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《ネタバレ》 傑作。女の心理がとても奥深くまでえぐるように描かれている。理想ばかりをかかげ、何も出来ない青い学生たちと、金と権力を持つ大人の男。前者はなかよしごっこにも見え、後者は孤高である。惹かれてはいけないと思いつつそちらに吸い寄せられていくのが、子宮でものを考える女の性である。観客にその心の動きを丁寧に見せることにより、観客の気持ちがチアチーに移入し、徐々にその人間性が明らかになるイーに惹かれ、イーがどうか殺されませんようにと願いすらする。(そもそも、一度は逃げ教師になったチアチーが、またスパイになった理由が、イーにもう一度「マイ夫人」として逢いたかったからではないかと思う。)しかし一度愛した女に処刑という決断を下せるのがイーという男の性である。心は深く傷ついたとしても、イーはこの先も何事もなかったかのように、職務を続けて行くのだろう。そして、歴史を知っている現在の我々は、彼が仕える政権が、もうまもなく崩壊することを知っている。イーにもイーの妻にも、決して幸福な未来は待っていない。鳩の卵のようなダイヤモンドの、何もかもを見透かしたようなギラリとした輝き。10点献上。
【ともとも】さん [DVD(字幕)] 10点(2009-03-29 16:25:44)(良:2票)
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