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ここまで素晴らしい映画だとは思わなかった。真田広之と宮沢りえが何よりも評価されて当然だと思う。二人の立ち居振る舞いの美しさも、感嘆させられる。脇役たちのそつのない演技も達者だった。とりあえずここまで藤沢周平の原作をとても上手く調理してくれると、文章ファンにとっても嬉しい。ただ、東北弁風なセリフは、東北の小藩の雰囲気を上手く出していた反面、くどいような気もした。多少は日本語が分かる外国の人間がサムライブームでこの映画を観た場合、ちょっとビックリさせられるだろうなぁと思う。でも「海は見ていた」のように役者が無理矢理しゃべっているような感じではなかったので、やはり、この映画の役者さんたちは素晴らしい。ただメインとなるべき立ち会い場面は、リアリティを追求したのかもしれないが、暗すぎるし、冗長すぎるし、相手のほうに道理があるような気がする。かと言って清兵衛の人生観を突き崩すシーンというわけでもないので、場面の緊張感高揚感がいまひとつ足りない。エンターテイメントとして文章を上回ろうとするならば、ここだったのではないか。それにしてもひどいのがラストで、「父は幸せでした」という強引なナレーションとか、井上陽水の歌とか、変なモノを持ってきたことで、この作品の持っていた静謐な世界のすべてが崩れ去った。惜しいと言うより悔しい。
【ルクレツィアの娘】さん 7点(2004-02-25 21:50:56)(良:1票)
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