1. 七人の侍
30年ぶりに観たけど、映画館で観たのは今回が初めて。面白過ぎる脚本と、黒澤映画史上最高に美しい映像に心はスクリーンに釘付け。とくに室内のシーンの黒色の美しさは筆舌に尽くし難い。何はともあれ三船敏郎のケツに10点。 [映画館(邦画)] 10点(2021-01-09 19:40:33)(笑:1票) |
2. 東京物語
20年前にレンタルビデオで見た時にはとくに感動しなかったが、今日映画館で見て感動した。襖の影から人が現れて襖の影へ消えるの繰り返し、膝の高さのローアングル構図、小津映画のお約束をこれでもかと見せつけられる。しかし心に残るのは深い感動であってテクニックそれ自体ではない。ベタな平凡なストーリーを展開させて、人生の普遍的な喪失感が胸に迫ってくる。何故そんなことが可能なのか小津の魔法使いとしか言いようがない。 [映画館(邦画)] 10点(2020-12-12 16:45:51)(良:1票) |
3. アンドレイ・ルブリョフ
《ネタバレ》 33年ぶりに観た。鐘造りに挑戦した少年の勇気に自らを省みて再び絵筆を取るアンドレイ。アンドレイの魂の叙事詩とでもいうべきこの作品は私にとってとても大切な映画。生きる指標ともなる特別な映画。タルコフスキーの美しい白黒映像と相まって最大の評価をしたい。また、いつの日か観たいと思う。 [映画館(字幕)] 10点(2020-11-08 08:42:21) |
4. 洲崎パラダイス 赤信号
脚本の力で引っ張っていく正統派の映画。役者の演技や映像に頼ることない素晴らしい脚本、役者の演技も文句なし、構図も計算し尽くされている。男女の業を肯定したラストに、映画を見終わった後どこか救いがある。減点のしようがない。 [インターネット(邦画)] 10点(2020-05-14 20:20:37)(良:2票) |
5. さがす
《ネタバレ》 素晴らしい映画。まず、映像の色調が素晴らしい。きちんとシリアスな話をしますという監督の姿勢が伝わってくる。巧みに時系列を交差させながら最後までまっすぐに進んでいく脚本。エンターテイメント性も十分に持たせながら最後の最後に真っ当な楓の心で作品世界を厳粛な色に染め上げている。減点のしようがないと言いたいがひとつだけ。楓は山内のジャージと父の携帯を奪い取ったのだから、その時点で警察に駆け込めば山内の指紋もDNAも採取できたのではないか。山内は8人殺害の重要指名手配犯なので、いくら子供の訴えでも山内の指紋がでれば警察は全力で山内と原田智の行方を捜したはず。聡明な楓がそうしなかったことで話の説得力が減じてしまった。すいませんマイナス1点。 [インターネット(邦画)] 9点(2023-07-15 14:03:46)(良:1票) |
6. 寝ても覚めても
《ネタバレ》 脚本がしっかりしているから、最後まで飽きさせない。そこに、映画的な構図のカットと東出、唐田のしっかりした演技が加わって、突拍子もない設定にちゃんとリアリティーを与えたことで、実感の伴った普遍的な恋愛物語となっている。 また、最後の追走シーンをロングショットで長回ししたり、登場人物の心理をセリフではなく構図や映像で表現したり、濱口監督が過去の名作映画をリスペクトしているのが画面から伝わってくる。北野武のDollsを想起させる携帯電話の投棄シーンが印象的だったのもその一例だ。猫の使い方も上手いし、岡崎の母親のエピソードも、しっかりと朝子の二股の答え合わせになっている。 良平の「水かさが増している」「きったない河やで」のセリフに対して、エゴイスティックな自分の本心を骨の髄まで舐め尽くした朝子がつぶやく「でも、きれい」の一言はみごとなラストシーンだと思う。唐田えりかは体の演技ができるし背中の演技も上手い、ぜひ復活して大成して欲しいと思う。 [インターネット(邦画)] 9点(2023-07-14 21:42:13) |
7. 罪の声
