殺した標的の葬儀に集まった全員を殺したり…そういう納得いかない殺しをさせられる主人公の話。「戦争」という観点からはどうでもいい(標的として選ばれることのない)人間が、ある女性を日々痛めつけているのを空撮で目撃しながら何もできない主人公。アメリカ国民の安全のためと正当化されて無関係市民まで殺す実態の中で「Good kill」とは何なのかを問いかける作品でした。YouTube民に乗せられた日本のドローン少年の出来事もあり、ドローンという単語をタイトルに入れればキャッチーだと考えたのかもですが、やはりタイトルは映画の内容に沿ってなるべく原題が意図するところを大切に汲み取って邦題にして欲しいです。『ランボー』という独自邦題でヒットして原題より集客効果を上げた例もありますが、だからと言って最近軽々しくやり過ぎでは? [DVD(字幕)] 5点(2016-05-01 03:18:30) |
19. ヴィンセントが教えてくれたこと
《ネタバレ》 ナオミ・ワッツの低俗女っぷり演技が印象的でした。ビル・マーレイはいつの間にかおじいちゃんなんですねー。自分もそれだけ歳をとったわけですが…お腹が出て、年寄りにありがちな擦れた性格、疲れ切った消耗品みたいな感じですが、隣に越してきたいじめられっ子にケンカを教えるサンドバッグ所有のジイさん。おかげでいじめられっ子は反撃して勝つ。そしていじめっ子とお友達い〜。僕も中学時代になぜかちょっかい出して嫌がらせしてくるヤツがいて、ずっと適当におちゃらけて済ませてたんですが、ある日我慢の限界を超えるちょっかいがあって、とうとう突き飛ばしちゃいましたところ、その後嫌がらせがなくなっただけではなく、そいつと仲良しになったという思い出があります。若い頃はこういうことが不思議でもなく自然にあってました。僕は喧嘩の仕方を教えてくれる存在なんかいなかったけど、こういうのって子供時代には適度に必要って思います。でも、この映画でケンカを教えたのは疲れきったジイサマなわけで「カッコいいな」「こんな男になりたいな」とか思うような存在枠ではないわけです。でも映画の終盤あたりで、少年はジイさんの若き頃の笑顔でイキイキした写真を目撃します。たくましい上半身裸で仲間とファイティングポーズとって向き合い笑顔で戯れている写真など…。ずっと一緒に過ごしてきた親子でないからこそ、そのジイサマにもそんな時代があったのだというのは新鮮で衝撃的なはず。それがなくとも二人の間には既に信頼と友情が出来ていましたが、ジイさんの若い時を目撃した少年はきっと、そのジイさんが生きてきた歴史(共に歩んだ奥さんの歴史も)に敬意を持ったでしょう。少年にあれほどの発表文が書けるのか、教師がその発表をそのまま実際に許すものか、現実的には「?」も感じましたが、発表シーンはちょっと泣けちゃいました。エンドクレジット中の歌とビル・マーレイの感じ、すごく良かったです。 [DVD(吹替)] 6点(2016-05-01 02:46:36) |
20. 予告犯
《ネタバレ》 非常にスカッと楽しめました。完全芝居でゲイツが実は死んでなければ大拍手でしたが、そこまでは無理だったようで残念。仲間全員を(良い意味で)欺いておいて、どうやってあのビデオを撮ることができたのか? と思ってたら、ちゃんとそれもいい種明かしが後に出てきて、話作りがうまいなーと感心しました! 「あなたにはわからない」と言われた女が、どうわかる奴に変わっていくのかに大いに興味を抱いていたのですが、シンブンシ達の生い立ちや現在に至るまでを真剣に調べ始めるには、あと一押し強烈なキッカケが欲しかったなぁと思います。で、彼女の成長については、どうしても不満が残りました。「なんで助けを求めないのよ⁈」ってセリフがね、「結局あんたはわかってないじゃん」と感じてしまったのです。 そりゃ世の中悪い人ばかりじゃないけれど、助けに応じてくれる人に出会うまでに、いったいどれだけの数の裏切りや屈辱や落とし穴に耐えろっていうのか、それでも完璧に健全であり続けろというのか、わからないお前が「世の中は生きる価値がある」とか説得力ないわー。と、そこだけがどっと覚めてしまった部分でした。生活保護が必要な人だって、シブられてなかなか受けられなかったり、受けられても非難されたりナマポとバカにされたりな世の中なのに、無理な社会肯定観。ゲイツがヒョロに言った「お前が腎臓売ってまで来たかった国がこんなでごめんな」が、この映画での一番印象に残るセリフでした。物語のリアリティとして一つ大きく気になったのは、「さすがに仲間1人死んだら警察呼ばないの?」という点。違法な怪しい仕事っぽかったけど、だからって人死んでも黙ってるの? てのがねぇ。あと、欲を言えば「青酸カリだと信じ込んでるようだが実は違うんじゃね?」と思って見てしまうので、心中シーンは緊張しませんでした。魚か何かで試すような「本当に青酸カリです」と示す場面が欲しかったです。そういうわけで満点はつけられませんでしたが、ものすごく楽しめましたです! [DVD(邦画)] 9点(2016-04-23 01:22:43) |