1. ベン・ハー(1959)
うちの両親が「最高の作品」と絶賛して10回も映画館に見に行った。40年後、息子は同じ回数ビデオを回した。完璧主義者ワイラーが放つ世代を超えた大傑作。 10点(2002-03-24 15:13:15)(良:1票) |
2. アパートの鍵貸します
ワイルダーの映画には傑作が多いが、その中でも最高の一本。実際にアカデミー賞もとっている。同賞の「格式ばって娯楽性の乏しい大作に贈られる」というイメージは見事に吹き飛ぶ。白黒映画なんて・・・と敬遠する人には特におすすめ。現在のコメディが失ってしまった空気がここに生きている。 10点(2002-03-24 02:31:47)(良:1票) |
3. ロープ
レオポルド&ローブ事件を題材に作られた作品。ヒッチコック作品の中でも代表作に挙げられることはほとんどないが、そもそも死体すら写らない一室の描写で緊張感を持続させるということ自体並大抵の技量でできることではなく、さすが「サスペンスの神様」と膝を叩く。個人的に最も好きなヒッチコック作品。(みんなの評価が割りに高くて安心しました) 10点(2002-01-29 01:43:19) |
4. ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
ロメロのゾンビ3部作のうち『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と『ゾンビ』は表裏一体の作品。前者は一軒屋に閉じ込められた主人公たちが、ゾンビから身を守りながら助けと夜明けを待つというものだったが・・・『ゾンビ』を見れば答がわかる。人間の集団はバラバラ、夜が明けても、世界のいたるところにゾンビがいる。『ナイト・・・』の主人公が抱いていた希望などどこにもありはしなかったのだ。本作の主人公は軍隊兵士で、弾薬もある、ゾンビの倒し方も熟知している、しかしふと疲れたときに、ガラス越しに見える生ける死者の群れに抱く絶望感、それが観客にダイレクトに伝わってくる。普段こういう映画を見ない人たちにも、この世紀末的な退廃感を感じてほしい。もちろん文句なしの満点。映画史上に残る大傑作です。 10点(2002-01-29 01:18:55)(良:1票) |
5. ルパン三世 カリオストロの城
宮崎アニメは個人的に好きじゃないのだが、子どもの頃に観た影響もあってか、この作品は好評価。細部に宮崎テイストがぷんぷん匂うのにもかかわらず、ちゃんと「ルパン三世」なのは凄いと思う。ストーリー、人物造形、演出など非常に高いレベルで、穴を探すほうが難しい。何度もテレビ放映されているのがその完成度を物語っていると思う。 9点(2002-11-26 02:08:58) |
6. 羅生門(1950)
「へえ、日本にも映画があるのか」とたかを括っていた欧米の映画関係者の度肝を抜いた作品。娯楽性と芸術性が高いレベルで昇華している。白黒の映像美(竹の葉っぱに墨汁の霧を吹きつけたのは有名)にも注目。「世界のクロサワ」への足がかりになったという意味で、記念碑的価値も持つ一編。 9点(2002-11-26 01:06:24) |
7. まあだだよ
実は黒澤映画で一番好き。ストーリーは特別な起伏がないが、オイッチニ、などの淡々としたユーモアが心地よい。ただ内田百聞(ひゃっけん。けんの字は本当は「門」に「月」と書きます。ネット泣かせ)を善人に書きすぎて、本来の怪人変人ぶりが薄まっているのが不満。 9点(2002-10-28 21:23:15) |
8. CUBE
《ネタバレ》 最初に死ぬのが脱獄の達人、というところでいきなり不安を煽るうえに、その死体を後に小道具に使う演出に感心した。これでもかと引っ張っていくサスペンスが的確で、だれる部分が全然ない。ラストは見る人の好みでしょう。作品評価は上々。監督の評価は、オープンフィールドで撮った作品を見てからにします。 9点(2002-10-20 21:54:16) |
9. フライングハイ
風船の機長が大好き。 9点(2002-03-24 14:53:52) |
10. 戦艦ポチョムキン