《ネタバレ》 原作未読です。ものすごくよかったです。2時間20分を飽きさせない脚本に加えて役者たちが全員すばらしい演技でした。とくに聞き込みに行った先々で、ちょっとだけ出番があった役者たちの役作りが完璧でこの映画を安っぽいフィクションではなく、リアリティーのあるドラマにしていました。素晴らしいキャスティングです。グリコ森永事件を題材にしている以上ちゃちな脚本では突っ込みどころ満載のしょぼい映画になりかねないところをきちんと説得力のある物語にしていたのは素晴らしかったです。ラストのテーラーの室内シーンからパッとエンドロールに切り替わるのも良かったです。俯瞰の街並みが映ったりしなかったのは素晴らしい。いい監督だと思いました。 それにしても、真犯人達雄が子供たちは幸せに生きていると思っていたのが笑止千万です。たった300万円の金をつかませて逃がしただけで、その後の人生がまっとうなものになると考えていたとしたらまさに世間知らずの革命家であり、この犯人にしてこの犯罪ありと思ってしまいました。説得力のある犯人造形で見事です。 過不足無い美しく丁寧な映像も作品の内容にマッチしていました。 [インターネット(邦画)] 9点(2023-05-14 21:23:44) |
8. ドライブ・マイ・カー
喪失と再生の物語。村上春樹の本領発揮といった内容だが、映画化は難しいと思われるのに、それをきちんとやってのけた。丁寧な描写と、音楽の流れる場面を極端に少なくすることで、難しいテーマを表現するのに成功していると思う。役者たちはみな素晴らしい演技だが、奥さん役の霧島れいかの演技はとくに見事だったと思う。飛行機内の小さな画面で見たのが悔やまれる、映画館で見ればよかった。ただ、ラストのシークエンスだけが意味不明でちょっと困ってしまったのでマイナス1点。 [インターネット(邦画)] 9点(2022-11-09 23:37:49) |
9. 王将(1948)
坂東妻三郎の演技が凄い、体の演技は三船敏郎が一番だと思っていたがバンツマが一番かもしれない。立ち居振る舞いや後ろ姿で人格や人生を表現してしまう凄さ。とくにラストの後ろ姿に泣いた。バンツマの演技に10点だけど。カメラワークについて、少しカットが忙しすぎる印象がマイナス1点。 [映画館(邦画)] 9点(2021-11-09 18:12:33) |
10. 不思議惑星キン・ザ・ザ
脚本と映像で押していくまっとうな映画。まず砂の描写が素晴らしい。脚本がしっかりしているので安心してみていられる。ストーリーにぐいぐい引き込まれる脚本の素晴らしさと、リアリティーのある演技が素晴らしい。すべて手作りでCGのない造形、作画はやはり見ごたえがある。ラストのオチも決まって10点満点にしたいが、ズームアップを連発するカメラワークが私的にはマイナスに感じられたので9点。 [映画館(字幕)] 9点(2021-11-02 21:31:56) |
11. 道(1954)
フェリーニマジックとでも言うのだろうか、不思議な哀しい通奏低音が全編を通して流れている。その流れの中でベタな話が淡々と進んでいく。他愛のない話だと思うが何故か琴線に触れる情感がある。やはり、フェリーニマジックなのだろう。ラストにもう少し捻りがあっても良いと思いマイナス1点だが、贅沢な注文かもしれない。 [映画館(字幕)] 9点(2020-10-17 21:44:07) |
12. ゴッドファーザー
話の内容的には典型的なヤクザ映画。紋切り型のファミリーと裏切りと粛清と。しかし、美しい映像とキレキレの演出、名優達の名演と完璧な脚本、さらにニーノロータの名曲によってエンターテインメントとして減点のしようがない作品となってしまった。10数年ぶりに再鑑賞したが本当に減点のしようがない。ただ何の哲学も思想も感じられないという本来この映画に対して求めること自体ナンセンスな理由でマイナス1点とさせてください。 [インターネット(字幕)] 9点(2020-08-09 20:41:22) |
13. ごっこ
《ネタバレ》 子役の女の子の演技が神懸っていること、ハンドカメラが効果的なこと、ひとつひとつのエピソードがしっかりと描かれていること、ラストに救いがある事を評価します。 [インターネット(邦画)] 9点(2020-05-02 07:03:06) |
14. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 脚本がすごくよく出来ていて、映画でしか表現できないギミックが巧みに使われている。良く出来た映画だと思う。いつ出るかいつ出るかと思わせて結局最後まで一度も登場しない桐島。それでも、それが映画的には正解だと思わせるだけの説得力がやや弱かったよう思う。 [インターネット(邦画)] 8点(2024-05-23 00:48:58) |
15. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 8年ぶりに見た。8年前は映画館だったけど今回ネットで見たものは1部内容が変わっていたように思う。町長が隕石の激突を信じるきっかけになったシーンがカットされている。ここは大事な場所だと思うのでカットしない方が良かった。映画館で見た時には段々慣れてきた人物描画の稚拙さがネットでは最後まで気になった。風景は素晴らしいのに残念。何にしても完璧に練りに練り上げられた脚本が素晴らしすぎた。 [インターネット(邦画)] 8点(2024-05-19 20:28:38) |
16. 予告犯
《ネタバレ》 とにかく脚本が素晴らしい。全く飽きることなく最後まで引っ張られてしまった。そしてなによりこの映画には「叫び」がある。ひとりの人間の叫びがどれだけ重いものか、頑張って生きていける人にはわからない、頑張ってもどうしようもない人たちの叫び。「人は誰かのためになるなら動くことが出来るんです」という叫びをエンターテインメントに昇華した傑作。各俳優も自分のオーラを消して役を作り込んでいる。リアルな色調の映像も素晴らしい。 [インターネット(邦画)] 8点(2023-09-26 01:15:17) |
17. クリーピー 偽りの隣人
《ネタバレ》 黒沢清監督の中では一番良いと思った。回路や散歩する侵略者では設定に無理があって、ついていけないものがあるが、この映画は、ある程度リアリティーのある世界でストーリーが展開するので私の好みにハマっていた。 映像、カメラワークが素晴らしいし、役者の演技も素晴らしい。黒沢監督はその役者の最高の演技を引き出すのが実に上手いと思う。特に竹内結子は完璧。ただ、余りにも薬?の効きが良すぎて、そんな薬あるかよ、お前は医者か?薬剤師か?と突っ込みたくなったのと、刑事が一人で行動する→殺されるというベタな展開にマイナス2点です。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-11-09 16:15:59) |
18. 鏡
はっきり言って、話は全く分からない。しかし、映像の美しさでプラス5点、女優の美しさでプラス3点の合計8点。風でそよぐ草むらは風待ちをしたのだろうか、大型送風機をズラッと並べたのだろうかなどと考えながら観てしまった。それにしても、白黒の映像美は筆舌に尽くし難い。これだからタルコフスキーはやめられない。 [映画館(字幕)] 8点(2020-09-27 08:24:27) |
19. 見えない目撃者(2019)
《ネタバレ》 かなり面白い映画。目の見えない人がどれだけ戦えるのかという、盲人VS身体能力の高い健常者のバトルが手に汗握る。真っ暗闇の中では逆に盲人が有利という点をもっと強調させても良かったかも。吉岡の演技は良かったが、真犯人役の演技はイマイチ。それから、ベテランなのに木村刑事はなぜ1人で行動した?「2人1組で行動」は捜査の基本でしょ、殺されに行くようなものってゆうか殺されてるし、他にもいくつかつっこみどころがあるのでマイナス2点。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-07-29 16:32:35) |
20. バルカン超特急(1938)
チープな話かと思ったら、どんどんスケールが大きくなっていく。オチも完璧。純粋な娯楽作品としてはちょっと減点のしようがない。オープニングで主人公が誰かよくわからない導入が少しだけ怠いかも。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-06-30 14:51:07) |