まったく関連のないふたつの映像を連続して並べることによって画面に意味を附加していく「モンタージュ技法」が確立された作品。(わかりやすく言うと、西洋館を映す画面の直前にカラスの映像をはさむと、館に不吉なニュアンスが加わる、というかんじ)。無声映画ながら今見てもその完成度には驚愕させられる。オデッサの階段のシーンは見る者の胸に迫る。それだけでも必見の傑作。 9点(2002-03-24 11:38:32) |
11. 情婦
原作より映画の方が優れているという稀有な作品(原作はとても短くてあっさりしている)。今となってはなぜこんなタイトルがついたのか想像しがたいが・・・。 9点(2002-03-24 05:00:56) |
12. 運動靴と赤い金魚
たしか原題は『天使のような子どもたち』であるはずだが、ここは日本の配給会社の勝利である。こういう映画を見ると、社会や宗教がどうであろうが、人間の暮らし、家族の愛情というものは、世界のどこも変わらないものだと実感。 9点(2002-03-24 02:56:37) |
13. 裏窓(1954)
「一番面白いヒッチコック映画を紹介して」と言われたら、自分は『裏窓』と『サイコ』を推す(一番好きなのは『ロープ』だけど)。それだけ問答無用の演出テクニックと面白さがある。 9点(2002-03-24 02:52:36) |
14. 穴(1960)
ジャック・ベッケル監督の遺作で、脱獄ものの傑作。やや残念なのは、パッケージの文章が的はずれなこと。「新しく牢獄に加わった男、やつは信用できるのか?」というものだが、物語は9割以上そういう展開はしていない。最後の鏡のシーン(小道具の使い方がすばらしい)にはぎょっとさせられる。白黒、昔のフランス映画と地味な印象が強く、おそらくあまり多くの人が見てはないと思うが、お金をかけたハリウッドでは絶対でない面白さがこの映画にある。 9点(2002-03-24 02:21:08) |
15. 魔界転生(1981)
画面からにじみ出てくる陰鬱さ、怪優たちの共演、こんな時代劇はこの先絶対撮れないでしょう。 8点(2002-11-27 19:52:36) |
16. レインマン
こういうテーマに関して日本人が期待・想像するストーリーとは、おそらくまるで違うと思う。それが障害者問題の文化的なギャップだと考えてたぶん間違いない。その意味で、淡々とした、何も解決していないかのようなラストは興味深い。ダスティン・ホフマンの役者としての凄さも味わうことができる。 8点(2002-11-26 02:41:45) |
17. 奇跡の人(1962)
この映画はヘレン・ケラーの半生、特にその序章を描いているのだが、「史実に基づいた」ものであって「史実そのもの」ではない。ヘレン・ケラーは実際にはおとなしい子どもであり、ここで描かれるような野生児ではなかったそうだ。こうした変更点は作品の中で輝いており、二人の熱演もあって素晴らしい映画となった。だが映画は映画にすぎず、真実そのままであると鵜呑みにするのは危険である。とりわけ対象が障害者であるから、下手な理解が差別意識を助長しないよう注意する必要があると思う。 8点(2002-11-04 22:39:55) |
18. メジャーリーグ
イチローの同僚であるマリナーズの某選手は、「ボーン」(骨)というのがあだ名で、彼が打球を追うとスタンドでみんながビニール製の骨を振るんだそうだ。だから「ワイルド・シング」や皮ジャケット等のギミックは特別突飛なものでもないみたい。我々はあれを映画演出と考えるがアメリカ人には意外に身近なのかも。「ヘソ伝」や「タコ足」というニックネームなど、日本にもかつて洒落た野球文化があったものだが、現在は失われてしまっているのが寂しい。映画のほうは期待通りの剛速球です。 8点(2002-11-02 14:55:49) |
19. クリムゾン・タイド
ジーン・ハックマンとデイゼル・ワシントンの息づまるような心理合戦。潜水艦という密室の中たたかわされるのは、核ミサイルを発射するべきか否か、という重要な問題。特にハックマンが素晴らしい。彼以外の誰かだったら1~2点低かっただろう。 8点(2002-11-02 14:11:50) |
20. レザボア・ドッグス
この作品で印象に残っているのは、回想シーンが混ざり合い、トイレで警官と犬に向かって「オレンジ」が完璧なスラングと身振りで話しているところ。それだけで全部許せる。 8点(2002-10-20 23:44:31) |